水虫は手にうつる?感染経路と予防・治療法を徹底解説

頬に手を当てている女性

「足の水虫を触った後、手がかゆくなってきた」「手のひらや指の間にぶつぶつができた、もしかして水虫?」と不安になったことはないでしょうか。水虫というと足だけの病気というイメージが強いですが、実は手にも感染することがあります。白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる真菌が原因となる水虫は、足だけでなく手・頭・体・爪など全身のさまざまな部位に発症します。今回は水虫が手にうつるメカニズムや症状、感染を防ぐための予防策、そして適切な治療法について詳しく解説します。


目次

  1. 水虫とは何か?原因菌「白癬菌」について
  2. 水虫は手にうつるのか?感染経路を解説
  3. 手水虫(手白癬)の症状と種類
  4. 足の水虫が手にうつるまでの流れ
  5. 手水虫になりやすい人・なりにくい人
  6. 日常生活での感染予防策
  7. 手水虫の診断方法
  8. 手水虫の治療法
  9. 治療中に気をつけること
  10. まとめ

この記事のポイント

水虫(白癬菌)は手にも感染し、足を触った後の手洗いで予防できる。手白癬は湿疹と見分けにくく、抗真菌薬で4〜8週間以上の治療が必要。自己判断せず皮膚科でKOH検査による確定診断を受けることが重要。

🎯 水虫とは何か?原因菌「白癬菌」について

水虫とは、白癬菌というカビの一種(真菌)が皮膚に感染することによって起こる病気です。正式には「白癬(はくせん)」と呼ばれ、感染する部位によって足白癬、手白癬、体部白癬、頭部白癬、爪白癬などと名称が異なります。一般的に「水虫」という言葉は足白癬を指すことが多いですが、広い意味では全身の白癬を含むこともあります。

白癬菌はトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)やトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)など複数の種類が存在し、日本では特にトリコフィトン・ルブルムが水虫の原因として最も多く見られます。これらの菌は皮膚のケラチン(たんぱく質)を栄養源として増殖するため、ケラチンが豊富な皮膚の角質層や爪、毛髪などに感染しやすいという特徴があります。

白癬菌が繁殖しやすい環境条件は、高温・多湿・不衛生な状態です。気温が25度以上、湿度が70〜80%以上になると急速に増殖するため、夏場や梅雨の時期は特に感染リスクが高くなります。逆に乾燥した環境や気温が低い環境では増殖しにくいですが、一度感染すると体内で生き続けるため、症状が軽くなっても完全に治療しなければ再発を繰り返します。

日本では成人の約5人に1人が足の水虫に罹患しているとも言われており、非常に身近な皮膚病の一つです。家族の中に水虫の人がいれば、日常的な接触の中で感染が広がるリスクがあります。特に手は日常的に足に触れる機会が多く、また手から様々な場所に触れることも多いため、水虫の感染経路として重要な部位です。

Q. 水虫が手に感染する主な経路は?

手白癬の最多感染経路は、足の水虫を素手でかいた後に手を洗わない「自己感染」です。白癬菌は付着後12〜24時間で角質層に侵入するため、石けんで速やかに洗い流すことで感染を防げる可能性があります。タオルや床を介した他者からの感染も起こります。

📋 水虫は手にうつるのか?感染経路を解説

結論からいうと、水虫は手にうつります。ただし、足の水虫と比べると手白癬は比較的まれな状態です。足の水虫は日本の成人に非常に多い疾患ですが、手の水虫はそれほど多くありません。これには理由があります。手は足よりも乾燥しやすく、白癬菌が繁殖しにくい環境であること、また手は頻繁に洗う機会があり、菌が付着しても洗い流されやすいことなどが関係しています。

手への感染経路としては以下のようなものが考えられます。まず最も多いのが、足の水虫を直接触ることによる自己感染です。かゆい足を素手でかいたり、爪水虫の爪を素手で切ったりする際に、白癬菌が手に付着します。その後、手を十分に洗わずにいると、菌が角質層に侵入して感染が成立します。

次に多いのが、水虫患者との間接的な接触です。タオルやスリッパの共有、スポーツや武道の練習中に素手で床に触れること、プールや温泉の脱衣所の床などを素手で触った後に手をよく洗わないでいることなどが挙げられます。白癬菌は剥がれ落ちた皮膚の角質片(鱗屑)の中でも生き続けることができ、乾燥した環境でも数週間から数ヶ月間生存可能とされています。

また、爪水虫(爪白癬)がある場合、爪の中に菌が大量に存在しており、手の爪を触ることで手の皮膚に菌が広がることもあります。足の爪水虫と手の爪水虫が同時に存在するケースでは、足から手への感染が起きている可能性が高いとされています。

さらに、ガーデニングや土木作業などで土壌中の白癬菌に触れることや、動物を介した感染(特にペットの犬や猫から)も手白癬の原因となることがあります。動物由来の白癬菌は炎症が強く出やすい傾向があり、ケルスス禿瘡(とくそう)のような深部感染を起こすこともあります。

💊 手水虫(手白癬)の症状と種類

手白癬の症状は、感染した菌の種類や個人の免疫状態によって異なりますが、大きく分けると以下のような型があります。

小水疱型(しょうすいほうがた)は、手のひらや指の側面に小さな水ぶくれ(水疱)が多数できる型です。水疱はかゆみを伴うことが多く、破れると皮がむけてきます。この型は夏場に悪化しやすく、足の汗疱(かんぽう)に似た見た目をしていることから、湿疹などと間違われやすいです。

角化型(かくかがた)は、手のひら全体がかさかさと乾燥して皮膚が厚くなる型です。皮膚の角質が増殖して肥厚し、冬場には亀裂(ひび割れ)が入ることもあります。かゆみが少ないことが多く、単なる乾燥肌や手荒れと区別がつきにくいため、気づかないうちに長期間放置されてしまうことがあります。

指間型(しかんがた)は、指と指の間(指間部)の皮膚がじゅくじゅくしたり、白く浸軟(しんなん)したり、皮がむけたりする型です。足の指間型と同様の症状が手に現れます。かゆみや不快感を伴うことが多く、二次的に細菌感染を合併することもあります。

手白癬は足白癬と異なり、左右対称に発症することは少なく、片手だけに症状が出ることが特徴的です。これは「two feet, one hand syndrome(両足・片手症候群)」と呼ばれ、足の水虫があり片手にも白癬が見られる場合、この症候群が疑われます。もし両手に均等に症状が出ている場合は、手湿疹や乾癬(かんせん)など他の皮膚病の可能性も考える必要があります。

また、手の爪にも白癬菌が感染して爪白癬(爪水虫)が生じることがあります。爪が黄色や茶色に変色したり、厚くなったり、ぼろぼろと崩れてきたりします。爪白癬は外用薬だけでは菌が爪の内部まで届きにくく、内服薬による治療が必要になることが多い疾患です。

Q. 手白癬の症状にはどんな種類がある?

手白癬には主に3つの型があります。手のひらに小さな水ぶくれができる「小水疱型」、手のひら全体が乾燥・肥厚する「角化型」、指の間がじゅくじゅくする「指間型」です。足白癬と異なり片手だけに発症することが多く、これは「両足・片手症候群」とも呼ばれる特徴です。

🏥 足の水虫が手にうつるまでの流れ

足の水虫が手にうつるまでのプロセスを理解することで、感染予防の重要性がよりわかりやすくなります。

まず、足に付着した白癬菌が皮膚に感染するためには、菌が角質層に侵入するための時間が必要です。一般的に、白癬菌が皮膚に付着してから感染が成立するまでには12〜24時間程度かかるとされています。つまり、菌が付着した直後に皮膚を洗い流せば感染を防げる可能性があります。これが「入浴後に足を清潔にする」ことが予防に有効な理由です。

足の水虫がある人が、かゆみに耐えられずに爪や指で足をかいたとします。この時、爪の間や指の皮膚に大量の白癬菌が付着します。その後、手を洗わずに過ごすと、菌は手の皮膚の上で生き続け、汗などの湿気を得てじわじわと角質層に侵入していきます。特に皮膚のバリア機能が低下している部位(乾燥した部分、傷がある部分、湿潤した部分など)からは菌が侵入しやすくなります。

感染が成立した後も、すぐに症状が現れるわけではありません。潜伏期間は通常数週間から数ヶ月に及ぶことがあり、その間も菌は少しずつ増殖を続けています。症状が出始めると、かゆみや水疱、皮むけなどが現れ、この段階で初めて「手に何かできた」と気づく人が多いです。

手白癬が発症すると、手で触れるあらゆる場所に菌を広げるリスクが生じます。特に、家族と共有するタオルや洗面台、ドアノブ、スマートフォンなどに菌が付着し、他の家族への感染源になる可能性があります。水虫は一人の問題ではなく、家族全員の問題として捉えることが大切です。

⚠️ 手水虫になりやすい人・なりにくい人

白癬菌に接触したからといって、必ずしも全員が水虫になるわけではありません。水虫の発症には、菌の量や個人の免疫状態、皮膚のバリア機能などさまざまな要因が関係しています。

手水虫になりやすい人の特徴としては、まず足の水虫や爪水虫がある人が挙げられます。自己感染のリスクが高いためです。次に、免疫機能が低下している人(糖尿病患者、HIV感染者、ステロイドや免疫抑制剤を服用している人など)は、菌に対する防御機能が弱まっているため感染しやすいです。

また、手が常に湿っている環境で仕事をしている人(調理師、美容師、医療従事者など)も感染リスクが高まります。水分によって皮膚のバリア機能が低下し、菌が侵入しやすくなるためです。逆に、手が過度に乾燥していてひび割れがある人も、皮膚のバリアが失われているため注意が必要です。

アトピー性皮膚炎など皮膚のバリア機能が生まれつき弱い体質の人や、スポーツ(柔道、レスリング、相撲など)で皮膚接触が多い人も感染リスクが高いとされています。

一方、手水虫になりにくい人の特徴としては、皮膚のバリア機能が正常で免疫力が高い人、こまめに手を洗う習慣がある人、足の水虫がなく自己感染のリスクがない人などが挙げられます。健康な成人で普通の生活を送っている場合、白癬菌に触れても感染が成立しないことも多いです。

特に注意すべき点は、足の水虫を長期間放置していると、菌の量が増えて自己感染のリスクが高まるということです。足の水虫をきちんと治療することが、手への感染を防ぐ最も重要な予防策の一つといえます。

Q. 手の水虫はどう診断・治療する?

皮膚科では患部の鱗屑を採取し水酸化カリウム溶液で処理して顕微鏡観察する「KOH検査」で確定診断します。治療は抗真菌薬の外用薬を4〜8週間以上継続するのが基本です。爪にも感染している重症例では内服薬が必要となり、肝機能のモニタリングも行われます。

🔍 日常生活での感染予防策

水虫の手への感染を予防するためには、日常生活の中でいくつかの点に気をつけることが大切です。これらの対策は、足から手への自己感染だけでなく、他人からの感染予防にも役立ちます。

まず最も基本的かつ重要な対策は、足を触った後はしっかりと手を洗うことです。石けんを使って指の間や爪の周囲まで丁寧に洗い流しましょう。白癬菌が付着してから感染が成立するまでに数時間かかるため、速やかに洗い流すことで感染を防ぐことができます。爪水虫の爪を切る際には特に注意が必要で、作業後は手を念入りに洗い、爪切りも清潔に保ちましょう。

足の水虫をしっかり治療することも重要な予防策です。足に白癬菌がいる限り、自己感染のリスクは常に存在します。水虫の症状がなくなっても、医師の指示に従って一定期間治療を続けることが大切です。症状が消えても菌が皮膚に残っている場合があり、途中で治療をやめると再発してしまいます。

タオルや爪切りなどの日用品を他の人と共有しないことも感染予防の基本です。白癬菌は剥がれ落ちた角質片の中で生き続けるため、タオルや衣類、床などを介して感染が広がる可能性があります。家族に水虫の人がいる場合は、タオルや靴下を分けて使用し、洗濯は60度以上のお湯で洗うか、乾燥機を使用すると菌を殺滅できます

公共の場(プール、温泉、銭湯、スポーツジムのロッカールームなど)での感染予防も大切です。これらの場所では床に白癬菌が存在する可能性があります。足底だけでなく、床に直接手をつかないように気をつけましょう。施設内を移動する際は適切な履物を着用し、使用後は手を洗うことを習慣にしましょう。

手の皮膚を健康な状態に保つことも感染予防に役立ちます。手洗いが多い職業の方は、保湿剤を使って皮膚のバリア機能を維持しましょう。乾燥してひび割れた皮膚は菌が侵入しやすくなるため、適度な保湿が感染予防につながります。ただし、白癬菌が好む多湿な環境を作らないよう、手洗い後はきちんと水気を拭き取ってから保湿することが大切です。

また、免疫力を高める生活習慣も大切です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレス管理などにより免疫機能を維持することで、感染を受けにくい体になります。特に基礎疾患がある方は、かかりつけ医と相談しながら全身の健康管理に努めましょう。

📝 手水虫の診断方法

手に水虫のような症状が出た場合、自己判断せずに皮膚科を受診することをお勧めします。手のかぶれや湿疹、乾癬、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)など、水虫と似た見た目の皮膚疾患は多く、正確な診断のためには専門的な検査が必要です。

皮膚科での標準的な診断方法は「直接鏡検(KOH検査)」です。皮膚の患部から鱗屑(皮膚の剥がれた部分)や水疱の天蓋部分を採取し、水酸化カリウム(KOH)溶液で溶かして顕微鏡で観察します。顕微鏡下で特徴的な菌糸(きんし)や胞子が確認されれば白癬の確定診断ができます。この検査は即日結果が出ることが多く、侵襲性が低い(痛くない)ため広く行われています。

KOH検査で菌が確認できない場合や、菌の種類を特定したい場合には培養検査が行われることがあります。採取した検体を培養して菌を増やし、どの種類の白癬菌かを同定します。培養結果が出るまでには数週間かかることが多いですが、菌種の特定は治療法の選択や感染源の特定に役立ちます。

最近では、PCR検査(遺伝子検査)を用いた白癬菌の検出も可能になっています。PCR検査は感度が高く、少量の菌でも検出できるため、KOH検査で陰性だった場合でも菌の存在を確認できることがあります。ただし、すべての医療機関で実施できるわけではありません。

診察の際に医師から確認されることとしては、足や爪の水虫の有無、症状が出始めた時期と部位、使用中の薬や治療歴、仕事や趣味など生活環境、家族に水虫の人がいるかどうか、などが挙げられます。これらの情報は診断と治療方針の決定に重要ですので、できるだけ正確に伝えるようにしましょう。

特に注意が必要なのは、水虫と思って市販の水虫薬を長期間使い続けても改善しない場合です。水虫に似た疾患に水虫薬(抗真菌薬)を使っても効果はなく、症状を悪化させる可能性もあります。また、本当に水虫であっても、適切でない薬や使用方法では治癒しません。2週間以上市販薬を使用して改善が見られない場合は、速やかに皮膚科を受診することをお勧めします

Q. 水虫治療中に注意すべきことは?

治療中の最大の注意点は、症状が改善しても自己判断で薬の使用を中止しないことです。外見上の症状が消えても菌が角質層に残っている場合があり、中断すると再発します。また足と手の水虫は並行して治療する必要があり、タオルや爪切りの個人専用化など感染源の管理も治療成功の鍵です。

💡 手水虫の治療法

手水虫の治療の基本は抗真菌薬の使用です。治療法は症状の重さや病型、爪への感染の有無によって異なります。

外用抗真菌薬(塗り薬)は、手白癬の基本的な治療薬です。テルビナフィン、ルリコナゾール、ラノコナゾール、エフィナコナゾールなど複数の成分があり、クリーム、ゲル、液体(ローション・スプレー)などさまざまな剤形が存在します。これらの薬は白癬菌の細胞膜の構成成分(エルゴステロール)の合成を阻害することで菌を殺滅します。

外用薬の使用方法は、患部だけでなく患部の周囲にも広めに塗ることが重要です。見た目に症状が出ていない部分にも菌が広がっている可能性があるため、患部より一回り広い範囲に塗布します。また、症状が改善しても自己判断で使用を中止しないことが大切です。症状が消えても菌が残っている可能性があるため、医師の指示通りの期間(一般的には4〜8週間以上)継続して使用する必要があります。

爪水虫がある場合や、外用薬だけでは治癒しない重症例、広範囲に感染が及んでいる場合には、内服抗真菌薬(飲み薬)が選択されます。テルビナフィン(商品名:ラミシールなど)、イトラコナゾール(商品名:イトリゾールなど)などが使用されます。

テルビナフィンの内服は通常1日1錠を毎日服用します。爪白癬では6ヶ月間の継続が必要なことが多く、手白癬のみの場合は6〜8週間程度が目安です。イトラコナゾールは「パルス療法」という方法が一般的で、1週間服用して3週間休むというサイクルを繰り返します。

内服抗真菌薬は効果が高い反面、肝機能障害などの副作用が起こる可能性があります。特にテルビナフィンは肝毒性のリスクがあるため、服用前に肝機能検査を行い、服用中も定期的に血液検査でモニタリングすることが推奨されます。また、他の薬との相互作用もあるため、服用中の薬がある場合は必ず医師に伝えてください。

爪水虫に対しては近年、爪外用薬(エフィナコナゾール爪外用液、ルリコナゾール爪外用液など)も使用できるようになりました。これらは爪の表面から浸透して菌を殺滅するもので、内服が難しい方(肝疾患がある方、高齢者など)に適応されることがあります。ただし、内服薬と比べると治癒率が若干低く、毎日の継続的な塗布が必要です。

治療期間は手白癬の病型や重症度によって異なりますが、一般的に外用薬のみの場合は4〜8週間程度、内服薬を使用する場合は6週間〜数ヶ月程度かかります。爪水虫を合併している場合はさらに長期間の治療が必要です。治療期間中は定期的に皮膚科を受診して経過を確認してもらいましょう。

✨ 治療中に気をつけること

水虫の治療を成功させるためには、薬の正しい使用に加えて、日常生活でのいくつかの点に注意することが大切です。

治療中に最もよくある失敗は、症状が改善したからといって途中で治療をやめてしまうことです。外見上の症状(かゆみ、水疱、皮むけなど)が消えても、皮膚の角質層の深いところに菌が残っている可能性があります。この状態で治療を中断すると、残った菌が再び増殖して再発します。医師が指定した治療期間は必ず守りましょう

外用薬を使用する際は、入浴後や手を洗った後に皮膚が清潔で乾燥した状態で塗布することが効果的です。水分が残った状態では薬が皮膚に浸透しにくく、また菌の増殖を助けてしまうこともあります。薬を塗った後は、他の場所に触れる前に手を洗い、他の人や物に菌を広げないよう注意しましょう。

治療中も感染源の管理は重要です。足の水虫と手の水虫を同時に治療している場合は、両方の治療を並行して進める必要があります。足の治療を怠ると、治癒した手に再び感染する可能性があります。また、足に触れた後の手洗いを徹底し、タオルや爪切りは清潔なものを使うよう心がけましょう。

手に水虫がある場合、手から他の部位や他の人への感染を防ぐことも重要です。家族と共有する場所(洗面台、ドアノブなど)を定期的に清潔にし、タオルは個人専用のものを使用しましょう。家族の中に水虫の人がいれば、その方も医療機関を受診して適切な治療を受けるよう促しましょう。水虫は家族全員で取り組むべき感染症です

内服抗真菌薬を服用している場合、飲み忘れに注意しましょう。毎日決まった時間に服用する習慣をつけることが大切です。もし飲み忘れに気づいた場合は、次の服用時間が近い場合は1回分飛ばして、通常通り次回に服用します。自己判断で2回分を一度に飲むことは避けてください。

治療中に副作用の疑いがある症状(皮膚のかぶれや発疹が悪化する、内服薬による食欲不振・吐き気・倦怠感・尿の色が濃くなるなど)が現れた場合は、自己判断で薬の使用を中止せず、速やかに処方した医師に相談してください。特に内服薬による肝機能異常は、初期には自覚症状がない場合もあるため、定期的な血液検査が重要です。

治療が完了した後も、再発予防のために日常的な手洗いや足の清潔維持を続けることが大切です。一度水虫に罹患した人は免疫ができるわけではなく、再び感染するリスクがあります。特に足の水虫が再発すると手への自己感染リスクが高まるため、足の水虫の再発予防にも努めましょう。足を洗う際は指の間までしっかり洗って乾かし、清潔な靴下を毎日替え、適切な通気性の靴を選ぶことが再発予防につながります。

なお、市販の水虫薬にも抗真菌成分が含まれていますが、使用前に手白癬であることを確認することが重要です。水虫と思い込んで市販薬を使用していても、実際には手湿疹などの別の疾患である場合があり、適切でない治療で症状が悪化することもあります。皮膚科で正確な診断を受けてから治療を始めることをお勧めします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、足の水虫を長期間放置された後に手にも症状が広がってきたというケースを多く拝見しており、「手荒れだと思っていた」と来院される患者様が少なくありません。手白癬は湿疹や乾燥肌と見た目が非常に似ているため、自己判断での市販薬使用が症状の悪化や診断の遅れにつながることがありますので、気になる症状があれば早めにご相談ください。正確な診断のもと、患者様一人ひとりの生活環境に合わせた治療計画をご提案しますので、どうぞお気軽に受診していただければと思います。」

📌 よくある質問

足の水虫を触った後、手にうつることはありますか?

はい、うつる可能性があります。足の水虫をかいた後に手を洗わずにいると、白癬菌が手の角質層に侵入し「手白癬」を発症することがあります。ただし、菌が付着してから感染成立まで12〜24時間程度かかるため、すぐに石けんで丁寧に洗い流すことで感染を防げる可能性があります

手の水虫と手荒れ・湿疹はどう見分ければいいですか?

見た目だけでの区別は非常に難しく、自己判断は禁物です。手白癬は湿疹や乾燥肌と症状が酷似しており、誤った市販薬の使用で悪化するケースもあります。アイシークリニックでは、皮膚から採取した鱗屑を顕微鏡で確認する「KOH検査」により正確な診断が可能ですので、気になる症状があればお早めにご相談ください。

手の水虫はどのように治療しますか?

基本的には抗真菌薬の塗り薬(外用薬)を使用します。症状が消えた後も菌が残っている可能性があるため、医師の指示通り4〜8週間程度継続することが重要です。爪にも感染している場合や重症例では、内服薬が必要になることがあります。途中で治療をやめると再発しやすいため、必ず最後まで続けましょう。

家族に水虫がいる場合、手への感染を防ぐにはどうすればいいですか?

タオルや爪切りなどの日用品を共有しないことが基本です。また、床や洗面台など共有部分を定期的に清潔に保ち、洗濯物は60度以上のお湯または乾燥機で処理すると菌を殺滅できます。最も重要なのは、水虫を持つ家族が適切な治療を受けることです。水虫は家族全員で取り組むべき感染症といえます。

手の水虫は市販薬で治療できますか?

市販の抗真菌薬で対応できる場合もありますが、手白癬と確定診断されていない状態での使用はお勧めできません。水虫に似た湿疹や乾癬などの別の疾患に抗真菌薬を使用しても効果はなく、症状が悪化することもあります。2週間以上使用しても改善が見られない場合は、アイシークリニックへご来院いただき、正確な診断のもとで適切な治療を受けることをお勧めします

🎯 まとめ

水虫は足だけの病気ではなく、手にもうつることがあります。特に足の水虫をかいた後に手を洗わずにいると、自己感染によって手白癬が発症するリスクがあります。手白癬は足白癬に比べると発症頻度は低いですが、症状が湿疹や乾燥肌と似ているため診断が遅れることも少なくありません

手水虫の予防には、足の水虫をきちんと治療すること、足に触れた後は手をよく洗うこと、タオルや爪切りの共有を避けること、そして手の皮膚を清潔かつ適切に保湿した状態に保つことが大切です。

もし手に水虫のような症状が出た場合は、自己判断せずに皮膚科を受診して正確な診断を受けることをお勧めします。白癬菌であれば抗真菌薬による治療が有効ですが、似たような症状の別の皮膚疾患との区別が重要です。診断が確定したら、医師の指示通りに治療を続けることで完治が期待できます。

水虫は適切な治療を行えば完治できる病気です。「たかが水虫」と放置せず、早めに医療機関を受診して適切な治療を受けましょう。アイシークリニック上野院では皮膚科専門医による診察・検査・治療を行っています。手や足の皮膚トラブルでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 日本皮膚科学会が策定した白癬(水虫)の診療ガイドラインとして、手白癬・足白癬の診断基準・治療法(外用・内服抗真菌薬の選択)・KOH検査などの標準的な医療情報の参照元として活用
  • 厚生労働省 – 抗真菌薬(テルビナフィン・イトラコナゾール等)の承認情報・副作用・使用上の注意に関する情報、および水虫の一般的な予防・衛生管理に関する公式見解の参照元として活用
  • PubMed – 手白癬(Tinea manuum)の感染経路・症状分類・「two feet, one hand syndrome(両足・片手症候群)」・白癬菌(Trichophyton rubrum等)の疫学・治療成績に関する国際的な査読論文の参照元として活用

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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