火傷とヘパリン治療の関係|傷跡を残さないためのケアとは

クリニックでカウンセリングを受ける患者と女性医師

火傷(やけど)は日常生活の中でも起こりやすい外傷のひとつです。料理中に熱湯がかかった、アイロンが肌に触れた、などの経験がある方は少なくないでしょう。問題はやけどそのものだけでなく、治癒後に残る「傷跡(瘢痕)」です。適切なケアを行わないと、肌が赤く盛り上がったり、色素沈着が長期間続いたりすることがあります。そこで近年注目されているのが「ヘパリン」を活用した治療・ケアです。ヘパリンという成分はもともと血液凝固を防ぐ薬として知られていますが、保湿や皮膚再生の促進においても優れた効果があることが明らかになっています。本記事では、火傷の基礎知識からヘパリンの役割、そして傷跡を最小限に抑えるためのケア方法まで、詳しく解説していきます。


目次

  1. 火傷(やけど)の基礎知識
  2. 火傷の深さと傷跡の関係
  3. ヘパリンとはどのような成分か
  4. 火傷にヘパリンが有効な理由
  5. ヘパリン含有製剤の種類と使い方
  6. 火傷後のケアにおける注意点
  7. 傷跡(瘢痕)を残さないためのステップ
  8. クリニックで受けられる火傷・傷跡治療
  9. 火傷の傷跡治療でよくある疑問
  10. まとめ

この記事のポイント

火傷の傷跡予防には、流水冷却の初期対応後、上皮化以降にヘパリン類似物質含有製剤を継続使用することが有効。保湿・抗炎症・線維化抑制の複合作用で瘢痕形成を抑制し、深達性II度以上の傷跡にはレーザー治療との併用が推奨される

🎯 火傷(やけど)の基礎知識

火傷とは、熱や化学物質、電気、放射線などによって皮膚や組織が損傷を受けた状態を指します。最も一般的なのは熱によるもので、沸騰したお湯や熱い蒸気、フライパン、アイロンなどとの接触によって発生します。私たちの皮膚は外部からの刺激を守るバリアとして機能していますが、熱などの強い刺激を受けると、そのバリア機能が失われ、炎症や組織破壊が起こります。

やけどの重症度は、損傷を受けた「深さ」と「範囲」によって評価されます。日常的に遭遇することが多いのは比較的浅いやけどですが、重症になると入院治療が必要になることもあります。また、やけどの部位も重要で、顔・手・足・関節部分などは機能的・審美的な観点から特に注意が必要です。

やけどが発生した直後は、すぐに流水で冷やすことが最優先です。冷却によって熱の組織への影響を最小限に抑え、痛みを和らげる効果があります。一般的には15〜20分程度、流水(水道水)で患部を冷やすことが推奨されています。この初期対応が、その後の治癒経過や傷跡の残り方に大きく影響します。

Q. 火傷をした直後にすべき応急処置は?

火傷が発生したら、すぐに流水で15〜20分程度冷やすことが最優先です。衣服の上からやけどした場合は無理に脱がさず、上から冷やすか切って除去します。味噌や歯磨き粉を塗る民間療法は感染リスクがあるため避け、冷却後は速やかに医療機関を受診してください。

📋 火傷の深さと傷跡の関係

やけどの深さは医学的に「度」で分類されます。それぞれの深さによって症状の出方や治療方針、傷跡が残る可能性が異なります。

🦠 I度(表皮熱傷)

皮膚の最も外側の層である表皮のみが損傷した状態です。皮膚が赤くなり、ひりひりとした痛みを感じますが、水疱(水ぶくれ)は形成されません。日焼けの症状に近く、通常は数日から1週間程度で自然に治癒します。この段階では傷跡が残ることはほとんどありません。

👴 II度(真皮熱傷)

皮膚の2層目である真皮まで損傷が及んだ状態です。強い痛みと水疱が特徴的で、さらに「浅達性(せんたつせい)II度」と「深達性(しんたつせい)II度」に分けられます。浅達性II度は真皮の浅い層までの損傷で、適切な治療を行えば2〜3週間で治癒し、傷跡が残りにくいとされています。一方、深達性II度は真皮の深い層まで損傷が及んでおり、治癒に時間がかかり、色素沈着や肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)が残りやすいといわれています。

🔸 III度(皮下組織熱傷)

皮膚の全層を超え、皮下組織まで損傷が及んだ最も重篤な状態です。皮膚が白色や黒色に変色し、神経も損傷されているため逆に痛みを感じないことがあります。自然治癒は難しく、植皮手術などが必要になるケースも多く、傷跡が残ることはほぼ避けられません。

このように、傷跡が残る可能性は火傷の深さに大きく左右されます。深達性II度以上のやけどでは、ヘパリンなどの薬剤を用いた適切なケアと医療機関での治療が、傷跡の程度を軽減する上で重要な意味を持ちます。

💊 ヘパリンとはどのような成分か

ヘパリンは、もともとブタやウシの腸や肺などから抽出される多糖類(ムコ多糖類)の一種です。医療の世界では長年にわたり、血液の凝固を防ぐ「抗凝固薬」として注射剤などに利用されてきました。手術後の血栓予防や透析治療など、さまざまな場面でヘパリンが活用されています。

しかし皮膚科や形成外科の分野では、ヘパリンの別の側面が注目されています。それが「ヘパリン類似物質」と呼ばれる成分の保湿・抗炎症・血行促進作用です。市販品や医療機関で処方されるヘパリン含有製剤(代表的なものとしてヒルドイドなど)には、この「ヘパリン類似物質」が含まれており、皮膚の乾燥改善や傷跡のケアに幅広く使われています。

ヘパリン類似物質の主な作用は以下の通りです。

  • 保湿作用:皮膚の角質層に水分を保持し、乾燥を防ぐ
  • 血行促進作用:皮膚の血液循環を改善し、組織の回復を促す
  • 抗炎症作用:皮膚の炎症を抑え、赤みや腫れを和らげる
  • 線維化抑制作用:コラーゲンの過剰産生を抑え、瘢痕(傷跡)の盛り上がりを軽減する

これらの複合的な作用が、火傷後の皮膚ケアにおいてヘパリン類似物質を有効にしている理由です。特に「線維化抑制作用」は、肥厚性瘢痕やケロイドの予防・改善において重要な役割を果たすと考えられています。

Q. 火傷の深さと傷跡の残りやすさの関係は?

火傷はI度・II度・III度に分類され、深くなるほど傷跡が残りやすくなります。I度は表皮のみの損傷で傷跡はほぼ残りません。真皮深層まで及ぶ深達性II度以上になると、肥厚性瘢痕や色素沈着が生じやすく、専門的な治療が必要になるケースが増えます。

🏥 火傷にヘパリンが有効な理由

火傷が治癒する過程では、皮膚の再生と同時にさまざまな問題が起きやすくなります。ヘパリン(ヘパリン類似物質)がこれらの問題に対してどのように働くのかを詳しく見ていきましょう。

💧 皮膚の乾燥を防ぎ、治癒環境を整える

やけどによって皮膚のバリア機能が損傷を受けると、皮膚から水分が失われやすくなります。乾燥した皮膚は再生が遅くなり、傷跡が残りやすい環境になってしまいます。ヘパリン類似物質の高い保湿力は、損傷を受けた皮膚に水分を補給し、適度な湿潤環境を保つことで皮膚の再生を促します

✨ 血行促進による組織修復の促進

やけどを受けた部位では、血管が損傷して血行が悪くなることがあります。血行が滞ると、組織の修復に必要な栄養素や酸素が十分に届かなくなり、回復が遅れます。ヘパリン類似物質の血行促進作用は、局所の血液循環を改善し、組織の修復を助けます。また、血行が良くなることで老廃物の排出も促進され、炎症の鎮静化にも貢献します。

📌 炎症の抑制による症状の軽減

やけどの治癒過程では炎症反応が起こりますが、炎症が過剰になると組織の損傷が拡大したり、瘢痕形成が促進されたりします。ヘパリン類似物質は抗炎症作用を持ち、この過剰な炎症反応を抑えることで、赤みや腫れ、かゆみなどの症状を和らげるとともに、傷跡の形成を抑制するとされています。

▶️ 瘢痕(傷跡)の質の改善

やけどが治癒する際、コラーゲンが産生されて皮膚の欠損部が修復されます。しかし、コラーゲンが過剰に産生されたり、不規則に配列したりすると、肥厚性瘢痕やケロイドと呼ばれる盛り上がった傷跡になってしまいます。ヘパリン類似物質はコラーゲンの産生や分解に関わる過程に作用し、コラーゲンの線維化を抑制することで、より滑らかな瘢痕の形成を促すと考えられています。また、既に形成された肥厚性瘢痕に対しても、継続的な使用によって改善効果が期待されます

🔹 かゆみの軽減

やけどの治癒過程や傷跡の形成過程では、しばしば強いかゆみが生じます。このかゆみは患者にとって非常に不快なだけでなく、無意識に引っかいてしまうことで傷跡をさらに悪化させるリスクがあります。ヘパリン類似物質の保湿作用や抗炎症作用は、このかゆみを軽減する効果があるとされています。

⚠️ ヘパリン含有製剤の種類と使い方

ヘパリン類似物質を含む製剤は、クリーム、ローション、軟膏、スプレーなどさまざまな剤形で市販・処方されています。それぞれの特徴と火傷後のケアへの適用について解説します。

📍 クリームタイプ

最もよく使われる剤形です。水分と油分が適度にバランスされており、べたつきが少なく使いやすいのが特徴です。やけどが治癒した後の傷跡ケアや、日常的な保湿目的に適しています。顔や体の広い範囲に塗布しやすく、日中の使用にも向いています。

💫 軟膏タイプ

油分が多く、保湿効果が高いのが軟膏の特徴です。皮膚のバリア機能が低下している状態や、乾燥が強い部位への使用に適しています。ただし、べたつきが強いため、就寝前の使用や包帯を当てる場合に向いています。

🦠 ローション・ゲルタイプ

さらっとした使用感が特徴で、頭皮や体毛のある部位にも使いやすい剤形です。広い範囲に素早く塗布できるという利点があります。ただし、保湿効果はクリームや軟膏と比べてやや劣る傾向があります。

👴 スプレータイプ

直接患部に触れることなく薬剤を塗布できるため、触れると痛みを感じる急性期のやけどや、広範囲のケアに適しています。ただし、急性期のやけどに使用する際は、医師の指示のもとで行うことが重要です

🔸 使用上のポイント

ヘパリン含有製剤を使用する際のポイントをいくつか挙げます。まず、創部がまだ滲出液(しみ出てくる液体)を出している急性期の状態では、使用前に医師に相談することをお勧めします。治癒が進み、皮膚が閉じてきた段階(上皮化後)から使用を始めるのが一般的です。使用量は薄く均一に塗布することが大切で、1日1〜数回の塗布を継続します。効果を実感するには数週間〜数ヶ月の継続使用が必要なことが多いです。また、日焼けは傷跡の色素沈着を悪化させるため、日焼け止めを併用することが推奨されます。

Q. ヘパリン類似物質が火傷の傷跡ケアに有効な理由は?

ヘパリン類似物質は、保湿・血行促進・抗炎症・線維化抑制という四つの複合的な作用を持ちます。乾燥を防いで皮膚再生を促しつつ、コラーゲンの過剰産生を抑えることで肥厚性瘢痕の形成を軽減します。これらの作用が組み合わさることで、火傷後の傷跡改善に有効とされています。

🔍 火傷後のケアにおける注意点

やけどの治療・ケアには気をつけなければならない点がいくつかあります。以下に主な注意点をまとめます。

💧 民間療法には注意が必要

やけどに味噌や醤油、歯磨き粉を塗るという民間療法が古くから伝えられていますが、これらは医学的に推奨されていません。これらの物質は患部に感染リスクをもたらしたり、症状を悪化させたりする可能性があります。やけどの初期対応は流水で冷やすことが基本であり、その後は適切な医療機関を受診することが重要です

✨ 水疱(水ぶくれ)は自分でつぶさない

やけどによって生じた水疱は、感染から皮膚を守るバリアとして機能しています。自分でつぶしてしまうと、感染のリスクが高まり、治癒が遅れたり傷跡が残りやすくなったりします。水疱の処置は医療機関で行ってもらいましょう。

📌 紫外線対策を徹底する

やけどの治癒過程や傷跡が形成される時期の皮膚は、紫外線の影響を受けやすくなっています。紫外線を浴びると色素沈着が起こりやすく、傷跡が目立ちやすくなります。日焼け止め(SPF値の高いもの)を使用し、帽子や衣服で物理的に紫外線を遮ることも効果的です

▶️ 引っかいたり強くこすったりしない

治癒過程でかゆみが生じた際に引っかいたり、患部を強くこすったりすると、再損傷を引き起こし、傷跡が悪化する可能性があります。かゆみが強い場合は、医師に相談してかゆみを抑える薬を処方してもらうのが良いでしょう。冷やすことでかゆみが和らぐこともあります。

🔹 症状に応じた医療機関の受診

やけどの程度によっては、自己処置では不十分な場合があります。手のひらを超えるような広範囲のやけど、顔・手・足・関節・陰部などの特殊な部位のやけど、深達性II度以上と思われるやけど(水疱が大きい、患部が白や黄色に変色しているなど)は、速やかに医療機関を受診してください。特に子どもや高齢者のやけどは重症化しやすいため、早期の受診が重要です。

📝 傷跡(瘢痕)を残さないためのステップ

やけどの傷跡を最小限に抑えるためには、発生直後から治癒後まで、各段階で適切なケアを継続することが重要です。以下に段階的なケアのポイントをまとめます。

📍 ステップ1:急性期(発生直後〜数日)

やけどが発生したら、まず15〜20分程度流水で冷やします。衣服の上からやけどした場合は、無理に脱がさず衣服の上から冷やすか、衣服を切って除去します。アクセサリーや時計は腫れる前に外しておきます。冷却後は清潔なガーゼや布でやさしく覆い、医療機関を受診します。この時期は消毒薬の使用は組織を傷める可能性があるため、過度の消毒は避けることが推奨されています。

💫 ステップ2:治癒期(数日〜数週間)

医療機関での治療と並行して、医師の指示に従ったケアを行います。創部の清潔を保ちながら、適切な湿潤環境を維持します。この時期から、医師の許可のもとでヘパリン含有製剤の使用を開始することもあります。日焼け対策を始め、患部を強くこすったり引っかいたりしないよう注意します。

🦠 ステップ3:上皮化後(皮膚が閉じてから)

皮膚が閉じて上皮化が完成したら、積極的な傷跡ケアを開始します。ヘパリン含有製剤を1日2〜3回、薄く均一に塗布します。シリコンジェルシートの貼用も傷跡の改善に効果があるとされており、ヘパリン含有製剤と組み合わせて使用することもあります。日焼け止めの使用を徹底し、紫外線から傷跡を保護します。

👴 ステップ4:長期ケア(数ヶ月〜1年以上)

傷跡は完成するまでに数ヶ月から1年以上かかることがあります。この間、継続的な保湿ケアと紫外線対策を続けることが重要です。傷跡の色や質感が気になる場合は、皮膚科や形成外科、美容クリニックでの相談・治療も選択肢のひとつです。定期的に傷跡の状態を確認し、改善が見られない場合や悪化している場合は医師に相談しましょう。

Q. 火傷の傷跡にクリニックで受けられる治療は?

アイシークリニックなどの医療機関では、傷跡の状態に応じた複数の治療法を提供しています。赤みにはパルス色素レーザー、凹凸改善にはフラクショナルレーザー、盛り上がりには炭酸ガスレーザーやステロイド局所注射が用いられます。セルフケアと専門治療を組み合わせることで、より高い改善効果が期待できます。

💡 クリニックで受けられる火傷・傷跡治療

ヘパリン含有製剤によるセルフケアだけでは改善が難しい場合、医療機関での専門的な治療が効果を発揮することがあります。アイシークリニック上野院をはじめとする皮膚科・美容皮膚科クリニックでは、やけどの傷跡に対してさまざまな治療法が提供されています。

🔸 レーザー治療

レーザー治療は、やけどの傷跡に対して最もよく用いられる治療法のひとつです。傷跡の状態によって使用するレーザーの種類が異なります。

フラクショナルレーザーは、皮膚に微細な穴を開けて皮膚の再生を促すレーザーです。傷跡の凹凸を改善したり、皮膚の質感を整えたりする効果があります。肥厚性瘢痕の改善にも用いられます。

色素レーザー(パルス色素レーザー)は、赤い傷跡(血管が目立つタイプ)に有効なレーザーです。赤みの原因となる血管に作用し、傷跡の赤みを改善します。肥厚性瘢痕やケロイドの治療にも使用されます。

炭酸ガスレーザーは、盛り上がった瘢痕組織を削る効果があるレーザーです。肥厚性瘢痕の表面を平滑化するために使用されます。

💧 ステロイド注射・テープ療法

肥厚性瘢痕やケロイドに対しては、ステロイドを瘢痕内に直接注射する「ステロイド局所注射療法」が有効です。コラーゲンの産生を抑制し、盛り上がりを改善する効果があります。また、ステロイドテープを患部に貼付するテープ療法も行われます。

✨ ケミカルピーリング

薬剤を使って皮膚の古い角質を除去し、新しい皮膚の再生を促す治療法です。やけどによる色素沈着や表面の質感の改善に用いられることがあります。定期的な施術を重ねることで効果が現れます。

📌 PRP療法(多血小板血漿療法)

患者自身の血液から血小板を多く含む血漿(PRP)を抽出し、患部に注射することで組織の再生を促す治療法です。やけどの傷跡の改善や皮膚の質感改善に効果が期待できます。自分自身の血液を使用するため、アレルギーリスクが低いのも特徴です

▶️ 処方薬によるケア

クリニックでは、市販品より濃度の高いヘパリン含有製剤や、傷跡の改善に効果的な外用薬を処方することができます。また、かゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬など、症状に合わせた薬剤が処方されます。セルフケアと医療機関での治療を組み合わせることで、より高い効果が期待できます

✨ 火傷の傷跡治療でよくある疑問

🔹 ヘパリン含有製剤はいつから使い始められますか?

ヘパリン含有製剤は、一般的に皮膚が上皮化(傷口が閉じた状態)してから使用を開始します。創部がまだ開いている状態や、滲出液が多い急性期には使用しないことが基本です。ただし、医師の判断によっては早期から使用を勧められることもありますので、必ず担当医の指示に従ってください

📍 ヘパリン含有製剤はどのくらいの期間使い続ける必要がありますか?

傷跡の状態によりますが、数ヶ月から1年程度の継続使用が必要になることが多いです。傷跡の改善には時間がかかるため、効果が見えにくい時期でも継続することが大切です。使用を中断するタイミングや期間については、医師と相談しながら決めていくことが理想的です。

💫 市販のヘパリン含有製剤と処方薬の違いは何ですか?

基本的な成分は同じですが、含有濃度や剤形の種類などが異なる場合があります。処方薬はより高濃度のものが多く、症状に応じた適切な製品を選んでもらえるという利点があります。また、処方薬は保険適用になることがあり、医療機関での処方を受けることでコスト面でもメリットが生じる場合があります

🦠 古い傷跡にもヘパリン含有製剤は効果がありますか?

古い傷跡に対してもヘパリン含有製剤の継続使用によって一定の改善効果が期待できます。ただし、傷跡が形成されてからの時間が長くなるほど、改善効果は限定的になる傾向があります。数年以上経過した傷跡については、レーザー治療などと組み合わせることでより効果的なアプローチが可能です。まずは医療機関で現在の傷跡の状態を評価してもらい、最適な治療方法を相談することをお勧めします。

👴 子どもの火傷にもヘパリン含有製剤は使えますか?

子どもの肌は成人と比べて薄く敏感ですが、ヘパリン含有製剤は小児にも使用されています。ただし、使用前に必ず小児科や皮膚科の医師に相談し、適切な製品と使用方法・量について指示を受けることが重要です。特に生後1年未満の乳児への使用は、医師の指示なしに行わないようにしましょう

🔸 ヘパリン含有製剤に副作用はありますか?

一般的にヘパリン含有製剤の外用薬は安全性が高く、副作用が少ないとされています。まれに接触性皮膚炎(かぶれ)が起こることがあります。肌が赤くなる、かゆみが増す、発疹が出るなどの症状が現れた場合は使用を中止し、医師に相談してください。また、傷口や粘膜には使用しないようにしましょう。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、やけどの傷跡に悩んで来院される患者様の多くが、急性期のケアが不十分だったり、上皮化後の保湿ケアを早期に中断してしまったりしているケースを多く拝見します。ヘパリン類似物質を含む製剤は、保湿・抗炎症・線維化抑制という複合的な作用を持ち、継続して使用することで傷跡の改善に大きく貢献しますが、傷跡の深さや状態によってはレーザー治療などの専門的なアプローチを組み合わせることがより効果的です。傷跡のことで気になることがあれば、どうか一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの状態に合わせた最適なケアプランをご提案いたします。」

📌 よくある質問

火傷をしたらまず何をすればいいですか?

火傷が発生したら、すぐに流水で15〜20分程度冷やすことが最優先です。衣服の上からやけどした場合は無理に脱がさず、衣服の上から冷やすか切って除去します。味噌や歯磨き粉を塗る民間療法は感染リスクがあるため避け、冷却後は医療機関を受診してください。

ヘパリン含有製剤はいつから使い始めてよいですか?

一般的に、傷口が閉じて皮膚が上皮化した段階から使用を開始します。滲出液が出ている急性期には使用しないことが基本です。ただし医師の判断によっては早期使用を勧められる場合もあるため、必ず担当医の指示に従ってください。

市販のヘパリン製剤と処方薬はどう違いますか?

基本成分は同じですが、処方薬は含有濃度が高いものが多く、症状に応じた適切な製品を選んでもらえる利点があります。また処方薬は保険適用になる場合があり、コスト面でもメリットが生じることがあります。症状が重い場合はアイシークリニックなどの医療機関での処方をご検討ください。

火傷の傷跡はセルフケアだけで改善できますか?

浅いやけどであれば、ヘパリン含有製剤による保湿ケアと紫外線対策を継続することで改善が期待できます。ただし深達性II度以上の傷跡や、すでに盛り上がりが目立つ肥厚性瘢痕には、レーザー治療やステロイド注射などの専門的な治療との組み合わせがより効果的です。アイシークリニックにお気軽にご相談ください。

子どもの火傷にもヘパリン含有製剤は使えますか?

子どもにもヘパリン含有製剤は使用されていますが、子どもの肌は薄く敏感なため、使用前に必ず小児科や皮膚科の医師に相談することが重要です。特に生後1年未満の乳児には、医師の指示なしに使用しないようにしてください。適切な製品・用量・使用方法を専門医に確認した上で使用しましょう。

🎯 まとめ

火傷(やけど)は日常生活の中で起こりやすい外傷ですが、適切なケアを行うことで傷跡を最小限に抑えることができます。ヘパリン類似物質を含む製剤は、保湿・血行促進・抗炎症・線維化抑制という複合的な作用によって、やけどの治癒を促進し、傷跡の形成を抑制する効果が期待できる成分です。

やけどが発生したら、まず流水での冷却という基本的な初期対応を行い、適切なタイミングで医療機関を受診することが大切です。治癒が進んだ後は、ヘパリン含有製剤を使った継続的なセルフケアと、紫外線対策を組み合わせることが傷跡改善の基本となります。

セルフケアだけでは改善が難しい場合や、すでに目立つ傷跡が残っている場合は、レーザー治療やその他の専門的な治療を受けることが効果的です。アイシークリニック上野院では、やけどの傷跡を含むさまざまな皮膚の悩みに対応しています。傷跡に悩んでいる方は、一人で抱え込まずに専門医に相談することをお勧めします。適切な治療とケアによって、傷跡の改善は十分に期待できます。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – ヘパリン類似物質の保湿・抗炎症・線維化抑制作用、および皮膚疾患(瘢痕・ケロイド・肥厚性瘢痕)に関する診療ガイドラインの参照
  • 日本形成外科学会 – 火傷(熱傷)の深度分類(I度・II度・III度)、瘢痕形成のメカニズム、およびレーザー治療・ステロイド注射などの専門的治療法に関する情報の参照
  • 厚生労働省 – ヘパリン含有製剤(ヘパリン類似物質外用薬)の承認・保険適用・添付文書情報、および市販薬と処方薬の区分に関する情報の参照

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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