禁煙を決意したものの、「離脱症状がつらくて続けられるか不安」「いったいいつまでこの苦しさが続くのだろう」と感じている方は少なくありません。タバコをやめると、多くの人がイライラ、頭痛、強い吸いたい気持ち(喫煙欲求)などのさまざまな症状を経験します。これらは「禁断症状」や「離脱症状」と呼ばれ、ニコチン依存症の特徴的な反応です。しかし、これらの症状には必ず終わりがあります。今回は、禁煙の離脱症状がどのくらいの期間続くのか、時系列での変化、そして乗り越えるための方法について詳しく解説します。

目次
- 禁煙の離脱症状とは何か
- 離脱症状が起こるメカニズム
- 主な離脱症状の種類と特徴
- 離脱症状の期間と時系列での変化
- 身体的離脱症状が落ち着くまでの目安
- 精神的な依存が続く期間と対処法
- 離脱症状を和らげる方法
- ニコチン代替療法(NRT)について
- 禁煙補助薬の効果と活用法
- 禁煙外来を利用するメリット
- 再喫煙を防ぐためのポイント
- まとめ
🎯 禁煙の離脱症状とは何か
禁煙の離脱症状とは、長期間にわたってニコチンを摂取し続けてきた体が、ニコチン供給を突然断たれたことで生じるさまざまな不快な反応のことです。医学的には「ニコチン離脱症候群」と呼ばれており、世界保健機関(WHO)や米国精神医学会(APA)が定める診断基準でも正式な疾患概念として位置づけられています。
多くの方が「意志が弱いから禁煙が続かない」と自分を責めることがありますが、離脱症状は意志の問題ではなく、ニコチン依存症という病気から来る生理的・心理的な反応です。喫煙習慣がある方の多くがニコチン依存症の状態にあり、それはタバコに含まれるニコチンが脳に強力な依存形成作用をもたらすためです。
禁煙を成功させるためには、まず「離脱症状は一時的なものである」という事実を理解することが重要です。どんなに苦しく感じる離脱症状も、適切なサポートを受けながら対処すれば、必ず落ち着いていきます。
📋 離脱症状が起こるメカニズム
離脱症状が起こる仕組みを理解するためには、ニコチンが脳に与える影響について知る必要があります。
タバコを吸うと、ニコチンは肺から吸収されて血液を通じてわずか数秒で脳に到達します。脳内には「ニコチン性アセチルコリン受容体」と呼ばれる受容体があり、ニコチンがここに結合すると、ドーパミンをはじめとする複数の神経伝達物質が放出されます。ドーパミンは「快楽物質」とも呼ばれ、気分の高揚感やリラックス感、集中力の向上などをもたらします。
喫煙を繰り返すうちに、脳はニコチンが存在することを「通常の状態」として学習し、ニコチン性アセチルコリン受容体の数を増加させます。これがニコチン依存の状態です。この状態でニコチンの供給が止まると、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、さまざまな不快症状が現れます。これが離脱症状の正体です。
言い換えると、離脱症状が強く出るほど、それだけニコチン依存が進んでいたということでもあります。しかし、脳は可塑性(変化する力)を持っているため、ニコチンなしの状態が続くうちに受容体の数が正常化し、離脱症状は徐々に軽減していきます。
💊 主な離脱症状の種類と特徴
禁煙に伴う離脱症状はさまざまな形で現れます。身体的な症状と精神的な症状に分けて整理してみましょう。
🦠 身体的な離脱症状
頭痛は禁煙直後によく見られる症状のひとつです。ニコチンには血管を収縮させる作用があるため、禁煙によって血流が変化し、頭痛が生じることがあります。また、ニコチンは覚醒作用を持つため、禁煙後は眠気や倦怠感を感じる方も多くいます。
便秘や消化器系の不調も一般的な症状です。ニコチンは腸の蠕動運動を促進する作用があるため、禁煙すると腸の動きが一時的に低下し、便秘になりやすくなります。
口や喉の不快感も報告されています。長年タバコを吸っていた方が禁煙すると、口腔内の状態が変化し、違和感を覚えることがあります。また、気道の繊毛(線毛)機能が回復し始めると、痰が増えたり咳が出やすくなったりすることがあります。これは気道の浄化作用が戻りつつある好ましい反応です。
体重増加も禁煙に伴う変化として知られています。ニコチンには食欲抑制作用や代謝促進作用があるため、禁煙後は食欲が増し、代謝が少し低下することで体重が増えやすくなります。
👴 精神的な離脱症状
喫煙欲求(タバコを吸いたいという強い衝動)は、最も強力な離脱症状のひとつです。この衝動は突然やってきて、数分で最高潮に達した後、時間とともに落ち着いていく「波」のような特性があります。
イライラや怒りっぽさも代表的な精神的症状です。ニコチンにはストレス緩和作用があるため、禁煙するとストレスへの耐性が一時的に低下し、些細なことでイライラしやすくなります。
不安感や落ち着かない感覚も多くの方が経験します。これはニコチンが持つ抗不安作用が失われることによるものです。また、集中力の低下や思考力が落ちた感覚を覚える方もいます。
気分の落ち込みや抑うつ感も禁煙に伴って現れることがあります。もともと気分の落ち込みを感じやすい方では、禁煙後にこの傾向が強くなることがあるため、注意が必要です。
🏥 離脱症状の期間と時系列での変化
離脱症状がいつまで続くかは、多くの禁煙者が最も気になる点のひとつです。個人差はありますが、一般的な経過を時系列で見ていきましょう。
🔸 禁煙後数時間〜24時間
最後のタバコを吸ってから2〜3時間が経過すると、血中ニコチン濃度が低下し始め、最初の離脱症状が現れてきます。多くの喫煙者が感じる「次の一本が吸いたい」というタイミングがこれに当たります。
禁煙から12時間以内には、血中の一酸化炭素濃度が正常範囲に近づき始めます。同時に喫煙欲求、イライラ、不安感などが強まり始めます。禁煙初日は多くの方にとって最初の大きな壁となります。
💧 禁煙後1〜3日(最初のピーク)
禁煙から1〜3日の時期は、多くの方で離脱症状が最も強くなる時期です。喫煙欲求、イライラ、不安感、頭痛、集中力の低下などが重なって現れ、「もう一本だけ」と感じる誘惑が最も強くなります。
特に禁煙2日目から3日目にかけては、ニコチンが体内からほぼ排出される時期であり、脳内の受容体が「ニコチンを求める」シグナルを最も強く発するタイミングでもあります。この時期を乗り越えることが禁煙成功の最初の大きな鍵となります。
✨ 禁煙後4日〜1週間
禁煙から4日を過ぎると、多くの方で身体的な離脱症状が少しずつ和らいでいきます。とはいえ、喫煙欲求やイライラはまだ続いており、油断は禁物です。頭痛は治まってくる方が多い一方、眠気や倦怠感は続く場合があります。
禁煙1週間を過ぎると、体内のニコチンはほぼ完全に排出されます。嗅覚や味覚が回復し始め、食べ物のにおいや味を以前より強く感じるようになる方もいます。
📌 禁煙後2〜4週間
2週間を過ぎると、身体的な離脱症状は多くの方でかなり落ち着いてきます。頭痛、便秘、眠気といった症状が改善し、体調が整ってきたと感じる方が増えてきます。ただし、喫煙欲求は完全にはなくなっておらず、特定の状況(食後、飲酒時、ストレスを感じたときなど)でタバコを吸いたくなることがあります。
3〜4週間になると、多くの身体的離脱症状がほぼ解消します。この時期を乗り越えると、自分が禁煙を続けられているという自信が生まれてくる方も多く、精神的にも安定してくる傾向があります。
▶️ 禁煙後1〜3ヶ月
1ヶ月を過ぎると、身体的な依存はほぼ解消され、体の回復が続きます。肺の機能が改善し始め、階段を上るときの息切れが減ったと感じる方もいます。喫煙欲求の頻度は減りますが、強い喫煙欲求(クレービング)が突然やってくることはまだあります。
2〜3ヶ月になると、多くの方で喫煙欲求の頻度と強さがさらに低下します。ただし、この時期は「もうタバコを吸わなくても大丈夫」という油断から再喫煙してしまうケースもあるため、引き続き注意が必要です。
🔹 禁煙後3ヶ月〜1年
3ヶ月以降になると、身体的な離脱症状はほぼ完全に解消し、喫煙欲求も大幅に減少します。ただし、精神的な依存(心理的依存)は長期にわたって続くことがあります。特に、タバコに関連した「きっかけ(トリガー)」に遭遇したとき—たとえばタバコを吸っている人を見たとき、お酒を飲んだとき、強いストレスを感じたときなど—に、ふとタバコを吸いたくなることがあります。
1年間禁煙を継続できると、再喫煙のリスクは大幅に低下します。この1年という節目は、禁煙を完全に定着させるうえで重要なマイルストーンとされています。
⚠️ 身体的離脱症状が落ち着くまでの目安
症状ごとに、一般的にどのくらいの期間続くかの目安をまとめておきます。これはあくまでも目安であり、個人の喫煙歴や喫煙量、ニコチン依存の程度、体質などによって大きく異なります。
喫煙欲求(クレービング)は、禁煙直後から始まり、ピークは1〜3日です。その後は徐々に頻度と強さが低下しますが、精神的な誘発因子(食後・飲酒・ストレスなど)があると数ヶ月〜年単位で続くことがあります。
イライラや不安感は、禁煙後1〜2日でピークを迎え、2〜4週間で改善することが多いです。しかし、ストレスが多い環境ではより長引くことがあります。
頭痛は禁煙後数時間から始まり、1〜2週間で落ち着くことが多いです。集中力の低下や思考のもやつきは、禁煙後1〜2週間で解消することが一般的です。
眠気や倦怠感は2〜4週間続くことがありますが、その後は睡眠の質が向上したと感じる方が多くなります。便秘などの消化器症状は1〜4週間程度で改善することが多く、食物繊維の摂取や適度な運動が助けになります。
咳や痰の増加は一見悪化したように感じますが、これは気道の自浄作用が回復しているサインです。通常は1〜3ヶ月でこの症状は落ち着きます。
🔍 精神的な依存が続く期間と対処法
身体的な離脱症状が落ち着いた後も、精神的な依存(心理的依存)は長期にわたって続くことがあります。精神的依存とは、「タバコを吸うことが生活の一部になっていた」という習慣や、「タバコを吸えばストレスが解消される」という信念に基づくものです。
精神的依存は、特定の状況や気分と喫煙が結びついた「条件付け」によって形成されています。たとえば、「コーヒーを飲むときにタバコを吸う」「電話をするときにタバコを吸う」「飲み会でお酒を飲むとタバコが吸いたくなる」といった具合です。
精神的依存への対処は、こうした「トリガー(引き金)」を意識して管理することが中心になります。禁煙後しばらくは、トリガーとなる状況を避けるか、その状況での行動パターンを変えるよう心がけることが効果的です。たとえば、コーヒーの代わりに紅茶や緑茶を飲む、電話中は立ったまま歩き回るなど、些細な変化でも喫煙欲求を和らげる効果があります。
また、「タバコを吸いたい」という気持ちが湧いたときに、それをただ観察する「マインドフルネス」の考え方も有効です。喫煙欲求の波は通常5〜10分で峠を越えることが多いため、その時間をやり過ごすことができれば、欲求は自然と落ち着きます。
📝 離脱症状を和らげる方法
離脱症状をできるだけ楽に乗り越えるために、日常生活の中でできる工夫をいくつか紹介します。
📍 水分をこまめに摂る
水やお茶などの水分をこまめに摂ることは、体内のニコチン排出を助けるとともに、喫煙欲求をやり過ごすための口寂しさにも対応できます。特に、喫煙したくなったときに冷たい水を一杯飲むというシンプルな方法が、欲求を一時的に和らげるのに役立ちます。
💫 適度な運動を取り入れる
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、禁煙時のイライラや不安感、体重増加の予防に効果的です。運動によって分泌されるエンドルフィンがドーパミンの代替として機能し、喫煙欲求を和らげる効果があることが研究で示されています。喫煙欲求が出てきたときに5〜10分程度のウォーキングをすることで、欲求を乗り越えやすくなります。
🦠 深呼吸やリラクゼーション法
喫煙欲求が出たときや、イライラを感じたときに、深くゆっくりとした呼吸を繰り返すことで気持ちを落ち着かせることができます。タバコを吸う動作には、深呼吸に似た側面があるため、意識的な深呼吸がその代替になり得ます。ヨガや瞑想なども、禁煙中のストレス管理に有効とされています。
👴 口寂しさへの対処
禁煙後に感じる口寂しさには、ガムや飴(できれば糖分の少ないもの)、野菜スティックなどが役立ちます。ただし、食べすぎによる体重増加には注意が必要です。ニコチンガムを活用する方法については後述します。
🔸 禁煙アプリや記録の活用
スマートフォンの禁煙アプリを使って、禁煙開始からの日数や節約した金額、健康面の改善を可視化することは、モチベーションの維持に役立ちます。「あと何日で1ヶ月」「タバコ代が〇円節約できた」といった数字が、つらい時期を乗り越える励みになります。
💧 サポートを求める
禁煙を一人で抱え込まず、家族や友人に禁煙を宣言し、サポートをお願いすることが大切です。周囲に禁煙を知ってもらうことで、喫煙環境を減らすことができ、精神的なサポートも得やすくなります。
💡 ニコチン代替療法(NRT)について
ニコチン代替療法(NRT:Nicotine Replacement Therapy)は、タバコを吸わずに少量のニコチンを補給することで、急激なニコチン切れによる離脱症状を和らげながら段階的にニコチンへの依存を解消する方法です。
NRTには主にニコチンパッチとニコチンガムの2種類があり、日本ではドラッグストアなどで市販されています(一部は医師の処方も可能です)。
✨ ニコチンパッチ
ニコチンパッチは皮膚に貼るタイプで、一定量のニコチンを継続的に皮膚から吸収させます。1日1回貼るだけで効果が持続するため、使い方が簡単です。喫煙本数に応じて異なる濃度のパッチが用意されており、段階的に低い濃度のものに切り替えながら使用します。使用期間は通常8〜12週間程度です。
📌 ニコチンガム
ニコチンガムは、噛むことで口腔粘膜からニコチンを吸収させる製品です。喫煙欲求が出たときに使用できるため、特定の場面での欲求への対処に向いています。使用方法には少しコツがあり、通常のガムのようにずっと噛み続けるのではなく、ゆっくり噛んでニコチンが溶け出したらほおの内側に置く、という方法を繰り返します。
NRTは適切に使用することで離脱症状を大きく軽減できますが、使い方や期間を誤ると十分な効果が得られないこともあります。医師や薬剤師に相談しながら適切に活用することをお勧めします。
✨ 禁煙補助薬の効果と活用法
NRT以外にも、医師の処方による禁煙補助薬が存在します。代表的なものとして、バレニクリン(商品名:チャンピックス)とブプロピオン(日本では使用が限られる)が知られていますが、現在日本で広く使用されているのはバレニクリンです。
バレニクリンはニコチン受容体に部分的に作用する薬で、2つの働きを持ちます。ひとつは、ニコチン受容体に結合してドーパミンを少量放出することで離脱症状を緩和すること。もうひとつは、タバコを吸ってもニコチンが受容体に結合できなくさせることで、喫煙時の満足感を減らす(タバコを吸っても「おいしくない」と感じさせる)ことです。
バレニクリンはプラセボ(偽薬)と比較した臨床試験で、禁煙成功率を大幅に向上させることが示されており、現在最も効果的な禁煙補助薬のひとつとされています。服用期間は通常12週間で、必要に応じてさらに12週間延長することもあります。
ただし、バレニクリンは副作用として吐き気(特に服用初期)、夢が鮮明になる、眠れなくなるなどが報告されています。また、気分や行動の変化が現れる可能性があるため、医師の管理のもとで服用することが重要です。
また、ノルトリプチリンなどの抗うつ薬が禁煙補助として使われることもあります。これらは特に、うつ症状を持ちながら禁煙を試みる方に有効とされることがあります。いずれの薬も、医師との相談のうえで使用することが必要です。

📌 禁煙外来を利用するメリット
禁煙を一人で行うことに限界を感じたり、過去に何度も失敗してきたりした方には、禁煙外来の受診を強くお勧めします。禁煙外来は、医師が禁煙をサポートする専門外来で、日本では一定の条件を満たす場合に健康保険が適用されます。
▶️ 保険適用について
日本では2006年から禁煙治療に健康保険が適用されるようになりました。保険適用を受けるためには、「ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS)で5点以上」「1日の喫煙本数×喫煙年数(ブリンクマン指数)が200以上」「直ちに禁煙を開始することを希望している」「禁煙治療を受けることへの同意」といった条件を満たす必要があります。
保険適用のもとでの禁煙治療プログラムは、原則として12週間にわたる計5回の診療で構成されています。初回から最終回(12週後)まで、医師が定期的に状況を確認し、適切な薬の処方や行動面のアドバイスを行います。
🔹 禁煙外来で受けられるサポート内容
禁煙外来では、単に薬を処方するだけでなく、以下のような包括的なサポートを受けることができます。まず、呼気中の一酸化炭素濃度を測定することで、体への影響を客観的に確認できます。この数値が禁煙を続けるなかで改善していくことで、モチベーションの維持につながります。
医師との定期的な面談を通じて、離脱症状への対処法や再喫煙のトリガーへの対策についてアドバイスを受けることができます。また、禁煙を続けることへの不安や困難を専門家と共有できるため、精神的なサポートにもなります。
研究データによると、禁煙外来を利用した場合の禁煙成功率は、自力で禁煙しようとした場合に比べて大幅に高いことが示されています。過去に何度も禁煙を試みて失敗してきた方でも、適切な医療サポートを受けることで成功できる可能性は十分にあります。
📍 オンライン禁煙外来の活用
近年はオンラインで受診できる禁煙外来も普及しています。通院の手間が省けるため、忙しい方や近くに禁煙外来がない方でも利用しやすくなっています。スマートフォンやパソコンを使ってビデオ通話などで医師と面談し、処方された薬を自宅で受け取る形式が一般的です。
🎯 再喫煙を防ぐためのポイント
禁煙中に最も怖いのが再喫煙(再びタバコを吸い始めること)です。多くの方が禁煙に挑戦し、そして再喫煙を繰り返しながら、最終的に禁煙を達成しています。「再喫煙しても失敗ではない」という考え方も大切ですが、できれば再喫煙を防ぐための準備をしっかり行いたいものです。
💫 高リスク場面を事前に把握する
再喫煙が起きやすい場面として、飲酒時、職場や人間関係でのストレスを感じたとき、禁煙仲間が喫煙しているのを目にしたとき、退屈や手持ちぶさたのとき、などが挙げられます。これらの場面を事前にリストアップし、「その状況になったらどうするか」を具体的に決めておくことが再喫煙予防に有効です。
🦠 「一本だけ」は危険なシグナル
「一本だけなら大丈夫」という考えは、再喫煙の最も一般的なきっかけです。ニコチン依存症の特性から、一本のタバコが依存の再燃を引き起こしやすいため、この考えを「警戒すべきシグナル」と認識することが重要です。
👴 万が一吸ってしまったときの対処
たとえ一本吸ってしまったとしても、「もうだめだ」と諦めないことが大切です。そこで禁煙を諦めてしまうことが最も問題であり、「今日から改めて禁煙を続ける」という姿勢を持ち直すことが重要です。失敗した原因を振り返り、次に同じ状況になったときにどうするかを考える機会にしましょう。
🔸 禁煙の動機を常に思い返す
つらい時期には、「なぜ禁煙しようと思ったのか」という当初の動機を思い返すことが助けになります。健康のため、家族のため、節約のため、仕事のパフォーマンスを上げるためなど、禁煙の理由は人それぞれですが、それを紙に書いておいたり、スマートフォンのメモに残しておいたりして、いつでも確認できるようにしておくと良いでしょう。
💧 禁煙後の体の回復を知る
禁煙を続けることで体がどのように回復していくかを知ることも、モチベーションの維持に役立ちます。禁煙20分後には血圧と心拍数が下がり始め、8〜12時間後には血中の一酸化炭素濃度が正常化します。禁煙24時間後には心臓発作のリスクが低下し始め、48時間後には嗅覚と味覚が改善し始めます。禁煙2週間から3ヶ月後には肺機能が改善し、1年後には冠動脈疾患のリスクが喫煙者の半分程度になります。このような具体的な変化のタイムラインを知ることで、禁煙を続ける意欲が湧いてきます。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「禁煙外来を受診される患者様の多くが「離脱症状がこんなに苦しいとは思わなかった」とおっしゃいますが、禁煙後1〜3日のピークを乗り越えると、その後は着実に楽になっていくことを実感していただけるケースがほとんどです。離脱症状は意志の弱さではなくニコチン依存症という病気の反応ですので、必要に応じてバレニクリンなどの禁煙補助薬やニコチン代替療法を上手に活用しましょう。過去に何度か禁煙に挫折された方でも、適切な医療サポートのもとで取り組むことで成功の可能性は大きく広がりますので、どうかあきらめずに一歩踏み出してください。」
📋 よくある質問
禁煙後1〜3日目が最もつらい時期です。この時期は血中のニコチンがほぼ排出される段階で、喫煙欲求・イライラ・頭痛・不安感などが重なって現れます。この山を乗り越えると症状は徐々に和らぎ、多くの身体的症状は2〜4週間でかなり落ち着いてきます。
頭痛や便秘などの身体的症状は2〜4週間で改善するケースが多いです。一方、タバコを吸いたいという精神的な欲求は数ヶ月〜年単位で続くことがあります。ただし、時間が経つにつれて頻度と強さは確実に低下していきます。1年間継続できると再喫煙のリスクが大幅に下がるとされています。
はい、可能です。ドラッグストアで購入できるニコチンパッチやニコチンガム(ニコチン代替療法)のほか、医師が処方するバレニクリン(チャンピックス)などの禁煙補助薬があります。特にバレニクリンは臨床試験で高い禁煙成功率が確認されています。使用には副作用もあるため、医師に相談のうえ活用することをお勧めします。
一定の条件を満たせば健康保険が適用されます。条件はニコチン依存症スクリーニングで5点以上、ブリンクマン指数200以上、すぐに禁煙を開始する意思があることなどです。保険適用の場合、12週間・計5回の診療プログラムを比較的低コストで受けられます。
過去の失敗は意志の弱さではなく、ニコチン依存症という病気の影響によるものです。自力での禁煙と比べ、禁煙外来で医療サポートを受けると成功率が大幅に高まることが研究で示されています。
💊 まとめ
禁煙の離脱症状は、禁煙後1〜3日にピークを迎え、多くの身体的症状は2〜4週間で落ち着いてきます。精神的な依存は数ヶ月から場合によっては年単位で続くことがありますが、時間が経つにつれて喫煙欲求の頻度と強さは確実に低下していきます。
禁煙の離脱症状は決して意志の弱さではなく、ニコチン依存症という病気の一側面です。適切な方法と必要であれば医療のサポートを活用しながら取り組むことで、禁煙を成功させることは十分可能です。
水分補給、適度な運動、深呼吸などのセルフケアを活用しながら、ニコチン代替療法や禁煙補助薬も必要に応じて取り入れてみましょう。過去に禁煙を何度も試みて挫折した方も、禁煙外来で専門的なサポートを受けることで、成功の確率を大きく高めることができます。
📚 関連記事
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 禁煙治療の保険適用条件・禁煙外来の概要・ニコチン依存症スクリーニングテスト(TDS)・禁煙補助薬(バレニクリン等)に関する公式情報
- WHO(世界保健機関) – ニコチン依存症の国際的な診断基準・禁煙離脱症状の定義・世界的な禁煙支援ガイドラインに関する公式情報
- CDC(米国疾病予防管理センター) – 禁煙後の離脱症状の期間と時系列的変化・ニコチン代替療法(NRT)の効果・再喫煙防止のための具体的アドバイスに関する科学的根拠情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務