「水虫に酢が効く」という話を聞いたことはありませんか?かつてNHKの人気健康番組「ためしてガッテン」でも取り上げられたことがきっかけで、酢を使った水虫の民間療法は広く知られるようになりました。足を酢に浸すだけで水虫が治るなら手軽で費用もかからないと、試してみた方も少なくないでしょう。しかし実際のところ、酢は水虫に対して本当に効果があるのでしょうか。また、そもそも水虫とはどのような病気で、なぜなかなか治らないのでしょうか。この記事では、水虫の基礎知識から酢による民間療法の効果と限界、そして医療機関で行われる正しい治療法まで、詳しく解説していきます。
目次
- 水虫(白癬)とはどんな病気か
- ためしてガッテンで紹介された「酢」による水虫対策
- 酢に含まれる成分と抗菌・抗真菌作用
- 酢が水虫に効くという根拠はあるのか
- 酢を使った民間療法のリスクと注意点
- 市販薬(OTC薬)との違い
- 病院での水虫治療はどのように行われるか
- 水虫を放置するとどうなるか
- 水虫の再発を防ぐための日常的なケア
- まとめ
この記事のポイント
水虫への酢の使用は科学的根拠が不十分で、皮膚炎症リスクもある。アイシークリニック上野院では、KOH法による確定診断と抗真菌薬による適切な治療を推奨し、民間療法より早期の皮膚科受診が重要と解説している。
🎯 水虫(白癬)とはどんな病気か
水虫は、医学的には「白癬(はくせん)」と呼ばれる皮膚の感染症です。原因は「皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)」というカビの一種(真菌)で、足の皮膚に感染することで発症します。水虫という名前は昔の呼び名で、田んぼや水の中にいる虫が原因だと誤解されていた時代の名残です。実際には虫とはまったく関係なく、カビによる感染症です。
皮膚糸状菌の中でも、水虫の原因として最も多いのは「トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)」という菌種です。この菌は角質層に含まれるケラチンというタンパク質を栄養源とするため、皮膚の表面に定着し繁殖します。温かくて湿った環境を好み、靴の中や公衆浴場、プールサイドなど、人が素足で歩く場所に多く存在しています。
水虫の症状は主に三つのタイプに分類されます。一つ目は「趾間型(しかんがた)」で、足の指の間が白くふやけてじくじくしたり、皮がむけたりするタイプです。最も一般的な水虫の形で、かゆみを伴うことが多いです。二つ目は「小水疱型(しょうすいほうがた)」で、足の裏や縁に小さな水ぶくれができてかゆみが強く出るタイプです。三つ目は「角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)」で、足の裏全体の皮膚が厚くなってかさかさになるタイプです。このタイプはかゆみが少ないため気づきにくく、また治りにくい特徴があります。
日本では水虫の有病率が高く、成人の約20〜25%が罹患していると言われています。特に男性や高齢者に多く見られますが、女性や子どもにも発症します。「水虫は男性特有の病気」というイメージがありますが、これは誤りです。スポーツをする女性や、長時間靴を履いて仕事をする女性にも増加傾向があります。
水虫は感染力があり、菌が付着してから皮膚に根付くまでに約24〜48時間かかると言われています。つまり、感染源に触れてもすぐに洗い流せば感染を防げる可能性があります。しかし一度定着してしまうと、免疫機能だけでは排除しにくく、適切な治療が必要になります。
Q. 水虫(白癬)の原因と感染の仕組みは?
水虫は「皮膚糸状菌」というカビの一種が原因の皮膚感染症です。最多の原因菌はトリコフィトン・ルブルムで、皮膚のケラチンを栄養源とします。温かく湿った環境を好み、公衆浴場やプールサイドに多く存在します。感染から定着まで約24〜48時間かかるため、早期に洗い流すことで感染を防げる場合があります。
📋 ためしてガッテンで紹介された「酢」による水虫対策
NHKの「ためしてガッテン」は、日常生活に役立つ健康・科学情報をわかりやすく伝える番組として長年にわたって人気を博してきました。この番組の中で、水虫対策として「酢」を使う方法が紹介されたことがあり、視聴者の間で大きな反響を呼びました。
番組で紹介された方法は、穀物酢を水で薄めたもの(おおよそ酢1:水1〜3の割合)に、患部である足を一定時間浸すというものです。酢には酢酸(さくさん)が含まれており、この酸性の環境がカビの増殖を抑えるという考え方が背景にあります。テレビで紹介されたことで「酢で水虫が治った」という声がSNSや口コミで広がり、今でも多くの方が試みている民間療法の一つとなっています。
ただし、番組の内容を正確に振り返ると、「酢で水虫が完全に治る」と断言していたわけではなく、あくまでも民間療法の一つとして紹介したという文脈でした。番組自体も医学的根拠のある治療法として推奨したわけではなく、視聴者の関心が高い話題として取り上げたという側面があります。この点において、「ためしてガッテンで効果が証明された」と信じている方がいるとすれば、それは誤解と言えるかもしれません。
とはいえ、酢に何らかの抗菌・抗真菌作用があることは科学的に確認されており、まったく根拠がない話というわけでもありません。問題は、その効果が水虫の治療として十分かどうかという点にあります。次のセクションで、酢の成分と作用について詳しく見ていきましょう。
💊 酢に含まれる成分と抗菌・抗真菌作用
酢の主成分は酢酸(acetic acid)で、一般的な食酢には約4〜5%の酢酸が含まれています。酢酸は弱酸性の有機酸で、さまざまな微生物の増殖を抑える作用があることが知られています。食品の保存に酢が使われるのも、この抗菌作用を利用しているためです。
酢酸の抗菌・抗真菌メカニズムとしては、主に以下のことが考えられています。まず、酢酸が微生物の細胞膜を通過して細胞内のpHを低下させ、さまざまな酵素の働きを阻害することで増殖を抑えます。また、酸性環境そのものが多くの微生物にとって生存しにくい条件となります。
実際にいくつかの研究では、酢酸が皮膚糸状菌に対して一定の増殖抑制効果を示すことが報告されています。試験管内(in vitro)の実験では、酢酸が水虫の原因菌であるトリコフィトン・ルブルムの増殖を阻害することが確認されています。このため、まったく効果がないとは言い切れません。
しかし重要なのは、試験管内で効果があることと、実際の皮膚感染症を治療できることは別の話であるという点です。水虫の菌は皮膚の角質層の深部に入り込んでいます。酢を外用しても、酢酸が角質の深部まで十分に到達できるかどうかは別問題です。皮膚のバリア機能は外部からの物質の侵入を防ぐように働いており、酢のような水溶液が深部の菌まで届くのは難しいと考えられています。
また、酢には酢酸以外にも様々な有機酸や微量成分が含まれており、これらが相乗的に作用する可能性もあります。りんご酢には「マリク酸(リンゴ酸)」が、米酢には「アミノ酸」が含まれるなど、種類によって成分が異なります。民間療法ではりんご酢が特に推奨されることも多いですが、水虫治療における種類別の優劣については十分な研究がなされていません。
Q. 酢を水虫治療に使う際のリスクは何ですか?
酢を水虫治療に使用すると、皮膚への刺激や化学熱傷を引き起こすリスクがあります。アイシークリニック上野院でも「酢で皮膚がただれた」状態で受診される患者が一定数います。また、酢酸は角質深部の菌まで届きにくく、治療効果が不十分なまま受診が遅れる「治療の遅延」も深刻なリスクです。
🏥 酢が水虫に効くという根拠はあるのか
医学の世界では、治療法の有効性を評価する際に「エビデンス(科学的根拠)」の質が重視されます。最も信頼性が高いのは「ランダム化比較試験(RCT)」や「システマティックレビュー」と呼ばれる形式の研究です。現時点では、酢を用いた水虫治療がこのレベルのエビデンスによって有効性を証明されたという報告は存在しません。
「酢で水虫が治った」という体験談は多数存在します。しかしこれには、いくつかの理由が考えられます。一つは、「自然治癒」や「プラセボ効果」の可能性です。水虫は体の免疫状態がよい時期には症状が一時的に落ち着くことがあり、その時期に酢を使い始めた場合、酢の効果と誤解される可能性があります。
もう一つの可能性は、「診断の誤り」です。水虫と自己判断していても、実際には水虫ではない皮膚疾患(湿疹、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症など)である場合があります。これらは自然に改善することもあり、酢を使っていた場合、酢の効果と誤認されることがあります。実際に皮膚科を受診した方の中で、水虫と自己診断していた人の約30〜40%は別の疾患だったという報告もあります。
三つ目として、軽度の感染であった場合、酢の表面的な抗菌効果だけで菌の数が減り、症状が改善するケースがまれにあるかもしれません。ただしこの場合も、菌が完全に除去されたわけではなく、再発リスクが残ります。
以上を踏まえると、酢が水虫治療として推奨できるほどの科学的根拠は現時点では存在しないと言えます。補助的なケアとして皮膚を清潔に保つ目的で使用することはあり得ますが、それだけで水虫を「治す」ことを期待するのは現実的ではないでしょう。
⚠️ 酢を使った民間療法のリスクと注意点
酢は食品であり、一般的に安全なものと思われがちですが、皮膚に使用する際にはいくつかのリスクがあります。特に長時間、高濃度の酢に皮膚をさらすことは、思わぬトラブルを引き起こす可能性があります。
最も注意が必要なのは「皮膚刺激・化学的熱傷」のリスクです。酢酸は弱酸とはいえ、濃度が高かったり長時間接触したりすると、皮膚を刺激して炎症や化学熱傷を起こすことがあります。実際に、酢に足を長時間浸して皮膚がただれてしまったという報告が医療現場でも確認されています。皮膚が薄い方、敏感肌の方、糖尿病などで皮膚の感覚が鈍くなっている方は特に注意が必要です。
次に「爪白癬への無効性と見落とし」というリスクがあります。爪が厚くなったり変色したりしている場合、爪白癬(爪の水虫)の可能性があります。爪白癬は皮膚の水虫以上に治療が難しく、外用薬が届きにくい部位です。ましてや酢のような外用液では到底届きません。爪白癬を放置すると慢性化し、周囲への感染源となり続けます。「酢で治る」と信じて適切な治療を怠ると、長期間にわたり感染が持続するリスクがあります。
また、「治療の遅延」も重大なリスクです。民間療法を試し続けることで、適切な医療機関への受診が遅れる可能性があります。水虫は早期に適切な治療を行えば比較的短期間で治療できますが、長期間放置すると角質型に移行したり、爪白癬に進行したりして治療が長引きます。
糖尿病や免疫機能が低下している方にとっては、水虫が悪化して細菌の二次感染(蜂窩織炎など)を起こすリスクがあります。このような方が民間療法に頼って受診を遅らせることは、特に危険です。
さらに、酢を使うことで皮膚のpHが変化し、通常の皮膚に存在する善玉菌(皮膚常在菌)のバランスが崩れる可能性も否定できません。皮膚の正常な常在菌は、病原菌の感染から皮膚を守る役割を担っています。
Q. 市販の水虫薬と酢では何が違いますか?
市販の水虫薬にはテルビナフィンやラノコナゾールなど、皮膚糸状菌に特異的に作用する抗真菌成分が含まれ、臨床試験で有効性が確認されています。製剤は角質層への浸透性も考慮して設計されています。一方、酢は非特異的な酸性環境を作るだけで効力は限定的であり、水虫の根本治療には不十分です。
🔍 市販薬(OTC薬)との違い
薬局やドラッグストアで販売されている水虫の市販薬は、医学的に効果が確認された「抗真菌薬」を含んでいます。これらは「OTC薬(Over The Counter Drug)」と呼ばれ、医師の処方がなくても購入できますが、その成分は医薬品として承認を受けたものです。
市販の水虫薬に含まれる代表的な抗真菌成分としては、テルビナフィン、ブテナフィン、ラノコナゾール、クロトリマゾール、ミコナゾールなどがあります。これらは皮膚糸状菌の細胞膜を構成する「エルゴステロール」の合成を阻害することで、菌の増殖を抑えたり菌を死滅させたりします。
酢と市販薬の最大の違いは、この「作用機序の特異性と効力」にあります。市販の抗真菌薬は水虫の原因菌に対して特異的に作用するように設計されており、臨床試験で有効性が確認されています。一方、酢は菌に対して非特異的な酸性環境を作るだけで、効力も限定的です。
また、市販薬は皮膚への浸透性が考慮された製剤設計がされています。クリーム、液体、スプレー、テープなど様々な剤形があり、患部に応じて適切なものを選べます。角質層への浸透を助ける基剤が使われており、有効成分が感染部位まで届くよう工夫されています。
市販薬を使用する際の注意点としては、症状が改善しても最低でも1〜3ヶ月間は使用を継続することが重要です。症状が消えても皮膚の深部に菌が残っていることがあり、早期に中止すると再発します。また、爪白癬には市販の塗り薬は効果が不十分なことが多く、医師による処方薬が必要です。
市販薬でも効果がない場合、症状が重い場合、または爪が侵されている場合は、迷わず皮膚科や専門クリニックを受診することをお勧めします。
📝 病院での水虫治療はどのように行われるか
水虫の治療を医療機関で受ける際は、まず「確定診断」が行われます。水虫と似た症状を示す皮膚疾患は多く、見た目だけで診断することは専門医であっても難しい場合があります。そのため、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察する「直接鏡検法(KOH法)」という検査を行い、皮膚糸状菌の存在を確認します。この検査は数分で結果が出る簡便なものです。
診断が確定したら、病態や感染部位に応じた治療が選択されます。
皮膚の水虫(趾間型・小水疱型)に対しては、外用抗真菌薬が第一選択です。処方薬として使われる代表的なものには、ルリコナゾール(ルリコン)、ラノコナゾール(アスタット)、テルビナフィン(ラミシール)、エフィナコナゾール(クレナフィン)などがあります。これらは市販薬と同じ成分を含むものもありますが、処方薬は医師の管理下で適切な期間・方法での使用が担保されます。
角質増殖型の水虫は、角質が厚くなっているために外用薬が浸透しにくく、治療が難しいことがあります。この場合は尿素含有クリームなどで角質を軟化させながら外用抗真菌薬を使用したり、内服抗真菌薬が検討されることがあります。
爪白癬(爪の水虫)は、近年治療の選択肢が広がりました。以前は内服薬が主な選択肢でしたが、現在は爪専用の外用抗真菌薬も使用可能です。外用薬としてはエフィナコナゾール(クレナフィン)やルリコナゾール(ルコナック)があり、爪への浸透性が高い製剤として開発されています。内服薬としてはイトラコナゾールやテルビナフィンが使用されます。特にイトラコナゾールは「パルス療法」と呼ばれる服用方法(1週間服用、3週間休薬を3サイクル繰り返す方法)が用いられることもあります。
内服抗真菌薬は効果が高い反面、肝臓への影響など副作用のリスクもあるため、服用中は定期的な血液検査が必要です。また、他の薬との相互作用があるため、服用中の薬を必ず医師に伝えることが重要です。
治療期間は水虫の種類によって異なります。趾間型・小水疱型では外用薬で1〜3ヶ月程度、角質増殖型では3〜6ヶ月程度、爪白癬では外用薬で6〜12ヶ月、内服薬でも3〜6ヶ月程度かかることが一般的です。症状が改善しても途中で治療をやめると再発しやすいため、医師の指示通りに最後まで治療を続けることが大切です。
Q. 病院での水虫の診断・治療の流れは?
アイシークリニック上野院では、皮膚の一部を採取して顕微鏡で確認する「直接鏡検法(KOH法)」で確定診断を行います。治療は外用抗真菌薬が基本で、爪白癬には専用外用薬や内服薬も使用します。治療期間は趾間型で1〜3か月、爪白癬では最大12か月程度かかるため、症状改善後も医師の指示通りに継続することが重要です。
💡 水虫を放置するとどうなるか
「水虫くらいなら放っておいても大丈夫」と考えている方も多いかもしれませんが、水虫を適切に治療せず放置することは様々なリスクをもたらします。
まず、感染の拡大があります。足の皮膚から爪へ、爪から足のほかの部位へ、さらには手や体幹の皮膚へと感染が広がる可能性があります。手に白癬が感染した場合(手白癬)は、日常生活の中でさまざまな場所を触れるため、環境への菌の散布が増えます。
次に、家族への感染です。水虫は接触感染であり、同居する家族への感染源となります。特に免疫力が低い高齢者や小児は感染しやすく、一人が水虫を持ち込むと家族全体に広がることがあります。バスマット、スリッパ、タオルなどを共有することで感染が広がります。
三つ目は、細菌感染の合併です。水虫による皮膚のびらんや亀裂は、細菌が侵入しやすい状態を作ります。特に趾間型の水虫では、指の間がただれて細菌が入り込み、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という皮膚や皮下組織の細菌感染症を引き起こすことがあります。蜂窩織炎は腫れ・発赤・発熱・痛みを伴う重篤な感染症で、入院して点滴治療が必要になることもあります。特に糖尿病患者や免疫機能が低下した患者では、この合併症が重症化しやすいため注意が必要です。
四つ目として、「慢性化・難治化」があります。水虫を放置すると感染が深く広く広がり、治療期間が長くなります。特に爪白癬に発展した場合、治療には長期間を要します。また、角質増殖型に移行すると症状がわかりにくくなり、自覚症状がないまま感染が続くケースもあります。
アレルギー反応として「白癬疹(はくせんしん)」が起こることもあります。これは水虫の菌に対するアレルギー反応で、感染部位から離れた場所(手のひらや足など)に水ぶくれが現れる症状です。
このように水虫は単なる「不快な症状」にとどまらず、放置すれば様々な健康上の問題に発展する可能性があります。早期に適切な治療を受けることが重要です。
✨ 水虫の再発を防ぐための日常的なケア

水虫の治療が成功しても、再感染や再発のリスクは常に存在します。水虫を繰り返さないためには、日常生活の中での予防習慣が非常に重要です。
足の清潔と乾燥を保つことが基本中の基本です。毎日入浴や足浴をして足全体、特に指の間をていねいに洗いましょう。石鹸を使って指の間を一本ずつ丁寧に洗うことが大切です。洗った後は十分に乾燥させることも重要で、タオルで水分をしっかり拭き取ります。ドライヤーの冷風を使って乾燥させる方法も有効です。
靴の選び方と管理にも気を配りましょう。同じ靴を毎日履き続けると靴の中に湿気がたまり、菌が繁殖しやすい環境になります。複数の靴をローテーションして使い、靴を十分に乾燥させる時間を確保しましょう。通気性の良い素材の靴を選ぶことも大切です。靴の中に乾燥剤や防菌スプレーを使うことも有効な対策です。靴下は毎日替え、吸湿性の高い綿や機能性素材のものを選ぶと良いでしょう。
公共の場での注意も怠らないようにしましょう。プールや温泉、銭湯、フィットネスジムなどの更衣室や脱衣所は、水虫の感染リスクが高い場所です。このような場所では、できるだけサンダルや水回り用のスリッパを履いて素足で歩かないようにします。使用後はすぐに足をしっかり洗い、乾燥させましょう。
家族内での感染予防も大切です。水虫の患者がいる家庭では、バスマットやスリッパ、タオルを共用しないことが重要です。バスマットは定期的に洗濯し、十分に乾燥させましょう。感染者は自分専用のバスマットを使用することが望ましいです。
足の定期的なチェックも習慣にしましょう。特に治療が終わった後も、指の間や足の裏を定期的に観察する習慣をつけます。早期に変化に気づくことで、再感染した場合でも素早く対処できます。気になる症状があればすぐに皮膚科に相談することを推奨します。
免疫力の維持も水虫の予防に関係しています。過労、睡眠不足、栄養不足などで免疫力が低下すると、皮膚のバリア機能も弱まり感染しやすくなります。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることが水虫の予防にもつながります。
糖尿病の方は特に注意が必要です。血糖コントロールが不良だと免疫機能が低下し、水虫にかかりやすく、また重症化しやすくなります。定期的な血糖管理と合わせて、足のケアを徹底することが重要です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「酢で水虫を治療しようとしたが改善せず、むしろ皮膚がただれてしまった」という状態で受診される患者様が一定数いらっしゃいます。酢の抗菌作用はあくまで限定的なものであり、角質の深部に入り込んだ菌には届きにくく、水虫の根本的な治療にはなりません。足の指の間や爪に気になる変化が見られた際は、民間療法を試す前にまず皮膚科でしっかり診断を受けていただくことが、最も確実で安心な第一歩です。」
📌 よくある質問
酢に含まれる酢酸が試験管内で皮膚糸状菌の増殖を抑える効果は報告されていますが、実際の皮膚感染症を治療できるほどの科学的根拠は現時点では存在しません。角質の深部に入り込んだ菌まで酢酸が届くかどうかも不明であり、水虫の根本的な治療法とは言えません。
高濃度の酢を長時間使用すると、皮膚が炎症を起こしたり化学熱傷になるリスクがあります。当院でも「酢で皮膚がただれてしまった」状態で受診される患者様が一定数いらっしゃいます。特に敏感肌の方や糖尿病で皮膚の感覚が鈍い方は注意が必要です。
水虫を放置すると、爪や手など他の部位への感染拡大、家族への感染、皮膚の亀裂から細菌が侵入する蜂窩織炎の合併などのリスクがあります。特に糖尿病など基礎疾患がある方は重症化しやすいため、早期に皮膚科を受診することが重要です。
市販の水虫薬はテルビナフィンやラノコナゾールなど、水虫の原因菌に特異的に作用する抗真菌成分を含み、臨床試験で有効性が確認されています。一方、酢は非特異的な酸性環境を作るだけで効力は限定的です。また市販薬は角質層への浸透性も考慮して設計されています。
当院では、皮膚の一部を採取して顕微鏡で観察する「直接鏡検法(KOH法)」で確定診断を行います。治療は病態に応じた外用抗真菌薬が基本で、爪白癬には爪専用の外用薬や内服薬も使用します。自己判断せず、まず専門医による正確な診断を受けることをお勧めします。
🎯 まとめ
水虫に酢が効くという話は、ためしてガッテンをはじめとするメディアで取り上げられたことで広く知られるようになりました。酢に含まれる酢酸が一定の抗菌・抗真菌作用を持つことは事実ですが、それが水虫の治療として十分な効果を発揮するという科学的根拠は現時点では存在しません。また、酢を誤った方法で使用すると皮膚の炎症や化学熱傷を引き起こすリスクもあります。
水虫は真菌(カビ)による皮膚感染症であり、適切な抗真菌薬による治療が必要です。市販薬でも軽症であれば対応できることがありますが、症状が改善しない場合、爪が侵されている場合、糖尿病などの基礎疾患がある場合は、医療機関を受診することが不可欠です。皮膚科や専門クリニックでは、顕微鏡による正確な診断と、病態に合わせた適切な治療を受けることができます。
水虫は一見軽い病気に見えますが、放置すると感染が拡大したり、家族にうつしたり、細菌感染を合併したりするリスクがあります。「恥ずかしい」「大したことない」と思わず、気になる症状があれば早めに受診することが最善の選択です。アイシークリニック上野院では、水虫をはじめとする皮膚の感染症について、専門的な診断と治療を提供しています。民間療法に頼る前に、まずは専門家に相談することをお勧めします。日常的な清潔・乾燥のケアと適切な医療を組み合わせることで、水虫から解放される日は必ずやってきます。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 日本皮膚科学会が発行する「皮膚真菌症診療ガイドライン」。水虫(白癬)の診断基準・治療方針・抗真菌薬の使用方法など、記事全体の医学的根拠として参照
- 厚生労働省 – OTC医薬品(市販の抗真菌薬)に関する情報および一般用医薬品の適正使用に関する情報。市販薬との違いや薬剤成分の説明箇所の根拠として参照
- PubMed – 酢酸(acetic acid)の抗真菌作用や皮膚糸状菌への効果に関する国際的な研究論文群。「酢の抗菌・抗真菌作用」および「科学的根拠の有無」に関する記述の裏付けとして参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務