下腹部にしこりがあって押すと痛い原因と受診のポイント

考え事をする女性

ふとお腹を触ったとき、下腹部に硬いしこりのようなものを感じた経験はありませんか。しかも押すと痛みが走る場合、「これは何だろう」「放置しても大丈夫なのだろうか」と不安になる方は多いでしょう。下腹部のしこりは、良性のものから悪性のもの、婦人科系の疾患から消化器系の疾患まで、実に多様な原因によって引き起こされます。特に押したときに痛みを伴う場合は、何らかの炎症や内圧の変化が起きているサインである可能性もあります。この記事では、下腹部にしこりができて押すと痛い場合に考えられる主な原因と、それぞれの特徴、そして受診のタイミングや診療科の選び方について詳しく解説します。一人で悩まずに、正しい知識を身につけて適切な対処につなげていただければ幸いです。

🚨 こんな症状、放置してませんか?

😟 「下腹部にしこりがある…でも病院行くのは大げさかな」

😰 「押すと痛いけど、そのうち治るかも…」

⚡ 放置するとこんなリスクが!

卵巣嚢腫・子宮筋腫・鼠径ヘルニアなどは、放置すると手術が必要になるケースも。早期発見・早期治療が重要です。

💡 この記事を読むと…

  • しこりの原因(男女別)がわかる
  • 今すぐ受診すべき危険サインがわかる
  • ✅ どの診療科に行けばいいかわかる

目次

  1. 下腹部のしこりとはどのような状態か
  2. 押すと痛い下腹部のしこり:考えられる原因(男女共通)
  3. 女性に多い下腹部のしこりの原因
  4. 男性に多い下腹部のしこりの原因
  5. しこりの性状から原因を読み解くヒント
  6. すぐに受診すべき危険なサイン
  7. どの診療科を受診すればよいか
  8. 受診前に準備しておくこと
  9. 検査・診断の流れ
  10. まとめ

この記事のポイント

下腹部のしこりで押すと痛い場合、鼠径ヘルニア・リンパ節炎・子宮筋腫・卵巣嚢腫など多様な原因が考えられる。激しい痛みや高熱を伴う場合は緊急受診が必要で、症状に応じて内科・婦人科・外科を選ぶことが重要。

💡 下腹部のしこりとはどのような状態か

下腹部とは、一般的におへそより下から鼠径部(そけいぶ:足の付け根)にかけての領域を指します。この部位には、大腸の一部(S状結腸・直腸)、膀胱、子宮・卵巣(女性)、前立腺・精巣(男性)、リンパ節、腸間膜、腹壁の筋肉や脂肪組織など、多くの臓器や組織が集まっています。

「しこり」というのは、皮膚や皮下組織、あるいは内部の臓器に生じた腫れや硬化した組織の塊を指します。触ったときに周囲の組織よりも硬く感じられたり、明らかに膨らみとして感じられたりするものが「しこり」として認識されます。下腹部のしこりは、皮膚のすぐ下にある浅いものから、腹腔内の深いところにある臓器由来のものまで、深さもさまざまです。

しこりに押したときの痛みが伴う場合、炎症を起こしている可能性、内部に液体や膿が貯留している可能性、あるいは臓器が圧迫されて血流が悪くなっている可能性などが考えられます。痛みのないしこりと比べて、痛みがある場合のほうが急性の問題を抱えていることが多く、早めの対処が求められるケースも少なくありません。

Q. 下腹部のしこりを押すと痛い主な原因は?

下腹部のしこりを押すと痛い場合、リンパ節炎・鼠径ヘルニア・虫垂周囲膿瘍・子宮筋腫・卵巣嚢腫など多様な原因が考えられます。押したときの痛みは、しこり内部や周囲の炎症、液体・膿の貯留、臓器への血流障害を示すサインである可能性があり、早めの受診が推奨されます。

📌 押すと痛い下腹部のしこり:考えられる原因(男女共通)

✅ リンパ節の腫れ(リンパ節炎)

下腹部から鼠径部にかけては、多数のリンパ節が存在します。風邪や感染症、皮膚の傷や虫刺されなど、下半身の炎症や感染に反応してリンパ節が腫れることがあります。リンパ節炎によるしこりは比較的柔らかく、押すと痛みを感じるのが特徴です。発熱や倦怠感を伴うこともあります。多くの場合、原因となる感染症が治れば自然に縮小しますが、長期間腫れが続く場合はリンパ腫などの可能性も否定できないため、医療機関への相談が必要です。

📝 鼠径ヘルニア(脱腸)

鼠径ヘルニアとは、腸の一部が鼠径部の筋肉の隙間から飛び出してしまう状態です。立ったときや力んだときに鼠径部に膨らみが現れ、横になると引っ込むことが多いのが特徴的なサインです。初期は押すと違和感や軽い痛みを感じる程度ですが、腸が締め付けられて血流が悪くなる「嵌頓(かんとん)」と呼ばれる状態になると激しい痛みが生じ、緊急手術が必要になることもあります。男性に多い疾患ですが、女性にも見られます。

🔸 腸閉塞・腸の病気

大腸の腫瘍や炎症、癒着などによって腸が部分的に詰まったり狭くなったりすると、その部位に腫れを感じることがあります。押すと痛みがあり、腹部膨満感や便秘、下痢などの症状を伴うことが多いです。大腸がんの場合も、進行するとしこりとして触れることがあります。

⚡ 虫垂炎(盲腸炎)・虫垂周囲膿瘍

虫垂炎は右下腹部の痛みとして有名ですが、虫垂の炎症が周囲の組織に広がって膿の塊(膿瘍)を形成すると、右下腹部にしこりとして触れることがあります。この状態を「虫垂周囲膿瘍」と言います。強い痛みや発熱を伴うことが多く、急いで治療が必要です。

🌟 腹壁の病変(皮脂腺嚢腫・脂肪腫・デスモイド腫瘍など)

皮膚や皮下組織そのものに生じるしこりもあります。皮脂腺嚢腫(アテローム)は皮脂が袋状の嚢に詰まったもので、炎症を起こすと赤くなり痛みが出ます。脂肪腫は脂肪組織の良性腫瘍で、通常は痛みがないことが多いですが、大きくなったり炎症を起こしたりすると違和感や痛みを生じることがあります。また、デスモイド腫瘍という筋膜由来の良性腫瘍が腹壁に生じることもあります。

💬 腸間膜リンパ節炎

腸の周囲にある腸間膜のリンパ節が炎症を起こす疾患で、特に子どもや若者に多く見られます。ウイルス感染が原因であることが多く、腹痛と下腹部の圧痛が主な症状です。急性虫垂炎との区別が難しいこともあり、診断に画像検査が必要なケースもあります

✨ 女性に多い下腹部のしこりの原因

✅ 子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の筋肉層にできる良性の腫瘍で、30〜40代の女性に多く見られます。小さなものは症状が出ないことも多いですが、大きくなると下腹部に硬いしこりとして触れるようになります。月経時の出血量が増える、月経痛が強くなる、頻尿や便秘などの圧迫症状が現れるといった症状を伴うことが多いです。押すと鈍痛を感じることもあります。

📝 卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)・卵巣腫瘍

卵巣にできる嚢胞(液体の入った袋)や腫瘍を卵巣嚢腫と言います。良性のものが多いですが、悪性(卵巣がん)の場合もあります。初期は無症状のことが多いですが、大きくなると下腹部に膨らみや鈍痛が生じます。卵巣嚢腫が茎捻転(けいねんてん)を起こした場合は突然の激しい下腹部痛が起こり、緊急手術が必要になります

🔸 子宮内膜症

子宮内膜症は、子宮の内側にあるべき内膜組織が子宮以外の場所(卵巣・骨盤腹膜など)に生着して増殖する疾患です。卵巣に内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)ができると、下腹部にしこりとして触れることがあります月経痛が非常に強い、月経前後の下腹部痛、性交痛などを伴うことが特徴で、押すと痛みが出ることもあります。

⚡ 骨盤内炎症性疾患(PID)

子宮・卵管・卵巣などの骨盤内の臓器が細菌感染によって炎症を起こした状態です。クラミジアや淋菌などの性感染症が原因となることが多く、下腹部の痛みや押したときの圧痛、発熱、おりものの異常などが現れます。炎症が進むと膿瘍を形成することもあり、しこりとして触れる場合があります。

🌟 子宮頸がん・子宮体がん

子宮のがんが進行すると、骨盤内に腫瘤として触れることがあります。不正出血や下腹部痛、おりものの異常などが主な症状です。早期発見のためにも、定期的な婦人科検診が重要です。

💬 異所性妊娠(子宮外妊娠)

卵管などに受精卵が着床してしまう子宮外妊娠は、腟からの出血と下腹部痛を伴います。卵管が破裂する前の段階では、下腹部にしこりのような塊として触れることがあります。妊娠の可能性がある女性が下腹部痛とともにしこりを感じた場合は、直ちに受診が必要です。

Q. 下腹部のしこりはどの診療科を受診すべきか?

下腹部のしこりで何科を受診すべきか迷う場合は、まずかかりつけ医や内科への相談が適切です。女性で不正出血や月経痛が伴う場合は婦人科、排尿障害や精巣の症状がある男性は泌尿器科、鼠径ヘルニアや腸の症状が疑われる場合は外科・消化器外科への受診が目安となります。

🔍 男性に多い下腹部のしこりの原因

✅ 精索静脈瘤

精索静脈瘤は、精巣につながる静脈が拡張してこぶのようになった状態です。陰嚢や鼠径部付近にしこり・ふくらみとして触れることがあり、鈍痛や重だるい感覚を伴います。長時間立っていると不快感が強まる傾向があります。男性不妊の原因の一つとしても知られています

📝 精巣腫瘍

精巣(睾丸)にできる腫瘍で、20〜30代の若い男性に多く見られます。痛みがない硬いしこりとして発見されることが多いですが、炎症を伴う場合は押すと痛むこともあります。精巣腫瘍は悪性のものが多く、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。鼠径部や下腹部への転移が生じると、その部位にもしこりが現れることがあります。

🔸 前立腺炎・前立腺肥大

前立腺は膀胱の下に位置する臓器で、炎症(前立腺炎)や肥大(前立腺肥大症)を起こすと下腹部・会陰部の不快感や痛みを生じます。直接しこりとして触れることは少ないですが、下腹部の圧痛や排尿困難、頻尿などを伴う場合に疑われます

⚡ 鼠径ヘルニア(男性に特に多い)

前述のように鼠径ヘルニアは男女ともに見られますが、解剖学的な理由から特に男性に多い疾患です。日本では年間約15万件もの手術が行われており、非常に頻度の高い疾患です。鼠径部〜下腹部の膨らみとして認識されることが多く、立位や腹圧がかかると出現し、仰臥位では消えることが特徴です。

💪 しこりの性状から原因を読み解くヒント

しこりの感触や特徴を観察することで、ある程度原因の見当をつける手助けになります。ただし、自己判断は禁物で、必ず医療機関で確認することが重要です。以下はあくまでも参考程度にご覧ください。

🌟 硬さについて

非常に硬く石のような感触のしこりは、悪性腫瘍(がん)の可能性を考える必要があります。一方、比較的柔らかい弾力のあるしこりは、嚢胞や脂肪腫、リンパ節腫脹などに多い感触です。ゴムのような硬さのものは、子宮筋腫や良性腫瘍に多い傾向があります。

💬 動くかどうか

しこりを指で押したときに動く(可動性がある)場合は、周囲の組織と固着していないことを意味し、良性の可能性が比較的高いと言われます。一方、周囲の組織に固着して動かない(固定性の)しこりは、悪性腫瘍や炎症による癒着が疑われることがあります

✅ 痛みの有無と強さ

押したときの痛みが強い場合は、急性の炎症が起きている可能性があります。リンパ節炎、虫垂周囲膿瘍、卵巣嚢腫の茎捻転など、比較的緊急性の高い状態に多い所見です。一方、痛みのないしこりは良性腫瘍のことも多いですが、がんの初期でも痛みがないことが多いため、痛みがないからといって安心してはいけません

📝 大きさの変化

短期間で急速に大きくなるしこりは注意が必要です。数週間から数か月で明らかに大きくなっている場合は、早急に医療機関を受診してください。逆に、数年間ほとんど変化のないしこりは良性の可能性が高い傾向がありますが、いずれにしても専門家による評価が必要です。

🔸 月経との関係(女性の場合)

月経周期に合わせてしこりの大きさや痛みが変化する場合、子宮内膜症や黄体嚢胞など、ホルモンの影響を受ける疾患が考えられます。月経前になると痛みが強まり、月経後に軽減するというパターンがある場合は、婦人科系の疾患が疑われます。

Q. 下腹部しこりで緊急受診が必要なサインは?

突然の激しい腹痛・38度以上の高熱・強い嘔吐・血便や血尿・数日から数週間での急速なしこりの増大・原因不明の体重減少が現れた場合は緊急性の高いサインです。卵巣嚢腫の茎捻転や鼠径ヘルニアの嵌頓など緊急手術が必要な状態も含まれるため、直ちに救急外来を受診してください。

🎯 すぐに受診すべき危険なサイン

下腹部のしこりには、すぐに救急病院を受診すべき緊急性の高い状態も含まれます。以下のような症状が伴う場合は、迷わず医療機関を受診してください

⚡ 突然の激しい腹痛

今まで感じたことのない激しい腹痛が突然起きた場合、卵巣嚢腫の茎捻転、鼠径ヘルニアの嵌頓、虫垂炎の穿孔、子宮外妊娠の破裂など、緊急手術が必要な状態が起きている可能性があります痛みが急激に出現し、動けないほどの強さがある場合はためらわずに救急車を呼んでください

🌟 高熱を伴う場合

38度以上の発熱と下腹部のしこり・痛みが同時に起きている場合、感染症や膿瘍形成が疑われます。骨盤内炎症性疾患、虫垂周囲膿瘍、腸間膜リンパ節炎などが考えられ、抗菌薬治療や外科的処置が必要なことがあります

💬 嘔吐・吐き気が強い場合

下腹部の痛みと強い嘔吐が同時に起きている場合、腸閉塞や腸間膜動脈閉塞症、あるいは卵巣の茎捻転などが疑われます。これらは血流障害を引き起こす可能性があり、迅速な診断と治療が必要です。

✅ 血便・血尿が伴う場合

血便は大腸がん、炎症性腸疾患、腸ポリープなどを示唆することがあります。血尿は膀胱がん、腎臓の問題などが考えられます。いずれも放置せずに早急に受診が必要です。

📝 急速に大きくなるしこり

数日から数週間の短期間でしこりが急速に大きくなっている場合は、悪性腫瘍や急性の炎症性病変を疑う必要があります。できるだけ早く医療機関を受診してください。

🔸 体重減少・食欲不振が続く場合

特に理由のない体重減少(数か月で数kg以上)や持続する食欲不振は、悪性腫瘍の全身症状として現れることがあります。しこりとこれらの症状が重なる場合は、早めの受診が重要です。

💡 どの診療科を受診すればよいか

下腹部のしこりに気づいたとき、どの診療科を受診すればよいか迷う方も多いでしょう。原因が多岐にわたるため、状況に応じた適切な診療科を選ぶことが大切です。

⚡ まずはかかりつけ医・内科へ

何科に行けばよいか迷う場合や、症状が比較的軽い場合は、まずかかりつけ医や内科を受診することをおすすめします。問診や触診を行い、必要に応じて適切な専門科へ紹介状を書いてもらうことができます。

🌟 婦人科(女性の場合)

月経周期との関連がある、おりものや不正出血が伴う、月経痛が強い、といった場合は婦人科(産婦人科)を受診してください。子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜症、骨盤内炎症性疾患など、女性特有の疾患を専門的に診断・治療してもらえます。

💬 泌尿器科(男性の場合)

精巣や前立腺に関係する症状(精巣のしこり、排尿困難、頻尿、会陰部の痛みなど)がある場合は泌尿器科が適しています。精巣腫瘍や前立腺炎などを専門的に診断してもらえます。

✅ 外科・消化器外科

鼠径ヘルニアが疑われる場合や、消化器(腸など)に関連した症状がある場合は外科・消化器外科を受診します。鼠径ヘルニアの確定診断と手術的治療を行う専門科です。

📝 消化器内科

便通の変化(便秘・下痢)、血便、腹部膨満感など、腸に関連した症状が強い場合は消化器内科を受診します。大腸がんや炎症性腸疾患の診断に内視鏡検査(大腸カメラ)が行われます

🔸 救急外来

前述したような緊急性の高いサイン(激しい痛み、高熱、嘔吐など)がある場合は、診療時間外であっても救急外来に迷わず受診してください

Q. 女性の下腹部しこりで特に注意すべき疾患は?

女性の下腹部しこりでは、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患などが代表的な原因です。なかでも卵巣嚢腫の茎捻転や子宮外妊娠の破裂は突然の激しい痛みを伴う緊急事態となります。妊娠の可能性がある女性が下腹部痛としこりを同時に感じた場合は、直ちに受診が必要です。

📌 受診前に準備しておくこと

医療機関をより効果的に受診するために、事前に以下のことを整理しておくと診察がスムーズに進みます

⚡ しこりに気づいた時期と経緯

いつ頃からしこりに気づいたか、どのような状況で気づいたか(お腹を触ったとき、痛みで気になったときなど)を整理しておきましょう。また、しこりの大きさや形が変化しているかどうかも重要な情報です。

🌟 痛みの特徴

痛みがいつ出るか(常にあるのか、押したときだけか、特定の動作や時間帯か)、どのような性質の痛みか(鋭い痛み、鈍い痛み、締め付けるような痛み)、10段階で表すとどのくらいの強さか、を言語化しておくと医師に伝えやすくなります。

💬 伴っている症状

発熱、体重減少、食欲不振、吐き気・嘔吐、便通の変化、血便・血尿、頻尿、不正出血・おりものの変化など、しこりとともに気になっている症状をすべてメモしておきましょう

✅ 既往歴・服薬歴

過去に手術をしたことがあるか(特に腹部手術)、現在服用している薬はあるか(抗凝固薬・免疫抑制剤など)、アレルギーはあるか、家族にがんの既往はあるかなどを整理しておきましょう

📝 女性の場合:月経に関する情報

最終月経の開始日、月経周期の規則性、月経痛の程度、妊娠の可能性の有無などを確認しておきましょう。妊娠の可能性がある場合は必ず医師に伝えてください。

✨ 検査・診断の流れ

下腹部のしこりを主訴に受診した場合、以下のような流れで検査・診断が進むことが多いです。

🔸 問診

症状の詳細(いつから、どのような痛み、伴う症状など)を医師が丁寧に聞き取ります。前述の準備をしておくことで、この段階でより正確な情報を伝えることができます

⚡ 身体診察(視診・触診・打診・聴診)

医師がお腹を観察・触診し、しこりの位置・大きさ・硬さ・可動性・圧痛の有無などを確認します。この段階でおおよその見当がつくことも多く、その後の検査方針が決まります。

🌟 血液検査

炎症の程度を示すCRPや白血球数、腫瘍マーカー(CA125、AFP、CEAなど)、貧血の有無、肝機能・腎機能などを確認します。妊娠の可能性がある女性ではhCG(妊娠ホルモン)も測定します

💬 画像検査

腹部超音波(エコー)検査は、放射線被曝なく簡便にできる検査で、しこりの位置・大きさ・性状(嚢胞性か充実性か)を確認するのに有用です。CT検査は腹腔内全体を詳しく観察でき、腫瘍の範囲や周囲の臓器との関係を把握するのに優れています。MRI検査は軟部組織の描写に優れており、子宮や卵巣の病変評価に特に有用です。

✅ 内視鏡検査

大腸の病変が疑われる場合は、大腸内視鏡(大腸カメラ)を行います。ポリープやがんを直接観察でき、必要に応じてその場で組織を採取(生検)することができます

📝 生検(組織診)

画像検査などで悪性腫瘍が疑われる場合、しこりの組織の一部を採取して顕微鏡で調べる生検が行われることがあります。確定診断のために必要な場合もあります。

🔸 婦人科的検査(女性の場合)

内診(経腟超音波を含む)や子宮頸がん検診の細胞診などが行われることがあります。経腟超音波は子宮や卵巣の評価に非常に有用です。

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院では、下腹部のしこりを主訴にご来院される患者さんの多くが、しばらく様子を見てから受診されるケースが見受けられますが、押すと痛みを伴うしこりは炎症や内圧の変化を示すサインであることも多く、早めの受診が大切です。鼠径ヘルニアや皮脂腺嚢腫のように外来で対応できるものから、卵巣嚢腫の茎捻転や嵌頓ヘルニアのように緊急処置が必要なものまで原因は様々ですので、「たいしたことはないだろう」と自己判断せず、気になる症状があればどうぞ遠慮なくご相談ください。」

🔍 よくある質問

下腹部のしこりを押すと痛いのはなぜですか?

押すと痛みを伴う場合、しこりの内部や周囲で炎症が起きていたり、液体・膿が貯留していたり、臓器が圧迫されて血流が悪くなっている可能性があります。痛みのないしこりと比べて急性の問題を抱えているケースが多く、早めの受診が推奨されます。

下腹部のしこりはどの診療科を受診すればよいですか?

迷う場合はまずかかりつけ医や内科への受診が適切です。女性で月経との関連や不正出血がある場合は婦人科、精巣や排尿に関する症状がある男性は泌尿器科、鼠径ヘルニアや腸の症状が疑われる場合は外科・消化器外科を受診するのがよいでしょう。

すぐに救急受診が必要な症状はどれですか?

突然の激しい腹痛、38度以上の高熱、強い嘔吐・吐き気、血便・血尿、急速に大きくなるしこり、原因不明の体重減少などが現れた場合は緊急性が高いサインです。これらの症状が伴う場合は迷わず救急外来を受診してください。

女性の下腹部しこりで特に注意すべき疾患は何ですか?

子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症・骨盤内炎症性疾患などが代表的です。特に卵巣嚢腫の茎捻転や子宮外妊娠の破裂は激しい痛みを伴う緊急事態となります。妊娠の可能性がある女性が下腹部痛としこりを感じた場合は、直ちに受診が必要です。

しこりが痛くなければ放置しても大丈夫ですか?

痛みがないからといって安心はできません。良性腫瘍の場合も多いですが、がんの初期段階では痛みがないことが多く、短期間で急速に大きくなる場合は悪性の可能性も考えられます。自己判断は避け、気になるしこりがあれば早めに医療機関へご相談ください

💪 まとめ

下腹部にしこりがあって押すと痛みを感じる場合、その原因は多岐にわたります。リンパ節炎や鼠径ヘルニアのような比較的頻度の高いものから、子宮筋腫・卵巣嚢腫・子宮内膜症などの婦人科疾患、精巣腫瘍や前立腺炎などの泌尿器疾患、腸の病変や悪性腫瘍まで、様々な可能性が考えられます。

しこりの硬さ・可動性・大きさの変化、伴う症状(発熱・血便・月経の変化など)などをよく観察することで、ある程度の見当をつけることはできますが、自己診断は絶対に避けるべきです。特に、突然の激しい痛み、高熱、急速に大きくなるしこり、体重減少などの危険なサインがある場合は、すぐに医療機関を受診してください

下腹部のしこりは、早期に発見・治療することで多くのケースで適切に対処できます。「まだ大丈夫だろう」「恥ずかしい」という気持ちから受診を先延ばしにしてしまうと、治療が難しくなることもあります。自分の身体に対して敏感に、異変を感じたら早めに専門家に相談することが、健康を守るうえで何より大切です。アイシークリニック上野院では、患者さんの不安に寄り添いながら丁寧な診察を行っていますので、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。

📚 関連記事

📚 参考文献

  • 厚生労働省 – 大腸がん・子宮がん・卵巣がんなど下腹部のしこりに関連する悪性腫瘍の予防・早期発見・検診に関する公式情報
  • 国立感染症研究所 – 骨盤内炎症性疾患(PID)の原因となるクラミジア・淋菌などの性感染症、およびリンパ節炎・腸間膜リンパ節炎の原因となるウイルス・細菌感染症に関する情報
  • PubMed – 下腹部しこりの鑑別診断(鼠径ヘルニア・卵巣嚢腫・子宮筋腫・精巣腫瘍・虫垂周囲膿瘍など)に関する国際的な医学文献・臨床研究

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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