💦 「汗が止まらない…」そのお悩み、放置していませんか?
✅ 緊張していないのに手や脇から大量の汗が出る
✅ 書類や資料が汗で濡れてしまう
✅ 握手や人と触れることを避けるようになった
多汗症は「気合いで何とかなる」ものではなく、れっきとした治療が必要な病気です。それでも、適切な治療を受けないまま悩み続けている方が非常に多いのが現状です。
この記事では、飲み薬(内服薬)による多汗症治療に絞って、薬の種類・効果・副作用・保険適用まですべてわかりやすく解説します。
🚨 この記事を読まないと…
- ✗ 自分に合った治療法がわからないまま、誤った方法を続けてしまう
- ✗ 副作用を知らずに飲み薬を使ってトラブルになるリスクがある
- ✗ 保険適用かどうか知らず、損をしてしまう
💡 この記事を読むと分かること
- 📌 多汗症の飲み薬(抗コリン薬)の仕組みと効果
- 📌 副作用・注意点と上手な付き合い方
- 📌 飲み薬が向いている人・向いていない人
- 📌 保険適用の有無と費用の目安
- 📌 受診のタイミングと流れ
目次
- 多汗症とはどのような病気か
- 多汗症の治療法の種類と選び方
- 多汗症に使われる飲み薬の種類
- 抗コリン薬の仕組みと効果
- 抗コリン薬の副作用と注意点
- 飲み薬はどんな人に向いているか
- 飲み薬で効果が出るまでの期間と継続について
- 飲み薬以外の治療法との組み合わせ
- 多汗症の飲み薬は保険適用になるか
- クリニックへの相談タイミングと受診の流れ
- まとめ
この記事のポイント
多汗症の飲み薬治療は抗コリン薬が中心で、複数部位の発汗を全身的に抑制できる。口渇や便秘などの副作用に注意しつつ用量を調整し、症状に応じて他の治療法と組み合わせることで生活の質向上が期待できる。
💡 多汗症とはどのような病気か
多汗症とは、体温調節に必要な量をはるかに超えた汗が、特定の部位または全身から分泌される状態のことをいいます。汗をかくこと自体は人体にとって正常な生理現象ですが、多汗症の場合は日常生活を送るうえで明らかに困難が生じるほどの発汗が起こります。
多汗症には大きく「原発性多汗症」と「続発性多汗症」の2種類があります。原発性多汗症は、特定の疾患や薬の影響ではなく、自律神経の過剰な活動によって起こるものです。一方、続発性多汗症は甲状腺機能亢進症や糖尿病、更年期障害、特定の薬の副作用などが原因となって起こる発汗異常です。
原発性多汗症でよく症状が現れる部位は、手のひら(手掌多汗症)、脇の下(腋窩多汗症)、足の裏(足底多汗症)、顔・頭部(顔面・頭部多汗症)などです。これらの部位に限局して汗が出るのが特徴であり、睡眠中には発汗がほとんど起こらない点も原発性多汗症の特徴のひとつとされています。
多汗症は精神的なストレスや緊張によって悪化することもありますが、症状の根本には汗を分泌させる神経(コリン作動性神経)の過剰な活動があります。このため、単に「気持ちの問題」と片付けてしまうのは正しくなく、医学的なアプローチが必要な状態です。
日本皮膚科学会の調査では、手掌多汗症の有病率は人口の約5%程度と報告されており、決して珍しい病気ではありません。しかし、「恥ずかしい」「我慢すればよい」という気持ちから受診をためらう方が多く、治療を受けていない患者さんが多数存在するとも言われています。
Q. 多汗症の原発性と続発性の違いは何ですか?
原発性多汗症は疾患や薬の影響によらず、自律神経の過剰な活動により手のひら・脇・足の裏などに限局して発汗が起こるものです。一方、続発性多汗症は甲状腺機能亢進症・糖尿病・更年期障害・薬の副作用などが原因で発汗異常が生じます。
📌 多汗症の治療法の種類と選び方
多汗症の治療は、症状の部位や重症度、患者さんの生活スタイル、希望する治療の方向性などによって使い分けられます。主な治療法には以下のようなものがあります。
まず、外用薬として塩化アルミニウム溶液を皮膚に塗布する方法があります。汗腺を物理的にふさぐ作用があり、軽度から中等度の多汗症に使われることが多い治療法です。市販品もありますが、濃度の高いものはクリニックで処方してもらう形になります。
次に、イオントフォレーシスという方法があります。水を入れた容器に手や足を浸し、微弱な電流を流すことで汗腺の働きを抑える治療です。手掌や足底の多汗症に適しており、副作用が少ないことから安全性の高い治療として位置づけられています。ただし、週に複数回の治療が必要であり、通院の手間がかかるのが難点です。
ボトックス(ボツリヌス毒素)注射も効果的な治療法の一つです。汗腺への神経伝達を一時的にブロックすることで発汗を抑えます。腋窩多汗症に対しては保険適用となる場合があり、効果の持続期間は個人差がありますが、一般的に数ヶ月程度続くとされています。
そして、内服薬(飲み薬)による治療があります。抗コリン薬を中心に、全身的に汗の分泌を抑える効果が期待できます。外用薬やイオントフォレーシスで効果が不十分だった場合や、複数の部位に症状がある場合、通院の頻度を少なくしたい場合などに選択されることがあります。
最終手段として、胸腔鏡下交感神経遮断術(ETS)という外科的な手術もあります。交感神経を切断して発汗を止める方法で、効果は非常に高いのですが、代償性発汗(別の部位で汗が増える)といった後遺症が出る可能性があり、慎重に検討する必要があります。
治療法を選ぶ際は、まず皮膚科やクリニックで医師に相談し、症状の部位・重症度・生活への影響などを踏まえて最適な方法を決めることが大切です。
✨ 多汗症に使われる飲み薬の種類
多汗症の治療に用いられる飲み薬の中心となるのが、抗コリン薬と呼ばれる薬のグループです。抗コリン薬はもともと過活動膀胱や消化器疾患などの治療に使われてきた薬ですが、その作用機序から多汗症の治療にも応用されるようになりました。
現在、日本で多汗症の治療に用いられる代表的な抗コリン薬として以下のものがあります。
プロパンテリン(商品名:プロ・バンサイン)は、以前から多汗症の治療に使用されてきた抗コリン薬のひとつです。全身の汗腺に作用するため、手のひら・足の裏・脇などさまざまな部位の発汗を抑えることが期待できます。
オキシブチニン(商品名:ポラキス、ネオキシテープなど)は、もともと過活動膀胱の治療薬として承認されたものですが、多汗症への効果も報告されており、オフラベル(適応外使用)で処方されることもあります。海外では多汗症の治療薬として広く使われています。
また、2023年に日本でも承認された塩化グリコピロニウム(商品名:アポハイド)は、ワキの原発性局所多汗症に対して保険適用となった外用薬ですが、同成分の内服薬もあり、海外では多汗症の治療に使用されています。
その他、一部のβ遮断薬や抗不安薬なども、精神的緊張に伴う発汗の軽減を目的として補助的に使用されることがあります。ただし、これらは発汗そのものを抑える作用ではなく、精神的な緊張状態を和らげることで間接的に発汗を減らすという性格のものです。多汗症の主たる治療薬は、あくまで抗コリン薬が中心となります。
Q. 多汗症の飲み薬(抗コリン薬)はどのような仕組みで効きますか?
抗コリン薬は、汗腺を刺激する神経伝達物質アセチルコリンが受容体(ムスカリン受容体)に結合するのをブロックすることで発汗を抑制します。全身の汗腺に作用するため、手のひら・脇・足の裏など複数部位の症状を一つの薬でまとめてコントロールできるのが特徴です。
🔍 抗コリン薬の仕組みと効果
抗コリン薬がどのように多汗症に効くのかを理解するためには、まず汗が分泌される仕組みを知ることが役立ちます。
人体では、交感神経の末端からアセチルコリンという神経伝達物質が放出され、これが汗腺にあるムスカリン受容体と結合することで汗の分泌が起こります。多汗症の患者さんでは、この神経伝達が過剰に活発になっている状態と考えられています。
抗コリン薬は、このムスカリン受容体をブロックすることで、アセチルコリンが受容体に結合するのを妨げます。その結果として、汗腺への刺激が減少し、発汗が抑制されるという仕組みです。
抗コリン薬の効果は全身の汗腺に及ぶため、手のひら・足の裏・脇・顔など複数の部位に症状がある場合でも、一つの薬でまとめて対応できる可能性があります。これは、部位ごとに個別の治療が必要なイオントフォレーシスや外用薬と比べた際の、飲み薬の大きなメリットのひとつです。
効果の現れ方については個人差がありますが、多くの場合は服用を開始して数日から1〜2週間程度で発汗量の変化を感じられるようになると報告されています。ただし、効果が実感できるまでの期間には個人差があり、用量を調整しながら最適な量を見つけていく必要があります。
複数の研究や臨床報告では、抗コリン薬の内服によって多汗症患者の発汗量が有意に減少し、生活の質(QOL)が改善したという結果が示されています。ただし、すべての患者さんに同様の効果が現れるわけではなく、効果が不十分な場合や他の治療との組み合わせが必要になる場合もあります。
💪 抗コリン薬の副作用と注意点
抗コリン薬は多汗症に対して一定の効果が期待できる一方で、その作用機序から特有の副作用が生じる可能性があります。ムスカリン受容体は汗腺だけでなく、全身のさまざまな臓器にも存在するため、これらの受容体がまとめてブロックされることで複数の副作用が起こることがあります。
最も頻度が高い副作用は口の渇き(口渇)です。唾液腺にもムスカリン受容体があるため、唾液の分泌が減少することで口が乾いた感覚が生じます。服用初期に多く見られますが、慣れとともに軽減することもあります。水分を適度に補給することで対処できる場合がほとんどです。
便秘も比較的よく見られる副作用です。消化管の運動にもアセチルコリンが関与しているため、抗コリン薬によって腸の動きが抑制されることで便秘が生じることがあります。食物繊維を多く含む食事や、適度な水分摂取・運動を心がけることが対策になります。
排尿障害(尿が出にくくなる)も副作用として報告されています。特に前立腺肥大症のある男性では症状が強く出やすいため、注意が必要です。
視覚への影響として、目のかすみや光過敏(眩しさ)が現れることもあります。これは瞳孔の調節に関わる筋肉への影響によるものです。緑内障がある方では使用に慎重を要する場合があるため、眼疾患をお持ちの方は必ず事前に医師に伝えることが重要です。
心拍数の増加(頻脈)も起こることがあります。心疾患のある方は服用前に医師に相談することが必要です。
また、汗をかきにくくなることで体温調節がしにくくなる場合があります。高温環境での作業や激しい運動の際には、熱中症のリスクが高まることがあるため、夏季や暑い環境での活動には特に注意が必要です。
認知機能への影響(眠気、集中力の低下、物忘れなど)が出ることもあります。特に高齢者では副作用が強く出やすい傾向があるため、用量の設定には慎重な判断が求められます。
副作用が出た場合は自己判断で服用を中断せず、担当医に相談することが大切です。用量を調整したり、別の薬に変更したりすることで対応できる場合があります。

🎯 飲み薬はどんな人に向いているか
多汗症の治療法は複数ありますが、飲み薬(特に抗コリン薬の内服)が特に適していると考えられる方のパターンをまとめると、以下のようになります。
まず、複数の部位に多汗症の症状がある方です。手のひらだけでなく足の裏も、さらに脇も汗が多いというように、症状が複数箇所に広がっている場合、部位ごとに別々の治療を行うよりも、全身に作用する内服薬で一括して対処できるメリットがあります。
次に、通院の頻度を抑えたい方です。イオントフォレーシスは効果が高いものの、週に複数回の通院が必要になる場合があります。一方、飲み薬であれば自宅で服用できるため、通院は処方箋をもらうための定期受診のみで済みます。仕事や育児などで頻繁に通院するのが難しい方には、飲み薬が現実的な選択肢となります。
外用薬で十分な効果が得られなかった方も、内服薬の候補になります。塩化アルミニウム溶液などの外用薬を使ってみても発汗が十分に抑えられない場合、より全身的に作用する内服薬へとステップアップすることが検討されます。
皮膚への刺激に敏感な方にも向いています。外用薬は皮膚の乾燥や刺激感が出ることがあり、肌が敏感な方には使いにくいことがあります。飲み薬であれば皮膚への直接刺激がないため、そのような方にとっては選びやすい治療法といえます。
一方で、飲み薬が適していない場合や慎重に考慮が必要な場合もあります。緑内障、前立腺肥大症、重篤な心疾患などがある方は、抗コリン薬の使用に制限がかかる場合があります。また、妊娠中・授乳中の方も使用が難しい場合があります。これらに該当する方は、医師に相談のうえで適切な治療法を選ぶ必要があります。
Q. 多汗症の飲み薬による副作用で特に注意すべき点は?
抗コリン薬の主な副作用は口渇・便秘・排尿障害・目のかすみ・頻脈などです。また汗をかきにくくなることで体温調節が困難になり、夏季や高温環境では熱中症リスクが高まります。緑内障や前立腺肥大症がある方は使用に制限が生じる場合があり、事前に医師への申告が必要です。
💡 飲み薬で効果が出るまでの期間と継続について
多汗症の飲み薬を使い始めると、どのくらいで効果を感じられるのかは患者さんにとって大きな関心事です。一般的に、抗コリン薬の場合は服用を開始してから数日以内に何らかの変化が現れ始めることがありますが、安定した効果を実感するには1〜2週間程度かかることが多いとされています。
ただし、効果の出方は個人差が大きく、用量によっても変わります。最初は少量から始めて、効果と副作用のバランスを見ながら徐々に量を調整していくのが一般的なアプローチです。「最初は少し効いているような気がするけれど、もっと効いてほしい」という状態であれば、医師と相談して増量を検討することになります。
多汗症の治療において、飲み薬は症状を根本的に治すものではなく、飲み続けることで発汗を抑える「コントロール」の役割を担うものです。つまり、薬を飲んでいる間は効果が続きますが、服用をやめると再び多汗症の症状が戻ってくることが一般的です。この点をあらかじめ理解しておくことが大切です。
継続して服用する場合は、定期的に受診して状態を確認してもらうことが重要です。症状が改善されているか、副作用は問題ないか、用量は適切かといった点を医師と一緒に確認しながら、治療を継続または調整していきます。
季節によって症状が変わる方も多く、夏は汗が多くなるため用量を増やしたり、冬は症状が落ち着くため減量するといった柔軟な対応をとることもあります。自己判断で急に薬をやめたり増量したりするのは避け、必ず医師に相談したうえで調整するようにしてください。
📌 飲み薬以外の治療法との組み合わせ
多汗症の治療は、飲み薬だけで完結させる必要はありません。症状の部位や重症度に応じて、複数の治療法を組み合わせることで、より高い効果が期待できる場合があります。
例えば、手掌多汗症や足底多汗症に対してイオントフォレーシスを行いながら、それでも十分でない発汗を抑えるために内服薬を加えるという組み合わせが考えられます。このように、複数の治療を組み合わせることで、それぞれ単独では不十分だった効果を補い合うことができます。
腋窩多汗症(脇の多汗症)には、ボトックス注射と内服薬の組み合わせが選ばれることもあります。ボトックス注射の効果が薄れてきた時期を飲み薬でカバーするという使い方です。
生活習慣の見直しも、薬物療法と並行して重要です。カフェインやアルコール、辛い食べ物などは発汗を促進させることがあるため、過剰な摂取を控えることが症状の軽減につながる場合があります。また、ストレス管理も多汗症の症状に影響することがあるため、適度な運動、十分な睡眠、リラクゼーション法の実践なども治療を補完するものとして意識してみることが大切です。
スキンケアの観点からも、多汗症によって皮膚トラブルが起きやすくなることがあります。汗による皮膚の湿潤が続くと、汗疹(あせも)や細菌・真菌感染が生じやすくなることがあるため、清潔を保つスキンケアも並行して行うことが推奨されます。
どの治療法をどのように組み合わせるかは、個々の患者さんの症状や生活環境に合わせて決めていくことが大切です。自分の状況に最も合った組み合わせを医師と相談しながら見つけていくプロセスが、多汗症治療の成功につながります。
Q. 多汗症の飲み薬は保険適用で処方してもらえますか?
使用する薬剤によって異なります。プロパンテリン(プロ・バンサイン)は多汗症に対して保険適用が認められた抗コリン薬です。一方、オキシブチニンなど保険承認を受けていない薬を多汗症に使用する場合は適応外使用となり、自費診療になることがあります。受診前にクリニックへ確認することをおすすめします。
✨ 多汗症の飲み薬は保険適用になるか
多汗症の治療に使われる飲み薬が健康保険の適用となるかどうかは、使用する薬剤の種類と、その薬が多汗症に対して正式な保険適用を取得しているかによって異なります。
日本では、多汗症に対して保険適用が認められている内服薬は現時点では限られています。多汗症の治療に広く使われる抗コリン薬の一部は、多汗症という適応では保険承認を受けておらず、「適応外使用(オフラベル使用)」として処方されることがあります。この場合、保険が使えず自費診療となることが一般的です。
一方、原発性腋窩多汗症に対するボツリヌス毒素製剤の注射は、2020年に保険適用が認められました。ただし、保険適用には一定の重症度基準(Hyperhidrosis Disease Severity Scale:HHSSスコアなど)を満たす必要があり、すべての患者さんに適用されるわけではありません。
プロパンテリン(プロ・バンサイン)は、多汗症に対して保険適用が認められている抗コリン薬のひとつとして知られており、医師の判断のもと保険診療の範囲内で処方される場合があります。ただし、すべての医療機関で処方されているわけではないため、受診前に確認しておくとよいでしょう。
自費診療の場合は保険が利かないため費用が高くなりますが、保険診療では使えない薬や用量で治療が受けられるというメリットがあります。また、美容クリニックでは自費診療を前提として、より幅広い選択肢の中から治療法を提案してもらえる場合もあります。
どの薬が保険適用になるか、自費になるかは医療機関によっても異なりますので、受診前に問い合わせるか、初診時に医師・スタッフに確認してみてください。費用についての不安がある場合も、遠慮なく相談することをおすすめします。
🔍 クリニックへの相談タイミングと受診の流れ

多汗症の症状に気づいていても、「どのくらいひどければ病院に行くべきなのか」という基準がわからず、受診をためらっている方も多いようです。
一般的に、以下のような状況が続いている場合は、医療機関への相談を検討する目安になります。
汗が日常生活に支障をきたしている場合です。たとえば、書類や電話が汗で濡れてしまう、PCのキーボードやタッチパネルが反応しにくい、握手や人との接触を避けるようになった、発汗への不安から外出や人付き合いが減った——このような状況は、生活の質(QOL)が明らかに低下していることを示しており、治療を検討すべきサインと言えます。
市販品を試しても改善しない場合も受診の目安です。制汗剤や市販の塩化アルミニウム製品を使用してみたものの効果が感じられない場合は、より専門的な治療が必要なことが多いため、クリニックへの相談をおすすめします。
仕事や学業に影響が出ている場合も、早めに受診することをおすすめします。手の汗で楽器が弾けない、接客業で人と握手できない、書類作業に支障が出るなどの問題は、生活の根幹に関わることであり、放置するほど精神的な負担も大きくなりやすいです。
受診の流れについては、まず皮膚科や多汗症専門のクリニックを受診するのが一般的です。初診では問診や視診を行い、発汗の部位・量・状況などについて詳しく聞かれます。必要に応じてヨウ素デンプン法などの検査(Minor法)で発汗部位の確認を行うこともあります。その結果を踏まえて、適切な治療法が提案されます。
飲み薬の治療を選択した場合は、最初は少量から試し、効果や副作用を見ながら用量を調整していきます。定期的に受診して状態を確認することが治療を続けていくうえで大切です。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「多汗症でお悩みの患者様のうち、複数の部位に症状をお持ちの方や通院頻度を抑えたい方を中心に、抗コリン薬の内服治療をご提案するケースがあるようです。飲み薬は口の渇きや便秘といった副作用が生じることもありますが、用量を丁寧に調整しながら継続することで、多くの方に発汗量の改善と日常生活のQOL向上を実感していただいています。「汗が多いのは体質だから」と長年お一人で抱え込んでいた方も、ぜひ気軽にご相談いただければと思います。」
💪 よくある質問
多汗症の飲み薬は、抗コリン薬が中心です。代表的なものにプロパンテリン(プロ・バンサイン)やオキシブチニン(ポラキスなど)があります。これらはもともと過活動膀胱などの治療薬として使われてきたものですが、汗腺への神経伝達をブロックする作用から、多汗症の治療にも用いられています。
抗コリン薬を服用し始めると、数日以内に変化を感じるケースもありますが、安定した効果を実感するまでには1〜2週間程度かかることが多いとされています。効果の出方には個人差があり、少量から始めて副作用と効果のバランスを見ながら用量を調整していくのが一般的なアプローチです。
最も多い副作用は口の渇き(口渇)で、次いで便秘、排尿障害、目のかすみ、心拍数の増加などが報告されています。また、汗をかきにくくなることで体温調節がしづらくなり、夏場や高温環境では熱中症のリスクが高まる点にも注意が必要です。副作用が気になる場合は、自己判断で中断せず必ず医師にご相談ください。
使用する薬剤によって異なります。プロパンテリン(プロ・バンサイン)は多汗症に対して保険適用が認められている抗コリン薬として知られています。一方、多汗症への正式な保険承認を受けていない薬を使う場合は適応外使用となり、自費診療になることがあります。詳しくは受診前にクリニックへお問い合わせいただくことをおすすめします。
手のひら・脇・足の裏など複数の部位に症状がある方や、通院の頻度を抑えたい方に特に向いています。また、外用薬で十分な効果が得られなかった方や、皮膚への刺激に敏感な方にも選びやすい治療法です。当院でも、複数部位に症状をお持ちの方を中心に抗コリン薬の内服治療をご提案するケースが増えています。
🎯 まとめ
多汗症は、汗が過剰に分泌されることで日常生活に大きな支障をきたす病気ですが、適切な治療によって症状をコントロールすることが可能です。飲み薬(内服薬)による治療は、特に抗コリン薬が中心となり、複数の部位の発汗を全身的に抑える効果が期待できます。
飲み薬のメリットは、複数の部位に一括して効果を発揮できること、自宅で服用できるため通院の手間が少ないこと、皮膚への直接刺激がないことなどです。一方で、口の渇き、便秘、排尿障害などの副作用が生じる可能性があること、緑内障や前立腺肥大症などの疾患がある方は使用に制限が出る場合があること、基本的には飲み続けることで効果を維持するものであることも理解しておく必要があります。
どんな治療法を選ぶかは、症状の部位・重症度・生活環境・体の状態によって異なります。大切なのは、「汗が多いのは仕方ない」と諦めずに、専門の医師に相談することです。適切な診断と治療によって、多汗症の症状を大幅に改善させることは十分に可能です。
もし汗の悩みで毎日の生活が辛くなっているなら、ぜひ一度クリニックへの相談を検討してみてください。治療の選択肢を知るだけでも、気持ちがずっと楽になることがあります。あなたに合った最適な治療法を一緒に見つけていきましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 原発性局所多汗症の診断基準・有病率(手掌多汗症の有病率約5%)・治療法の選択(外用薬・イオントフォレーシス・ボトックス注射・内服薬・手術)に関する診療ガイドライン
- 厚生労働省 – 抗コリン薬(プロパンテリン等)およびボツリヌス毒素製剤の保険適用・適応外使用に関する薬事承認情報、医薬品の使用上の注意・副作用情報
- PubMed – 多汗症に対する抗コリン薬内服治療の有効性・安全性・QOL改善効果に関する海外臨床研究および系統的レビュー
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務