皮膚の下にコリッとしたしこりを発見して不安になった経験はありませんか?それ、「粉瘤(ふんりゅう)」かもしれません。
📖 この記事を読むとわかること
- ✅ 傷跡が小さく済む「くり抜き法」の仕組みと手順
- ✅ 保険適用で自己負担3,000〜15,000円程度になる費用の目安
- ✅ 放置するとどうなるか・受診すべきサイン
- ✅ 術後ケアと再発を防ぐポイント
🚨 読まないと起こるリスク
- 🔸 炎症・化膿が起きると痛みが激増し、手術が大がかりに
- 🔸 放置するほど傷跡が大きくなるリスクが上がる
- 🔸 治療のタイミングを逃して後悔するケースも
目次
- 粉瘤とはどんな病気か
- 粉瘤の症状と特徴
- 粉瘤を放置するとどうなるか
- 粉瘤の治療法の種類
- くり抜き法(トレパン法)とは
- くり抜き法の手術の流れ
- くり抜き法と従来法(紡錘形切除法)の違い
- くり抜き法が適している症例・適さない症例
- くり抜き法の費用と保険適用について
- 術後のケアと注意事項
- 再発を防ぐためのポイント
- まとめ
この記事のポイント
粉瘤の治療には傷跡が小さく済む「くり抜き法(トレパン法)」が普及しており、健康保険適用で自己負担3,000〜15,000円程度。ただし大きな粉瘤や強い炎症・癒着がある場合は従来の紡錘形切除法が選択される。放置すると炎症リスクが高まるため早期受診が推奨される。
💡 粉瘤とはどんな病気か
粉瘤は、医学的には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。皮膚の内部に袋状の構造物(嚢腫壁)が形成され、その中に角質や皮脂などが蓄積されることで、しこりのようなふくらみが生じます。
通常、皮膚の表面では古い角質や皮脂が自然にはがれ落ちていきますが、何らかの原因で皮膚の一部が内側に向かって入り込んでしまうと、角質がはがれ落ちる場所を失い、袋の中に蓄積し続けます。この蓄積物は時間の経過とともに増えていくため、粉瘤は基本的に自然に小さくなることはなく、放置すると少しずつ大きくなっていく傾向があります。
粉瘤は身体のどこにでも発生する可能性がありますが、特に顔・首・背中・耳の後ろ・鼠径部などに多くみられます。年齢や性別を問わず発症しますが、20〜30代の若い世代から中年層にかけて多い傾向があります。
原因については、外傷やニキビ跡、毛穴の詰まり、ウイルス感染(ヒトパピローマウイルスなど)、遺伝的素因などが挙げられていますが、明確な原因が特定できないケースも多く存在します。
Q. 粉瘤を放置するとどうなりますか?
粉瘤は自然に治ることはなく、放置すると少しずつ大きくなります。また、外部刺激や免疫力低下をきっかけに突然炎症・感染を起こす場合があり、激しい痛みを伴います。炎症が起きると抗生物質投与や切開排膿が必要となり、治療ステップが増えるため、しこりに気づいた早い段階での受診が推奨されます。
📌 粉瘤の症状と特徴
粉瘤の代表的な特徴として、以下のようなものが挙げられます。
まず見た目の特徴として、皮膚の下にドーム状のふくらみが生じ、触るとコリコリとした感触があります。表面はなめらかで、皮膚とともに動く場合がほとんどです。大きさはミリ単位の小さなものから数センチに達するものまでさまざまです。
もうひとつの重要な特徴として、粉瘤の中心部に「点(開口部)」が見えることがあります。これは黒い小さな点として確認されることが多く、「臍(へそ)」と呼ばれます。この開口部を通じて、チーズのような白っぽい内容物が出てくることがあり、独特の不快なにおいを伴うことがあります。
通常、粉瘤は痛みを伴いませんが、細菌が感染して炎症を起こすと、赤く腫れ上がり、強い痛みや発熱を生じることがあります。この状態を「炎症性粉瘤」や「感染性粉瘤」と呼びます。炎症が進むと内部に膿が溜まり、自壊して排膿することもあります。炎症を起こした粉瘤は適切な治療が必要なため、早めに皮膚科や形成外科を受診することが重要です。
✨ 粉瘤を放置するとどうなるか
「痛くないし、見えない場所だから放置しておいても大丈夫」と考える方もいらっしゃいます。しかし、粉瘤は自然治癒しない疾患であり、放置することにはいくつかのリスクがあります。
まず、粉瘤は時間の経過とともに少しずつ大きくなる傾向があります。初期の段階では数ミリ程度であっても、年単位で放置すると数センチ以上の大きさになることがあります。腫瘍が大きくなればなるほど、手術の難易度が上がり、術後の傷跡も大きくなりやすいため、できるだけ早い段階で対処することが望ましいです。
次に、最も注意すべきリスクは炎症・感染です。粉瘤は外部からの刺激(強く押したり、ぶつけたりすること)や免疫力の低下をきっかけに、突然炎症を起こすことがあります。炎症が起きた粉瘤は大きく腫れ上がり、激しい痛みを伴います。炎症の状態では通常の手術(くり抜き法を含む根治的な切除)ができないことが多く、まず抗生物質の投与や切開排膿処置を行い、炎症が落ち着いてから改めて根治手術を行う必要があります。つまり、炎症が起きてしまうと治療のステップが増えてしまうのです。
また、粉瘤が炎症を繰り返すと、周囲の正常組織との癒着が強くなり、手術がより複雑になります。稀ではありますが、粉瘤が悪性変化(癌化)する可能性もゼロではないとされています。そのため、粉瘤と診断された場合は放置せず、専門医に相談して適切な治療を受けることが大切です。
Q. 粉瘤のくり抜き法とはどのような手術ですか?
くり抜き法(トレパン法)は、特殊な円形のメス(トレパン)で皮膚に直径2〜5mm程度の小さな穴を開け、粉瘤の内容物を排出した後に嚢腫壁(袋)を取り除く手術です。従来の楕円形切開と比べて傷跡が非常に小さく、局所麻酔による日帰り手術で、手術時間は麻酔込みで15〜30分程度が目安です。
🔍 粉瘤の治療法の種類
粉瘤の根本的な治療は手術による摘出です。薬で溶かしたり、自然に消えさせたりすることはできません。粉瘤の嚢腫壁(袋)を完全に取り除くことが再発防止のためにも必要です。
主な手術方法として、以下の2つが挙げられます。
一つ目は、従来から行われている「紡錘形切除法(ぼうすいけいせつじょほう)」です。粉瘤の上の皮膚を楕円形(紡錘形)に切開し、嚢腫を丸ごと摘出する方法です。確実に粉瘤を取り除ける一方、切開線が比較的長くなるため、術後の傷跡がある程度残りやすいというデメリットがありました。
二つ目が、近年普及している「くり抜き法(トレパン法)」です。皮膚に小さな円形の穴を開け、そこから嚢腫の内容物と袋を摘出する方法で、傷が小さくすむのが大きな特徴です。次のセクションで詳しく説明します。
なお、炎症・感染を起こしている粉瘤に対しては、まず「切開排膿」を行い、炎症を鎮めてから後日根治手術を行うのが一般的な流れです。
💪 くり抜き法(トレパン法)とは
くり抜き法は、「トレパン法」「パンチ法」とも呼ばれ、特殊な器具(トレパン・パンチ)を使って皮膚に直径2〜5mm程度の小さな穴を開け、その穴から粉瘤の内容物を排出した後、嚢腫壁(袋)を丁寧に取り除く手術方法です。
この手術の最大の利点は、切開線が非常に小さいことです。従来の紡錘形切除法では粉瘤の大きさに合わせた楕円形の切開が必要でしたが、くり抜き法では小さな円形の穴一つで対応できるため、術後の傷跡が目立ちにくく、縫合しないか、あるいは少ない縫合で済む場合があります。
また、手術時間が比較的短く、局所麻酔で対応できることも患者さんへの負担を軽減するポイントです。日帰り手術として行われることがほとんどで、術後も日常生活への影響が少ないのが特徴です。
ただし、くり抜き法はすべての粉瘤に適用できるわけではなく、粉瘤の大きさや部位、炎症の有無、過去の炎症歴による癒着の程度などによって適応が異なります。医師が患者さんの状態をしっかり診察した上で、最適な治療法を選択することが重要です。
🎯 くり抜き法の手術の流れ
くり抜き法の実際の手術の流れを、ステップごとに説明します。
✅ ステップ1:診察・術前確認
まず医師による問診と視診・触診を行い、粉瘤であることを確認します。必要に応じて超音波検査を行い、粉瘤の大きさや深さ、周囲組織との関係を把握します。くり抜き法が適応かどうかを判断し、患者さんに手術のリスクや術後の経過についてしっかり説明します。
📝 ステップ2:皮膚の消毒・麻酔
手術部位の皮膚を消毒した後、局所麻酔(注射)を行います。麻酔の注射時には一時的なチクッとした痛みを感じることがありますが、麻酔が効いてしまえば手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の量や濃度は施術部位によって調整されます。
🔸 ステップ3:トレパンによる穴あけ
粉瘤の中心部(臍・開口部)に合わせて、円形のメス(トレパン)を使って直径2〜5mm程度の小さな穴を皮膚に開けます。このとき、粉瘤の開口部を目印にすることで、嚢腫に向けて正確にアプローチすることができます。
⚡ ステップ4:内容物の排出
開けた穴から、粉瘤の中に蓄積していた角質や皮脂などの内容物を押し出すように排出します。内容物は白色〜黄色がかった半固形物で、独特のにおいを持つことがあります。
🌟 ステップ5:嚢腫壁の摘出
内容物を排出した後、空になった嚢腫の袋(嚢腫壁)を丁寧にはがして取り出します。この工程が最も重要で、袋を完全に除去できなければ再発の原因となります。医師は鉗子などの細い器具を使って、慎重に嚢腫壁を引き出します。
💬 ステップ6:縫合・処置
嚢腫壁を取り除いた後、穴が小さい場合は縫合しないこともあります。穴が大きい場合や深さがある場合には、1〜2針程度縫合することがあります。その後、圧迫止血と傷口の保護のためにテープや絆創膏を貼って手術は終了です。手術時間は粉瘤の大きさや部位にもよりますが、麻酔を含めて15〜30分程度が目安です。
✅ ステップ7:術後のフォローアップ
手術翌日または数日後に傷口の状態を確認するため来院いただくことがあります。縫合した場合は約1〜2週間後に抜糸を行います。医師の指示に従って適切な創傷ケアを続けることが、きれいな傷跡に回復するためのポイントです。
Q. 粉瘤のくり抜き法が適さないのはどんな場合ですか?
くり抜き法は直径3cm以上の大きな粉瘤、炎症を繰り返して周囲組織との癒着が強い粉瘤、現在炎症・感染が進行中の粉瘤には適さない場合があります。これらのケースでは、視野を確保しながら確実に嚢腫壁を除去できる従来の紡錘形切除法が選択されます。最終的な判断は医師の診察によって行われます。

💡 くり抜き法と従来法(紡錘形切除法)の違い
くり抜き法と従来の紡錘形切除法には、それぞれメリットとデメリットがあります。両者の主な違いを詳しく見ていきましょう。
📝 切開の大きさと傷跡
くり抜き法の最大のメリットは切開が小さいことです。直径2〜5mm程度の穴を一つ開けるだけで手術が完結するため、術後の傷跡は非常に小さく目立ちにくいです。顔や首など、見た目に影響しやすい部位での手術では特に恩恵が大きいといえます。
一方、紡錘形切除法では粉瘤の大きさに応じた楕円形の切開が必要となり、術後に線状の縫合跡が残ります。縫合跡は時間とともに目立たなくなりますが、完全に消えることはありません。大きな粉瘤を扱う場合や癒着が強い場合には、切除範囲が大きくなることもあります。
🔸 手術時間と患者さんへの負担
くり抜き法は手術の手技が比較的シンプルであるため、手術時間が短く済む傾向があります。局所麻酔で行うため、術中の痛みも少なく、日帰りで行えます。術後の回復も早く、翌日から通常の日常生活に戻れるケースが多いです。
紡錘形切除法は手術自体の時間がやや長くなる傾向があり、縫合した部位の管理や抜糸のための通院が必要です。また、切開部位が大きいため、術後の腫れや内出血が生じやすい場合もあります。
⚡ 根治性と再発リスク
粉瘤治療において最も大切なことは、嚢腫壁を完全に除去することです。袋が残ってしまうと再発の原因になります。紡錘形切除法では粉瘤を視野に入れながら直接的に摘出できるため、嚢腫壁を確実に除去しやすいとされています。
くり抜き法は小さな穴から嚢腫壁をはがして取り出すため、高い技術が求められます。術者の技術や経験によっては嚢腫壁が残留してしまい再発するリスクがゼロではありません。ただし、熟練した医師が適切に行えば、くり抜き法でも十分な根治性を得ることができます。
🌟 炎症性粉瘤への対応
くり抜き法は、軽度の炎症を伴う粉瘤に対しても対応できる場合があります。炎症によって嚢腫壁が柔らかくなっている状態では、むしろくり抜き法で内容物と袋をまとめて除去しやすいこともあります。ただし、炎症が強い場合は適応外となることが多く、まず切開排膿を優先することがほとんどです。紡錘形切除法は原則として炎症が落ち着いた状態で行います。
📌 くり抜き法が適している症例・適さない症例
くり抜き法はすべての粉瘤に対して行える万能な手術ではありません。医師が総合的に判断した上で、最適な治療法を選択することが重要です。
💬 くり抜き法が適している主なケース
比較的小さな粉瘤(目安として直径1〜2cm程度まで)はくり抜き法の良い適応とされています。小さければ小さいほど嚢腫壁を完全に取り出しやすく、良好な治療成績が得られやすいです。
顔や首など傷跡を目立たせたくない部位にある粉瘤も、くり抜き法が適していることが多いです。切開が最小限に抑えられるため、術後の美容的な仕上がりに優れています。
初めて炎症を起こした粉瘤(軽度の場合)にも、くり抜き法で対応できることがあります。炎症によって嚢腫内部が液状化している場合、小さな穴から内容物を排出しやすい状況にあることが多いためです。
✅ くり抜き法が適さない主なケース
大きな粉瘤(直径3cm以上など)では、小さな穴から嚢腫壁をすべて取り出すことが技術的に難しくなることがあります。このような場合は紡錘形切除法の方が確実性が高い場合があります。
過去に何度も炎症を繰り返した粉瘤や、以前の切開排膿処置によって周囲組織との癒着が強くなっている粉瘤も、くり抜き法での対応が難しいことがあります。癒着が強いと嚢腫壁を丁寧にはがし取ることが難しくなるためです。
強い炎症や感染が現在進行中の粉瘤に対しては、くり抜き法を含む根治手術はほとんどの場合行えません。まず切開排膿と抗生物質治療で炎症を鎮めることが優先されます。
また、非常に深い場所にある粉瘤や、血管・神経に近接している粉瘤については、くり抜き法よりも視野を確保しやすい紡錘形切除法の方が安全性が高いと判断される場合があります。どの手術法が適切かは、医師が丁寧に診察した上で説明しますので、疑問点があれば遠慮なく質問するようにしましょう。
✨ くり抜き法の費用と保険適用について
粉瘤の手術は、美容目的ではなく医療上必要な治療とみなされるため、保険診療(健康保険)が適用されます。くり抜き法も同様に健康保険の対象です。
費用は医療機関や粉瘤の大きさ・部位によって異なりますが、健康保険が適用される場合の自己負担額(3割負担)の目安は以下の通りです。
診察料・検査料(超音波検査など)と合わせて、手術費用の3割負担として概算で3,000円〜15,000円程度になることが多いです。粉瘤の大きさが大きいほど、また部位によっては手術点数が変わるため、費用が変動します。また、術後の処置料や抗生物質などの薬代が別途かかる場合があります。
なお、「自由診療(保険外診療)」として行われることは粉瘤手術では一般的ではありませんが、クリニックによっては施設の特性上、自由診療として提供しているところもあります。事前に受診するクリニックに確認するとよいでしょう。
また、診察なしに費用を正確に把握することは難しいため、実際の費用については受診時に医師や受付スタッフに確認することをおすすめします。
Q. 粉瘤のくり抜き法の術後ケアで注意することは?
術後は傷口を清潔に保ち、処方された軟膏を塗って絆創膏で保護します。入浴(湯船)や激しい運動は傷口が安定するまでの1〜2週間は控えるよう指示されるのが一般的です。傷跡への紫外線は色素沈着の原因となるため日焼け止めや保護が必要です。傷口の赤みや膿が出た場合は早めにクリニックを受診してください。
🔍 術後のケアと注意事項

くり抜き法の術後は、傷口をきれいに治すためにいくつかの注意点があります。担当医の指示をよく守り、適切なケアを行うことが早期回復と良好な仕上がりにつながります。
📝 傷口の保護と清潔保持
術後は傷口を清潔に保つことが最優先です。クリニックから処方・指示された軟膏を塗り、清潔な絆創膏やガーゼで保護します。傷口に直接手で触れないよう心がけてください。入浴(湯船への浸かること)や水泳は、傷口が安定するまでの期間(通常1〜2週間程度)は控えるよう指示されることが一般的です。
🔸 術後の痛みと腫れ
麻酔が切れた後に術後の軽い痛みや腫れが生じることがあります。これは一般的な反応であり、多くの場合は数日以内に落ち着きます。痛みが強い場合はクリニックから処方された鎮痛剤を服用してください。腫れや内出血が生じた場合も、数日〜1週間程度で改善するのが通常です。
⚡ 日常生活への復帰
くり抜き法はダウンタイムが比較的短く、手術翌日から通常の日常生活(デスクワークや軽い活動)に戻れるケースがほとんどです。ただし、手術部位に強い力がかかるような激しい運動や重労働は、傷口が安定するまでの1〜2週間は控えることが推奨されます。
🌟 抜糸について
縫合を行った場合は、術後1〜2週間を目安に抜糸を行います。抜糸は痛みをほとんど伴わない処置で、数分で完了します。抜糸のタイミングは部位や傷の状態によって異なるため、担当医の指示に従ってください。
💬 感染の兆候に注意
術後に傷口が赤くなったり、腫れが強くなったり、膿のような分泌物が出てきたりした場合は、感染の可能性があります。このような症状が現れた際は、自己判断せず早めにクリニックに連絡して診察を受けてください。
✅ 傷跡のケア
傷が閉じた後も、紫外線から傷跡を保護することが美しい回復につながります。特に傷跡が紫外線を浴びると色素沈着が起こりやすくなるため、外出時は傷跡に日焼け止めを塗るか、衣類や絆創膏で保護することが大切です。傷跡はおよそ3〜6か月かけて徐々に落ち着いていきます。
💪 再発を防ぐためのポイント
粉瘤の再発を防ぐためには、まず手術で嚢腫壁(袋)を完全に取り除くことが最も重要です。袋の一部でも残ってしまうと、そこから再び内容物が蓄積されて再発します。
しかし、患者さん側でできることもあります。術後の通院指示をきちんと守ることはもちろん、傷口が完全に回復するまでの間は無理な力をかけないことが大切です。特に縫合している間は、傷口が開かないよう注意してください。
術後に「しこりが戻ってきたような気がする」「傷跡周辺が腫れてきた」と感じたら、再発の可能性があるためクリニックを受診することをおすすめします。再発した粉瘤も適切な手術で治療することができますが、再発例では癒着が強くなることがあるため、早めに対処する方が良いでしょう。
また、粉瘤の発生そのものを完全に予防する方法は現在のところ確立されていません。ただし、皮膚を清潔に保つこと、ニキビや毛嚢炎を放置せず早めに治療すること、外傷後の傷をきちんとケアすることなどが、粉瘤ができにくい皮膚環境を整えるうえで一定の効果が期待されています。
「昔に手術した粉瘤が戻ってきた」「手術したのにまた同じ場所にしこりができた」というご相談も多くあります。このような場合も、ぜひ専門医に相談してみてください。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、粉瘤のご相談をいただく患者様の多くが「気づいたときには炎症を起こしていた」というケースも少なくなく、できるだけ早い段階での受診をおすすめしています。最近の傾向として、傷跡を気にされる方を中心にくり抜き法へのご関心が高まっており、特に顔や首など目立つ部位では術後の仕上がりに満足いただけるケースが多いと実感しています。粉瘤は決して珍しい病気ではありませんので、「しこりが気になるけど大げさかな…」とためらわずに、お気軽にご相談いただければと思います。」
🎯 よくある質問
くり抜き法は直径2〜5mm程度の小さな穴を開けるだけで手術が完結するため、傷跡は非常に小さく目立ちにくいです。一方、従来の紡錘形切除法では粉瘤の大きさに合わせた楕円形の切開が必要となり、線状の縫合跡が残ります。顔や首など見た目が気になる部位では、くり抜き法の美容的メリットが特に大きいといえます。
粉瘤の手術は医療上必要な治療とみなされるため、くり抜き法も健康保険が適用されます。3割負担の場合、診察料・検査料を含めた自己負担額の目安はおよそ3,000円〜15,000円程度です。粉瘤の大きさや部位によって手術点数が異なるため費用は変動します。正確な金額は受診時にご確認ください。
くり抜き法はすべての粉瘤に対応できるわけではありません。比較的小さな粉瘤(目安として直径1〜2cm程度)や、顔・首など傷跡を目立たせたくない部位に適しています。一方、直径3cm以上の大きな粉瘤、炎症を繰り返して癒着が強い粉瘤、現在炎症が進行中の粉瘤などは適応外となる場合があります。最終的には医師の診察による判断が必要です。
くり抜き法はダウンタイムが比較的短く、手術翌日からデスクワークや軽い活動など通常の日常生活に戻れるケースがほとんどです。ただし、激しい運動や重労働は傷口が安定するまでの1〜2週間は控えることが推奨されます。また、入浴(湯船への浸かること)も同様に1〜2週間程度は控えるよう指示されるのが一般的です。
粉瘤は自然に治ることはなく、放置すると少しずつ大きくなる傾向があります。また、外部からの刺激や免疫力の低下をきっかけに突然炎症・感染を起こすリスクもあります。炎症が起きると激しい痛みを伴い、治療のステップが増えてしまいます。当院でも炎症が起きてから受診される方が少なくないため、しこりに気づいた早い段階での受診をおすすめしています。
💡 まとめ
粉瘤は良性の皮膚腫瘍ですが、自然に治ることはなく、放置すると大きくなったり炎症を起こしたりするリスクがあります。根本的な治療は手術による摘出であり、近年では傷が小さくて済む「くり抜き法(トレパン法)」が広く行われるようになっています。
くり抜き法は直径2〜5mm程度の小さな穴から嚢腫壁を取り出す手術で、術後の傷跡が目立ちにくく、ダウンタイムが短い点が大きなメリットです。一方で、すべての粉瘤に適用できるわけではなく、大きな粉瘤や強い癒着がある場合、炎症が強い場合などは従来の紡錘形切除法が選択されることもあります。
粉瘤の治療を検討している方は、まず皮膚科や形成外科を受診して専門医に診てもらうことが大切です。「これは粉瘤かもしれない」と感じたら、炎症を起こす前に早めに受診することで、よりシンプルな治療で対応できる可能性が高くなります。
アイシークリニック上野院では、粉瘤の診察から手術まで丁寧に対応しております。くり抜き法をはじめとした粉瘤の治療についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
📚 関連記事
- 粉瘤のくり抜き法とは?手術後の経過と回復について詳しく解説
- 粉瘤の切除は保険適用になる?費用・手術方法・流れを詳しく解説
- 上野で粉瘤の手術を受けるには?費用・方法・クリニックの選び方を解説
- 粉瘤の日帰り手術とは?手順・費用・ダウンタイムを詳しく解説
📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 粉瘤(表皮嚢腫)の診断基準・治療方針・炎症性粉瘤への対応など、皮膚科領域における診療ガイドラインの参照
- 日本形成外科学会 – 粉瘤の手術手技(くり抜き法・紡錘形切除法)や術後ケア、再発防止に関する形成外科的観点からの情報参照
- 厚生労働省 – 保険診療の適用範囲・診療報酬点数など、粉瘤手術における健康保険適用および患者負担額に関する制度情報の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務