脂肪腫と粉瘤の違いを画像で解説|見た目・症状・治療法を比較

皮膚の下にしこりを感じたとき、「これって脂肪のかたまり?それとも粉瘤(ふんりゅう)?」と不安になっていませんか?
どちらも放置すると悪化・炎症のリスクがあります。
この記事を読めば、自分のしこりがどちらか判断するポイントと、正しい治療法がわかります。

😟

こんな不安、ありませんか?

「しこりが大きくなってきた気がする…」
「触ると動くけど、これって大丈夫?」
「病院に行くべき?放置してもいい?」

🚨 放置するとこうなる可能性があります

  • 粉瘤が炎症・化膿して激しい痛みが出る
  • 切開手術が必要になり傷跡が残りやすくなる
  • 脂肪腫が大きくなり神経・筋肉を圧迫するケースも

💡 この記事でわかること

  • ✅ 脂肪腫と粉瘤の見た目・触り心地の違い
  • 自分でできるセルフチェックの方法
  • ✅ それぞれの正しい治療法
  • 「早く受診すべき」危険なサイン

目次

  1. 脂肪腫とは?基本的な特徴と画像イメージ
  2. 粉瘤とは?基本的な特徴と画像イメージ
  3. 脂肪腫と粉瘤の見た目の違い
  4. 脂肪腫と粉瘤の触り心地・感触の違い
  5. 脂肪腫と粉瘤の好発部位の違い
  6. 脂肪腫と粉瘤の症状の違い
  7. 自分で判断できる?セルフチェックのポイント
  8. 病院での診断方法(画像検査を含む)
  9. 脂肪腫の治療法
  10. 粉瘤の治療法
  11. 放置するとどうなる?
  12. まとめ

この記事のポイント

脂肪腫は柔らかく皮膚の下で動く脂肪細胞の塊、粉瘤は中心に開口部を持つ角質が溜まった嚢腫であり、原因・症状・治療法は異なる。どちらも外科的切除が基本で、粉瘤は炎症前の早期手術が推奨される。

💡 1. 脂肪腫とは?基本的な特徴と画像イメージ

脂肪腫(リポーマ)は、皮下脂肪組織が異常に増殖してできた良性の腫瘍です。脂肪細胞のかたまりが被膜(ひまく)に包まれた状態で皮膚の下に存在します。がん(悪性腫瘍)ではなく、基本的に命に関わるものではありませんが、大きくなったり外観上気になったりする場合には治療の対象となります。

脂肪腫の画像的な特徴として、超音波(エコー)検査では均一な低エコーの楕円形または円形の腫瘤として描出されることが多く、境界が明瞭で整った形をしています。MRI検査では脂肪と同様の信号を示すため、他の腫瘍と区別しやすいという特徴があります。表面から見た場合は皮膚の色調変化はほとんどなく、皮膚の下に柔らかいふくらみとして確認できます。

脂肪腫は単発で現れることもあれば、多発性(複数個できる)の場合もあります。多発性脂肪腫症という疾患では、全身に多数の脂肪腫が生じることもあります。大きさは数ミリから数センチ程度のものが多いですが、まれに10センチを超える巨大脂肪腫となることもあります。

発症の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因や脂質代謝の異常が関与していると考えられています。成人以降に発症することが多く、特に40〜60代での発症が目立ちます。男女差はあまりなく、誰にでも発症する可能性があります。

Q. 脂肪腫と粉瘤の見た目の違いは何ですか?

脂肪腫は皮膚の色変化がなく、皮膚の下でふわふわと自由に動く扁平なしこりです。粉瘤はしこりの中心部に黒い点(開口部)が見られ、ゴム状の弾力感があり皮膚と一緒に動く球形に近い形が特徴です。両者は似ていますが、この開口部の有無が重要な鑑別ポイントとなります。

📌 2. 粉瘤とは?基本的な特徴と画像イメージ

粉瘤(ふんりゅう)は、アテローマとも呼ばれる良性の嚢腫(のうしゅ)です。皮膚の表皮細胞が皮膚の内側に落ち込んでしまい、そこで角質や皮脂などの老廃物が蓄積して袋状の構造物を形成したものです。医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれることもあります。

粉瘤の画像的な特徴として、超音波検査では内部に点状の高エコーが混在する均一または不均一な腫瘤として描出されることがあります。最も特徴的なのは、腫瘤の一部に「punctum(パンクタム)」と呼ばれる黒い開口部(毛穴の開口)が認められる点です。これは粉瘤の診断において非常に重要な所見で、肉眼的にも確認できる場合があります。

粉瘤の中身は、白色から淡黄色のチーズ状または豆腐のような外観をした角質物質で、特有の不快な臭いを伴うことが多いです。炎症を起こすと赤く腫れ上がり、膿が溜まる状態になります。

粉瘤は皮膚のどこにでもできますが、毛包(毛穴)が存在する部位に多く見られます。発症年齢は幅広く、10代から高齢者まで幅広い年齢層で見られます。粉瘤ができる明確な原因はよく分かっていませんが、外傷や紫外線、ウイルス感染などが関与していると言われています。

✨ 3. 脂肪腫と粉瘤の見た目の違い

脂肪腫と粉瘤は外見上似ている点も多いですが、注意深く観察すると違いを見つけることができます。それぞれの視覚的な特徴を整理してみましょう。

脂肪腫の外観的な特徴としては、皮膚の色調に変化がないことが挙げられます。皮膚の下にふわっとしたふくらみが見える程度で、皮膚の表面はきれいな状態を保っていることがほとんどです。輪郭は比較的なめらかで、大きくなると視覚的にも明確なふくらみとして確認できます。皮膚との癒着はなく、皮膚はすべるように動きます。

一方、粉瘤の外観的な特徴としては、しこりの頂点(中心部)に小さな黒い点が見られることが多いです。この黒い点は毛穴の開口部(開口部)であり、粉瘤を診断する上で重要なサインとなります。粉瘤は皮膚とくっついているため、皮膚と一緒に動く傾向があります。炎症がない状態では皮膚の色に変化はありませんが、炎症を起こすと赤みや腫れが生じます。

大きさについては、脂肪腫は数センチ以上になることも珍しくなく、比較的大きくなりやすい傾向があります。粉瘤は一般的に1〜5センチ程度のものが多いですが、まれに10センチを超えるものもあります。

形の違いについては、脂肪腫は扁平で平べったい形をしていることが多く、粉瘤は比較的球形に近い丸い形をしていることが多いです。ただし、これはあくまでも傾向であり、個々のケースによって異なります。

Q. 粉瘤を放置し続けるとどうなりますか?

粉瘤を放置すると、内部で細菌が繁殖して炎症を引き起こすリスクがあります。炎症が起きると強い痛みや腫れが生じ、日常生活に支障をきたすことがあります。さらに炎症を繰り返すたびに周囲組織との癒着が進み、手術の難易度が上がって傷も大きくなるため、症状がない早期のうちに治療することが推奨されます。

🔍 4. 脂肪腫と粉瘤の触り心地・感触の違い

しこりを触ったときの感触も、脂肪腫と粉瘤を区別する重要な手がかりになります。

脂肪腫を触ったときの感触は、柔らかくてふわふわとした感触が特徴的です。まるで柔らかい粘土やゼリーのような弾力感があり、指で押すと容易に変形します。可動性(動きやすさ)が高く、指で押すと皮膚の下を滑るように動きます。表面はなめらかで、境界はある程度明瞭に感じられますが、脂肪組織に囲まれているため境界がぼんやりしていることもあります。

粉瘤を触ったときの感触は、弾力のある硬めのしこりというイメージが近いです。ゴムのような弾力感があり、押しても脂肪腫ほど変形しません。皮膚と一緒に動く感覚があり、皮膚との癒着が感じられます。境界は比較的明確で、しこりの輪郭がはっきりとしています。炎症を起こした状態では硬くなり、触ると痛みを感じます。

触って判断する際の注意点として、炎症を起こした粉瘤は通常とは異なる状態になっているため、感触で判断することが難しくなります。また、深部にある脂肪腫や、筋肉の下にある場合は皮膚の上から触っても判別が難しいことがあります。自己判断には限界があるため、気になるしこりがあれば医療機関を受診することをおすすめします。

💪 5. 脂肪腫と粉瘤の好発部位の違い

脂肪腫と粉瘤はできやすい体の部位にも違いがあります。

脂肪腫は、背中・肩・首・腕(上腕)・太もも・腹部などに多く見られます。特に体幹(胴体)や四肢の近位部(体に近い部分)に発生することが多いとされています。背中や肩に多い理由として、これらの部位は脂肪組織が豊富であることが挙げられます。顔面や手足の末端部位にはやや少ない傾向があります。

粉瘤は、顔(特に耳周囲・頬・額)、首、背中、頭部、鼠径部(そけいぶ)、外陰部などに多く見られます。毛穴が存在する場所に発生しやすいため、毛の生えている部位全般に見られます。特に顔面と背中が好発部位として知られており、外来診療での頻度も高い部位です。

耳たぶや耳周囲にできるしこりは粉瘤の可能性が高く、背中にできる複数のしこりも粉瘤であることが多いです。一方、脂肪腫は背中に多いとはいえ、比較的どこにでも発生する可能性があります。

なお、脂肪腫は皮膚の下だけでなく、筋肉内や筋肉間(筋間脂肪腫)に発生することもあります。この場合は皮膚表面から触れにくく、画像検査によって初めて診断されるケースもあります。

🎯 6. 脂肪腫と粉瘤の症状の違い

脂肪腫と粉瘤は、症状の現れ方にも違いがあります。

脂肪腫は、多くの場合は無症状です。痛みや圧痛はなく、偶然気づいたり、服を着替えるときに触れて発見したりすることが少なくありません。ただし、神経の近くに発生した場合や、大きくなって周囲の組織を圧迫するようになった場合には痛みやしびれが生じることがあります。また、関節の近くにできた場合は動きに影響が出ることもあります。

粉瘤も、炎症がない状態であれば無症状であることが多いです。しかし粉瘤の特徴的な問題として、細菌感染による炎症(炎症性粉瘤)があります。炎症を起こすと急激に赤く腫れ上がり、強い痛みと熱感が生じます。発熱を伴うこともあり、膿が溜まった状態(膿瘍形成)になることもあります。炎症性粉瘤は日常生活に支障をきたすほどの強い痛みを引き起こすことがあり、緊急の処置が必要になるケースもあります。

粉瘤のもう一つの症状として、開口部から白〜黄色の粘稠(ねんちょう)な物質が出てくることがあります。これは角質や皮脂が溶け出したものであり、独特の不快な臭いを伴います。このような症状は脂肪腫では見られないため、鑑別に役立ちます。

症状のまとめとして、脂肪腫は基本的に無症状で経過することが多いのに対し、粉瘤は炎症を繰り返すリスクがある点が大きな違いです。粉瘤は一度炎症を起こすと治癒後も再発しやすく、根治には手術による完全摘出が必要とされています。

Q. 脂肪腫と粉瘤はそれぞれどの部位にできやすいですか?

脂肪腫は背中・肩・首・上腕・太もも・腹部など体幹や四肢の近位部に多く発生します。粉瘤は顔(耳周囲・頬・額)・首・背中・頭部・鼠径部など毛穴が存在する部位全般に見られます。できた部位も鑑別の参考になりますが、確定診断には医師による診察や超音波検査などの画像検査が必要です。

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💡 7. 自分で判断できる?セルフチェックのポイント

皮膚の下にしこりを見つけたとき、自分である程度の判断をするためのポイントをまとめました。ただし、これはあくまでも参考であり、確定診断は必ず医療機関で行う必要があります。

脂肪腫の可能性が高い特徴として、まず柔らかくてふわふわとした弾力感がある点が挙げられます。次に皮膚の色の変化がなく、皮膚との癒着がないため皮膚の下で自由に動く感覚があります。また痛みがなく、じわじわと大きくなってきた経緯がある場合も脂肪腫の特徴です。背中・肩・腕などの体幹や四肢に発生している場合も脂肪腫の可能性が高まります。

粉瘤の可能性が高い特徴として、しこりの中心部に黒い点(開口部)が見えることが最も重要なポイントです。ゴムのような弾力感があり、皮膚と一緒に動く感覚があります。過去に同じ場所が腫れたり炎症を起こしたりしたことがある場合も粉瘤を疑います。顔・首・耳周囲・背中などに発生している場合も粉瘤の可能性が高いです。

以下のような場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。しこりが急速に大きくなっている場合、痛みや赤みが出てきた場合、しこりが硬くて動かない場合(悪性腫瘍との鑑別が必要)、発熱や全身症状を伴う場合、しこりから分泌物が出ている場合などです。

セルフチェックで「これは大丈夫だろう」と判断して長期間放置することは危険です。良性のしこりであっても、まれに悪性腫瘍との区別が難しいケースがあります。特に急速に増大するしこり、硬くて固定されたしこり、表面がごつごつしたしこりなどは悪性の可能性を否定するために医師の診察が必要です。

📌 8. 病院での診断方法(画像検査を含む)

脂肪腫と粉瘤の診断は、問診・視診・触診に加えて、さまざまな画像検査によって行われます。

問診では、いつ頃からしこりに気づいたか、大きさの変化はあるか、痛みやその他の症状はあるか、家族に同様の腫瘤がある人がいるか(遺伝性疾患の除外)などが確認されます。

視診と触診では、前述したような外観・触り心地・可動性・皮膚との癒着の有無などを確認します。特に粉瘤の診断において、開口部(黒い点)の有無は重要な所見です。経験豊富な医師であれば、問診・視診・触診だけで高い精度で診断できるケースも多くあります。

超音波(エコー)検査は、皮膚や皮下組織の腫瘤を評価するために最も一般的に使用される画像検査です。被曝がなく、リアルタイムで観察できる利点があります。脂肪腫では均一な低エコーの腫瘤として描出され、粉瘤では内部に細かいエコーを持つ嚢腫状の構造として確認されることが多いです。

MRI検査は、腫瘤の性状をより詳細に評価するために使用されます。特に深部にある腫瘤や、筋肉内脂肪腫の診断に有用です。脂肪腫はT1強調画像で高信号(白く描出)を示すのが特徴で、これにより脂肪成分であることが確認できます。MRI検査は精密な診断が必要な場合や、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合に行われます。

CT検査は、腫瘤の範囲や周囲組織との関係を把握するために用いられることがあります。特に大きな腫瘤や、深部に位置する腫瘤の術前評価に有用です。脂肪腫はCT上で低吸収値(脂肪と同様の値)を示すため、脂肪成分であることが確認できます。

病理組織検査は、腫瘤を摘出した後に組織を顕微鏡で調べる検査です。最終的な確定診断はこの検査によって行われます。摘出した組織の細胞を詳しく調べることで、脂肪腫・粉瘤のみならず、他の腫瘤との鑑別も可能になります。

✨ 9. 脂肪腫の治療法

脂肪腫の治療は、主に外科的切除(手術による摘出)が中心となります。

脂肪腫が小さく無症状の場合は、経過観察という選択肢もあります。定期的に大きさの変化を確認しながら、症状が出てきたり大きくなってきたりした場合に治療を検討するアプローチです。ただし、脂肪腫は自然に消退(小さくなって消える)することはほとんどないため、根本的な解決には手術が必要です。

手術による摘出は、局所麻酔下で行われることが多いです。皮膚を切開し、脂肪腫を被膜ごと摘出します。脂肪腫は被膜に包まれているため、比較的きれいに摘出できることが多く、再発率も低い傾向があります。傷の大きさは腫瘤の大きさによって異なりますが、一般的には腫瘤の最大径に近い長さの切開が必要です。

近年では、小さな切開から腫瘤を押し出す「絞り出し法」や、吸引による摘出法なども行われるようになっています。これらの方法では傷が小さく済む利点がある一方で、被膜を完全に摘出できない場合があり、再発のリスクがやや高くなる可能性があります。

ステロイドの局所注射も選択肢の一つとして挙げられることがありますが、脂肪腫を完全に消失させる効果は限定的であり、あくまでも補助的な治療と位置づけられています。

手術の適応となるのは、腫瘤が大きくなっている場合、痛みや違和感などの症状がある場合、外見上気になる場合、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合などです。治療を検討する際は、医師とよく相談した上で方針を決定することが重要です。

Q. 脂肪腫と粉瘤の手術方法はどう違いますか?

脂肪腫の手術は局所麻酔下で被膜ごと摘出するのが基本で、再発率は低い傾向があります。粉瘤は嚢腫の壁を取り残すと再発するため、壁ごとの完全摘出が必須です。粉瘤には直径3〜4ミリの小さな穴から処置する「くり抜き法」もあり、傷が目立ちにくい利点があります。最適な術式は状態によって異なるため、専門医への相談が重要です。

🔍 10. 粉瘤の治療法

粉瘤の治療は、手術による完全摘出が根本的な治療法です。粉瘤は嚢腫(袋状の構造物)の壁ごと完全に取り除かないと再発するため、手術が唯一の根治的な方法とされています。

非炎症期(炎症がない、落ち着いた状態)での手術が最も望ましいとされています。この状態であれば、嚢腫の壁がはっきりしており、周囲の組織との癒着も少ないため、きれいに取り除くことができます。手術は局所麻酔下で行われ、皮膚を切開して嚢腫を壁ごと摘出します。

くり抜き法(パンチ法)という手術方法も広く行われています。これは直径3〜4ミリ程度の円形の刃を使って皮膚に小さな穴を開け、そこから嚢腫の内容物を押し出した後に壁を取り除く方法です。切開線が小さいため傷が目立ちにくく、縫合が不要なケースもあるという利点があります。ただし、粉瘤が大きかったり深かったりする場合には対応が難しいこともあります。

炎症期(赤く腫れて痛みがある状態)の粉瘤に対しては、まず切開排膿(きりかいはいのう)を行って膿を外に出すことで症状を和らげます。ただし、炎症期の切開排膿は根治的な治療ではなく、あくまでも急性症状を改善するための処置です。炎症が落ち着いた後に、改めて根治的な手術を行う必要があります。

炎症がひどい場合は、抗生物質の内服や点滴が行われることもあります。炎症を抑えてから手術を行うことで、より安全に手術ができるようになります。

粉瘤の手術における最も重要なポイントは、嚢腫の壁(嚢腫壁)を取り残さないことです。少しでも嚢腫壁が残ると、そこから再び粉瘤が形成されてしまいます。特に炎症を繰り返した粉瘤は周囲との癒着が強くなっているため、完全摘出が難しくなることがあります。経験豊富な医師による手術が重要な理由の一つはここにあります。

💪 11. 放置するとどうなる?

脂肪腫と粉瘤はいずれも良性の腫瘤ですが、放置した場合にどのような経過をたどるのかについて理解しておくことが大切です。

脂肪腫を放置した場合の経過として、多くの脂肪腫はゆっくりと増大していきます。自然に消えることはほとんどなく、数年から数十年かけて少しずつ大きくなることが多いです。小さいうちは無症状でも、大きくなるにつれて神経や血管を圧迫することがあり、痛みやしびれが生じることがあります。また大きくなればなるほど手術の傷も大きくなり、体への負担が増します。

脂肪腫が悪性化(脂肪肉腫に変わる)することは非常にまれですが、ゼロではありません。特に急速に大きくなる脂肪腫は悪性の可能性を念頭に置く必要があるため、定期的な経過観察が重要です。

粉瘤を放置した場合の経過として、最も問題になるのは炎症(感染)のリスクです。粉瘤は内部に老廃物が蓄積しているため、細菌が繁殖しやすい環境にあります。外からの刺激(ぶつける・つぶそうとするなど)がきっかけとなることもありますが、特に誘因なく炎症を起こすこともあります。

炎症性粉瘤は強い痛みと腫れを引き起こし、日常生活に大きな支障をきたします。炎症を繰り返すたびに周囲との癒着が進むため、手術の難易度が上がり、傷も大きくなってしまいます。初期の段階で適切に治療した方が、最終的な傷の大きさや合併症のリスクを低減できます。

また、粉瘤を自分でつぶそうとする行為は非常に危険です。内容物が皮膚の中に押し込まれることで炎症が悪化したり、皮膚表面から細菌が入り込んで感染が広がったりするリスクがあります。粉瘤の開口部をいじったり、圧迫して内容物を絞り出そうとしたりすることは控えてください。

脂肪腫も粉瘤も、症状がなくても小さいうちに医師に相談することが最善の選択肢です。経過観察でよいのか手術が必要なのかは、医師の判断を仰ぐことをおすすめします。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、皮膚のしこりを心配されて受診される患者様の多くが、脂肪腫と粉瘤のどちらなのかを事前にご自身で判断できず、不安を抱えていらっしゃいます。最近の傾向として、粉瘤は放置による炎症を繰り返した状態でご来院されるケースも少なくなく、早期に対処していれば傷をより小さく抑えられたというケースも見受けられます。しこりに気づいたら自己判断で様子を見続けず、まずはお気軽にご相談いただくことで、患者様お一人おひとりにとって最善の治療タイミングをご提案できますので、どうぞ安心してご来院ください。」

🎯 よくある質問

脂肪腫と粉瘤は自分で見分けられますか?

ある程度の目安はあります。脂肪腫はふわふわと柔らかく皮膚の下で自由に動き、皮膚の色変化がありません。粉瘤はしこりの中心部に黒い点(開口部)が見られ、ゴム状の弾力感があります。ただし、確定診断は医師による診察や超音波検査などが必要です。自己判断だけで放置せず、気になる場合は専門医にご相談ください。

粉瘤を放置すると、どのようなリスクがありますか?

粉瘤を放置すると、内部で細菌が繁殖し、炎症(感染)を引き起こすリスクがあります。炎症を起こすと強い痛みや腫れが生じ、日常生活に支障をきたすこともあります。また、炎症を繰り返すたびに周囲との癒着が進み、手術の難易度が上がって傷も大きくなります。早めに治療した方が、最終的な体への負担を抑えられます。

粉瘤は自分でつぶしても大丈夫ですか?

自分でつぶす行為は大変危険です。内容物が皮膚の内側に押し込まれることで炎症が悪化したり、外部から細菌が入り込んで感染が広がるリスクがあります。粉瘤の根本的な治療は、嚢腫の壁ごと完全に摘出する手術のみです。開口部をいじったり内容物を絞り出そうとしたりせず、早めに医療機関を受診してください。

脂肪腫・粉瘤の手術はどのような方法で行われますか?

どちらも主に局所麻酔下での外科的切除が基本です。脂肪腫は被膜ごと摘出することで再発率が低く抑えられます。粉瘤は嚢腫の壁を取り残すと再発するため、壁ごとの完全摘出が重要です。粉瘤には小さな穴から処置する「くり抜き法(パンチ法)」もあり、傷が目立ちにくい利点があります。最適な方法は状態によって異なるため、医師にご相談ください。

しこりが急に大きくなったり痛みが出たりしたら、すぐ受診すべきですか?

はい、早めの受診をおすすめします。しこりが急速に大きくなる場合や、硬くて動かない場合は悪性腫瘍との鑑別が必要なことがあります。また、赤みや痛み・熱感が出ている場合は炎症性粉瘤の可能性があり、緊急の処置が必要になるケースもあります。アイシークリニック上野院では、皮膚のしこりに関するご相談・診療を行っておりますので、お気軽にご来院ください。

💡 まとめ

脂肪腫と粉瘤は、どちらも皮膚の下にできる良性のしこりですが、その性質・原因・症状・治療法はまったく異なります。脂肪腫は脂肪細胞のかたまりであり、柔らかく皮膚の下で動く感触があります。一方、粉瘤は角質や皮脂が袋に溜まったものであり、中心部に開口部(黒い点)があることが特徴です。

画像検査では、超音波検査やMRI検査によって両者の鑑別が可能ですが、いずれの場合も確定診断には医師による診察と、必要に応じた病理組織検査が必要です。

治療においては、脂肪腫・粉瘤ともに外科的切除が基本となります。特に粉瘤は炎症を繰り返すリスクがあるため、炎症がない落ち着いた状態での早めの手術が推奨されます。

皮膚の下にしこりを感じたときは、自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに皮膚科や形成外科などの専門医に相談することが大切です。アイシークリニック上野院では、脂肪腫・粉瘤をはじめとする皮膚の腫瘤に関するご相談・診療を行っています。しこりが気になる方は、お気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 日本皮膚科学会 – 脂肪腫・粉瘤(表皮嚢腫)の診断基準、症状、治療方針に関する皮膚科学的見解および診療ガイドライン
  • 日本形成外科学会 – 脂肪腫・粉瘤の外科的切除手術(摘出術・くり抜き法)の適応・術式・合併症に関する形成外科的治療指針
  • PubMed – 脂肪腫と表皮嚢腫(粉瘤)の画像診断(超音波・MRI・CT)、鑑別診断および治療法に関する国際的な査読済み医学文献

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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