唇がカサカサと乾燥したり、皮がめくれたり、赤くただれたりする「唇の荒れ」。リップクリームを塗っても一向に改善しない、むしろ悪化しているような気がする、という経験はないでしょうか。唇の荒れは単なる乾燥だけでなく、アレルギーや感染症、ビタミン不足など、さまざまな原因が絡み合っていることがあります。市販のリップクリームや塗り薬でなかなか治らない場合は、皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらうことが、根本的な改善への近道です。この記事では、唇の荒れの原因から皮膚科で使われる薬の種類、日常でできるケア方法まで詳しく解説します。
目次
- 唇の荒れとはどんな状態?症状のチェックポイント
- 唇が荒れる主な原因
- 唇の荒れの種類と病名
- 皮膚科を受診すべきサインとは
- 皮膚科で処方される薬の種類
- 市販薬と処方薬の違い
- 唇の荒れを悪化させるNG行動
- 日常でできる唇のケア方法
- まとめ
この記事のポイント
唇の荒れはアレルギー・感染症・栄養不足など原因が多様で、市販リップクリームで改善しない場合は皮膚科受診が必要。原因に応じてステロイド・抗ウイルス薬・抗真菌薬などが処方され、保険適用で治療できる。
🎯 唇の荒れとはどんな状態?症状のチェックポイント
唇の荒れといっても、その症状はさまざまです。単純な乾燥から、炎症、感染症まで幅広い状態が含まれます。まずは自分の唇がどんな状態にあるのかを知ることが、適切なケアや治療への第一歩です。
以下のような症状に当てはまる場合は、唇の荒れが起きているサインです。
乾燥してカサカサしている状態は、最もよく見られる唇の荒れの症状です。空気が乾燥する冬に多く見られますが、夏でもエアコンの効いた室内では発症することがあります。唇の皮がむけてくる、白い皮が浮き上がってくるという状態も乾燥によって起こりやすい症状です。
赤みや腫れ、痛みを伴う場合は、ただの乾燥ではなく炎症が起きているサインです。皮膚科では「口唇炎(こうしんえん)」と診断されることが多く、炎症を抑えるための薬が必要になります。
唇の端(口角)がただれたり、切れたりする「口角炎(こうかくえん)」も唇周りの荒れの一つです。食事のときに痛みを感じたり、大きく口を開けると裂けてしまったりすることがあります。
水ぶくれや小さな水疱が唇にできる場合は、ヘルペスウイルスによる「口唇ヘルペス」の可能性があります。これは感染症であり、抗ウイルス薬が必要となるため、自己判断での対処は難しく、医療機関への受診が必須です。
唇の色が変わる、黒ずむ、茶色になるといった色素沈着が起きている場合も、繰り返す炎症や刺激が原因であることがあります。見た目の問題だけでなく、根本的な原因の治療が必要です。
Q. 唇の荒れが皮膚科受診を検討すべき症状は?
市販のリップクリームを2週間以上使用しても改善しない場合、水ぶくれや膿が出る場合、繰り返し荒れが起きる場合、痛みで食事が困難な場合は皮膚科受診が必要です。唇に硬いしこりや著しい色変化がある場合は、口唇がんの可能性もあるため早急に受診してください。
📋 唇が荒れる主な原因
唇の荒れが起きる原因は一つではなく、複数の要因が重なって発症することもよくあります。自分の生活習慣や環境を振り返りながら、原因を探ってみましょう。
🦠 乾燥・気候の変化
唇は皮膚と違って皮脂腺がなく、また角質層が薄いため、水分が蒸発しやすい部位です。特に秋から冬にかけての乾燥した季節や、エアコンの使用が増える時期は、唇の乾燥が起こりやすくなります。外気が乾燥しているだけでなく、口呼吸や鼻づまりによって口から空気を吸っていると、唇が乾燥しやすくなります。
👴 舐める・むく癖
唇が乾燥すると無意識に舌で舐めてしまう方が多いですが、これは唇の荒れを悪化させる大きな原因の一つです。唾液には消化酵素が含まれており、唇の皮膚に対して刺激となります。舐めることで一時的に潤ったように感じますが、唾液が蒸発するときに唇の水分も一緒に奪われてしまうため、乾燥がさらに進んでしまいます。また、乾燥した皮を指や歯で無理にむく行為も、唇の炎症を引き起こす原因になります。
🔸 アレルギー・接触性皮膚炎
リップクリーム、口紅、グロスなどのコスメ製品に含まれる成分がアレルギーを起こして、唇が荒れることがあります。香料、防腐剤、着色料、保湿成分など、さまざまな成分がアレルゲンになり得ます。また、歯磨き粉の成分や、食べ物(柑橘類、スパイスなど)が直接唇に触れることで接触性の炎症が起きることもあります。
💧 栄養不足(ビタミンB群の欠乏)
ビタミンB2やビタミンB6が不足すると、皮膚や粘膜の健康が保てなくなり、唇や口角が荒れやすくなります。偏った食事、ダイエットによる食事制限、アルコールの多飲などがビタミンB群の不足を引き起こすことがあります。特に口角炎はビタミン欠乏との関連が指摘されており、食生活の見直しが改善につながることもあります。
✨ 感染症(ウイルス・真菌・細菌)
単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスは、一度感染すると神経節にウイルスが潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。カンジダ菌(真菌)による口角炎は、口角の白っぽいただれとして現れることがあり、抗真菌薬での治療が必要です。細菌感染も唇の傷口から起きることがあり、それぞれ適切な薬での治療が必要です。
📌 全身疾患・薬の副作用
アトピー性皮膚炎、クローン病、シェーグレン症候群などの全身疾患が、唇の荒れとして現れることがあります。また、特定の薬(ビタミンA誘導体の内服薬など)の副作用として唇の乾燥や荒れが起きることもあります。こうした場合は基礎疾患の治療や薬の見直しが必要になるため、皮膚科だけでなく関連する診療科での受診も重要です。
▶️ 紫外線・外的刺激
唇は紫外線に敏感な部位でもあります。長期にわたる紫外線ダメージが蓄積すると、慢性的な唇の荒れや、まれに「光線口唇炎」と呼ばれる状態になることがあります。屋外での活動が多い方は、SPF入りのリップバームなどで紫外線対策をすることが大切です。
💊 唇の荒れの種類と病名
皮膚科では、唇の荒れを原因や症状によって以下のような病名で分類します。それぞれ治療方法が異なるため、正確な診断が重要です。
🔹 口唇炎(こうしんえん)
唇全体または一部に炎症が起きている状態の総称です。乾燥性口唇炎、接触性口唇炎、アレルギー性口唇炎、剥脱性口唇炎(皮がずっとめくれている状態)など、さらに細分化されます。原因によって治療方針が異なります。
📍 口角炎(こうかくえん)
口の両端(口角)が切れたり、ただれたりする状態です。ビタミンB群の不足、カンジダ菌などの感染、歯の噛み合わせの問題などが原因になります。大きく口を開けるときに痛みが出ることが特徴的です。
💫 口唇ヘルペス(単純ヘルペス)
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)による感染症です。唇や口の周りに小さな水疱が集まってでき、かゆみや痛みを伴います。発熱や疲労、強いストレスなどをきっかけに再発しやすい特徴があります。抗ウイルス薬での早期治療が効果的です。
🦠 剥脱性口唇炎(はくだつせいこうしんえん)
唇の皮が慢性的にめくれ続ける状態で、治っても繰り返す慢性的な口唇炎の一種です。精神的なストレスや舐める癖との関連が指摘されており、治療に時間がかかることがあります。
👴 肉芽腫性口唇炎(にくげしゅせいこうしんえん)
唇が慢性的に腫れ上がる比較的まれな疾患です。クローン病などの全身疾患と関連することがあり、皮膚科での精密な検査が必要になります。
Q. 口唇ヘルペスに処方される薬は何ですか?
口唇ヘルペスにはアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬が処方されます。外用薬と内服薬があり、症状の程度で使い分けられます。症状が出始めた早い段階で使用するほど効果的です。頻繁に再発する方には、長期抑制療法として内服薬が継続処方されることもあります。
🏥 皮膚科を受診すべきサインとは
「唇の荒れくらいで皮膚科に行ってもいいの?」と思う方もいるかもしれませんが、以下のような場合は積極的に皮膚科を受診することをおすすめします。
市販のリップクリームや保湿剤を2週間以上使用しても改善しない場合は、乾燥以外の原因が隠れている可能性があります。皮膚科で原因を特定してもらうことで、適切な治療につながります。
水ぶくれや膿が出るような症状がある場合は、感染症の疑いがあります。口唇ヘルペスやカンジダ感染症は、市販薬では対応できないことが多く、処方薬での治療が必要です。
唇の荒れが繰り返す場合も皮膚科受診のサインです。原因がアレルギーや内科的な問題にある場合、根本的な治療をしないと何度でも再発してしまいます。
痛みが強くて食事がしにくい、睡眠が妨げられるほどかゆいといった場合も、早めに受診して適切な治療を受けることが大切です。
唇の一部が硬くなる、しこりができる、色が著しく変化するといった症状がある場合は、まれに悪性腫瘍(口唇がんなど)の可能性もあるため、早急に皮膚科や口腔外科を受診してください。特に喫煙歴がある方、長年唇の荒れを放置していた方は注意が必要です。
⚠️ 皮膚科で処方される薬の種類
皮膚科では、唇の荒れの原因や症状に応じてさまざまな薬が処方されます。主な薬の種類と特徴を解説します。
🔸 ステロイド外用薬
炎症を抑えることを目的とした薬で、口唇炎や接触性皮膚炎による唇の荒れに対して処方されることが多いです。ステロイドには強さのレベル(ウィーク〜ストロンゲスト)があり、唇は粘膜に近い部位のため、比較的弱めのランク(ウィーク〜ミディアムクラス)が選ばれることが一般的です。
ステロイドというと副作用を心配する方も多いですが、医師の指示通りに適切な期間・量を使用することで、安全に炎症を抑えることができます。長期使用や自己判断での使用は避け、必ず医師の指示に従って使用することが大切です。
💧 抗ウイルス薬(口唇ヘルペスの場合)
口唇ヘルペスには、アシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬が処方されます。外用薬(塗り薬)と内服薬があり、症状の程度や再発の頻度によって使い分けられます。症状が出始めたできるだけ早い段階で使用するほど効果的であるため、「いつものヘルペスが出てきた」と気づいたら早めに受診することが重要です。
頻繁に再発する方には、再発予防のための長期抑制療法として内服薬が継続処方されることもあります。
✨ 抗真菌薬(カンジダ感染の場合)
カンジダ菌による口角炎や口唇炎には、クロトリマゾールやミコナゾールなどの抗真菌薬が処方されます。外用薬が主に使われますが、重症の場合や全身的なカンジダ感染が疑われる場合は内服薬が使用されることもあります。
カンジダ感染は真菌(カビの一種)が原因であるため、ステロイドを単独で使用すると悪化することがあります。自己判断でステロイドを使用することが危険な場合があるため、皮膚科での正確な診断が重要です。
📌 抗菌薬(細菌感染の場合)
細菌感染による唇の荒れには、外用の抗菌薬(フシジン酸軟膏、テトラサイクリン軟膏など)が処方されます。傷口から細菌が入り込んでいる場合や、ただれが膿を持っている場合などに使用されます。
▶️ 保湿・保護を目的とした外用薬
炎症がない乾燥性の口唇炎や、炎症が落ち着いた後の維持療法として、保湿・保護を目的とした外用薬が処方されることがあります。ワセリン(プロペト)、ヘパリン類似物質含有軟膏などが代表的です。
ワセリンは皮膚を覆って水分の蒸発を防ぐバリア機能を持ち、低刺激で唇に使いやすい保湿剤です。ヘパリン類似物質は、皮膚の水分保持能力を高める作用があり、乾燥した唇の保湿に効果的です。
🔹 タクロリムス外用薬
アトピー性皮膚炎が背景にある口唇炎や、ステロイドが使いにくい部位・状況での炎症に対して、タクロリムス(プロトピック)外用薬が処方されることがあります。ステロイドとは異なるメカニズムで炎症を抑える薬で、皮膚が薄くなるなどのステロイド特有の副作用がない点が特徴です。
📍 内服薬(ビタミン剤・抗アレルギー薬など)
ビタミンB2やB6の不足が原因と考えられる口角炎には、ビタミンB群の内服薬が処方されます。アレルギー性の要素が強い場合には、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)が処方されることもあります。かゆみが強い場合の症状緩和にも役立ちます。
Q. カンジダ感染による口角炎にステロイドは使えますか?
カンジダ菌(真菌)が原因の口角炎にステロイドを単独使用すると、症状が悪化する危険があります。カンジダ感染にはクロトリマゾールやミコナゾールなどの抗真菌薬が必要です。自己判断でステロイドを使用せず、皮膚科で正確な診断を受けたうえで適切な薬を使用することが重要です。
🔍 市販薬と処方薬の違い
ドラッグストアでもリップクリームや唇用の薬を購入することができますが、皮膚科で処方される薬との違いを知っておくことは大切です。
💫 市販薬で対応できる範囲
乾燥による軽度の唇の荒れであれば、市販のリップクリームや保湿剤で十分対応できる場合があります。ドラッグストアでは、ワセリン系のリップバームや、ビタミンEを配合したリップクリーム、メントールを含まない低刺激タイプの製品などが販売されています。
また、口唇ヘルペス用の市販の外用薬(アシクロビル含有のものなど)も販売されていますが、初めて症状が出た場合や症状が強い場合は皮膚科を受診することをおすすめします。
🦠 処方薬が必要な場合
市販薬では対応できない強い炎症に対しては、処方ステロイド薬が必要です。市販薬にも弱いステロイドを含む製品がありますが、皮膚科で処方されるステロイドは濃度や剤型がより適切に選択されます。
感染症(ヘルペス、カンジダ菌、細菌)が原因の場合は、それぞれの病原体に対応した抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗菌薬が必要であり、これらは処方薬でなければ対応できないものも多くあります。
また、アレルギーパッチテストは皮膚科でのみ実施できる検査であり、アレルゲンを特定したうえで適切なケア用品を選ぶことが、再発予防に大きく役立ちます。
👴 保険適用について
皮膚科での口唇炎や口角炎、口唇ヘルペスなどの治療は、基本的に健康保険が適用されます。市販薬を何度も購入するよりも、皮膚科で適切な診断と処方薬を受けるほうが、結果的に費用を抑えられることも少なくありません。
📝 唇の荒れを悪化させるNG行動
唇の荒れに悩んでいる方がやりがちな行動の中には、実は症状を悪化させるものがあります。以下のNG行動をチェックしてみましょう。
🔸 唇を舐める
繰り返しになりますが、唇を舐める行為は乾燥をさらに進め、炎症を悪化させます。一時的に潤ったような感覚があるため癖になりやすいですが、意識して止めることが回復への重要なポイントです。気づいたらリップクリームや処方された外用薬を塗る習慣に置き換えることを意識しましょう。
💧 皮をむく・触る
乾燥した唇の皮を気になって触ったり、無理にむいたりすることで、唇に傷ができ、そこから細菌が感染したり、炎症が広がったりすることがあります。皮がめくれていても、無理に引っ張らずに放置するか、保湿してから自然にはがれるのを待つことが大切です。
✨ 香料や添加物が多いリップクリームを使い続ける

いい香りのリップクリームや、メントール入りのリップクリームは気持ちよく感じる方も多いですが、これらの成分がアレルギーや刺激の原因になっていることがあります。唇が荒れているときは、添加物が少ないシンプルな保湿剤(ワセリンなど)に切り替えることをおすすめします。
📌 刺激的な食べ物を食べる
唇が荒れているときに、辛い食べ物や酸っぱい食べ物(柑橘類など)、塩辛いものを食べると、唇への刺激が加わって痛みや炎症が悪化することがあります。回復中は刺激の少ない食事を心がけることが大切です。
▶️ 自己判断でステロイドを長期使用する
市販のステロイド含有薬や処方薬を、医師の指示なしに長期間使い続けることは危険です。唇の皮膚が薄くなる、感染症が悪化するなどのリスクがあります。症状が続く場合は必ず皮膚科を受診して、使用の継続可否を相談してください。
🔹 乾燥した室内で過ごし続ける
エアコンや暖房を使う季節は室内が乾燥しやすくなります。加湿器を使用したり、適度に水分補給をしたりして、室内の湿度を50〜60%程度に保つことを意識しましょう。
Q. 唇の荒れを悪化させる日常的なNG行動は?
唇を舌で舐める行為は唾液の消化酵素が刺激となり乾燥を悪化させます。乾いた皮を無理にむく行為は細菌感染の原因になります。また、香料やメントール入りのリップクリームの使用、辛い・酸っぱい食べ物の摂取、医師の指示なしにステロイドを長期使用することも症状悪化につながります。
💡 日常でできる唇のケア方法
薬による治療と並行して、日常生活でのケアも唇の荒れの改善と予防に役立ちます。皮膚科での治療を受けながら、以下のケアを取り入れてみましょう。
📍 適切な保湿を継続する
唇の乾燥を防ぐために、こまめにリップクリームや処方された外用薬を塗ることが基本です。特に就寝前のケアが効果的で、夜間に寝ている間も乾燥しないようにたっぷりと保湿剤を塗っておくと良いでしょう。ワセリン(プロペト)は医師にも処方されることが多く、添加物が少なく低刺激で使いやすい保湿剤です。
💫 食生活でビタミンを補う
ビタミンB2を多く含む食品には、レバー、乳製品、卵、納豆、緑黄色野菜などがあります。ビタミンB6を多く含む食品は、鶏肉、魚(サンマ、マグロなど)、バナナ、ジャガイモなどです。これらをバランスよく摂取することで、口唇炎・口角炎の予防につながります。サプリメントで補う場合は、ビタミンB群のコンプレックス(複合)タイプが効率的です。
🦠 水分補給を意識する
体全体の水分量が不足すると、唇を含む皮膚や粘膜が乾燥しやすくなります。1日1.5〜2リットルを目安に水分を摂取することを心がけましょう。コーヒーや紅茶には利尿作用があるため、水やお茶(ノンカフェイン)を中心に補給するとよいでしょう。
👴 マスクの正しい使い方
マスクは乾燥した外気から唇を守る効果がある一方、マスク内が蒸れて湿度が高くなることでカンジダ菌などが増殖しやすくなる場合もあります。マスクを外した後は唇を清潔に保ち、保湿ケアをすることが大切です。また、化学繊維のマスクが肌荒れや唇の荒れを引き起こすこともあるため、肌触りの良い素材を選ぶことも一つの工夫です。
🔸 紫外線対策をする
外出時にはSPFが含まれたリップバームを使用することで、紫外線ダメージから唇を守ることができます。特に日差しの強い季節や、スキー・海水浴など紫外線が強い環境では積極的に活用しましょう。
💧 コスメを見直す
口紅やグロスを使っている方は、一度成分を確認してみましょう。長期間使用している製品が原因で接触性皮膚炎を起こしていることもあります。パッチテストができる製品を選ぶ、または皮膚科でアレルギー検査を受けてアレルゲンを特定したうえで製品を選び直すことが根本的な解決につながります。
✨ ストレス管理・免疫力の維持
口唇ヘルペスはストレスや免疫力低下が再発のきっかけになることが多いため、十分な睡眠、規則正しい生活、ストレスのコントロールが再発予防に効果的です。免疫力を維持することは、すべての口唇炎の予防にもつながります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「「リップクリームを使い続けているのに全然治らない」とお悩みになって受診される患者様が多く、診察してみると接触性皮膚炎やカンジダ感染など、保湿だけでは対応できない原因が隠れているケースが少なくありません。唇の荒れは原因によって必要な薬がまったく異なるため、自己判断でのケアに限界を感じたら、早めに皮膚科でしっかりと診断を受けていただくことが、遠回りのようで一番の近道です。」
📌 よくある質問
リップクリームで改善しない場合、乾燥以外の原因が隠れている可能性があります。接触性皮膚炎やカンジダ感染、口唇ヘルペスなどは保湿だけでは対応できず、それぞれに適した処方薬が必要です。2週間以上改善しない場合は、皮膚科を受診して原因を正確に診断してもらうことをおすすめします。
原因によって処方薬は異なります。炎症にはステロイド外用薬、口唇ヘルペスにはアシクロビルなどの抗ウイルス薬、カンジダ感染には抗真菌薬、乾燥にはワセリンやヘパリン類似物質含有軟膏などが処方されます。自己判断での使用は症状を悪化させることがあるため、医師の診断のもとで使用することが重要です。
口唇炎・口角炎・口唇ヘルペスなどの治療は、基本的に健康保険が適用されます。市販薬を繰り返し購入するよりも、皮膚科で適切な診断と処方薬を受けるほうが、結果的に費用を抑えられるケースも少なくありません。まずはお気軽にご相談ください。
はい、唇を舐める行為は荒れを悪化させる大きな原因の一つです。唾液に含まれる消化酵素が唇を刺激し、唾液が蒸発する際に唇の水分も奪われるため、乾燥がさらに進みます。気づいたらリップクリームや処方された外用薬を塗る習慣に置き換えることが、回復への重要なポイントです。
いくつかのセルフケアが予防に効果的です。ワセリンなどによるこまめな保湿、ビタミンB2・B6を含む食品の摂取、1日1.5〜2リットルの水分補給、SPF入りリップバームでの紫外線対策、加湿器での室内湿度の維持(50〜60%程度)などを習慣化することで、再発リスクを下げることができます。
🎯 まとめ
唇の荒れは、乾燥・アレルギー・感染症・栄養不足・全身疾患など、さまざまな原因によって起こります。軽い乾燥であれば市販の保湿剤で対応できることもありますが、炎症が強い、繰り返す、感染の疑いがあるといった場合は、皮膚科を受診して適切な薬を処方してもらうことが大切です。
皮膚科では、ステロイド外用薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗菌薬、保湿薬など、症状の原因に合わせた薬が処方されます。市販薬では対応しきれない場面も多く、正確な診断のもとで治療を進めることが、根本的な改善につながります。
日常生活では、保湿ケアの継続、ビタミンB群の摂取、水分補給、唇を舐める癖の改善、刺激物を避けるなどのセルフケアを心がけることで、薬の効果を高め、再発を予防することができます。
唇の荒れは軽視されがちですが、生活の質に大きく影響するトラブルです。「たかが唇の荒れ」と放置せず、気になる症状があれば早めに皮膚科を受診することをおすすめします。適切な診断と治療で、健やかで潤いのある唇を取り戻しましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇炎・口角炎・口唇ヘルペスなど唇の荒れに関する皮膚疾患の診断基準および治療ガイドライン(ステロイド外用薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬の適応と使用方法)
- 国立感染症研究所 – 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)による口唇ヘルペスの感染経路・再活性化メカニズム・抗ウイルス薬による治療に関する情報
- 厚生労働省 – ステロイド外用薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬を含む処方薬と市販薬の適正使用・副作用に関する薬事情報および保険適用に関する情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務