夏のアウトドアや農作業中に、突然鋭い痛みを感じたことはありませんか?アブは蚊と違い、皮膚を噛み切って血を吸う昆虫です。刺された直後の強い痛みだけでなく、その後に現れるかゆみや腫れが長引くことも多く、正しい対処法を知っておくことが大切です。アイシークリニック上野院では、虫刺されによる皮膚症状の相談を多く受けています。この記事では、アブに刺されたときに起こる症状から応急処置の手順、病院受診の目安まで、医療的な観点からわかりやすく解説します。
目次
- アブとはどんな昆虫か
- アブに刺されたときの症状
- アブと蚊の違い:なぜアブの刺し傷はひどくなるのか
- アブに刺されたら:応急処置の手順
- やってはいけないNG行動
- 市販薬での対処法
- 病院受診が必要なケース
- アナフィラキシーショックに注意
- 皮膚科・クリニックでの治療
- アブに刺されないための予防策
- まとめ
この記事のポイント
アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、蚊より強い痛み・腫れ・かゆみが生じる。応急処置は洗浄と冷却が基本で、腫れの拡大・発熱・呼吸困難時は速やかに医療機関を受診すること。アナフィラキシーは119番通報が必須。
🎯 アブとはどんな昆虫か
アブは双翅目アブ科に属する昆虫で、日本には約100種類以上が生息しています。体長は種類によって異なりますが、一般的に1〜3cm程度で、蚊よりもはるかに大きいため目視で確認しやすい反面、刺されるまで気づかないことも少なくありません。
アブが活発に活動する時期は主に6月から9月ごろで、特に7〜8月の真夏が最も多く見られます。山間部や水辺、草地、農耕地などを中心に生息しており、牛や馬などの大型動物の血を好む種類が多いのですが、人間も標的にします。特に黒い色や濃い色の衣服、炭酸ガス(呼気)、汗の匂いに引き寄せられるとされており、屋外で活動する際には注意が必要です。
アブの中でもよく知られているのはウシアブ、シロフアブ、キンイロアブなどです。ウシアブは特に大型で攻撃性が高く、刺されたときの痛みも強いとされています。メスのアブだけが血を吸い、卵の成熟に必要なタンパク質を得るために吸血行動をとります。オスは花の蜜などを食べており、人を刺すことはありません。
Q. アブに刺されたときの応急処置の手順は?
アブに刺されたら、まずアブを払いのけて安全な場所に移動します。次に傷口を水道水と石けんで5〜10分丁寧に洗い流し、清潔なタオルに包んだ保冷剤で10〜15分冷却します。氷は直接皮膚に当てず凍傷に注意し、冷却後は清潔なガーゼで患部を保護してください。
📋 アブに刺されたときの症状
アブに刺されると、多くの場合は刺された瞬間から強い痛みを感じます。これはアブが皮膚を針で刺すのではなく、ハサミのような口器で皮膚を切り裂いて血を吸う「切皮吸血型」であるためです。この時点でほとんどの人が刺されたことに気づきます。
刺された直後に見られる主な症状としては、鋭い痛みとともに刺し口周辺の赤みがあります。続いて数分から数時間のうちに腫れが広がり、強いかゆみが出てきます。蚊に刺されたときと比べてかゆみや腫れの程度が強く、患部が熱を帯びることも多いです。
症状の経過を時系列で整理すると、以下のようになります。
刺された直後(0〜数分):鋭い痛み、局所的な赤みが現れます。刺し口には小さな出血点が見られることがあります。
数分〜数時間後:腫れが広がり、かゆみが強くなります。患部が赤く腫れ上がり、熱感を伴うことが多いです。膨疹(じんましんのような盛り上がり)が現れることもあります。
翌日以降:腫れやかゆみが続く場合があります。人によっては数日から1〜2週間かゆみが持続することもあります。また、掻き壊しによって二次感染を起こすリスクもあります。
体質やアレルギーの有無によって症状の重さは大きく異なります。初めてアブに刺された場合は比較的症状が軽いことが多いですが、繰り返し刺されることでアレルギー反応が強くなり、より重篤な症状が出やすくなることがあります。これを「感作(かんさ)」といい、虫刺されに対する免疫反応が過剰になった状態です。
💊 アブと蚊の違い:なぜアブの刺し傷はひどくなるのか
蚊とアブはどちらも吸血する昆虫ですが、その方法が根本的に異なります。蚊は細い針状の口吻(こうふん)を皮膚に刺し込んで血を吸います。皮膚の損傷が最小限に抑えられるため、刺された瞬間の痛みはほとんど感じないことが多いです。
一方アブは、鋭いハサミ状の口器で皮膚を切り裂き、溢れ出る血液を吸います。これにより皮膚の損傷が大きく、刺された瞬間に強い痛みが生じます。また、血液が固まらないようにするための抗凝固物質や、アレルギー反応を引き起こす物質(唾液成分)を傷口に注入するため、局所反応が強く出やすいのです。
アブの唾液に含まれる成分には、ヒスタミン様物質や各種タンパク質が含まれており、これらが皮膚の肥満細胞を刺激することで強いかゆみや腫れを引き起こします。また、物理的な組織損傷があるため、感染リスクも蚊刺されより高いといえます。
さらに、アブは一度で大量の血液を吸うため、吸血にかかる時間も長くなる傾向があります。その間に多くの唾液成分が注入されることも、症状が重くなりやすい理由のひとつです。
Q. アブ刺されが蚊より症状がひどくなる理由は?
アブは蚊のように針を刺すのではなく、ハサミ状の口器で皮膚を切り裂いて吸血します。この物理的な組織損傷に加え、抗凝固物質やアレルギー反応を引き起こす唾液成分が傷口に注入されるため、蚊と比べて強い痛み・腫れ・かゆみが起こりやすく、感染リスクも高くなります。
🏥 アブに刺されたら:応急処置の手順
アブに刺されたことに気づいたら、速やかに以下の応急処置を行いましょう。正しい対処をすることで、症状の悪化や二次感染を防ぐことができます。
まず最初に行うべきことは、その場からアブを払いのけて安全な場所に移動することです。アブは一度吸血を始めると離れにくい場合がありますが、追い払って追加の刺激を防ぎましょう。
次に、傷口を流水で十分に洗い流します。水道水で構いませんので、少なくとも5〜10分程度、丁寧に洗い流してください。石けんを使うとより効果的に傷口を清潔に保てます。アブの唾液成分を洗い流すことで、アレルギー反応を軽減させる効果が期待できます。
洗浄後は、患部を冷やします。清潔なタオルに包んだ保冷剤や氷を用いて10〜15分程度冷却することで、腫れや痛みを和らげることができます。ただし、凍傷を防ぐために氷を直接皮膚に当てないように注意してください。
冷却後は清潔なガーゼや絆創膏で傷口を保護し、掻かないようにすることが重要です。かゆみが強くても掻いてしまうと皮膚のバリアが壊れ、細菌感染を起こすリスクが高まります。
もし市販の虫刺され用の外用薬(ステロイド含有や抗ヒスタミン含有のもの)が手元にあれば、洗浄・冷却後に塗布することで症状を和らげる効果が期待できます。
アウトドアなど医療機関から离れた場所で刺された場合は特に、上記の応急処置を丁寧に行い、帰宅後に症状が続くようであれば皮膚科などを受診することをお勧めします。
⚠️ やってはいけないNG行動
アブに刺されたときによかれと思ってやってしまいがちな行動の中には、症状を悪化させてしまうものがあります。以下の行動は避けるようにしましょう。
患部を強く掻くことは最もやってはいけない行動のひとつです。かゆみが強くても掻いてしまうと皮膚が傷つき、細菌が侵入しやすくなります。掻き壊しによる細菌感染(とびひなど)を引き起こすことがあります。また、掻くことでかゆみ物質がさらに広がり、かゆみが悪化する悪循環にもつながります。
刺された部分を口で吸い出す行為も避けてください。口腔内の細菌が傷口に入り込むリスクがあります。また、アブの唾液成分が口腔粘膜から吸収される可能性もあります。
民間療法として知られる「アンモニア(虫刺されに塗る市販のアンモニア溶液)を直接傷口に塗る」行為については、アブ刺されには効果が薄いとされています。アンモニアはハチ毒のような酸性の毒には中和効果がありますが、アブの唾液成分とは性質が異なるためです。また、皮膚への刺激が強くなる場合もあります。
患部を熱いお湯に浸けるなど、過度に温めることも腫れを悪化させることがあるため注意が必要です。急性期(刺された直後)は冷却が基本です。
また、症状が強くないからといって放置して様子を見続けるのも危険です。特に腫れが急速に広がる場合や、刺された部分以外に症状が出てきた場合は、アナフィラキシーショックの可能性があり、速やかな対応が必要です。
🔍 市販薬での対処法
症状が軽度から中等度の場合、ドラッグストアなどで購入できる市販薬を使用することができます。虫刺されの薬は大きく外用薬と内服薬に分けられます。
外用薬については、ステロイド(副腎皮質ホルモン)成分を含む外用薬が、かゆみや炎症を抑えるのに効果的です。市販のステロイド外用薬にはいくつかの強さ(ランク)があり、アブ刺されのような強い炎症には中程度以上の強さのものが適している場合があります。ただし、市販のステロイド外用薬は使用できる部位や期間に制限があるため、添付文書をよく読んで使用することが大切です。
抗ヒスタミン成分を含む外用薬は、かゆみの原因となるヒスタミンの働きを抑え、患部のかゆみを和らげます。ステロイド成分と抗ヒスタミン成分の両方を含む配合製品も多く販売されています。
内服薬については、抗ヒスタミン薬(アレルギーの薬)の飲み薬を服用することで、かゆみや腫れを内側から抑える効果が期待できます。市販の花粉症薬や蕁麻疹の薬として販売されているものが該当します。眠気が出るタイプと出にくいタイプがありますので、活動内容に合わせて選択してください。
市販薬を使用しても症状が改善しない場合や悪化する場合、5〜7日以上症状が続く場合は、皮膚科への受診をお勧めします。市販薬では対応できない強さのステロイド外用薬や、症状に合った内服薬を処方してもらえます。
Q. アブに刺されてアナフィラキシーが疑われる症状は?
アブ刺され後、数分〜30分以内に全身のじんましん・顔や唇の腫れ・呼吸困難・急激な血圧低下・意識がぼんやりするなどの症状が現れた場合はアナフィラキシーショックが疑われます。命に関わる緊急事態のため、ためらわず119番通報し、救急対応を受けることが最優先です。
📝 病院受診が必要なケース
アブに刺された場合、以下に該当するときは速やかに医療機関を受診してください。
刺された部分の腫れが広範囲にわたって広がっている場合は受診が必要です。通常、アブ刺されによる腫れは刺し口周辺にとどまりますが、それ以上に広がる場合は感染やアレルギー反応が疑われます。
患部に赤い線が走っている、または赤みが拡大し続けている場合は、リンパ管炎(蜂窩織炎など)の可能性があります。これは細菌感染が広がっているサインであり、抗生物質による治療が必要です。放置すると敗血症につながる危険性があります。
発熱を伴う場合も受診が必要です。虫刺されそのものが原因で高熱が出ることは少ないですが、二次感染を起こしている可能性があります。アブはウイルスや細菌を媒介することもあるため、発熱が続く場合は注意が必要です。
患部から膿が出ている場合は細菌感染が起きているサインです。自己判断で膿を絞り出すことは避け、医療機関での適切な処置を受けてください。
市販薬を1週間以上使用しても症状が改善しない場合、または症状が悪化している場合も受診をお勧めします。
また、過去にハチや虫刺されでアレルギー反応(全身のじんましん、呼吸困難など)を経験したことがある方は、アブに刺された場合も同様の重篤な反応が起きる可能性があります。このような既往がある方は、症状が軽くても早めに受診することをお勧めします。
💡 アナフィラキシーショックに注意
アブに刺されることで、まれに「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤なアレルギー反応が起こることがあります。アナフィラキシーショックは命に関わる緊急事態であり、適切な対応が求められます。
アナフィラキシーの症状は、刺されてから通常数分から30分以内に急速に現れます。主な症状には以下のものがあります。
皮膚症状としては、全身に広がるじんましん、全身の赤み(紅潮)、顔や唇・舌の腫れなどがあります。
呼吸器症状としては、のどの締め付け感、呼吸困難、喘鳴(ぜいぜいとした呼吸音)などが見られます。
循環器症状としては、急激な血圧低下、脈が速くなる・弱くなる、顔色が悪くなるなどの症状が起きることがあります。
消化器症状として、吐き気・嘔吐・腹痛が現れることもあります。
神経症状として、強い不安感、意識がぼんやりする、失神するなどが起こり得ます。
これらの症状が現れた場合は、ためらわずに119番通報をして救急車を呼んでください。アナフィラキシーの治療にはアドレナリン(エピネフリン)の注射が必要であり、病院での緊急対応が不可欠です。
過去に重篤なアレルギー反応を経験したことがある方は、医師と相談してアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方してもらうことを検討してください。アウトドア活動時には常に携帯し、緊急時に使用できるようにしておくことが重要です。
アナフィラキシーが疑われる場合は、横になって両足を高く上げる体位(ショック体位)をとることで血圧の低下を緩和できます。ただし呼吸困難がある場合は上体を起こした姿勢の方が楽になることもあります。意識がない場合は回復体位(横向きに寝かせる)をとり、気道を確保してください。
Q. アブに刺されないための予防策を教えてください
アブは黒や濃い色の衣服に引き寄せられるため、白や明るい色の長袖・長ズボンで肌の露出を減らすことが有効です。DEETやイカリジン配合の虫除けスプレーも一定の効果があります。また、アブが活発な日中(午前10時〜午後3時)や水辺・草地での活動をできるだけ避け、汗はこまめに拭き取りましょう。
✨ 皮膚科・クリニックでの治療
皮膚科やクリニックを受診した場合、症状の程度や状態に応じてさまざまな治療が行われます。アイシークリニック上野院でも虫刺されによる皮膚症状に対応しており、適切な診断と治療を提供しています。
炎症やかゆみが強い場合は、市販薬よりも強いランクのステロイド外用薬が処方されます。市販品には含まれない強さのステロイド薬を適切に使用することで、症状を早期に落ち着かせることができます。ステロイドは正しく使えば安全性の高い薬です。処方された用量・期間を守って使用することが大切です。
かゆみが強くて眠れない場合や、全身に症状が出ている場合は抗ヒスタミン薬の内服薬が処方されることがあります。市販薬よりも作用が強いものや、眠気が少ないタイプのものなど、症状や生活環境に合わせた薬を選んでもらえます。
細菌感染(蜂窩織炎など)が起きている場合は、抗生物質(抗菌薬)が処方されます。症状の重さによって外用薬で対応できる場合と、内服または点滴が必要な場合があります。重篤な感染症の場合は入院治療が必要になることもあります。
掻き壊しによって傷ができている場合は、傷の処置と感染予防のための外用薬が処方されることもあります。
また、アレルギー反応が強い体質だと判断された場合は、ステロイドの内服薬が短期間処方されることがあります。
受診の際は、いつ・どこで・何に刺されたか(アブと確認できたか)、現在の症状の経過、これまでの虫刺されでのアレルギー反応の有無、現在服用中の薬などを医師に伝えるとスムーズに診察が進みます。
📌 アブに刺されないための予防策

アブに刺されないためには、アブが好む環境や条件を理解した上で適切な対策をとることが重要です。
服装についての対策として、アブは黒や紺などの濃い色の衣服に引き寄せられる傾向があります。アウトドアや農作業の際には、白や明るい色の服を着用するとよいでしょう。また、肌の露出を少なくし、長袖・長ズボン・手袋・帽子を着用することで刺されるリスクを減らせます。
虫除け剤の使用も有効です。DEETやイカリジンを有効成分とする虫除けスプレーは、アブにも一定の効果があります。ただし、蚊ほど高い忌避効果は期待できない場合もあります。製品の使用方法と注意事項をよく読み、適切に使用してください。子どもに使用する際は年齢に応じた製品を選ぶことが大切です。
行動面での対策としては、アブが活発に活動する時間帯(日中、特に午前10時〜午後3時ごろ)や場所(水辺、草地、山間部、家畜がいる場所の周辺)での活動をできるだけ避けることが効果的です。アブが多い環境では、特に注意が必要です。
汗をかいた場合はこまめに拭き取ることも予防につながります。アブは汗や体臭に引き寄せられるため、できるだけ清潔を保つことが重要です。
農作業や林業など、アブが多い環境で働く方は、作業前に虫除け剤を塗布し、こまめに塗り直すことが推奨されます。また、アブに気づいたら素早く払いのけるか、その場から離れることが大切です。無理に手で叩こうとするとアブを刺激してかえって刺されやすくなることがあります。
子どもが屋外で遊ぶ際も同様の対策が必要です。特に水辺でのレジャーでは、アブが多く見られることがあるため、保護者が注意を払ってください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、夏から秋にかけてアブ刺されによる皮膚症状でご来院される方が増える傾向にあり、なかには「蚊に刺されたと思っていたが、数日経っても腫れが引かない」と受診される方も少なくありません。アブは皮膚を切り裂いて吸血するため、蚊とは比べものにならないほど強い炎症反応が起こりやすく、掻き壊しによる二次感染や、まれにアナフィラキシーに至るケースもあるため、症状が長引いたり悪化したりする場合はどうぞお早めにご相談ください。患者様お一人おひとりの症状に合わせた適切な治療を提供できるよう、スタッフ一同努めておりますので、どうぞ安心してお越しください。」
🎯 よくある質問
まずアブを払いのけて安全な場所に移動し、傷口を水道水と石けんで5〜10分程度丁寧に洗い流してください。その後、清潔なタオルに包んだ保冷剤などで10〜15分程度冷却することで、腫れや痛みを和らげることができます。氷は直接皮膚に当てず、凍傷に注意してください。
アブは蚊のように針を刺すのではなく、ハサミ状の口器で皮膚を切り裂いて吸血します。この物理的な組織損傷に加え、血液を固まりにくくする抗凝固物質やアレルギー反応を引き起こす唾液成分が傷口に注入されるため、蚊に比べて強い痛み・腫れ・かゆみが起こりやすくなります。
以下の場合は速やかに医療機関を受診してください。腫れが広範囲に広がっている、患部に赤い線が走っている、発熱や膿が出ている、市販薬を1週間以上使用しても改善しない場合などが該当します。また、呼吸困難や全身のじんましんなどアナフィラキシーが疑われる場合は、ためらわず119番通報してください。
主に4つのNG行動があります。①かゆくても患部を強く掻く(二次感染や症状悪化につながります)、②傷口を口で吸い出す(口腔内の細菌が入るリスクがあります)、③患部を過度に温める(腫れが悪化する恐れがあります)、④症状が出ているのに放置し続ける(アナフィラキシーなど重篤化の危険があります)。
いくつかの対策が有効です。服装は白や明るい色の長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を減らしましょう。DEETやイカリジンを含む虫除けスプレーも一定の効果があります。また、アブが活発な日中(午前10時〜午後3時)や水辺・草地などアブが多い場所での活動をできるだけ避け、汗はこまめに拭き取ることも予防につながります。
📋 まとめ
アブに刺されると、蚊に刺されたときとは比較にならないほど強い痛みやかゆみ、腫れが起こることがあります。これはアブが皮膚を切り裂いて血を吸うという特殊な吸血方法と、注入される唾液成分によるアレルギー反応が原因です。
刺されたら、まず流水で丁寧に洗浄し、冷却することが基本的な応急処置です。かゆみが強くても掻いてしまうと症状が悪化したり二次感染を起こしたりするリスクがあるため、市販の外用薬や内服薬でかゆみをコントロールしながら患部を保護することが大切です。
市販薬で改善しない場合や腫れが広がる場合、感染の兆候がある場合は早めに皮膚科を受診してください。また、呼吸困難や全身のじんましんなどアナフィラキシーが疑われる症状が現れた場合は、ためらわずに119番通報をして救急対応を受けることが最優先です。
日ごろからアブが生息しやすい環境での活動時には、適切な服装や虫除け剤の使用などで予防策を講じておくことが重要です。アイシークリニック上野院では、アブ刺されをはじめとする虫刺されによる皮膚症状の診察・治療を行っております。症状が気になる方はお気軽にご相談ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 虫刺されによる皮膚症状(かゆみ・腫れ・炎症)の診断・治療方針、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の使用に関する医学的根拠
- 厚生労働省 – 夏季における虫刺され・衛生害虫に関する注意喚起、応急処置および医療機関受診の目安に関する公式情報
- 国立感染症研究所 – アブを含む節足動物による刺咬症・感染症媒介リスク、アナフィラキシー反応および二次感染(蜂窩織炎・敗血症)に関する疫学・感染症学的知見
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務