水虫菌が体内に入るとどうなる?体の各部位への影響と対処法

クリニックでカウンセリングを受ける患者と女性医師

「水虫かもしれないけれど、放置していたら菌が体の中に入ってしまうのでは?」と不安に感じたことはありませんか。水虫は白癬菌(はくせんきん)と呼ばれる真菌が皮膚に感染することで起こる病気ですが、「体内に入る」という表現は少し正確ではありません。実際には白癬菌は主に皮膚の角質層に生息し、免疫機能が正常な方では血液や内臓への侵入は基本的に起こりにくいとされています。しかし、放置すると足だけでなく爪・股・頭部など体の別の部位へ広がるリスクがあるほか、免疫が低下している場合には深部への波及が起こることもあります。この記事では、水虫菌が「体内に入る」とはどういう意味なのか、どのような状況でどんな症状が出るのか、そしてどう対処すればよいかを詳しく解説します。


目次

  1. 水虫菌(白癬菌)とはどんな菌か
  2. 水虫菌が「体内に入る」とはどういうことか
  3. 水虫菌が体の別の部位へ広がるケース
  4. 深在性白癬とは?免疫が低下した場合のリスク
  5. 水虫から起こりうる合併症
  6. 水虫菌による感染を放置するとどうなるか
  7. 水虫菌が体内に侵入しないための予防策
  8. 水虫の正しい治療法
  9. いつ皮膚科・クリニックを受診すべきか

この記事のポイント

水虫菌(白癬菌)は通常、皮膚の角質層にとどまり血液・内臓への侵入は起こりにくいが、放置すると爪・股・手などへ拡大し、皮膚バリア破綻による細菌性蜂窩織炎などの二次感染リスクが高まる。免疫低下者では深在性白癬の危険もあり、早期診断と抗真菌薬の継続治療が重要。

🎯 水虫菌(白癬菌)とはどんな菌か

水虫の原因となる白癬菌は、皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)と総称される真菌の一種です。真菌というのはカビや酵母と同じ仲間で、細菌(バクテリア)とは全く異なる生き物です。白癬菌には複数の種類があり、日本で最も多く検出されるのはトリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum)とトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)です。

白癬菌の大きな特徴は「ケラチン親和性」を持つことです。ケラチンとは皮膚の表皮・爪・毛髪を構成するタンパク質のことで、白癬菌はこのケラチンを栄養源として利用しながら増殖します。言い換えると、白癬菌は「ケラチンがある場所を好む菌」なのです。これが、水虫が皮膚・爪・頭皮に発症する理由でもあります。

白癬菌の感染経路は主に接触感染です。温泉施設・銭湯・プール・スポーツジムなどの脱衣所やシャワー室の床は菌が存在しやすい環境であり、素足で歩くことで菌が足に付着します。しかし付着しただけでは必ずしも感染が成立するわけではなく、足が湿った状態が続いたり、皮膚に小さな傷があったりすると感染が成立しやすくなるとされています。感染が成立するには通常数十分から数時間の接触が必要と考えられており、外出後に足を洗い清潔に保つことが予防に有効です。

また、家庭内での感染も非常に多く見られます。感染者が使用したバスマットやスリッパを共有することで、家族間に広がるケースが後を絶ちません。日本では水虫の患者数は約2500万人とも言われており、決して珍しい病気ではありません。

Q. 水虫菌(白癬菌)はなぜ皮膚や爪に感染しやすいのか?

白癬菌は「ケラチン親和性」を持ち、皮膚・爪・毛髪を構成するタンパク質のケラチンを栄養源として増殖します。そのため皮膚の角質層や爪など、ケラチンが豊富な部位に感染が成立しやすく、温泉・プール・ジムの床など高温多湿な環境で感染リスクが高まります。

📋 水虫菌が「体内に入る」とはどういうことか

水虫菌が体内に入るとどうなるのか、という疑問をお持ちの方は多いと思いますが、まず「体内に入る」という表現について整理しておく必要があります。

白癬菌が生息するのは、基本的に皮膚の一番外側にある角質層です。角質層は死んだ細胞が積み重なった層であり、血管も神経もありません。白癬菌はこの角質層のケラチンを分解して栄養を得るため、通常は角質層より深い部分(真皮・皮下組織・血管・内臓)には到達しません。したがって、「水虫菌が血液や内臓に入る」という意味での「体内侵入」は、免疫機能が正常な健康な人ではほとんど起こらないと言っていいでしょう。

ただし、「体内に入る」という表現が意味するものには、大きく分けて二つの状況があります。

一つ目は、「足の水虫が体の別の部位に広がる」ケースです。これは厳密には「体内」ではありませんが、最初に感染した部位とは別の皮膚領域に菌が移動・増殖することを指します。爪に感染した爪白癬(爪水虫)はその典型例で、足の白癬菌が爪の下に侵入して爪そのものを傷めます。さらに、股や胴体・手などへ広がることもあります。

二つ目は、深在性白癬(しんざいせいはくせん)と呼ばれる病態で、免疫機能が著しく低下している方では白癬菌が真皮より深い層や、まれに血流に乗って全身へ広がることがあります。これが医学的な意味での「体内侵入」に最も近い状態です。ただし、これは非常にまれであり、健康な成人で起こることはほとんどありません。

💊 水虫菌が体の別の部位へ広がるケース

水虫を放置すると、菌は足の皮膚から他の部位へと広がっていきます。ここでは代表的な広がり方を詳しく解説します。

🦠 爪白癬(爪水虫)への移行

足の水虫(足白癬)が最も広がりやすい部位が爪です。足の親指の爪に感染することが多く、爪が白くにごる・黄褐色に変色する・分厚くなる・もろくなってボロボロと崩れるといった症状が現れます。爪白癬は自然治癒がほぼ期待できない上、塗り薬が浸透しにくい部位であるため、内服薬による治療が必要なケースも多くあります。また、爪白癬になると爪の中に菌が常在するため、足の水虫が再発しやすくなるという悪循環にも陥りやすいです。

👴 股部白癬(いんきんたむし)への移行

股部白癬は、陰部周囲・太ももの内側・お尻などに白癬菌が感染した状態です。足の水虫がある人が、足を拭いたタオルでそのまま陰部周辺を拭いたり、靴下を履く際に手で菌を移動させてしまったりすることで感染が広がります。股部白癬は環状(リング状)の赤い発疹や痒みを伴うことが多く、見た目で気づく方も多いですが、股部の湿潤した環境は白癬菌にとって非常に増殖しやすい条件を満たしています。

🔸 体部白癬(たむし)への移行

体部白癬は胴体・腕・脚の皮膚に感染したものです。リング状の赤い発疹が特徴で、中央部が比較的正常に見え、周囲が盛り上がっているという見た目が典型的です。足の水虫との接触や、感染者との皮膚接触によって生じます。猫や犬などのペットから感染することもあり、その場合は炎症が強く出やすい傾向があります。

💧 頭部白癬(しらくも)への移行

頭部白癬は頭皮に白癬菌が感染したもので、子供に多く見られますが成人でも起こります。頭皮にフケが増えたり、円形に脱毛したりすることがあります。足の水虫から直接広がることは少ないですが、感染した人や動物との接触で起こりやすく、免疫が低下した方では重症化することもあります。

✨ 手白癬(てみずむし)への移行

足の水虫を素手で触ったり、掻いたりした際に手に菌が移ることがあります。手白癬は片手のみに発症することが多く、皮膚がカサカサして皮が剥ける・小水疱が出るといった症状を呈します。足白癬と同時に存在しているにもかかわらず、手の湿疹や乾燥肌と誤解されるケースも少なくありません。

Q. 水虫を放置すると体のどの部位に広がる可能性があるか?

足の水虫を放置すると、爪・股部・手・胴体など複数の部位へ広がる可能性があります。特に爪白癬への移行が多く、自然治癒がほぼ期待できません。また皮膚バリアが破綻することで細菌が侵入し、蜂窩織炎などの深刻な二次感染を招くリスクも高まります。

🏥 深在性白癬とは?免疫が低下した場合のリスク

通常、皮膚の免疫機能は白癬菌が角質層より深く侵入するのを防ぐ役割を果たしています。しかし、何らかの理由で免疫機能が著しく低下した場合、白癬菌が真皮以下の深い組織まで侵入することがあります。これを「深在性白癬」と呼びます。

深在性白癬が起こりやすい状況としては、以下のような場合が挙げられます。HIV感染症(エイズ)によって免疫機能が低下している場合、臓器移植後の免疫抑制剤の使用、がんの化学療法による免疫抑制、長期にわたるステロイド薬の全身投与、糖尿病のコントロールが不良な状態などです。

深在性白癬では、皮膚に膿(うみ)を伴う硬いしこりや潰瘍が生じたり、リンパ節が腫れたりします。さらに重篤なケースでは、白癬菌が血流に乗って全身に広がる播種性感染(はしゅせいかんせん)を起こすことがあり、これは生命を脅かす状態になりえます。ただし、このような事態は非常にまれであり、健康な成人が通常の水虫から深在性白癬になることはほぼありません。

また、白癬菌とは別の話として、水虫の傷口から細菌(白癬菌ではなく黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌など)が侵入して二次感染を起こすことがあります。これについては次のセクションで詳しく解説します。

⚠️ 水虫から起こりうる合併症

水虫を放置することで生じうる問題は、白癬菌の拡散だけではありません。皮膚のバリア機能が障害されることで、さまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。

📌 細菌の二次感染(蜂窩織炎など)

水虫で皮膚が荒れてひび割れや傷が生じると、そこから細菌が侵入しやすくなります。最も注意が必要なのは蜂窩織炎(ほうかしきえん)です。蜂窩織炎とは、皮膚の深い層や皮下組織に細菌が感染して炎症を起こした状態で、足・ふくらはぎ・すね周辺が赤く腫れ、熱感・痛みが生じます。発熱を伴うこともあり、重篤化すると入院が必要になる場合もあります。

足の水虫から蜂窩織炎を繰り返す患者さんも少なくなく、水虫の適切な治療が蜂窩織炎の予防につながることが医学的に示されています。特に高齢者・糖尿病患者・静脈瘤がある方は蜂窩織炎を発症しやすく、足の水虫のケアが特に重要です。

▶️ 丹毒(たんどく)

丹毒は連鎖球菌(主にA群β溶血性連鎖球菌)が皮膚の浅い層に感染して起こる病態です。明確な境界をもつ赤い腫れが突然現れ、高熱・悪寒を伴うことが多いです。足の水虫による皮膚のバリア破綻が、丹毒の入り口になることがあります。

🔹 リンパ浮腫の悪化

もともとリンパ浮腫(足がむくむ状態)がある方が水虫から蜂窩織炎を繰り返すと、リンパの流れがさらに障害され、むくみが悪化するという悪循環が生じることがあります。リンパ浮腫の患者さんにとって足の水虫のコントロールは非常に重要な課題です。

📍 白癬疹(はくせんしん)

白癬疹とは、白癬菌そのものが遠隔部位にいるわけではないのに、菌に対するアレルギー反応として皮膚に発疹が出る状態です。足の水虫がある人の手のひらや体幹に小水疱が出ることがあり、これは菌の直接感染ではなく免疫反応によるものです。水虫の治療によって改善することが多いです。

Q. 免疫が低下している人が水虫になると何が起きるか?

HIV感染症・免疫抑制剤の使用・コントロール不良の糖尿病などで免疫が著しく低下している場合、白癬菌が真皮より深い組織へ侵入する「深在性白癬」が起こることがあります。膿を伴うしこりやリンパ節腫脹が生じ、まれに血流を介した全身感染に至るケースもあります。

🔍 水虫菌による感染を放置するとどうなるか

「水虫くらい大したことない」と考えて放置する方が少なくありませんが、実際には放置することでさまざまな問題が起こりえます。ここでは時間軸で整理してみます。

感染初期の段階では、足の趾間(ゆびのあいだ)や足底に皮がむける・小さな水ぶくれができる・痒みが生じるといった症状が出ます。この段階で適切に治療を行えば、比較的早期に改善が期待できます。

数週間から数か月放置すると、菌が爪に到達して爪白癬を引き起こすリスクが高まります。また、かきむしった手で体の他の部位に触れることで股・胴体・手へと感染が拡大することがあります。

さらに長期間(数か月以上)放置した場合、爪白癬が進行して爪全体がボロボロになったり、皮膚のひび割れが深くなって細菌感染を起こしやすい状態になります。家族への感染源となり続けることも問題です。

高齢者・糖尿病患者・免疫抑制状態にある方が長期間放置した場合は、蜂窩織炎・丹毒・深在性白癬のリスクが特に高まります。足の水虫を入り口とした細菌感染が重篤化し、入院治療が必要になるケースもゼロではありません。

また、精神的・社会的な面でも放置は問題をもたらします。足の見た目が気になって人前で足を見せることへの抵抗感が生まれたり、爪が変形してきつい靴を履けなくなったり、痛みを伴うようになると歩行に支障をきたすこともあります。

📝 水虫菌が体内に侵入しないための予防策

白癬菌の感染を防ぐためには、菌を「つけない」「育てない」「広げない」という三つの観点から対策を行うことが大切です。

💫 菌をつけない(感染予防)

公共の場(温泉・プール・ジムなど)では素足で歩かないようにサンダルを使用することが有効です。帰宅後は足を石けんでよく洗い、趾間(ゆびのあいだ)を含めて丁寧に洗浄します。洗浄後はしっかり水分を拭き取ることが重要で、特に趾間が湿ったままになることを避けてください。

家族に水虫の方がいる場合は、バスマット・スリッパ・タオルを共有しないようにしましょう。感染者が使用したバスマットは定期的に洗濯・乾燥させることが推奨されます。

🦠 菌を育てない(増殖抑制)

白癬菌は高温多湿の環境を好みます。靴の中は特に菌が増殖しやすい条件が揃っているため、通気性の良い靴や靴下を選ぶことが重要です。同じ靴を毎日履き続けず、複数の靴をローテーションして乾燥させる習慣も有効です。靴の中に除湿剤や抗菌インソールを使用することも菌の増殖抑制に役立ちます。

足を洗った後に足専用の制汗剤・乾燥パウダーを使用することも、足の多汗を抑えて白癬菌が育ちにくい環境を作る上で効果的です。

👴 菌を広げない(拡散防止)

すでに水虫がある場合は、患部をかきむしらないように心がけましょう。かきむしることで皮膚バリアが傷つき、他の部位への拡散や細菌の二次感染が起こりやすくなります。また、患部に触れた後は必ず手を洗い、タオルや器具の共有を避けます。

家庭内では、感染者が使用した床(フローリングなど)を除菌清掃することも感染拡大の防止に有効です。白癬菌は乾燥した環境では長期間生存することができますが、洗浄や消毒で除去することができます。

🔸 全身の免疫機能を維持する

深在性白癬や重篤な感染を防ぐためには、全身の免疫機能を良好に保つことが基本です。糖尿病がある方は血糖値のコントロールをしっかり行い、バランスの良い食事・適度な運動・十分な睡眠を心がけることが、菌に対する抵抗力を維持することにつながります。

Q. 水虫の治療はどのくらいの期間継続する必要があるか?

足の皮膚の水虫では外用抗真菌薬を最低2〜3か月継続することが推奨されます。爪白癬では内服薬による治療が主流で、6か月〜1年程度かかる場合もあります。症状が消えても菌が残存していることがあるため、自己判断で中断せず医師の指示に従って治療を続けることが再発防止の鍵です。

💡 水虫の正しい治療法

水虫の治療には抗真菌薬を使用します。菌を直接死滅させる薬であり、市販薬でも購入できるものがありますが、症状の種類・重症度・感染部位によって適切な薬剤と使用方法が異なるため、皮膚科・クリニックで診断を受けることを推奨します。

💧 外用薬(塗り薬)による治療

足の皮膚に限局した水虫(足白癬)の多くは、外用の抗真菌薬で治療します。代表的な成分としてはテルビナフィン・ルリコナゾール・ラノコナゾール・エフィナコナゾールなどがあります。

外用薬の使用で最も重要な点は、症状が改善したからといって途中でやめないことです。白癬菌は角質の深い部分にまだ残っている可能性があり、見た目が良くなっても治療を中断すると再発します。一般的に、足の皮膚の水虫では最低でも4週間、できれば2〜3か月間は外用薬を継続することが推奨されています。また、症状が出ている部分だけでなく、足全体(足底・側縁・趾間すべて)に塗布することが重要です。

✨ 内服薬による治療

爪白癬の場合、塗り薬が爪の奥まで届きにくいため、内服薬による治療が主流です。テルビナフィン(ラミシール)やイトラコナゾール(イトリゾール)が代表的な内服抗真菌薬です。

テルビナフィンは1日1錠を6か月間服用することが標準的です。イトラコナゾールはパルス療法といって1週間服用して3週間休むサイクルを3回繰り返す方法が一般的です。いずれも肝機能への影響があるため、服用中は定期的な血液検査が必要です。服用前に他の薬との相互作用を確認することも重要です。

また、近年では爪に直接塗る外用の抗真菌薬(エフィナコナゾールやルリコナゾール)も登場し、内服薬が使いにくい患者さんにとって有効な選択肢となっています。ただし内服薬に比べて治癒率は低い傾向があります。

📌 治療期間について

水虫の治療は根気が必要です。皮膚の水虫では最低2〜3か月、爪白癬では6か月〜1年程度の治療期間が必要になることも珍しくありません。症状が消えても菌が完全にいなくなったかどうかは外見だけでは判断できないため、医師の判断に従って治療を継続することが大切です。自己判断で治療を中断することが再発の最大の原因の一つです。

▶️ 深在性白癬・重症例の治療

免疫が著しく低下した患者さんで深在性白癬が疑われる場合は、内科・感染症科と連携して全身管理を行いながら、全身性の抗真菌薬による積極的な治療が必要となります。これは一般的な皮膚科外来での治療とは異なり、入院管理が必要なケースもあります。

✨ いつ皮膚科・クリニックを受診すべきか

水虫の症状は他の皮膚疾患(湿疹・接触性皮膚炎・掌蹠膿疱症など)と見た目が似ていることがあります。市販薬を使用しても改善しない場合や、症状が広範囲にわたる場合には、自己判断で薬を使い続けるのではなく、皮膚科・クリニックを受診して正確な診断を受けることが重要です。

特に以下のような状況では早めの受診を検討してください。市販薬を1〜2か月使用しても症状が改善しない場合、爪が変色・肥厚・脆化(もろくなる)している場合、足以外の部位(股・胴体・手など)にも症状が広がっている場合、足が赤く腫れて熱を持ち痛みを伴う場合(二次感染の疑い)、糖尿病・免疫抑制状態・高齢者で足に皮膚症状がある場合などです。

皮膚科では、患部の皮膚や爪の一部を採取して顕微鏡で観察する「直接鏡検(直接塗抹検査)」によって白癬菌を確認します。この検査は短時間で結果が出るため、当日に診断がつくことがほとんどです。水虫かどうか確信が持てない場合でも、検査を受けることで正確な診断に基づいた適切な治療を受けることができます。

アイシークリニック上野院でも、足の皮膚・爪のトラブルについてご相談を承っております。長年悩んでいる水虫・爪の変化・繰り返す感染などお気軽にご相談ください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、「水虫は市販薬でなんとかなる」と長年放置された末に爪白癬が進行していたり、蜂窩織炎を繰り返してから受診される患者様が少なくありません。白癬菌自体が深部に侵入するケースはまれですが、皮膚バリアの破綻から細菌感染を招くリスクは決して軽視できず、特に糖尿病や高齢の方では重症化につながることもあるため、早めの診断と適切な治療の継続がとても大切です。「たかが水虫」と感じていても、症状が気になる際はどうぞお気軽にご相談ください。」

📌 よくある質問

水虫菌は血液や内臓にまで侵入しますか?

免疫機能が正常な健康な方では、白癬菌は皮膚の角質層に生息するため、血液や内臓への侵入は基本的に起こりにくいとされています。ただし、HIV感染症・免疫抑制剤の使用・糖尿病のコントロール不良などで免疫が著しく低下している場合は、深部組織へ侵入する「深在性白癬」が起こることがあります。

足の水虫を放置すると、どこまで広がる可能性がありますか?

足の水虫を放置すると、爪・股部・手・胴体など体の別の部位へ広がる可能性があります。特に爪白癬への移行が多く、一度感染すると自然治癒がほぼ期待できません。また、皮膚のバリア機能が低下することで細菌が侵入し、蜂窩織炎などの深刻な二次感染を引き起こすリスクも高まります。

水虫の市販薬を使えば自分で治せますか?

足の皮膚に限局した軽症の水虫であれば、市販の抗真菌薬で対応できる場合があります。ただし、症状が改善しても最低2〜3か月は塗り続けることが必要です。爪白癬・股部や手への拡大・市販薬で1〜2か月改善しない場合は、自己判断を続けず皮膚科・クリニックを受診して正確な診断を受けることをお勧めします。

水虫の治療はどのくらいの期間かかりますか?

治療期間は感染部位によって異なります。足の皮膚の水虫では最低2〜3か月の外用薬継続が必要です。爪白癬の場合は内服薬で6か月〜1年程度かかることも珍しくありません。症状が消えても菌が完全にいなくなっていない場合があるため、自己判断で中断せず医師の指示に従って治療を継続することが再発防止の鍵です。

家族への水虫感染を防ぐにはどうすればよいですか?

バスマット・スリッパ・タオルの共有を避けることが最も重要です。感染者が使用したバスマットは定期的に洗濯・乾燥させてください。また、公共施設では素足で歩かない、帰宅後は足を丁寧に洗い趾間までしっかり乾燥させる習慣も効果的です。すでに水虫がある場合は早めに治療を開始し、感染源をなくすことが家族への拡散防止につながります。

🎯 まとめ

水虫菌(白癬菌)が体内に入るとどうなるかについて解説してきました。重要なポイントを整理します。

白癬菌は基本的に皮膚の角質層に生息し、免疫機能が正常な健康な方では血液や内臓への侵入は起こりにくいと考えられています。しかし「体内に入る」という概念には二つの意味があり、一つは足の水虫が爪・股・手・体幹などの別の部位へ広がること、もう一つは免疫が著しく低下した場合に深在性白癬として深部組織に侵入するまれなケースです。

水虫を放置した場合の最大のリスクの一つは、皮膚バリアの破綻から細菌が侵入して蜂窩織炎などの二次感染を引き起こすことであり、これは特に高齢者・糖尿病患者・免疫抑制状態の方で深刻な問題となりえます。

予防の基本は、足を清潔に保ち乾燥させること、公共の場では素足を避けること、家族間での器具共有を避けること、そして全身の免疫機能を維持することです。

治療は抗真菌薬の外用薬または内服薬で行い、症状が改善しても菌が完全に消えるまで医師の指示通りに継続することが根治・再発防止の鍵です。自己判断での中断が再発の主な原因となっています。

「たかが水虫」と侮らず、適切な予防と早期治療を心がけることが、自分自身と家族の健康を守ることにつながります。症状が気になる場合は早めに皮膚科・クリニックを受診し、正確な診断と適切な治療を受けるようにしてください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 白癬(水虫・爪白癬)の診断・治療ガイドラインおよび抗真菌薬の使用方法、感染部位別の治療方針に関する情報
  • 厚生労働省 – 感染症対策・皮膚真菌症の予防と対処に関する公式情報、および白癬菌の感染経路・予防策についての公衆衛生的観点からの解説
  • 国立感染症研究所 – 白癬菌(皮膚糸状菌)の種類・感染経路・深在性白癬を含む病態の疫学的情報および免疫低下患者におけるリスクに関する専門的解説

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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