口の周りに赤みや細かいぶつぶつが出てきた、口囲皮膚炎(こういひふえん)ではないかと心配されている方は少なくありません。保湿クリームやステロイド系の塗り薬を使っていたら症状が悪化してしまった、または市販薬を試してみたが一向によくならないという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。口囲皮膚炎は正しい塗り薬の選択と使い方が回復への近道です。この記事では、口囲皮膚炎に使われる塗り薬の種類とその特徴、避けるべきスキンケアについて詳しく解説します。
目次
- 口囲皮膚炎とはどのような皮膚疾患か
- 口囲皮膚炎の主な原因と悪化させる要因
- 口囲皮膚炎の症状の特徴と診断のポイント
- 口囲皮膚炎に使われる塗り薬の種類
- ステロイド外用薬との関係について知っておきたいこと
- 塗り薬の正しい使い方と注意点
- 避けるべきスキンケアと日常生活での注意点
- 口囲皮膚炎が治るまでの期間と経過
- 皮膚科を受診すべきタイミング
- まとめ
この記事のポイント
口囲皮膚炎の治療にはクリンダマイシンなどの抗菌外用薬やアゼライン酸が用いられ、ステロイド外用薬は悪化要因となるため医師指導のもと段階的に中断することが重要です。
🎯 口囲皮膚炎とはどのような皮膚疾患か
口囲皮膚炎(perioral dermatitis)は、口の周囲に繰り返し現れる炎症性の皮膚疾患です。「口周り皮膚炎」や「口唇周囲皮膚炎」とも呼ばれることがあります。主に口の周り、鼻の下、あごのあたりに赤みや小さなぶつぶつ(丘疹)、膿をもったニキビのような発疹が集中して現れるのが特徴です。
この疾患は20代から40代の女性に最もよく見られますが、男性や子どもにも発症することがあります。見た目がニキビや酒さ(ロザセア)と似ているため、誤った治療を続けてしまうケースも多く、症状が長引く原因になりがちです。また、口の周りだけでなく、目の周囲(眼囲)や鼻の周囲にも広がることがあり、その場合は「顔面肉芽腫様口囲皮膚炎」や「眼囲皮膚炎」などとも呼ばれます。
口囲皮膚炎は適切な治療を受ければ改善が期待できる疾患ですが、治療の途中で一時的に症状が悪化したように感じる時期があるため、自己判断で治療を中断してしまいやすいという難しさもあります。そのためには疾患の特性をよく理解したうえで、皮膚科専門医と連携しながら根気よく治療を続けることが大切です。
Q. 口囲皮膚炎とはどのような皮膚疾患ですか?
口囲皮膚炎とは、口の周囲・鼻の下・あごに赤みや小さな丘疹、膿疱が集中して現れる炎症性皮膚疾患です。20代〜40代の女性に多く見られますが男性や子どもにも発症します。ニキビや酒さと見た目が似ているため、誤った治療が続きやすい点が特徴です。
📋 口囲皮膚炎の主な原因と悪化させる要因
口囲皮膚炎の原因はまだ完全には解明されていませんが、現在の医学的知見ではいくつかの要因が複合的に関与していると考えられています。
最もよく知られているのが、ステロイド外用薬(ステロイド系の塗り薬)の長期使用です。顔にステロイドを継続して塗ることで皮膚のバリア機能が変化し、口囲皮膚炎を引き起こしたり、すでにある症状を悪化させたりすることが報告されています。もともとアトピー性皮膚炎や湿疹のためにステロイド外用薬を使っていた方が、口の周りに口囲皮膚炎を発症するケースは珍しくありません。
次に挙げられるのが、保湿剤やスキンケア製品の過剰な使用です。特にこってりとしたテクスチャーのクリームや乳液を口の周りに頻繁に塗ると、毛穴が詰まりやすくなり、炎症の引き金になることがあります。フッ素配合の歯磨き粉が関与するという説もあり、一部の研究では歯磨き粉の種類を変えることで症状が改善した事例も報告されています。
そのほかには、ホルモンバランスの変化(月経周期、妊娠、ピルの服用など)、紫外線、ストレス、免疫機能の変化、常在菌のバランスの乱れなども口囲皮膚炎の発症・悪化と関連があるとされています。特定の化粧品成分(香料、防腐剤など)が刺激になることもあるため、スキンケアの見直しが症状改善に役立つことは少なくありません。
💊 口囲皮膚炎の症状の特徴と診断のポイント
口囲皮膚炎の典型的な症状は、口の周囲に集中して現れる小さな赤いぶつぶつや丘疹、膿疱(膿をもった小さな水ぶくれ)です。肌がくすんだように赤くなり、乾燥や皮むけを伴うこともあります。かゆみはあまり強くないことが多いですが、ヒリヒリした刺激感や灼熱感を感じる方もいます。
口囲皮膚炎において注目すべき特徴のひとつは、口唇(唇そのもの)には炎症が及ばない点です。口の周りには発疹が出ているのに唇自体はきれいなまま、というのが口囲皮膚炎に特有のパターンです。唇の縁から数ミリの部分は比較的きれいな状態を保っており、発疹がそこを避けるように広がっていることが多いです。この「唇周囲の透き間」は診断の重要な手がかりになります。
ニキビと見分けがつきにくいことも多いのですが、ニキビは面皰(コメド)といわれる詰まった毛穴を伴うことが多いのに対し、口囲皮膚炎では面皰は見られません。また、ニキビは顔全体や背中など広い範囲に出やすいのに対し、口囲皮膚炎は口の周りに集中して出るという違いがあります。酒さ(ロザセア)との鑑別も重要で、酒さは主に鼻や頬の紅潮を伴うことが多く、毛細血管拡張(毛細血管が皮膚表面に透けて見える状態)を伴うことがあります。
正確な診断には皮膚科専門医による視診が必要です。皮膚科では発疹の形状や分布、使用しているスキンケア製品や薬剤の情報、症状の経過などを総合的に判断して診断を行います。必要に応じて皮膚の細菌検査や真菌検査が行われることもあります。
Q. 口囲皮膚炎の治療に使われる塗り薬の種類は?
口囲皮膚炎の外用薬には、クリンダマイシンなどの抗菌外用薬、抗炎症・抗菌作用を持つアゼライン酸、メトロニダゾール外用薬、免疫調節作用があるタクロリムス(プロトピック)などがあります。症状の程度や患者の状態に応じて、皮膚科医が適切な薬剤を選択します。
🏥 口囲皮膚炎に使われる塗り薬の種類
口囲皮膚炎の治療では、塗り薬(外用薬)が中心的な役割を果たします。使用される塗り薬はいくつかの種類に大別され、症状の程度や患者さんの状況に応じて選択されます。
🦠 抗生物質の外用薬(抗菌外用薬)
口囲皮膚炎の治療において、外用の抗生物質(抗菌薬)はよく使われる選択肢のひとつです。代表的なものとして、クリンダマイシン(クリンダシン)やエリスロマイシンなどがあります。これらは皮膚の細菌に対して作用し、炎症を引き起こす菌の増殖を抑えることで症状の改善を促します。
抗菌外用薬はニキビ(尋常性ざ瘡)の治療にも広く使われており、口囲皮膚炎にも比較的安全に使用できます。ただし、長期使用による耐性菌の出現が懸念されるため、医師の指示に従った適切な使用期間を守ることが大切です。通常は内服の抗生物質と併用されることも多く、外用だけで完治を目指すケースから補助的な位置づけで使われるケースまでさまざまです。
👴 アゼライン酸外用薬
アゼライン酸は天然に存在するジカルボン酸の一種で、抗菌作用、抗炎症作用、角化正常化作用を持ちます。口囲皮膚炎や酒さ、ニキビの治療に活用されることがあります。日本ではアゼライン酸を主成分とする外用薬が一部のクリニックで取り扱われており、比較的副作用が少ないとされています。ただし、使用開始初期に軽いヒリヒリ感や赤みを感じることがあります。
🔸 メトロニダゾール外用薬
メトロニダゾールは抗原虫薬・抗菌薬として知られる成分で、外用薬として酒さや口囲皮膚炎の治療に用いられることがあります。炎症を引き起こす微生物への作用だけでなく、抗炎症作用も持つとされており、赤みやぶつぶつの改善に効果が期待されます。日本では内服薬として使われることが多いですが、外用ゲルとして使われるケースもあります。
💧 タクロリムス外用薬(プロトピック)
タクロリムスを主成分とするプロトピック軟膏は、アトピー性皮膚炎に対して使用される免疫調節系の外用薬です。ステロイドを使わずに炎症を抑えられる「非ステロイド系抗炎症外用薬」として知られており、ステロイド外用薬が原因・誘因となっている口囲皮膚炎の治療にも応用されることがあります。
ただし、タクロリムス外用薬は使用開始初期に刺激感(ヒリヒリ、灼熱感)が強く出ることがあり、口囲皮膚炎の患者さんにとっては刺激が強すぎる場合もあります。使用するかどうかは医師が症状や皮膚の状態を見極めたうえで判断します。
✨ ピメクロリムス外用薬(エリデル)
ピメクロリムスもタクロリムスと同様の免疫調節作用を持つ外用薬で、アトピー性皮膚炎や口囲皮膚炎に使われることがあります。タクロリムスより刺激感が少ないとされており、顔への使用が比較的しやすい薬剤です。日本での使用状況は限られていますが、海外では選択肢のひとつとして使われています。
📌 過酸化ベンゾイル(BPO)外用薬
過酸化ベンゾイルはニキビ治療に使われる外用薬で、強い抗菌作用と皮脂を分解する作用を持ちます。日本でも近年使われるようになってきており、口囲皮膚炎に対しても用いられることがあります。ただし、乾燥や皮膚への刺激が生じやすいため、皮膚への負担が大きい場合には使用を避けることもあります。
▶️ レチノイン酸(トレチノイン)外用薬
ビタミンA誘導体であるトレチノインは、角化を正常化し、炎症を抑える作用があります。ニキビや光老化の治療に使われることが多いですが、口囲皮膚炎の補助的治療として活用されることもあります。刺激感や乾燥を引き起こしやすいため、低濃度から始めて皮膚の反応を見ながら調整することが一般的です。
⚠️ ステロイド外用薬との関係について知っておきたいこと
口囲皮膚炎と塗り薬の関係で特に重要なのが、ステロイド外用薬との関係です。ステロイド外用薬は湿疹やアトピー性皮膚炎などに対して非常に有効な薬ですが、口囲皮膚炎においては使用を避けるべき薬剤のひとつです。
ステロイド外用薬を顔に長期間使い続けることで、口囲皮膚炎が引き起こされたり、悪化したりすることが知られています。特に強いランクのステロイド(ストロングやベリーストロングのクラス)を顔に使い続けることで、皮膚が薄くなり、毛細血管が拡張し、ニキビのような発疹が出やすくなります。これをステロイド誘発性口囲皮膚炎と呼ぶことがあります。
しかし、ここで注意が必要なのが「リバウンド現象」です。ステロイドを急に中断すると、一時的に症状が悪化することがあります。赤みやぶつぶつが急増し、かゆみや刺激感が強まることがあるため、「やめたら余計に悪くなった」と感じて再びステロイドに頼ってしまうケースがあります。これが繰り返されることで、悪循環に陥ってしまいます。
正しいアプローチは、皮膚科医の指導のもとでステロイドを段階的に減量・中断することです。急な中断ではなく、医師が決めたペースで少しずつ使用回数や使用量を減らしていくことで、リバウンドをできるだけ抑えながら治療を進めることが可能です。この過程で悪化したように感じる時期があっても、適切な代替の塗り薬(前述の抗菌外用薬や非ステロイド外用薬など)を使いながら乗り越えることが大切です。
市販薬の中にも、弱いランクのステロイドが配合されているものがあります。自己判断で購入した市販薬に知らずにステロイドが含まれていたというケースもあるため、成分表示の確認が重要です。ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾンなどの成分名が含まれているものがステロイド系の薬剤です。
Q. ステロイド外用薬を急にやめると口囲皮膚炎は悪化しますか?
ステロイド外用薬を急に中断すると、赤みやぶつぶつが一時的に増悪する「リバウンド現象」が起こる場合があります。そのため自己判断での中断は禁物です。皮膚科医の指導のもと使用量・回数を段階的に減らしながら、抗菌外用薬などの代替薬を併用して治療を進めることが重要です。
🔍 塗り薬の正しい使い方と注意点
口囲皮膚炎に処方された塗り薬を正しく使うためには、いくつかの基本的なポイントを押さえておく必要があります。
🔹 適切な量を守る
塗り薬は「多く塗れば効果が高い」わけではありません。過剰に塗布することで皮膚への刺激が増したり、副作用のリスクが高まったりすることがあります。医師から指示された量(通常は薄く均一に塗る)を守ることが大切です。抗菌外用薬などは特に、過剰塗布による刺激で炎症が悪化することがあります。
📍 患部以外への塗布を避ける
処方された塗り薬は、基本的に症状が出ている患部のみに塗るものです。予防目的で広い範囲に塗り広げることは避けましょう。特に目の周囲や粘膜(口唇そのもの)には塗らないようにすることが原則です。
💫 洗顔後に使用する
塗り薬は洗顔後、肌が清潔な状態で使用します。メイクや汚れが残った状態で塗布すると、成分が十分に浸透しないだけでなく、毛穴詰まりや雑菌の繁殖につながることがあります。洗顔後は軽く水気を拭き取り、皮膚が少し湿った状態(完全に乾いていない状態)で塗ることで、成分の浸透を促せる場合もあります(薬剤によって異なりますので、医師に確認してください)。
🦠 使用回数と使用期間を守る
「1日2回」や「朝晩」など、処方された使用回数を守ることが大切です。症状が改善したからといって自己判断で中断したり、逆に多く塗ったりすることは避けてください。口囲皮膚炎の治療は数週間から数カ月かかることがあるため、長期的に規則正しく使い続けることが回復への近道です。
👴 保湿との組み合わせ
治療中は皮膚が乾燥しやすいことがあります。保湿は適切に行う必要がありますが、口囲皮膚炎においては油分の多いクリームや保湿剤は控えめにすることが推奨されます。化粧水などのさっぱりしたタイプの保湿剤を少量使う、または医師が推奨するバリア機能サポート系の低刺激保湿剤を選ぶとよいでしょう。口の周りへの過度な保湿は症状を悪化させる可能性があります。
🔸 日焼け止めの使用
紫外線は口囲皮膚炎の症状を悪化させることがあるため、外出時の日焼け止めは重要です。ただし、紫外線吸収剤が多く配合された化学的日焼け止めは刺激になることがあります。なるべく紫外線散乱剤(酸化亜鉛や酸化チタン)を主成分とした低刺激タイプの日焼け止めを選ぶとよいでしょう。使用する前に皮膚科医に相談するのが安心です。
📝 避けるべきスキンケアと日常生活での注意点
口囲皮膚炎の治療中は、塗り薬を正しく使うことと同時に、悪化させる可能性のあるスキンケアや生活習慣を見直すことが大切です。
💧 刺激の強いスキンケア製品を避ける
香料、アルコール(エタノール)、防腐剤(パラベンなど)が多く含まれるスキンケア製品は皮膚への刺激になりやすいため、できるだけシンプルな成分構成の製品を選ぶことが望ましいです。「低刺激」「敏感肌向け」「無香料・無着色」などと表示された製品を参考にするとよいでしょう。
✨ 油分の多いクリームや乳液を控える

ワセリンや厚みのあるフェイスクリームなど、油分が多くこってりとしたテクスチャーの製品を口の周りに使い続けることは、毛穴を詰まらせ口囲皮膚炎の悪化につながることがあります。治療期間中は保湿を最小限にとどめ、使用する場合はさらさらとした軽いテクスチャーの製品を選ぶとよいでしょう。
📌 歯磨き粉の見直し
フッ素配合の歯磨き粉が口囲皮膚炎の原因・悪化要因となる可能性が指摘されています。すべての患者さんに当てはまるわけではありませんが、症状が長引く場合はフッ素フリーの歯磨き粉に変えてみることも一策です。歯磨きの後は口の周りをしっかり洗い、歯磨き粉の成分が残らないようにすることも重要です。
▶️ ファンデーションやコンシーラーの使用に注意する
炎症部位を隠したいとファンデーションやコンシーラーを厚塗りすると、毛穴が詰まりやすくなり症状が悪化することがあります。メイクをする場合は、できるだけ薄く・軽い製品を使い、メイクオフは丁寧かつ低刺激のクレンジングで行うことが大切です。治療期間中はできるだけノーメイクや最小限のメイクに留めるのが理想です。
🔹 洗顔は優しく行う
ゴシゴシとこすり洗いをすることは皮膚のバリア機能を傷つけ、炎症を悪化させます。泡立てた洗顔料で優しく洗い、ぬるま湯でしっかりすすぎましょう。タオルで拭くときも強くこすらず、軽くおさえるように水気を取ることが重要です。
📍 食事と生活習慣の管理
辛い食べ物やアルコール、熱い飲食物は顔の血流を促進し、炎症を悪化させることがあります。特に口の周りに熱や刺激を与えるものは意識的に控えるとよいでしょう。また、十分な睡眠とストレス管理も皮膚の状態を整えるうえで重要な要素です。睡眠不足や慢性的なストレスは免疫機能を低下させ、皮膚炎の回復を遅らせる可能性があります。
💫 屋外での紫外線対策
紫外線は口囲皮膚炎の炎症を悪化させる要因のひとつです。帽子や日傘を活用するとともに、低刺激の日焼け止めを正しく使うことで、紫外線による刺激を最小限に抑えることができます。
Q. 口囲皮膚炎の治療中に避けるべきスキンケアは何ですか?
口囲皮膚炎の治療中は、油分の多いクリームや乳液を口周りに使うと毛穴が詰まり症状が悪化するため控えるべきです。また香料・アルコール・防腐剤を含む刺激の強い製品も避け、無香料・低刺激の化粧水など軽いテクスチャーの保湿剤を少量使用することが推奨されます。
💡 口囲皮膚炎が治るまでの期間と経過
口囲皮膚炎の治療期間は個人差がありますが、一般的には数週間から数カ月かかることが多いです。特に、ステロイド外用薬の長期使用が原因となっている場合は、ステロイドを中断した直後のリバウンドを乗り越える必要があるため、改善を実感するまでに時間がかかることがあります。
治療の一般的な経過としては、まずステロイドを含む刺激となっていた薬剤やスキンケアを中断・見直すことから始まります。その後、抗生物質の内服(テトラサイクリン系やマクロライド系の抗菌薬)と外用薬を組み合わせた治療が行われることが多く、通常は4〜12週間ほどで症状の改善が見られてきます。
ただし、途中で一時的に悪化したように見える時期があっても、それが治療の正常な経過であることが多いです。このような時期に自己判断で治療を中断してしまうと、回復が遠のいてしまう可能性があります。定期的に皮膚科を受診し、経過を医師に確認しながら治療を続けることが重要です。
口囲皮膚炎は再発しやすい皮膚疾患でもあります。症状が落ち着いた後も、ステロイドを再び顔に使用したり、刺激の強いスキンケアを再開したりすると再発するリスクがあります。治癒後も適切なスキンケアと生活習慣を継続することが、再発予防のうえで大切です。
✨ 皮膚科を受診すべきタイミング
口囲皮膚炎の疑いがある場合、できるだけ早期に皮膚科を受診することをおすすめします。自己判断でのケアは症状の悪化につながるリスクがあるため、専門医による正確な診断と適切な治療計画を立てることが根本的な解決への近道です。
以下のような場合は特に受診を急いでください。口の周りのぶつぶつや赤みが2週間以上続いている、市販薬を使っているが改善しない、あるいは悪化している、ステロイド外用薬を顔に長期間(1カ月以上)使い続けている、発疹が眼の周りや鼻の周りにまで広がっている、顔の皮膚全体が敏感になりしみやすい・赤くなりやすいと感じている、このような場合は早期に皮膚科の専門医に相談することが大切です。
皮膚科では問診と視診を行い、必要に応じて皮膚の培養検査(細菌や真菌の有無を調べる検査)を実施します。ニキビ、酒さ、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎など似た疾患との鑑別が行われ、口囲皮膚炎と診断された場合には適切な外用薬と内服薬が処方されます。また、スキンケアや生活習慣についての具体的なアドバイスも受けられます。
アイシークリニック上野院では、口囲皮膚炎をはじめとする皮膚のトラブルに対して、患者さん一人ひとりの状態に合わせた丁寧な診察と治療を提供しています。「口の周りの肌荒れが気になる」「使っている薬が合っているかわからない」といったお悩みもお気軽にご相談ください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、口囲皮膚炎の患者さんがニキビや湿疹と誤って自己判断し、ステロイド外用薬を長期間使用された状態でご来院されるケースが少なくありません。ステロイドを中断した際のリバウンドを恐れて治療をためらわれる方も多いのですが、医師の指導のもとで段階的に減量しながら適切な代替外用薬を組み合わせることで、多くの方に着実な改善が見られています。口の周りの肌トラブルが続いている場合は、どうか一人で悩まず、早めにご相談いただければと思います。」
📌 よくある質問
口囲皮膚炎は口の周りに集中して発疹が現れ、唇そのものには炎症が及ばない点が特徴です。ニキビは毛穴の詰まり(面皰)を伴い顔全体に出やすいのに対し、口囲皮膚炎では面皰は見られません。見た目が似ているため、正確な診断には皮膚科専門医の視診が必要です。
急な中断はリバウンドを引き起こし、赤みやぶつぶつが一時的に悪化する可能性があるため、自己判断でのやめ方は禁物です。皮膚科医の指導のもとで使用量や回数を段階的に減らしながら、適切な代替外用薬を併用して治療を進めることが大切です。
個人差はありますが、一般的に数週間から数カ月かかることが多いです。抗生物質の内服と外用薬を組み合わせた治療では、通常4〜12週間ほどで改善が見られてきます。治療途中に症状が一時的に悪化したように感じることがありますが、自己判断で中断せず継続することが重要です。
保湿ケア自体は必要ですが、油分が多くこってりとしたクリームや乳液を口の周りに使うと毛穴が詰まり、症状が悪化する恐れがあります。治療中は化粧水などさっぱりした軽いテクスチャーの低刺激保湿剤を少量使用するか、医師が推奨する製品を選ぶとよいでしょう。
口の周りの赤みやぶつぶつが2週間以上続いている、市販薬を使っても改善しない・悪化している、ステロイド外用薬を顔に1カ月以上使い続けている、発疹が目や鼻の周りに広がっているといった場合は早期受診をおすすめします。アイシークリニック上野院でも、お気軽にご相談いただけます。
🎯 まとめ
口囲皮膚炎は口の周りに繰り返し炎症が起こる皮膚疾患で、ステロイド外用薬の長期使用や刺激の強いスキンケアが主な原因・悪化要因として知られています。治療の中心となる塗り薬としては、抗菌外用薬(クリンダマイシン、エリスロマイシンなど)、アゼライン酸、メトロニダゾール、タクロリムス(プロトピック)などが用いられ、症状や状態に応じて選択されます。
口囲皮膚炎においてステロイド外用薬は使用を控えるべき薬剤であり、すでに使用している場合は医師の指導のもとで段階的に減量・中断していくことが重要です。急な中断はリバウンドを引き起こす可能性があるため、自己判断での中断は禁物です。
塗り薬の正しい使い方(適切な量、患部のみへの塗布、使用回数の遵守)を守りながら、刺激の強いスキンケア製品を避け、生活習慣を整えることで、症状の改善が期待できます。治療には数週間から数カ月かかることがありますが、皮膚科医と連携しながら根気強く取り組むことが回復への最善の方法です。
市販薬でなかなか改善しない場合や、症状が長引いている場合は、ぜひ皮膚科専門医に相談してください。正確な診断と適切な治療計画が、口囲皮膚炎を早期に改善させるための最も大切な一歩となります。
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- ニキビに効く処方薬の種類と選び方|皮膚科・クリニックで治す方法
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口囲皮膚炎の診断基準・治療ガイドラインに関する情報。ステロイド外用薬の適正使用、抗菌外用薬の選択、酒さや接触性皮膚炎との鑑別診断など、記事の核心的な医療情報の根拠として参照。
- PubMed – 口囲皮膚炎(perioral dermatitis)の原因・治療に関する国際的な査読済み臨床研究。メトロニダゾール・アゼライン酸・クリンダマイシン等の外用薬の有効性、ステロイド誘発性口囲皮膚炎のリバウンド現象に関するエビデンスの参照元として活用。
- 厚生労働省 – ステロイド外用薬を含む医薬品の適正使用に関する行政指針。市販薬のステロイド成分(ヒドロコルチゾン・デキサメタゾン等)の成分表示確認の重要性や、医薬品の正しい使用方法に関する記述の根拠として参照。
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務