首の後ろや横にふとしたきっかけで気づく、柔らかくて動く小さなしこり。触ってみると痛みもなく、見た目にもほとんど目立たないけれど、「これは何だろう」と気になっている方は少なくありません。
💬 「首のしこり、放っておいて大丈夫?」
💬 「手術しないといけないの?」
この記事を読めば、首の脂肪腫についての疑問がスッキリ解決します。
読まないまま放置すると、悪性腫瘍との判別が遅れるリスクもあります。まずは正しい知識を身につけましょう。
📋 この記事でわかること
- ✅ 脂肪腫と悪性腫瘍・粉瘤の見分け方
- ✅ 首のしこりが自然に消えるかどうかの真実
- ✅ 手術が必要かどうかの判断基準
- ✅ セルフチェックの目安と受診のタイミング
🚨 こんな症状があればすぐに読んでください!
- ⚡ 首のしこりが急に大きくなってきた
- ⚡ 触ると硬くて動きにくいしこりがある
- ⚡ しこりに痛みや熱感がある
目次
- 脂肪腫とはどのような腫瘍か
- 首に脂肪腫ができやすい理由
- 首の小さい脂肪腫の特徴と症状
- 脂肪腫の原因と発症しやすい人の特徴
- 他の疾患との見分け方:リンパ節・粉瘤・悪性腫瘍との違い
- 首の脂肪腫は自然に消えるのか
- 脂肪腫の診断方法
- 首の小さい脂肪腫の治療法
- 手術が必要かどうかの判断基準
- 脂肪腫の手術後の経過とケア
- 首の脂肪腫を予防・悪化させないためのポイント
- まとめ
この記事のポイント
首の脂肪腫は良性の皮下腫瘍で自然消退しないため、柔らかく動くしこりを発見したら自己判断せず専門医を受診し、サイズや症状に応じて経過観察または手術摘出を検討することが重要です。
💡 1. 脂肪腫とはどのような腫瘍か
脂肪腫(しぼうしゅ)とは、皮膚の下にある脂肪細胞が異常に増殖して塊を形成した良性の腫瘍です。英語では「lipoma(リポーマ)」と呼ばれ、皮膚科や形成外科・外科で扱われる最も一般的な皮下腫瘍のひとつです。統計的には成人の約1〜2%に発生するとされており、特に30〜60代の方に多く見られます。
脂肪腫の多くは皮膚のすぐ下(皮下組織)に発生しますが、まれに筋肉内や筋膜の間など深い部分に生じることもあります。深部にできた脂肪腫は表面から触れにくく、発見が遅れるケースもあります。
良性腫瘍であることが大半であり、周囲の組織に浸潤したり、他の部位に転移したりする性質は基本的に持ちません。ただし、脂肪腫に似た形状を持つ悪性腫瘍(脂肪肉腫など)が稀に存在するため、しこりができた際には専門医による診断を受けることが重要です。
脂肪腫の大きさはさまざまで、数ミリ程度の小さなものから、数センチ以上に及ぶ大きなものまであります。首のような体の目立つ場所や、衣服が当たりやすい場所にできると、見た目や違和感が気になって受診される方も多くいます。
Q. 首の脂肪腫の典型的な特徴はどのようなものですか?
首の脂肪腫は「柔らかい・触ると動く・痛みがない」の3点が典型的な特徴です。形状は丸みを帯びた楕円形や円形で表面は滑らか、ゴムまりのような弾力があります。皮膚の色調変化はほぼなく、触れて初めて気づくケースも多くあります。
📌 2. 首に脂肪腫ができやすい理由
脂肪腫は全身のどこにでも発生しますが、特に首・背中・肩・腕の上部・腹部・太ももなど脂肪が蓄積しやすい部位に多く見られます。首は脂肪腫が発生しやすい代表的な部位のひとつです。
首に脂肪腫ができやすい背景には、いくつかの解剖学的な理由があります。首の後ろから側面にかけては皮下脂肪が比較的多く、かつ皮膚が薄いため、小さな脂肪腫でも発見されやすい部位です。また、首周辺にはリンパ節や筋肉が密集しており、これらの周囲に脂肪細胞のかたまりが形成されやすい環境でもあります。
さらに、首は日常的に動きが多い部位でもあります。首を前後左右に動かすたびに皮下組織への圧力や摩擦が生じやすく、こうした物理的な刺激が脂肪細胞の増殖に影響するという考え方もあります(ただし、これはまだ医学的に完全には解明されていません)。
首の後ろ(後頸部)に特にできやすい脂肪腫として「ファルサベック脂肪腫(Madelung病)」と呼ばれる特殊なタイプも存在します。これはアルコール多飲者や特定の遺伝的素因を持つ人に見られるもので、首の後ろに対称的にまとまった脂肪が蓄積する状態です。
✨ 3. 首の小さい脂肪腫の特徴と症状
首に生じた小さな脂肪腫には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を知っておくと、他の疾患との見分けの目安になります。
まず形状については、脂肪腫は丸みを帯びた楕円形や円形をしていることが多く、表面は滑らかです。触れると柔らかく、まるでゴムまりのような弾力があります。指で押すと少し動く感覚があるのも特徴で、「可動性がある」と表現されます。
痛みについては、脂肪腫自体には通常痛みがありません。ただし、神経の近くに発生した場合や、周囲の組織を圧迫するほど大きくなった場合には、押したときに違和感や軽い痛みを感じることもあります。首の後ろにできた脂肪腫が首を動かすときに引っかかる感じがする、という訴えもよく聞かれます。
皮膚の色については、脂肪腫そのものは皮膚の色調に変化をもたらさないことがほとんどです。皮膚表面からは脂肪腫があることは見えにくく、触れて初めて気づくケースも多くあります。ただし、脂肪腫が大きくなると皮膚がわずかに盛り上がって見えることもあります。
小さな脂肪腫の場合、数ミリ〜1センチ前後の大きさのものが多く、急速に大きくなることは通常ありません。月単位・年単位でゆっくりと成長することがほとんどです。「気づいたら少し大きくなっていた」という経過をたどることが一般的です。
Q. 首の脂肪腫と粉瘤やリンパ節の腫れはどう見分けますか?
リンパ節の腫れは押すと痛みがあり発熱を伴うことが多く、感染が治まれば自然に縮小します。粉瘤は皮膚表面に黒い開口部が見える点が脂肪腫との大きな違いです。ただし悪性腫瘍も存在するため、自己判断せず必ず専門医の診察を受けることが重要です。
🔍 4. 脂肪腫の原因と発症しやすい人の特徴
脂肪腫がなぜ発生するのか、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、現在の医学的知見からは以下のような要因が関係していると考えられています。
遺伝的な要因は脂肪腫の発症に関係していることが知られています。家族に脂肪腫ができた人がいる場合、自分にも発症するリスクが高まることがあります。また、「家族性多発性脂肪腫症(familial multiple lipomatosis)」という遺伝性の疾患があり、この場合は体の複数の部位に脂肪腫が多発します。
年齢と性別については、中高年層(40〜60代)に多く見られる傾向があります。ただし若い年代でも発症することはあります。性別については男性にやや多いとされていますが、女性にも多く見られます。
脂質代謝の異常も関連していると考えられています。脂肪腫の患者に高脂血症(高コレステロール血症・高トリグリセリド血症)が見られることがあり、脂肪細胞の代謝異常が脂肪腫の形成に影響している可能性が指摘されています。
外傷や慢性的な刺激についても関連が指摘されることがあります。過去に首に打撲や怪我をした部位に脂肪腫が生じるケースが報告されており、物理的な刺激が引き金になる可能性もあります。
また、糖尿病・肥満・アルコール多飲なども脂肪腫の発症リスクを高める因子として挙げられることがあります。特に前述のMadelung病ではアルコールとの関連が強く示唆されています。
ただし、これらのリスク因子が全くない場合でも脂肪腫は発生することがありますので、「特に思い当たることはないのに脂肪腫ができた」という方も珍しくありません。

💪 5. 他の疾患との見分け方:リンパ節・粉瘤・悪性腫瘍との違い
首にできるしこりは脂肪腫だけではありません。似たような症状を持つ疾患がいくつかあり、自己判断だけでは区別が難しい場合があります。ここでは主な疾患との違いをご説明します。
リンパ節の腫れ(リンパ節炎・リンパ節腫大)は、首のしこりとして最も頻繁に見られるもののひとつです。風邪や扁桃炎などの感染症の際、首のリンパ節が腫れることは誰にでも起こります。この場合は触ると少し硬く、押すと痛みがあることが多いのが特徴です。発熱や喉の痛みなど他の症状を伴うことも多く、感染が落ち着けば自然と腫れが引くことがほとんどです。一方、脂肪腫はリンパ節腫大と違って感染症の症状とは無関係に発生し、痛みがなく、数週間以上しこりが残り続けます。
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)も首によく見られるしこりです。粉瘤は皮膚の下に角質や皮脂が袋状に溜まったものであり、皮膚の表面に小さな黒い点(毛穴の開口部)が見えることが多いのが特徴です。また、感染を起こすと赤く腫れ上がり、強い痛みが出ます。脂肪腫は皮膚表面に開口部を持たないため、この点が粉瘤との大きな違いです。
悪性腫瘍(がん)との鑑別は最も重要です。首には甲状腺がん・リンパ腫・転移性リンパ節などの悪性疾患も発生します。悪性腫瘍のしこりは、脂肪腫と異なり硬くて動きにくい(固定されている)こと、急速に大きくなること、表面が不整形であること、などの特徴があることが多いです。また、体重減少・倦怠感・発熱・寝汗といった全身症状を伴う場合は悪性疾患を疑う重要なサインです。ただし、見た目や触感だけでは良性・悪性の確実な判断はできないため、しこりを発見したら必ず医師の診察を受けるようにしてください。
嚢胞(のうほう)も首に発生することがあります。甲状舌管嚢胞・側頸嚢胞・皮様嚢胞などが代表的です。これらは内部に液体を含んでいるため、脂肪腫よりも弾力があり、押すと波動感(中身が揺れるような感触)があることがあります。
以上のように、首のしこりには多くの原因が考えられます。自己判断は危険なケースもあるため、気になるしこりがあれば早めに医療機関を受診することが大切です。
🎯 6. 首の脂肪腫は自然に消えるのか
「首の脂肪腫は放置していたら自然に消えることがあるの?」という質問はよく聞かれます。残念ながら、脂肪腫は基本的に自然消退(自然に消えること)しないとされています。
脂肪腫は増殖した脂肪細胞が線維性の被膜に包まれた構造を持っており、体がこれを「不要なもの」として自然に吸収・消化することは一般的に期待できません。むしろ、ゆっくりとではありますが時間とともに少しずつ大きくなっていくことが多いです。
ただし、小さな脂肪腫がほとんど大きくならずに安定した状態で長期間維持されるケースも実際には多くあります。特に数ミリ程度の非常に小さなものは、何年もほぼ同じ大きさのまま経過することも珍しくありません。
「最近しこりが小さくなった気がする」という場合は、本当に脂肪腫が縮小したのではなく、別の原因(例えばリンパ節腫大が改善した、など)が考えられることが多いです。首に感じていたしこりの正体が脂肪腫ではなかった可能性もあります。
ダイエットで体重が減っても、脂肪腫が縮小するとは限りません。脂肪腫は通常の脂肪組織とは異なる病的な増殖であり、体脂肪が減ることで脂肪腫も小さくなる、という関係は基本的には成立しないとされています。
このことから、脂肪腫を確実に取り除くためには医療的な治療(主に手術)が必要になります。
Q. 首の脂肪腫の手術はどのような基準で検討しますか?
サイズが2〜3cm以上に成長している場合、急速に大きくなっている場合、痛みや痺れなど神経症状がある場合は手術を積極的に検討します。一方、数ミリ程度で症状がなければ定期的な経過観察も選択肢です。見た目が気になる場合も手術の適応となります。

💡 7. 脂肪腫の診断方法
首にしこりを発見した場合、医師はどのような方法で診断を行うのでしょうか。脂肪腫の診断には、以下のような方法が用いられます。
問診と視診・触診が最初のステップです。医師がしこりの発生時期・大きさの変化・症状(痛み・発熱など)・家族歴などについて詳しく聞き取ります。そのうえで実際にしこりを見て触って、その特徴(柔らかさ・可動性・大きさ・形状など)を確認します。多くの場合、経験豊富な医師はこの段階でかなりの確度で脂肪腫を疑うことができます。
画像検査は脂肪腫の確定診断に役立ちます。超音波(エコー)検査は最もよく使われる方法で、被曝がなく手軽に行えます。超音波では脂肪腫の大きさ・形・内部構造・深さ・周囲組織との関係などを確認できます。脂肪腫は超音波で特徴的な画像所見(周囲より少し明るく見える楕円形の均一な塊)を示すことが多いです。
MRI(磁気共鳴画像)検査は、脂肪組織に特徴的な信号を示すため、脂肪腫の診断に非常に有用です。特に深部にある脂肪腫や大きな脂肪腫、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合に適しています。CT検査も同様に使用されることがあります。
病理検査(組織診断)は、しこりの一部(または全部)を採取して顕微鏡で観察する検査です。確実な診断が必要な場合や、悪性腫瘍が疑われる場合に行われます。手術で脂肪腫を摘出した際には、摘出した組織を病理検査に提出することが一般的です。
血液検査については、脂肪腫の診断そのものに直接役立つ血液検査はありませんが、感染症や炎症の有無を調べるために行われることがあります。
📌 8. 首の小さい脂肪腫の治療法
首の脂肪腫の治療法にはいくつかの選択肢があります。小さな脂肪腫であっても、治療の有無・治療方法の選択は専門医と相談のうえで決定することが大切です。
経過観察は、すぐには治療が不要と判断されたケースに適用されます。特に小さくて症状がなく、見た目も気にならない脂肪腫であれば、定期的に医師の診察を受けながら変化がないかを確認していく方法が選ばれることがあります。ただし、経過観察中に急速な大きさの変化・痛みの出現・皮膚の変化などがあった場合はすぐに受診することが重要です。
手術による摘出(外科的切除)が脂肪腫の根本的な治療法です。局所麻酔のもとで皮膚を切開し、脂肪腫を被膜ごと切り取ります。適切に摘出された脂肪腫は再発率が低く、確実な治療効果が期待できます。首の脂肪腫の手術は、皮膚科・形成外科・外科・美容外科などで行われています。
首の手術において美容的な観点も重要です。首は衣服で隠しにくく、目立ちやすい部位であるため、術後の傷跡が最小限になるよう工夫された手術方法が選ばれることが多いです。切開線を皮膚のしわや自然なラインに合わせて入れたり、小切開(最小切開)で摘出したりする手技が取られることがあります。
注射による治療(ステロイド注射)は、脂肪腫を小さくする目的で使用されることがあります。ステロイドを脂肪腫内に注射することで、腫瘍が縮小する場合があります。ただし、完全に消えるわけではなく、縮小効果は個人差があり、また再増大することもあるため、根本治療とはなりません。小さな脂肪腫や手術を避けたい場合の選択肢として考慮されることがあります。
脂肪溶解注射(メソセラピー)は美容クリニックで行われることがある治療法で、脂肪を溶かす薬剤を注射する方法です。ただし、脂肪腫への効果は通常の皮下脂肪とは異なり、医学的エビデンスが十分でない点に注意が必要です。
✨ 9. 手術が必要かどうかの判断基準
「この脂肪腫は手術が必要ですか?」という疑問を持つ方は多くいます。手術の必要性を判断する際のポイントをご説明します。
手術を積極的に検討した方がよいケースとして、まず大きさが2〜3センチ以上になっている場合が挙げられます。大きな脂肪腫は衣服との摩擦や周囲の組織への圧迫が起きやすく、また放置するとさらに大きくなる可能性があります。
急速に大きくなっている場合は、良性脂肪腫ではなく脂肪肉腫などの悪性腫瘍の可能性も念頭に置く必要があります。こうした場合は早急な診察・検査が必要です。
痛みや神経症状が出ている場合も手術を検討するサインです。首は神経が多く走っている部位であり、脂肪腫が神経を圧迫すると痺れや痛みの原因になることがあります。
見た目が気になる場合、特に首という目立つ部位にある脂肪腫は、外見上の問題から精神的なストレスになることもあります。医学的に緊急性がなくても、患者さん自身が「取りたい」と希望する場合は手術の適応となります。
一方、経過観察でよいケースとしては、サイズが非常に小さく(数ミリ程度)安定している、症状が全くない、見た目も特に気にならない、という状況が挙げられます。ただしこの場合も、定期的な診察で変化がないかを確認することが推奨されます。
最終的には医師との十分な相談のうえで、治療方針を決定することが最善です。「小さいから大丈夫だろう」と自己判断せず、一度専門医に診てもらうことをお勧めします。
Q. 脂肪腫の予防や悪化防止のために日常生活で気をつけることは?
高脂肪食を控えたバランスの良い食事と定期的な有酸素運動で脂質代謝を整えることが重要です。アルコールの過剰摂取は脂肪腫と関連があるため節酒も有効です。すでにしこりがある場合は自己判断で強く押したり揉んだりせず、月1回程度の自己チェックを習慣にしましょう。
🔍 10. 脂肪腫の手術後の経過とケア

首の脂肪腫を手術で摘出した後の経過について、患者さんが知っておくと安心な情報をご紹介します。
手術直後は切開部位に縫合糸がある状態になります。縫合の方法によって異なりますが、一般的に抜糸は術後1〜2週間程度で行われます。最近では溶ける糸(吸収糸)を使った縫合方法も多く採用されており、その場合は抜糸が不要なこともあります。
術後の痛みについては、局所麻酔が切れると多少の痛みや腫れが出ることがあります。これは一時的なもので、通常は数日で落ち着きます。痛みが強い場合は処方された鎮痛薬を使用しましょう。
術後の傷跡ケアも重要です。首の皮膚は比較的傷が目立ちにくい部位ですが、ケロイドや肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)になりやすい体質の方もいます。術後は傷に直射日光を当てないようにし、医師から処方された軟膏やテープを適切に使用することで、傷跡を目立ちにくくする工夫ができます。
入浴・シャワーについては、縫合部位が濡れても大丈夫な状態になるまでは、首への直接の水かかりを避けるよう指示される場合があります。医師の指示に従ってください。
運動・日常生活については、軽い日常作業はほぼ翌日から可能です。ただし首への強い負荷(重いものを持つ作業、激しい運動など)は術後一定期間控えることが多いです。
再発について、被膜ごと丁寧に摘出された脂肪腫は再発することは少ないとされています。ただし、被膜が残った場合や不完全な摘出が行われた場合には再発することがあります。術後も定期的に経過を確認することをお勧めします。
摘出した脂肪腫は病理検査に提出されることが一般的です。検査結果で悪性の所見がなければ、改めて脂肪腫であることが確認され、追加治療は不要です。
💪 11. 首の脂肪腫を予防・悪化させないためのポイント
脂肪腫の発症を完全に予防する方法は現時点では確立されていませんが、生活習慣の見直しによってリスクを下げたり、脂肪腫が悪化・増大しにくい環境を整えたりすることは可能です。
バランスの取れた食事を心がけることは、脂質代謝の異常を防ぐうえで重要です。特に高脂肪食や高カロリー食が続くと血中脂質が上昇しやすく、脂肪細胞の増殖にも影響を与える可能性があります。野菜・果物・魚・豆類などを積極的に取り入れ、油脂類や加工食品の過剰摂取を控えましょう。
定期的な運動も重要です。適度な有酸素運動(ウォーキング・水泳・ジョギングなど)は体脂肪の蓄積を防ぎ、脂質代謝を改善する効果があります。長時間同じ姿勢での作業が多い方は、こまめにストレッチや軽い運動を取り入れましょう。
アルコールの過剰摂取は脂肪腫(特に多発性や首後部への集中的な脂肪沈着)と関連があるとされています。飲酒量が多い方は節酒・禁酒を心がけることが予防につながる可能性があります。
首への慢性的な外的刺激を避けることも参考になります。ハイネックの衣類やきつめの衣服で首が常に圧迫されている状態、重いバッグを片側の肩にかけ続けることで首に負荷がかかっている状態などは、できるだけ改善するとよいでしょう。
すでに脂肪腫がある場合は、自分で強く押したり揉んだりすることは避けてください。炎症を起こしたり、痛みの原因になったりする可能性があります。
定期的な自己チェックも大切です。首のしこりの大きさ・形・固さなどに変化がないかを月に一度程度確認し、変化を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、首のしこりを「気になりつつもそのまま様子を見ていた」という方が多くご来院されます。脂肪腫は良性であることがほとんどですが、リンパ節の腫れや粉瘤、まれに悪性腫瘍との鑑別が重要なため、自己判断せずに早めにご相談いただくことをお勧めしています。小さなしこりでも、超音波検査などで丁寧に診断したうえで、経過観察か手術かを患者さんと一緒に納得のいく形で決めていきますので、どうぞ安心してご来院ください。」
🎯 よくある質問
脂肪腫は基本的に自然に消えることはありません。増殖した脂肪細胞が線維性の被膜に包まれた構造のため、体が自然に吸収することは期待できません。むしろ時間とともにゆっくりと大きくなることが多いため、気になる場合は早めに専門医へご相談ください。
脂肪腫の典型的な特徴は「柔らかい・触ると動く・痛みがない」の3点です。ただし、リンパ節の腫れ・粉瘤・悪性腫瘍なども似た症状を示すことがあります。自己判断は危険なケースもあるため、しこりを発見したら必ず専門医の診察を受けることをお勧めします。
必ずしも手術が必要というわけではありません。サイズが小さく症状もない場合は、定期的に経過を観察する選択肢もあります。一方で、2〜3cm以上に成長している・急速に大きくなっている・痛みや神経症状がある・見た目が気になるという場合は、手術を積極的に検討することをお勧めします。
首は衣服で隠しにくい部位のため、当院では術後の傷跡が最小限になるよう、皮膚のしわや自然なラインに合わせた切開や小切開での摘出など、美容面に配慮した手術方法を選択しています。また術後は日光を避け、医師の指示に従ったケアを行うことで傷跡を目立ちにくくできます。
残念ながら、ダイエットで体重が減っても脂肪腫は小さくなりません。脂肪腫は通常の脂肪組織とは異なる病的な増殖であり、体脂肪の減少と脂肪腫の縮小は基本的に連動しないとされています。脂肪腫を確実に除去するためには、手術による摘出が最も確実な治療法です。
💡 まとめ
首にできた小さなしこりが脂肪腫かどうか気になっている方のために、本記事では脂肪腫の特徴から診断・治療まで幅広くご説明しました。
脂肪腫は良性の皮下腫瘍であり、多くの場合は生命に直接影響を与えるものではありません。柔らかく、動いて、痛みがない小さなしこりは脂肪腫の典型的な特徴です。ただし、自己判断で「脂肪腫だから大丈夫」と放置することは避けてください。リンパ節の腫れ・粉瘤・悪性腫瘍など、似た症状を持つ他の疾患もあるため、専門医による診察と適切な検査が重要です。
首の脂肪腫は自然に消えることはほとんどなく、根本的な治療には手術による摘出が最も確実な方法です。一方で、小さくて症状のない脂肪腫は経過観察を選択することもでき、治療の要否は患者さんの状態や希望をもとに専門医と相談して決めることができます。
「首に気になるしこりがある」「以前から脂肪腫があるが大きくなってきた」「見た目が気になるので取りたい」という方は、ぜひ一度医療機関にご相談ください。アイシークリニック上野院では、脂肪腫をはじめとする皮下腫瘍のご相談・診断・治療に対応しております。お気軽にご来院ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 脂肪腫の診断・治療に関する皮膚科領域のガイドラインおよび診療指針(良性皮膚腫瘍の分類・鑑別診断・治療方針の根拠として参照)
- 日本形成外科学会 – 首の脂肪腫に対する外科的切除(摘出手術)の適応・手術手技・術後ケアに関する形成外科領域の診療情報として参照
- PubMed – 脂肪腫(lipoma)の疫学(成人の約1〜2%に発生)・原因・診断方法(超音波・MRI)・治療効果に関する国際的な医学的エビデンスとして参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務