体のどこかに突然できた「しこり」や「できもの」が痛む…
そんな経験、ありませんか?
「しばらくすれば治るだろう」と放置してしまいがちですが、痛みを伴うしこりの中には、早めに受診すべきものも含まれています。
放置して悪化してしまう前に、正しい知識を持っておくことが大切です。
- 悪性腫瘍のサインを見逃してしまうリスクがある
- 受診タイミングが遅れて治療が大変になることも
- 自己判断で様子見し続けて後悔するケースも
- 📌 痛いしこり・できものの主な原因と種類
- 📌 良性・悪性を見分けるセルフチェックのポイント
- 📌 今すぐ病院に行くべき危険なサイン
- 📌 診断方法・治療法まで網羅的に解説
目次
- しこり・できものとは?基本的な知識
- 痛いしこり・できものの主な原因と種類
- 体の部位別に見るしこり・できものの特徴
- しこりが痛む理由とメカニズム
- 自己チェックのポイント|良性と悪性の見分け方
- 病院に行くべき危険なサインとは
- しこり・できものの診断方法
- 主な治療法について
- 日常生活での注意点と予防
- まとめ
この記事のポイント
痛みを伴うしこりの原因は粉瘤・脂肪腫・リンパ節腫脹など多岐にわたり、大半は良性だが悪性腫瘍が潜む場合もある。急速な増大・全身症状・4〜6週間以上の持続がある場合は自己判断せず早期受診が重要。
💡 しこり・できものとは?基本的な知識
しこりやできものとは、皮膚の表面または皮膚の下に生じる隆起・腫れ・固まりの総称です。医学的には「腫瘤(しゅりゅう)」と呼ばれ、その原因はきわめて多様です。良性の腫瘍、感染症、炎症、嚢胞(のうほう)、悪性腫瘍など、原因によって性質や対応方法が大きく異なります。
しこりやできものは、体のどの部位にも生じる可能性があります。首、脇の下、鼠径部(そけいぶ)、背中、顔など、場所によって考えられる原因も変わってきます。また、痛みがあるかどうか、大きさが変化しているかどうか、硬さはどうかといった特徴も、原因を絞り込む上で重要な情報となります。
一般的に、しこりやできものが「痛い」と感じる場合は、炎症や感染が関与していることが多く、逆に「痛みがない」しこりは良性の腫瘍や悪性腫瘍のいずれの場合もあり得ます。痛みがないから安心というわけではなく、痛みがあるから必ず危険というわけでもありませんが、いずれにせよ適切な評価が重要です。
Q. 痛いしこりの主な原因にはどんなものがありますか?
痛みを伴うしこりの主な原因には、細菌感染で赤く腫れる炎症性粉瘤、大きくなって神経を圧迫する脂肪腫、感染症に伴うリンパ節腫脹、毛包が感染する毛包炎・癤などがあります。大多数は良性疾患ですが、まれに悪性腫瘍が潜む場合もあります。
📌 痛いしこり・できものの主な原因と種類
痛みを伴うしこりやできものには、さまざまな原因が考えられます。ここでは代表的なものを詳しくご紹介します。
✅ 粉瘤(ふんりゅう・アテローム)
粉瘤は皮膚科領域でもっともよく見られる良性の腫瘍のひとつです。皮膚の下に袋状の構造(嚢胞)ができ、その中に角質や皮脂が溜まって徐々に大きくなっていきます。通常は無症状で痛みはありませんが、細菌感染を起こすと急激に赤く腫れあがり、強い痛みを生じます。この状態を「炎症性粉瘤」と呼びます。
炎症性粉瘤は特徴的な見た目をしており、皮膚の中央に小さな黒い点(開口部)が見えることがあります。感染が進むと膿が溜まり、自然に破れて膿が出てくることもあります。放置すると炎症が広がり、周囲の組織にまで影響が及ぶことがあるため、早めに医療機関を受診することが大切です。治療は基本的には外科的な切除が根治療法です。炎症が強い時期には、まず抗菌薬の投与や切開排膿を行い、炎症が落ち着いた後に嚢胞ごと摘出します。
📝 脂肪腫(リポーマ)
脂肪腫は脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。皮膚の下に柔らかいしこりとして触れることが多く、通常は痛みがありません。しかし、大きくなると周囲の神経や組織を圧迫して痛みが生じることがあります。また、脂肪腫の一種である「血管脂肪腫(アンジオリポーマ)」は比較的痛みを伴いやすいことで知られています。
脂肪腫は体のどこにでも生じる可能性がありますが、背中、肩、首、腕などに多く見られます。治療が必要な場合は外科的な切除が行われます。良性腫瘍であるため必ずしも切除が必要なわけではありませんが、大きくなってきた場合や痛みがある場合、美容的に気になる場合などには手術が検討されます。
🔸 リンパ節の腫れ(リンパ節腫脹)
リンパ節は体の免疫システムの一部であり、細菌やウイルスと戦う役割を担っています。感染症などが起きた際、リンパ節が反応して腫れることがあります。これをリンパ節腫脹と言います。風邪などの上気道感染症や虫歯・歯周病、皮膚感染症などが原因で、首・顎の下・脇の下・鼠径部のリンパ節が痛みを伴って腫れることがあります。
多くの場合、原因となる感染症が治まるとリンパ節の腫れも自然に引いていきます。しかし、数週間以上腫れが続く場合や、痛みのない固いしこりとして触れる場合は、リンパ腫などの血液系の悪性疾患が疑われることもあるため、医療機関での検査が必要です。
⚡ ガングリオン
ガングリオンは関節や腱の周囲にできる嚢胞性の腫瘍で、ゼリー状の液体が詰まっています。手首の甲側に多く見られますが、足首や指の関節にもできることがあります。通常は無症状ですが、大きくなると周囲の神経や組織を圧迫して痛みやしびれを生じることがあります。
治療は経過観察のほか、注射器で内容物を吸引する方法や外科的切除などがあります。自然に消えることもありますが、再発しやすいという特徴があります。
🌟 毛包炎・癤(せつ)・癰(よう)
毛包炎は毛穴(毛包)が細菌感染を起こした状態で、赤みを帯びた小さな膿疱として現れます。癤(おでき)は毛包炎がさらに深くまで広がった状態で、大きく赤く腫れた痛みの強い結節を形成します。さらに複数の毛包が同時に感染した状態を癰と呼び、非常に強い痛みを伴います。
原因菌として最も多いのは黄色ブドウ球菌です。糖尿病や免疫低下状態の方では重症化しやすいため、注意が必要です。治療には抗菌薬の投与のほか、膿が溜まっている場合は切開排膿が必要なこともあります。
💬 石灰化上皮腫(毛母腫)
石灰化上皮腫は毛母細胞(毛包の細胞)が増殖してできる良性の腫瘍で、皮膚の下に硬いしこりとして触れます。石灰化が起きているため非常に硬く感じることが多く、子供や若い女性に多く見られます。通常は無症状ですが、炎症を起こすと痛みが生じることがあります。治療は外科的切除が基本です。
✅ 皮膚線維腫(デルマトフィブローマ)
皮膚線維腫は皮膚の真皮に生じる良性の結節で、足のすねに多く見られます。通常は固く茶色がかったしこりとして現れ、押すと軽い痛みを感じることがあります。原因は不明なことが多いですが、虫刺されや軽微な外傷がきっかけになることもあります。基本的には経過観察で問題ありませんが、気になる場合は切除も可能です。
📝 痛風結節
痛風は尿酸が体内に蓄積し、関節などに結晶として沈着する疾患です。長期間コントロールされていない痛風では、皮膚の下に尿酸塩の結晶が塊(痛風結節)として蓄積することがあります。耳介、肘、足の指などに生じやすく、急性痛風発作時には激しい痛みを伴います。治療は尿酸値をコントロールする薬物療法が中心です。
✨ 体の部位別に見るしこり・できものの特徴
しこりやできものは生じる部位によって、考えられる原因が異なります。部位ごとの特徴を把握しておくことで、受診の際にも役立ちます。
🔸 首のしこり
首に痛みを伴うしこりができた場合、最も多いのはリンパ節の腫れです。風邪や扁桃炎、歯科疾患などの感染症が原因であることが多く、原因疾患が治まれば自然に縮小することがほとんどです。しかし、甲状腺嚢胞・甲状腺腺腫・甲状腺炎なども首のしこりの原因となります。甲状腺の病変は甲状腺がある前頸部(前首)に生じやすいという特徴があります。
また、唾液腺(耳下腺、顎下腺)の炎症や腫瘍、粉瘤、脂肪腫なども首のしこりの原因となります。首のしこりが2〜4週間以上続く場合や増大している場合は、悪性腫瘍も否定できないため、早めに専門医を受診することが大切です。
⚡ 脇の下(腋窩)のしこり
脇の下には多数のリンパ節が集まっており、上肢や乳房からのリンパ液が流れ込んでいます。痛みを伴う脇の下のしこりとしては、リンパ節炎(感染症・虫刺されなどに続発)、副乳の炎症、汗腺炎(化膿性汗腺炎)などが挙げられます。
女性の場合、乳がんのリンパ節転移が脇の下のしこりとして現れることもあります。乳がんに伴うリンパ節転移の場合、初期には痛みがないことが多いですが、進行すると痛みが生じることもあります。脇の下にしこりを発見した場合は、乳がんの可能性を念頭に置いて乳腺科などへの受診を検討することが重要です。
🌟 鼠径部(そけいぶ)のしこり
鼠径部(太ももの付け根)のしこりとして多いのは、やはりリンパ節の腫れです。下肢や性器の感染症が原因となることが多く、性感染症(梅毒、クラミジアなど)でもリンパ節が腫れることがあります。また、鼠径ヘルニア(脱腸)が鼠径部のしこりとして触れることもあり、咳や力む動作で増大する場合はこれを疑います。
💬 背中・体幹のしこり
背中や体幹には脂肪腫・粉瘤が生じやすく、どちらも比較的よく見られます。脂肪腫は柔らかくゆっくりと成長し、粉瘤は中央に開口部を伴う傾向があります。粉瘤が感染すると急に赤く腫れて強い痛みが出ます。多発する脂肪腫は「多発性脂肪腫症」という状態であることもあります。
✅ 顔・頭部のしこり
顔や頭部にできるしこりとして、粉瘤・脂肪腫・石灰化上皮腫・毛包炎などが挙げられます。顔面の皮脂腺が多い部位(鼻・額・頬など)では粉瘤ができやすいとされています。頭皮にできる粉瘤(外毛根鞘嚢胞・表皮嚢胞)は炎症を起こすと強い痛みを生じます。
📝 手・足のしこり
手首や足首にはガングリオンが生じやすく、関節の動きに伴って痛みが出ることがあります。指の関節周囲にできるしこりは、変形性関節症に伴う骨棘(ヘバーデン結節・ブシャール結節)のこともあります。足の裏にできる「足底線維腫」や「モートン神経腫」も痛みを伴うしこりとして現れます。
Q. しこりが悪性かどうかを自己チェックする方法は?
自己チェックでは、大きさの変化・硬さ・可動性・皮膚の状態を確認します。短期間で急速に大きくなる、固くて動かない、皮膚と癒着しているしこりは悪性の可能性があります。ただし自己診断は目安に過ぎず、確定診断には必ず医療機関での検査が必要です。
🔍 しこりが痛む理由とメカニズム
しこりが痛む場合には、いくつかのメカニズムが関与しています。まず最も多いのが炎症による痛みです。細菌感染や炎症反応が起きると、プロスタグランジンをはじめとした炎症性物質が放出され、周囲の痛覚神経を刺激します。これが感染した粉瘤やリンパ節炎で強い痛みが生じる理由です。
次に、しこりが大きくなることで周囲の神経や組織を直接圧迫することによる痛みがあります。脂肪腫や嚢胞が大きくなったとき、あるいはガングリオンが神経の近くに位置するときに生じる痛みはこのタイプです。
また、血管を豊富に含む腫瘍(血管脂肪腫など)は内部の圧力変化によって痛みが生じることがあります。月経周期や気温の変化によって痛みが変動することも知られています。
痛みの性質(ズキズキ・ジンジン・鈍痛など)や、痛みが生じるタイミング(安静時・動作時・触れたとき)も、原因を鑑別する際の重要な情報になります。
💪 自己チェックのポイント|良性と悪性の見分け方
しこりやできものを自己チェックする際のポイントをまとめます。ただし、自己診断はあくまでも目安であり、確定診断は必ず医療機関で行う必要があります。
🔸 大きさと成長速度
良性のしこりはゆっくりと成長することが多く、数年間ほぼ変わらない大きさのままであることも珍しくありません。一方、短期間で急激に大きくなるしこりは悪性の可能性を考慮する必要があります。ただし、炎症性粉瘤のように良性でも急速に腫れるケースもあるため、あくまでも一つの目安です。
⚡ 硬さと動き
良性のしこりは比較的柔らかく、指で押すと周囲をスムーズに動く(可動性がある)ことが多いです。一方、悪性腫瘍は硬く固まった感触があり、周囲の組織と癒着して動きにくくなることがあります。ただし、炎症を起こした粉瘤や線維腫のような良性病変でも、周囲と癒着して動きにくくなることがあるため、硬さだけで判断はできません。
🌟 痛みの有無
一般的に「痛みがないしこりの方が悪性の可能性が高い」と言われることがありますが、これは必ずしも正確ではありません。悪性腫瘍でも痛みを伴うことがありますし、良性のしこりでも無症状のことがあります。痛みがないからといって安心せず、気になるしこりは専門家に診てもらうことが重要です。
💬 皮膚の状態
しこりの上の皮膚が赤くなっていたり、熱を持っていたりする場合は炎症や感染が起きているサインです。皮膚の色が変化したり、表面がデコボコしていたり、潰瘍(皮膚が破れた状態)を形成している場合は、皮膚科や形成外科への受診が必要です。
✅ 複数のしこりか単独か
全身の複数個所にしこりが出現した場合は、全身性の疾患(リンパ腫、転移性腫瘍など)を考慮する必要があります。単独のしこりの場合は局所性の原因が多いですが、いずれも医療機関での評価が必要です。
Q. しこりができたとき早めに病院へ行くべき症状は?
以下の場合は早めの受診が必要です。①短期間で急速に大きくなる、②発熱・体重減少・倦怠感などの全身症状を伴う、③固くて動かない、④皮膚が潰瘍化している、⑤4〜6週間以上持続する、⑥痛みが強く日常生活に支障をきたしている。自己判断での放置は症状悪化につながります。

🎯 病院に行くべき危険なサインとは
以下のような症状や状況が見られる場合は、早めに医療機関を受診することを強くお勧めします。
📝 急速に大きくなっている
数日〜数週間という短期間でしこりが急速に大きくなっている場合は、感染による炎症や、悪性腫瘍の可能性があります。特に発熱を伴う場合は感染の可能性が高く、早急な対処が必要です。
🔸 しこりが固く、周囲と癒着している
触れてもほとんど動かない固いしこりは、悪性腫瘍が周囲組織に浸潤している可能性を考えなければなりません。特に表面の皮膚と癒着している場合や、深部の筋肉や骨に固定されているような感触がある場合は要注意です。
⚡ 全身症状を伴う
しこりと同時に、発熱・体重減少・夜間の発汗・倦怠感などの全身症状が現れている場合は、リンパ腫をはじめとした全身性の疾患が疑われます。これらの症状が続く場合は血液内科や総合内科への受診が必要です。
🌟 皮膚に潰瘍や壊死が生じている
しこりの上の皮膚が破れて潰瘍化したり、黒くなって壊死しているような状態は、重篤な感染症や悪性腫瘍のサインである可能性があります。放置せず速やかに医療機関を受診してください。
💬 4〜6週間以上しこりが続く
感染症に伴うリンパ節腫脹などは通常4〜6週間以内に縮小します。それ以上続く場合や、縮小せずに増大している場合は、専門医による評価が必要です。
✅ 痛みが非常に強く、日常生活に支障をきたす
炎症性粉瘤や重症の毛包炎などは非常に強い痛みを生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。適切な抗菌薬治療や外科的処置が必要なケースもあるため、我慢せず受診しましょう。
💡 しこり・できものの診断方法
医療機関では、しこりやできものの診断のためにさまざまな検査が行われます。どのような検査が行われるかを事前に知っておくと、受診時の不安が軽減されるでしょう。
📝 問診・視診・触診
まず医師が問診(いつからできたか、大きさの変化、痛みの有無など)を行い、視診(目で見て確認)・触診(触って確認)を行います。これだけで多くの場合、ある程度の見当をつけることができます。しこりの位置・大きさ・硬さ・可動性・表面の状態などを詳しく評価します。
🔸 超音波検査(エコー検査)
皮膚や皮下のしこりには超音波検査が非常に有用です。しこりの深さ・大きさ・内部の性状(嚢胞性か充実性か)・血流の有無などを非侵襲的に評価できます。粉瘤・脂肪腫・リンパ節・嚢胞など、多くの皮下腫瘤の鑑別に役立ちます。
⚡ 血液検査
感染症や炎症が疑われる場合は、白血球数やCRP(炎症の指標)などの血液検査が行われます。リンパ腫などの血液系の悪性疾患が疑われる場合には、乳酸脱水素酵素(LDH)などの腫瘍マーカーも測定されることがあります。
🌟 CT・MRI検査

しこりが深部に及んでいる場合や、周囲組織への広がりを評価する必要がある場合にはCTやMRI検査が行われます。特にMRI検査は軟部組織の描出に優れており、しこりの性状や周囲との関係を詳しく評価するのに適しています。
💬 病理組織検査(生検)
最終的にしこりが良性か悪性かを確認するためには、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる病理組織検査(生検)が必要となる場合があります。細い針で細胞を吸引する「細胞診」や、小さな組織を採取する「針生検」、手術で組織を切除して調べる「外科的生検」などの方法があります。
Q. しこり・できものの治療法にはどんな種類がありますか?
しこりの治療法は原因によって異なります。粉瘤・脂肪腫などは局所麻酔下での外科的切除が根治療法です。膿が溜まった炎症性粉瘤には切開排膿が行われます。感染が原因のリンパ節炎などには抗菌薬が有効です。ガングリオンには穿刺吸引や経過観察が選択されることもあります。
📌 主な治療法について
しこりやできものの治療法は、原因や種類によって大きく異なります。ここでは代表的な治療法を解説します。
✅ 外科的切除
粉瘤・脂肪腫・石灰化上皮腫・ガングリオンなど、多くの良性腫瘍の根治療法は外科的切除です。局所麻酔下に皮膚を切開し、腫瘍全体を摘出します。粉瘤の場合、嚢胞の袋を完全に摘出しないと再発するため、丁寧に摘出することが重要です。近年では傷跡が目立ちにくい「くり抜き法(トレパン法)」なども行われています。
📝 切開排膿
炎症性粉瘤や癤(おでき)など、膿が溜まっている状態には切開排膿が行われます。局所麻酔後に皮膚を切開して膿を排出し、内部を洗浄します。炎症が強い時期には根治的な摘出が困難なため、まず切開排膿で炎症を鎮め、後日改めて嚢胞を摘出するという二段階の治療が一般的です。
🔸 薬物療法
感染が関与している場合は抗菌薬が使用されます。リンパ節炎や毛包炎など、感染が原因のしこりは抗菌薬治療で改善することが多いです。また、炎症を抑える目的で非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が使用されることもあります。痛風結節では尿酸降下薬による長期管理が必要です。
⚡ 穿刺吸引
ガングリオンなど内容液が溜まった嚢胞性病変には、注射器で内容物を吸引する穿刺吸引が行われることがあります。比較的簡単に行える処置ですが、再発しやすいという欠点があります。
🌟 経過観察
小さくて症状のない良性のしこりは、経過観察が選択されることもあります。定期的に大きさや状態を確認しながら、変化があれば適切な処置を検討します。ただし「経過観察でよい」と判断するためには、まず正しい診断がなされていることが前提です。自己判断で放置するのではなく、医師の評価に基づいた経過観察が重要です。
✨ 日常生活での注意点と予防
しこりやできものを予防・悪化させないために、日常生活で心がけたいことをご紹介します。
💬 皮膚を清潔に保つ
毛包炎や粉瘤の感染を予防するためには、皮膚を常に清潔に保つことが重要です。特に皮脂分泌が多い部位(背中・胸・顔)は丁寧に洗うようにしましょう。ただし、洗いすぎは皮膚のバリア機能を損なうこともあるため、適切な範囲で行ってください。
✅ 自己処置を避ける
しこりを自分で針で刺したり、強く絞り出そうとしたりすることは避けてください。不適切な自己処置は感染を悪化させたり、周囲組織に炎症を広げたりするリスクがあります。特に粉瘤の場合、自己処置で嚢胞の袋が破れると、内容物が周囲組織に広がって強い炎症を引き起こすことがあります。
📝 免疫機能を維持する
十分な睡眠・バランスの良い食事・適度な運動・禁煙などにより、免疫機能を正常に維持することが感染症の予防につながります。糖尿病がある方は血糖コントロールを良好に保つことで、皮膚感染症のリスクを低減できます。
🔸 定期的なセルフチェック
月に一度程度、体全体を鏡で観察したり、手で触れて確認したりするセルフチェックの習慣をつけることをお勧めします。特に女性は乳がん自己検診を定期的に行うことが推奨されています。異変に早く気づくことで、早期発見・早期治療につながります。
⚡ 気になったら早めに受診する
「大したことはないだろう」「しばらく様子を見よう」と放置することが、症状の悪化や発見の遅れにつながることがあります。特にしこりが大きくなっている、痛みが強い、長期間続くといった場合は、迷わず医療機関を受診してください。皮膚科・形成外科・外科・乳腺科など、しこりがある部位や疑われる疾患に応じて適切な診療科を選びましょう。
🌟 治療後の再発予防
粉瘤などは適切に治療されれば再発はまれですが、嚢胞が完全に摘出されていない場合は再発することがあります。術後は指示された通りに処置を行い、傷が完全に治癒するまでしっかりとケアすることが大切です。また、同じ部位に再度しこりができた場合は早めに受診しましょう。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、「しばらく様子を見ていたが、急に赤く腫れて痛くなった」という炎症性粉瘤や、「首のしこりが何週間も続いている」というリンパ節腫脹のご相談を多くいただきます。しこりやできものは見た目だけでは良性・悪性の判断が難しいケースも多く、自己判断での放置が症状の悪化や診断の遅れにつながることがあるため、気になる症状がある場合はどうぞお早めにご相談ください。超音波検査などを用いて丁寧に診断・治療方針をご説明しますので、どんな些細なご不安もお気軽にお持ちいただければと思います。」
🔍 よくある質問
必ずしも危険というわけではありません。痛みを伴うしこりの多くは、炎症性粉瘤や毛包炎など良性の疾患によるものです。一方、痛みがないしこりでも悪性の場合があります。痛みの有無だけで判断せず、急速に大きくなる・長期間続くなどの場合は医療機関への受診をお勧めします。
自己処置は避けてください。特に粉瘤の場合、自分で刺したり絞ったりすると嚢胞の袋が破れ、内容物が周囲組織に広がって強い炎症を引き起こす危険があります。感染が悪化するリスクもあるため、しこりが気になる場合はアイシークリニックへご相談ください。
以下の場合は早めの受診をお勧めします。①短期間で急速に大きくなっている、②発熱や体重減少など全身症状を伴う、③固くて動かないしこりがある、④皮膚が破れて潰瘍化している、⑤4〜6週間以上しこりが続く、⑥痛みが強く日常生活に支障をきたしているケースです。
まず問診・視診・触診でしこりの大きさ・硬さ・可動性などを評価します。その後、必要に応じて超音波検査(エコー)・血液検査・CT/MRI検査などが行われます。良性か悪性かの最終確認には、組織を採取して顕微鏡で調べる病理組織検査(生検)が必要となる場合もあります。
嚢胞を完全に摘出できれば再発はまれですが、袋が残った場合は再発することがあります。予防のためには皮膚を清潔に保つことが大切で、特に皮脂分泌の多い部位は丁寧に洗うようにしましょう。術後は医師の指示通りにケアを行い、同じ部位に再びしこりができた場合は早めに受診してください。
💪 まとめ
痛みを伴うしこりやできものの原因は、粉瘤・脂肪腫・リンパ節腫脹・毛包炎・ガングリオンなど多岐にわたります。大多数は良性であるものの、中には早期の治療が必要なものや、まれに悪性腫瘍が隠れていることもあります。痛みがある・急速に大きくなっている・全身症状を伴う・長期間しこりが続くといった場合は、自己判断せず医療機関への受診をお勧めします。
しこりやできものの診断には、問診・視診・触診のほか、超音波検査・血液検査・CT/MRI検査・病理検査など、さまざまな方法があります。原因が明らかになれば、外科的切除・薬物療法・切開排膿など、適切な治療を受けることができます。
アイシークリニック上野院では、皮膚のしこりやできものに関するご相談を承っております。「体のどこかにしこりができた」「痛みがあって不安」「以前から気になっていたが受診できていなかった」といった方も、お気軽にご相談ください。早期に適切な診断・治療を受けることで、症状の改善だけでなく、万が一の悪性疾患を見逃さないためにも、気になる症状がある方はぜひ一度受診されることをお勧めします。
📚 関連記事
- あざにしこりがあって押すと痛い…原因と受診すべき症状を解説
- ピアスの穴にしこりができた!原因・種類・正しい対処法を解説
- 太もものできもの:種類・原因・受診の目安を医師が解説
- 爪の横が腫れる原因と対処法|陥入爪・ひょう疽など症状別に解説
- おでこにできもの|原因・種類・治療法を医師が詳しく解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 粉瘤(表皮嚢腫)・脂肪腫・毛包炎など皮膚科領域における良性・悪性腫瘍の診断基準や治療方針に関する情報
- 日本形成外科学会 – しこり・できものの外科的切除(粉瘤・脂肪腫・石灰化上皮腫など)の治療法および形成外科的アプローチに関する情報
- 厚生労働省 – 悪性腫瘍(がん)の早期発見・受診勧奨に関する情報およびリンパ節腫脹など放置すべきでない症状に関する指針
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務