アポクリン汗腺とは?役割・分布・ワキガとの関係をわかりやすく解説

頬に手を当てて微笑む女性

💡 「ワキガかも…」と気になったことはありませんか?その原因となるのがアポクリン汗腺です。この記事を読めば、なぜ臭いが発生するのか・どう治療できるのかが丸わかり。読まずに放置すると、誤ったケアで症状が悪化することも。

🗣️
よくある悩み

「ワキガって遺伝なの?」「自分はワキガ?」「治療したいけど何科に行けばいいの?」

👨‍⚕️
医師からの回答

この記事で全部解決します!仕組みから治療法まで、医学的に正しい情報をわかりやすくお届けします。


📋 この記事でわかること

  • ✅ アポクリン汗腺の構造と体臭の発生メカニズム
  • ✅ エクリン汗腺との決定的な違い
  • ✅ ワキガのセルフチェック方法
  • ✅ ミラドライ・剪除法など最新の治療選択肢
  • ✅ 今日からできるセルフケア

目次

  1. 汗腺とは何か?体内での役割
  2. アポクリン汗腺の基本構造と特徴
  3. アポクリン汗腺が分布する部位
  4. エクリン汗腺との違いを徹底比較
  5. アポクリン汗腺の汗が体臭(ワキガ)につながる仕組み
  6. アポクリン汗腺の発達に影響する要因
  7. ワキガのセルフチェック方法
  8. アポクリン汗腺に関する治療・ケアの選択肢
  9. 日常生活でできるアポクリン汗腺ケア
  10. まとめ

📌 この記事のポイント

アポクリン汗腺はわきの下などに集中する分泌腺で、脂質・タンパク質を含む汗が皮膚常在菌に分解されることでワキガの臭いが生じる。遺伝・ホルモンが発達に関与し、ミラドライ・剪除法など治療の選択肢も多様なため、専門医への相談が推奨される。

💡 汗腺とは何か?体内での役割

人間の皮膚には、全身に無数の汗腺(かんせん)が存在しています。汗腺とは皮膚の真皮から皮下組織にかけて存在する分泌腺の一種で、汗を産生・分泌する器官です。成人の場合、全身に約200万〜400万個の汗腺があるとされており、その数や働きは個人差があります。

汗腺の主な役割は体温調節です。皮膚の表面から汗を蒸発させることで気化熱を奪い、体温が上昇しすぎないようにコントロールしています。運動時や暑い環境下で大量に汗をかくのは、この体温調節機能が活発に働いているためです。また、汗は皮膚の保湿や、一部の老廃物の排出にも関わっています。

汗腺には大きく分けて「エクリン汗腺」と「アポクリン汗腺」の2種類があります。この2つは構造・分布・分泌物の性質がそれぞれ異なり、体に与える影響も違います。特に体臭との関係において、アポクリン汗腺は非常に重要な役割を果たしています。

Q. アポクリン汗腺はどのような構造をしていますか?

アポクリン汗腺はコイル状の分泌部と導管部から成り、直径は約3〜5mmとエクリン汗腺(約0.1〜0.2mm)より大きい。毛包の上部に開口しており、手のひらや足の裏など体毛のない部位には存在しない。脂質・タンパク質・フェロモン様物質を含む汗を分泌する。

📌 アポクリン汗腺の基本構造と特徴

アポクリン汗腺(apocrine sweat gland)は、エクリン汗腺と比べてひとつひとつのサイズが大きく、コイル状に巻いた分泌部と、導管部から構成されています。エクリン汗腺の分泌部の直径が約0.1〜0.2mmであるのに対し、アポクリン汗腺は約3〜5mmにもなります。この大きさの違いが、分泌される汗の性質にも影響を与えています。

アポクリン汗腺の導管は、エクリン汗腺のように汗孔(かんこう)から直接皮膚表面に開口するのではなく、毛包(もうほう)の上部に開口しています。毛包とは毛根を包む組織のことで、アポクリン汗腺は毛の生えている部位にのみ存在するという特徴があります。そのため、体毛のない手のひらや足の裏にはアポクリン汗腺は存在しません。

アポクリン汗腺から分泌される汗は、エクリン汗腺の汗とは組成が異なります。エクリン汗腺の汗が主に水分と塩化ナトリウムから構成されるのに対し、アポクリン汗腺の汗には脂質・タンパク質・糖質・アンモニア・フェロモン様物質などが含まれています。この汗自体は分泌直後は無臭あるいはほとんど臭いがない状態ですが、時間が経過すると皮膚表面に常在する細菌によって分解され、独特の臭いが発生します。これがワキガのにおいの正体です。

また、アポクリン汗腺が活発になるのは主に精神的なストレスや感情的な興奮があったときです。体温上昇に対する反応として分泌されるエクリン汗腺とは異なり、アポクリン汗腺は交感神経(特にアドレナリン作動性の神経刺激)によって活性化されます。緊張したときや恐怖を感じたとき、性的な興奮があったときなどに分泌量が増えるとされています。

✨ アポクリン汗腺が分布する部位

アポクリン汗腺は全身に均等に分布しているわけではなく、特定の部位に集中して存在しています。主な分布部位は以下の通りです。

最も密度が高いのは腋窩(わきの下)です。ワキガの原因として腋窩が特に取り上げられるのは、ここにアポクリン汗腺が非常に多く集まっているためです。次いで陰部・肛門周囲・乳輪周囲などにも多く分布しています。また、外耳道(耳の穴の中)にもアポクリン汗腺が存在し、耳垢の粘性に関与しているとされています。湿った耳垢を持つ人はアポクリン汗腺が活発であることが多く、このことはワキガとの関係性として後述します。

そのほかにも、まぶた(マイボーム腺や睫毛の周囲)、鼻の穴の周囲、頭皮などにも変性したアポクリン汗腺が存在するとされています。ただし、これらの部位のアポクリン汗腺は体臭への影響が比較的少ないため、臨床的に問題となることはほとんどありません。

アポクリン汗腺は思春期を迎えると性ホルモンの影響で発達・活性化し始めます。幼少期にはほとんど機能しておらず、第二次性徴とともに大きく発達するという特性があります。これは、アポクリン汗腺が動物においてフェロモン分泌に関わる器官の名残であると考えられているためで、性的成熟と連動して機能するよう設計されているためです。

Q. ワキガのにおいが発生する仕組みを教えてください

ワキガのにおいはアポクリン汗腺から分泌された汗が、皮膚の常在菌(主にコリネバクテリウム属)によって分解されることで生じる。分解産物として「3-メチル-2-ヘキセン酸」などの揮発性脂肪酸が産生され、これがワキガ特有の刺激的なにおいの主成分であることが研究で明らかにされている。

🔍 エクリン汗腺との違いを徹底比較

体臭や汗について正しく理解するために、アポクリン汗腺とエクリン汗腺の違いを整理しておきましょう。

まず分布についてですが、エクリン汗腺は全身の皮膚にほぼ均等に分布しており、手のひら・足の裏・額など、アポクリン汗腺が存在しない部位にも多数あります。成人の全身には約200万〜400万個のエクリン汗腺があり、アポクリン汗腺の数をはるかに上回ります。一方、アポクリン汗腺は前述の通り限られた部位にのみ集中して存在しています。

次に汗の出口ですが、エクリン汗腺は毛包とは独立した独自の汗孔(開口部)を持ち、皮膚の表面に直接開口しています。アポクリン汗腺は毛包に開口しているため、産生された汗はいったん毛包内を通って体外に出ます。

汗の成分においても大きな違いがあります。エクリン汗腺の汗は99%以上が水分で、塩化ナトリウム・乳酸・尿素などを微量に含む弱酸性の透明な液体です。基本的には無臭で、体温調節を主な目的としています。アポクリン汗腺の汗は粘度が高く白色または黄色がかっており、脂質・タンパク質・コレステロール・中性脂肪・フェロモン様物質など多彩な成分を含んでいます。

分泌のきっかけについても異なります。エクリン汗腺は体温上昇(暑さや運動)、辛い食べ物などの味覚刺激、精神的な緊張などによって分泌されます。アポクリン汗腺は主に感情的な刺激(ストレス・緊張・性的興奮)やアドレナリンなどのホルモン刺激によって活性化されます。

体臭への影響については、エクリン汗腺の汗は細菌によって分解されると皮膚表面が酸性になり、酸っぱいにおいが発生することがあります(いわゆる「汗臭い」においはこれが原因)。一方、アポクリン汗腺の汗は成分が豊富なため細菌による分解を受けやすく、ワキガに代表される独特の強い体臭を引き起こします。

💪 アポクリン汗腺の汗が体臭(ワキガ)につながる仕組み

ワキガ(腋臭症:えきしゅうしょう)は、アポクリン汗腺から分泌された汗が、皮膚に常在する細菌によって分解されることで発生する体臭です。このメカニズムを段階を追って説明します。

まず、アポクリン汗腺から脂質やタンパク質を豊富に含む汗が毛包内に分泌されます。分泌直後の汗はほぼ無臭か、ごく微かな臭いしかありません。この汗が毛包を通って皮膚の表面に出ると、皮膚表面に常在する細菌(主にコリネバクテリウム属の細菌)と接触します。

細菌は汗に含まれる脂質やタンパク質を栄養源として利用し、代謝産物として揮発性の有機化合物を産生します。この代謝産物の中に、特有の酸っぱくかつ刺激的なにおいを持つ「3-メチル-2-ヘキセン酸」や「3-ヒドロキシ-3-メチルヘキサン酸」などの脂肪酸が含まれています。これらの物質がワキガ特有のにおいの主成分であることが、近年の研究によって明らかになっています。

においの強さはアポクリン汗腺の数やサイズ、分泌量、皮膚常在菌の種類と数、皮膚の清潔さなど、複数の要因によって影響を受けます。アポクリン汗腺が多く・大きく・活発であるほど分泌量が多くなり、においが強くなる傾向があります。また、わきの下は保温されやすく、細菌が繁殖しやすい環境であるため、ほかの部位に比べてにおいが生じやすいことも、腋窩がワキガの代表的な発生部位となっている理由のひとつです。

アポクリン汗腺の汗に含まれる成分は食事や体調、ホルモンバランスによっても変化するため、においの強さは日によって変わることがあります。また、女性は月経周期によってホルモンバランスが変動するため、においが強くなる時期と弱くなる時期があることも知られています。

なお、汗そのものだけがにおいの原因ではなく、皮脂(エクリン汗腺・皮脂腺からの分泌物)も合わさって細菌に分解されるため、汗と皮脂が混合した環境が体臭をより強くする場合があります。

Q. ワキガの遺伝性と人種による発症率の違いは?

ワキガには強い遺伝性があり、両親ともにワキガ体質の場合は子の約75%、片親のみの場合は約50%に遺伝するとされる。人種差もあり、白人・黒人はアジア系よりアポクリン汗腺が多く大きい傾向がある。日本人のワキガ体質の割合は約10〜20%と推定されている。

🎯 アポクリン汗腺の発達に影響する要因

アポクリン汗腺の発達・活性化には、遺伝的な要因と環境的な要因の両方が関与しています。

遺伝的要因として、ワキガの体質は親から子へ遺伝することが知られています。アポクリン汗腺の数や大きさ、分泌能力は遺伝子によって決まる部分が大きく、両親ともにワキガ体質の場合は子どもがワキガになる可能性が高くなります。一般的に、両親ともにワキガの場合は子どもの約75%がワキガになるとされており、片親のみの場合は約50%程度とされています。

人種差も顕著で、アポクリン汗腺の数や活動性には人種による違いがあります。白人や黒人はアジア系に比べてアポクリン汗腺が多く・大きい傾向があり、ワキガの頻度も高いとされています。日本人を含むアジア系の人々はアポクリン汗腺が少なく小さいことが多いため、ワキガの頻度は欧米人に比べると低い傾向にありますが、それでも日本人の約10〜20%がワキガ体質であると推定されています。

性ホルモンの影響も大きく、アポクリン汗腺は思春期に性ホルモン(男性ホルモン・女性ホルモン)の分泌が増加するとともに発達します。男性ホルモン(アンドロゲン)は特にアポクリン汗腺の活性化に強く関与しており、男性は一般的に女性よりもワキガの症状が出やすい傾向があります。また、妊娠中や更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期ににおいが変化することがあります。

食生活も体臭に影響を与えます。肉類や乳製品・にんにく・香辛料などを多く摂取すると、アポクリン汗腺の分泌物の成分が変化し、においが強くなる場合があります。逆に、野菜中心のバランスの取れた食事を心がけることで、体臭が軽減することがあるとされています。

さらに、精神的なストレスもアポクリン汗腺の分泌を促進します。ストレスによってアドレナリンが分泌されると、アポクリン汗腺が刺激されて汗の分泌量が増加し、においが強くなることがあります。

💡 ワキガのセルフチェック方法

自分がワキガ体質かどうかを気にしている方のために、セルフチェックの方法をいくつかご紹介します。ただし、あくまでも参考程度の目安であり、確定的な診断は医療機関で行う必要があります。

最も手軽な方法のひとつが、耳垢の状態を確認することです。前述の通り、アポクリン汗腺は外耳道にも存在しています。アポクリン汗腺が活発な方は耳垢が湿っていてベタついた状態(湿性耳垢)になることが多く、これはワキガ体質のサインである可能性があります。反対に、耳垢がカサカサと乾燥している方(乾性耳垢)はアポクリン汗腺の活動が比較的少ない傾向にあります。日本人においては、ワキガがある方の耳垢はほぼ湿性であるという報告があり、ワキガ判定の参考指標として広く使われています。

次に、白い衣服(特に綿素材のTシャツや肌着)の脇の部分が黄色く変色しているかどうかを確認する方法です。アポクリン汗腺から分泌される汗に含まれる脂質やタンパク質が酸化・変質することで、衣服に黄色や黄褐色の着色が生じます。洗濯しても取れにくいこの汚れは、アポクリン汗腺が活発であることを示すサインのひとつです。

また、家族にワキガの方がいるかどうかも重要な参考情報です。前述のように、ワキガは遺伝性が強いため、両親や兄弟姉妹にワキガの方がいる場合は、自分もワキガ体質である可能性が高くなります。

自覚症状として、入浴後しばらくたつとわきの下から独特のにおいがする、周囲の人から体臭を指摘されたことがある、デオドラントを使っても効果が得られにくいと感じる、などの場合もワキガの可能性を示すサインとなることがあります。

ただし、ワキガの程度には個人差があり、軽度のものから重度のものまで幅広く存在します。においが気になるからといって必ずしも治療が必要というわけではありませんが、日常生活や対人関係に支障をきたしている場合は、専門医に相談することをおすすめします。

Q. ワキガの医療的治療にはどのような選択肢がありますか?

ワキガの医療的治療は大きく3種類ある。①ボツリヌストキシン注射は神経信号をブロックして発汗を抑制するが効果は半年〜1年程度。②ミラドライはマイクロ波で汗腺を破壊する非侵襲的治療で効果は半永久的。③剪除法はアポクリン汗腺を外科的に直接切除する根治性の高い方法。最適な治療法は専門医への相談が推奨される。

📌 アポクリン汗腺に関する治療・ケアの選択肢

ワキガや体臭が気になる場合、その程度や希望に応じてさまざまな治療・ケアの選択肢があります。大きく分けると、日常生活でのセルフケア、医療機関での保存的治療、そして外科的治療・医療処置があります。

まず医療機関での保存的治療として、制汗剤・デオドラント薬の処方があります。市販品よりも効果の高い医療用の塩化アルミニウム製剤などを処方してもらうことで、発汗を抑制し細菌の繁殖を防ぐ効果が期待できます。ただし、アポクリン汗腺そのものを除去するわけではないため、根本的な解決にはなりません。

近年注目されている治療法のひとつに、ボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)があります。ボツリヌストキシンを腋窩に注射することで、汗腺への神経信号を一時的にブロックし、発汗を抑制する効果があります。アポクリン汗腺にも作用するため、においの軽減にも効果があるとされています。効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に半年〜1年程度とされており、繰り返し施術が必要です。

医療機器を用いた治療として、マイクロ波を利用した「ミラドライ」と呼ばれる治療が広く行われています。マイクロ波のエネルギーを皮膚の外側から照射し、真皮内のアポクリン汗腺とエクリン汗腺の両方を熱変性・破壊する方法です。切開が不要な非侵襲的な治療法であり、施術後のダウンタイムも比較的短いとされています。効果が半永久的に持続するとされており、繰り返し施術を受ける必要がありません。

外科的な治療としては、アポクリン汗腺を直接除去する手術があります。代表的なものとして「剪除法(せんじょほう)」があり、わきの下を切開してアポクリン汗腺を直接切除する方法です。根治性が高く、重度のワキガに対しても高い効果が期待できます。ただし、手術を伴うためダウンタイムが必要であり、傷跡が残る場合もあります。また、超音波を利用して皮下のアポクリン汗腺を破壊する「超音波吸引法」なども行われています。

レーザー治療も選択肢のひとつで、皮膚の外側から、あるいは皮下に細い針を挿入してレーザーエネルギーを照射し、アポクリン汗腺を破壊する方法があります。切開を最小限に抑えながら効果的にアポクリン汗腺を処置できるとされています。

どの治療法が最適かは、ワキガの程度・希望する効果・ダウンタイムの許容度・費用などによって異なります。まずは専門医に相談し、自分の状態に合った治療法を選択することが大切です。

✨ 日常生活でできるアポクリン汗腺ケア

医療的な治療を行わない場合でも、日常生活での適切なケアによってアポクリン汗腺に由来する体臭をある程度コントロールすることができます。

最も基本的かつ効果的なケアは、こまめな洗浄です。わきの下を中心に、入浴時に石けんを使ってしっかりと洗浄することで、皮膚表面に付着した汗・皮脂・細菌を取り除くことができます。においは細菌による汗の分解によって生じるため、細菌の数を減らすことが体臭対策に直結します。ただし、過度な洗浄は皮膚の常在菌バランスを乱し、かえって炎症や肌荒れを引き起こすこともあるため、適度な洗浄を心がけましょう。

デオドラント製品の適切な使用も効果的です。市販のデオドラント剤には、殺菌・制汗・消臭などさまざまな効果を持つ製品があります。殺菌成分入りのものを使用すると、においの原因となる細菌の繁殖を抑える効果が期待できます。塩化アルミニウムを含む制汗剤は発汗を抑制する効果があり、ドラッグストアでも購入できます。ただし、皮膚への刺激があるため、皮膚が敏感な方は成分を確認してから使用することをおすすめします。

衣類の素材選びも体臭対策に影響します。通気性のよい素材(綿・麻など)を選ぶことで汗の蒸散を促し、細菌の繁殖を防ぐ効果があります。化学繊維の中でも、速乾性や抗菌防臭機能を持つ素材も選択肢のひとつです。汗をかいたらできるだけ早く着替えることも、においの蓄積を防ぐために有効です。

食生活の改善も体臭に影響します。前述のように、肉類・乳製品・にんにく・香辛料などを過剰に摂取すると体臭が強くなる場合があります。野菜や果物を中心としたバランスのよい食事を心がけ、特定の食品を食べ過ぎないようにすることで、体臭を軽減できる場合があります。また、腸内環境の改善も体臭に関係するとされており、食物繊維・発酵食品などを積極的に摂取することも有益です。

ストレス管理も重要なケアのひとつです。精神的なストレスはアポクリン汗腺の分泌を促進するため、適度な運動・十分な睡眠・リラクゼーション法などを取り入れて、ストレスをコントロールすることが体臭の軽減につながります。

わきの下の毛(腋毛)の処理についても触れておきます。腋毛はアポクリン汗腺の汗や細菌が付着しやすい環境を作り、においを増強させる要因となります。脱毛や除毛によって腋毛を処理することで、細菌が繁殖しにくくなり、体臭の軽減が期待できます。特に医療レーザー脱毛を行うと永続的に腋毛を処理できるため、デオドラントケアの効果も高まります。

以上のセルフケアを組み合わせることで、軽度〜中等度のワキガであれば日常生活での支障を大幅に軽減できる場合があります。ただし、重度のワキガや日常生活に著しい支障をきたしている場合は、専門医への相談を早めに検討することをおすすめします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、ワキガのにおいが気になりながらも「これは体質だから仕方ない」と長年一人で悩まれてきた患者様が多くいらっしゃいます。アポクリン汗腺の仕組みを正しくご理解いただくことで、セルフケアで対応できる段階なのか、医療的な治療を検討すべき段階なのかを判断しやすくなりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。最近の傾向として、ミラドライや剪除法など治療の選択肢が広がったことで、ご自身のライフスタイルに合った方法を選べるようになっており、多くの患者様が治療後に生活の質の向上を実感されています。

🔍 よくある質問

アポクリン汗腺とエクリン汗腺の違いは何ですか?

最大の違いは分布・成分・役割です。エクリン汗腺は全身に存在し、主に体温調節のため水分中心の汗を分泌します。一方、アポクリン汗腺はわきの下などに限定して分布し、脂質やタンパク質を含む汗を分泌します。この成分の違いが、ワキガ特有のにおいの原因となります。

ワキガかどうか自分で確認する方法はありますか?

代表的なセルフチェック方法として、耳垢の状態確認があります。耳垢が湿ってベタついている(湿性耳垢)場合はアポクリン汗腺が活発な可能性があります。また、白い衣服の脇部分が黄色く変色する、家族にワキガの方がいるなども参考になります。ただし確定診断は医療機関で行う必要があります。

ワキガは遺伝しますか?なりやすい体質はありますか?

ワキガには強い遺伝性があります。両親ともにワキガ体質の場合、子どもの約75%がワキガになるとされており、片親のみの場合は約50%程度とされています。また、男性ホルモンの影響を受けやすい方や、アポクリン汗腺が多い傾向にある白人・黒人の方はワキガになりやすい傾向があります。

ワキガの治療法にはどのような種類がありますか?

大きく分けて3つの選択肢があります。①ボツリヌストキシン注射による一時的な発汗抑制(効果は半年〜1年程度)、②マイクロ波で汗腺を破壊するミラドライ(切開不要で効果が半永久的)、③外科的にアポクリン汗腺を直接切除する剪除法(根治性が高い)です。最適な方法は症状や希望に応じて異なるため、専門医への相談をおすすめします。

日常生活でワキガのにおいを抑える方法はありますか?

いくつかのセルフケアが効果的です。入浴時にわきを石けんでこまめに洗浄して細菌を減らすこと、殺菌・制汗成分入りのデオドラント剤を使用すること、通気性の良い衣類を選ぶこと、肉類や香辛料の過剰摂取を控えるバランスの良い食生活、ストレス管理などが挙げられます。腋毛の処理も細菌の繁殖を抑えるうえで有効です。

💪 まとめ

アポクリン汗腺は、エクリン汗腺とともに人体の皮膚に存在する分泌腺のひとつで、特にわきの下・陰部・肛門周囲・外耳道などに集中して分布しています。大きな腺体を持ち、毛包に開口するという特徴があり、脂質やタンパク質を豊富に含む汗を分泌します。この汗が皮膚の常在細菌によって分解されることで、ワキガと呼ばれる独特の体臭が生じます。

アポクリン汗腺の発達には遺伝・性ホルモン・人種などが大きく関与しており、思春期以降に活発になります。ワキガが気になる場合は、耳垢の状態や衣服への着色などでセルフチェックを行い、気になるようであれば専門医に相談することが重要です。

治療の選択肢としては、日常生活でのセルフケアから、ボツリヌストキシン注射・ミラドライ・外科的切除術など、さまざまな医療的アプローチが存在します。どのような治療が適切かは個人の状態や希望によって異なるため、専門医とよく相談した上で最適な方法を選ぶことが大切です。

体臭の悩みは非常にデリケートな問題ですが、アポクリン汗腺の仕組みを正しく理解することで、適切なケアや治療に向けての第一歩を踏み出しやすくなります。気になる症状がある方は、一人で抱え込まず、信頼できる医療機関に相談されることをおすすめします。アイシークリニック上野院では、ワキガ・体臭に関する専門的な診療を行っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – アポクリン汗腺の構造・機能、ワキガ(腋臭症)の診断基準や治療方針に関する皮膚科学的根拠として参照
  • 日本形成外科学会 – ワキガ(腋臭症)に対する剪除法・超音波吸引法などの外科的治療の適応・術式・効果に関する情報として参照
  • PubMed – アポクリン汗腺の分泌メカニズム、においの主成分(3-メチル-2-ヘキセン酸等)の特定に関する国際的な研究論文の根拠として参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

プロフィールを見る

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

プロフィールを見る

電話予約
0120-000-702
1分で入力完了
簡単Web予約
LINE
運営:医療法人社団鉄結会