「手のひらがかゆい」「皮がむけてきた」「小さな水ぶくれが繰り返しできる」――こうした症状が手に現れたとき、もしかして水虫かもしれない、と気になる方は少なくありません。水虫というと足に起こるイメージが強いですが、実は手にも発症することがあります。手の水虫は「手白癬(てはくせん)」と呼ばれる感染症で、白癬菌という真菌(カビの一種)が皮膚に感染することで起こります。足の水虫と混同されやすいうえ、湿疹や乾燥肌、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)などほかの皮膚疾患とも見た目が似ているため、自己判断が非常に難しい疾患です。本記事では、手の水虫の画像的な特徴や症状、足の水虫との違い、他の皮膚病との見分け方、原因、治療法などを詳しく解説します。気になる症状がある場合は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
- 手の水虫(手白癬)とは何か
- 手の水虫の見た目・画像的な特徴
- 手の水虫の3つのタイプと症状
- 足の水虫との違い
- 手の水虫と間違えやすい皮膚疾患
- 手の水虫の原因と感染経路
- 手の水虫が疑われるときの診断方法
- 手の水虫の治療法
- 手の水虫を予防するためのポイント
- まとめ
この記事のポイント
手の水虫(手白癬)は白癬菌による感染症で、角質増殖型・水疱型・趾間型の3タイプがある。汗疱や手湿疹と見た目が酷似するため自己判断は困難で、KOH検査による確定診断と抗真菌薬治療が必要。多くは足の水虫からの自己感染が原因で、足・爪の同時治療が再発予防の鍵となる。
🎯 1. 手の水虫(手白癬)とは何か
手の水虫は、医学的には「手白癬(てはくせん)」と呼ばれます。白癬菌(はくせんきん)というカビ(真菌)が手の皮膚に感染し、増殖することで引き起こされる皮膚疾患です。白癬菌は皮膚の最も外側にある角質層(ケラチンというタンパク質を多く含む層)に寄生し、ケラチンを栄養として生き延びます。
白癬菌は体のさまざまな部位に感染しますが、部位によって呼び方が変わります。足に感染すれば「足白癬(足の水虫)」、爪に感染すれば「爪白癬(爪の水虫)」、股部に感染すれば「股部白癬(いんきんたむし)」、体幹や顔に感染すれば「体部白癬(ぜにたむし)」と呼ばれます。そして手に感染した場合が「手白癬」となります。
手白癬は足白癬と比べると発症頻度が低く、全白癬患者のなかでも比較的まれな疾患です。しかし、足の水虫を持っている方が自分の手で足に触れることで感染が広がるケースが多く、実際には足の水虫と手の水虫を同時に持っている方も珍しくありません。特に爪白癬を伴っている場合は注意が必要です。
また、手の水虫は一般的に片手のみに現れることが多いという特徴があります。両手に同じような症状が出た場合は、別の疾患を疑うケースもあります。こうした点も、診断を難しくする要因の一つです。
Q. 手の水虫(手白癬)の3つのタイプとは?
手白癬には角質増殖型・水疱型・趾間型の3タイプがある。角質増殖型は手のひらが厚く硬くなりかゆみが少ない。水疱型は透明な小水疱が現れかゆみが強い。趾間型は指の間がふやけて皮がむける。タイプにより症状や治療期間が異なる。
📋 2. 手の水虫の見た目・画像的な特徴
手の水虫を画像で探している方の多くは、「自分の手の症状が水虫かどうか確認したい」という思いからではないでしょうか。ここでは、手の水虫の見た目の特徴を詳しく説明します。
手の水虫の見た目は、症状のタイプによって異なりますが、共通して見られるのは以下のような特徴です。
まず、皮膚の乾燥と角質の肥厚(ひこう)が見られることが多いです。手のひら全体または一部がざらざらと乾燥し、皮膚が分厚く硬くなってきます。白い粉をふいたような状態になることもあります。この症状は乾燥肌とも似ており、冬場にひどくなるため、季節的な乾燥だと思って放置されるケースが多いです。
次に、小さな水疱(水ぶくれ)が手のひらや指の側面に現れることがあります。透明または薄い黄色の水疱で、かゆみを伴うことが多く、つぶれると皮がめくれます。水疱が乾燥すると周囲から皮がはがれてくるように見えます。
また、手のひらや指の間の皮がむけてくるのも特徴的な見た目です。白く薄い皮がぺらぺらとはがれてくる状態で、足の水虫でよく見られる「趾間型(しかんがた)」に似た見た目が手の指の間に現れることがあります。
さらに、爪に水虫が広がっている場合(爪白癬を合併している場合)は、爪が白く濁ったり、黄褐色に変色したり、ぼろぼろと崩れてきたりする見た目になります。爪の変化があるかどうかも、診断の手がかりになります。
いずれにしても、画像だけで水虫かどうかを断定することは医師でも困難です。似たような見た目の疾患が多いため、必ず皮膚科や専門クリニックで検査を受けることが重要です。
💊 3. 手の水虫の3つのタイプと症状
手の水虫は、症状や見た目の特徴によっておおまかに3つのタイプに分類されます。それぞれのタイプを詳しく見ていきましょう。
🦠 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)
手の水虫のなかで最も多く見られるタイプが角質増殖型です。手のひら全体の皮膚が徐々に厚くなり、表面がざらざらと硬くなってきます。乾燥して白い粉をふいたような状態になり、皮膚のしわに沿って白い線が目立つこともあります。かゆみは比較的少ないか、ほとんど感じない場合が多いため、単なる乾燥肌や手荒れとして長期間気づかれないことがよくあります。
このタイプは足白癬の角質増殖型と同様に、白癬菌の感染によって角質の代謝が乱れることで皮膚が異常に厚くなるという仕組みで起こります。ハンドクリームを塗っても改善しない頑固な手荒れが続く場合は、このタイプの手の水虫を疑う必要があります。また、爪白癬を同時に持っていることが多く、爪の変色や変形が見られることもあります。
👴 水疱型(すいほうがた)
手のひらや指の側面、手首近くに小さな水疱(水ぶくれ)が集まって現れるタイプです。水疱の内容物は透明で、直径1〜3ミリ程度の小さなものが多く見られます。かゆみが強く、水疱がつぶれたあとに皮がめくれ、赤みが残ることがあります。春から夏にかけて症状が悪化しやすく、季節的な変動が見られることもあります。
このタイプは「汗疱(かんぽう)」や「異汗性湿疹(いかんせいしっしん)」と呼ばれる皮膚疾患と見た目が非常に似ており、自己判断での区別は困難です。汗疱は汗の出口の詰まりが原因で起こるもので、白癬菌による感染症ではありません。そのため、治療法がまったく異なります。抗真菌薬を使うべき水虫に対してステロイド剤を使ってしまうと症状が悪化する恐れがあるため、専門医への受診が重要です。
🔸 趾間型(しかんがた)
足白癬でよく見られる趾間型に似たタイプで、指の間の皮膚がじくじくと湿ったり、皮がむけたりする症状が手の指の間に現れます。手では足ほど指の間が密着しないため、足の趾間型と比べると症状が軽いケースもありますが、かゆみやひりつきを感じることがあります。指と指の間がふやけたようにやわらかくなり、白く変色して皮がめくれてくる見た目が特徴です。
このタイプは手洗いや水仕事が多い方に見られやすく、皮膚が常に湿った状態になることで白癬菌が繁殖しやすくなります。仕事上どうしても手が濡れる機会が多い方は特に注意が必要です。
Q. 手の水虫と汗疱はどうやって見分けるの?
手の水虫(水疱型)と汗疱は、どちらも手のひらに小さな水疱が現れかゆみを伴うため、見た目での自己判断はほぼ不可能である。確実な鑑別には皮膚科でのKOH検査(顕微鏡で白癬菌の菌糸を確認する検査)が必要で、治療法がまったく異なるため専門医への受診が不可欠だ。
🏥 4. 足の水虫との違い
手の水虫と足の水虫はどちらも白癬菌が原因で起こる感染症ですが、いくつかの点で違いがあります。
まず発症頻度の違いです。足の水虫は非常に一般的で、日本人の5人に1人が足白癬を持っているとも言われています。一方、手の水虫は比較的まれで、手の水虫だけを単独で持っている方は少なく、多くの場合は足の水虫または爪白癬を持っていることが前提になります。
次に発症部位の左右差です。足の水虫では両足に症状が出ることも多いですが、手の水虫は片手のみに症状が現れることが典型的とされています。これは「2足1手症候群(にそくいっしゅしょうこうぐん)」とも呼ばれる現象で、両足と片手の合計3か所に白癬菌が感染しているパターンがよく見られます。両手に同じ症状が出ている場合は、水虫以外の疾患である可能性が高くなります。
また、かゆみの程度にも違いがあります。足の水虫はかゆみが強いイメージがありますが、手の角質増殖型の場合はかゆみをほとんど感じないことがあり、長期間気づかれにくいという特徴があります。足の水虫のかゆみが強い場合は趾間型や水疱型が多く、手では角質増殖型が多いという傾向がある点も違いの一つです。
さらに、感染経路と感染リスクの点でも違いがあります。足の水虫はプールの床やお風呂場など、不特定多数が素足で触れる場所から感染するケースが多いですが、手の水虫は自分の足の水虫や爪白癬から手に広がるケースが主流です。他人から直接手に感染するケースは足よりも少ないと考えられています。
⚠️ 5. 手の水虫と間違えやすい皮膚疾患
手の水虫は見た目が他の皮膚疾患に非常に似ているため、自己判断での診断は困難です。間違えやすい代表的な疾患をいくつか紹介します。
💧 接触性皮膚炎(かぶれ)
洗剤や化学物質、金属、植物などに触れることで起こるアレルギー反応または刺激反応です。赤み、かゆみ、水疱、皮むけなどの症状が出て、手の水虫の水疱型や趾間型と混同されやすいです。接触性皮膚炎は接触した部位に一致して症状が出る傾向がありますが、慢性化すると判断が難しくなります。ステロイドが有効な接触性皮膚炎と、抗真菌薬が必要な水虫では治療法がまったく異なるため、鑑別が重要です。
✨ 汗疱(かんぽう)・異汗性湿疹
手のひらや指の側面に小さな水疱が多数現れる疾患で、手の水虫の水疱型と見た目がほとんど区別できません。汗疱は汗腺の出口が詰まって起こるとされており、白癬菌とは無関係です。ストレスや発汗過多が誘因になることがあります。春から夏にかけて症状が出やすく、かゆみを伴います。顕微鏡検査で白癬菌が検出されなければ、汗疱や異汗性湿疹と診断されます。
📌 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足の裏に無菌性の膿疱(うみをもった水疱)が繰り返し現れる慢性疾患です。白癬菌とは関係なく、免疫の異常や喫煙、歯の感染(病巣感染)などが関連していると考えられています。水疱が黄色く濁って見えることが多く、水疱型の手の水虫と見分けがつきにくい場合があります。掌蹠膿疱症は手足の両方に対称的に症状が出ることが多く、手の水虫が片手のみに出ることが多いのとは異なりますが、必ずしも左右対称とは限らないため、検査での鑑別が必要です。
▶️ 乾癬(かんせん)
皮膚が赤く盛り上がり、白い鱗屑(りんせつ)が付着する慢性炎症性疾患です。免疫の異常が関与しており、全身の皮膚に出ることがありますが、手のひらにも発症します。角質増殖型の手の水虫と見た目が似ることがあります。乾癬は遺伝的要因や免疫の問題が背景にあり、白癬菌感染とはまったく異なる疾患です。
🔹 手湿疹(主婦湿疹)
水仕事が多い主婦や職業上手が濡れる機会が多い方に多く見られる湿疹です。手荒れが慢性化したもので、皮膚のバリア機能の低下が背景にあります。手全体が乾燥して皮がむけたり、ひびわれが生じたりします。角質増殖型の手の水虫と区別が難しく、顕微鏡検査が必要になります。
このように、手の水虫と似た症状を持つ疾患は数多く存在します。見た目だけでの自己判断は非常にリスクが高く、間違った治療を続けることで症状が悪化したり、他の部位や他の人に感染が広がったりする恐れがあります。必ず皮膚科専門医を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
Q. 手の水虫はなぜ足の水虫と同時に治療するの?
手白癬の多くは、足白癬や爪白癬を持つ人が足を触れた手から自己感染するケースが原因である。そのため手だけを治療しても、足や爪に白癬菌が残っていると再感染するリスクが高い。手・足・爪を同時に治療することが再発を防ぐうえで重要とされている。
🔍 6. 手の水虫の原因と感染経路
手の水虫の原因となるのは、白癬菌と呼ばれる真菌(カビの一種)です。白癬菌にはいくつかの種類がありますが、手白癬の原因として最も多いのはトリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)という菌種です。この菌は皮膚の角質層に含まれるケラチンというタンパク質を分解して栄養とし、増殖します。
白癬菌が皮膚に付着しただけで必ず感染するわけではありません。感染が成立するには、白癬菌が皮膚に一定時間留まり、皮膚に小さな傷や湿気があることなど、いくつかの条件が重なる必要があります。健康な皮膚のバリア機能が正常であれば、白癬菌が付着しても洗い流せば感染を防ぐことができます。
📍 手の水虫の主な感染経路
手の水虫の感染経路として最も多いのは、自己感染です。足の水虫や爪白癬を持っている方が、かゆくて足をかいたり、爪を切ったりする際に手に白癬菌が付着し、そのまま皮膚に感染が広がります。足の水虫を長年持っている方が気づかないうちに手にも感染しているケースが多く見られます。
次に多いのが、ペットからの感染です。犬や猫などのペットが白癬菌に感染している場合、ペットを抱いたりなでたりすることで手に感染することがあります。動物由来の白癬菌はトリコフィトン・ベルコーサム(Trichophyton verrucosum)などが知られており、炎症が強く出るケースもあります。
また、格闘技などのスポーツを通じた感染も報告されています。柔道や相撲、レスリングなど、肌と肌が直接触れ合う競技では、感染した選手から別の選手へと白癬菌が広がることがあります。
土壌接触による感染もまれにあります。土の中にも白癬菌が存在するため、農作業や園芸で素手で土を触る機会が多い場合にも感染リスクがあります。
💫 感染しやすくなる要因
免疫機能が低下している場合(糖尿病、ステロイド長期使用、免疫抑制剤の使用など)は、白癬菌が感染しやすく、症状も重くなりやすいです。また、皮膚のバリア機能が低下している場合(乾燥肌、手湿疹など)も感染リスクが高まります。水仕事が多く手が常に濡れている状態の方、高齢の方なども感染しやすいと言われています。
📝 7. 手の水虫が疑われるときの診断方法
手の水虫を正確に診断するためには、医療機関での検査が不可欠です。見た目だけでの診断は難しく、先述したように似た疾患が多いため、検査によって確定診断を行います。
🦠 直接鏡検(KOH検査)
最も基本的かつ重要な検査が直接鏡検、別名KOH(水酸化カリウム)検査です。皮膚の角質部分をやさしく削り取り、スライドガラスに載せてKOH溶液を加えて溶解処理を行ったあと、顕微鏡で観察します。白癬菌の菌糸(細長い糸状の構造)や胞子が確認できれば、白癬と診断されます。この検査は比較的短時間で結果が出るため、多くの医療機関で実施されています。
検査の精度を高めるためには、検体(サンプル)を適切な部位から採取することが重要です。水疱型であれば水疱の縁の皮膚を、角質増殖型であれば角質が厚くなっている部分の皮膚を採取します。
👴 真菌培養検査
KOH検査で白癬菌が見つからなかった場合や、菌種を特定したい場合に行われるのが真菌培養検査です。採取した皮膚の一部を培地(菌を増やすための栄養素を含んだ素材)に植え付け、一定温度で培養して白癬菌が増殖するかどうかを確認します。結果が出るまでに数週間かかるため、KOH検査を補完する目的で使用されます。
🔸 皮膚生検
まれなケースですが、他の検査で診断がつかない場合に皮膚の一部を採取して病理組織学的検査(顕微鏡で組織を詳しく観察する検査)を行うことがあります。これは皮膚生検(ひふせいけん)と呼ばれ、白癬以外の皮膚疾患との鑑別に役立ちます。
受診前に市販の抗真菌薬を使ってしまうと、検査で白癬菌が検出されにくくなることがあります。心当たりのある症状がある場合は、自己治療をする前に皮膚科を受診することが理想的です。また、ステロイド含有の市販薬を水虫に使用すると、一時的に症状が和らいで見えることがありますが、白癬菌はステロイドによって勢いを増すことがあり、症状が悪化する危険性があります。
Q. 手の水虫の治療期間はどのくらいかかる?
手白癬の治療期間は症状のタイプにより異なる。水疱型・趾間型では外用抗真菌薬を1〜2か月、角質増殖型では3〜6か月程度継続する必要がある。症状が改善しても皮膚に白癬菌が残っている可能性があるため、医師の指示した期間は治療を中断しないことが完治の鍵となる。
💡 8. 手の水虫の治療法
手の水虫が確定診断されたら、白癬菌に対する抗真菌薬による治療を行います。治療法は症状のタイプや程度によって異なります。
💧 外用抗真菌薬(塗り薬)
多くの場合、まず外用の抗真菌薬(塗り薬)から治療を始めます。現在、皮膚科で処方される代表的な外用抗真菌薬としては、テルビナフィン塩酸塩(ラミシールなど)、ルリコナゾール(ルリコン)、エフィナコナゾール、ラノコナゾールなどがあります。これらはイミダゾール系またはアリルアミン系の薬剤に分類され、白癬菌の細胞膜に必要な成分の合成を阻害することで菌の増殖を抑えます。
外用薬は患部だけでなく、その周囲にも広めに塗ることが大切です。白癬菌は症状が出ている部分よりも広い範囲に存在していることがあるためです。治療期間の目安は、水疱型や趾間型であれば1〜2か月、角質増殖型であれば3〜6か月程度が必要になります。症状が良くなっても、白癬菌が残っている可能性があるため、医師の指示に従って治療を続けることが重要です。
✨ 内服抗真菌薬(飲み薬)

塗り薬だけでは十分な効果が得られない場合や、爪白癬を同時に持っている場合、角質増殖型で皮膚が厚くて塗り薬が浸透しにくい場合などには、内服の抗真菌薬が選択されます。代表的な内服薬としては、テルビナフィン(ラミシール錠)、イトラコナゾール(イトリゾール)などがあります。
テルビナフィンは1日1回の服用で、通常6週間の内服が標準的です。イトラコナゾールはパルス療法(1週間服用して3週間休む、を3回繰り返す方法)が用いられることがあります。内服薬は肝臓に影響を与えることがあるため、定期的な血液検査が行われます。また、他の薬との飲み合わせにも注意が必要なため、服用している薬がある場合は医師に伝えることが大切です。
📌 治療を続けることの重要性
手の水虫の治療において最も重要なのは、症状が改善してもきちんと治療を完遂することです。皮むけやかゆみが治まっても、皮膚の奥にはまだ白癬菌が残っている可能性があり、途中で治療をやめると再発のリスクが高くなります。医師から指示された治療期間をしっかり守ることが、完治への近道です。
また、足の水虫や爪白癬が原因で手の水虫になった場合は、手だけを治療しても足や爪の水虫が残っていると再感染する可能性があります。足と手、爪を同時に治療することが再発予防において大切です。
✨ 9. 手の水虫を予防するためのポイント
手の水虫を予防するためには、感染経路を絶つことと、皮膚のバリア機能を維持することが基本になります。日常生活でできる予防策を以下に紹介します。
▶️ 足の水虫を徹底的に治療する
手の水虫の最大の原因は、自分の足の水虫や爪白癬です。足に水虫がある場合は、まず足の水虫を完治させることが最優先です。かゆくて足をかくことがないよう、足の治療を適切に行いましょう。足の爪白癬は特に治癒に時間がかかりますが、根気よく治療を続けることが重要です。
🔹 足を触った後は手を洗う
足の水虫がある場合、足に触れた後は必ず石けんで手を洗いましょう。特に爪切りや足の手入れをした後は、白癬菌が手に付着している可能性があります。丁寧な手洗いを習慣にすることで、自己感染のリスクを大きく下げることができます。
📍 手の皮膚を清潔に保ちながら乾燥させない
手を清潔に保つことは大切ですが、過度な手洗いや洗剤の使いすぎは皮膚のバリア機能を低下させ、かえって感染リスクを高める可能性があります。手洗い後はしっかり水分を拭き取り、適切な保湿ケアを行うことで、皮膚のバリア機能を維持しましょう。
💫 ペットの皮膚疾患にも注意する
飼っている犬や猫に脱毛や皮膚の異常が見られる場合は、動物病院で診てもらいましょう。ペットが白癬に感染している場合、ペットを触った後はしっかり手を洗い、感染が広がらないよう注意することが大切です。
🦠 免疫機能の維持
十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動などで全身の免疫機能を維持することも、感染症全般の予防につながります。糖尿病のある方は血糖コントロールが白癬感染のリスク管理にも重要です。
👴 家族内感染の予防
家族の中に足の水虫や手の水虫がある場合は、タオルやスリッパを共用しないことが感染予防に有効です。特に足拭きマットやバスマットは白癬菌が付着しやすいため、こまめに洗濯・乾燥させることをおすすめします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、手の乾燥や皮むけを「ただの手荒れ」として長期間放置された後に受診される患者様が少なくなく、実際に検査をしてみると手白癬だったというケースも見受けられます。手の水虫は汗疱や手湿疹と見た目がよく似ているため、自己判断で市販の保湿剤やステロイド剤を使い続けてしまうと症状が長引いたり悪化したりする恐れがありますので、気になる症状がある場合はお早めにご相談ください。正確な診断のもとで適切な治療を行うことが、つらい症状からの早期回復につながります。」
📌 よくある質問
足の水虫は日本人の5人に1人が持つほど一般的ですが、手の水虫は比較的まれです。大きな違いとして、手の水虫は片手のみに症状が出ることが多く、両手に同じ症状が出る場合は別の疾患を疑います。また、手の水虫の多くは足の水虫や爪白癬からの自己感染が原因です。
可能性はあります。手の水虫(角質増殖型)は、手のひらがざらざらと硬くなり、白い粉をふいたような状態になるのが特徴で、かゆみが少ないため単なる乾燥肌と区別がつきにくいです。ハンドクリームを塗っても改善しない頑固な手荒れが続く場合は、皮膚科での検査をおすすめします。
見た目だけでの自己判断はほぼ不可能です。どちらも手のひらや指の側面に小さな水疱が現れ、かゆみを伴います。確実に見分けるには、皮膚科での顕微鏡検査(KOH検査)が必要です。水虫にはステロイド剤が逆効果になる場合があるため、自己判断での市販薬使用は避けてください。
症状のタイプによって異なります。水疱型や趾間型であれば1〜2か月、角質増殖型では3〜6か月程度が目安です。症状が改善しても白癬菌が皮膚に残っている可能性があるため、医師の指示する期間は治療を続けることが重要です。途中でやめると再発リスクが高まります。
最も重要なのは、足の水虫や爪白癬をしっかり治療することです。足に触れた後は石けんで丁寧に手を洗い、自己感染を防ぎましょう。また、手洗い後はしっかり水分を拭き取り保湿ケアを行い、皮膚のバリア機能を維持することも大切です。ペットに皮膚の異常がある場合は動物病院への受診も検討してください。
🎯 まとめ
手の水虫(手白癬)は、足の水虫に比べると発症頻度は低いものの、見た目が他の皮膚疾患に似ているため見逃されやすく、長期間放置されることがある疾患です。角質増殖型、水疱型、趾間型という3つのタイプがあり、それぞれに特徴的な見た目があります。しかし、汗疱、接触性皮膚炎、掌蹠膿疱症、手湿疹など、症状が似た別の皮膚疾患も多く、画像や見た目だけで自己判断することは非常に難しいと言えます。
診断には皮膚科での顕微鏡検査(KOH検査)が必要であり、正確な診断に基づいた治療を行うことが完治への近道です。治療には外用抗真菌薬や内服抗真菌薬が使われますが、症状が改善してからも指示された期間はきちんと治療を続けることが重要です。また、手の水虫の多くは足の水虫が原因となるため、足と爪の水虫も同時に治療することが再発予防のカギになります。
手に気になる症状がある場合、市販薬で自己治療を試みる前に、まずは専門医を受診して正確な診断を受けることをおすすめします。アイシークリニック上野院では、皮膚のトラブルに関するご相談を受け付けています。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。適切な診断と治療で、つらい症状の改善を目指しましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 白癬(水虫)の診断・治療・予防に関するガイドラインおよび皮膚疾患の鑑別診断についての公式情報
- 厚生労働省 – 真菌感染症(白癬を含む)に関する感染予防・治療方針についての公式情報
- 国立感染症研究所 – 白癬菌(Trichophyton属など)の病原体情報・感染経路・疫学データに関する公式情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務