「自分がワキガだから、子どもにも遺伝するのではないか」「両親がワキガなのに、自分は大丈夫なのだろうか」このような不安や疑問を抱えている方は少なくありません。ワキガ(腋臭症)は、脇の下から独特のにおいを発する体質のことで、日本人の約10〜15%が該当するといわれています。ワキガの発症には遺伝が深く関係していることが医学的に明らかになっており、親から子へ遺伝する確率は非常に高いとされています。しかし、遺伝だけがすべてではありません。生活習慣や食事、ストレスなど後天的な要因も影響することが分かっています。本記事では、ワキガの遺伝の仕組みや確率、遺伝以外の原因、そして効果的な予防法や治療法について、医学的な観点から詳しく解説します。ワキガの遺伝について正しく理解し、適切な対策を講じるための参考にしてください。
目次
- ワキガとは?基本的な仕組みと特徴
- ワキガは遺伝する?遺伝の仕組みを解説
- 親から子への遺伝確率はどのくらい?
- ワキガの遺伝に関わる「ABCC11遺伝子」とは
- 遺伝以外でワキガになる原因
- ワキガ体質かどうかを確認する方法
- 子どもにワキガが遺伝した場合の対応
- ワキガの予防と日常的なケア方法
- ワキガの治療法と医療機関での対応
- よくある質問
この記事のポイント
ワキガは優性遺伝し、両親ともにワキガの場合は約80%以上、片親の場合は約50%の確率で子に遺伝する。ABCC11遺伝子が関与し、湿性耳垢がワキガ体質の指標となる。日常ケアや医療機関での治療で改善が期待できる。
🎯 ワキガとは?基本的な仕組みと特徴
ワキガ(腋臭症・えきしゅうしょう)とは、脇の下から特有の強いにおいを発する体質のことです。医学的には「腋臭症」と呼ばれ、体臭の一種として分類されています。ワキガのにおいは、一般的な汗のにおいとは異なり、独特の刺激臭を伴うことが特徴です。
🦠 ワキガが発生するメカニズム
人間の皮膚には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類の汗腺が存在します。エクリン汗腺は全身に分布しており、体温調節のために水分を主成分とするサラサラした汗を分泌します。一方、アポクリン汗腺は脇の下、耳の中、乳輪、陰部など限られた部位に存在し、タンパク質や脂質、アンモニアなどを含む粘り気のある汗を分泌します。
アポクリン汗腺から分泌される汗自体には、実はほとんどにおいがありません。しかし、この汗に含まれる成分が皮膚表面に存在する常在菌によって分解されると、独特のにおいを発する物質が生成されます。特に、コリネバクテリウム属やスタフィロコッカス属などの細菌がアポクリン汗腺からの分泌物を分解することで、3-メチル-2-ヘキセン酸などの揮発性脂肪酸が生成され、これがワキガ特有のにおいの原因となります。
👴 ワキガの特徴的なにおい
ワキガのにおいは、一般的に以下のように表現されることがあります。
・鉛筆の芯のようなにおい
・カレーのスパイスのようなにおい
・玉ねぎやネギのようなにおい
・酸っぱいにおい
・硫黄のようなにおい
においの強さや種類には個人差があり、同じワキガ体質でも人によって感じ方は異なります。また、食事内容や体調、ストレス状態などによっても、においの強さは変化することがあります。
🔸 日本人のワキガ発症率
ワキガの発症率は人種によって大きく異なります。日本人を含む東アジア人では約10〜15%とされていますが、欧米人では約70〜90%、アフリカ系の人々ではほぼ100%近くがワキガ体質であるといわれています。このような人種間の差異は、後述するABCC11遺伝子の変異と深く関係しています。
Q. ワキガは親から子へどのくらいの確率で遺伝しますか?
ワキガの遺伝確率は両親の体質によって異なります。両親ともにワキガの場合は約80%以上、片方の親のみワキガの場合は約50%の確率で子に遺伝するとされています。また、両親ともにワキガでない場合でも、隔世遺伝により数%の確率で発症することがあります。
📋 ワキガは遺伝する?遺伝の仕組みを解説
結論から申し上げると、ワキガは遺伝します。ワキガの発症には遺伝的要因が非常に大きく関与しており、親がワキガ体質である場合、子どもにも高い確率で遺伝することが医学的に証明されています。
💧 ワキガの遺伝形式
ワキガの遺伝は「優性遺伝(顕性遺伝)」の形式をとることが分かっています。優性遺伝とは、遺伝子のペアのうち片方だけにその形質を発現させる遺伝子があれば、その形質が現れる遺伝形式のことです。
人間は両親からそれぞれ1つずつ遺伝子を受け継ぎ、1対の遺伝子ペアを持っています。ワキガに関連する遺伝子の場合、ワキガになりやすい遺伝子(優性)とワキガになりにくい遺伝子(劣性)があり、優性の遺伝子を1つでも持っていればワキガ体質になる可能性が高くなります。
✨ アポクリン汗腺の数と大きさは遺伝で決まる
ワキガの原因となるアポクリン汗腺の数と大きさは、遺伝によってほぼ決定されます。アポクリン汗腺の数は生まれたときから決まっており、成長過程で増減することはありません。ただし、思春期になるとホルモンの影響でアポクリン汗腺が発達し、活動が活発になるため、この時期からワキガの症状が現れ始めることが多いのです。
アポクリン汗腺の数が多く、サイズが大きいほど、分泌される汗の量も増え、結果としてにおいも強くなる傾向があります。これらの特性は遺伝子によって決定されるため、ワキガ体質は親から子へと受け継がれやすいのです。
💊 親から子への遺伝確率はどのくらい?
ワキガの遺伝確率は、両親のワキガ体質の有無によって大きく異なります。以下に、具体的な遺伝確率の目安をご紹介します。
📌 両親ともにワキガの場合
両親がともにワキガ体質である場合、子どもにワキガが遺伝する確率は約80%以上とされています。両親ともにワキガの優性遺伝子を持っているため、子どもがその遺伝子を受け継ぐ確率が非常に高くなります。ただし、約20%の確率で遺伝しないケースもあり、これは両親がともに優性遺伝子と劣性遺伝子を1つずつ持っているヘテロ接合体である場合に起こります。
💫 ▶️ 片方の親がワキガの場合
片方の親だけがワキガ体質である場合、子どもへの遺伝確率は約50%程度とされています。ワキガ体質の親から優性遺伝子を受け継ぐかどうかによって、子どもがワキガになるかが決まります。つまり、2人に1人の確率でワキガ体質を受け継ぐ可能性があるということです。
🔹 両親ともにワキガでない場合
両親がともにワキガ体質でない場合でも、子どもがワキガになる可能性はゼロではありません。隔世遺伝という形で、祖父母世代のワキガ体質が孫世代に発現することがあります。これは、両親が劣性遺伝子を持っていながらも発症していない「保因者」である場合に起こりえます。ただし、この確率は比較的低く、数%程度とされています。
📍 遺伝確率の表
両親のワキガ状況と子どもへの遺伝確率をまとめると以下のようになります。
・両親ともにワキガ:約80%以上
・片方の親がワキガ:約50%
・両親ともにワキガでない:数%(隔世遺伝の可能性)
これらの数値はあくまで統計的な目安であり、実際の遺伝は個々のケースによって異なります。また、遺伝子を受け継いでいても、生活環境やホルモンバランスなどの要因によって症状の程度には個人差が生じます。
Q. ABCC11遺伝子とワキガの関係を教えてください。
ABCC11遺伝子はアポクリン汗腺の分泌物の性質を決定する遺伝子です。野生型(G型)を持つ人はワキガになりやすく、湿性耳垢が現れる傾向があります。日本人を含む東アジア人の約80〜90%は変異型(A型)を持つため、欧米人と比べてワキガの発症率が低くなっています。
🏥 ワキガの遺伝に関わる「ABCC11遺伝子」とは
ワキガの発症に深く関わっている遺伝子として、ABCC11遺伝子が注目されています。この遺伝子は、アポクリン汗腺の分泌物の性質を決定する重要な役割を担っています。
💫 ABCC11遺伝子の働き
ABCC11遺伝子は、細胞膜に存在するタンパク質(ABCトランスポーター)をコードしており、アポクリン汗腺から分泌される物質の輸送に関与しています。この遺伝子には、野生型(G型)と変異型(A型)の2つのタイプがあります。
野生型(G型)を持つ人は、アポクリン汗腺から脂質やタンパク質を多く含む分泌物が出やすく、これが細菌によって分解されることでワキガ特有のにおいが発生します。一方、変異型(A型)を持つ人は、アポクリン汗腺の分泌物が少なく、ワキガになりにくいとされています。
🦠 耳垢のタイプとワキガの関係
興味深いことに、ABCC11遺伝子は耳垢のタイプも決定しています。野生型(G型)を持つ人は湿った耳垢(湿性耳垢)になりやすく、変異型(A型)を持つ人は乾いた耳垢(乾性耳垢)になりやすい傾向があります。
そのため、耳垢のタイプはワキガ体質の重要な指標となります。湿った耳垢の人はワキガ体質である可能性が高く、乾いた耳垢の人はワキガになりにくい傾向があります。日本人の約80〜85%は乾性耳垢を持ち、残りの約15〜20%が湿性耳垢を持っているとされており、この割合はワキガの発症率とほぼ一致しています。
👴 人種間での遺伝子分布の違い
ABCC11遺伝子の変異型(A型)は、東アジア地域で発生し、東アジア人に多く見られます。日本人を含む東アジア人では約80〜90%が変異型を持っているため、ワキガの発症率が低くなっています。一方、欧米人やアフリカ人ではほとんどの人が野生型(G型)を持っているため、ワキガ体質の人が多数派となっています。
このような遺伝子の分布の違いが、人種間でワキガの発症率が大きく異なる理由です。欧米ではワキガは一般的な体質とみなされており、日本ほど問題視されない傾向があります。
⚠️ 遺伝以外でワキガになる原因
ワキガは遺伝的要因が大きいとされていますが、それだけが原因ではありません。後天的な要因によってワキガの症状が強まったり、発症したりすることもあります。以下に、遺伝以外の主な原因をご紹介します。
🔸 食生活の影響
食事の内容は体臭に大きな影響を与えます。特に以下のような食品は、ワキガのにおいを強める可能性があります。
・動物性脂肪の多い食品(肉類、乳製品など)
・油っこい食品(揚げ物、ファストフードなど)
・香辛料の強い食品(にんにく、玉ねぎ、スパイスなど)
・アルコール飲料
これらの食品を多く摂取すると、アポクリン汗腺から分泌される物質の成分が変化し、においが強くなる傾向があります。欧米型の食生活が普及したことで、日本人のワキガ発症率が増加しているという指摘もあります。
💧 ホルモンバランスの変化
ホルモンバランスの変化は、アポクリン汗腺の活動に影響を与えます。思春期になるとホルモンの分泌が活発になり、アポクリン汗腺が発達するため、この時期からワキガの症状が現れ始めることが多いです。
また、女性の場合は月経周期や妊娠、更年期などによるホルモンバランスの変動によって、ワキガのにおいが強くなったり弱くなったりすることがあります。生理前や妊娠中ににおいが強くなると感じる方も少なくありません。
✨ ストレスと精神的要因
ストレスや緊張状態は、汗の分泌を促進します。特にアポクリン汗腺は精神的な刺激に反応して活発になる性質があり、緊張したときに脇汗が増えるのはこのためです。慢性的なストレスにさらされていると、アポクリン汗腺からの分泌が増加し、ワキガのにおいが強くなる可能性があります。
📌 肥満と運動不足
肥満体型の方は、皮下脂肪が厚いため体温が上昇しやすく、汗をかきやすい傾向があります。また、脇の下に脂肪がつくと通気性が悪くなり、細菌が繁殖しやすい環境が作られます。その結果、ワキガのにおいが強くなることがあります。適度な運動と体重管理は、ワキガ対策としても重要です。
🦠 ▶️ 衛生習慣の影響
脇の下を清潔に保つことは、ワキガ対策の基本です。入浴やシャワーの頻度が少ない、汗をかいた後に放置する、同じ服を長時間着続けるなどの習慣は、皮膚常在菌の繁殖を促し、においを強める原因となります。また、脇毛を処理しないと汗や細菌が溜まりやすくなるため、適度な脇毛の処理も効果的です。
Q. 遺伝以外でワキガのにおいが強くなる原因は何ですか?
ワキガのにおいは遺伝以外の要因でも強くなります。動物性脂肪や香辛料の多い食事、アルコールの摂取はアポクリン汗腺の分泌物を変化させにおいを増強させます。また、ストレスや緊張はアポクリン汗腺を刺激し汗の分泌を促進します。肥満による通気性の悪化や不十分な衛生習慣も原因となります。
🔍 ワキガ体質かどうかを確認する方法
自分がワキガ体質かどうかを知ることは、適切な対策を講じるうえで重要です。以下に、セルフチェックできるポイントをご紹介します。
🔹 耳垢のタイプを確認する
前述のとおり、耳垢のタイプはワキガ体質の重要な指標です。綿棒などで耳垢を確認し、湿った粘り気のある耳垢(湿性耳垢)であればワキガ体質の可能性が高いといえます。一方、乾燥したカサカサの耳垢(乾性耳垢)であれば、ワキガになりにくい体質と考えられます。
📍 衣類の黄ばみをチェックする
ワキガ体質の方は、衣類の脇部分に黄色いシミができやすい傾向があります。これは、アポクリン汗腺から分泌される物質に含まれるリポフスチンという色素成分が原因です。白いシャツや下着の脇部分に、洗濯しても落ちにくい黄ばみが繰り返し発生する場合は、ワキガ体質の可能性があります。
💫 脇汗の量と性質を観察する
ワキガ体質の方は、脇汗の量が多く、粘り気があることが特徴です。特に緊張したときや暑いときに、脇に大量の汗をかきやすい方はワキガの可能性があります。また、汗をかいた後すぐに独特のにおいが発生する場合も注意が必要です。
🦠 家族歴を確認する
ワキガは遺伝性が高いため、両親や祖父母、兄弟姉妹にワキガ体質の方がいるかどうかを確認することも重要です。家族にワキガの方がいる場合、自分もワキガ体質である可能性が高まります。
👴 脇毛の状態を確認する
ワキガ体質の方は、脇毛の量が多く、1つの毛穴から複数の毛が生えていることがあります。また、脇毛に白い粉状のものが付着していることがあり、これはアポクリン汗腺からの分泌物が結晶化したものです。
🔸 医療機関での診断
セルフチェックだけでは判断が難しい場合は、医療機関を受診することをおすすめします。皮膚科や形成外科では、医師による診察やガーゼテスト(脇にガーゼを挟んでにおいを確認する検査)などによって、ワキガかどうかを診断することができます。
📝 子どもにワキガが遺伝した場合の対応
お子さまにワキガが遺伝した場合、適切な対応とサポートが重要です。特に思春期は心身ともに敏感な時期であり、ワキガによる悩みが精神的な負担になることもあります。
💧 ワキガが現れる時期
ワキガは、アポクリン汗腺が発達する思春期(小学校高学年から中学生頃)に症状が現れ始めることが一般的です。女子は男子よりも成長が早いため、小学校高学年頃から症状が出始めることがあります。ホルモンの分泌が活発になることでアポクリン汗腺が活性化し、においが発生するようになります。
✨ 子どもへの伝え方と心理的サポート
お子さまにワキガについて伝える際は、否定的な言葉を避け、体質の一つであることを理解させることが大切です。ワキガは病気ではなく、適切なケアや治療で対処できることを説明し、過度に心配させないようにしましょう。
また、いじめや からかいの対象になることを心配されるかもしれませんが、清潔を保ち、適切なデオドラント製品を使用することで、日常生活に支障をきたさないレベルまでにおいを抑えることは可能です。お子さまの気持ちに寄り添い、一緒に対策を考える姿勢が重要です。
📌 子どものワキガケア方法
子どものワキガケアは、以下のポイントを押さえて行いましょう。
・毎日の入浴で脇を丁寧に洗う
・汗をかいたらこまめに拭き取る
・通気性の良い綿素材の衣類を選ぶ
・肌に優しい子ども用のデオドラント製品を使用する
・制汗スプレーよりもロールオンやクリームタイプを選ぶ
小学生や中学生の場合、強力なデオドラント製品は肌への刺激が強すぎることがあるため、子どもの肌に適した製品を選ぶことが大切です。
👴 ▶️ 子どものワキガ治療について
セルフケアでは対処しきれない場合や、お子さまが強く悩んでいる場合は、医療機関への相談も選択肢となります。ただし、思春期はまだ体が成長段階にあるため、手術などの侵襲的な治療は慎重に検討する必要があります。まずは皮膚科を受診し、医師と相談のうえで適切な対応を決めることをおすすめします。
Q. ワキガの医療機関での主な治療法にはどんなものがありますか?
ワキガの治療法は複数あります。塩化アルミニウム外用薬は汗腺を塞ぎ制汗効果を発揮します。ボトックス注射は効果が4〜6ヶ月持続し、ダウンタイムが短い点が特長です。根本治療として、アポクリン汗腺を直視下で除去する剪除法が最も確実とされ、保険適用となる場合もあります。症状や生活環境に応じた治療法を専門医と相談のうえ選択することが重要です。
💡 ワキガの予防と日常的なケア方法
ワキガ体質であっても、日常的なケアによってにおいを軽減することは可能です。以下に、効果的な予防法とケア方法をご紹介します。
🔹 正しい入浴・洗浄方法
脇の下を清潔に保つことは、ワキガ対策の基本です。入浴時には以下のポイントを意識しましょう。
・殺菌成分配合のボディソープや石鹸を使用する
・脇の下を丁寧に、しかしゴシゴシ擦りすぎないように洗う
・洗い終わったらしっかりとすすぎ、石鹸成分を残さない
・入浴後は脇をしっかり乾かしてからデオドラント製品を使用する
皮膚を傷つけると常在菌のバランスが崩れ、かえってにおいが強くなることがあるため、優しく洗うことを心がけましょう。
📍 デオドラント製品の選び方と使い方
デオドラント製品には、制汗剤(汗を抑える)と消臭剤(においを抑える)があります。ワキガ対策には、殺菌成分と制汗成分の両方が含まれた製品を選ぶと効果的です。
製品のタイプとしては、ロールオンやクリームタイプ、スティックタイプが、スプレータイプよりも持続力が高くおすすめです。使用するタイミングは、入浴後の清潔な肌に塗布するのが最も効果的です。朝起きたときに汗をかいた状態で塗っても、効果が十分に発揮されません。
💫 食生活の改善
食事内容を見直すことで、ワキガのにおいを軽減できる可能性があります。以下のような食生活を心がけましょう。
・野菜や果物を多く摂取する
・動物性脂肪の摂取を控えめにする
・香辛料の強い食品を控える
・アルコールの摂取を控える
・水分をしっかり摂取する
抗酸化作用のあるビタミンCやビタミンE、ポリフェノールを含む食品は、体臭の軽減に役立つとされています。
🦠 衣類の工夫
着用する衣類もワキガ対策に重要です。以下のポイントを参考にしてください。
・通気性の良い天然素材(綿、麻など)の衣類を選ぶ
・化学繊維は汗を吸収しにくく、においがこもりやすいため避ける
・脇汗パッドを使用して衣類への汗染みを防ぐ
・汗をかいたら早めに着替える
・衣類は毎日洗濯し、脇部分は念入りに洗う
👴 脇毛の処理
脇毛は汗や分泌物を絡め取り、細菌の繁殖場所となるため、適度に処理することでにおいを軽減できます。カミソリでの剃毛、除毛クリームの使用、医療脱毛などの方法があります。ただし、カミソリ負けや肌荒れを起こすと逆効果になることがあるため、肌に合った方法を選びましょう。
🔸 ストレス管理
ストレスはアポクリン汗腺を刺激し、汗の分泌を増加させます。適度な運動、十分な睡眠、リラックスできる趣味の時間を確保するなど、ストレスを溜めない生活を心がけましょう。
✨ ワキガの治療法と医療機関での対応
セルフケアでは改善が難しい場合や、症状が重い場合は、医療機関での治療を検討することをおすすめします。ワキガの治療には、さまざまな方法があります。
💧 外用薬による治療
医療機関で処方される外用薬には、塩化アルミニウム溶液などがあります。塩化アルミニウムは汗腺の出口を塞いで制汗効果を発揮し、汗の分泌を抑えることでにおいを軽減します。市販のデオドラント製品よりも高濃度のため、効果が高い反面、肌への刺激が強いことがあります。医師の指導のもとで使用することが大切です。
✨ ボトックス注射
ボトックス(ボツリヌス毒素)を脇に注射する治療法です。ボトックスには汗腺の活動を抑制する作用があり、汗の分泌量を減らすことでにおいを軽減します。効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に4〜6ヶ月程度です。手術に比べてダウンタイムが短く、比較的手軽に受けられる治療として人気があります。
📌 手術療法
ワキガの根本的な治療として、アポクリン汗腺を除去する手術があります。主な手術方法には以下のようなものがあります。
・剪除法(せんじょほう):脇の下を切開し、直視下でアポクリン汗腺を除去する方法。最も確実性が高い治療法とされています。
・吸引法:小さな切開から管を挿入し、汗腺を吸引除去する方法。傷跡が小さく、回復が早いのが特徴です。
・皮下組織削除法:特殊な器具を使用して皮下組織とともに汗腺を削り取る方法です。
手術は根本的な治療が期待できますが、ダウンタイムがあること、傷跡が残る可能性があること、費用が高額になることなどを考慮する必要があります。
🔸 ▶️ レーザー治療・マイクロ波治療
近年では、レーザーやマイクロ波を使用してアポクリン汗腺を破壊する治療法も登場しています。皮膚を切開せずに治療できるため、傷跡が残りにくく、ダウンタイムも比較的短いのが特徴です。ただし、手術と比べると効果にばらつきがあることがあります。
🔹 保険適用について
ワキガ治療の一部は健康保険が適用される場合があります。剪除法などの手術は、医師が「腋臭症」と診断した場合に保険適用となることがあります。一方、ボトックス注射やレーザー治療などは基本的に自由診療となることが多いです。治療を検討される際は、医療機関で保険適用の可否を確認することをおすすめします。
📍 治療法の選択について
どの治療法を選択するかは、症状の程度、ライフスタイル、予算、ダウンタイムの許容範囲などによって異なります。まずは皮膚科や形成外科を受診し、専門医と相談のうえで最適な治療法を決めることが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「ワキガのご相談で来院される患者さんの多くは、『親がワキガだから自分も遺伝したのではないか』『子どもに遺伝していないか心配』といったお悩みを抱えていらっしゃいます。当院では、まず丁寧な問診と診察を行い、ワキガ体質かどうかを正確に診断したうえで、患者さん一人ひとりに合った治療法をご提案しています。特に最近は、10代後半から20代の若い世代からのご相談が例年より約15%増加している印象があります。ワキガは遺伝的な要因が大きいですが、適切な治療とケアで十分に改善が期待できます。お一人で悩まずに、ぜひ専門医にご相談ください。」
📌 よくある質問
ワキガの遺伝確率は100%ではありません。両親ともにワキガの場合は約80%以上、片方の親がワキガの場合は約50%の確率で遺伝するとされています。遺伝子を受け継いでいても、必ずしも症状が現れるとは限りません。
はい、あります。これは隔世遺伝と呼ばれる現象で、祖父母世代のワキガ体質が孫世代に発現することがあります。両親が遺伝子の保因者である場合に起こりえますが、確率は比較的低いとされています。
ワキガの症状は、アポクリン汗腺が発達する思春期(小学校高学年から中学生頃)に現れ始めることが一般的です。女子は男子より成長が早いため、小学校高学年頃から症状が出始めることがあります。
耳垢が湿っているからといって必ずワキガというわけではありませんが、ワキガ体質である可能性は高いといえます。湿性耳垢とワキガは同じ遺伝子(ABCC11遺伝子)によって決定されるため、相関関係があります。ただし、においの強さには個人差があり、湿性耳垢でも症状が軽い方もいらっしゃいます。
ワキガ体質自体を生活習慣で完全に治すことは難しいですが、においを軽減することは可能です。毎日の入浴、デオドラント製品の使用、食生活の改善、ストレス管理などを心がけることで、症状を抑えることができます。根本的な改善を希望される場合は、医療機関での治療をご検討ください。
剪除法などの手術を受けることで、多くの方がワキガの症状を大幅に改善できます。ただし、アポクリン汗腺をすべて除去することは技術的に難しく、再発する可能性もゼロではありません。手術を検討される際は、専門医と十分に相談し、期待できる効果とリスクを理解したうえで決断することが大切です。
参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務