マダニに噛まれた跡の特徴と症状・対処法を徹底解説

クリニックでカウンセリングを受ける患者と女性医師

アウトドアや野外での活動後、気づかないうちにマダニに噛まれていたというケースは珍しくありません。マダニは非常に小さく、噛まれても痛みをほとんど感じないため、発見が遅れることが多い吸血性の節足動物です。しかし、マダニは日本紅斑熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)など、命に関わる感染症を媒介することがあり、正しい知識と迅速な対応が求められます。この記事では、マダニに噛まれた跡の特徴から症状、対処法、そして医療機関を受診すべきタイミングまでを詳しく解説します。


目次

  1. マダニとはどんな生き物か
  2. マダニに噛まれた跡の特徴と見分け方
  3. マダニに噛まれた後に現れる症状
  4. マダニが媒介する主な感染症
  5. マダニに噛まれたときの正しい対処法
  6. やってはいけないNG対処法
  7. 医療機関を受診すべきタイミング
  8. マダニに噛まれやすい場所と時期
  9. マダニ対策・予防法
  10. まとめ

この記事のポイント

マダニに噛まれても痛みが少なく気づきにくいが、SFTS・日本紅斑熱などの重篤な感染症を媒介するリスクがある。自己除去は禁物で、発見次第すみやかに皮膚科を受診し、除去後も2〜4週間の体調観察が必要。

🎯 マダニとはどんな生き物か

マダニは、クモ綱ダニ目マダニ科に属する節足動物です。一般的に「ダニ」というと、室内の布団や畳に生息するチリダニやコナダニを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、マダニはそれらとは全く異なる種類です。マダニは主に野山や草むらなど屋外の自然環境に生息しており、哺乳類・鳥類・爬虫類などの血液を吸って生きています。

マダニの体の大きさは、吸血前は2〜3mm程度とごく小さいですが、吸血後は1cm以上に膨らむことがあります。日本には約50種類のマダニが生息しており、代表的な種類としてはフタトゲチマダニ、ヤマトマダニ、キチマダニ、シュルツェマダニなどが知られています。

マダニのライフサイクルは、卵・幼虫・若虫・成虫の4段階で構成されます。各ステージで宿主の血液を吸い、脱皮を繰り返して成長します。幼虫期は非常に小さく0.5mm前後しかないため、この時期に噛まれると発見がさらに困難になります。成虫になったメスは十分に吸血した後、産卵して一生を終えます。一度の産卵で数千個もの卵を産むため、生息地での個体数は非常に多くなります。

マダニが問題となる最大の理由は、吸血する際に様々な病原体を宿主に感染させる可能性があるためです。マダニ自体は病原体を保有しており、その唾液を通じて人間に病気をもたらします。吸血時間が長くなるほど感染リスクが高まるため、早期発見・早期除去が重要です。

Q. マダニに噛まれた跡にはどんな特徴がありますか?

マダニに噛まれた跡は、噛まれた中心部に小さな点状の傷跡が残り、周囲に数日続く赤みが生じます。かゆみや痛みは比較的軽く、口器が残った場合は硬いしこりが形成されることもあります。ライム病では輪状に広がる遊走性紅斑、日本紅斑熱では黒い痂皮を伴う刺し口が現れます。

📋 マダニに噛まれた跡の特徴と見分け方

マダニに噛まれた跡には、他の虫刺されとは異なるいくつかの特徴があります。これらの特徴を知っておくことで、早期発見につながります。

🦠 マダニが皮膚に付着している状態の特徴

マダニが吸血中の場合、皮膚に黒いゴマ粒のような小さな点が付いているように見えます。吸血が進むと体が膨らみ、白っぽい灰色や茶色の丸い粒状のものが皮膚に張り付いているように見えることもあります。マダニは口器(ハイポストーム)を皮膚に深く差し込んで固定しているため、触ってもなかなか取れません。ぐらつく感じがなく、皮膚にしっかりと固着しているのが特徴です。

👴 マダニが離れた後の跡の特徴

マダニが自然に離れた後、あるいは除去した後の跡にはいくつかの特徴的な所見が見られます。

まず、噛まれた部位には赤い発疹や丘疹(小さな盛り上がり)が見られることが多いです。噛まれた中心部に小さな点状の傷跡が残り、その周囲に赤みが広がることがあります。この赤みは数日間続くことがあります。

かゆみは、他の虫刺されに比べると比較的軽いか、全くない場合もあります。これはマダニの唾液に麻酔作用のある成分が含まれているためで、噛まれた瞬間から吸血中の痛みやかゆみを感じさせない仕組みになっています。

また、硬結(硬いしこり)が噛まれた部位に残ることがあります。これはマダニの口器の一部が皮膚内に残留した場合に起こりやすく、異物に対する炎症反応によって生じます。

🔸 感染症に伴う特徴的な皮膚症状

マダニが媒介する感染症の中には、特徴的な皮膚症状を伴うものがあります。最も注目すべき症状の一つが「遊走性紅斑」です。これはライム病に特徴的な症状で、噛まれた部位を中心に輪状(リング状)の赤みが徐々に拡大していくものです。内側が薄くなり、外側の縁だけが赤くなる「輪の形」をした皮疹で、時間の経過とともに直径が10cmを超えることもあります。

日本紅斑熱では、噛まれた部位に刺し口(黒い痂皮を伴う潰瘍)と呼ばれる特徴的な病変が生じ、体全体に赤い発疹が広がることがあります。

💧 他の虫刺されとの違い

蚊やブヨの刺し跡と比べると、マダニに噛まれた跡はすぐに強いかゆみや腫れが生じないことが多いため、気づきにくいのが最大の違いです。蜂刺されのような激しい痛みもないため、気づかないまま数日間、マダニが吸血し続けるケースも珍しくありません。

噛まれやすい部位としては、わきの下、太ももの付け根、ひざの裏、足首周辺、頭皮、耳の後ろなど、皮膚が柔らかく薄い部位が挙げられます。これらの部位は見えにくい場所でもあるため、アウトドア後には鏡を使って入念にチェックすることが大切です。

💊 マダニに噛まれた後に現れる症状

マダニに噛まれた場合、現れる症状は大きく二つに分けられます。一つはマダニが皮膚に付着・吸血することによる局所的な症状、もう一つはマダニが媒介する感染症による全身症状です。

✨ 局所的な症状

噛まれた部位の局所的な症状としては、軽度の発赤・腫脹・かゆみが挙げられます。前述の通り、これらの症状は比較的軽いことが多く、噛まれた直後は自覚症状がほとんどないことも珍しくありません。マダニを除去した後も数日間、噛まれた部位が赤く腫れたり、かゆみが続いたりすることがあります。

口器が皮膚内に残った場合は、その部位に肉芽腫(にくがしゅ)と呼ばれる硬いしこりが形成されることがあります。これは体が異物を封じ込めようとする免疫反応によるものです。

📌 感染症による全身症状

感染症に伴う全身症状は、マダニに噛まれてから数日〜2週間程度の潜伏期間を経て現れることが多いです。代表的な症状としては、発熱(38℃以上の高熱が多い)、頭痛、筋肉痛、関節痛、倦怠感などがあります。これらの症状はインフルエンザに似ており、初期段階では見分けがつきにくいことがあります。

感染症の種類によっては、消化器症状(嘔気・嘔吐・下痢・腹痛)を伴うこともあります。特にSFTS(重症熱性血小板減少症候群)では、これらの消化器症状が顕著に現れ、重症化すると出血傾向や意識障害、多臓器不全などの深刻な状態に至ることがあります。

また、マダニ刺咬症(マダニに噛まれること)によるアレルギー反応として、稀にアナフィラキシーショックが起こることもあります。じんましん、呼吸困難、血圧低下などの症状が現れた場合は、直ちに救急対応が必要です。

Q. マダニが媒介する感染症にはどのようなものがありますか?

マダニが媒介する主な感染症には、致死率6〜30%のSFTS(重症熱性血小板減少症候群)、高熱・刺し口・発疹を三大徴候とする日本紅斑熱、輪状の皮疹が特徴のライム病、中枢神経症状を引き起こすダニ媒介脳炎などがあります。いずれも早期治療が重症化予防の鍵となります。

🏥 マダニが媒介する主な感染症

マダニが媒介する感染症は複数あり、それぞれ病原体・症状・重症度が異なります。日本国内で問題となっている主な感染症を以下に紹介します。

▶️ SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

SFTSは、SFTSウイルス(フレボウイルス属)を原因とするウイルス感染症です。2013年に日本で初めて確認されて以来、毎年100例前後の患者が報告されており、致死率は6〜30%と非常に高い深刻な感染症です。主にマダニのフタトゲチマダニなどが媒介します。

症状は38〜40℃の高熱、消化器症状(嘔吐・下痢・腹痛)、血小板減少、白血球減少などが特徴です。重症化すると出血症状、神経症状、多臓器不全が起こることがあります。現時点では有効なワクチンや特異的な治療薬がなく、対症療法が中心となります。

🔹 日本紅斑熱

日本紅斑熱は、リケッチア・ジャポニカという細菌を原因とする感染症です。キチマダニやフタトゲチマダニなどが媒介します。主に西日本(特に九州・中国・四国地方)での報告が多いですが、近年は関東地方でも増加傾向にあります。

症状は突然の高熱(39℃以上)、刺し口、発疹が三大徴候とされています。発疹は噛まれてから3〜4日後に手足や体幹に現れ、手のひらや足の裏にも及ぶのが特徴です。適切に抗菌薬(ドキシサイクリンなど)で治療すれば予後は比較的良好ですが、治療が遅れると重篤化することがあります。

📍 ライム病

ライム病は、ボレリア・ブルグドルフェリという細菌を原因とする感染症で、シュルツェマダニなどが媒介します。北海道を中心に報告されていますが、年間の患者数は比較的少数です。

初期症状として前述の遊走性紅斑(ECM:Erythema Chronicum Migrans)が特徴的です。治療せずに放置すると、数週間〜数ヶ月後に関節炎、神経症状(顔面神経麻痺など)、心臓症状(心ブロックなど)などが現れることがあります。早期に適切な抗菌薬治療を受ければ完治が期待できます。

💫 ダニ媒介脳炎

ダニ媒介脳炎ウイルス(TBEウイルス)によって引き起こされる感染症で、シュルツェマダニなどが媒介します。日本では北海道での感染が確認されており、国内感染例は散発的ながら報告されています。発熱・頭痛・倦怠感などの初期症状の後、一部の患者では脳炎・髄膜炎などの中枢神経症状が現れることがあります。

🦠 回帰熱

ボレリア菌の一種によって引き起こされる感染症で、ヤマトマダニなどが媒介します。38℃以上の高熱が数日続き、一時的に解熱した後に再び発熱するという「回帰性」の発熱が特徴です。日本での報告例は少ないですが、存在する感染症として知られています。

⚠️ マダニに噛まれたときの正しい対処法

マダニに噛まれた場合の対処法として最も重要なことは、なるべく早く医療機関を受診することです。ここでは、受診までの間にできる対処法と、医療機関での処置について説明します。

👴 まず医療機関へ

マダニに噛まれていることに気づいたら、皮膚科や感染症科、あるいはかかりつけ医を受診することを最優先にしてください。マダニは口器を皮膚深くに差し込んでいるため、無理に自分で除去しようとすると口器が皮膚内に残ったり、マダニの体液が体内に押し込まれたりして感染リスクが高まります。

🔸 医療機関での処置

医療機関では、専用のピンセットや器具を用いて安全にマダニを除去します。処置の流れは以下の通りです。

まず、マダニが付着している部位を消毒します。次に、尖頭ピンセットなどの専用器具をマダニと皮膚の接触部分に当て、マダニの体を潰さないよう注意しながら、皮膚に対して垂直方向に引き抜きます。口器を残さないよう慎重に除去することが重要です。

除去後は傷口を消毒し、必要に応じて抗菌薬の予防的投与が検討されることがあります。また、マダニが付着していた期間、生息地域、症状の有無などを考慮した上で、経過観察や必要な検査が行われます。

💧 噛まれた後の経過観察

マダニを除去した後も、少なくとも2〜4週間は体調の変化に注意することが大切です。発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感、発疹などの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診し、マダニに噛まれたことを必ず医師に伝えてください。

噛まれた日時や場所、マダニが付着していた部位、どのくらいの期間付着していたかを記録しておくと、診察の際に役立ちます。また、除去したマダニをビニール袋などに入れて保存しておくことで、種類の同定に役立てることができる場合もあります。

Q. マダニに噛まれたときにやってはいけない行為は何ですか?

マダニに噛まれた際は、素手や通常のピンセットで無理に引き抜くこと、火を近づけること、アルコールや油を塗ることは絶対に避けてください。これらの行為はマダニがストレスを受け唾液を大量に放出するため、病原体が体内へ流入するリスクが大幅に高まります。発見次第、皮膚科などの医療機関を受診してください。

🔍 やってはいけないNG対処法

マダニに噛まれた際に、インターネット上などで広まっている民間療法の中には、かえって状況を悪化させる危険な方法も存在します。以下のNG対処法は絶対に行わないようにしてください。

✨ 無理に引き抜く・ねじる

マダニを素手や通常のピンセットで無理に引き抜こうとしたり、ねじったりすることは非常に危険です。マダニの口器が皮膚内に残ってしまったり、マダニの体が破裂して内容物が傷口に入り込んだりする危険があります。その結果、感染リスクが大幅に高まります。

📌 火を近づける・アルコールや油を塗る

マダニにライターの火を近づけたり、アルコール・消毒液・オイルなどを塗ったりすることも避けてください。これらの刺激によってマダニがストレスを受け、唾液や消化液を大量に吐き出す可能性があります。その結果、病原体が体内に流入するリスクが高まります。

▶️ マダニをつぶす

マダニを皮膚上でつぶすことも危険です。マダニの体内に存在する病原体が傷口や粘膜から体内に侵入する可能性があります。除去したマダニを廃棄する際も、素手で触らず、ティッシュなどで包んでつぶさないように処理することが重要です。

🔹 症状が出てから受診する

「症状がないから大丈夫」と判断して受診を先送りにすることも避けてください。マダニが媒介する感染症の多くは、潜伏期間があり、症状が現れる前から体内で病原体が増殖しています。感染症は早期治療が重要であるため、マダニに噛まれた事実を認識した時点で医療機関を受診することが勧められます。

📝 医療機関を受診すべきタイミング

マダニに噛まれた場合、理想的にはすぐに医療機関を受診することが最善ですが、特に以下のような状況では緊急性が高くなります。

📍 即時受診が必要なケース

マダニが現在も皮膚に付着している場合は、できるだけ早く医療機関を受診してください。また、マダニを取り除いた後に高熱(38℃以上)、激しい頭痛、全身の発疹、意識の混濁などの症状が現れた場合は、感染症の可能性が高いため、救急外来も含め早急に受診する必要があります。

呼吸困難、全身のじんましん、顔面の浮腫など、アナフィラキシーを疑わせる症状が出た場合は、直ちに救急車を呼んでください。

💫 数日以内に受診を検討するケース

マダニに噛まれたことに気づいたが特に症状がない場合も、数日以内に皮膚科や感染症科を受診することが推奨されます。特に、SFTSやダニ媒介脳炎の流行地域(主に西日本や北海道)でマダニに噛まれた場合は、感染リスクが高いため、症状がなくても受診して経過観察の指導を受けることが重要です。

🦠 噛まれた後の受診先

受診する診療科としては、皮膚科が最も適切です。皮膚科ではマダニの除去処置と局所の治療を行います。感染症の疑いがある場合は、感染症内科や総合診療科への紹介が行われることもあります。かかりつけ医がいる場合は、まずそちらに相談することも一つの選択肢です。

受診の際には、いつ・どこで噛まれたか、どのくらい付着していたか(推測でも可)、現在の症状などを伝えることが大切です。最近アウトドア活動をした場合は、その情報も忘れずに伝えましょう。

Q. マダニ対策として効果的な予防法を教えてください

マダニ予防には、野外活動時に長袖・長ズボンを着用し肌の露出を減らすことが基本です。DEET(ディート)やイカリジン配合の虫除け剤を使用することも有効です。帰宅後はすぐにシャワーを浴び、わきの下・膝の裏・頭皮など皮膚の柔らかい部位を鏡でくまなく確認することが重要です。

💡 マダニに噛まれやすい場所と時期

マダニのリスクを正しく理解するためには、マダニが多く生息する場所と活動が活発になる時期を把握しておくことが重要です。

👴 マダニが生息する場所

マダニは主に以下のような場所に生息しています。

山林や森林の中はマダニの代表的な生息地です。落ち葉の下や腐葉土の中、低木や草むらの葉の裏などに潜んでいます。また、河川敷や公園の草むら、農地や田畑の周辺もマダニの生息地となることがあります。都市部の公園でも草が茂っている場所では注意が必要です。

特にシカやイノシシなどの野生動物が多く生息する地域はマダニも多く、登山道や山間部の農林業従事者の作業地などでのリスクが高くなります。ペットを連れて山林に入った場合、ペットがマダニを持ち帰ることもあるため注意が必要です。

🔸 マダニが活動する時期

マダニは一般的に春から秋にかけて活動が活発になります。特に4月〜10月が活動のピーク時期とされており、日本紅斑熱やSFTSの患者報告も同様にこの時期に集中しています。

種類によって活動時期に違いがあり、フタトゲチマダニは春(3〜6月)と秋(10〜11月)に活動が活発になるとされています。ヤマトマダニは主に春(4〜6月)に活動のピークを迎えます。シュルツェマダニは秋(9〜11月)の活動が多いとされています。

ただし、近年は気候変動の影響もあり、マダニの活動時期が延長したり、分布域が変化したりしている可能性が指摘されています。気温が高い日には冬でも活動することがあるため、年間を通じた注意が必要です。

💧 リスクが高い活動

マダニに噛まれるリスクが特に高い活動としては、ハイキング・登山、キャンプ、山菜採り・きのこ狩り、農作業・林業、野外でのスポーツ活動などが挙げられます。ペットと一緒に草むらや山林に入ることも、マダニと接触するリスクを高めます。

✨ マダニ対策・予防法

マダニへの対策は、事前の予防から活動後のチェックまで総合的に行うことが重要です。具体的な予防策を紹介します。

✨ 服装での対策

野外活動時の服装は、マダニの侵入を防ぐために非常に重要です。長袖・長ズボンを着用し、首・手首・足首などの露出部分をできるだけ少なくしましょう。ズボンの裾は靴下の中に入れる、または足首をしっかり覆う靴下を着用することで、マダニが足から侵入するのを防ぎます。

色は白や薄い色の服を着用すると、付着したマダニを発見しやすくなります。つばの広い帽子をかぶることで、頭部への侵入も防ぐことができます。

📌 虫除け剤の使用

マダニに対して効果が認められている成分として、DEET(ディート)やイカリジン(ピカリジン)が挙げられます。これらの成分を含む虫除け剤を、露出している皮膚や衣服に適切に使用することで、マダニの付着を予防する効果が期待できます。ただし、使用方法や使用量については製品の説明に従ってください。

また、ペルメトリンという成分は衣類に使用することでダニ忌避効果があるとされており、海外ではペルメトリン処理済みの衣類も販売されています。日本でも一部の製品が入手可能です。

▶️ 野外活動後のチェック

野外活動から帰宅したら、できるだけ早くシャワーを浴び、全身を石けんで洗いましょう。その後、全身を鏡でくまなくチェックします。特に確認すべき部位は、わきの下・太ももの付け根・ひざの裏・足首周辺・頭皮・耳の後ろ・髪の毛の中などです。一人でチェックが難しい場合は、家族に確認してもらいましょう。

衣類は屋外で払い落とし、洗濯前に乾燥機を使って高温処理することでマダニを殺すことができます。使用したザックや道具も、屋外で確認してからしまうようにしましょう。

🔹 ペットへの対策

犬や猫などのペットが野外に出る機会がある場合、ペット用のマダニ駆除薬・予防薬を使用することが重要です。動物病院で相談の上、適切な予防薬を使用しましょう。また、ペットが帰宅した際には体全体をチェックし、マダニが付着していないか確認します。ペットについたマダニを素手でつぶすことは避け、見つけた場合は動物病院で処置してもらうことを推奨します。

📍 マダニに噛まれた場合の記録

万が一マダニに噛まれた場合に備え、野外活動の日時や場所を記録しておくことも一つの対策です。発症した際に医師に正確な情報を伝えられることで、感染症の診断と治療に役立てることができます。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、アウトドア活動後に「何か小さなものが皮膚に付いている」と気づいて受診される患者様が、春から秋にかけて増加する傾向があります。マダニは痛みやかゆみが少ないため発見が遅れやすく、自己処置によって口器が皮膚内に残ったり感染リスクが高まったりするケースも見受けられますので、気づいた時点でまず医療機関にご相談いただくことを強くお勧めします。マダニ除去後も2〜4週間は体調の変化に注意していただき、発熱や発疹などの症状が現れた際には、マダニに噛まれた可能性を必ず医師にお伝えの上、早めに受診してください。」

📌 よくある質問

マダニに噛まれても痛くないのはなぜですか?

マダニの唾液には麻酔作用のある成分が含まれており、噛まれた瞬間から吸血中の痛みやかゆみを感じさせない仕組みになっています。そのため気づかないまま数日間吸血され続けるケースも珍しくありません。アウトドア後は全身を丁寧に確認することが重要です。

マダニを自分で取り除いてもいいですか?

自己処置はおすすめできません。無理に引き抜くと口器が皮膚内に残ったり、マダニの体液が傷口に入り感染リスクが高まります。火を近づけたりアルコールを塗る行為も危険です。マダニが付着していることに気づいたら、まず皮膚科などの医療機関を受診してください。

マダニに噛まれた後、どんな症状が出たら危険ですか?

マダニ除去後に38℃以上の高熱、激しい頭痛、全身の発疹、意識の混濁などが現れた場合は、SFTSや日本紅斑熱などの感染症が疑われるため早急に受診が必要です。また呼吸困難や全身のじんましんなどアナフィラキシーの症状が出た場合は、直ちに救急車を呼んでください。

マダニに噛まれやすい時期や場所はいつ・どこですか?

主に4月〜10月の春から秋にかけて活動が活発になります。山林・森林・河川敷・草むらが代表的な生息地で、登山やキャンプ、山菜採り、農作業などでリスクが高まります。近年は気候変動の影響で活動時期が延長している可能性もあり、年間を通じた注意が必要です。

アイシークリニックではマダニに噛まれた場合の診療を受けられますか?

はい、当院(アイシークリニック上野院)では、皮膚に関するお悩みや虫刺されのご相談を承っております。マダニが付着している場合は専用器具で安全に除去し、必要に応じて経過観察の指導も行います。「何か皮膚に付いている」と気づいた時点でお気軽にご相談ください。

🎯 まとめ

マダニに噛まれた跡は、痛みやかゆみが少ないため気づきにくいことが多く、発見が遅れるケースも珍しくありません。しかし、マダニはSFTS、日本紅斑熱、ライム病などの深刻な感染症を媒介する可能性があり、放置することは大きなリスクとなります。

野外活動後は全身を丁寧にチェックし、マダニが付着していた場合は自己処置を試みるのではなく、早めに医療機関を受診することが最も重要です。また、活動前から適切な服装と虫除け剤の使用で予防に努めることも大切です。

マダニに噛まれた後に発熱・頭痛・発疹などの症状が現れた場合は、迷わず医療機関を受診し、マダニに噛まれた可能性があることを医師に必ず伝えてください。早期の診断と治療が、感染症の重症化を防ぐ鍵となります。アウトドアを楽しみながらも、マダニに関する正しい知識を持ち、適切な予防と対処を心がけましょう。

アイシークリニック上野院では、皮膚に関するお悩みや虫刺されに関するご相談を承っております。マダニに噛まれた可能性がある場合や、皮膚の異変が気になる場合はお気軽にご相談ください。

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📚 参考文献

  • 厚生労働省 – マダニ対策や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・日本紅斑熱・ライム病などマダニ媒介感染症に関する公式情報、予防策および医療機関受診の目安
  • 国立感染症研究所 – SFTSウイルスの病原体情報・疫学データ・致死率・患者発生動向、および日本紅斑熱・ライム病・ダニ媒介脳炎・回帰熱の感染症発生動向調査データと各疾患の詳細情報
  • CDC(米国疾病予防管理センター) – マダニの種類・生態・ライフサイクル、マダニ媒介感染症(ライム病・遊走性紅斑を含む)の国際的な診断・治療基準、およびDEET・ペルメトリン等を用いた予防対策に関するエビデンスベースの情報

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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