メトホルミンで若返りは本当に起こる?抗老化効果の最新研究と可能性

考え事をする女性

「糖尿病の薬が老化を防ぐ」という話を耳にしたことはあるでしょうか。メトホルミンは長年にわたって2型糖尿病の治療薬として世界中で広く使われてきた薬ですが、近年では老化の抑制や寿命の延長に関係するという研究結果が次々と発表され、アンチエイジング(抗老化)医学の分野で大きな注目を集めています。実際に海外では一部の医療機関がメトホルミンを「長寿薬」として処方するケースも出てきており、その可能性に関心を持つ方が増えています。この記事では、メトホルミンがなぜ若返りや抗老化に関わると考えられているのか、現時点でわかっていること、まだわかっていないこと、そして日本で利用する際の注意点などを、医学的な根拠をもとにわかりやすく解説します。


目次

  1. メトホルミンとはどんな薬か
  2. 老化とはどういうメカニズムで起きるのか
  3. メトホルミンが若返りに関係するとされる理由
  4. 動物実験でわかっていること
  5. 人間への効果に関する研究・臨床試験
  6. メトホルミンが期待される具体的な抗老化効果
  7. 副作用とリスクについて
  8. 日本における使用状況と入手方法
  9. メトホルミンだけに頼らない抗老化アプローチ
  10. まとめ

この記事のポイント

糖尿病治療薬メトホルミンはAMPK活性化やmTOR抑制を通じ老化抑制の可能性が研究で示唆されているが、健康な人への抗老化目的使用は日本では適応外であり、当院では血液検査と医師判断のもと運動・食事等の生活習慣改善を土台とした選択肢の一つとして位置づけている。

🎯 1. メトホルミンとはどんな薬か

メトホルミン(metformin)は、ビグアナイド系と呼ばれるカテゴリーに属する経口血糖降下薬です。主に2型糖尿病の治療に用いられており、日本でも「メトグルコ」「グリコラン」などの商品名で処方されています。世界保健機関(WHO)の必須医薬品リストにも掲載されており、安価で安全性が高く、長い使用実績を持つ薬として知られています。

メトホルミンの主な働きは、肝臓での糖の産生を抑えること、インスリンへの感受性を高めること、そして腸管からの糖の吸収を緩やかにすることです。これらの作用によって血糖値を適切な範囲に保つのに役立ちます。インスリンを分泌させる薬とは異なり、単独では低血糖を引き起こしにくいという特徴もあります。

もともとはフランスのライラック(Galega officinalis)という植物に含まれるグアニジン化合物から着想を得て開発されたとされており、1950年代にフランスで初めて使用が始まりました。日本では1961年に承認されており、実に60年以上にわたって使われ続けている薬です。これほど長い実績を持ちながら、近年になって新たな可能性が次々と発見されているのは非常に興味深いことです。

Q. メトホルミンが抗老化に関係するとされる仕組みは?

メトホルミンは細胞のエネルギーセンサーであるAMPKを活性化し、不要なタンパク質を分解・再利用するオートファジーを促進します。また、細胞の過剰な成長や老化を促すmTORシグナルを抑制し、慢性炎症を引き起こすNF-κB経路を抑える作用も報告されており、複数のメカニズムから老化プロセスに働きかける可能性が研究で示唆されています。

📋 2. 老化とはどういうメカニズムで起きるのか

メトホルミンの抗老化作用を理解するためには、まず老化そのものがどのようなメカニズムで進むのかを知る必要があります。老化は単純に「時間が経つと細胞が劣化する」という現象ではなく、複数の分子・細胞レベルのプロセスが複雑に絡み合っています。

まず重要なのがDNAの損傷と修復能力の低下です。私たちの細胞は日々多くのDNA損傷にさらされていますが、若いうちはこれを効率よく修復できます。しかし年齢とともにその修復能力が落ちてくると、細胞の機能異常や死滅が増えてきます。

次に「テロメアの短縮」があります。テロメアとは染色体の末端にある保護キャップのような構造で、細胞が分裂するたびに少しずつ短くなっていきます。テロメアが一定以上短くなると、細胞は分裂を止め、老化細胞(セネッセント細胞)という特殊な状態になります。老化細胞は死ぬわけではありませんが、炎症を引き起こす物質を分泌し続けるため、周囲の組織に悪影響を与えます。

また「酸化ストレス」も老化の主要な要因のひとつです。細胞がエネルギーを産生する際に発生する活性酸素(フリーラジカル)は、DNAやタンパク質、細胞膜を傷つけます。抗酸化システムがうまく機能しなくなると、こうした酸化によるダメージが蓄積します。

さらに「慢性炎症(inflammaging)」も重要なキーワードです。加齢とともに体内に低レベルの慢性的な炎症が起きやすくなり、これがさまざまな老化関連疾患の根本にあると考えられています。そして「ミトコンドリア機能の低下」も老化に深く関わります。ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場ですが、加齢とともにその数が減り、機能も落ちてきます。

こうした老化メカニズムに対して、メトホルミンがどのように作用するのかが、近年の研究で少しずつ明らかになってきています。

💊 3. メトホルミンが若返りに関係するとされる理由

メトホルミンが抗老化に関連するとされる最も重要な理由のひとつは、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)と呼ばれる酵素を活性化する働きにあります。AMPKは細胞のエネルギーセンサーのような役割を果たしており、活性化されると細胞は省エネモードに切り替わり、不要なものを分解・リサイクルする「オートファジー」が促進されます。

オートファジーとは、細胞が自身の不要なタンパク質や機能不全に陥ったミトコンドリアなどを分解して再利用するプロセスです。老化細胞では、このオートファジー機能が低下することが知られており、その結果として不要物が蓄積し、細胞の機能が落ちていきます。メトホルミンによってAMPKが活性化され、オートファジーが促進されることで、細胞の「大掃除」が助けられると考えられています。

もうひとつ注目されるのが、mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)シグナルの抑制です。mTORは細胞の成長や代謝を調節するタンパク質で、過剰に活性化すると老化が促進されることが知られています。メトホルミンはmTORの活性を抑えることで、老化のブレーキをかける作用があると考えられています。

また、メトホルミンは腸内細菌叢(腸内フローラ)にも影響を与えることが明らかになっています。健康な腸内環境は全身の炎症レベルや免疫機能に深く関わっており、老化プロセスとも無関係ではありません。メトホルミンが特定の有益な腸内細菌を増やすことで、間接的に抗老化効果を発揮している可能性があります。

さらに、インスリン感受性の改善そのものが老化抑制に寄与するという考え方もあります。インスリンシグナルの過活性化は多くの動物モデルで寿命を縮めることが示されており、インスリン抵抗性の改善が老化プロセスに良い影響を与える可能性があります。

Q. メトホルミンの抗老化効果を調べる人間対象の臨床試験は?

アメリカで進行中のTAME試験は、65〜79歳の高齢者約3,000人を対象に、メトホルミンが心疾患・がん・認知症などの加齢関連疾患の発症を遅らせるかを検証する大規模臨床試験です。「老化そのものを治療対象とする」という画期的な視点で実施されており、最終結果は数年後に判明する予定です。現時点では結論は出ていません。

🏥 4. 動物実験でわかっていること

メトホルミンの抗老化効果に関する動物実験は数多く行われており、特に線虫(C. elegans)やマウスを使った研究が豊富です。

線虫を使った実験では、メトホルミンを与えた線虫の寿命が対照群と比べて延びることが複数の研究で示されています。この際、AMPK活性化やmTOR抑制が重要な役割を果たしていることも確認されています。また線虫の運動能力や健康的な状態で過ごせる期間(ヘルススパン)も改善されることが示されています。

マウスを使った研究では、結果が少し複雑です。ある研究ではメトホルミンを与えたマウスが対照群より長生きしたことが報告されましたが、別の研究では効果が限定的だったり、用量や投与開始時期によって結果が異なったりすることも示されています。特に注目されたのは、アメリカの国立老化研究所(NIA)が実施したITP(Interventions Testing Program)という大規模動物試験で、メトホルミン投与によって雄マウスの寿命が延びる傾向が認められましたが、雌では効果が見られなかったという結果です。

また、メトホルミンとカロリー制限の組み合わせに関する興味深い研究もあります。カロリー制限は最も確実に寿命を延ばす介入として知られていますが、メトホルミンがカロリー制限と似たような遺伝子発現パターンを引き起こすという報告があります。これは「薬によってカロリー制限を模倣できる可能性」を示唆するものとして注目されました。

ただし、動物実験の結果を人間にそのまま当てはめることはできないため、こうした知見はあくまで人間への研究の出発点として捉える必要があります。

⚠️ 5. 人間への効果に関する研究・臨床試験

動物実験での有望な結果を受けて、人間でのメトホルミンの抗老化効果を調べる研究も進んでいます。特に注目されているのが、TAME(Targeting Aging with Metformin)試験と呼ばれる大規模な臨床試験です。

TAME試験はアメリカで行われており、65〜79歳の高齢者約3,000人を対象に、メトホルミンが加齢関連疾患(心疾患、がん、認知症、脂肪肝など)の発症を遅らせるかどうかを調べるものです。この試験は単に特定の病気を防ぐことを目的とするのではなく、「老化そのものを治療可能な状態として捉える」という画期的な視点で行われています。現在も試験が継続中であり、最終的な結果は数年後に出る予定です。

一方、すでにある程度のデータが得られている観察研究も存在します。イギリスの大規模データベースを使った研究では、メトホルミンを服用している2型糖尿病患者が、薬を服用していない糖尿病患者だけでなく、糖尿病のない一般の人々と比べても、いくつかの評価指標で長生きする傾向が見られたという報告があります。これは非常に驚くべき結果で、メトホルミンが単に血糖を下げるだけでなく、より広い意味での健康維持に役立っている可能性を示しています。

がんとの関係についても興味深いデータがあります。メトホルミンを服用している糖尿病患者は、他の糖尿病治療薬を服用している患者と比べて、特定のがん(乳がん、大腸がん、前立腺がんなど)の発症リスクが低いという観察研究が複数あります。ただしこれらの研究の多くは観察研究であり、メトホルミン自体の効果なのか、他の要因によるものなのかを完全に区別することは難しい状況です。

認知機能との関係も調べられています。一部の研究では、メトホルミンを長期間服用することで、アルツハイマー病を含む認知症のリスクが低下する可能性が示唆されています。脳の炎症を抑えたり、インスリン感受性を改善することで、神経細胞の機能維持に役立つのではないかと考えられています。

Q. メトホルミンを長期服用する際の主な注意点は?

メトホルミンの長期服用では、腸管でのビタミンB12吸収が低下し、末梢神経障害や貧血につながるリスクがあるため、定期的な血中濃度測定と必要に応じた補充が重要です。また腎機能が低下している方は乳酸アシドーシスのリスクから使用できない場合があります。さらに高齢者の運動による筋肥大効果を一部打ち消す可能性も報告されており、医師との継続的なフォローアップが必要です。

🔍 6. メトホルミンが期待される具体的な抗老化効果

現在の研究から示唆されているメトホルミンの具体的な抗老化効果をいくつか紹介します。ただし、これらはまだ研究段階のものが多く、すべてが確立された効果として認められているわけではありません。

まず、慢性炎症の抑制が挙げられます。「inflammaging(インフラメイジング)」とも呼ばれる加齢に伴う慢性炎症は、心臓病、糖尿病、がん、アルツハイマー病などさまざまな老化関連疾患の根底にあると考えられています。メトホルミンはNF-κBというシグナル経路を抑制することで、炎症を引き起こすサイトカインの産生を減らす働きがあることが示されています。

次に、心血管系の保護効果です。メトホルミンは血糖降下作用とは独立して、心臓や血管に対する保護的な働きを持つことが示されています。大規模な臨床試験(UKPDS)では、メトホルミンを服用した2型糖尿病患者で心筋梗塞などの心血管イベントが減少したことが報告されました。動脈硬化の進行を抑えたり、血栓ができにくくする働きも関与していると考えられます。

がんの予防・抑制に関する可能性も研究されています。メトホルミンはAMPK活性化を通じてmTORを抑え、がん細胞の増殖を抑制する可能性があります。また、がん細胞のエネルギー代謝に干渉することで、がん細胞が生きにくい環境をつくるとも考えられています。ただし、がんの予防薬・治療薬としての使用はまだ研究段階です。

骨格筋の維持も注目されるポイントです。加齢とともに筋肉が減少するサルコペニアは、転倒・骨折のリスクを高め、生活の質を著しく低下させます。メトホルミンが筋肉の炎症を抑え、筋肉の質の維持に役立つ可能性が示されています。ただし一方では、運動によって得られる筋肥大の効果をメトホルミンが一部相殺してしまうという研究報告もあり、この点については慎重に考える必要があります。

腸内環境の改善という観点でも、メトホルミンは有益な働きをする可能性があります。腸内細菌のバランスは全身の健康に深く関わっており、メトホルミンが有益な細菌種を増やすことが複数の研究で示されています。例えば、酪酸を産生する細菌が増えることで、腸の炎症が抑えられる可能性があります。

さらに、メトホルミンが「生物学的年齢」を実際の年齢(暦年齢)よりも若くする働きがあるかどうかを調べた研究もあります。DNAメチル化パターンを使って生物学的年齢を推定する「エピジェネティック時計」を用いた解析では、メトホルミン服用者で生物学的年齢が実際の年齢より若い傾向が見られたという報告があります。

📝 7. 副作用とリスクについて

メトホルミンは比較的安全な薬として知られていますが、副作用がないわけではありません。特に抗老化目的で使用する場合、対象となるのは必ずしも糖尿病の患者さんではないため、リスクとベネフィットのバランスをより慎重に考える必要があります。

最も多い副作用は消化器系の症状です。吐き気、下痢、腹痛、食欲不振などが服用開始後に起きることがあります。多くの場合、少量から始めて徐々に増量したり、食事と一緒に服用することで軽減できます。また時間の経過とともに慣れてくることも多いですが、一定の割合で消化器症状が続く方もいます。

長期服用で注意が必要なのがビタミンB12の吸収低下です。メトホルミンは腸管でのビタミンB12の吸収を妨げることが知られており、長期間服用すると血中のビタミンB12濃度が低下し、末梢神経障害や貧血につながる可能性があります。長期間服用する場合は定期的にビタミンB12の血中濃度を測定し、必要に応じて補充することが大切です。

乳酸アシドーシスという重篤な副作用も存在しますが、これは非常にまれで、主に腎機能が低下している方に起きるリスクがあります。腎機能が一定レベル以下の方にはメトホルミンの使用は禁忌または慎重投与とされており、腎機能を定期的にチェックすることが重要です。また、ヨード造影剤を使用する検査(CTなど)の前後はメトホルミンを一時中断する必要があることも覚えておく必要があります。

先述のように、激しい運動の効果を一部打ち消す可能性があるという点も見逃せません。2019年に発表された研究では、高齢者が運動プログラムを行う際にメトホルミンを併用すると、メトホルミンを服用しない場合と比べて筋肉の増量効果が小さかったという結果が出ています。運動は老化予防において非常に重要な要素ですので、このトレードオフを理解したうえで使用を検討することが必要です。

また、現時点では健康な人に対する抗老化目的のメトホルミン使用は、日本において正式に承認されていません。適応外使用となるため、医師との十分な相談のうえで、個々のリスクとベネフィットを慎重に評価することが不可欠です。

Q. 日本でメトホルミンを抗老化目的で使用できますか?

日本ではメトホルミンは2型糖尿病治療にのみ承認されており、抗老化目的の使用は適応外(オフラベル)となります。腎機能・ビタミンB12・血糖値などの血液検査結果をもとに医師が個別に判断し、運動・食事・睡眠など生活習慣改善を土台としたうえで、選択肢のひとつとして相談に応じています。個人輸入は品質面のリスクがあり推奨されません。

💡 8. 日本における使用状況と入手方法

日本でメトホルミンが承認されているのは、2型糖尿病の治療に限られています。したがって、抗老化や長寿目的でメトホルミンを使用することは、現時点では適応外(オフラベル)使用となります。

アメリカやヨーロッパの一部では、予防的・抗老化目的でのメトホルミン処方に積極的な医師や医療機関もありますが、日本の医療制度では適応外使用に対する規制があり、保険適用外となることはもちろん、処方を行う医師の判断と責任のもとで行われる必要があります。

アンチエイジング医療や予防医療を専門とするクリニックでは、抗老化目的でのメトホルミンについて相談に応じているところもあります。ただし、インターネットで海外のサイトから個人輸入する行為は、品質管理の面でリスクがあり、また偽造品の問題も存在するため、信頼できる医療機関での受診を通じて適切な形で使用することが強く推奨されます。

メトホルミンの使用を検討する場合は、事前に空腹時血糖、HbA1c、腎機能(クレアチニン、eGFR)、肝機能、ビタミンB12などの血液検査を行い、自分の現在の健康状態を把握することが前提となります。特に腎機能に問題がある方は使用できない場合があるため、必ず医師の診察を受けるようにしてください。

また、使用開始後も定期的なフォローアップ(血液検査など)が重要です。特にビタミンB12の低下は徐々に進むため、症状が出てから気づくのでは遅い場合があります。少なくとも年に1回程度はビタミンB12を含む血液検査を行うことが望ましいとされています。

✨ 9. メトホルミンだけに頼らない抗老化アプローチ

メトホルミンへの関心が高まっているとはいえ、現時点ではその抗老化効果は研究段階であり、単独で「若返り」を実現できる魔法の薬ではありません。健康的な老化(healthy aging)を実現するためには、生活習慣全体を見直すことが何より重要です。

運動は老化対策において最も強力なエビデンスを持つ介入のひとつです。特に有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせることで、心肺機能の維持、筋肉量の保持、インスリン感受性の改善、認知機能の維持など、多岐にわたる恩恵が得られます。前述のように、メトホルミンが運動の筋肥大効果を一部打ち消す可能性があることを考えると、運動をないがしろにすることはできません。

食事については、カロリー制限や断続的断食(インターミッテント・ファスティング)が老化抑制に効果があるという研究が多くあります。地中海食やいわゆる「長寿食」と呼ばれる食パターン(野菜、果物、全粒穀物、豆類、魚、良質な油脂を中心にした食事)も、様々な慢性疾患のリスクを下げることが示されています。過剰な糖質や加工食品の摂取を避けることも重要です。

睡眠は見落とされがちですが、老化と深い関係があります。睡眠中には成長ホルモンの分泌、脳内の老廃物(アミロイドβなど)のクリアランス、DNAの修復などが行われます。慢性的な睡眠不足は老化を早める要因となりますので、質の高い睡眠を確保することは抗老化戦略の基本です。

ストレス管理も重要な要素です。慢性的な精神的ストレスはコルチゾールの過剰分泌を招き、免疫機能の低下、筋肉の分解、脳への悪影響など、多くの老化促進作用をもたらします。瞑想、ヨガ、自然の中での活動、趣味の時間など、自分に合ったストレス解消法を持つことが助けになります。

禁煙と節酒も基本です。喫煙は老化の最大の促進要因のひとつであり、肺がんだけでなく、皮膚の老化、心血管疾患、認知機能低下など、全身に影響します。アルコールの過剰摂取も肝臓への負担、睡眠の質の低下、脳への悪影響などを通じて老化を促進します。

社会的なつながりも老化や寿命に影響することが多くの研究で示されています。孤独感は慢性炎症を引き起こし、心身の健康に悪影響を与えます。家族、友人、コミュニティとの良好な関係を維持することが、健康的な老化の重要な要素のひとつです。

アンチエイジングに特化したクリニックでは、メトホルミン以外にも様々なアプローチが提供されています。NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)やレスベラトロールなどのサプリメント、ホルモン補充療法、幹細胞療法、プラズマリッチプロテイン(PRP)療法など、様々な方法がありますが、それぞれにエビデンスの強さや安全性に違いがあります。専門の医師と相談しながら、自分の状態に合ったアプローチを選ぶことが大切です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院でも近年、メトホルミンの抗老化効果に関心を持ってご相談にいらっしゃる方が増えており、その可能性に対する社会的な関心の高まりを実感しています。記事にもある通り、TAME試験をはじめとする大規模臨床試験の結果がまだ出ていない段階であり、現時点では生活習慣の改善を土台としながら、医師と十分に相談したうえで検討すべき選択肢と捉えていただくことが大切です。」

📌 よくある質問

メトホルミンはどんな薬で、なぜ抗老化に注目されているのですか?

メトホルミンは60年以上の使用実績を持つ2型糖尿病治療薬です。細胞のエネルギーセンサーであるAMPKを活性化し、オートファジーの促進・慢性炎症の抑制・mTORの抑制など、複数のメカニズムで老化プロセスに働きかける可能性が研究で示唆されており、抗老化医学の分野で注目を集めています。

メトホルミンの抗老化効果は人間でも確認されていますか?

現在、アメリカでTAME試験と呼ばれる約3,000人規模の大規模臨床試験が進行中です。また観察研究では、メトホルミン服用の糖尿病患者が非服用者より長生きする傾向が報告されています。ただし最終的な結論はまだ出ておらず、結果は数年後に判明する予定です。

メトホルミンの主な副作用や注意点は何ですか?

最も多い副作用は吐き気・下痢などの消化器症状で、少量から始めることで軽減できます。長期服用ではビタミンB12の吸収低下に注意が必要です。また腎機能が低下している方は使用できない場合があります。激しい運動の筋肥大効果を一部打ち消す可能性もあるため、医師と相談のうえ使用を検討してください。

日本でメトホルミンを抗老化目的で使用することはできますか?

日本ではメトホルミンは2型糖尿病治療にのみ承認されており、抗老化目的での使用は適応外(オフラベル)となります。アンチエイジング専門クリニックで相談は可能ですが、腎機能やビタミンB12を含む血液検査を事前に行い、医師の判断のもとで使用することが必要です。個人輸入は品質面のリスクがあり推奨されません。

メトホルミンさえ飲めば若返り効果は得られますか?

メトホルミンは抗老化の候補薬のひとつですが、単独で若返りを実現できる魔法の薬ではありません。運動・食事・睡眠・ストレス管理といった生活習慣の改善が健康的な老化の土台となります。当院では、メトホルミンはあくまで生活習慣の基盤を整えたうえで検討する選択肢のひとつとして位置づけています。

🎯 まとめ

メトホルミンは60年以上の使用実績を持つ糖尿病治療薬でありながら、近年では抗老化・若返りの可能性を持つ薬として世界中の研究者や医師から注目を集めています。AMPK活性化、mTOR抑制、オートファジーの促進、慢性炎症の軽減、腸内環境の改善など、複数のメカニズムを通じて老化プロセスに働きかける可能性があることが、細胞・動物・一部の人間を対象とした研究から示唆されています。

一方で、健康な人に対する抗老化目的でのメトホルミン使用については、現時点で最終的な結論が出ているわけではありません。TAME試験をはじめとする大規模臨床試験の結果が待たれており、これらの結果によってその評価は大きく変わりうる状況です。また、日本では適応外使用となるため、医師への相談なしに入手・使用することは避けるべきです。

副作用として消化器症状やビタミンB12の低下があること、腎機能が低下している場合は使用できないこと、激しい運動の筋肥大効果を一部打ち消す可能性があることなど、考慮すべき点も複数あります。使用を検討する際は、必ず専門の医師に相談し、適切な検査と継続的なフォローアップのもとで行うことが安全です。

メトホルミンは抗老化医学における重要な候補薬のひとつですが、それだけで「若返り」を実現できるものではありません。運動、食事、睡眠、ストレス管理といった生活習慣の基盤をしっかりと整えたうえで、医学的サポートの選択肢のひとつとして位置づけることが、健康で活力ある老後への現実的なアプローチといえるでしょう。老化の科学は日進月歩で進んでいます。最新の情報を医師と共有しながら、自分の体と向き合い続けることが、何より大切なことかもしれません。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – メトホルミン(メトグルコ等)の医薬品添付文書・承認情報および2型糖尿病治療薬としての日本国内における適応・使用上の注意に関する公式情報
  • WHO(世界保健機関) – WHOの必須医薬品リストにおけるメトホルミンの掲載情報および国際的な安全性・有効性評価に関する公式情報
  • PubMed – メトホルミンの抗老化効果・AMPK活性化・TAME臨床試験・動物実験結果等に関する査読済み学術論文群

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

プロフィールを見る

佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

プロフィールを見る

電話予約
0120-000-702
1分で入力完了
簡単Web予約
LINE
運営:医療法人社団鉄結会