毎年春が近づくと、目がかゆくなったり、鼻水が出たりと、花粉症の症状に悩まされる方は多いのではないでしょうか。花粉症といえば目のかゆみや鼻炎が代表的な症状ですが、実は目の周りの皮膚がかゆくなったり、赤く腫れたり、カサカサになったりすることも非常によくあります。この「目の周りの皮膚症状」は、花粉症の一症状として現れるアレルギー性の皮膚炎であることが多く、眼科ではなく皮膚科での治療が必要なケースも少なくありません。本記事では、花粉症によって目の周りに起こるかゆみや皮膚症状のメカニズム、自宅でできるケア方法、そして皮膚科を受診すべきタイミングについて詳しく解説します。
目次
- 花粉症で目の周りがかゆくなるのはなぜ?
- 花粉症による目の周りの皮膚症状の特徴
- アレルギー性結膜炎との違い・眼科と皮膚科の使い分け
- 目の周りのかゆみを悪化させるNG行動
- 自宅でできる目の周りのケア方法
- 皮膚科を受診すべき症状とタイミング
- 皮膚科での診断と治療について
- 花粉症シーズンを乗り切るための予防策
- まとめ
この記事のポイント
花粉症による目の周りのかゆみや赤み・腫れは皮膚科の専門領域であり、眼球症状は眼科、まぶた周辺の皮膚症状は皮膚科を受診することが重要。こすらず保湿ケアを行い、改善しない場合は早めに皮膚科へ相談することが推奨される。
🎯 花粉症で目の周りがかゆくなるのはなぜ?
花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が体内に入り込むことで引き起こされるアレルギー反応です。免疫システムが花粉を「異物」とみなして過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学物質が放出されることで、くしゃみ・鼻水・目のかゆみといった様々な症状が生じます。
目の周りの皮膚がかゆくなるメカニズムは、大きく分けて二つあります。一つ目は、空気中を漂う花粉が直接皮膚に付着することで起こるアレルギー反応です。目の周りの皮膚は全身の中でも特に薄くデリケートで、バリア機能が低下しやすい部位です。そこに花粉が付着すると、皮膚のアレルギー反応が引き起こされ、かゆみや炎症が生じることがあります。
二つ目は、目のかゆみに対してこすったり掻いたりする行為が引き金となるケースです。花粉症になると目自体がかゆくなりますが、その際に無意識に目の周りを触ってしまうことが多く、それが皮膚への刺激となり炎症を引き起こします。また、目薬の成分が皮膚に触れることで接触性皮膚炎が起こることもあります。
さらに、花粉症のシーズンは春先であることが多く、この時期は寒暖差が激しく空気が乾燥しやすいことも、皮膚のバリア機能の低下に拍車をかけます。もともとアトピー性皮膚炎や乾燥肌の傾向がある方は、特に目の周りの皮膚症状が出やすい傾向があります。
Q. 花粉症で目の周りの皮膚がかゆくなる原因は?
花粉症による目の周りのかゆみには主に2つの原因があります。①空気中の花粉が直接皮膚に付着してアレルギー反応を起こすケース、②目がかゆくて無意識にこすることで皮膚への刺激が生じるケースです。目の周りの皮膚は全身で最も薄くデリケートなため、炎症が起こりやすい部位です。
📋 花粉症による目の周りの皮膚症状の特徴
花粉症が原因で目の周りに現れる皮膚症状には、いくつかの特徴的なパターンがあります。これらを理解しておくことで、適切な対処法を選択しやすくなります。
まず最も一般的なのが、「花粉皮膚炎」と呼ばれる症状です。花粉が皮膚に直接付着することで起こるアレルギー性の接触皮膚炎で、特に顔面、中でも目の周りや頬・額などに多く現れます。症状としては、かゆみ・赤み・腫れ・ヒリヒリとした刺激感などが挙げられます。花粉の飛散量が多い日に症状が強くなり、花粉シーズンが終わると改善するという季節性の経過をたどることが特徴です。
次に、「眼瞼皮膚炎(がんけんひふえん)」があります。これは上下のまぶたの皮膚に起こる炎症で、かゆみや赤み、皮膚のむくみ、細かいカサカサとした鱗屑(りんせつ)などが現れます。花粉が原因となる場合のほか、目薬やアイメイクなどが引き金となる接触性のものも含まれます。
また、もともとアトピー性皮膚炎を持っている方は、花粉シーズンになると症状が悪化することがあります。アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下しているため、花粉などのアレルゲンが皮膚を通じて侵入しやすく、目の周りをはじめとする顔の皮膚に強いかゆみや炎症が生じやすい状態にあります。
症状の出方には個人差がありますが、「花粉が多い日ほど症状が強い」「外出後に症状が悪化する」「室内にいると症状が和らぐ」といった傾向がある場合は、花粉が関係している可能性が高いといえます。
💊 アレルギー性結膜炎との違い・眼科と皮膚科の使い分け
花粉症の季節に目の周りに症状が出た場合、眼科と皮膚科のどちらに行けばよいのか迷う方も多いと思います。これは症状の場所によって判断することが基本となります。
眼科で診てもらうべき症状は、目の「中」に関する症状です。具体的には、眼球自体のかゆみ・充血・目やに・涙が出やすい・目がゴロゴロするといった症状が当てはまります。これらはアレルギー性結膜炎の症状であり、眼科での診察と治療が適しています。アレルギー性結膜炎の治療では、抗アレルギー成分を含む点眼薬が処方されることが一般的です。
一方、皮膚科で診てもらうべき症状は、目の「周り」の皮膚に関する症状です。まぶたや目の下・目尻などの皮膚が赤くなる・かゆい・腫れる・カサカサする・ジュクジュクするといった症状は、皮膚科の専門領域です。これらは眼球自体の問題ではなく、皮膚のアレルギー反応や炎症が原因ですので、皮膚科でのステロイド外用薬や保湿ケアを中心とした治療が適しています。
「眼球のかゆみ」と「目の周りの皮膚のかゆみ」が両方ある場合は、眼科と皮膚科の両方を受診する必要があることもあります。まずは症状が強い方から受診し、医師に相談しながら適切な医療機関を選ぶことが大切です。また、クリニックによっては皮膚科医と眼科医が連携して診療しているところもありますので、事前に確認してみるとよいでしょう。
なお、アレルギー性結膜炎が重症化し、「アトピー性角結膜炎」や「春季カタル」などに発展している場合は、眼科での専門的な治療が必要となります。このような場合も皮膚症状を伴うことがありますので、眼科と皮膚科の両方での管理が重要です。
Q. 目の周りの症状は眼科と皮膚科どちらを受診すべきか?
症状の場所で受診先を判断します。眼球自体のかゆみ・充血・目やになど目の「中」の症状は眼科、まぶたや目の下など目の「周り」の皮膚の赤み・腫れ・かゆみ・カサカサは皮膚科が適切です。両方の症状がある場合は、眼科と皮膚科の双方を受診することが推奨されます。
🏥 目の周りのかゆみを悪化させるNG行動
目の周りがかゆいとき、ついやってしまいがちな行動の中には、症状をさらに悪化させてしまうものがあります。花粉症シーズンに特に注意したいNG行動をまとめました。
最も多くの方がやってしまうのが「こすること」です。目の周りがかゆいと、指や手で目をこすりたくなりますが、これは絶対に避けなければなりません。こすることで皮膚のバリア機能がさらに低下し、炎症が広がったり、皮膚が傷ついてジュクジュクとした湿疹に進展したりすることがあります。また、目の場合はこすることで眼球自体を傷つけたり、角膜に傷がついたりするリスクもあります。
次に問題となるのが「自己判断でのステロイド外用薬の使用」です。市販のステロイド入りのかゆみ止めクリームを目の周りに使用する方がいますが、目の周りの皮膚は非常に薄く、ステロイドが吸収されやすいため、長期使用によって皮膚が薄くなる「皮膚萎縮」が起こりやすい部位です。また、ステロイドが目に入ることで眼圧上昇を引き起こすリスクもあります。市販薬を使用する場合でも、目の周りへの使用は医師や薬剤師に相談してから行うことをおすすめします。
また、「刺激の強い洗顔や洗い方」も症状を悪化させます。目の周りが炎症を起こしているときは、洗顔時にごしごしとこすることで刺激になります。洗顔は低刺激のものを使い、やさしく泡で洗うように心がけましょう。
「アイメイク」にも注意が必要です。マスカラやアイシャドウ、アイライナーなどの化粧品の成分が、炎症を起こした皮膚に触れることでさらなる刺激となることがあります。特にアレルギー性の皮膚炎が起きているときは、できる限りアイメイクを控えるか、敏感肌用・低刺激のものを使用することが望ましいです。
「熱いお湯での洗顔やシャワー」も避けるべきです。熱いお湯は皮膚のバリア機能を守る皮脂を洗い流してしまい、乾燥や刺激に対する抵抗力を下げてしまいます。洗顔やシャワーは、ぬるめのお湯(32〜36度程度)で行うことが理想的です。
⚠️ 自宅でできる目の周りのケア方法
花粉症による目の周りのかゆみや皮膚症状に対して、自宅でできるケア方法を紹介します。ただし、症状が強い場合や長引く場合は、自己対処にとどまらず皮膚科への受診を検討してください。
まず大切なのが「保湿」です。花粉が皮膚に付着してアレルギー反応を起こす背景には、皮膚バリア機能の低下があることが多いです。保湿をしっかり行うことで皮膚のバリア機能を補い、花粉の侵入を防ぐ効果が期待できます。目の周りには、無香料・無着色のシンプルな保湿剤や、セラミドを含む敏感肌向けの乳液などを使用するとよいでしょう。ただし、目の中に入らないよう注意してください。
「冷やす」ことも、かゆみを一時的に和らげるのに有効です。清潔なタオルを冷水で濡らして絞り、目の周りをやさしく冷やすことでかゆみや炎症を緩和することができます。ただし、氷や保冷剤を直接肌に当てるのは凍傷の危険があるため避けましょう。
「花粉を取り除く」ことも重要なセルフケアの一つです。外出から帰宅したら、顔を洗って花粉を落とすようにしましょう。洗顔の際は先述の通り、やさしく泡で包むように洗います。また、洗顔の前に目薬を使って目を洗うことも、アレルギー症状の緩和に役立ちます。人工涙液タイプの目薬を使うと刺激が少なくておすすめです。
「抗ヒスタミン薬の内服」も選択肢の一つです。市販されている抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)を内服することで、目のかゆみだけでなく目の周りの皮膚症状も緩和されることがあります。ただし、用法・用量を守り、症状が改善しない場合は医師への相談が必要です。
日常生活での工夫としては、外出時にメガネをかけることで花粉が目や目の周りに付着するのを減らすことができます。通常のメガネでも効果はありますが、花粉対策用のラップアラウンドタイプのメガネはさらに高い防護効果があります。また、マスクを着用することで顔に付着する花粉量を減らすことができます。帽子を着用することも、頭部から顔への花粉の落下を防ぐ意味で有効です。
室内では、空気清浄機を使用したり、こまめに換気を行う際に花粉の多い時間帯(晴れた日の午前10時〜午後2時ごろ)を避けたりすることで、花粉の室内への流入を減らすことができます。洗濯物を外に干すことも、この時期はできる限り避けるのが理想的です。
Q. 目の周りがかゆいときに絶対やってはいけない行動は?
目の周りをこすることは絶対に避けてください。こすると皮膚のバリア機能がさらに低下し、炎症が拡大したりジュクジュクした湿疹に悪化したりするリスクがあります。また、市販ステロイドクリームの自己判断による長期使用も、皮膚萎縮や眼圧上昇のリスクがあるため、使用前に医師へ相談が必要です。
🔍 皮膚科を受診すべき症状とタイミング
目の周りのかゆみや皮膚症状がある場合、どのような症状のときに皮膚科を受診すべきでしょうか。以下に受診の目安をまとめます。
まず、症状が数日経っても改善しない場合は受診を検討しましょう。花粉症による軽度のかゆみであれば、抗アレルギー薬の内服や保湿ケアで数日のうちに症状が和らぐことがありますが、1週間以上たっても改善が見られない場合は、専門医に診てもらうことが重要です。
次に、皮膚が赤く腫れ上がっている場合や、ジュクジュクと浸出液が出ている場合は早めの受診が必要です。これらは炎症が強い状態であり、適切な薬物治療なしに自然に回復するのは難しい場合があります。自己流で対処しようとすると、感染症を合併してしまうリスクもあります。
また、市販薬を使っても効果がない、あるいは症状が悪化しているという場合も、皮膚科への受診が必要です。特に、市販のステロイド外用薬を使い続けているにもかかわらず症状が改善しない場合は、適切な薬の強さや種類が合っていない可能性があります。
目の周りの皮膚が硬くなってきたり、色素沈着が起きてきたりしている場合も要注意です。これらは炎症が慢性化しているサインであり、早期に適切な治療を行わないと、皮膚の状態が長期にわたって悪化する可能性があります。
さらに、毎年花粉シーズンになると同じ症状が繰り返される方は、シーズン前から皮膚科で相談し、予防的なケアや治療計画を立てておくことをおすすめします。アレルギー検査を行い、原因となる花粉を特定した上で、適切な治療方針を立てることで、シーズン中の症状を最小限に抑えることができます。
もともとアトピー性皮膚炎を持っている方は、花粉シーズンに症状が悪化しやすいため、シーズン前から皮膚科医と連携して治療計画を見直しておくことが特に重要です。
📝 皮膚科での診断と治療について
皮膚科を受診した場合、どのような診察・検査・治療が行われるのかを知っておくと、受診への心理的なハードルが下がるかもしれません。
診察では、まず医師が皮膚の状態を視診・触診で確認します。その際、症状がいつから始まったか、花粉シーズンとの関連性、既往歴(アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎など)、使用している化粧品や外用薬の種類なども問診で確認されます。
アレルギーの原因を調べる検査としては、「皮膚プリックテスト」や「パッチテスト」、「血液検査(特異的IgE抗体検査)」などがあります。皮膚プリックテストは皮膚に様々なアレルゲンを少量つけて反応を見る検査で、花粉やその他のアレルゲンに対する感受性を調べます。血液検査では、特定のアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定し、アレルギーの原因物質を特定します。
治療の中心となるのは外用薬です。炎症の程度に応じて、ステロイド外用薬が処方されることが多いです。ステロイド外用薬には強さ(ランク)があり、目の周りのような薄い皮膚には、刺激が少ない弱いランクのものが使用されます。医師の指示のもとで適切な量・期間を守って使用することが重要で、自己判断での長期使用は副作用のリスクがあります。
ステロイドに頼らない選択肢として、「タクロリムス外用薬(プロトピック軟膏)」があります。これは免疫抑制作用を持つ非ステロイド系の外用薬で、ステロイドの副作用が懸念される目の周りや顔面の皮膚炎に対して使用されることがあります。特にアトピー性皮膚炎の患者さんに有効とされています。
内服薬としては、抗ヒスタミン薬が処方されることが多いです。市販薬にも抗ヒスタミン薬はありますが、処方薬の方が種類が豊富で、個々の症状や体質に合わせた選択が可能です。眠気が少ないタイプや、かゆみへの効果が高いタイプなど、様々な選択肢があります。
花粉症そのものに対するアプローチとして、「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」があります。これは、原因アレルゲンを少量から徐々に増量して体内に取り入れることで、アレルギー反応を起こしにくくする治療法です。皮下注射で行う「皮下免疫療法」と、舌の下に薬を置く「舌下免疫療法」があります。スギ花粉に対しては舌下免疫療法が保険適用となっており、長期的に症状を和らげる効果が期待できます。花粉症の根本的な改善を目指す方は、皮膚科や耳鼻咽喉科、アレルギー科に相談してみてください。
Q. 花粉症による目の周りの症状を皮膚科ではどう治療する?
皮膚科では炎症の程度に合わせたステロイド外用薬が処方されます。目の周りのような薄い皮膚には刺激の少ない弱いランクが使用されます。ステロイドが使いにくい場合はタクロリムス外用薬(プロトピック軟膏)が選択されることもあります。抗ヒスタミン薬の内服や、根本改善を目指すアレルゲン免疫療法についても相談可能です。
💡 花粉症シーズンを乗り切るための予防策

花粉症による目の周りの皮膚症状を防ぐためには、シーズン前からの準備と、シーズン中の日常的な対策が大切です。ここでは、具体的な予防策を紹介します。
シーズン前からできる準備としては、まず花粉情報のチェックを習慣にすることが挙げられます。気象情報サービスや環境省が提供する花粉情報を確認し、飛散量の多い日には外出を控えるか、対策を万全にして出かけるようにしましょう。花粉飛散のピーク期が始まる前に、かかりつけ医や皮膚科に相談して、シーズン前から抗アレルギー薬の内服を開始する「初期療法」を取り入れることも効果的です。
皮膚バリアの強化も重要な予防策です。日頃からセラミドを含む保湿剤で皮膚をしっかりと保湿することで、バリア機能を高め、花粉が侵入しにくい皮膚の状態を保つことができます。特に入浴後は皮膚が乾燥しやすいため、お風呂上がりに素早く保湿ケアを行う習慣をつけましょう。
外出時の物理的な防護も欠かせません。メガネや花粉対策ゴーグルを着用することで、目の周りへの花粉の付着を大幅に減らすことができます。花粉対策専用のメガネはフレームが顔に密着するデザインになっており、通常のメガネと比較して約3分の1程度まで花粉の付着量を減らせるとされています。
マスクも目の周りへの花粉付着を間接的に減らすうえで有効で、口・鼻からの花粉の吸入を防ぎながら、顔全体に付着する花粉量も軽減できます。外出時には帽子や手袋も活用し、全身への花粉の付着を最小限にすることを意識しましょう。
食生活の観点からも、アレルギー症状を和らげる工夫ができます。ビタミンC・ビタミンE・オメガ3脂肪酸などの栄養素は、炎症を抑える作用があるとされており、これらを含む食材(野菜・果物・青魚など)をバランスよく取り入れることが推奨されます。また、腸内環境を整える乳酸菌(ヨーグルトや発酵食品など)がアレルギー症状の緩和に役立つという研究報告もあります。
睡眠不足やストレスはアレルギー症状を悪化させることがわかっています。花粉症シーズンは特に、規則正しい生活リズムを維持し、十分な睡眠を取ることが大切です。
住環境の整備としては、帰宅時に玄関で衣類をはたいて花粉を落とし、すぐにシャワーを浴びることで、室内への花粉の持ち込みを防ぐことができます。また、掃除機は排気が少ないHEPAフィルター搭載のものを使い、室内に落ちた花粉を除去するようにしましょう。空気清浄機は、花粉のよく集まる寝室や居間に設置するのが効果的です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、花粉シーズンになると目の周りの赤みやかゆみを訴えて受診される患者様が増える傾向にあり、眼科を受診しても改善しないとご相談いただくケースも少なくありません。目の周りの皮膚症状は、花粉が直接皮膚に触れることで起こるアレルギー反応や、かゆくてこすってしまうことによる刺激が重なり、症状が悪化しやすいため、早めに皮膚科でご相談いただくことが大切です。市販薬で様子を見ている間に炎症が慢性化してしまうこともありますので、お一人で抱え込まず、お気軽にご来院ください。」
✨ よくある質問
主に2つの原因が考えられます。①空気中の花粉が直接皮膚に付着してアレルギー反応を起こすケース、②目がかゆくて無意識にこすることで皮膚への刺激が生じるケースです。目の周りの皮膚は特に薄くデリケートなため炎症が起こりやすく、乾燥しやすい春先の環境も症状を悪化させる要因となります。
症状の場所で判断しましょう。眼球自体のかゆみ・充血・目やになど目の「中」の症状は眼科、まぶたや目の下など目の「周り」の皮膚の赤み・腫れ・かゆみは皮膚科が適しています。両方の症状がある場合は、眼科・皮膚科の双方を受診することをおすすめします。
こすることは絶対に避けてください。こすると皮膚のバリア機能がさらに低下し、炎症が広がったり、ジュクジュクした湿疹に悪化したりするリスクがあります。かゆみを和らげたい場合は、清潔なタオルを冷水で濡らして絞り、目の周りをやさしく冷やす方法が有効です。
自己判断での使用は注意が必要です。目の周りの皮膚は薄くステロイドが吸収されやすいため、長期使用で皮膚が薄くなる「皮膚萎縮」が起こりやすい部位です。また、ステロイドが目に入ると眼圧上昇のリスクもあります。使用前に必ず医師や薬剤師に相談するようにしてください。
炎症の程度に合わせたステロイド外用薬の処方が中心となります。目の周りには刺激の少ない弱めのランクが使用されます。ステロイドが使いにくい場合はタクロリムス外用薬(プロトピック軟膏)が選択されることもあります。また、抗ヒスタミン薬の内服や、根本的な改善を目指すアレルゲン免疫療法についても相談可能です。
📌 まとめ
花粉症による目の周りのかゆみや皮膚症状は、多くの花粉症患者さんが経験する悩みです。目の周りの皮膚は非常に薄くデリケートであり、花粉に対するアレルギー反応が起こりやすく、炎症が悪化しやすい部位でもあります。
目のかゆみや充血など眼球自体の症状には眼科を、目の周りの皮膚のかゆみ・赤み・腫れ・カサカサといった皮膚症状には皮膚科を受診することが基本です。症状が両方ある場合は、眼科・皮膚科の双方を受診することも必要です。
自宅でのセルフケアとしては、こすらないこと・保湿ケアを丁寧に行うこと・外出後に花粉を洗い落とすことが基本となります。また、メガネやマスクなどで物理的に花粉から目の周りを守ることも大切です。
市販薬で改善しない場合や、症状が強い・長引く場合は、早めに皮膚科を受診しましょう。皮膚科では、炎症の程度に合った外用薬や内服薬が処方されるほか、アレルギー検査や根本的な治療(アレルゲン免疫療法など)についても相談することができます。
花粉症は毎年繰り返す慢性的なアレルギー疾患です。症状が出てから対処するだけでなく、シーズン前からの予防的なアプローチを取り入れることで、目の周りの皮膚症状を最小限に抑え、より快適に花粉症シーズンを過ごすことができます。目の周りの皮膚の悩みを感じている方は、ぜひ一度皮膚科への相談を検討してみてください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 花粉皮膚炎・アレルギー性接触皮膚炎・眼瞼皮膚炎の診断基準および治療方針(ステロイド外用薬・タクロリムス外用薬の適応と使用上の注意を含む)
- 厚生労働省 – 花粉症の正しい知識と治療・セルフケアに関する公式情報(アレルゲン免疫療法・抗ヒスタミン薬・初期療法を含む花粉症対策全般)
- PubMed – 眼瞼部アレルギー性皮膚炎および花粉曝露による皮膚バリア機能低下に関する国際的な査読済み臨床研究文献
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務