はじめに
顔が赤くなる症状に悩んでいる方は少なくありません。「赤ら顔」という言葉は日常的によく使われますが、その中には「酒さ(しゅさ)」という皮膚疾患が隠れていることがあります。しかし、すべての赤ら顔が酒さというわけではなく、両者には明確な違いがあります。
この記事では、アイシークリニック上野院の医療コラムとして、酒さと赤ら顔の違いについて、症状、原因、診断方法、治療法まで詳しく解説していきます。顔の赤みで悩んでいる方が、自分の症状を正しく理解し、適切な対処法を見つけるための参考にしていただければ幸いです。

赤ら顔とは何か
赤ら顔の定義
「赤ら顔」とは、文字通り顔が赤く見える状態の総称です。医学用語というよりは、一般的に使われる表現で、さまざまな原因によって顔が赤くなる状態を広く指します。
赤ら顔には一時的なものと慢性的なものがあり、その原因も多岐にわたります。緊張したときや運動後の一時的な赤み、寒暖差による赤み、アルコール摂取後の赤みなども赤ら顔に含まれます。
赤ら顔の種類
赤ら顔は原因によっていくつかのタイプに分類できます。
生理的な赤ら顔
- 体質的に血管が透けて見えやすい
- 皮膚が薄い
- 寒暖差や感情の変化で赤くなりやすい
病的な赤ら顔
- 酒さ(酒さ様皮膚炎を含む)
- 脂漏性皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
- 全身性エリテマトーデスなどの膠原病
その他の要因による赤ら顔
- 化粧品や外用薬による刺激
- 過度なスキンケア
- 日焼け
- ステロイド外用薬の長期使用(ステロイド酒さ)
赤ら顔の一般的な特徴
赤ら顔の多くは以下のような特徴を持ちます。
- 頬や鼻を中心に赤みが現れる
- 温度変化や感情の変化で悪化する
- ほてり感を伴うことがある
- 症状の程度に個人差が大きい
- 季節によって変動することがある
酒さとは何か
酒さの医学的定義
酒さ(Rosacea)は、主に顔面の中心部に生じる慢性の炎症性皮膚疾患です。20歳以降の成人、特に30代から50代の女性に多く見られますが、男性にも発症します。
酒さという名称は、顔が赤くなる様子がお酒を飲んだときのようであることから付けられました。しかし、実際にはアルコールとの直接的な因果関係はありません。
酒さの分類
酒さは症状の特徴によって以下の4つのサブタイプに分類されます。
1. 紅斑毛細血管拡張型(ETR: Erythematotelangiectatic Rosacea)
最も一般的なタイプで、以下の特徴があります。
- 顔面中央部の持続的な赤み
- 毛細血管の拡張(赤い糸状の血管が見える)
- ほてり感やヒリヒリ感
- 皮膚の乾燥や敏感さ
2. 丘疹膿疱型(PPR: Papulopustular Rosacea)
ニキビに似た症状が特徴です。
- 赤いブツブツ(丘疹)
- 膿を持った吹き出物(膿疱)
- 皮膚の腫れ
- 灼熱感
3. 鼻瘤型(Phymatous Rosacea)
主に男性に見られ、鼻が腫れ上がる症状が特徴です。
- 鼻の皮膚の肥厚
- 鼻の形が変形(鼻瘤:びりゅう)
- 毛穴の開大
- 皮膚表面の凹凸
4. 眼型(Ocular Rosacea)
目に症状が現れるタイプです。
- 目の充血
- 異物感
- 乾燥感
- まぶたの炎症
酒さの有病率
日本における酒さの正確な有病率は明らかではありませんが、欧米では成人の約1〜10%が罹患していると報告されています。日本人では欧米人よりも頻度が低いとされていますが、近年増加傾向にあるという指摘もあります。
酒さと赤ら顔の違い:決定的な判断ポイント
ここからは、酒さと一般的な赤ら顔を見分けるための重要なポイントを詳しく解説します。
1. 症状の持続性
赤ら顔
- 一時的なことが多い
- 原因となる刺激がなくなれば改善する
- 日によって症状の程度が変わる
酒さ
- 慢性的に症状が続く
- 少なくとも3ヶ月以上持続する
- 自然に治ることは少ない
- 治療しないと徐々に悪化する傾向がある
2. 症状の出現パターン
赤ら顔
- 特定の状況下で赤くなる(緊張、運動、気温変化など)
- 赤みの程度が比較的均一
- 顔全体が赤くなることもある
酒さ
- 顔面中央部(鼻、頬、額、顎)に左右対称に出現
- 持続的な赤みの上にフラッシングが起こる
- 段階的に症状が進行する
- 毛細血管の拡張が目立つ
3. 随伴症状の有無
赤ら顔
- ほてり感程度の症状
- 皮膚の質感は正常なことが多い
- かゆみや痛みは通常ない
酒さ
- ほてり感、灼熱感、ヒリヒリ感
- 皮膚の乾燥や敏感さ
- ニキビのような丘疹や膿疱(丘疹膿疱型の場合)
- 皮膚の肥厚(進行した場合)
- 目の症状(眼型の場合)
4. 悪化因子への反応
赤ら顔
- 一般的な刺激に対して一時的に反応
- 刺激がなくなればすぐに改善
酒さ
- 以下のような多様な悪化因子に敏感に反応
- 温度変化(暑さ、寒さ、温かい飲み物)
- 辛い食べ物
- アルコール
- 紫外線
- ストレス
- 激しい運動
- 特定のスキンケア製品
- 一部の薬剤
5. 年齢と発症パターン
赤ら顔
- あらゆる年齢で起こりうる
- 体質的な要因が大きい場合、幼少期から見られることもある
酒さ
- 通常30歳以降に発症
- 40〜50代がピーク
- まれに若年者にも発症(若年性酒さ)
6. 皮膚の質感と外観
赤ら顔
- 皮膚の質感は比較的正常
- 赤み以外の変化は少ない
- 表面は滑らか
酒さ
- 皮膚の質感に変化が見られる
- 毛細血管の拡張が明確に見える
- 丘疹や膿疱が出現することがある
- 進行すると皮膚が厚くなる
- 毛穴の開大
- 油性の皮膚になることがある
7. 治療への反応
赤ら顔
- 原因を特定して取り除けば改善しやすい
- スキンケアの改善で対処できることが多い
- 特別な治療が不要な場合も多い
酒さ
- 専門的な治療が必要
- 外用薬や内服薬による治療が有効
- 治療には時間がかかる(数ヶ月単位)
- 治療を中断すると再発しやすい
- 生活習慣の改善も重要
酒さの原因とメカニズム
酒さの正確な原因は完全には解明されていませんが、複数の要因が関与していると考えられています。
血管の異常
酒さの患者さんでは、顔面の血管が過剰に反応しやすくなっています。通常よりも容易に血管が拡張し、血流が増加することで赤みが生じます。慢性的な血管拡張により、毛細血管が拡張したままの状態になります。
免疫系の異常
皮膚の免疫反応が過剰になっていることが、炎症の原因と考えられています。特に自然免疫系の異常活性化が関与しているという研究報告があります。
皮膚常在菌の関与
顔に常在するニキビダニ(デモデックス)の数が、酒さの患者さんでは健常者よりも多いことが知られています。このダニ自体や、ダニが死んだ際に放出される物質が炎症を引き起こす可能性が指摘されています。
神経血管系の異常
顔面の神経と血管の相互作用の異常も、酒さの発症に関与している可能性があります。神経ペプチドと呼ばれる物質が過剰に放出され、血管拡張や炎症を引き起こすと考えられています。
遺伝的要因
家族内で酒さが多発することから、遺伝的な素因も関与していると考えられています。特に北欧系の人種に多いことが知られています。
環境因子
以下のような環境因子が酒さの発症や悪化に関与します。
- 紫外線: 最も重要な悪化因子の一つ
- 温度変化: 急激な温度変化が症状を悪化させる
- ストレス: 精神的ストレスが症状を悪化させる
- 食事: 辛い食べ物、熱い飲み物、アルコール
- スキンケア: 刺激性の強い化粧品や洗顔方法
赤ら顔の原因
一方、一般的な赤ら顔の原因は酒さとは異なります。
体質的要因
- 皮膚が薄い: 表皮が薄いと血管が透けて見えやすい
- 色白: メラニン色素が少ないと血管の色が目立ちやすい
- 血管の反応性が高い: 自律神経が敏感で血管が拡張しやすい
皮膚疾患
- 脂漏性皮膚炎: 皮脂の分泌が多い部位に起こる炎症
- 接触性皮膚炎: 化粧品などへのアレルギー反応
- アトピー性皮膚炎: 慢性的な炎症による赤み
スキンケアの問題
- 過度な洗顔: 皮膚のバリア機能を低下させる
- 刺激の強い化粧品: 皮膚に炎症を起こす
- ステロイド外用薬の不適切な使用: 長期使用による酒さ様皮膚炎
その他の要因
- 寒暖差: 気温の変化による血管の拡張
- アルコール代謝の問題: アルコール分解酵素の不足
- ホルモンバランス: 更年期などのホルモン変動
診断方法:どのように見分けるのか
問診
医師は以下のような質問をして、症状の特徴を把握します。
- いつから症状があるか
- どのような時に悪化するか
- 家族歴はあるか
- これまでの治療歴
- 使用しているスキンケア製品
- 生活習慣(食事、飲酒、ストレスなど)
視診
医師は以下の点を観察します。
- 赤みの分布パターン
- 毛細血管の拡張の有無
- 丘疹や膿疱の有無
- 皮膚の質感
- 皮膚の厚さ
- 目の症状の有無
鑑別診断
酒さと似た症状を示す他の疾患を除外する必要があります。
除外すべき主な疾患
- 尋常性ざ瘡(ニキビ)
- 脂漏性皮膚炎
- 接触性皮膚炎
- 全身性エリテマトーデス
- 薬剤性皮膚炎
- 光線過敏症
検査
必要に応じて以下の検査を行うことがあります。
- 皮膚生検: まれに行われる。他の疾患との鑑別が必要な場合
- ニキビダニの検査: デモデックスの数を確認
- 血液検査: 膠原病などの全身疾患を除外するため
酒さの診断基準
酒さの診断には、以下のような基準が用いられます。
必須項目
- 顔面中央部の持続的な紅斑
主要項目(2つ以上で酒さと診断)
- フラッシング(一過性の紅潮)
- 丘疹・膿疱
- 毛細血管拡張
- 眼症状
副次的項目
- 灼熱感、ヒリヒリ感
- 浮腫
- 乾燥感
- 鼻瘤などの組織増殖
治療法:酒さと赤ら顔それぞれのアプローチ
酒さの治療
酒さの治療は、症状のタイプと重症度に応じて選択されます。
外用療法
メトロニダゾール
- 最も一般的に使用される外用薬
- 抗炎症作用と抗菌作用がある
- ゲル、クリーム、ローションの剤形がある
- 1日1〜2回塗布
- 効果が現れるまでに数週間かかる
アゼライン酸
- 抗炎症作用と角質溶解作用がある
- 丘疹膿疱型に特に有効
- 日本では未承認だが海外では広く使用
イベルメクチン
- ニキビダニを減少させる
- 抗炎症作用もある
- 丘疹膿疱型に効果的
タクロリムス
- 免疫抑制作用がある
- ステロイド酒さには使用を避ける
ブリモニジン
- 血管収縮作用がある
- 紅斑を一時的に改善
- 効果は約12時間持続
内服療法
テトラサイクリン系抗生物質
- ドキシサイクリン、ミノサイクリン
- 抗炎症作用が主な作用機序
- 中等度以上の丘疹膿疱型に使用
- 数週間から数ヶ月継続
イソトレチノイン
- 重症例に使用
- 皮脂分泌を抑制
- 副作用が多いため慎重に使用
- 日本では保険適用外
メトロニダゾール内服
- 外用療法で効果不十分な場合
- 一部の国で使用
物理療法
レーザー治療
- 拡張した毛細血管を凝固
- 紅斑の改善に有効
- 複数回の治療が必要
- パルス色素レーザー(PDL)、ロングパルスNd:YAGレーザーなどを使用
光治療(IPL:Intense Pulsed Light)
- 広範囲の血管拡張に有効
- ダウンタイムが少ない
- 定期的な治療が必要
CO2レーザー
- 鼻瘤の治療に使用
- 肥厚した組織を削る
赤ら顔の治療
一般的な赤ら顔の治療は、原因によって異なります。
原因疾患の治療
脂漏性皮膚炎の場合
- 抗真菌薬の外用
- 適切な洗顔
- ステロイド外用薬(短期間)
接触性皮膚炎の場合
- 原因物質の特定と除去
- ステロイド外用薬
- 保湿
アトピー性皮膚炎の場合
- ステロイド外用薬
- タクロリムス外用
- 保湿
- 抗アレルギー薬内服
スキンケアの改善
- 刺激の少ない洗顔料の使用
- 適切な保湿
- 紫外線対策
- メイクの見直し
物理療法
レーザー治療
- 拡張した毛細血管の治療
- 酒さほど頻繁な治療は不要
光治療
- 全体的な赤みの改善
生活習慣の改善(酒さ・赤ら顔共通)
治療と並行して、生活習慣の改善も重要です。
避けるべきこと
- 急激な温度変化
- 長時間の入浴、サウナ
- 辛い食べ物
- 熱い飲み物
- 過度なアルコール摂取
- 激しい運動(適度な運動は問題ない)
- ストレスの蓄積
- 刺激の強いスキンケア製品
推奨される習慣
- 紫外線対策の徹底(日焼け止め、帽子、日傘)
- 適切なスキンケア
- バランスの取れた食事
- 十分な睡眠
- ストレス管理
- 温度管理(冷暖房の調整)
セルフケアのポイント
洗顔方法
正しい洗顔のステップ
- ぬるま湯で顔を濡らす(32〜34℃程度)
- 洗顔料をよく泡立てる
- 泡で優しく洗う(こすらない)
- しっかりすすぐ
- タオルで押さえるように水分を取る(こすらない)
- すぐに保湿する
避けるべき洗顔方法
- 熱いお湯での洗顔
- 冷たい水での洗顔
- ゴシゴシこすること
- 洗顔料の泡立て不足
- 1日3回以上の洗顔
- スクラブ洗顔料の使用
スキンケア製品の選び方
選ぶべき製品の特徴
- 低刺激性
- 無香料
- アルコールフリー
- パラベンフリー
- セラミド配合(保湿)
- ナイアシンアミド配合(赤み軽減)
- シンプルな成分構成
避けるべき成分
- アルコール(エタノール)
- メントール
- カンフル
- 高濃度のレチノール
- 高濃度のビタミンC
- 強い香料
紫外線対策
紫外線は酒さの最も重要な悪化因子の一つです。
効果的な紫外線対策
- 日焼け止めの毎日使用(SPF30以上、PA+++以上)
- 物理的な紫外線対策(帽子、日傘、サングラス)
- 日陰を選んで歩く
- 紫外線の強い時間帯(10時〜14時)の外出を避ける
日焼け止めの選び方
- 低刺激性のもの
- 紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)のものが望ましい
- 白浮きしないもの
- 落としやすいもの
メイクのコツ
ベースメイク
- 緑色のコントロールカラーで赤みをカバー
- 低刺激のファンデーション
- ミネラルファンデーションがおすすめ
- 厚塗りは避ける
ポイントメイク
- 目元や口元にポイントを置く
- 視線を顔の中心から外す
クレンジング
- クリームタイプやミルクタイプ
- こすらず優しく落とす
- ダブル洗顔は必要最小限に

よくある質問(Q&A)
A: 原因によります。一時的な刺激による赤ら顔は原因を取り除けば改善しますが、酒さのような慢性疾患は自然治癒することは少なく、適切な治療が必要です。赤ら顔が長期間続く場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
A: 酒さは慢性疾患であり、完全に治癒させることは難しい場合が多いですが、適切な治療と生活習慣の改善により、症状を十分にコントロールすることは可能です。治療を中断すると再発しやすいため、長期的な管理が必要です。
A: はい、あります。酒さという名称はお酒を飲んだときのような赤みから付けられましたが、アルコールとの直接的な因果関係はありません。お酒を全く飲まない人でも酒さになることがあります。
Q4: 酒さは遺伝しますか?
A: 遺伝的な素因はあると考えられていますが、必ず遺伝するわけではありません。家族内で酒さが多発することはありますが、生活環境や習慣が似ていることも影響している可能性があります。
Q5: 化粧をしても大丈夫ですか?
A: 低刺激性の化粧品を選び、適切な方法で使用すれば問題ありません。むしろ、紫外線カットや赤みのカバーによって、精神的なストレスが軽減され、症状の改善につながることもあります。ただし、刺激の強い化粧品は避け、クレンジングも優しく行うことが重要です。
Q6: 赤ら顔や酒さに効くサプリメントはありますか?
A: 特定のサプリメントの効果を示す十分な科学的根拠は限られています。ただし、抗炎症作用のあるオメガ3脂肪酸や、皮膚の健康に必要なビタミンB群などが有用な可能性があります。サプリメントの使用前には医師に相談することをおすすめします。
Q7: 運動は避けるべきですか?
A: 激しい運動は顔の赤みを悪化させることがありますが、適度な運動は健康維持に重要です。運動の強度を調整し、涼しい環境で行う、こまめに水分補給をするなどの工夫をすることで、運動を続けることは可能です。
Q8: 赤ら顔と酒さの見分け方は?
A: 主な見分け方は以下の通りです。
- 持続性: 酒さは慢性的(3ヶ月以上)
- 分布: 酒さは顔面中央部に左右対称
- 毛細血管拡張: 酒さでは明確に見える
- 随伴症状: 酒さでは丘疹、膿疱、灼熱感などを伴う
- 悪化因子への反応: 酒さでは多様な因子に敏感
ただし、自己判断は難しいため、専門医の診察を受けることが確実です。
Q9: 治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
A: 酒さの治療効果が現れるまでには、通常数週間から数ヶ月かかります。外用薬では4〜8週間、内服薬では数ヶ月の継続が必要です。症状が改善しても再発予防のために治療を続けることが推奨されます。
Q10: 保険は適用されますか?
A: 酒さの診断がつけば、一般的な外用薬や内服薬の治療には健康保険が適用されます。ただし、レーザー治療や光治療などの美容的な治療は、保険適用外となる場合が多いです。治療前に医療機関に確認することをおすすめします。
いつ医療機関を受診すべきか
以下のような場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
受診を検討すべき症状
- 顔の赤みが3ヶ月以上続いている
- 赤みが徐々に悪化している
- ニキビのようなブツブツが出ている
- 灼熱感やヒリヒリ感がある
- 毛細血管の拡張が目立つ
- 鼻が腫れてきた
- 目に症状がある(充血、乾燥感など)
- 日常生活に支障がある
- 精神的なストレスが大きい
- セルフケアで改善しない
受診時に伝えるべきこと
医師に以下の情報を伝えると、診断や治療方針の決定に役立ちます。
- 症状が始まった時期
- 症状の変化(良くなった、悪くなった)
- 悪化する状況やタイミング
- これまでに試した治療やスキンケア
- 使用している化粧品や薬
- 家族歴
- 生活習慣(食事、飲酒、ストレスなど)
- 他の病気の有無
まとめ
赤ら顔と酒さは、どちらも顔が赤くなる症状ですが、その原因、特徴、治療法には明確な違いがあります。
赤ら顔は、さまざまな原因で顔が赤くなる状態の総称であり、一時的なものから慢性的なものまで含まれます。多くの場合、原因を特定して取り除くことで改善が期待できます。
酒さは、顔面中央部に生じる慢性炎症性皮膚疾患で、持続的な赤み、毛細血管の拡張、丘疹、膿疱などの症状が特徴です。自然に治ることは少なく、専門的な治療が必要です。
重要なポイント
- 早期発見・早期治療が重要: 酒さは早期に治療を始めるほど、症状のコントロールがしやすくなります。
- 自己判断は避ける: 赤ら顔と酒さの区別は専門医でなければ難しい場合があります。長期間続く赤みがある場合は、皮膚科を受診しましょう。
- 治療は継続が大切: 酒さの治療は時間がかかります。症状が改善しても、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。
- 生活習慣の改善も不可欠: 治療と並行して、悪化因子を避け、適切なスキンケアを行うことで、より良い結果が得られます。
- 精神的なサポートも重要: 顔の赤みは見た目の問題でもあり、精神的なストレスになることがあります。必要に応じて、医師に相談しましょう。
最後に
顔の赤みで悩んでいる方は決して少なくありません。適切な診断と治療により、多くの方が症状の改善を実感しています。一人で悩まず、専門医に相談することで、あなたに合った最適な治療法が見つかるはずです。
アイシークリニック上野院では、赤ら顔や酒さの診断・治療に対応しております。お気軽にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会ガイドライン: 酒さの診療ガイドライン https://www.dermatol.or.jp/
- 日本皮膚科学会雑誌: 酒さの病態と治療
- 厚生労働省: 皮膚疾患に関する情報 https://www.mhlw.go.jp/
- 日本臨床皮膚科医会: 酒さについて https://www.jocd.org/
- 日本美容皮膚科学会: 赤ら顔治療のガイドライン
※本記事は医学的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。症状がある場合は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務