送別会のシーズンになると、普段よりも多くお酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか。久しぶりに会う同僚や上司との別れを惜しみながらの一杯は、ついつい量が増えてしまいがちです。そして翌朝、頭がズキズキと痛む、胃がムカムカする、体がだるくて起き上がれない……そんな経験をされた方も少なくないでしょう。いわゆる「二日酔い」の状態です。本記事では、送別会で飲みすぎてしまった翌日に起こる体の変化を医学的な視点から解説するとともに、少しでも早く回復するための具体的な対処法、さらには次回からの飲みすぎ予防策についても詳しくお伝えします。
目次
- 送別会で飲みすぎてしまう理由
- 飲みすぎた翌日に起こる体の変化(二日酔いのメカニズム)
- 翌日に現れる主な症状とその原因
- 飲みすぎた翌日の正しい対処法
- やってはいけないNG行動
- 翌日の食事と水分補給のポイント
- 翌日の仕事・日常生活への影響と対策
- 次回の送別会から飲みすぎないためのポイント
- こんな症状が出たら医療機関へ
- まとめ

この記事のポイント
送別会での飲みすぎによる二日酔いはアセトアルデヒド蓄積・脱水・低血糖が主因。対処法は電解質補給・休息・消化の良い食事が基本。迎え酒・翌日の運転は厳禁。嘔吐が止まらない・激しい頭痛・胸痛は医療機関を速やかに受診すること。
🎯 送別会で飲みすぎてしまう理由
送別会は、職場を去る仲間を送り出すための大切なイベントです。普段のランチや飲み会とは異なり、感情的にも高揚しやすい場であるため、いつの間にかお酒の量が増えてしまうことがよくあります。
まず、送別会という特別な雰囲気がアルコール摂取量を増やしやすくします。「今日くらいはいいか」という気持ちになりやすく、乾杯の回数も多くなります。また、長い付き合いの同僚との別れという感情的な場面では、話が弾み、気づかないうちに時間が長くなりがちです。飲酒時間が長くなるほど、摂取するアルコールの総量も増えていきます。
さらに、送別会は年度末や年度初めに集中することが多く、3月から4月にかけては連続して送別会・歓迎会が続くことも珍しくありません。毎週のように飲み会があると、肝臓がアルコールを分解する余裕がなくなり、少量の飲酒でも二日酔いになりやすくなります。
加えて、送別会では立食形式やビュッフェ形式の場合、食事よりもお酒を優先してしまいがちです。食べ物が少ないとアルコールの吸収速度が早まり、血中アルコール濃度が急上昇しやすくなります。これも翌日の不調につながる一因です。
Q. 二日酔いが起こるメカニズムを教えてください
飲みすぎた翌日の二日酔いは、主に3つの原因が重なって生じます。①肝臓でアルコールを分解する際に生成される有害物質「アセトアルデヒド」の体内残留、②アルコールの利尿作用による脱水と電解質バランスの乱れ、③肝臓がアルコール代謝に集中することで起こる低血糖です。これらが複合的に作用し、頭痛・吐き気・倦怠感などの症状を引き起こします。
📋 飲みすぎた翌日に起こる体の変化(二日酔いのメカニズム)
二日酔いがなぜ起こるのか、まずその仕組みを理解することが大切です。お酒を飲むと、体内でアルコール(エタノール)が代謝されます。まず肝臓でアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドという物質に変換されます。このアセトアルデヒドが、二日酔いの主な原因となる有害物質です。
アセトアルデヒドは、頭痛、吐き気、倦怠感、動悸などさまざまな不快症状を引き起こします。通常、アセトアルデヒドはさらにアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸へと分解され、最終的には水と二酸化炭素として体外に排出されます。しかし、大量にアルコールを摂取すると、この分解が追いつかず、アセトアルデヒドが体内に長時間残留します。これが翌日の二日酔い症状の根本原因です。
また、アルコールには利尿作用があるため、飲酒中は通常より多くの尿が排出されます。これにより体は脱水状態になりやすく、電解質のバランスも乱れます。脱水は頭痛やだるさをさらに悪化させる要因となります。
加えて、アルコールは血糖値にも影響を与えます。肝臓がアルコールの代謝に忙しくなると、血糖を維持するための糖新生という機能が低下し、低血糖になりやすくなります。これが翌朝の強いだるさや集中力の低下につながることがあります。
睡眠の質への影響も見逃せません。アルコールは入眠を促す一方で、睡眠の後半では覚醒を引き起こす作用があります。深い睡眠(ノンレム睡眠)が減少し、浅い眠りが続くため、翌朝に「よく眠れなかった」という感覚が残ります。睡眠不足と二日酔いが重なることで、翌日の体調不良はより深刻になりがちです。
💊 翌日に現れる主な症状とその原因
送別会で飲みすぎた翌日に現れる症状は人によって異なりますが、代表的なものをいくつか挙げてみましょう。
🦠 頭痛
二日酔いでもっとも多く見られる症状のひとつが頭痛です。アセトアルデヒドが血管を拡張させることで、脈打つような頭痛(拍動性頭痛)が生じます。また、脱水による血液の濃縮が頭痛を悪化させる場合もあります。さらに、アルコールはマグネシウムの排泄を促進するため、マグネシウム不足による頭痛が起こることもあります。
👴 吐き気・胃の不快感
アルコールは胃の粘膜を直接刺激し、胃酸の分泌を増やします。大量飲酒の翌日は胃の粘膜が荒れた状態になっており、吐き気や胃もたれ、場合によっては嘔吐が生じることがあります。アセトアルデヒドも消化器系に悪影響を与えるため、これらの症状を引き起こす原因となります。
🔸 倦怠感・だるさ
全身のだるさや疲労感は、複合的な原因によって起こります。アセトアルデヒドによる細胞へのダメージ、脱水による電解質バランスの乱れ、低血糖、睡眠の質の低下などが重なり合って、強い倦怠感をもたらします。特に、もともと体力に自信がない方や睡眠が浅かった場合には、翌日一日中だるさが続くこともあります。
💧 口の渇き・のどの渇き
アルコールの利尿作用によって体内の水分が失われるため、翌朝に強い口渇感を覚えることがよくあります。同時に電解質も失われているため、水だけを大量に飲んでも回復しにくい場合があります。ナトリウムやカリウムなどのミネラルも補う必要があります。
✨ 動悸・心拍数の増加
アセトアルデヒドが心臓の電気信号に影響を及ぼし、動悸や心拍数の増加を引き起こすことがあります。通常は時間とともに改善されますが、もともと不整脈の傾向がある方は注意が必要です。
📌 集中力・記憶力の低下
二日酔いの状態では、脳の機能が低下します。血中のアセトアルデヒドが脳に影響し、注意力や集中力、判断力が著しく落ちることがあります。翌日に重要な会議や作業がある場合には、パフォーマンスに大きな影響が出る可能性があります。
▶️ 気分の落ち込み(不安感)
アルコールは中枢神経系に影響を与える物質です。飲酒中はGABA受容体を活性化してリラックス感や多幸感をもたらしますが、アルコールが抜けた後はその反動でGABA受容体の感受性が低下し、不安感や気分の落ち込みが生じることがあります。「二日酔いブルー」と呼ばれることもある状態で、メンタル面への影響も無視できません。

Q. 送別会翌日の二日酔い対処法は何ですか
送別会で飲みすぎた翌日は、まず経口補水液やスポーツドリンクで水分と電解質を少しずつ補給することが最優先です。胃が落ち着いてきたら、おかゆ・うどん・バナナなど消化のよい食事を少量から始めましょう。頭痛には胃への負担が少ないアセトアミノフェン系鎮痛薬が適しています。十分な休息をとることが回復の基本です。
🏥 飲みすぎた翌日の正しい対処法
二日酔いの不快な症状を少しでも早く和らげるために、翌日に実践できる具体的な対処法を解説します。
🔹 水分と電解質を補給する
まず最初に行うべきことは、水分の補給です。ただし、真水だけでは電解質が不足するため、スポーツドリンクや経口補水液を活用することをおすすめします。経口補水液はナトリウムやカリウムなどの電解質をバランスよく含んでおり、脱水からの回復に効果的です。胃が荒れている場合は一度に大量に飲むのではなく、少しずつこまめに摂取するとよいでしょう。
📍 十分な休息をとる
二日酔いを回復させるうえで、休息は非常に重要です。肝臓がアセトアルデヒドを分解するには時間が必要であり、その間は体を休めることが最善の策です。無理に動き回ったり、早朝から激しい運動をしたりすることは逆効果です。可能であれば、横になってゆっくり休みましょう。
💫 消化のよい食事をとる
胃の状態が落ち着いてきたら、消化のよいものを少量から食べ始めましょう。おかゆ、うどん、トースト、バナナなどが適しています。血糖値が低下している場合は、ブドウ糖を含む食品を摂ることで回復を助けることができます。ハチミツは果糖とブドウ糖を含んでおり、アルコールの代謝を助ける効果があると言われています。
🦠 市販薬を活用する
頭痛がひどい場合は、市販の鎮痛薬(解熱鎮痛薬)を適切に使用することも選択肢のひとつです。ただし、胃が荒れている状態では胃への負担が少ないアセトアミノフェン系の薬剤が比較的安心です。アスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は胃粘膜への刺激が強く、二日酔いの際には特に胃への副作用が出やすいため、注意が必要です。また、胃の不快感に対しては市販の胃腸薬を活用するのも有効です。
👴 ビタミンB群を補給する
アルコールの代謝にはビタミンB1(チアミン)をはじめとするビタミンB群が消費されます。二日酔いの際にビタミンB群を補給することで、代謝の回復を助けることができます。市販のビタミン補給ドリンクや栄養補助食品を活用するのもよいでしょう。
🔸 体を温める
体が冷えていると回復が遅れることがあります。温かい飲み物(ハーブティーや白湯など)を少しずつ飲んだり、温かいシャワーを浴びたりすることで、体を温めて血行を促進し、代謝を助けることができます。ただし、熱い湯船への入浴は、体力が落ちている状態ではのぼせや立ちくらみのリスクがあるため、注意が必要です。
⚠️ やってはいけないNG行動
二日酔いの際にやりがちだけれど、実は逆効果になってしまう行動があります。回復を妨げないためにも、以下の点に注意しましょう。
💧 「迎え酒」をする
二日酔いに「迎え酒」が効くという俗説がありますが、これは医学的に根拠がなく、むしろ危険な行為です。アルコールを追加で摂取すると、すでに疲弊している肝臓にさらなる負担をかけ、アセトアルデヒドの蓄積を増やすことになります。一時的に症状が和らいだように感じても、それは再度のアルコールによる麻痺作用によるものであり、根本的な回復にはなりません。アルコール依存症のリスクを高める行為でもあります。
✨ カフェインを大量に摂取する
コーヒーやエナジードリンクで目を覚まそうとする方もいますが、カフェインにも利尿作用があるため、脱水状態をさらに悪化させる可能性があります。また、胃を刺激して吐き気を強めることもあります。少量であれば問題ありませんが、大量のカフェイン摂取は控えた方がよいでしょう。
📌 脂っこい食事をとる
「二日酔いにはこってりしたものを食べれば治る」という話を聞くことがありますが、これも誤りです。すでに荒れている胃に脂っこいものを入れると、消化に余計なエネルギーが必要になり、吐き気や胃もたれを悪化させることがあります。翌日の食事は消化のよい軽めのものを選ぶことが基本です。
▶️ 激しい運動をする
「汗をかけばアルコールが抜ける」と考えて激しい運動をしようとする方がいますが、これも逆効果です。汗で多少アルコールが排出されるのは事実ですが、その量はごくわずかです。激しい運動は体力を消耗させ、脱水を悪化させる可能性があります。体が辛い状態での無理な運動は心臓にも負担をかけます。
🔹 睡眠薬や抗不安薬を服用する
眠れないからといって、睡眠薬や抗不安薬をアルコールと組み合わせることは非常に危険です。二日酔いの状態でも体内にアルコールが残っている場合があり、これらの薬とアルコールの相互作用により、呼吸抑制などの重篤な副作用が生じるリスクがあります。

🔍 翌日の食事と水分補給のポイント
二日酔いからの回復において、食事と水分補給は非常に重要な役割を果たします。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
📍 朝の水分補給
目が覚めたらまず、常温の水や経口補水液を少しずつ飲み始めましょう。冷たい水は胃に刺激を与えることがあるため、常温か少し温めたものが適しています。1時間かけて500ml程度を目安に、少しずつ補給していくとよいでしょう。みそ汁も塩分と水分を同時に補給できる食品としておすすめです。ただし、油分が多いみそ汁(具だくさんのもの)は胃に負担をかけることがあるため、シンプルなものを選びましょう。
💫 朝食の選び方
胃の状態が落ち着いてきたら、食事を少しずつ試みましょう。おすすめは以下のような食品です。
おかゆや雑炊は消化に優しく、体を温めながら水分と糖分を同時に補給できます。うどんも消化がよく、胃への負担が少ない食品です。バナナはカリウムを豊富に含み、電解質の補給に役立ちます。また、消化も比較的よいため二日酔いの時でも食べやすい果物です。ヨーグルトは胃の粘膜を保護する効果が期待でき、タンパク質も摂れる優れた食品です。トーストは消化がよく、少量のエネルギーを補給するのに適しています。ハチミツを塗ると、果糖がアルコール代謝を助ける効果も期待できます。
🦠 昼食・夕食の選び方
体の状態が少しずつ回復してきたら、昼食や夕食では栄養バランスも意識してみましょう。タンパク質は肝臓の修復を助ける役割があるため、豆腐、卵、白身魚、鶏のささみなど、消化しやすいタンパク質源を積極的に摂り入れましょう。野菜も消化のよいものを選び、ビタミンやミネラルを補給することが大切です。一方で、脂っこいもの、辛いもの、刺激の強い食品は、胃が完全に回復するまで控えることをおすすめします。
👴 避けるべき飲み物
二日酔いの日に避けたほうがよい飲み物もあります。炭酸飲料は胃を刺激することがあり、胃が荒れている状態では不快感を増すことがあります。フルーツジュースは果糖を多く含むため摂り方によっては胃に負担をかけることがあります。また、前述のように大量のカフェイン飲料も脱水を進める可能性があるため注意が必要です。
Q. 二日酔いのときにやってはいけない行動は
二日酔いの際に避けるべきNG行動が4つあります。①「迎え酒」は疲弊した肝臓にさらなる負担をかけ医学的根拠もないため厳禁、②大量のカフェイン摂取は脱水を悪化させる、③脂っこい食事は荒れた胃への刺激を強める、④激しい運動は脱水と体力消耗を悪化させます。また翌朝の車の運転も体内にアルコールが残っている可能性があるため絶対に避けてください。
📝 翌日の仕事・日常生活への影響と対策
送別会が平日の夜に行われた場合、翌日も仕事があるという方が多いでしょう。二日酔いの状態での仕事は、パフォーマンスが大きく低下するだけでなく、職場での印象にも関わります。
🔸 二日酔い状態での運転は絶対にNG
翌朝でも体内にアルコールが残っている可能性があります。特に深夜まで飲んでいた場合、翌朝の通勤時間帯にまだ飲酒運転の基準を超えるアルコールが体内に残っているケースがあります。アルコールの分解速度は個人差がありますが、目安として純アルコール約20gを分解するのに約2〜3時間かかるとされています。送別会でビールを5〜6杯飲んだとすれば、体内のアルコールがゼロになるまでに10時間以上かかることもあります。運転は絶対に避け、公共交通機関を利用しましょう。
💧 仕事の効率低下と安全管理
二日酔いの状態では、判断力・集中力・反応速度のいずれも低下します。重要な意思決定が必要な業務や、安全管理が求められる作業(機械操作、高所作業など)は特に注意が必要です。可能であれば、その日はルーティン業務を優先し、重要な判断を伴う業務は体調が回復してから行うよう調整しましょう。
✨ 職場での水分補給
デスクに水や経口補水液を置き、こまめに水分を補給しながら仕事を行いましょう。適度な水分補給は頭痛やだるさの軽減につながります。また、昼休みには少し横になって目を閉じるだけでも、午後の回復に役立ちます。
📌 翌日のスケジュール管理
送別会が予定されている場合、翌日のスケジュールをあらかじめ調整しておくことも賢明です。重要なプレゼンや会議を翌日以降にずらしておく、早朝の時間を必要とするアポイントを入れないなど、事前の準備が体調への影響を最小限にします。
💡 次回の送別会から飲みすぎないためのポイント
二日酔いになってから対処するよりも、そもそも飲みすぎないようにすることが最善の策です。送別会の場で飲みすぎを防ぐための具体的なポイントをご紹介します。
▶️ 飲む前に食事をとる
空腹の状態でお酒を飲むと、アルコールの吸収が速くなり、血中アルコール濃度が急激に上昇します。飲み始める前に、ある程度の食事をとっておきましょう。特に脂質やタンパク質を含む食品は消化に時間がかかり、アルコールの吸収を緩やかにしてくれます。牛乳を飲むのも効果的という話がありますが、胃の粘膜をコーティングする効果については科学的根拠は限られています。それでも、カロリーと脂質を含む牛乳はアルコール吸収を多少緩やかにする可能性があります。
🔹 飲み会中も食事をしっかりとる
送別会中も、お酒だけでなく食事を積極的にとりましょう。食べながら飲むことで、アルコールの吸収を穏やかにし、酔いのペースをコントロールしやすくなります。乾杯の後は、まず料理を一皿食べてからお酒を飲むようにするだけで、かなり違いが出ます。
📍 水(チェイサー)を挟む
お酒と交互に水を飲む「チェイサー」は、アルコール摂取量を自然と減らし、体内の水分バランスを保つ効果があります。グラスに水を常に用意しておき、お酒を一口飲んだら水も一口飲む習慣をつけましょう。これだけで翌日の二日酔いの程度がかなり変わることがあります。
💫 飲むペースを意識する
肝臓がアルコールを処理できる速度には限界があります。一般的に成人の場合、純アルコール約10g(ビール中瓶半分程度)を処理するのに約1時間かかると言われています。つまり、1時間にビールを1杯以上飲むと、処理が追いつかなくなります。飲むペースを意識して、ゆっくりと楽しむようにしましょう。
🦠 断り方を覚える
送別会では「せっかくだから」「付き合ってよ」などと勧められることがあります。しかし、自分の体調と相談して、きちんと断ることも大切です。「今日は車で来ているので」「薬を飲んでいるので」「明日早いので」など、理由をつけて丁重に断ることは決して失礼ではありません。飲めないからといってその場の雰囲気を壊すことはありませんし、上手な断り方を身につけることが大切です。
👴 飲む前後のサプリメント活用
市販の二日酔い予防サプリメントや肝臓サポートドリンクが多数販売されています。ウコン(クルクミン)、L-システイン、オルニチン、シジミエキスなどの成分が含まれているものが代表的です。これらのサプリメントの有効性については個人差があり、科学的なエビデンスの強さもまちまちですが、飲む前に摂取することで一定の効果を期待する方も多くいます。ただし、あくまでも補助的なものとして位置づけ、飲みすぎ自体を防ぐことが最優先です。
🔸 帰宅後に水分補給をする
帰宅後、就寝前にコップ1〜2杯の水を飲むことで、睡眠中の脱水を軽減し、翌朝の症状を和らげることができます。また、枕元にも水を用意しておくと、夜中に喉が渇いた際にすぐに水分補給ができます。
Q. 二日酔いで医療機関を受診すべき症状は
以下の症状が現れた場合は単なる二日酔いではなく重篤な病態のサインである可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。①意識がもうろうとしている、②嘔吐が止まらない・血を吐く、③今までにない激しい頭痛や首の硬直(くも膜下出血・髄膜炎の疑い)、④胸の痛みや左腕のしびれ、⑤翌日を過ぎても症状が続く場合です。
✨ こんな症状が出たら医療機関へ
多くの場合、二日酔いは数時間から1日程度で自然に回復します。しかし、以下のような症状が現れた場合は、単なる二日酔いではなく別の疾患や重篤な状態が隠れている可能性があるため、すぐに医療機関を受診するか、救急に連絡することをおすすめします。
💧 意識がもうろうとしている・呼びかけても反応が鈍い
これはアルコール中毒の可能性があり、非常に危険な状態です。本人が気づかないうちに体温が下がったり、呼吸が浅くなったりすることがあります。周囲の人が気づいた場合はすぐに救急車を呼んでください。
✨ 嘔吐が止まらない・血を吐く
激しい嘔吐が続く場合は脱水が急速に進み、電解質異常から心臓への影響が出ることもあります。血を吐く(吐血)場合は食道や胃の粘膜が傷ついている(マロリー・ワイス症候群など)可能性があり、早急な処置が必要です。
📌 強烈な頭痛・首の硬直
「今まで経験したことのないような激しい頭痛」がある場合は、くも膜下出血などの脳血管疾患の可能性があります。首が硬直して前に曲げられない場合は髄膜炎の可能性もあります。このような症状は二日酔いではなく、重篤な病態のサインである可能性が高いため、直ちに救急を受診してください。
▶️ 胸の痛み・左腕のしびれ
胸の痛みや左腕のしびれは、心筋梗塞などの心疾患のサインである可能性があります。アルコールは心臓への負担を増やすことがあるため、飲酒後に胸の症状が出た場合は速やかに医療機関を受診してください。
🔹 翌日を過ぎても症状が続く場合
通常の二日酔いは24時間以内に改善されることがほとんどです。それを過ぎても頭痛・吐き気・倦怠感が続く場合は、急性膵炎、急性胃炎、肝機能障害など、別の病態が起きている可能性があります。特に腹部の激しい痛みを伴う場合は急性膵炎の疑いがあり、放置すると重篤化する危険があります。
📍 飲酒後に記憶がない(ブラックアウト)が頻繁に起こる
飲酒中の記憶が全くないという「ブラックアウト」が頻繁に起こる場合は、アルコール依存症や重度のアルコール問題のサインである可能性があります。この場合、精神科や心療内科、アルコール専門外来への相談をご検討ください。

👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、年度末から新年度にかけて、送別会や歓迎会シーズンに飲みすぎによる体調不良を訴えてご来院される方が増える傾向があります。二日酔いの多くは水分・電解質の補給と十分な休息で改善しますが、嘔吐が止まらない・激しい頭痛・胸の痛みといった症状は単なる二日酔いではなく、急性膵炎や心疾患など重篤な病態のサインである可能性があるため、ためらわずに医療機関を受診していただくことが大切です。お酒との上手な付き合い方についてもお気軽にご相談ください。」
📌 よくある質問
二日酔いの主な原因は「アセトアルデヒド」という有害物質です。肝臓がアルコールを分解する過程で生成されますが、大量飲酒時は分解が追いつかず体内に残留します。さらに脱水・低血糖・睡眠の質の低下が重なることで、頭痛・吐き気・倦怠感などの不快症状が複合的に現れます。
最初に行うべきことは水分と電解質の補給です。真水だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクを少しずつこまめに摂取しましょう。その後、おかゆやうどんなど消化のよい食事を少量から始め、十分な休息をとることが基本的な対処法です。無理に動き回ることは回復を遅らせます。
迎え酒に医学的な根拠はなく、むしろ危険な行為です。追加のアルコール摂取は疲弊した肝臓にさらなる負担をかけ、アセトアルデヒドの蓄積を増やします。一時的に症状が和らいだように感じるのはアルコールの麻痺作用によるものであり、根本的な回復にはつながりません。アルコール依存症のリスクも高めます。
翌朝でも体内にアルコールが残っている可能性があるため、運転は絶対に避けてください。純アルコール約20gの分解には約2〜3時間かかるとされており、ビールを5〜6杯飲んだ場合、アルコールが完全に抜けるまで10時間以上かかることもあります。通勤には必ず公共交通機関を利用してください。
以下の症状は単なる二日酔いではなく重篤な病態のサインである可能性があるため、すぐに医療機関または救急へ連絡してください。①意識がもうろうとしている、②嘔吐が止まらない・血を吐く、③今までにない激しい頭痛や首の硬直、④胸の痛みや左腕のしびれ、⑤翌日を過ぎても症状が続く場合です。当院でもご相談を承っております。
🎯 まとめ
送別会で飲みすぎてしまった翌日は、アセトアルデヒドの蓄積、脱水、低血糖、睡眠の質の低下などが複合的に重なることで、頭痛・吐き気・倦怠感・集中力の低下といったさまざまな不快症状が現れます。これらの症状に対しては、水分と電解質の補給、十分な休息、消化のよい食事、必要に応じた市販薬の活用が基本的な対処法となります。
一方で、迎え酒や激しい運動、脂っこい食事など、体に誤った負担をかけるNG行動は避けることが大切です。また、翌日に車を運転することは法律的にも健康的にも絶対にしてはなりません。
次回の送別会に向けては、飲む前の食事、飲み会中の食事とチェイサー、適切な飲むペースの意識など、予防策を事前に実践することが最も効果的な二日酔い対策です。
送別会は大切な方との思い出を作る特別な場です。お酒を楽しみながらも自分の体と相談し、翌日の生活に支障が出ないよう上手に付き合っていきましょう。体の不調が長引く場合や、普段と異なる重篤な症状がある場合は、ためらわずに医療機関を受診することをおすすめします。アイシークリニック上野院では、体調不良に関するご相談も承っておりますので、お気軽にご来院ください。
📚 関連記事
📚 参考文献
-
- 厚生労働省 – アルコールの健康への影響・適切な飲酒量・二日酔いのメカニズムに関する公式情報。アセトアルデヒドの有害性や肝臓への影響、飲酒習慣の改善に関する根拠情報として参照。
-
- WHO(世界保健機関) – アルコール摂取が健康に与えるリスクや世界的な飲酒ガイドラインに関する国際的な公式情報。飲みすぎによる身体的影響や依存症リスクの説明において根拠情報として参照。
-
- PubMed – 二日酔い(ハングオーバー)の病態生理・アセトアルデヒドの代謝・電解質バランス・睡眠への影響・回復方法に関する査読済み医学論文データベース。記事内の医学的メカニズムや対処法の科学的根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
