赤ちゃんの苺状血管腫とは?原因・経過・治療法をわかりやすく解説

クリニックでカウンセリングを受ける患者と男性医師

🍓 赤ちゃんの肌に突然あらわれた赤いふくらみ、気になっていませんか?

💬 「これって何?」「ほっといて大丈夫?」
→ それ、苺状血管腫(いちご状血管腫)かもしれません。
この記事を読めば、原因・経過・治療法・受診タイミングまで、ぜんぶわかります。

⚠️ 「どうせ自然に治るでしょ」と放置すると、まぶたや気道など大切な部位では手遅れになることも。
早めに正しい知識を身につけて、後悔のない判断をしてあげましょう。


目次

  1. 苺状血管腫とはどんな病気?
  2. 赤ちゃんに苺状血管腫が生じる原因
  3. 苺状血管腫の種類と見た目の特徴
  4. 苺状血管腫の経過と自然消退について
  5. 治療が必要になるケースとは?
  6. 苺状血管腫の治療法
  7. 苺状血管腫と似ている他の血管病変との違い
  8. 日常生活での注意点とケア方法
  9. 受診のタイミングと相談先
  10. まとめ

📋 この記事のポイント

苺状血管腫は乳幼児の5〜10%に見られる良性腫瘍で、多くは自然消退するが、まぶた・気道など機能部位では早期治療が必要。現在はプロプラノロール内服療法が第一選択で、生後3〜4か月以内の専門医相談が推奨される。

💡 苺状血管腫とはどんな病気?

苺状血管腫(いちご状血管腫)とは、皮膚の毛細血管や静脈が異常に増殖することで生じる、良性の腫瘍性病変です。医学的には「乳児血管腫(infantile hemangioma)」とも呼ばれており、乳幼児期に最も多く見られる良性腫瘍のひとつです。

名前の由来は、病変の表面がイチゴの実の表面に似た、赤くてでこぼことした見た目をしていることからきています。触ると弾力があり、柔らかいことも特徴のひとつです。

苺状血管腫は生まれた直後にはほとんど目立たないことが多く、生後数週間から1か月ほど経過してから急に目立つようになるケースが多いです。その後、生後6か月から1歳頃にかけてもっとも大きくなるピークを迎え、その後は徐々に縮小していく経過をたどることが一般的です。

発症頻度としては、全乳幼児の約5〜10%に見られるとされており、特に白人系の赤ちゃんや女の子、早産児、低出生体重児に多いとされています。日本人の赤ちゃんでも決して珍しくない疾患です。

病変はひとつだけのこともあれば、複数箇所にあらわれることもあります。また、皮膚の表面だけでなく、皮膚の深い層や肝臓・消化管などの内臓に生じることもあります。

Q. 苺状血管腫はどのような経過をたどりますか?

苺状血管腫は生後数週間〜1か月頃から目立ち始め、生後6か月〜1歳頃に最も大きくなります。その後は徐々に退縮し、「5歳までに50%、7歳までに70%、9歳までに90%が自然消退する」とされています。ただし消退後に色素変化や余剰皮膚が残る場合もあります。

📌 赤ちゃんに苺状血管腫が生じる原因

苺状血管腫がなぜ生じるのか、その正確なメカニズムはまだ完全には解明されていません。しかし、これまでの研究によっていくつかの要因が明らかになってきています。

まず、血管内皮細胞の増殖が制御不能な状態になることが中心的な原因と考えられています。通常、血管内皮細胞は適切に増殖と退縮を繰り返しますが、何らかの原因でこのバランスが崩れることで、毛細血管が過剰に増えてしまうと考えられています。

また、胎盤に由来する細胞が関係しているという説も注目されています。苺状血管腫の血管内皮細胞が、胎盤の血管内皮細胞と似た特性を持つことが確認されており、胎児期に胎盤の細胞が何らかの形で皮膚に移行・定着することで血管腫を形成するという説(胎盤由来説)が提唱されています。

遺伝的な要因についても研究が進んでいます。家族内に血管腫を持つ人がいる場合に発症リスクがやや高くなるという報告があり、遺伝的な素因が関与している可能性が示唆されています。ただし、明確な遺伝子異常が特定されているわけではなく、「遺伝する病気」と断言できる段階ではありません。

リスク因子として明らかになっているものとしては、以下のものが挙げられます。

早産・低出生体重は苺状血管腫の発症と強く関連しており、出生時体重が1000g未満の超低出生体重児では発症率が20〜30%にのぼるという報告もあります。また、女児は男児の3〜5倍程度の発症率とされており、性別差が顕著です。多胎妊娠(双子・三つ子など)、絨毛膜検査や羊水検査などの侵襲的な出生前検査の既往、母親の年齢が高いことなども関連因子として挙げられています。

いずれにしても、苺状血管腫は保護者の生活習慣や行動が直接の原因となるものではなく、「何かをしたから生じた」というものではありません。ご自身を責める必要はまったくありません。

✨ 苺状血管腫の種類と見た目の特徴

苺状血管腫は、病変が皮膚のどの層にあるかによっていくつかの種類に分類されます。それぞれ見た目や触感が異なるため、種類を理解しておくことが大切です。

表在型(浅在型)は最も多いタイプで、皮膚の表面近くにある毛細血管が増殖したものです。皮膚の表面が赤く盛り上がり、イチゴの表面のようにでこぼことした質感をしています。色は鮮やかな赤〜深紅色で、触ると柔らかく弾力があります。成長するにつれてより盛り上がりが目立つようになります。

深在型は、皮膚の真皮深層から皮下脂肪層にかけての深い部分に血管の増殖が起こるタイプです。皮膚の表面は正常に見えることもありますが、内側に柔らかいふくらみを感じることができます。皮膚の色は青みがかった色や、うっすらと赤みを帯びた色をしていることが多いです。表在型と比べて見た目ではわかりにくいことがあります。

混合型は表在型と深在型の両方の要素を持つタイプで、表面の赤みと皮下のふくらみが組み合わさっています。実際には混合型が最も多く見られると言われています。

これらとは別に、病変が体の広い範囲に広がるタイプ(分節型・びまん型)もあります。このタイプは内臓血管腫や他の疾患を合併することがあるため、特に注意が必要です。

苺状血管腫が生じやすい場所としては、頭部・顔面が最も多く、全体の約60%を占めます。次いで体幹部、四肢の順に多いとされています。特に顔面では、額・まぶた・鼻・唇・頬などに生じることが多く、場所によっては視力や呼吸、授乳などの機能に影響を与えることもあります。

Q. 苺状血管腫の原因は何ですか?

苺状血管腫の正確なメカニズムは未解明ですが、血管内皮細胞の増殖制御の乱れが主因と考えられています。胎盤由来細胞の関与や遺伝的素因も示唆されています。早産・低出生体重・女児・多胎妊娠などがリスク因子です。保護者の生活習慣や行動が原因となるものではありません。

🔍 苺状血管腫の経過と自然消退について

苺状血管腫の大きな特徴のひとつが、多くのケースで自然に縮小・消退するという点です。ただし、その経過は個人差が大きく、完全に消えるまでに長い年月がかかることもあります。

一般的な経過としては、まず増殖期があります。生後1〜3か月頃から急速に大きくなり始め、生後6か月〜1歳頃にかけて最も大きくなります。この時期は赤みも濃く、盛り上がりも最も目立ちます。増殖のスピードは個人差があり、数週間で急激に大きくなるケースもあります。

次に安定期があります。1歳を過ぎた頃から、それ以上大きくなることが止まります。この時期は見た目の変化がほとんど感じられないことがあります。

その後、退縮期に入ります。色が薄くなり始め、中心部から白っぽくなっていきます。皮膚が平坦になってくることも見られます。退縮のペースは個人差が大きく、数年単位で変化していきます。

自然消退の目安として、よく引用されるのが「5歳までに50%、7歳までに70%、9歳までに90%が消退する」というデータです。つまり、多くの場合は小学校を卒業する頃までに相当程度改善することが期待できます。

ただし、自然消退した後にも皮膚の変化が残ることがあります。血管腫が消えた後の皮膚には、毛細血管拡張・皮膚の色素変化・皮膚のたるみや余剰皮膚・瘢痕(きずあと)などが残ることがあります。特に大きな血管腫では、消退後の皮膚変化が目立つこともあります。

また、深在型の場合は退縮しても皮下に組織が残りやすく、表面の見た目は改善されても触るとやや硬さが残ることがあります。

「待って自然に消えるのを待つ」という方針は、多くのケースで妥当な選択肢ですが、それがベストかどうかはケースバイケースです。後述するように、場所・大きさ・合併症の有無によっては、積極的な治療を早期に検討することが推奨されます。

💪 治療が必要になるケースとは?

苺状血管腫のすべてが治療を必要とするわけではありません。しかし、以下のような状況では積極的な治療が推奨されます。

まず、機能障害を引き起こしている場合です。まぶたや眼球周囲にある血管腫は、視野を塞いだり眼球を圧迫したりすることで弱視(視力発達の障害)を引き起こす可能性があります。鼻や気道周囲の血管腫は呼吸困難の原因となることがあります。口唇や口腔内の血管腫は授乳障害を引き起こすことがあります。耳の周囲にある血管腫は聴覚障害の原因となることもあります。

次に、潰瘍化している場合です。苺状血管腫は皮膚が崩れて潰瘍(えぐれた状態)になることがあり、これを「潰瘍化」と言います。潰瘍が生じると痛みが強くなり、細菌感染を起こすリスクが高まります。特に口唇部・おむつ当たる部位(おしり・股)・腋の下など摩擦が多い部位で潰瘍化しやすいとされています。

また、顔面の目立つ場所にある場合です。鼻先・唇・額など顔の中央部に大きな血管腫があると、自然消退を待っても後遺症(皮膚の変形・きずあとなど)が残りやすく、心理社会的な影響も生じることがあります。このような場合は早期治療が推奨されます。

さらに、血管腫が急速に増大している場合も治療を検討します。数週間で急激に大きくなり続けている場合は、自然消退を待つより早期に介入した方が最終的な結果が良いことがあります。

肝臓などの内臓に血管腫がある場合も治療が必要となります。内臓血管腫は肝機能障害・心不全・甲状腺ホルモン異常などを引き起こすことがあるため、より慎重な管理が求められます。

血小板減少などの血液異常を引き起こしているケース(カサバッハ・メリット症候群)も治療が必要です。ただしこれは苺状血管腫よりも他のタイプの血管腫に多い合併症です。

治療が必要かどうかの判断は専門医(皮膚科・形成外科・小児科など)が総合的に判断します。「自然に消えるから大丈夫」と決めつけずに、気になることがあれば早めに相談することをお勧めします。特に生後3〜4か月以内に専門医に相談することが、治療の選択肢を広げる上で重要です。

Q. 苺状血管腫の主な治療法は何ですか?

現在、苺状血管腫の第一選択治療はプロプラノロール内服療法です。β遮断薬であるこの薬は血管腫の増殖を抑え退縮を促し、60〜90%以上の有効率が報告されています。そのほかチモロール外用療法、パルス色素レーザー治療、ステロイド療法、手術療法などがあり、専門医が病変の種類・部位・大きさに応じて判断します。

予約バナー

🎯 苺状血管腫の治療法

苺状血管腫の治療法は、近年大きく進歩しており、複数の選択肢があります。それぞれの特徴と適応について解説します。

✅ プロプラノロール内服療法

現在、苺状血管腫の治療においてもっとも有効性が高く、世界的に第一選択とされているのがプロプラノロール(propranolol)の内服療法です。プロプラノロールはもともと心臓疾患や高血圧の治療に使われてきたβ遮断薬(ベータブロッカー)という薬ですが、2008年に乳児血管腫に対しても高い効果があることが偶然発見され、その後急速に普及しました。

作用メカニズムとしては、血管腫の増殖に関与する血管内皮増殖因子(VEGF)の産生を抑制したり、血管収縮を促したりすることで、血管腫の成長を抑制し退縮を促すと考えられています。

有効性としては、治療開始から数日〜数週間以内に赤みや盛り上がりが目立って改善し始めるケースが多く、国内外の研究で60〜90%以上の有効率が報告されています。

投与方法は体重に応じた量を1日2〜3回に分けて内服します。治療期間は通常6か月〜1年程度で、定期的な経過観察を行いながら継続します。

主な副作用として、低血糖・低血圧・徐脈(脈が遅くなる)・気管支痙攣(喘息様症状)などが挙げられます。これらのリスクを最小化するため、治療開始時には入院または十分な観察のもとで行うことが多く、喘息や心疾患がある場合は使用できないこともあります。日本では2016年に乳児血管腫への適応が承認されています。

📝 チモロール外用療法

チモロールは点眼薬として使われているβ遮断薬ですが、苺状血管腫に対しても外用(塗り薬として使う)することで効果が期待できます。プロプラノロール内服と比べると全身への吸収が少なく、副作用のリスクが低いため、比較的表在型で小さい血管腫に対して用いられることがあります。

ただし、深在型や大きな病変には効果が限定的であり、プロプラノロール内服の方が適しているケースが多いです。

🔸 レーザー治療

苺状血管腫に対してレーザー治療を行う場合、主にパルス色素レーザー(PDL)が使用されます。このレーザーは皮膚の赤みを引き起こしているヘモグロビン(血液中の赤い色素)に特異的に吸収されるため、周囲の正常組織にダメージを与えにくいという特徴があります。

レーザー治療は主に以下の場面で検討されます。表在型の薄い・小さい血管腫や、プロプラノロール内服治療後に残った赤みや毛細血管拡張の改善、潰瘍化した血管腫の治癒促進などが主な適応です。

乳幼児の場合、レーザー治療を行う際には全身麻酔や鎮静処置が必要になるケースもあり、施設によって対応が異なります。また、深在型の血管腫にはレーザーが届きにくいため、効果が限定的です。

⚡ ステロイド療法

プロプラノロールが普及する以前は、ステロイド(副腎皮質ステロイド)の全身投与や局所注射が主な治療法でした。現在でも、プロプラノロールが使えないケースや補助的な治療として用いられることがあります。

副作用として、免疫抑制・成長抑制・クッシング症候群などのリスクがあるため、現在ではプロプラノロール内服が第一選択とされ、ステロイド全身投与は限定的な使用にとどまることが多いです。

🌟 手術療法

血管腫を外科的に切除する手術は、以下のような場合に検討されます。自然消退後に皮膚の変形や余剰皮膚が残っている場合、瘢痕(きずあと)が目立っている場合、機能障害が続いている場合などです。手術は血管腫そのものに対して行うよりも、消退後の修正目的で行われることが多いです。

💡 苺状血管腫と似ている他の血管病変との違い

赤ちゃんの皮膚に見られる赤い病変のすべてが苺状血管腫というわけではありません。似た見た目を持つ他の血管病変と区別することが、適切な治療を受けるために重要です。

単純性血管腫(ポートワイン母斑)は、皮膚の毛細血管が過剰に拡張した状態です。生まれつき存在し(先天性)、苺状血管腫のように生後から目立ってくるものではありません。色は赤〜赤紫色で、皮膚の表面は平坦であることが多く、触ってもぼこぼこしていません。自然に消えることはなく、治療にはレーザー療法が有効です。顔の片側に広がる場合にはスタージ・ウェーバー症候群などの合併症を検索する必要があります。

正中部母斑(サーモンパッチ)は、うなじや鼻根部・額の正中部などにある淡い赤みで、生まれた直後から見られます。泣いたときに赤くなりやすいことが特徴です。うなじにあるものは「コウノトリのくちばし(コウノトリの咬み跡)」と呼ばれます。顔面にあるものは多くの場合1歳頃までに自然に消退しますが、うなじのものは成人になっても残ることがあります。苺状血管腫とは異なり盛り上がりはなく、増大することもありません。

先天性血管腫は、苺状血管腫と異なり生まれた時点から十分に発達した血管腫として存在します。苺状血管腫が生後から増殖するのとは違い、出生前から形成されています。生後に急速に縮小するタイプ(RICH:急速退縮型先天性血管腫)と、縮小しないタイプ(NICH:非退縮型先天性血管腫)に分けられます。乳幼児血管腫と異なる免疫組織化学的特性を持ち、プロプラノロールへの反応性は低いとされています。

血管奇形は血管の構造異常で、毛細血管奇形・静脈奇形・リンパ管奇形・動静脈奇形などに分類されます。血管奇形は生まれつき存在し、血管腫と異なり細胞増殖は起こりません。自然消退はなく、体の成長に伴って拡大することが多いです。治療法も血管腫とは異なり、硬化療法・塞栓術・手術などが行われます。

これらの疾患は専門医でも見分けが難しいことがあり、必要に応じてエコー検査(超音波検査)やMRI検査などの画像検査が行われます。

Q. 苺状血管腫はどんな場合に早急に受診すべきですか?

出血が止まらない場合、皮膚が崩れてじゅくじゅくする潰瘍化が起きている場合、まぶたの血管腫で視野が妨げられている場合、呼吸や授乳に支障がある場合は急いで受診が必要です。急を要さない場合でも、顔面や機能部位にある場合や急速に増大している場合は、生後3〜4か月以内に専門医へ相談することで治療の選択肢が広がります。

📌 日常生活での注意点とケア方法

苺状血管腫のある赤ちゃんを育てる上で、日常生活で気をつけたいことやケアのポイントについてお伝えします。

まず、強くこすらないことが大切です。苺状血管腫は表面が繊細で、強い摩擦によって出血したり、表面が傷ついたりすることがあります。入浴時は優しく洗い流す程度にし、タオルでこすらないよう注意しましょう。

衣類や紙おむつの当たりにも注意が必要です。特におしりや股間、腋の下など摩擦が多い部分に血管腫がある場合、衣類やおむつが当たることで潰瘍化しやすくなります。刺激の少ない柔らかい素材の衣類を選び、おむつのサイズが血管腫に直接当たらないよう調整することが助けになります。

潰瘍化のサインに注意しましょう。血管腫の一部が白っぽくなったり、皮膚が崩れてじゅくじゅくした状態になったりしている場合は、潰瘍が始まっているサインかもしれません。潰瘍化すると赤ちゃんが痛みで不機嫌になったり、細菌感染が起こったりすることがあります。気づいたら早めに医師に相談してください。

出血した場合は、清潔なガーゼやタオルを当てて数分間しっかりと圧迫することで多くの場合は止血できます。圧迫しても出血が止まらない場合は医療機関を受診してください。

日焼けについても注意が必要です。血管腫のある皮膚は紫外線の影響を受けやすく、日焼けによって色素沈着が起こりやすいことがあります。外出時には帽子などで日差しを避けることを心がけ、紫外線対策を行いましょう。

保護者の精神的なケアも重要です。赤ちゃんの顔や体に目立つ血管腫があると、保護者は強い不安や心理的ストレスを感じることがあります。他の人の視線が気になったり、外出が辛くなったりすることもあるかもしれません。こうした気持ちは決して不自然なことではなく、同じ悩みを持つ保護者のコミュニティや支援グループを活用することも助けになります。医師や看護師にも気持ちを話してみることをためらわないでください。

また、治療を受けている場合は、処方された薬を指示通りに使用し、定期的な受診を欠かさないことが大切です。プロプラノロールを内服している場合は、薬を急に中止しないよう注意してください(急激に中止すると反跳現象が起こる可能性があるため、必ず医師の指示に従って漸減します)。

✨ 受診のタイミングと相談先

苺状血管腫が疑われる場合、どのタイミングで・どこに相談すればよいのかについてお伝えします。

受診を急ぐべき状況としては、まず以下の場合が挙げられます。血管腫から出血が止まらない場合、潰瘍(皮膚が崩れてじゅくじゅくしている状態)がある場合、まぶたに大きな血管腫があって目が見えにくそうな場合、鼻や口の周囲の血管腫で呼吸や授乳に問題が出ている場合です。これらは急いで医療機関を受診してください。

また、急を要する状況でなくても、以下のような場合は早めに専門医への受診を検討しましょう。生後1〜3か月以内に赤みや盛り上がりに気づいた場合(早期治療の選択肢を広げるために早めの受診が重要です)、顔面・頭頸部・陰部などの特別な部位にある場合、急速に大きくなっている場合、1か所だけでなく複数箇所にある場合などです。

相談先としては、まずかかりつけの小児科医に相談することが第一歩です。かかりつけ医から、必要に応じて専門科(皮膚科・形成外科・小児外科など)に紹介してもらうことができます。

苺状血管腫の診療は、皮膚科・形成外科・小児科が主に担当します。治療の内容によっては複数の科が連携して診療を行うこともあります。特に内服治療(プロプラノロール)を行う場合は、心電図や血液検査など適切な前検査が必要であり、専門的な管理が求められます。

レーザー治療については、医療用レーザーを扱う皮膚科・形成外科・美容皮膚科などが対応しています。乳幼児のレーザー治療に慣れた施設を選ぶことが重要です。

「自然に消えると言われたけれど、本当に大丈夫なの?」「もっと早く治してあげたい」という思いがある場合は、セカンドオピニオンを求めることも選択肢のひとつです。保護者が納得して治療方針を選べるよう、複数の専門医の意見を聞くことは何も問題ありません。

アイシークリニック上野院では、苺状血管腫をはじめとする血管性病変のご相談を承っています。赤ちゃんの皮膚の変化が気になる場合は、お気軽にご相談ください。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、苺状血管腫のご相談で来院される保護者の方の多くが「自然に消えると言われたけれど、本当に大丈夫なのか」と不安を抱えていらっしゃいます。最近の傾向として、プロプラノロール内服療法の普及により、以前と比べて早期かつ効果的な治療が可能になっており、特に顔面や機能に関わる部位にある場合は生後3〜4か月以内にご相談いただくことで治療の選択肢が大きく広がります。「様子を見ましょう」と言われてもご不安が続く場合は、ぜひお気軽にご相談ください。お子さまとご家族にとって最善の方針を一緒に考えてまいります。」

🔍 よくある質問

苺状血管腫は自然に消えますか?

多くの場合、自然に消退します。一般的に「5歳までに50%、7歳までに70%、9歳までに90%が消退する」とされています。ただし、消退後に皮膚の色素変化や余剰皮膚が残ることもあります。場所や大きさによっては自然消退を待たず、早期治療が推奨されるケースもあるため、専門医への相談をお勧めします。

苺状血管腫はいつ頃から目立ち始めますか?

生まれた直後はほとんど目立たないことが多く、生後数週間〜1か月頃から急に目立つようになるケースが多いです。その後、生後6か月〜1歳頃にかけて最も大きくなるピークを迎えます。この増殖期に急速に大きくなることがあるため、早めに専門医へ相談することが大切です。

苺状血管腫の治療はどんな方法がありますか?

現在、最も有効性が高い治療法はプロプラノロールという薬の内服療法で、世界的に第一選択とされています。そのほか、チモロール外用療法、パルス色素レーザー治療、ステロイド療法、手術療法などがあります。治療法の選択は血管腫の種類・場所・大きさなどをもとに専門医が判断します。

どんな場合に早めに受診すべきですか?

出血が止まらない場合、皮膚が崩れてじゅくじゅくしている(潰瘍化)場合、まぶたの血管腫で目が見えにくそうな場合、呼吸や授乳に支障がある場合は急いで受診してください。また、急速に大きくなっている場合や顔面にある場合も、生後3〜4か月以内の早期受診が治療の選択肢を広げます。

苺状血管腫の原因は保護者の行動にありますか?

いいえ、保護者の生活習慣や行動が直接の原因となるものではありません。血管内皮細胞の増殖異常や胎盤由来細胞の関与、遺伝的素因などが関連していると考えられていますが、詳しいメカニズムはまだ解明途中です。「何かをしたから生じた」というものではないため、ご自身を責める必要はありません。

💪 まとめ

苺状血管腫(乳児血管腫)は、赤ちゃんに最も多く見られる良性の血管腫です。多くの場合は生後数週間から目立ち始め、生後6か月〜1歳頃にもっとも大きくなり、その後ゆっくりと自然消退していく経過をたどります。完全に消退するまでに数年かかることもありますが、自然消退を見守ることが適切なケースも多くあります。

一方で、まぶた・気道・口唇などの機能に関わる部位にある場合や、急速に増大している場合、潰瘍化している場合などは早期に治療を開始することが重要です。現在では、プロプラノロール内服療法という高い有効性を持つ治療法が広く利用できるようになり、以前よりも早期かつ効果的な治療が可能になっています。

「自然に消えるから」と放置しすぎず、また「必ず治療しなければ」と過度に心配しすぎず、専門医に相談しながら赤ちゃんに合った方針を選ぶことが最も大切です。苺状血管腫の特徴や経過を正しく理解して、保護者の方が適切な判断ができるよう、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。気になることがあれば、ためらわずに専門医に相談することをお勧めします。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 苺状血管腫(乳児血管腫)の診断基準・治療方針・プロプラノロール療法の適応に関する診療ガイドライン
  • 日本形成外科学会 – 血管腫・血管奇形の分類、治療法(レーザー治療・手術療法)および経過観察に関する専門的情報
  • PubMed – 乳児血管腫(苺状血管腫)に対するプロプラノロール内服療法の有効性・安全性・発症メカニズムに関する国際的な臨床研究論文

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

プロフィールを見る

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

プロフィールを見る

電話予約
0120-000-702
1分で入力完了
簡単Web予約
LINE
運営:医療法人社団鉄結会