🌡️ 熱が出たとき、大量の汗をかいた経験は誰にでもあるでしょう。でも…
💬 「なんで熱が出ると汗が出るの?」
💬 「汗をかかないのは危険なの?」
💬 「病院に行くべきタイミングって?」
この疑問を解決しないまま放置すると、脱水・重篤な病気の見逃しリスクがあります。
このコラムでは、発熱と発汗の関係を医学的な観点からわかりやすく解説し、自宅でできる対処法や受診すべきタイミングまでまるごとお伝えします。
目次
- 📌 発熱とは何か?体温が上がる仕組み
- 📌 発熱時に汗をかく理由
- 📌 発熱の経過と発汗のタイミング
- 📌 汗をかかないときに考えられること
- 📌 発熱時の汗への適切な対処法
- 📌 発熱に伴う脱水に注意しよう
- 📌 子どもの発熱と発汗の特徴
- 📌 高齢者の発熱と発汗の特徴
- 📌 発熱と汗に関連する主な病気
- 🚨 病院を受診すべきタイミング
- ✅ まとめ
💡 この記事のポイント
⚡ 発熱時の発汗は体温が下がり始めるサインで、視床下部のセットポイント低下による自然な生理反応。汗をかいた後の水分・電解質補給が脱水予防に不可欠。夜間の大量発汗が続く場合は結核や血液がんの可能性もあるため医療機関への受診が推奨される。
💡 発熱とは何か?体温が上がる仕組み
発熱とは、体温が正常範囲(一般的には36〜37℃程度)を超えて上昇した状態を指します。日本では一般的に37.5℃以上を発熱とすることが多いですが、個人差があり、平熱が低い方では37℃程度でも体調に影響が出ることがあります。
体温を管理しているのは、脳の「視床下部」という部位です。視床下部は体温の設定値(セットポイント)を調節する役割を担っており、通常は一定の体温を保つよう全身に指令を出しています。
ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入すると、免疫細胞が活性化されます。このとき、免疫細胞から「サイトカイン」と呼ばれる物質が放出されます。サイトカインが視床下部に作用すると、体温のセットポイントが引き上げられます。その結果、体はより高い体温を「正常」と認識し、体温を上昇させようとする反応が起きるのです。
体温が上昇する過程では、筋肉が収縮してふるえ(悪寒・シバリング)が起きたり、皮膚の血管が収縮して熱を体の外に逃がさないようにしたりします。こうした反応によって体温は上昇し、やがて設定された高い体温に達します。
発熱そのものは、体が病原体と戦うための重要な防御反応のひとつです。体温が上がることで免疫細胞の活性が高まり、ウイルスや細菌が増殖しにくい環境が作られます。ただし、体温が極端に高くなると(40℃以上など)、体の細胞にも悪影響を及ぼすため、適切な対処が必要です。
Q. 発熱時に汗をかく仕組みを教えてください
発熱中の発汗は、体が体温を正常に戻そうとする自然な生理反応です。病原体が排除されると、脳の視床下部が体温の設定値(セットポイント)を正常値に下げます。すると体は現在の体温が高すぎると判断し、汗を分泌して気化熱で体温を下げようとします。「汗が出る=熱が下がりはじめたサイン」と考えてよいでしょう。
📌 発熱時に汗をかく理由
発熱時に汗をかくのは、体温が下がりはじめるサインと考えてよいでしょう。その仕組みを詳しく見ていきます。
体温が高い状態が続いたあと、体の中の免疫反応が進んで病原体が排除されると、視床下部のセットポイントが元の正常値に戻ります。このとき、体は「現在の体温(高い状態)が、設定値(正常値)を超えている」と認識します。すると、体は体温を下げようとして冷却機能を働かせます。
その冷却機能のひとつが「発汗」です。汗腺から汗が分泌されると、汗が皮膚の表面で蒸発する際に気化熱を奪い、体温を下げる効果があります。また、皮膚の血管が拡張して血流が増え、体の内部の熱を体表面から逃がす働きも同時に起こります。
つまり、「発熱中に汗をかく」という現象は、体が自力で体温を正常に戻そうとしている過程で起きる自然な生理現象です。一般に「汗をかいたら熱が下がる」といわれるのは、この仕組みを反映した表現なのです。
発汗を促すのは自律神経(交感神経)の働きです。交感神経が汗腺を刺激することで汗が分泌されます。汗の成分の大部分は水分ですが、ナトリウムやカリウムなどの電解質も含まれています。そのため、大量に汗をかくと水分と電解質が一緒に失われ、脱水や電解質バランスの乱れが生じることがあります。
✨ 発熱の経過と発汗のタイミング
発熱の経過は大きく3つのフェーズに分けることができます。それぞれのフェーズで体の状態が異なり、発汗との関係も変わります。
✅ 第1フェーズ:体温上昇期
この時期は、視床下部のセットポイントが引き上げられたことで、体が一生懸命に体温を上げようとしている段階です。皮膚の血管が収縮して熱が逃げにくくなり、筋肉がふるえて熱を産生します。この時期には「寒気(悪寒)」を強く感じることが多く、汗はほとんど出ません。むしろ皮膚は冷たく、乾燥した状態になりやすいです。
📝 第2フェーズ:高体温持続期
体温が設定されたセットポイントに達すると、悪寒やふるえは収まります。体温は高い状態で安定しており、この時期には皮膚が赤みを帯びてほてりを感じることが多くなります。汗は少し出ることもありますが、発汗が本格的になるのは次のフェーズです。
🔸 第3フェーズ:解熱期
病原体の排除が進んだり、解熱剤が効いてきたりすることで、セットポイントが正常値に戻ります。すると体は「現在の体温が高すぎる」と判断し、体温を下げるために発汗が始まります。この時期に大量の汗をかくのが典型的なパターンです。「汗をかいて熱が下がった」という体験のほとんどはこの時期に当たります。
なお、解熱剤を服用した場合も同様の仕組みで発汗が起きます。解熱剤は視床下部のセットポイントを下げる作用を持つため、薬が効き始めると体は余剰な体温を排出しようとして大量の汗をかきます。これは薬が正常に作用しているサインですが、その分だけ水分補給が必要になります。
Q. 発熱の経過で汗が出るタイミングはいつですか
発熱の経過は3段階に分かれます。体温上昇期は悪寒があり汗はほとんど出ません。高体温持続期は体温が高い状態で安定し、発汗は少量です。解熱期になると視床下部のセットポイントが正常値に戻り、体温を下げるために大量の汗をかきます。「汗をかいて熱が下がった」という体験のほとんどはこの解熱期に当たります。
🔍 汗をかかないときに考えられること
発熱しているにもかかわらず汗がまったく出ない状態は、場合によっては注意が必要です。いくつかの原因と考えられる状況を見ていきましょう。
⚡ 体温上昇中である
前述のように、体温が上昇しているフェーズではまだ汗が出ないことが多いです。この場合は自然な経過であり、特に問題はありません。体温がピークを迎えて下がりはじめると汗が出てきます。
🌟 脱水状態にある
体の水分が不足していると、汗をかく余力がなくなります。発熱中は呼吸が速くなることや食欲低下による水分摂取量の減少により、脱水になりやすい状況にあります。汗をかきたくても汗が出ない場合には、脱水の可能性を考える必要があります。
💬 熱中症(うつ熱)との違い
感染症による発熱(真性発熱)と熱中症による体温上昇(うつ熱・体温調節障害)は、仕組みが異なります。熱中症の場合は環境の熱や運動による体温上昇が原因であり、セットポイントが上がっているわけではありません。重症の熱中症では発汗機能が破綻して汗が出なくなることがあり、これは非常に危険なサインです。皮膚が熱く乾燥していて汗が出ない場合は、直ちに救急対応が必要です。
✅ 無汗症・低汗症
先天的または後天的な原因で汗腺が正常に機能しない「無汗症」や「低汗症」という疾患があります。これらがある場合は発熱時にも汗が出にくいことがあります。普段から汗をほとんどかかない方は、専門医への相談をお勧めします。
📝 薬剤の影響
一部の薬剤(抗コリン薬など)は発汗を抑制する作用を持つことがあります。内服薬を服用中の方で汗が出にくいと感じる場合は、担当医や薬剤師に相談してみましょう。
💪 発熱時の汗への適切な対処法
発熱中の発汗に対してどのように対処すればよいか、具体的なポイントをまとめます。
🔸 こまめに着替えて清潔を保つ
汗をかいたままの衣服や寝具は、体温の低下を招くだけでなく、皮膚の清潔が保てず雑菌が繁殖しやすくなります。汗で濡れた衣類はなるべく早めに着替えましょう。寝具も可能であれば汗を吸いやすい素材のものを選び、こまめにタオルケットや汗取りパッドを使って清潔を保つことが大切です。
⚡ 汗をかいたら体を拭く
汗をかいた後は、濡れたタオルや温かいお絞りで体を優しく拭くと、清潔を保てるとともに気化熱の放散が落ち着いて急激な体温低下を防ぐことにもつながります。入浴は、解熱傾向にあり体力的に余裕がある場合に限り、短時間のシャワー程度が適切です。高熱が続いている状態での入浴は体力を消耗するため避けたほうがよいでしょう。
🌟 寝具や室温の調整
体温が上昇しているフェーズでは悪寒があるため、毛布などで保温することが大切です。一方、体温が高い状態で安定しているときや解熱期には、過度に厚着をしたり布団を重ねたりすることは体温の放散を妨げてしまいます。室温は20〜22℃程度を目安に調整し、通気性の良い薄手の掛け物を使いましょう。
💬 水分と電解質の補給
汗と一緒に水分と電解質が失われるため、こまめな補給が重要です。水や麦茶だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクなどで電解質も一緒に補うことが理想的です。一度に大量に飲もうとせず、少量ずつ頻繁に摂取するほうが吸収されやすく、嘔吐を防ぐためにも効果的です。
✅ 解熱剤の適切な使用
解熱剤(アセトアミノフェンやイブプロフェン系など)は、高熱による苦痛を和らげたり、食事や睡眠がとれるようにしたりするために使用します。解熱剤を服用すると大量の汗をかくことが多いため、服用後は特に水分補給を意識しましょう。ただし、解熱剤はあくまで対症療法であり、原因の治療にはなりません。使用方法や禁忌については医師・薬剤師の指示に従ってください。

🎯 発熱に伴う脱水に注意しよう
発熱と発汗が重なると、体から水分と電解質が大量に失われます。脱水は発熱の経過を悪化させるだけでなく、場合によっては命に関わる状態になることもあります。特に以下のような状況では脱水リスクが高まります。
嘔吐や下痢を伴う発熱は、水分の喪失が二重になるため特に危険です。また、食欲不振で食事や飲み物がとれない場合も水分補給が追いつかなくなります。乳幼児や高齢者は体液のバランスが崩れやすく、脱水が急速に進行することがあります。
脱水の主なサインとしては以下のものが挙げられます。口の中が乾燥してパサパサする、尿の量が減少する、尿の色が濃い黄色になる、皮膚をつまんだ後に戻るまで時間がかかる(皮膚ツルゴールの低下)、ぐったりして元気がない、目がくぼんで見える、などがあります。
こうしたサインが見られる場合は、経口補水液を積極的に活用しながら、早めに医療機関を受診することを検討してください。自分で水分が取れない場合は、点滴による補液が必要になることもあります。
なお、腎臓病や心臓病など特定の疾患を持つ方は、水分摂取量に制限がかかる場合があります。かかりつけ医の指示に従った水分管理を行ってください。
Q. 高齢者の発熱と発汗はどんな点に注意が必要ですか
高齢者は加齢により体温調節機能と汗腺の働きが低下しているため、発熱しても体温が大きく上がらず、汗もかきにくい特徴があります。また口渇感が低下しているため、気づかないうちに脱水が進行しやすい点も注意が必要です。アイシークリニックでは、38℃以上の発熱が続く場合や全身状態が悪い高齢者には早めの受診をお勧めしています。
💡 子どもの発熱と発汗の特徴
子ども、特に乳幼児は体温調節機能が未熟であるため、発熱と発汗に関していくつかの特徴があります。
まず、子どもは体重に対して体表面積の割合が大きいため、環境の温度変化に体温が影響されやすい傾向があります。また、発汗機能も大人と比べて未発達であるため、体温を下げる能力が弱いことがあります。特に新生児や乳児では、衣類の着せすぎや室温の高さによって体温が上昇することがあります(うつ熱)。これは感染症による発熱とは異なるため、衣類を調整したり室温を下げたりすることで改善することがあります。
子どもが発熱して汗をかいているとき、保護者がまず確認すべき点は、水分がきちんと取れているかどうかです。母乳や育児用ミルク、経口補水液、イオン飲料などを少量ずつ頻繁に与えてください。
乳幼児に解熱剤を使用する際は、年齢や体重に応じた用量が異なります。自己判断での使用は避け、かかりつけ医に処方してもらったものを指示通りに使用することが安全です。アスピリン(アセチルサリチル酸)は子どもの発熱に対して使用してはいけない薬剤であることを覚えておいてください(ライ症候群のリスク)。
子どもで特に注意が必要なサインとしては、3ヶ月未満の乳児の発熱、38℃以上の発熱が3日以上続く、ぐったりして反応が鈍い、呼吸が速い・苦しそう、けいれんが起きた、などが挙げられます。これらの場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
📌 高齢者の発熱と発汗の特徴
高齢者の発熱と発汗には、若年者とは異なる特徴があります。加齢に伴い体温調節機能が低下するため、以下の点に注意が必要です。
まず、高齢者は平熱が低い傾向があります。若い方では37.5℃で発熱と判断されることが多いですが、高齢者では37℃未満でも通常より体温が高い場合があり、感染症が進行していても体温が大きく上がらないことがあります。「発熱がないから大丈夫」とは必ずしも言えないのです。
また、高齢者は汗腺の機能も低下していることが多く、発汗能力が低下しています。そのため、体温が上がっても汗が出にくく、体温を下げる機能が弱くなっています。これが高齢者が熱中症になりやすい理由のひとつでもあります。
脱水のリスクも高齢者では特に注意が必要です。加齢とともに体内の水分量が減少し、渇きを感じる感覚(口渇感)も低下するため、気がつかないうちに脱水が進行していることがあります。発熱中は意識的に水分を取るよう心がけるとともに、周囲の方が声をかけて水分補給を促すことも重要です。
高齢者の場合、発熱の原因として肺炎や尿路感染症など、重篤な感染症が隠れていることも少なくありません。「年のせいかもしれない」と軽視せず、38℃以上の発熱が続く場合や全身状態が悪い場合には早めに医療機関を受診することをお勧めします。
Q. 夜間に大量の寝汗が続く場合、どんな病気が疑われますか
夜間の大量発汗(寝汗)が繰り返される場合、結核や悪性リンパ腫・白血病などの血液がんが隠れている可能性があります。血液がんでは「B症状」と呼ばれる38℃以上の発熱・著しい体重減少・夜間盗汗の3症状が現れることがあります。単なる風邪と異なる原因も考えられるため、症状が続く際はアイシークリニックなど内科への受診をお勧めします。
✨ 発熱と汗に関連する主な病気
発熱と発汗を症状として伴う主な疾患について説明します。発汗のパターンや随伴症状が、疾患の鑑別に役立つことがあります。
📝 インフルエンザ
インフルエンザウイルスによる感染症で、38〜40℃の高熱が突然出現するのが特徴です。悪寒・全身の筋肉痛・関節痛・強い倦怠感を伴うことが多く、解熱期には大量の発汗が見られます。発熱は通常3〜5日続きます。
🔸 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)
発熱・咳・倦怠感・味覚・嗅覚異常などを主症状とする感染症です。発熱の程度は軽度から高熱まで様々で、発汗も多く見られます。症状の経過も個人差が大きく、長引く場合(いわゆる後遺症)もあります。
⚡ 細菌性感染症(肺炎・尿路感染症など)

細菌が原因の感染症では、持続する高熱や発汗が見られることが多く、全身状態の悪化が早いことがあります。特に高齢者や免疫機能が低下している方では重症化しやすいため、早期の医療機関受診と抗菌薬による治療が重要です。
🌟 マラリア(熱帯熱マラリアなど)
熱帯・亜熱帯地域への渡航歴がある方に見られる感染症で、周期的な高熱・悪寒・発汗が繰り返されるのが特徴です(三日熱・四日熱など)。渡航後に発熱した際は、渡航先の情報を医師に伝えることが大切です。
💬 結核
結核菌による感染症で、微熱(37〜38℃程度)が続くことが多いです。特に「寝汗(夜間発汗)」が特徴的な症状のひとつとして知られており、夜中に大量の汗をかいて目が覚めることがあります。長期間続く咳・体重減少・倦怠感なども見られます。
✅ 悪性リンパ腫・白血病などの血液がん
血液のがんでは「B症状」と呼ばれる症状群が現れることがあります。B症状には、発熱(38℃以上)・著しい体重減少(6ヶ月以内に体重の10%以上)・夜間盗汗(寝汗)の3つが含まれます。これらの症状が長期間続く場合には、血液内科への受診が必要です。
📝 自律神経失調症・更年期障害
感染症以外の原因でも発汗や体のほてりが起きることがあります。更年期障害では、ホルモンバランスの乱れにより急激なほてりや発汗(ホットフラッシュ)が起きます。体温計で測ると必ずしも高熱とはならないことが多いですが、主観的には発熱と感じられることもあります。自律神経失調症でも同様の症状が見られることがあります。
🔸 薬剤熱
薬剤の副作用として発熱が起きることがあります(薬剤熱)。原因薬剤を特定して中止することが根本的な対処となります。薬を服用中に原因不明の発熱が続く場合は、処方された薬剤の副作用の可能性も考えて医師に相談してください。
🔍 病院を受診すべきタイミング
発熱と発汗が見られるとき、すべてのケースで病院に行く必要があるわけではありませんが、以下のような状況では早めに医療機関を受診することをお勧めします。
⚡ 緊急受診が必要な場合
以下の症状を伴う場合は、速やかに救急外来を受診してください。
意識が朦朧としている、呼びかけても反応が鈍い。呼吸が非常に速い・苦しそう・酸素が足りなさそう。皮膚が青紫色になっている(チアノーゼ)。脈拍が非常に速い、または不規則。激しいけいれんが起きた。40℃を超える超高熱が続いている。嘔吐・下痢が激しく、水分がまったくとれない。意識がある場合でも、自力での来院が難しいほど重篤な状態。
🌟 早めの受診が望ましい場合
以下の状況では、翌日以内を目安に受診を検討してください。
38℃以上の発熱が3日以上続いている。解熱剤を使っても熱が下がらない、もしくはすぐに元の高熱に戻る。脱水の兆候が見られる(口が乾く、尿量が少ない、ぐったりしているなど)。生後3ヶ月未満の乳児に発熱がある。高齢者や免疫機能が低下している方(ステロイド・免疫抑制剤を服用中、糖尿病・がんなどがある方)に発熱がある。夜間の大量発汗が続く(寝汗)。発熱と共に皮膚に発疹が出ている。発熱と共に強い頭痛・項部硬直(首の後ろが硬くなる)がある(髄膜炎の可能性)。渡航後に発熱した。
💬 自宅での経過観察でよい場合
成人で基礎疾患がなく、38℃台の発熱が1〜2日程度で、水分が取れており、全身状態が比較的良好であれば、自宅での安静・水分補給・解熱剤の使用で経過観察することも可能です。ただし、上記のような悪化のサインが現れた場合には速やかに受診することが大切です。
また、発熱を繰り返す場合や、感染症以外の原因が疑われる場合(夜間の発汗が続く、体重減少を伴うなど)は、一度かかりつけ医または内科を受診して原因を調べてもらうことをお勧めします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、発熱で受診される患者様から「汗をかいたら急に寒くなって心配になった」というご相談をいただくことが多く、発汗が体温を下げるための自然な体の反応であることをご説明すると安心していただけるケースが少なくありません。一方で、汗をかいた後の水分・電解質補給が不十分なまま経過され、脱水状態で来院される方も見受けられますので、解熱時にはこまめな水分補給を特に意識していただくことが大切です。夜間の大量発汗が繰り返される場合や、発熱がなかなか改善しない場合には、感染症以外の疾患が隠れていることもありますので、どうぞお気軽にご相談ください。」
💪 よくある質問
発熱中に汗をかくのは、体が体温を正常に戻そうとしている自然な生理現象です。病原体が排除されると、脳の視床下部が体温の設定値を正常値に戻します。すると体は「現在の体温が高すぎる」と判断し、汗を分泌して気化熱で体温を下げようとします。つまり「汗が出る=熱が下がりはじめているサイン」と考えてよいでしょう。
状況によって異なります。体温が上昇中であれば汗が出ないのは自然な経過です。一方、脱水状態では汗をかく余力がなくなることがあります。また、重症の熱中症では発汗機能が破綻して皮膚が熱く乾燥した状態になる場合があり、これは非常に危険なサインです。汗が出ない状態が続く場合は、医療機関への受診をご検討ください。
発熱と発汗により水分と電解質が同時に失われるため、水や麦茶だけでなく、経口補水液やスポーツドリンクで電解質も補うことが理想的です。一度に大量に飲むと嘔吐を招くことがあるため、少量ずつ頻繁に摂取することがポイントです。口が乾く・尿量が減るなど脱水のサインが見られる場合は、早めに医療機関を受診してください。
解熱剤は脳の視床下部に作用して体温の設定値を下げる働きがあります。設定値が下がると、体は「現在の体温が高すぎる」と判断し、体温を下げるために大量の汗をかきます。これは薬が正常に作用しているサインです。ただし、その分だけ水分が失われるため、解熱剤の服用後は特にこまめな水分補給を意識してください。
夜間の大量発汗(寝汗)が繰り返される場合、結核や悪性リンパ腫・白血病などの血液のがんが隠れている可能性があります。特に発熱・著しい体重減少・夜間の寝汗が同時に見られる場合は注意が必要です。単なる風邪とは異なる疾患が原因となることもあるため、症状が続く際はアイシークリニックなど内科への受診をお勧めします。
🎯 まとめ
発熱と発汗の関係について、改めて整理しましょう。発熱は体が病原体と戦うために視床下部がセットポイントを引き上げることで起きる防御反応です。汗をかくのは、体温がセットポイントよりも下がりはじめたタイミングで、体が体温を正常に戻そうとする過程で起きます。つまり「汗が出る=熱が下がりはじめているサイン」であることが多いのです。
一方、発熱しているのに汗が出ない場合は、まだ体温が上昇中である、脱水している、重症の熱中症であるなどの可能性があります。特に脱水と重症の熱中症は速やかな対処が必要です。
発熱中の日常的な対処としては、汗をかいたら着替えて清潔を保つこと、こまめに水分と電解質を補給すること、室温や寝具を適切に調整することが基本となります。解熱剤は症状を和らげるためのものであり、使用後にさらに汗をかくことを念頭に置いて水分補給を積極的に行いましょう。
子どもや高齢者は体温調節機能が特に弱く、脱水のリスクも高いため注意が必要です。また、夜間の大量発汗や繰り返す発熱、体重減少を伴う発熱などは、結核・血液のがん・自己免疫疾患など感染症以外の疾患が隠れている可能性もあります。
「熱が出たけれど汗をかいて治った」という単純なケースだけでなく、熱が下がらない・汗が出ない・発汗パターンが普段と違うといった場合には、医療機関を受診して原因を確認することが安心への近道です。アイシークリニック上野院では、発熱や発汗に関するご相談も含め、内科全般の診療を行っております。気になる症状があればお気軽にご相談ください。
📚 関連記事
- 急に汗が吹き出る・手が震える原因と対処法|考えられる病気を解説
- タンクトップの脇汗どうする?原因から対策・治療法まで徹底解説
- 手汗を抑える方法を徹底解説|原因から治療まで完全ガイド
- 異汗性湿疹の画像でわかる症状・原因・治療法を徹底解説
- 加齢臭は本人が気づかない?原因・セルフチェック・対策を解説
📚 参考文献
- 厚生労働省 – 発熱の定義・体温管理の基準、感染症(インフルエンザ・COVID-19・結核など)に関する公式情報、解熱剤の適切な使用方法および受診の目安に関する根拠として参照
- 国立感染症研究所 – インフルエンザ・マラリア・結核・新型コロナウイルス感染症など、発熱と発汗を主症状とする各感染症の病態・疫学・診断に関する専門的情報の根拠として参照
- WHO(世界保健機関) – 発熱のメカニズム(視床下部・セットポイント・サイトカインの関与)、小児・高齢者における発熱対応、脱水管理および経口補水療法に関する国際的ガイドラインの根拠として参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務