唇がカサカサしてひび割れる、皮がめくれてしまう、赤みや腫れが続いている――そんな唇の荒れに悩んでいる方は少なくありません。リップクリームを塗っても一時的にしか改善しない、むしろ繰り返しているという声もよく聞かれます。唇の荒れがひどくなると日常生活にも支障が出ることがあり、「何か薬を使ったほうがいいのか」「ステロイド配合の市販薬は使っていいのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。この記事では、唇が荒れる原因から、市販のステロイド薬の特徴・使い方、注意点まで、医療の視点からくわしく解説します。
目次
- 唇が荒れる主な原因
- 唇の荒れの種類と症状の見分け方
- 市販薬でアプローチできる唇の荒れとは
- ステロイド配合の市販薬について
- 市販のステロイド薬の選び方と代表的な製品
- ステロイド薬を唇に使うときの注意点
- ステロイド以外の市販薬・ケアアイテムも活用しよう
- 市販薬で改善しない場合は皮膚科・クリニックへ
- まとめ
この記事のポイント
唇の荒れには乾燥・炎症・感染など複数の原因があり、市販のウィーク〜ミディアムクラスのステロイド薬が口唇炎に有効だが、口唇ヘルペスへの使用は厳禁。1〜2週間で改善しない場合は皮膚科への受診が推奨される。
🎯 1. 唇が荒れる主な原因
唇の荒れは、皮膚とは異なる唇の構造的な特性に深く関係しています。唇の表面は「粘膜移行部」と呼ばれる特殊な部位で、皮膚よりも角質層が薄く、皮脂腺もほとんど存在しません。このため、外部からの刺激に非常に弱く、乾燥しやすい構造になっています。唇が荒れる原因はひとつではなく、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。
🦠 乾燥・気候の変化
最も多い原因のひとつが乾燥です。秋冬の乾燥した季節はもちろん、夏場でもエアコンによる室内の乾燥で唇が荒れることがあります。湿度が低い環境では唇の水分が急速に蒸発し、カサつきやひび割れが生じやすくなります。口呼吸の習慣がある人は、唇が常に外気にさらされるため乾燥が進みやすい傾向があります。
👴 舐める・触るなどの物理的刺激
唇が乾燥すると無意識に舐めてしまう方がいますが、これは逆効果です。唾液には消化酵素が含まれており、唇の粘膜を刺激して荒れを悪化させます。また唾液が蒸発するときに水分も一緒に奪われるため、乾燥がさらに進みます。同様に、唇の皮を指で引っ張ったり、歯で噛んだりする習慣も荒れの原因となります。
🔸 接触アレルギー・刺激成分
リップクリームや口紅、歯磨き粉、食べ物などに含まれる成分が唇に触れることでアレルギー反応や接触性皮膚炎を引き起こすことがあります。特定のフレグランス成分、防腐剤、染料などがアレルゲンになりやすいとされています。使用しているコスメや日用品を変えたタイミングで唇が荒れた場合は、接触性皮膚炎の可能性を考える必要があります。
💧 栄養不足・体調不良
ビタミンB2・B6の不足は口角炎や口唇炎の原因として知られています。鉄分不足や亜鉛不足も粘膜の健康維持に影響します。極端なダイエットや偏食、睡眠不足、ストレスなどが続くと免疫機能が低下し、唇の粘膜が回復しにくくなります。体調を整えることが唇の荒れ改善にとって重要な基盤となります。
✨ 感染症(ヘルペスなど)
単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスは、唇や周辺に水疱・びらんを生じさせます。初めて感染した場合や免疫力が低下したときに発症しやすく、発症前にピリピリ・チクチクとした違和感を感じることが多いのが特徴です。口唇ヘルペスはウイルス性の疾患であるため、ステロイド薬の使用は禁忌であり、抗ウイルス薬による治療が必要です。
📌 皮膚疾患(アトピー性皮膚炎など)
アトピー性皮膚炎を持つ方は顔や唇周辺にも症状が出やすく、慢性的な炎症や乾燥が続くことがあります。また脂漏性皮膚炎、乾癬、扁平苔癬など、唇に症状が現れる皮膚疾患は複数あり、それぞれ治療方針が異なります。
Q. 唇が荒れやすい構造的な理由は何ですか?
唇の表面は「粘膜移行部」と呼ばれる特殊な部位で、一般的な皮膚と比べて角質層が薄く、皮脂腺もほとんど存在しません。そのため外部からの刺激に弱く、水分が蒸発しやすい構造となっており、乾燥やひび割れが起こりやすい状態にあります。
📋 2. 唇の荒れの種類と症状の見分け方
一言で「唇の荒れ」と言っても、医学的にはいくつかの分類があります。症状の種類を理解することで、どのような対処が適切かが見えてきます。
▶️ 口唇炎(こうしんえん)
口唇炎は唇に炎症が生じた状態の総称で、唇のカサつき、赤み、皮むけ、腫れなどが主な症状です。乾燥や刺激、アレルギー、感染など様々な原因で起こります。慢性化すると唇の皮膚が肥厚したり、色素沈着が生じることもあります。
🔹 口角炎(こうかくえん)
口角炎は唇の端(口角)が切れたり、ただれたりする状態です。ビタミンB群の不足や真菌(カンジダ)感染、細菌感染などが原因となることが多く、口を開けるたびに痛みを感じることがあります。真菌性の口角炎にはステロイドではなく抗真菌薬が必要なため、原因の特定が重要です。
📍 剥脱性口唇炎(はくだつせいこうしんえん)
唇の皮が慢性的に厚くなり、繰り返し剥がれ落ちる状態です。舐める・触るなどの刺激が慢性化することで起こりやすく、完治までに時間がかかることがあります。心理的なストレスや強迫的な行動が関与していることもあります。
💫 接触性口唇炎
コスメや食品などの外因性アレルゲンが唇に触れることで起こる炎症です。使用しているリップ製品、歯磨き粉、特定の食べ物(芒果など)との接触後に症状が出る場合は接触性口唇炎が疑われます。原因物質を特定して除去することが根本的な治療となります。
いずれの症状も自己判断が難しい場合があります。特に症状が長引く、悪化している、原因がわからないという場合は皮膚科を受診することをおすすめします。
💊 3. 市販薬でアプローチできる唇の荒れとは
市販薬でアプローチできる唇の荒れは、主に炎症が原因の口唇炎や軽度の接触性皮膚炎です。赤みや腫れ、かゆみを伴う炎症が主な症状であれば、市販のステロイド外用薬が効果を発揮することがあります。一方で、以下の状態は市販薬での対処が難しく、医療機関での診断・治療が必要です。
- 口唇ヘルペス(水疱・ただれ・発熱などを伴う)
- 真菌(カンジダ)感染による口角炎
- 2週間以上改善しない慢性的な炎症
- 唇にしこりや潰瘍がある(口腔がんなどの可能性)
- 全身症状を伴う場合(発熱、倦怠感など)
市販薬を使う前に、自分の症状がどのカテゴリーに当たるかを確認することが大切です。特に口唇ヘルペスとの区別は重要で、ヘルペスの疑いがある場合にステロイド薬を使用すると症状を悪化させる恐れがあります。
「唇が荒れているだけだから市販薬で大丈夫」と自己判断するのではなく、症状の経過をよく観察し、疑わしい点があれば早めに専門家に相談することが安全です。
Q. 口唇ヘルペスにステロイド薬を使ってはいけない理由は?
ステロイド外用薬には免疫を抑制する作用があるため、ウイルスが原因の口唇ヘルペスに使用するとウイルスの増殖を助け、症状を著しく悪化させる危険があります。ピリピリ感・水疱・ただれがある場合は、ステロイドではなくアシクロビル等を含む抗ウイルス薬を使用してください。
🏥 4. ステロイド配合の市販薬について
ステロイド(副腎皮質ホルモン)外用薬は、皮膚の炎症を抑えるために広く使われている薬です。炎症を引き起こすサイトカインやプロスタグランジンの産生を抑制する働きがあり、赤み・かゆみ・腫れなどの炎症症状を速やかに改善する効果があります。
🦠 ステロイド外用薬の強さの分類
ステロイド外用薬は効果の強さによって5段階(ストロンゲスト・ベリーストロング・ストロング・ミディアム・ウィーク)に分類されています。市販で購入できる(OTC)ステロイド薬は、このうちウィーク(弱い)クラスとミディアム(普通)クラスの一部に限られています。
処方薬で使われるストロングやベリーストロングのクラスは、副作用リスクが高いため医師の指示のもとで使用する薬です。市販のステロイド薬は比較的安全性が高いとされていますが、それでも使用方法を守ることが重要です。
👴 顔・唇へのステロイド使用について
顔の皮膚は体の他の部位と比べてステロイドの吸収率が高く、副作用が出やすい部位とされています。唇周辺(口周り)は特に皮膚が薄く、粘膜と隣接しているため、長期間・大量のステロイド使用には注意が必要です。
市販のステロイド薬の多くは「顔には使用しないこと」と注意書きがある製品も存在します。一方で、唇周辺の湿疹・皮膚炎の炎症に対して、弱いクラスのステロイド薬を短期間使用することは、皮膚科領域では一般的な対処法でもあります。使用前には製品の添付文書をよく確認し、不明な点は薬剤師に相談するようにしましょう。
🔸 ステロイドの副作用
長期間のステロイド外用薬の使用で起こりうる副作用として、皮膚の菲薄化(皮膚が薄くなる)、毛細血管拡張、ニキビ・吹き出物の悪化、色素沈着、口周りの皮膚炎(酒さ様皮膚炎)などがあります。また、ステロイド外用薬を長期使用した後に急に中止すると、リバウンドとして症状が悪化することがあります。
これらの副作用は適切な用量・使用期間を守れば多くの場合防ぐことができます。自己判断で長期間使い続けることは避け、症状が改善したら使用を中止するか、医師の指示に従って徐々に減らしていくことが大切です。
⚠️ 5. 市販のステロイド薬の選び方と代表的な製品
唇や唇周辺の炎症に対して市販のステロイド薬を使いたいと考えた場合、どのような点に注目して製品を選べばよいでしょうか。
💧 ステロイドの強度で選ぶ
市販で入手できるステロイド薬には、主にウィーク(第5群)とミディアム(第4群)クラスが存在します。唇周辺の炎症には、まずウィーククラスを試してみることが一般的です。症状が重い場合や改善が見られない場合は、薬剤師に相談のうえミディアムクラスを検討することもありますが、顔・唇への使用については慎重な判断が必要です。
✨ 剤形(クリーム・軟膏・ローション)で選ぶ
ステロイド外用薬にはクリームタイプ、軟膏タイプ、ローションタイプなどがあります。唇周辺に使用する場合は、刺激が少なく保湿効果も高い軟膏タイプが適していることが多いです。クリームタイプは伸びがよく使いやすい反面、軟膏より刺激成分が含まれている場合があります。ローションは広い範囲に使いやすいですが、唇という局所的な部位には軟膏やクリームのほうが扱いやすいでしょう。
📌 代表的な市販ステロイド薬の例
市販で入手できるステロイド配合製品の例をいくつか紹介します。なお、製品の使用方法・使用部位は添付文書を必ず確認し、薬剤師への相談を忘れずに行ってください。
ウィーク(第5群)クラスの代表的な製品としては、ヒドロコルチゾン酢酸エステルを有効成分とするものがあります。このクラスは市販OTC薬の中で最も弱いステロイドで、短期間の使用であれば副作用リスクが比較的低いとされています。代表的な製品名としては「コートf ATクリーム」「テラ・コートリル軟膏」(テラ・コートリルはステロイド+抗生物質配合)などが知られています。
ミディアム(第4群)クラスには、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルやトリアムシノロンアセトニドなどを含む製品が含まれます。「プレドニゾロン軟膏」はドラッグストアでも入手できますが、顔への使用については添付文書で確認が必要です。
また、ステロイドと抗菌成分・抗真菌成分を組み合わせた配合剤も市販されており、感染が疑われる場合に使用されることがあります。ただし、感染症の有無の判断は素人には難しいため、このような製品の選択は薬剤師や医師への相談が特に重要です。
▶️ 薬局・ドラッグストアでの購入時に薬剤師に相談を
市販のステロイド薬は「第2類医薬品」または「第1類医薬品」として販売されており、第1類医薬品は薬剤師からの情報提供が義務付けられています。購入の際は必ず症状・使用部位・使用期間などを薬剤師に伝え、適切な製品の選択と使用方法についてアドバイスをもらいましょう。「顔や唇に使いたい」という点も必ず申告してください。
Q. 市販のステロイド薬を唇に使う際の適切な期間は?
市販のステロイド薬の連続使用は5〜7日程度を目安とし、2週間を超える使用は推奨されません。長期使用は皮膚の菲薄化や色素沈着などの副作用リスクを高めます。1〜2週間使用しても改善しない場合は、自己判断での継続使用を中止し、皮膚科などの医療機関を受診してください。
🔍 6. ステロイド薬を唇に使うときの注意点
市販のステロイド薬を唇や唇周辺に使用する際は、いくつかの重要な注意点を守ることが大切です。
🔹 使用期間を守る
市販のステロイド薬は通常、連続使用期間として5〜7日程度を目安にしているものが多く、2週間を超えての使用は推奨されていません。長期間使い続けると副作用のリスクが高まるうえ、症状が改善しない場合は原因が別にある可能性があります。指定の使用期間が過ぎても症状が続く場合は、速やかに医療機関を受診してください。
📍 患部以外への塗布を避ける
ステロイド薬は必要な患部のみに薄く塗布することが原則です。唇の粘膜部分(リップラインより内側)への塗布は製品によっては禁忌となっていることがあります。唇の粘膜は吸収率が非常に高く、口の中に入ってしまうリスクもあるため、塗布範囲は医師や薬剤師の指示に従ってください。
💫 口唇ヘルペスには絶対に使用しない
口唇ヘルペスが疑われる場合(ピリピリした感覚、水疱、ただれなど)には、ステロイド薬の使用は絶対に避けてください。ステロイドは免疫を抑制する作用があるため、ウイルス感染の場合に使用するとウイルスが増殖し、症状が著しく悪化します。口唇ヘルペスには抗ウイルス成分(アシクロビルなど)を含む専用の薬を使用することが必要です。
🦠 感染を伴う皮膚炎には慎重に
細菌や真菌(カンジダなど)による感染が疑われる場合も、単純なステロイド薬の使用は症状を悪化させる可能性があります。化膿しているように見える、白いものがついているなどの場合は、薬剤師や医師に確認してから使用するようにしましょう。
👴 子どもや妊娠・授乳中の方への使用

子どもへの使用は製品によって年齢制限が設けられている場合があります。また、妊娠中・授乳中の方は薬の成分が胎児や乳児に影響する可能性があるため、自己判断での使用は控え、必ず医師や薬剤師に相談のうえ使用を判断してください。
🔸 化粧品との併用
ステロイド薬を塗布した部位に口紅やリップコートなどを重ねる場合は、薬の吸収や効果に影響する可能性があります。薬を塗布してからしばらく時間をおいてからコスメを使用するようにし、不明点は薬剤師に確認しましょう。
📝 7. ステロイド以外の市販薬・ケアアイテムも活用しよう
唇の荒れに対して、ステロイド薬だけが選択肢ではありません。症状の程度や原因によっては、ステロイドを使わずに改善できる場合もあります。また、ステロイド薬と組み合わせてケアすることで回復を早めることができます。
💧 ビタミンB群を含む内服薬・外用薬
口角炎や口唇炎の原因がビタミンB2・B6不足によるものと考えられる場合は、ビタミンB群を含むサプリメントや内服薬が効果的です。市販の「チョコラBB」シリーズなどはビタミンB2・B6を主成分とした製品で、口角炎や口唇炎の改善に広く利用されています。また、パンテノール(プロビタミンB5)を配合した外用薬は、粘膜の修復を助ける効果があります。
✨ 保湿・修復成分を含む外用薬・リップケア
アラントインやジメチルイソプロピルアズレン(グアイアズレン)を含む外用薬は、皮膚・粘膜の修復を助ける成分として知られています。「アズノール軟膏」などに代表されるこの系統の薬は、抗炎症・組織修復作用があり、荒れた唇の回復をサポートします。市販のリップクリームでも、ワセリン系・シアバター系・ホホバオイル系のものはシンプルな成分で刺激が少なく、保湿目的のケアに適しています。
📌 抗ウイルス薬(口唇ヘルペス用)
口唇ヘルペスには、アシクロビルまたはビダラビンを主成分とする市販の抗ウイルスクリームが有効です。「アクチビア軟膏」や「ヘルペシア軟膏」などが代表的で、症状が出始めた初期段階から使用することで効果が高まります。ヘルペス疑いの場合はこちらの薬を選ぶようにしましょう。
▶️ 日常的なセルフケアも重要
薬だけでなく、日常的なセルフケアも唇の荒れ改善に欠かせません。以下のようなポイントを意識してみましょう。
- 唇を舐める習慣をやめる
- 就寝前にワセリン系のリップクリームで保護する
- マスクをする際は乾燥に注意し、こまめに保湿する
- 水分を十分に摂取する
- ビタミンB群・鉄分・亜鉛を含む食事を意識する(レバー、乳製品、卵、緑黄色野菜など)
- 日焼け止め効果のあるリップバームを使用して紫外線から唇を守る
- 唇への刺激(皮を引っ張る・噛むなど)を避ける
- 体調管理・ストレスケアを行う
Q. リップクリームを塗っても唇の荒れが繰り返す原因は?
保湿だけでは対処できない炎症が隠れている場合があります。使用中のリップ製品や歯磨き粉に含まれる成分へのアレルギーによる接触性口唇炎や、唇を舐める・触る習慣による剥脱性口唇炎が原因となるケースも多くあります。原因を正確に特定するために、皮膚科への受診をご検討ください。
💡 8. 市販薬で改善しない場合は皮膚科・クリニックへ
市販薬を適切に使用しても症状が改善しない場合、あるいはそもそも市販薬の使用が適切かどうか判断が難しい場合は、皮膚科や専門クリニックを受診することが重要です。
🔹 受診を検討すべき目安
以下のような状況では、市販薬での対処を続けるより医療機関への受診を優先してください。
- 市販薬を1〜2週間使用しても改善が見られない、または悪化している
- 唇にしこり、白板、潰瘍など通常の荒れとは異なる症状がある
- 発熱、全身のだるさなど全身症状を伴っている
- 水疱が多数できている(口唇ヘルペスの可能性)
- 口の中にも症状が広がっている
- 繰り返し同じ場所で荒れが起こる
- コスメや食品アレルギーが疑われる
- 子ども・高齢者・免疫疾患を持つ方の場合
📍 医療機関では何をしてくれるのか
皮膚科では、唇の状態を視診・触診によって詳しく評価します。必要に応じてパッチテスト(接触アレルギーの検査)、ウイルス検査(ヘルペスの確認)、真菌培養検査(カンジダなどの感染確認)などを行います。診断に基づいて、処方薬のステロイド外用薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、免疫抑制剤などを適切に処方してもらえます。
市販薬では対応できない強度のステロイド薬(ストロング・ベリーストロングクラス)や、タクロリムス軟膏(プロトピック)などの非ステロイド系免疫調節薬なども、医師の処方があれば使用することができます。慢性的な口唇炎やアトピー性皮膚炎による唇の症状には、これらの薬が必要なケースも少なくありません。
💫 美容クリニックへの相談も選択肢
唇周辺の症状が繰り返し起こる、ステロイド治療の副作用(色素沈着、皮膚の薄化)が気になるという場合は、皮膚科専門医または美容皮膚科・美容クリニックへの相談も選択肢のひとつです。アイシークリニック上野院では、肌の状態に合わせたスキンケアや治療の提案も行っています。唇や口周りのトラブルで長期間悩んでいる方は、まず医師に相談することをおすすめします。
🦠 口腔外科・内科への受診が必要なケース
唇のしこりや潰瘍が続く場合、口腔がんや白板症など口腔内の疾患が疑われることがあります。このような症状は皮膚科のほか、口腔外科への受診が適切です。また、全身疾患(クローン病、ベーチェット病など)の症状として唇に症状が出ることもあり、内科や専門科との連携が必要になることもあります。唇の荒れが単なる乾燥・炎症ではないと感じたら、早めに医師に診てもらうことが大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「リップクリームを繰り返し使っても改善しないとお悩みの患者様が多くいらっしゃいますが、その背景には接触性口唇炎や剥脱性口唇炎など、保湿だけでは対処できない炎症が隠れているケースが少なくありません。市販のステロイド薬は炎症を抑える上で有効な選択肢ですが、口唇ヘルペスとの見極めを誤ると症状を悪化させる危険があるため、自己判断での長期使用は避けていただき、1〜2週間で改善が見られない場合はぜひお早めにご相談ください。」
✨ よくある質問
炎症を伴う口唇炎や接触性皮膚炎には有効な選択肢です。ただし、使用できるのはウィーク〜ミディアムクラスの弱めのものに限られます。使用期間は5〜7日程度を目安とし、2週間を超える使用は避けてください。購入前に必ず薬剤師に使用部位と症状を伝えましょう。
ステロイドには免疫を抑制する作用があるため、ウイルス感染が原因の口唇ヘルペスに使用するとウイルスの増殖を助け、症状を著しく悪化させる危険があります。ピリピリ感・水疱・ただれがある場合は、アシクロビルなどを含む抗ウイルス薬を使用してください。
保湿だけでは対処できない炎症が隠れている可能性があります。接触性口唇炎や剥脱性口唇炎など、使用しているリップ製品・歯磨き粉の成分へのアレルギーや、唇を舐める・触る習慣による慢性炎症が原因となるケースも多いです。原因を特定するため、皮膚科への受診をご検討ください。
1〜2週間使用しても改善が見られない場合、または症状が悪化している場合は、自己判断での使用を中止し、速やかに皮膚科などの医療機関を受診してください。長引く場合は、感染症や皮膚疾患など別の原因が隠れている可能性があります。
以下のセルフケアが効果的です。唇を舐める・皮を引っ張る習慣をやめる、就寝前にワセリン系リップクリームで保湿する、ビタミンB群・鉄分・亜鉛を含む食事を意識する(レバー・乳製品・緑黄色野菜など)、十分な水分補給を行う、などが挙げられます。体調管理やストレスケアも唇の回復を助けます。
📌 まとめ
唇の荒れは、乾燥・刺激・アレルギー・感染・栄養不足など様々な原因によって引き起こされます。市販のステロイド配合薬は、炎症を伴う口唇炎や接触性皮膚炎に対して有効なアプローチですが、使用できる強度や使用期間に制限があり、使用部位・使用方法をしっかり守ることが重要です。
特に口唇ヘルペスや感染を伴う状態では、ステロイド薬の使用が逆効果になることがあるため、症状をよく見極めることが大切です。市販薬を使う前には必ず添付文書を確認し、薬剤師に相談するようにしましょう。
1〜2週間市販薬を使用しても改善がない場合、症状が悪化している場合、または判断に迷う場合は、自己判断で対処し続けるのではなく、皮膚科などの医療機関を受診することをおすすめします。正確な診断に基づいた治療が、唇の荒れを根本から解決する近道です。唇の健康は毎日の表情や生活の質にも大きく関わります。ぜひこの記事を参考に、適切なケアと治療で唇の荒れを改善してください。
📚 関連記事
- 唇の端が荒れる原因と対策|口角炎の症状・治療・予防法を解説
- 下唇だけ荒れる原因と対策|考えられる病気や正しいケア方法を解説
- 唇が荒れるときに使う薬の選び方と原因・対策を徹底解説
- リップ・唇荒れの原因と対策|乾燥・皮むけを繰り返さないためのケア方法
- 下唇にほくろができた原因と対処法|悪性の見分け方も解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇炎・接触性皮膚炎・アトピー性皮膚炎などの診療ガイドライン、ステロイド外用薬の強度分類と使用方針に関する情報
- 厚生労働省 – 市販薬(OTC医薬品)の分類・適正使用・副作用に関する情報、ステロイド外用薬の安全使用に関する行政ガイダンス
- 国立感染症研究所 – 単純ヘルペスウイルス(口唇ヘルペス)の感染・症状・治療に関する情報、ステロイド禁忌との関連についての科学的根拠
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務