風邪をひいたとき、唇がカサカサになったり、ひび割れたりして困った経験はありませんか?「たかが唇の荒れ」と軽く見てしまいがちですが、実は風邪の症状や経過と深く関わっています。鼻づまりによる口呼吸、発熱による体内の水分消耗、免疫反応に伴うビタミンの消費増加など、風邪が引き金となって唇の荒れを悪化させるメカニズムはいくつも存在します。この記事では、風邪と唇荒れの関係をわかりやすく解説するとともに、日常でできるセルフケアや、医療機関への相談が必要なサインについても詳しくお伝えします。
目次
- 風邪をひくと唇が荒れやすくなる理由
- 口呼吸が唇に与える影響
- 発熱・脱水と唇の乾燥の関係
- 風邪によるビタミン不足が唇荒れを招く
- 薬の副作用で唇が荒れることがある
- 唇の荒れを悪化させるNG習慣
- 風邪中の唇荒れを和らげるセルフケア
- 唇荒れを予防するための生活習慣
- 医療機関を受診すべき唇荒れのサイン
- まとめ
この記事のポイント
風邪による唇荒れは、口呼吸・発熱による脱水・ビタミンB群やC不足・薬の副作用が複合的に重なり生じる。保湿・水分補給・加湿が基本対策で、水疱や2週間以上続く症状は医療機関への受診が必要。
🎯 1. 風邪をひくと唇が荒れやすくなる理由
風邪と唇荒れは、一見すると関係がないように思えるかもしれません。しかし、風邪をひくと体の中ではさまざまな変化が起こり、その連鎖が唇の状態に影響を与えます。
まず前提として、唇の構造について理解しておきましょう。唇の皮膚は体の他の部位と比べて非常に薄く、皮脂腺(皮脂を分泌して皮膚を保護する腺)がほとんど存在しません。一般的な皮膚は皮脂膜によって水分の蒸発を防いでいますが、唇にはその保護機能が乏しいのです。そのため、少しの刺激や環境変化でも乾燥やひび割れが起きやすい構造になっています。
風邪をひくと、この繊細な唇に対してさまざまな負荷がかかります。代表的な要因を整理すると、以下のようになります。
- 鼻づまりによる口呼吸の増加
- 発熱による体内の水分消耗
- 食欲低下や消化吸収の低下によるビタミン・ミネラル不足
- 免疫活動の亢進によるビタミン消費の増加
- 風邪薬や抗生物質などの薬の副作用
- 体力低下による皮膚バリア機能の低下
これらの要因が単独で、あるいは複合的に重なることで、風邪の期間中は唇が荒れやすい状態が続きます。それぞれの要因について、次のセクション以降で詳しく解説していきます。
Q. 風邪をひくと唇が荒れやすくなる理由は?
風邪中に唇が荒れやすくなる主な理由は、鼻づまりによる口呼吸で唇が乾燥すること、発熱で体内水分が消耗すること、食欲低下や免疫反応によるビタミンB群・ビタミンCの不足が重なることです。唇は皮脂腺が少なく乾燥しやすい部位であるため、これらの要因が複合的に重なる風邪の期間中は特に荒れが起きやすくなります。
📋 2. 口呼吸が唇に与える影響
風邪をひいたときに唇が荒れる最も大きな原因のひとつが、口呼吸です。
健康な状態のとき、私たちは基本的に鼻で呼吸しています。鼻には空気を温め、湿らせ、異物を除去するフィルター機能が備わっています。しかし風邪をひくと、鼻の粘膜が炎症を起こして腫れ、鼻づまりが生じます。鼻が詰まると自然と口で呼吸するようになりますが、口呼吸には鼻呼吸のような保湿・加温機能がありません。
口から空気が出入りすると、口腔内や唇周囲の水分が急速に蒸発します。特に就寝中は口が開きやすく、長時間にわたって唇が乾燥した空気にさらされます。朝起きたときに唇がひどく乾燥している場合は、就寝中に口呼吸をしている可能性が高いといえます。
また、口呼吸は唇の直接的な乾燥だけでなく、口腔内の乾燥(ドライマウス)も引き起こします。通常、唾液には抗菌作用や保湿作用があり、口腔内の環境を整える役割を担っています。口呼吸によって唾液の分泌や作用が低下すると、口周囲の粘膜や唇の防御機能が落ち、荒れが悪化しやすくなります。
さらに、口呼吸が続くと無意識に舌や唇を舐める行動が増えることがあります。舐めることで一時的に潤いを感じられますが、唾液が蒸発するときに唇の水分まで一緒に奪われてしまいます。この「舐め癖」が唇荒れを悪化させる悪循環になることが多いため、注意が必要です。
口呼吸の改善には、鼻づまり自体を和らげることが最も効果的です。蒸しタオルで鼻を温める、部屋を加湿するなどの方法が有効です。また、就寝時に口呼吸防止テープを使用する方法もありますが、鼻が完全に詰まっている場合は使用を避け、まず耳鼻科的な治療を優先してください。
💊 3. 発熱・脱水と唇の乾燥の関係
風邪をひくと発熱することが多く、体温が上がると体内の水分が通常よりも多く消耗します。体温が1℃上昇するごとに、1日に必要な水分量は約500ml増加するといわれています。これは、発熱によって発汗量が増えることや、代謝が亢進することが原因です。
発熱時に適切な水分補給が行われないと、体全体が脱水状態に近づきます。皮膚や粘膜の乾燥は、脱水の典型的なサインのひとつです。唇は特に水分の蒸発が起きやすい部位なので、体内の水分量が不足するとすぐに乾燥・ひび割れとして現れます。
風邪のときに食欲がなくなったり、喉の痛みで飲み物をあまり飲めなかったりすることも多いですが、そのような状態では水分不足がさらに深刻になります。特に小さな子どもや高齢者は、脱水に対して脆弱であるため注意が必要です。
また、発汗による水分消耗だけでなく、熱による炎症反応も皮膚・粘膜のバリア機能を低下させます。炎症が生じると体内では免疫細胞が活発に動き、その過程でさまざまな物質(サイトカインなど)が放出されます。これらの物質は皮膚組織にも影響を与え、乾燥や炎症を悪化させる方向に働くことがあります。
風邪中の水分補給について、飲みやすいものとしては水、麦茶、スポーツドリンクなどが挙げられます。喉が痛い場合はぬるめの飲み物が摂取しやすいでしょう。また、発熱時には汗と一緒にナトリウムなどの電解質も失われるため、水だけでなく経口補水液やスポーツドリンクなどを適宜取り入れることも有効です。
唇の乾燥を防ぐためには外からのケアも大切ですが、まず「内側から保湿する」という意識で積極的に水分補給を行うことが基本となります。
Q. 風邪中の口呼吸が唇に与える影響は?
風邪による鼻づまりで口呼吸が増えると、唇周囲の水分が急速に蒸発して乾燥が進みます。また口腔内の乾燥により唾液の保湿・抗菌作用が低下し、唇の防御機能も落ちます。さらに乾燥を感じて唇を舐める習慣が生じると、唾液蒸発時に唇の水分も奪われる悪循環に陥ります。就寝中の口呼吸対策には寝室の加湿が特に有効です。
🏥 4. 風邪によるビタミン不足が唇荒れを招く
唇の荒れには、ビタミン不足も深く関わっています。特に関係が深いのはビタミンB群とビタミンCです。
ビタミンB2(リボフラビン)は、皮膚や粘膜の健康を維持するために欠かせない栄養素です。ビタミンB2が不足すると、口角炎(口の端が荒れてひび割れる症状)や口内炎、舌炎、そして唇全体の荒れが起きやすくなることが知られています。ビタミンB2は細胞の再生や皮膚の修復にも関与しており、不足すると皮膚のターンオーバー(新しい細胞への生まれ変わり)がうまくいかなくなります。
ビタミンB6(ピリドキシン)も皮膚・粘膜の健康に重要です。アミノ酸の代謝に関与しており、皮膚を構成するたんぱく質の合成をサポートします。不足すると口角炎や脂漏性皮膚炎などの皮膚症状が現れることがあります。
ビタミンCはコラーゲンの合成に必要で、皮膚の弾力性や保水力の維持に欠かせません。また、強力な抗酸化作用を持ち、免疫機能をサポートする働きもあります。風邪をひくと体の免疫反応が活発になり、ビタミンCの消費量が急激に増加します。十分に摂取しないと皮膚の回復が遅れ、唇の荒れも長引きやすくなります。
これらのビタミンが風邪中に不足しやすい理由は主に2つあります。
ひとつ目は、食欲低下による摂取不足です。風邪をひくと消化機能が低下し、食欲がなくなることが多いため、普段と比べて食事量が大幅に減ります。特にビタミンが豊富な野菜や果物は「食べにくい」と感じることもあり、バランスが偏りがちです。
ふたつ目は、免疫反応によるビタミンの消費増加です。ウイルスや細菌と戦うために免疫細胞が活発に働くと、エネルギー代謝が亢進し、その過程でビタミンB群やビタミンCが通常よりも多く消費されます。
風邪中にビタミンを補うには、食事から摂取するのが理想的ですが、食欲がない場合はゼリータイプの栄養補助食品やビタミン飲料を活用するのも一つの手段です。ビタミンB2を多く含む食品には乳製品、卵、レバー、納豆などがあり、ビタミンCはいちご、キウイ、柑橘類、ブロッコリーなどに豊富に含まれています。
⚠️ 5. 薬の副作用で唇が荒れることがある
風邪の治療として市販薬や処方薬を使用することがありますが、これらの薬の成分が唇荒れの原因になる場合があります。
代表的なものとして、抗ヒスタミン薬(総合感冒薬に配合されることが多い)が挙げられます。抗ヒスタミン薬にはアレルギー症状や鼻水を抑える効果がありますが、同時に唾液の分泌を抑制する「抗コリン作用」を持つものがあります。唾液の分泌が低下すると口腔内や唇の乾燥が進み、荒れの原因となります。
また、解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンやイブプロフェンなど)も一部の人では皮膚や粘膜への影響が出ることがあります。まれではありますが、薬剤アレルギーによる皮膚症状(薬疹)として唇の腫れや荒れが出ることもあります。
抗生物質(細菌性の感染症と診断された場合に処方される)を服用すると、腸内細菌のバランスが乱れ、ビタミンB群の腸内合成が減少することがあります。ビタミンB2は腸内細菌によっても一定量が合成されているため、抗生物質の影響でビタミンB不足が起こり、それが口角炎や唇荒れに繋がるケースもあります。
薬を服用しながら唇荒れが気になる場合は、自己判断で服薬を中断するのではなく、処方した医師や薬剤師に相談してください。代替薬への変更や、副作用対策としての保湿ケアのアドバイスをもらえる場合があります。
なお、服薬中にひどい口の腫れや水疱形成が出現した場合は、スティーブンス・ジョンソン症候群などの重篤な薬剤性皮膚障害の可能性もゼロではありません(非常にまれですが)。そのような場合はすぐに医療機関を受診することが必要です。
Q. 風邪薬が唇荒れの原因になることはある?
風邪薬の成分が唇荒れを引き起こすことがあります。総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン薬は唾液分泌を抑える作用があり、口腔内や唇の乾燥を招きます。また抗生物質の服用により腸内細菌のバランスが乱れ、ビタミンB群が不足して口角炎や唇荒れにつながるケースもあります。気になる場合は自己判断で服薬を中断せず、処方医や薬剤師に相談することが大切です。
🔍 6. 唇の荒れを悪化させるNG習慣
風邪中の唇荒れを長引かせたり悪化させたりしてしまう行動には、いくつかの共通するパターンがあります。当てはまるものがないか確認してみてください。
唇を舐める習慣は、最も多く見られるNG行動です。先述のとおり、唾液によって一時的に潤いを感じますが、唾液が蒸発するときに唇の水分も一緒に奪われてしまいます。唾液にはたんぱく質分解酵素(アミラーゼなど)が含まれており、これが繰り返し唇に触れることで、皮膚に炎症を引き起こすこともあります。
唇の皮を剥く・噛む行為も危険です。乾燥した唇には薄い皮がめくれてくることがありますが、これを無理に剥がすと、新しい皮膚が剥き出しになって痛みや出血を招き、さらに荒れが進みます。また、雑菌が傷口から入ることで感染するリスクもあります。
乾燥した環境に長時間いることも唇荒れを悪化させます。冬場のエアコン使用時など、室内の湿度が極端に低い状態では唇の乾燥が急激に進みます。加湿器を使用したり、濡れタオルを室内に干したりして適切な湿度(50〜60%程度)を保つことが理想的です。
不規則な睡眠や過度の疲労も皮膚バリア機能を低下させる要因になります。風邪のときはただでさえ体力が消耗しているため、無理をせずにしっかり休養を取ることが唇のケアにも繋がります。
また、刺激の強い食事(辛いもの、酸っぱいもの、塩辛いものなど)は唇に直接的な刺激を与えます。風邪中は消化機能も低下しているため、刺激の少ない食事を選ぶのが体全体にとっても唇にとっても望ましいといえます。
日焼けも唇を傷める原因になります。紫外線は唇の皮膚にもダメージを与えるため、外出時には日焼け止め成分配合のリップクリームを使用することをおすすめします。風邪中は外出を控えることが多いとはいえ、日差しの強い季節や窓際での紫外線にも注意が必要です。
📝 7. 風邪中の唇荒れを和らげるセルフケア
風邪中の唇荒れを和らげるためには、外側からのケアと内側からのケアを組み合わせることが大切です。ここでは、日常的に取り組めるセルフケアの方法をご紹介します。
🦠 リップクリームやワセリンで保湿する
唇荒れのケアとして最も基本的かつ効果的なのが、保湿剤の使用です。市販のリップクリームやワセリン(白色ワセリン)を唇に塗ることで、水分の蒸発を防ぎ、乾燥から唇を守ります。
リップクリームを選ぶ際は、メントールやフレーバーなど刺激成分が少ないシンプルなものが肌への負担が小さくおすすめです。ヘパリン類似物質やセラミド、ヒアルロン酸などの保湿成分が配合されているものは、乾燥した唇の回復を助ける効果が期待できます。
ワセリンは皮膚科でもよく推奨される安全性の高い保湿剤です。香料や添加物が含まれていないため、敏感な唇にも使いやすく、寝る前に厚めに塗るのが効果的です。
👴 水分補給を意識的に行う
前述のとおり、発熱や口呼吸によって体内の水分が失われやすくなっています。こまめに水分補給を行い、体の内側から潤いを保つことが大切です。一度に大量に飲むよりも、少量を頻繁に飲む方が吸収されやすく、体への負担も小さくなります。
🔸 部屋の湿度を適切に保つ
乾燥した空気は唇荒れを悪化させます。加湿器や濡れタオル、洗濯物を部屋干しするなどして室内の湿度を50〜60%に保つよう努めましょう。特に就寝時は口呼吸によって唇が乾燥しやすいため、寝室の加湿は重要です。
💧 栄養バランスを意識した食事を心がける
食欲がなくても、ビタミンB群やビタミンCを含む食品を少しでも取り入れることが大切です。風邪中に食べやすいものとしては、野菜スープ、雑炊(お粥)にとろろや卵を加えたもの、ヨーグルトや豆腐なども参考になります。固形物が難しい場合は栄養補助ドリンクやゼリーの活用も選択肢のひとつです。
✨ 唇を舐めないよう意識する
乾燥を感じると無意識に唇を舐めてしまうことがありますが、舐めるたびに乾燥が悪化します。唇が乾燥を感じたらリップクリームを塗る習慣をつけることで、舐める衝動を和らげることができます。
📌 唇の皮を無理に剥がさない
めくれた皮が気になっても、無理に剥がすのは禁物です。ぬるま湯で湿らせた清潔なコットンやガーゼを唇に当てて皮を柔らかくしてからそっと取り除き、その後すぐに保湿剤を塗ることが最善の対処法です。
Q. 唇荒れで医療機関を受診すべき症状は?
唇に水疱が現れた場合は口唇ヘルペスの疑いがあり、早期の抗ウイルス薬治療が有効なため速やかに受診してください。また口角炎が長引く場合はカンジダ菌感染の可能性があります。風邪回復後も2週間以上唇荒れが続く場合は甲状腺機能低下症などの全身疾患が背景にある場合もあり、皮膚科や内科への受診を検討してください。子どもで唇の腫れに発熱や発疹が伴う場合は川崎病の可能性もあり要注意です。
💡 8. 唇荒れを予防するための生活習慣
風邪中だけでなく、普段から唇荒れを起こしにくい体の状態を作っておくことが、根本的な予防につながります。以下の生活習慣を参考にしてみてください。
▶️ バランスの良い食事で栄養状態を整える
唇荒れに関係するビタミンB群やビタミンCを日頃から十分に摂取することが大切です。また、皮膚の材料となるたんぱく質(肉、魚、卵、大豆製品など)、亜鉛(牡蠣、牛肉、ナッツ類など)も積極的に取り入れましょう。亜鉛はビタミンB6と並んで皮膚の健康維持に関わる重要なミネラルです。
偏食や過度なダイエットは栄養不足を招き、唇の状態を悪化させる可能性があります。極端なカロリー制限中にも口角炎や唇荒れが起きやすいことが知られています。
🔹 日常的にリップクリームで保湿する
唇荒れが起きてから対処するのではなく、荒れる前から保湿を習慣にすることが効果的です。外出前・就寝前の保湿ケアを日課にすると、唇のバリア機能を維持しやすくなります。
📍 十分な睡眠と休養を確保する
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、皮膚の修復や再生が行われます。睡眠不足は皮膚のターンオーバーを乱し、唇荒れを含む皮膚トラブルのリスクを高めます。成人では7〜8時間程度の睡眠を確保することが推奨されています。
💫 鼻呼吸を意識する
普段から口呼吸の癖がある人は、鼻呼吸を意識的に行うよう心がけましょう。もし慢性的な鼻詰まりやアレルギー性鼻炎が原因で口呼吸が習慣化している場合は、耳鼻科を受診して原因を治療することが根本解決につながります。
🦠 免疫機能を維持する生活習慣を心がける
適度な運動、ストレスの管理、禁煙(喫煙は皮膚のビタミンCを消耗させます)なども、皮膚の健康と免疫機能の維持に役立ちます。規則正しい生活リズムを整えることが、結果として唇荒れの予防にもなります。
👴 紫外線対策を忘れない

紫外線は唇の皮膚にもダメージを与えます。外出時はUV成分配合のリップクリームを使うことで、紫外線による唇荒れを予防できます。
✨ 9. 医療機関を受診すべき唇荒れのサイン
ほとんどの場合、風邪に伴う唇荒れは風邪が回復するにつれて自然に改善します。しかし、中には医療機関を受診すべき状態が隠れていることがあります。以下のようなサインが見られる場合は、皮膚科や内科、場合によっては口腔外科を受診することをおすすめします。
🔸 水疱(みずぶくれ)が唇に現れた場合
唇に水疱が形成された場合は、単なる乾燥による荒れではなく、口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス1型の再活性化)の可能性があります。口唇ヘルペスは、体が疲れているときや免疫機能が低下しているときに発症しやすく、風邪をきっかけに再発することが多い疾患です。
口唇ヘルペスの初期症状は唇周囲のムズムズ感・ヒリヒリ感で、やがて小さな水疱が集まって現れます。水疱は自然に破れてかさぶたになりますが、感染力があるため他の人への接触(キス、食器の共有など)を避けることが重要です。医療機関では抗ウイルス薬(アシクロビルなど)が処方され、早期から服用することで治癒期間を短縮できます。
💧 口角炎が長引く・悪化する場合
口の端(口角)がひび割れて炎症を起こす口角炎は、ビタミンB不足や免疫低下によって起こることが多いですが、カンジダ菌(真菌)による感染が関与しているケースもあります。カンジダ性口角炎は真菌に効果のある抗真菌薬による治療が必要です。自己判断でステロイド軟膏を使用すると、感染症が悪化する可能性があるため注意が必要です。
✨ 唇の腫れや強い炎症が続く場合
唇が全体的に大きく腫れている、強い発赤が続いている、痛みがひどいなどの場合は、接触性皮膚炎(アレルギー反応)、多形性紅斑、あるいはまれですが口腔粘膜に関わる全身疾患が背景にある可能性があります。
📌 風邪が回復しても唇荒れが続く場合
風邪の症状が治まった後も2週間以上にわたって唇荒れが続く場合は、慢性的なビタミン不足、甲状腺機能低下症(甲状腺の機能が低下して皮膚が乾燥しやすくなる)、シェーグレン症候群(唾液腺や涙腺に炎症が生じる自己免疫疾患)などの可能性も考えられます。長引く唇荒れは内科や皮膚科で一度確認してもらうことをおすすめします。
▶️ 子どもの唇荒れと全身症状が伴う場合
子どもが風邪をひいたあとに唇が赤く腫れ、舌のブツブツ(いちご舌)、手足の発疹、眼の充血などを伴う場合は、川崎病の可能性があります。川崎病は主に5歳以下の乳幼児に多い血管炎で、早期治療が重要です。上記のような症状が重なる場合はすぐに医療機関を受診してください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、風邪をきっかけに唇荒れを訴えて受診される患者様が一定数いらっしゃいますが、口呼吸・脱水・ビタミン不足といった複数の要因が重なっていることがほとんどです。リップクリームや水分補給などのセルフケアで多くの場合は改善しますが、水疱や長引く口角炎など気になる症状があれば、口唇ヘルペスやカンジダ感染なども考えられますので、どうぞお気軽にご相談ください。特にお子様で唇の腫れに加えて発熱や発疹などの全身症状を伴う場合は、川崎病のような見逃せない疾患のこともありますので、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。」
📌 よくある質問
風邪による唇荒れは、複数の要因が重なって起こります。鼻づまりによる口呼吸で唇が乾燥しやすくなるほか、発熱による体内水分の消耗、食欲低下によるビタミン不足、免疫活動によるビタミン消費の増加などが主な原因です。唇は皮脂腺が少なくもともと乾燥しやすい部位のため、風邪という体への負荷がかかる時期には特に荒れやすくなります。
基本のケアはリップクリームやワセリンによる保湿です。就寝前に厚めに塗るのが効果的です。あわせてこまめな水分補給、加湿器などで室内湿度を50〜60%に保つこと、ビタミンB群やビタミンCを含む食事を意識することも大切です。また、唇を舐めたり皮を無理に剥がしたりするNG習慣も避けるようにしましょう。
可能性があります。総合感冒薬に含まれる抗ヒスタミン薬には唾液の分泌を抑える作用があり、口腔内や唇の乾燥を招くことがあります。また、抗生物質の服用で腸内細菌のバランスが乱れ、ビタミンB群が不足して唇荒れにつながるケースもあります。自己判断で服薬を中断せず、処方医や薬剤師にご相談ください。
はい、早めの受診をおすすめします。唇の水疱は口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルスの再活性化)の可能性があります。風邪で免疫が低下しているときに発症しやすく、感染力もあるため注意が必要です。医療機関では抗ウイルス薬が処方され、早期服用で治癒期間を短縮できます。単なる乾燥との区別が難しい場合も、ぜひ専門医にご相談ください。
風邪回復後も2週間以上唇荒れが続く場合は、医療機関への受診をおすすめします。慢性的なビタミン不足のほか、甲状腺機能低下症やシェーグレン症候群など全身疾患が背景にある場合もあります。また、口角炎が長引く場合はカンジダ菌の感染が関与していることもあります。皮膚科や内科で一度確認してもらうと安心です。
🎯 まとめ
風邪で唇が荒れる原因は、口呼吸による乾燥、発熱・脱水による体内水分の減少、ビタミン不足、薬の副作用など、複数の要因が重なることによるものです。唇は皮脂腺が少なく、もともと乾燥しやすい部位であるため、風邪という体への負荷がかかる時期には特にケアが必要です。
セルフケアとしては、リップクリームやワセリンによる保湿、こまめな水分補給、加湿器による室内の湿度管理、栄養バランスの良い食事(特にビタミンB群・ビタミンC)、そして唇を舐める・皮を剥くなどのNG習慣を避けることが基本となります。
一方で、水疱が出現した場合、口角炎が長引く場合、唇の強い腫れや炎症が続く場合、風邪回復後も2週間以上改善しない場合などは、皮膚科や内科への受診を検討してください。特に子どもで全身症状を伴う場合は、川崎病などの重篤な疾患が隠れていることもあるため、速やかに医師に診てもらうことが大切です。
風邪そのものを早く治すことが、唇荒れの根本的な解決策でもあります。十分な休息、水分補給、バランスの良い栄養摂取を心がけながら、外側からのケアも丁寧に行い、一日も早い回復を目指しましょう。症状が気になる方は、ひとりで悩まずに専門の医師にご相談ください。
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📚 参考文献
- 厚生労働省 – ビタミンB群・ビタミンCの推奨摂取量や栄養素と皮膚・粘膜の健康維持に関する「日本人の食事摂取基準」の参照
- 日本皮膚科学会 – 口唇ヘルペス・口角炎・接触性皮膚炎など唇荒れに関連する皮膚疾患の診断基準や治療ガイドラインの参照
- 国立感染症研究所 – 口唇ヘルペス(単純ヘルペスウイルス1型)の感染経路・症状・再活性化メカニズムおよび川崎病に関する感染症情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務