春先になると、中国大陸から日本へ飛来する黄砂。毎年2月から5月にかけてピークを迎え、目のかゆみや喉の痛み、咳などの症状に悩まされる方が増えています。黄砂は単なる砂ぼこりではなく、大気汚染物質や微生物を含んでいるため、呼吸器疾患やアレルギー症状を悪化させる原因となります。
特に花粉症やぜんそくをお持ちの方は、黄砂飛来時に症状が重くなりやすいため、適切な対策が欠かせません。本記事では、黄砂による健康被害の仕組みから具体的な予防法、症状が出たときの対処法まで、医学的な観点から詳しく解説します。黄砂シーズンを健康に乗り切るために、ぜひ参考にしてください。

目次
- 黄砂とは?飛来の仕組みと時期について
- 黄砂による健康被害と症状
- 黄砂飛来時の基本的な対策
- 外出時の黄砂対策
- 室内での黄砂対策
- 症状別の対処法と治療について
- 黄砂と花粉症・PM2.5の関係
- 特に注意が必要な方と対策のポイント
- 当院での診療傾向【医師コメント】
- よくある質問
この記事のポイント
黄砂は2〜5月に飛来し、目・鼻・喉・皮膚・呼吸器に健康被害を引き起こす。マスク着用・外出自粛・帰宅後の洗浄が主な予防策で、ぜんそくや花粉症の方は症状悪化に特に注意が必要。
🌪️ 黄砂とは?飛来の仕組みと時期について
黄砂とは、中国内陸部のゴビ砂漠やタクラマカン砂漠、黄土高原などの乾燥地帯から強風によって巻き上げられた砂塵が、偏西風に乗って日本まで運ばれてくる現象です。
砂漠の砂が上空数千メートルまで舞い上がり、数日かけて数千キロメートルの距離を移動して日本に到達します。
🌀 黄砂が発生する仕組み
黄砂の発生には、いくつかの気象条件が揃う必要があります。
- 発生源となる地域で乾燥した状態が続く
- 低気圧の通過や寒冷前線の影響で強風が吹く
- 砂塵が上空へ巻き上げられる
- 偏西風に乗って東へ移動
黄砂の粒子サイズは直径4マイクロメートル程度が中心ですが、これより小さな粒子も含まれており、長距離を移動する過程で大きな粒子は途中で落下し、細かい粒子ほど遠くまで運ばれます。
📅 黄砂飛来の時期と特徴
日本における黄砂の飛来は、主に2月から5月にかけて観測されます。特に3月から4月がピークとなり、この時期は発生源の乾燥化と偏西風の強さが重なるためです。
気象庁のデータによると、年間の黄砂観測日数は平均して約30日程度ですが、年によって大きく変動します。近年は黄砂の飛来回数や濃度が増加傾向にあるとの報告もあり、気候変動や砂漠化の進行との関連が指摘されています。
黄砂が飛来すると、空が黄褐色に霞み、視程(見通せる距離)が低下します。重度の黄砂の場合、視程が10キロメートル以下になることもあります。
🧪 黄砂に含まれる成分
黄砂の粒子は、単なる砂ではありません。発生源から日本に到達するまでの間に、様々な物質を取り込んでいます。
- 石英や長石などの鉱物粒子
- 硫酸塩や硝酸塩などの大気汚染物質
- カビや細菌などの微生物
- 花粉やその断片
- 重金属類
特に中国の工業地帯を通過する際に、大気汚染物質を付着させることが問題視されています。このため、黄砂は発生源の砂塵よりも健康への影響が大きくなる可能性があります。
Q. 黄砂が健康に悪影響を与える理由は何ですか?
黄砂は単なる砂ぼこりではなく、硫酸塩・硝酸塩などの大気汚染物質やカビ・細菌などの微生物、さらに重金属類を含んでいます。特に中国の工業地帯を通過する際に有害物質が付着するため、目・鼻・喉・気管支に炎症を引き起こし、既存のアレルギー疾患や呼吸器疾患を悪化させる原因となります。
⚕️ 黄砂による健康被害と症状
黄砂が健康に与える影響は多岐にわたります。微細な粒子が目や鼻、喉、気管支に付着したり、吸入されることで様々な症状を引き起こします。また、黄砂に付着した大気汚染物質やアレルゲンによって、既存の疾患が悪化することもあります。
👁️ 目に現れる症状
黄砂飛来時に最も多く報告される症状が目の異常です。黄砂の粒子が目に入ると、結膜(白目の部分を覆う薄い膜)に刺激を与え、以下のような症状が現れます。
- 目のかゆみ
- 充血
- 異物感(ゴロゴロする感じ)
- 涙が止まらない
- まぶたの腫れ
- 目やにの増加
これらの症状は、アレルギー性結膜炎と類似しており、花粉症の方は症状が重複して悪化しやすくなります。コンタクトレンズを使用している方は、レンズと角膜の間に黄砂の粒子が入り込み、角膜を傷つける恐れがあるため特に注意が必要です。
🫁 呼吸器に現れる症状
黄砂の粒子を吸い込むと、呼吸器系に様々な症状が現れます。
- 鼻水、鼻づまり、くしゃみ
- 喉の痛みやイガイガ感
- 咳、痰の増加
- 息苦しさ
鼻水の症状でお悩みの方は、「鼻水が黄色でネバネバする原因とは?症状の見分け方と治療法を医師が解説」も参考にしてください。
黄砂の粒子は比較的大きいため、多くは上気道(鼻や喉)で止まりますが、4マイクロメートル以下の微細な粒子は気管支や肺の奥深くまで到達することがあります。特に、黄砂に付着したPM2.5などの微小粒子状物質は、肺胞まで入り込み、炎症を引き起こす原因となります。
🧴 皮膚に現れる症状
黄砂は皮膚にも影響を与えます。黄砂の粒子が肌に付着すると、以下のような症状が出ることがあります。
- かゆみ、赤み
- 湿疹
- 乾燥
- ピリピリとした刺激感
特にアトピー性皮膚炎をお持ちの方は、黄砂飛来時に症状が悪化しやすいため注意が必要です。肌の乾燥でお悩みの方は、「顔のカサカサ・皮むけの原因と対策|乾燥肌を改善するスキンケア方法」も参考になります。
🤒 全身に現れる症状
黄砂の影響は、局所的な症状だけでなく全身に及ぶことがあります。
- 頭痛
- 倦怠感
- 発熱
- めまい
これらは、黄砂に対するアレルギー反応や、炎症性物質の影響によるものと考えられています。また、黄砂の飛来が心血管疾患のリスク上昇と関連するという研究報告もあります。高齢者や心臓病の既往がある方は、黄砂飛来時に特に注意が必要です。
🛡️ 黄砂飛来時の基本的な対策
黄砂による健康被害を防ぐためには、飛来情報を把握し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、黄砂シーズンを健康に乗り切るための基本的な対策を解説します。
📱 黄砂情報をチェックする習慣をつける
黄砂対策の第一歩は、飛来情報を事前に把握することです。
- 気象庁の黄砂情報(ウェブサイトや天気予報)
- 環境省の黄砂飛来情報(リアルタイム観測データ)
- スマートフォンの天気アプリ
黄砂予測情報では、4日先までの予測が提供されています。毎朝チェックする習慣をつけ、黄砂の飛来が予測される日は事前に対策を講じることで健康被害を最小限に抑えることができます。
🏠 不要な外出を控える
黄砂の濃度が高い日は、可能な限り外出を控えることが最も効果的な対策です。
特に、黄砂注意報が発令されているときや、視程が著しく低下しているときは、屋外での活動を避けましょう。どうしても外出が必要な場合は、以下の時間帯を選ぶと良いでしょう。
- 朝早い時間帯
- 雨上がり
黄砂は雨で地面に落ちるため、雨が降った直後は一時的に濃度が下がります。ただし、乾燥すると再び舞い上がることがあるため注意が必要です。
💧 適切な水分補給を心がける
黄砂の粒子が喉や気管支に付着すると、粘膜が乾燥して症状が悪化しやすくなります。こまめな水分補給で喉を潤すことで、粘膜のバリア機能を維持し、粒子の排出を促すことができます。
- 1日1.5〜2リットル程度の水分摂取
- 少量ずつこまめに摂取
- 温かい飲み物で喉の粘膜を保護
Q. 黄砂飛来時に外出する際の効果的な対策を教えてください。
黄砂飛来時の外出には、N95・KN95規格またはPM2.5対応マスクを隙間なく着用することが最重要です。目の保護にはメガネやゴーグルが有効で、コンタクトレンズはメガネへの切り替えが推奨されます。帰宅後は玄関先で衣服の黄砂を払い落とし、手洗い・うがい・洗顔を速やかに行いましょう。
🚶♂️ 外出時の黄砂対策
仕事や学校など、黄砂飛来時でも外出が避けられない場合があります。そのような場合に実践すべき対策を詳しく解説します。
😷 マスクの選び方と正しい着用法
黄砂対策において、マスクは最も重要なアイテムです。ただし、すべてのマスクが黄砂に有効というわけではありません。
効果的なマスクの種類:
- N95規格やKN95規格のマスク
- 「PM2.5対応」と表示されたマスク
- 一般的な不織布マスク(大きな粒子には有効)
正しい着用方法:
- マスクと顔の間に隙間ができないよう調整
- 鼻の部分のワイヤーをしっかりフィットさせる
- 顎まで覆うように着用
マスクの効果について詳しくは「マスクの効果とは?最新の研究から見る感染予防効果と正しい使い方を解説」をご覧ください。
👓 目を守るための対策
目の保護には、メガネやゴーグルの着用が効果的です。
- 普通のメガネでも黄砂の侵入を約3分の1に減少
- スポーツタイプのサングラス
- 花粉対策用のゴーグル型メガネ
コンタクトレンズ使用者への注意:
- 黄砂の多い日はメガネに切り替え
- どうしても使用する場合は1日使い捨てタイプを選択
- 帰宅後は速やかに外して目を洗浄
👕 服装の工夫
黄砂は衣服にも付着するため、服装の工夫も重要です。
おすすめの服装:
- 長袖・長ズボンで肌の露出を減らす
- スカーフやネックゲイターで首元をガード
- 帽子で髪への付着を防ぐ
素材の選び方:
- ナイロンやポリエステル(表面がツルツルした化学繊維)
- ウールやフリースなどの起毛素材は避ける
🏠 帰宅時の対策
外出から帰宅したら、家に入る前に玄関先で衣服についた黄砂を払い落としましょう。
玄関での対策:
- ブラシで軽く払う
- 粘着式のクリーナー(コロコロ)で除去
- 靴も玄関の外でしっかり払う
帰宅直後に行うこと:
- 手洗い・うがい・洗顔
- 目を流水で洗浄
- 可能であればシャワーを浴びる
- 室内用の服に着替える
🏠 室内での黄砂対策
黄砂は屋外だけでなく、室内にも侵入します。室内での対策を徹底することで、生活空間を快適に保ちましょう。
🪟 窓やドアの開閉を最小限に
黄砂の濃度が高い日は、窓やドアの開閉を最小限に抑えることが基本です。
換気が必要な場合:
- 早朝や夜間の濃度が低い時間帯
- 短時間で行う
- レースのカーテンを閉めたまま
窓枠やサッシの隙間から黄砂が入り込むこともあるため、隙間テープなどで目張りをすると効果的です。
🌪️ 空気清浄機の活用
室内の空気をきれいに保つには、空気清浄機の使用が効果的です。
効果的な空気清浄機の特徴:
- HEPAフィルター搭載(0.3マイクロメートル以上の粒子を99.97%以上捕集)
- 適用床面積が使用する部屋に合っている
- 24時間稼働可能
フィルターは定期的に清掃・交換し、性能を維持することが大切です。
❄️ エアコンの使用と換気
エアコンの使用時も注意が必要です。エアコンは室内の空気を循環させるため、床や家具に付着した黄砂を舞い上げる可能性があります。
エアコン使用時の注意点:
- 使用前に室内の掃除をしっかり行う
- エアコンフィルターを2週間に1回程度清掃
- 換気扇は使用を控えるか専用フィルターを取り付け
🧹 掃除のポイント
黄砂シーズンは、こまめな掃除が重要です。
効果的な掃除方法:
- まず濡れた雑巾やモップで拭き掃除
- その後に掃除機をかける
- 窓際やカーテンを重点的に清掃
- カーテンは定期的に洗濯
ロボット掃除機を使用する場合は、水拭き機能付きのものを選ぶと良いでしょう。
👕 洗濯物の干し方
黄砂の濃度が高い日は、洗濯物を外に干すと黄砂が付着してしまいます。
おすすめの乾燥方法:
- 室内干し
- 浴室乾燥機
- 衣類乾燥機
どうしても外に干す場合は、黄砂の濃度が低い時間帯を選び、取り込む前によく払ってから室内に入れてください。布団も同様に、黄砂の多い日は布団乾燥機を使用するか、室内で日光に当てるようにしましょう。
Q. 黄砂と花粉症・PM2.5の関係はどのようなものですか?
黄砂の飛来ピークである3〜4月はスギ花粉の飛散ピークと重なります。黄砂に含まれる大気汚染物質がアレルギー反応を増強するため、花粉症の方は症状が通常より重くなりやすい傾向があります。また黄砂飛来時はPM2.5濃度も上昇することが多く、微小粒子が肺の奥深くまで到達し呼吸器疾患リスクを高める点にも注意が必要です。
💊 症状別の対処法と治療について
黄砂による症状が出てしまった場合の対処法と、医療機関での治療について解説します。
👁️ 目の症状への対処法
目のかゆみや充血、異物感がある場合の対処法:
- まず流水で目を洗い、黄砂の粒子を洗い流す
- 市販の洗眼液を使用
- 目をこすらないよう注意
- 抗アレルギー点眼薬や人工涙液を使用
症状が改善しない場合や、強い痛みがある場合は、眼科を受診してください。医療機関では、抗アレルギー点眼薬、ステロイド点眼薬、抗炎症点眼薬などが処方されることがあります。
👃 鼻・喉の症状への対処法
鼻水や鼻づまりへの対処:
- 鼻うがい(鼻洗浄)で鼻腔内の黄砂を洗い流す
- 生理食塩水や市販の鼻うがい用キットを使用
鼻づまりでお悩みの方は、「血管運動性鼻炎の治し方とは?原因・症状・治療法を医師が詳しく解説」も参考にしてください。
喉の痛みやイガイガ感への対処:
- うがい(水でも効果的、殺菌成分入りでより効果的)
- のど飴や喉を潤すスプレーの活用
- 抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)の使用
眠気が気になる方は、第2世代の抗ヒスタミン薬を選ぶと良いでしょう。
🫁 咳や息苦しさへの対処法
咳が続く場合:
- 加湿器を使用して室内の湿度を50〜60%に保つ
- 温かい飲み物で喉を潤す
注意が必要な症状:
- 息苦しさ
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)
これらの症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。ぜんそくの既往がある方は、予防的に吸入薬を使用するなど、かかりつけ医の指示に従ってください。
🧴 皮膚の症状への対処法
皮膚にかゆみや赤みが出た場合の対処法:
- まず肌を清潔にする(シャワーで黄砂を洗い流す)
- 洗顔や入浴時は優しく洗う(ゴシゴシ擦らない)
- 入浴後は保湿剤をしっかり塗る
- かゆみが強い場合はステロイド軟膏や抗ヒスタミン内服薬を使用
症状が改善しない場合や悪化する場合は、皮膚科を受診してください。
🏥 医療機関を受診すべき症状
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします:
- 強い呼吸困難や喘鳴
- 高熱が続く
- 目の強い痛みや急激な視力低下
- 市販薬を使用しても症状が改善しない
- 症状が日常生活に支障をきたすほど重い
アレルギー疾患やぜんそく、心臓病などの持病がある方は、症状が軽くても早めにかかりつけ医に相談することをおすすめします。
🌸 黄砂と花粉症・PM2.5の関係
黄砂の飛来時期は、スギ・ヒノキの花粉シーズンや、PM2.5の濃度が上昇する時期と重なることが多く、これらが複合的に作用することで症状が悪化する可能性があります。
🌸 黄砂と花粉症の関係
黄砂の飛来ピークである3〜4月は、スギ花粉の飛散ピークと重なります。黄砂と花粉が同時に飛散すると、以下のような影響があります:
- 両方のアレルゲンに曝露される
- 症状が増悪しやすくなる
- 黄砂に含まれる微生物や大気汚染物質がアレルギー反応を増強
花粉症の方は、黄砂飛来時に症状が通常より重くなることがあるため、より念入りな対策が必要です。花粉症の治療薬を服用している方は、黄砂シーズンもしっかり薬を継続し、症状のコントロールを行いましょう。
花粉症の初期症状について詳しくは、「花粉症のなりかけ症状とは?初期段階で見逃せないサインと早期対策」をご覧ください。
💨 黄砂とPM2.5の関係
PM2.5とは、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質の総称です。
黄砂の粒子自体は主に4マイクロメートル以上ですが、黄砂の飛来時にはPM2.5の濃度も上昇することが知られています。これは以下の理由によります:
- 黄砂が大気汚染物質を運んでくる
- 黄砂の粒子が大気中で化学反応を起こして微小粒子を生成
PM2.5は粒子が非常に小さいため、肺の奥深くまで到達しやすく、呼吸器疾患や心血管疾患のリスクを高める可能性があります。
黄砂飛来時は、PM2.5の濃度情報も併せてチェックすることをおすすめします。環境省の「大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)」で、リアルタイムのPM2.5濃度を確認できます。
🔄 複合汚染への対策
黄砂、花粉、PM2.5が複合的に飛散する時期は、より徹底した対策が必要です。
外出時の対策:
- PM2.5対応のマスクを着用
- メガネやゴーグルで目を保護
帰宅後の対策:
- より丁寧な手洗い・うがい・洗顔
- 可能であればシャワーを浴びて全身を洗い流す
室内の対策:
- 空気清浄機を24時間稼働
- 窓の開閉は最小限に抑制
Q. 黄砂の影響を特に受けやすい人はどんな人ですか?
ぜんそく・慢性気管支炎などの呼吸器疾患や、花粉症・アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持つ方は黄砂で症状が悪化しやすいです。また高齢者は心血管疾患リスクの上昇、乳幼児は呼吸器が未発達であることから注意が必要です。妊婦は薬の使用が制限されるため、外出を控えるなど予防策の徹底が特に重要となります。
⚠️ 特に注意が必要な方と対策のポイント
黄砂の影響を受けやすい方は、より慎重な対策が必要です。以下に該当する方は、黄砂飛来時に特に注意してください。
🫁 ぜんそく・気管支炎のある方
ぜんそくや慢性気管支炎などの呼吸器疾患をお持ちの方は、黄砂によって症状が悪化するリスクが高くなります。
注意すべきポイント:
- 黄砂飛来時は予防的に吸入薬を使用
- 薬の量を調整する必要がある場合はかかりつけ医と相談
- 症状悪化の兆候(咳の増加、痰の増加、息苦しさなど)を感じたら早めに受診
🤧 アレルギー疾患のある方
花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎などのアレルギー疾患をお持ちの方は、黄砂飛来時に症状が悪化しやすくなります。
対策のポイント:
- 普段から服用しているアレルギー薬をしっかり継続
- 症状が悪化した場合は薬の増量や変更を医師と相談
- 症状のコントロールを維持
👴 高齢者
高齢者は、呼吸器や心臓の機能が低下していることが多く、黄砂の影響を受けやすい傾向があります。
また、黄砂の飛来が心筋梗塞や脳卒中のリスク上昇と関連するという研究報告もあります。
高齢者向けの対策:
- 黄砂の濃度が高い日は外出を控え、室内で過ごす
- 外出時は必ずマスクを着用
- 帰宅後は手洗い・うがいを徹底
👶 乳幼児・子ども
乳幼児や子どもは、呼吸器がまだ発達途中であり、大人に比べて黄砂の影響を受けやすいとされています。
また、子どもは屋外で遊ぶ機会が多いため、黄砂への曝露量が増えやすくなります。
子ども向けの対策:
- 黄砂の濃度が高い日は屋外での遊びを控える
- 外出時は子ども用のマスクを着用させる
- 帰宅後は手洗い・うがいをしっかり行う
🤰 妊婦
妊娠中の方も、黄砂への曝露には注意が必要です。
妊娠中に注意すべき理由:
- 免疫機能が変化するため、アレルギー反応が強く出る場合がある
- 薬の使用が制限されることがある
- 予防が特に重要
妊婦向けの対策:
- 黄砂の濃度が高い日は外出を避ける
- 外出時はマスクを着用
- 基本的な対策を徹底
👷 屋外で作業をする方
建設作業員、農業従事者、配送業者など、屋外で長時間作業をする方は、黄砂への曝露量が多くなります。
屋外作業者向けの対策:
- N95やKN95規格のマスクを着用
- 定期的に休憩を取って水分補給
- 可能であれば黄砂の濃度が高い時間帯を避けて作業
- 作業後は衣服についた黄砂を払い落とし、シャワーを浴びる
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「当院では、毎年3月から5月にかけて、目のかゆみや充血、喉の違和感を訴えて来院される患者さんが増加します。特に黄砂と花粉の飛散が重なる時期は、花粉症の方の症状が通常より重くなる傾向があります。最近では、黄砂飛来の影響で肌荒れや乾燥が悪化したとおっしゃる患者さんも増えています。黄砂対策の基本は、できるだけ曝露を避けることです。外出時のマスク着用、帰宅後の洗顔やうがいを習慣化していただくことで、多くの方が症状の軽減を実感されています。症状が重い場合や長引く場合は、我慢せずに早めにご相談ください。」
よくある質問
黄砂の飛来は主に2月から5月にかけて観測され、特に3月から4月がピークとなります。年によって飛来回数や濃度は変動しますが、一般的に5月下旬頃には落ち着くことが多いです。気象庁の黄砂予測情報を定期的にチェックすることで、飛来状況を把握できます。
黄砂アレルギーの主な症状には、目のかゆみ・充血・涙、鼻水・鼻づまり・くしゃみ、喉の痛み・イガイガ感、咳・痰、皮膚のかゆみ・赤み・湿疹などがあります。花粉症と似た症状が現れることが多く、既にアレルギー疾患をお持ちの方は症状が悪化しやすい傾向があります。
黄砂対策には、N95規格やKN95規格のマスク、PM2.5対応と表示されたマスクが最も効果的です。一般的な不織布マスクでも大きな粒子には有効ですが、より細かい粒子まで防ぐには高性能フィルター付きのマスクがおすすめです。マスクは顔にしっかりフィットさせ、隙間ができないよう正しく着用することが重要です。
黄砂の濃度が高い日は、洗濯物を外に干すと黄砂の粒子が付着してしまうため、室内干しをおすすめします。浴室乾燥機や衣類乾燥機を活用すると良いでしょう。どうしても外に干す場合は、黄砂の濃度が低い早朝や夜間を選び、取り込む前によく払ってから室内に入れてください。
症状によって受診する診療科が異なります。目の症状(かゆみ・充血・痛み)は眼科、鼻や喉の症状(鼻水・鼻づまり・喉の痛み・咳)は耳鼻咽喉科または内科、皮膚の症状(かゆみ・湿疹・赤み)は皮膚科を受診してください。息苦しさや喘鳴がある場合は、すぐに内科または呼吸器科を受診することをおすすめします。
📚 参考文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
黄砂の健康被害を防ぐための最も重要なポイントは、事前の情報収集と予防対策です。黄砂情報を毎日チェックし、飛来が予想される日は外出を最小限に抑えることをおすすめします。また、既にアレルギー疾患をお持ちの方は、黄砂シーズンが始まる前から予防的に治療を開始することで、症状の悪化を防ぐことができます。我慢せず、早めの対策と適切な治療を心がけてください。