脂肪肉腫の症状とは?早期発見のために知っておくべきこと

考え事をする女性

🚨 体にしこりや腫れを感じたら、放置は絶対にNG!
脂肪肉腫は初期は痛みがなく、気づいたときには進行していることもある悪性腫瘍です。「たぶん脂肪のかたまりだろう」と油断して受診が遅れると、治療の選択肢が大幅に狭まる可能性があります。

💡 この記事を読めば、良性の脂肪腫との見分け方・受診すべき症状のサインがわかります。逆に読まないまま放置すると、手遅れになってから後悔することも…。

🗣️ こんな方にぜひ読んでほしい記事です

✅ 体のどこかにしこりや腫れがある

✅ しこりが急に大きくなってきた気がする

✅ 病院に行くべきか迷っている

脂肪肉腫と脂肪腫の違いを知りたい


目次

  1. 脂肪肉腫とはどのような病気か
  2. 脂肪肉腫の主な発症部位
  3. 脂肪肉腫の種類と特徴
  4. 脂肪肉腫の初期症状
  5. 脂肪肉腫が進行したときの症状
  6. 発症部位による症状の違い
  7. 脂肪腫(良性)との見分け方
  8. 脂肪肉腫が疑われる場合の検査
  9. 脂肪肉腫の治療の概要
  10. 早期発見のために気をつけること
  11. まとめ

この記事のポイント

脂肪肉腫は初期に痛みのないしこりとして現れる悪性腫瘍で、大腿部や後腹膜に多発する。5cm超・急速増大・深部固定のしこりは専門医への早期受診が重要。

💡 脂肪肉腫とはどのような病気か

脂肪肉腫(liposarcoma)は、脂肪細胞やその前駆細胞から発生する悪性腫瘍の一種です。悪性腫瘍には大きく分けて「がん(癌腫)」と「肉腫」がありますが、脂肪肉腫は後者の肉腫に分類されます。がんは主に皮膚や粘膜などの上皮組織から発生するのに対し、肉腫は筋肉・脂肪・骨・神経・血管などの非上皮性組織(間葉系組織)から発生します。

脂肪肉腫は、軟部肉腫(筋肉・脂肪・靭帯・神経などの軟部組織から発生する悪性腫瘍の総称)の中でも最も頻度が高いグループに属しており、軟部肉腫全体の約20〜30%を占めるとされています。日本国内での発症数は決して多くはありませんが、希少な疾患であるがゆえに情報が行き渡りにくく、症状が出ても「ただのしこりだろう」と見過ごされるケースがあります。

脂肪肉腫は主に成人に多く、40〜60代での発症が多い傾向がありますが、若い年代での発症例もあります。性別では男性にやや多いとされていますが、女性にも発症します。原因については現時点でまだ完全には解明されておらず、放射線被曝や一部の遺伝的要因が関連する可能性が指摘されていますが、明確なリスク因子は確立されていません。

Q. 脂肪肉腫はどのような病気で、どんな特徴がありますか?

脂肪肉腫は脂肪細胞から発生する悪性腫瘍で、軟部肉腫全体の約20〜30%を占めます。主に40〜60代の成人に多く、男性にやや多い傾向があります。初期は痛みのないしこりとして現れるため発見が遅れやすく、希少疾患ゆえに情報も行き渡りにくい疾患です。

📌 脂肪肉腫の主な発症部位

脂肪肉腫は体のあらゆる部位に生じる可能性がありますが、特定の部位に多く発生する傾向があります。

最も多い発症部位は大腿部(太もも)で、脂肪肉腫全体の約40〜50%がここで発生するとされています。太ももには豊富な脂肪組織と筋肉組織が存在するため、腫瘍が大きくなるまでスペースがあり、発見が遅れやすい部位でもあります。

次に多いのが後腹膜(腹腔の後ろ側、腎臓や大動脈の周囲にある脂肪組織の多い領域)です。後腹膜は体の深部に位置するため、腫瘍が相当大きくなるまで症状が現れにくく、発見時には腫瘍が非常に大きくなっていることもあります。

そのほかにも、肩や上腕、臀部、膝の裏(膝窩部)、縦隔(胸の中心部)、精巣の周囲(精索)などでも発生することがあります。脂肪組織が存在するところであればどこにでも生じる可能性があるため、体の様々な部位で見つかることがあります。

✨ 脂肪肉腫の種類と特徴

脂肪肉腫は病理組織学的な特徴によっていくつかのサブタイプに分類されており、それぞれ性質や悪性度、治療への反応性が異なります。主なサブタイプを以下に紹介します。

高分化型脂肪肉腫(Well-differentiated liposarcoma)は、脂肪肉腫の中で最も頻度が高いサブタイプです。腫瘍細胞が正常な脂肪細胞に近い形態を保っており、局所再発はしやすいものの、遠隔転移を起こしにくいという特徴があります。四肢よりも後腹膜に多く、非常にゆっくり成長するため、症状が現れるまでに長い年月がかかることがあります。

粘液型脂肪肉腫(Myxoid liposarcoma)は、特に若い年代での発症が多いサブタイプで、大腿部に好発します。粘液状の基質を豊富に含む腫瘍であり、転移の可能性は中程度です。化学療法や放射線療法への反応性が比較的良いとされています。

多形型脂肪肉腫(Pleomorphic liposarcoma)は、比較的まれなサブタイプで、悪性度が高く、転移しやすい性質を持ちます。腫瘍細胞の形態が不均一で、急速に増大することがあります。

脱分化型脂肪肉腫(Dedifferentiated liposarcoma)は、高分化型脂肪肉腫の中に悪性度の高い部分が混在するタイプで、後腹膜に多く見られます。局所再発率が高く、再発するたびに悪性度が上がる傾向があります。

これらのサブタイプによって予後や治療方針が異なるため、病理診断による正確なサブタイプの同定が非常に重要です。

Q. 脂肪肉腫の種類(サブタイプ)にはどんなものがありますか?

脂肪肉腫には主に4つのサブタイプがあります。高分化型は転移しにくく後腹膜に多発、粘液型は若年者の大腿部に好発し化学療法への感受性が高い特徴があります。多形型は悪性度が高く転移しやすく、脱分化型は再発ごとに悪性度が上がる傾向があります。サブタイプにより治療方針が異なります。

🔍 脂肪肉腫の初期症状

脂肪肉腫の初期症状として最も多く見られるのが、体の表面や深部にできる無痛性のしこり(腫瘤)です。「無痛性」という点が重要で、初期段階では痛みや不快感をほとんど感じないことが多いため、しこりに気づいても「押しても痛くないから大丈夫だろう」と自己判断して放置してしまうケースが少なくありません。

しこりの大きさは発見時にすでに数センチに達していることが多く、表在性(皮膚の近く)よりも深部(筋肉の内側や後腹膜)に生じる場合には、腫瘍がかなり大きくなってから初めて発見されることがあります。脂肪肉腫のしこりは、良性の脂肪腫と同様に柔らかい感触のことも多く、触っただけで判断することは困難です。

初期の段階では、しこり以外に特定の症状が現れることは少ないです。ただし、腫瘍が神経の近くに発生した場合は、比較的早い段階からしびれや感覚の異常を感じることがあります。また、関節の近くに腫瘍がある場合は、関節の動かしにくさや違和感が初期症状として現れることもあります。

一般的に注意が必要なしこりの特徴として医療現場で重視されているのは、大きさが5センチを超えるもの、触ったときに皮膚と一緒に動かない(筋膜の深部にある)もの、短期間で急速に増大しているもの、などです。ただし、これらの特徴がないからといって安全とは言い切れないため、気になるしこりがある場合は専門医への相談をお勧めします。

💪 脂肪肉腫が進行したときの症状

脂肪肉腫が成長し進行してくると、腫瘍が周囲の組織や臓器を圧迫・浸潤することで様々な症状が現れてきます。症状の種類は発症部位によって大きく異なりますが、共通して見られる変化について説明します。

まず、腫瘍が大きくなるにつれて、以前は感じなかった痛みや圧迫感が現れることがあります。これは腫瘍が周囲の神経を圧迫したり、皮膚や筋肉を引き伸ばしたりすることで生じます。夜間に痛みが強くなる(安静時痛)ことも、悪性腫瘍を疑うサインの一つとして知られています。

腫瘍が血管を圧迫すると、その先の部位にむくみ(浮腫)や静脈瘤が生じることがあります。特に下肢の深部に腫瘍がある場合、脚全体がむくんだり、深部静脈血栓症のような状態になったりすることがあります。

腫瘍が神経を圧迫すると、しびれ、感覚の低下または過敏、筋力低下、運動障害などが生じます。大腿部の腫瘍であれば、大腿神経や坐骨神経への影響によって、脚のしびれや歩行困難を引き起こすことがあります。

転移が起きた場合には、転移先の臓器に関連した症状が現れます。脂肪肉腫は肺に転移することが比較的多く、肺転移が起きると咳や息切れ、胸痛などが生じることがあります。また、リンパ節転移が起きると、リンパ節の腫れとして触れることがあります。

体全体の症状(全身症状)として、進行した悪性腫瘍に共通する体重減少、食欲低下、倦怠感、発熱などが現れることもあります。ただし、これらは必ずしも脂肪肉腫に特有の症状ではなく、様々な疾患で見られるものです。

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🎯 発症部位による症状の違い

脂肪肉腫が発生する部位によって、現れる症状には大きな違いがあります。それぞれの主な発症部位における症状の特徴を詳しく見ていきましょう。

✅ 大腿部(太もも)に発生した場合

大腿部は脂肪肉腫が最も多く発生する部位です。初期は無症状のしこりとして気づかれますが、腫瘍が大きくなると太ももの膨らみとして外見上の変化が現れます。筋肉の内部に生じた腫瘍は硬く感じられ、動きにくさや重さを感じることがあります。大腿神経や坐骨神経が圧迫されると、膝や足のしびれ、痛み、筋力低下が生じます。さらに進行すると歩行困難になることもあります。大腿部の深い場所にある大きな腫瘍は、大腿動静脈を圧迫して血流障害を起こすこともあります。

📝 後腹膜に発生した場合

後腹膜脂肪肉腫は発見が特に難しく、腫瘍が非常に大きくなるまで自覚症状がほとんどないことが多いです。症状が現れる頃には腫瘍が20〜30センチ以上になっていることも珍しくありません。腫瘍が大きくなると、腹部の膨満感、腹痛、腰痛、背部痛などが現れます。周囲の消化器官(小腸・大腸・胃)を圧迫すると、食欲不振、悪心(吐き気)、便秘、下痢などの消化器症状が出ることがあります。腎臓や尿管を圧迫すれば、血尿や水腎症(尿が流れにくくなり腎臓に溜まる状態)が起きることもあります。

🔸 精索(精巣周囲)に発生した場合

精索脂肪肉腫は男性に特有の発生部位で、陰嚢や鼠径部(そけい部)のしこりや腫れとして気づかれることが多いです。精巣上体炎や精巣腫瘍、鼠径ヘルニアなどと紛らわしいことがあり、鑑別診断が重要になります。比較的早期に発見されやすい部位であり、根治的手術が行われることが多いです。

⚡ 縦隔(胸部)に発生した場合

縦隔に発生した脂肪肉腫は、胸部X線や胸部CTで偶然発見されることがあります。腫瘍が大きくなると、胸痛、咳、息切れ、飲み込みにくさ(嚥下困難)などの症状が現れます。上大静脈(頭部から心臓に血液が戻る大きな静脈)が圧迫されると、顔や首のむくみ、静脈怒張などが生じる「上大静脈症候群」を起こすことがあります。

🌟 肩・上腕部に発生した場合

肩や上腕に発生した脂肪肉腫は、腕の動かしにくさや肩の違和感として現れることがあります。腕神経叢(腕を動かす神経の束)が影響を受けると、腕や手のしびれ、痛み、握力の低下などが生じることがあります。

Q. 脂肪肉腫と良性の脂肪腫はどう見分けますか?

触診だけで良性・悪性を確実に判断することは専門医でも困難です。ただし、大きさが5センチを超える、短期間で急速に大きくなる、皮膚と一緒に動かない深部のしこり、安静時や夜間に痛みがあるといった特徴は脂肪肉腫を疑うサインです。確定診断にはMRI等の画像検査と病理検査が必要です。

💡 脂肪腫(良性)との見分け方

脂肪肉腫と混同されやすい疾患として「脂肪腫」があります。脂肪腫は脂肪細胞からなる良性の腫瘍で、非常に一般的な存在であり、体のどこにでも発生します。外見や触感が似ていることから、自己判断では区別が難しいことがあります。

一般的に、良性の脂肪腫の特徴としては、皮膚の下で自由に動く(可動性がある)、柔らかくてゴムのような弾性がある、長期間ほとんど変化しない、痛みがない、大きさが5センチ以下であることが多い、などが挙げられます。

一方で、脂肪肉腫を疑う特徴としては、大きさが5センチを超えている、筋膜の深部(皮下脂肪よりも深い場所)にある、触ったときにあまり動かない(固定されている)、短期間で急速に大きくなっている、押すと痛みがある、夜間に痛みが出る、などが挙げられます。

ただし、これらの特徴はあくまでも参考であり、触診だけで良性・悪性を確実に判断することは専門医でも難しいです。実際に画像検査(MRI・CTなど)や病理検査(生検)を行わないと確定診断はできません。「触ってみて柔らかかったから良性だろう」という判断は禁物で、特に5センチを超えるしこりや急速に大きくなるしこりは必ず専門医に診てもらうことが大切です。

また、脂肪腫と脂肪肉腫の中間的な存在として「非定型的脂肪腫様腫瘍(ALT: Atypical Lipomatous Tumor)」という概念があります。これは高分化型脂肪肉腫と同一の腫瘍であり、見た目は良性に近いながら再発の可能性があります。このような中間的な性質を持つ腫瘍の存在もあるため、病理専門医による詳細な検討が必要です。

📌 脂肪肉腫が疑われる場合の検査

しこりや腫れが見つかり脂肪肉腫が疑われる場合、診断を確定するためにいくつかの検査が行われます。

まず画像検査として、MRI(磁気共鳴画像)検査が最も重要です。MRIは軟部組織の詳細な評価に優れており、腫瘍の大きさ、位置、深さ、周囲の組織(神経・血管・筋肉・骨)との関係を詳しく把握することができます。脂肪肉腫のサブタイプによっては、MRI画像で特徴的な所見が見られることがあり、診断の参考になります。

CT(コンピュータ断層撮影)検査は、腫瘍の石灰化、出血、壊死などの確認や、後腹膜腫瘍の全体像把握、肺や肝臓などへの転移の検索に使用されます。特に後腹膜脂肪肉腫の評価には胸腹骨盤部のCT検査が欠かせません。

超音波(エコー)検査は、表在性のしこりの初期評価に使われることがあります。腫瘍の大きさや内部構造を確認したり、血流の状態を調べたりすることができます。ただし深部の腫瘍の評価にはMRIやCTが適しています。

PET-CT検査は、全身の転移病変の検索や、腫瘍の代謝活性(悪性度の参考)を評価するために使用されることがあります。

確定診断のためには病理検査(生検)が必要です。腫瘍組織の一部を採取し、顕微鏡で細胞の性質を調べる検査で、脂肪肉腫であるかどうか、またどのサブタイプであるかを確定します。生検の方法としては、針を刺して組織を採取する「針生検(コアニードル生検)」が一般的に行われています。生検は腫瘍細胞が周囲に散らばるリスク(播種)があるため、軟部肉腫の診療に精通した専門医のいる施設で実施することが推奨されます。

さらに、腫瘍の染色体・遺伝子異常を調べる分子生物学的検査が行われることがあります。脂肪肉腫の多くのサブタイプでは特異的な染色体異常(例えば、高分化型・脱分化型ではMDM2遺伝子の増幅など)が知られており、診断の補助や治療方針の決定に役立ちます。

Q. 脂肪肉腫が進行するとどのような症状が現れますか?

脂肪肉腫が進行すると、腫瘍が周囲の組織を圧迫し様々な症状が現れます。神経圧迫によるしびれや筋力低下、血管圧迫による下肢のむくみ、夜間の安静時痛などが典型的です。後腹膜では腹部膨満・腰痛・消化器症状が、肺転移では咳や息切れが生じることがあります。全身症状として体重減少や倦怠感も見られます。

✨ 脂肪肉腫の治療の概要

脂肪肉腫の治療は、サブタイプ、腫瘍の大きさと部位、転移の有無、患者さんの全身状態などを総合的に評価して決定されます。

外科的切除(手術)が治療の中心となり、可能な限り腫瘍を切除辺縁陰性(腫瘍組織が切り取った標本の周囲に残らない状態)で取り切ることが目標です。四肢の脂肪肉腫では、かつては切断術が行われることもありましたが、現在は放射線療法と組み合わせることで患肢温存(腕や脚を残す)手術が多くの場合可能になっています。後腹膜脂肪肉腫では、腫瘍が非常に大きく周囲の臓器と接していることが多く、腎臓や大腸などを一緒に切除する拡大手術が必要になることもあります。

放射線療法は、術前(腫瘍を縮小させてから手術しやすくする目的)または術後(手術後に残存した腫瘍細胞を死滅させる目的)に行われることがあります。特に四肢の脂肪肉腫では、放射線療法と手術を組み合わせることで局所再発率を低下させる効果が期待できます。

化学療法(抗がん剤治療)は、脂肪肉腫のサブタイプによって反応性が異なります。粘液型脂肪肉腫は化学療法への感受性が比較的高い一方、高分化型や脱分化型では効果が限定的であることが多いとされています。ドキソルビシン(アドリアマイシン)とイホスファミドが標準的な化学療法薬として使用されることが多いです。また、粘液型脂肪肉腫に対してはトラベクテジン(エリブリンなど)が使用されることがあります。

近年は分子標的治療薬の研究も進んでおり、MDM2阻害薬などが高分化型・脱分化型脂肪肉腫に対して臨床試験で検討されています。脂肪肉腫の治療は専門施設での集学的治療(複数の診療科が連携して行う治療)が重要であり、軟部肉腫の診療実績が豊富な医療機関への受診が望まれます。

🔍 早期発見のために気をつけること

脂肪肉腫は、早期に発見して適切な治療を行うことで治癒や長期生存の可能性が高まります。日常生活の中で早期発見につながるポイントをご紹介します。

まず、自分の体に異変があれば早めに気づくことが大切です。入浴時や着替えの際に、体の表面を手で触って確認する習慣をつけておくと、しこりやこぶの変化に気づきやすくなります。特に太もも、臀部、肩、腕などをセルフチェックしてみましょう。

しこりを発見したとき、以下のような場合は特に早めに医療機関を受診することをお勧めします。大きさが5センチを超えるしこり、数週間〜数ヶ月の間に明らかに大きくなっているしこり、筋肉の深いところにあるしこり(皮膚と一緒に動かないしこり)、安静にしていても痛みがあるしこり、夜間に痛みが出るしこりなどです。

後腹膜脂肪肉腫の場合は自己チェックが難しいため、健康診断での腹部エコーや腹部CT検査が偶然の発見につながることがあります。健康診断を定期的に受けることが、発見の機会を増やすことになります。

また、「押しても痛くないから悪性ではないだろう」「以前からあるしこりだから問題ない」という自己判断は危険です。脂肪肉腫を含む悪性腫瘍は、初期には痛みがないことが多く、以前からあったと思っていたしこりが実は脂肪肉腫だったというケースもあります。気になるしこりは放置せず、整形外科や皮膚科、形成外科などに相談することが大切です。

受診した際、医師が画像検査や専門的な評価を勧めた場合は、積極的に検査を受けることをお勧めします。MRI検査などは受けるのに少し負担がかかりますが、確実な診断のために重要です。もし脂肪肉腫の疑いが強い場合は、軟部腫瘍の専門医がいる施設への紹介を受けることが重要です。一般の外科や整形外科で生検や切除を行う前に、専門施設に相談することで、より適切な診断・治療につながります。

なお、脂肪肉腫は希少な疾患であるため、最初の受診医が軟部肉腫の専門医でない場合もあります。「しこりを指摘されたが診断がはっきりしない」「脂肪肉腫と言われたがどこで治療を受けるべきかわからない」といった場合には、がん拠点病院や大学病院の整形外科・腫瘍外科などに問い合わせることも一つの選択肢です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、「以前からあるしこりだから問題ないだろう」と長期間様子を見た後に受診される患者様も少なくなく、脂肪肉腫は初期に痛みが出にくいという特性上、発見が遅れやすい疾患であることを改めて実感しています。大きさが5センチを超えるしこりや、短期間で急速に大きくなるしこりは、たとえ痛みがなくても自己判断せず、早めに専門医へご相談いただくことが大切です。気になる皮下のしこりがございましたら、どうぞお気軽にご来院ください。」

💪 よくある質問

脂肪肉腫の初期症状はどのようなものですか?

最も多い初期症状は、痛みのないしこり(腫瘤)です。初期段階では押しても痛みを感じないことが多く、「大丈夫だろう」と見過ごされやすいのが特徴です。しこり以外の症状は少ないですが、神経の近くに発生した場合はしびれや感覚異常が比較的早期から現れることもあります。

良性の脂肪腫と脂肪肉腫はどう見分けますか?

触診だけで確実に区別することは専門医でも困難です。ただし、大きさが5センチを超える、短期間で急速に大きくなる、皮膚と一緒に動かない(深部にある)、安静時や夜間に痛みがあるといった特徴がある場合は脂肪肉腫が疑われます。確定診断にはMRIなどの画像検査と病理検査が必要です。

脂肪肉腫はどの部位に多く発生しますか?

最も多い発症部位は大腿部(太もも)で、全体の約40〜50%を占めます。次いで後腹膜(腹腔の後ろ側)に多く見られます。後腹膜は体の深部にあるため、腫瘍が非常に大きくなるまで症状が現れにくく、発見が特に遅れやすい部位です。そのほか、肩、臀部、縦隔、精索などにも発生します。

脂肪肉腫が疑われる場合、どんな検査を受けますか?

まずMRI検査が行われます。腫瘍の大きさ・位置・周囲組織との関係を詳細に把握できます。転移の確認にはCT検査やPET-CT検査が用いられます。確定診断には腫瘍組織を採取する病理検査(針生検)が必要です。生検は治療を見越した適切な方法で行う必要があるため、専門医のいる施設での実施が推奨されます。

しこりを発見したとき、すぐに受診すべき目安はありますか?

以下の場合は早めの受診をお勧めします。大きさが5センチを超えるしこり、数週間〜数ヶ月で明らかに大きくなっているしこり、皮膚と一緒に動かない深部のしこり、安静時や夜間に痛みがあるしこりです。「押しても痛くないから大丈夫」という自己判断は危険です。気になるしこりはお気軽にアイシークリニックへご相談ください。

🎯 まとめ

脂肪肉腫は、脂肪組織から発生する悪性腫瘍であり、軟部肉腫の中では最も頻度が高いグループに属します。大腿部や後腹膜に多く発生し、初期は痛みのないしこりとして現れることが多いため、発見が遅れやすいという特徴があります。

脂肪肉腫にはいくつかのサブタイプがあり、それぞれ悪性度や治療への反応性が異なります。高分化型は比較的おとなしい性質ですが、脱分化型や多形型は悪性度が高く、転移のリスクも高くなります。いずれのサブタイプも、早期に発見して適切な治療を行うことが予後の改善につながります。

良性の脂肪腫と見分けが難しいことがありますが、大きさが5センチを超える、急速に大きくなる、深部にあって動かないなどの特徴がある場合は要注意です。自己判断せず、専門医を受診して画像検査や病理検査による確実な診断を受けることが重要です。

体にしこりや腫れを感じたとき、「たいしたことないだろう」と放置せず、早めに医療機関を受診することが早期発見・早期治療への第一歩です。特に気になる変化を感じた場合は、ぜひ専門医にご相談ください。アイシークリニック上野院では、皮膚や皮下のしこりに関するご相談も承っております。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 脂肪肉腫を含む希少がん・軟部肉腫に関するがん対策・診療情報の参照元として使用。がんの早期発見や専門医療機関への受診推奨に関する根拠として活用。
  • PubMed – 脂肪肉腫(liposarcoma)の疫学・サブタイプ分類・症状・診断・治療に関する国際的な医学論文・エビデンスの参照元として使用。軟部肉腫全体に占める割合や各サブタイプの特徴・化学療法の反応性などの根拠として活用。
  • 日本整形外科学会(日本形成外科学会関連) – 軟部腫瘍・脂肪肉腫の診断・外科的治療(患肢温存手術・拡大切除など)および専門施設での集学的治療に関する診療指針の参照元として使用。しこりの評価や専門医受診の推奨に関する根拠として活用。

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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