「異常なほどの汗で日常生活に支障をきたしている」「手汗がひどくて人との握手を避けてしまう」「脇汗でシャツが汚れるのが恥ずかしい」このような多汗症の症状にお悩みの方は少なくありません。多汗症は単なる体質ではなく、適切な治療により症状の改善が期待できる疾患です。本記事では、多汗症の完治の可能性や効果的な治療法について、医師の視点から詳しく解説いたします。
📊 【2024-2025】今シーズンの多汗症治療の特徴
2024年から2025年にかけて、多汗症治療の分野では大きな変化が見られています。新しい外用薬の保険適用拡大により、患者さんの治療選択肢が大幅に増加しました。特に、従来のボツリヌストキシン注射に加えて、より手軽に始められる治療法が注目を集めています。
また、テレワークの普及により、在宅時間の増加で症状が軽減する方がいる一方で、オンライン会議での緊張により顔面多汗症の相談が昨年より約25%増加している傾向も見られます。このような社会情勢の変化に合わせた治療アプローチが求められています。

目次
- 多汗症とは何か
- 多汗症の分類と症状
- 多汗症は完治するのか
- 多汗症の治療法と効果
- 治療の選択基準
- 治療効果を高めるポイント
- 多汗症治療の将来展望
- 日常生活での対策
- 医療機関を受診すべきタイミング
- よくある誤解と正しい知識
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「当院でも多汗症でお悩みの患者様は非常に多く、特に2024年以降は若い世代の方が「人との接触を避けてしまう」といった深刻な悩みを抱えてご相談いただくケースが昨年より約30%増加しています。最近の傾向として、オンライン会議での緊張による顔面多汗症や、マスク着用による蒸れで症状が悪化したという相談も目立ちます。記事にもある通り、多汗症は決して体質的な問題ではなく適切な治療で大幅な改善が期待できる疾患ですので、一人で悩まずにまずはお気軽にご相談いただければと思います。ボツリヌストキシン注射や新しい外用薬など治療選択肢も広がっており、患者様の生活スタイルに合わせたオーダーメイドの治療プランをご提案できるようになりました。」
多汗症の完全な完治は困難な場合が多いですが、適切な治療により症状を大幅に軽減し、日常生活に支障のないレベルまで改善することは十分可能です。これを医学的には「寛解」と呼び、現実的な治療目標として設定されています。
主な治療法には、内服薬(抗コリン薬)、ボツリヌストキシン注射、イオントフォレーシス、外用薬(塩化アルミニウムなど)、手術療法があります。症状の重症度や部位に応じて最適な治療法を選択し、必要に応じて複数の治療を組み合わせて行います。
ボツリヌストキシン注射の効果は注射後2~3日で現れ始め、1週間後にほぼ最大効果に達します。効果の持続期間は個人差がありますが、通常3~6ヶ月間持続します。重症腋窩多汗症では保険適用となり、約80~90%の患者さんで良好な効果が得られています。
子どもの多汗症では、まず非侵襲的な治療(外用薬、生活指導など)から開始することが推奨されます。学校生活での集中力低下や友人関係への影響も懸念されるため、早期の対応が重要です。成長とともに症状の変化を観察しながら、適切な治療選択を行います。
週に数回以上理由なく大量の発汗がある、汗により仕事や学業に集中できない、人との接触を避けるようになったなど、日常生活に支障をきたす場合は受診を検討してください。また、発汗と併せて体重減少や動悸などの他症状がある場合は早期受診が必要です。
2024年以降、グリコピロニウムトシル酸塩外用薬(エクロックゲル)の保険適用範囲が拡大され、より多くの患者さんが利用しやすくなりました。また、マイクロ波治療などの新しい技術も導入が進んでおり、治療選択肢が大幅に増加しています。
初診時は対面診療が必要ですが、症状が安定している場合の再診や、内服薬の処方調整などはオンライン診療でも対応可能な場合があります。ただし、ボツリヌストキシン注射などの処置が必要な治療は対面での受診が必要です。
この記事のポイント
多汗症の完全な完治は困難なケースが多いが、ボツリヌストキシン注射・内服薬・イオントフォレーシス等の適切な治療により日常生活に支障のないレベルへの症状改善(寛解)は十分可能。2024年以降は外用薬の保険適用拡大など治療選択肢も広がっている。
🎯 多汗症とは何か
多汗症は、体温調節に必要な範囲を超えて異常に多量の汗をかく疾患です。通常、人間は体温を一定に保つために汗をかきますが、多汗症の場合は体温調節の必要がない状況でも大量の発汗が起こります。
この疾患は決して珍しいものではなく、日本人の約5.8%が罹患しているといわれています。特に手のひらや足の裏、脇の下、頭部や顔面に症状が現れやすく、患者さんの生活の質(QOL)に大きな影響を与えることが知られています。
多汗症の発症メカニズムは、自律神経系の交感神経が過度に活性化することにあります。本来であれば、暑さや運動時に活性化される交感神経が、緊張やストレス、さらには何の刺激もない安静時にも異常に働いてしまうのです。
Q. 多汗症は完治できますか?
多汗症の完全な完治は困難な場合が多いですが、適切な治療により症状を大幅に軽減し、日常生活に支障のないレベルまで改善することは十分可能です。医学的にはこの状態を「寛解」と呼び、現実的な治療目標として設定されています。
📋 多汗症の分類と症状
🦠 原発性多汗症と続発性多汗症
多汗症は大きく2つに分類されます。原発性多汗症は明確な原因疾患がないもので、多汗症患者の約90%がこれに該当します。一方、続発性多汗症は甲状腺機能亢進症や糖尿病、更年期障害などの疾患や薬剤の副作用が原因となるものです。
原発性多汗症の場合、遺伝的要因が関与することが多く、家族歴がある患者さんも少なくありません。また、思春期頃から症状が現れることが多いのも特徴の一つです。
👴 部位別の症状の特徴
手掌多汗症では、手のひらが常に湿っている状態で、紙が破れやすくなったり、パソコンのキーボードが故障したりすることがあります。足底多汗症では靴の中が湿った状態が続き、水虫などの感染症リスクが高まります。
腋窩多汗症は衣服への汗じみが目立ちやすく、社会生活に大きな支障をきたします。頭部・顔面多汗症では、髪の毛が濡れるほどの発汗や、メイクが崩れやすくなるなどの問題が生じます。
子どもの多汗症の場合は、学校生活での集中力低下や友人関係への影響なども懸念されるため、早期の対応が重要です。
💊 多汗症は完治するのか
🔸 完治の定義と現実
多汗症の「完治」について考える際、まず完治の定義を明確にする必要があります。医学的には、症状が完全に消失し、治療を中断しても再発しない状態を完治と呼びます。しかし、多汗症においては、この意味での完治は現実的に困難な場合が多いのが実情です。
ただし、適切な治療により症状を大幅に軽減し、日常生活に支障のないレベルまで改善することは十分可能です。これを「寛解」と呼び、多汗症治療の現実的な目標として設定されることが多くなっています。
💧 手術による根治的治療
手掌多汗症に対する胸腔鏡下交感神経切断術(ETS)は、最も根治性の高い治療法とされています。この手術では、過度な発汗を引き起こしている交感神経を切断することで、手のひらの発汗を確実に止めることができます。
手術の成功率は95%以上と非常に高く、術後すぐに手のひらの発汗が停止します。ただし、代償性発汗という副作用が約90%の患者さんに現れることが知られており、胸部や背部、臀部などの他の部位での発汗が増加する可能性があります。
腋窩多汗症に対しては、汗腺摘出術や超音波による汗腺破壊術などが選択されることがあります。これらの手術も高い効果を示しますが、術後の創部管理や感染リスクなどを十分考慮する必要があります。
✨ 非手術治療での改善可能性
手術以外の治療法でも、症状の大幅な改善は期待できます。特に軽度から中等度の多汗症では、非侵襲的な治療でも十分な効果を得られることが多くあります。
ボツリヌストキシン注射は、注射部位の発汗を3~6ヶ月間にわたって抑制します。定期的な治療継続により、長期間にわたって症状をコントロールすることが可能です。
イオントフォレーシスは電気的刺激により発汗を抑制する治療法で、継続的な治療により症状の改善が期待できます。特に手掌・足底多汗症に対して有効性が報告されています。
Q. ボツリヌストキシン注射の効果と持続期間は?
ボツリヌストキシン注射は、注射後2〜3日で効果が現れ始め、1週間後にほぼ最大効果に達します。効果の持続期間は個人差がありますが、通常3〜6ヶ月間続きます。重症腋窩多汗症では保険適用となり、約80〜90%の患者で良好な効果が得られています。
🏥 多汗症の治療法と効果
📌 内服薬治療
多汗症の内服治療の第一選択薬は抗コリン薬です。プロバンテリン臭化物(プロ・バンサイン)は、交感神経の末端でのアセチルコリンの作用を阻害することで発汗を抑制します。
内服薬の効果は患者さんによって異なりますが、約60~70%の方で症状の改善が認められています。効果発現までには通常1~2週間程度要し、最大効果は4~6週間で得られることが多いです。
副作用として口渇、便秘、眠気、尿閉などが現れることがあります。これらの副作用は用量依存的であり、症状と副作用のバランスを見ながら適切な用量調整を行うことが重要です。
近年では、オキシブチニン塩酸塩も多汗症治療に使用されることがあります。この薬剤は本来過活動膀胱治療薬ですが、多汗症に対しても有効性が報告されており、プロバンテリンより副作用が少ないとされています。
🔹 ▶️ ボツリヌストキシン注射
ボツリヌストキシンA型製剤の注射は、特に腋窩多汗症に対して高い効果を示します。汗腺を支配する交感神経末端からのアセチルコリン放出を阻害することで、発汗を抑制します。
治療効果は注射後2~3日で現れ始め、1週間後にほぼ最大効果に達します。効果持続期間は個人差がありますが、通常3~6ヶ月間持続します。重症腋窩多汗症の約80~90%の患者さんで良好な効果が得られています。
手掌多汗症に対しても効果的ですが、注射時の痛みが強く、一時的な筋力低下が起こる可能性があります。足底多汗症への適用も可能ですが、歩行時の違和感を生じることがあります。
治療費用は保険適用(重症腋窩多汗症の場合)されるため、患者さんの経済的負担も軽減されています。定期的な治療継続により、長期間にわたって症状のコントロールが可能です。
🔹 イオントフォレーシス
イオントフォレーシスは、微弱な直流電流を皮膚に通電することで発汗を抑制する物理療法です。手掌・足底多汗症に対して特に有効性が高く、約80%の患者さんで症状の改善が認められています。
治療は週2~3回、1回20~30分程度行います。初期治療では2~3週間の集中治療を行い、効果が得られた後は週1回程度の維持療法に移行します。効果発現までには通常2~4週間程度要します。
副作用は少なく、皮膚の軽度な刺激感や乾燥程度です。ただし、妊娠中や心疾患のある方、皮膚に金属が埋め込まれている方には適用できません。
家庭用の機器も販売されており、通院負担を軽減できるメリットがあります。継続的な治療により、長期間にわたって症状を抑制することが可能です。
📍 外用薬治療
塩化アルミニウム外用薬は、軽度から中等度の多汗症に対する第一選択治療の一つです。汗腺の出口を物理的に閉塞することで発汗を抑制します。
通常20%塩化アルミニウム溶液を就寝前に患部に塗布し、朝に洗い流します。効果は2~3週間の継続使用で現れることが多く、約60~70%の患者さんで改善が認められています。
近年、グリコピロニウムトシル酸塩外用薬(エクロックゲル)が原発性腋窩多汗症に対して保険適用となりました。この薬剤は抗コリン作用により発汗を抑制し、1日1回の塗布で効果を発揮します。
外用薬の利点は、全身への影響が少なく、比較的安全性が高いことです。ただし、皮膚刺激や接触性皮膚炎を起こすことがあるため、使用方法の指導と経過観察が重要です。
⚠️ 治療の選択基準
💫 症状の重症度による選択
多汗症の治療選択は、まず症状の重症度を正確に評価することから始まります。重症度の評価には、HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Score)という指標が広く使用されています。
軽度(HDSS スコア1~2)の場合は、外用薬や生活指導から開始することが多いです。中等度(HDSSスコア3)では内服薬やイオントフォレーシスを考慮し、重度(HDSSスコア4)では積極的な治療としてボツリヌストキシン注射や手術療法が検討されます。
また、患部の範囲や日常生活への影響度も重要な判断材料となります。職業上の支障や社会生活への深刻な影響がある場合は、より積極的な治療が推奨されます。
🦠 患者さんの背景による考慮事項
年齢は治療選択の重要な要素です。小児や思春期の患者さんでは、まず非侵襲的な治療から開始し、成長とともに症状の変化を観察します。高齢者では併存疾患や内服薬との相互作用に注意が必要です。
女性では月経周期や妊娠・授乳期との関連を考慮する必要があります。妊娠中は使用できない治療法もあるため、計画的な治療スケジュールの設定が重要です。女性の多汗症とホルモンの関係についても十分な理解が必要です。
職業的要因も治療選択に大きく影響します。精密作業を行う職業の方では手の筋力低下を避ける必要があり、接客業の方では外見上の変化に配慮した治療を選択します。
緊張すると汗が止まらない方の場合は、精神的ストレスの管理も並行して行う必要があります。
👴 経済的負担の考慮
治療費用も重要な選択因子の一つです。保険適用の治療法(重症腋窩多汗症に対するボツリヌストキシン注射、内服薬など)は患者負担が軽減されるため、まず検討されることが多いです。
自費診療となる治療法については、効果と費用のバランスを十分説明し、患者さんの理解と納得を得ることが重要です。長期的な治療継続が必要な場合は、トータルコストの見積もりも提示します。
治療効果の持続期間も経済性に影響します。一時的効果の治療では継続的な費用負担が発生するため、患者さんのライフスタイルや経済状況を考慮した治療計画の立案が必要です。
Q. イオントフォレーシスはどんな治療法ですか?
イオントフォレーシスは微弱な直流電流を皮膚に通電し発汗を抑制する物理療法です。手掌・足底多汗症に特に有効で、約80%の患者で改善が認められています。週2〜3回・1回20〜30分の治療を2〜4週間続けることで効果が現れ、副作用も少ない安全な治療法です。
🔍 治療効果を高めるポイント
🔸 継続治療の重要性
多汗症治療で最も重要なことは、治療の継続です。多くの治療法は継続的な実施により効果を維持するため、一時的な改善で治療を中断すると症状が再発する可能性が高くなります。
内服薬治療では、効果が現れるまで数週間要することがあります。副作用により服薬を中断する方もいらっしゃいますが、用量調整や服薬時間の変更により副作用を軽減できることも多いため、医師との密な相談が重要です。
ボツリヌストキシン注射やイオントフォレーシスも定期的な治療継続が効果維持の鍵となります。治療スケジュールを守り、効果の減弱を感じたら早めに追加治療を受けることが推奨されます。
💧 生活習慣の改善
医学的治療と併せて、日常生活での対策も症状軽減に重要な役割を果たします。まず、発汗を誘発する要因の特定と回避が基本となります。
食事面では、辛い食べ物やカフェイン、アルコールなど発汗を促進する食品の摂取を控えることが推奨されます。一方で、水分補給は適切に行い、脱水状態にならないよう注意が必要です。
衣服の選択も重要で、通気性の良い天然素材を選び、汗を吸収・発散しやすい下着を着用します。制汗剤や汗取りパッドの適切な使用も日常的な症状管理に有効です。
室内環境の調整も効果的です。適切な温度・湿度の維持、扇風機やエアコンの活用により、発汗を誘発する環境要因を最小限に抑えます。
✨ ストレス管理
多汗症は精神的ストレスにより症状が悪化することが知られています。ストレス管理は治療効果を高める重要な要素の一つです。
リラクゼーション技法(深呼吸法、筋弛緩法、瞑想など)の習得は、自律神経のバランスを整え、発汗を抑制する効果があります。定期的な実践により、ストレス反応としての発汗を軽減できます。
認知行動療法的アプローチも有効です。多汗症に対する過度の心配や恐怖を軽減し、症状への適応的な対処法を学ぶことで、症状の悪化を防ぐことができます。
必要に応じて、精神科や心療内科との連携により、抗不安薬や抗うつ薬による治療も検討されます。特に社会不安を伴う多汗症では、包括的なアプローチが効果的です。
📝 多汗症治療の将来展望
📌 新しい治療技術の開発
多汗症治療の分野では、現在も新しい技術の開発が進んでいます。マイクロ波を利用した汗腺破壊装置(miraDry)は、腋窩多汗症に対して非侵襲的でありながら長期効果が期待できる治療法として注目されています。
レーザー治療技術も進歩しており、より精密で副作用の少ない汗腺の破壊が可能になってきています。これらの技術は今後、多汗症治療の選択肢を大幅に拡大する可能性があります。
また、遺伝子治療やiPS細胞を利用した再生医療の研究も進んでおり、将来的には根本的な治療法の開発も期待されています。
📍 ▶️ 薬物治療の進歩
新しい抗コリン薬の開発により、副作用を軽減しながらより高い効果を得られる内服薬の登場が期待されています。選択的な受容体作用により、発汗抑制効果を維持しながら口渇などの副作用を最小限に抑える薬剤の研究が進んでいます。
ボツリヌストキシンについても、より長時間効果が持続する製剤や、より安全性の高い製剤の開発が行われています。これにより、治療間隔の延長や副作用リスクの軽減が期待できます。
外用薬の分野では、皮膚透過性を向上させた新しい製剤や、より選択的に汗腺に作用する薬剤の開発が進んでいます。
🔹 個別化医療への展開
遺伝子解析技術の進歩により、個々の患者さんの遺伝的背景に基づいた治療選択が可能になることが期待されています。薬剤感受性や副作用リスクを事前に予測し、最適な治療法を選択する個別化医療の実現が近づいています。
バイオマーカーの活用により、治療効果の予測や治療反応のモニタリングがより精密に行えるようになることも期待されています。これにより、より効率的で効果的な治療が提供できるようになるでしょう。
Q. 多汗症で病院を受診すべき目安は?
週に数回以上、理由なく大量の発汗がある、汗により仕事や学業に集中できない、人との接触を避けるようになった場合は受診を検討してください。また発汗と併せて体重減少・動悸・発熱などの症状がある場合は、続発性多汗症の可能性があるため早期受診が必要です。
💡 日常生活での対策
📍 衣服の選択と工夫
多汗症の方にとって、適切な衣服選択は症状管理の重要な要素です。天然繊維(綿、麻、絹)は化学繊維よりも通気性が良く、汗の吸収・発散に優れています。
色の選択も重要で、白や淡色は汗じみが目立ちにくく、黒や濃色は汗による色の変化が分かりにくいです。一方、グレーや青色系は汗じみが最も目立ちやすいため避けることが推奨されます。
汗取りパッドや汗取りインナーの活用も効果的です。最近では、高い吸水性と速乾性を持つ機能性下着も多数販売されており、症状管理に役立ちます。
靴選びでは、通気性の良い素材を選び、同じ靴を連続着用せず、十分な乾燥時間を確保することが重要です。吸湿性の高い靴下の使用や、足用の制汗剤の併用も効果的です。
💫 制汗剤の効果的な使用法
市販の制汗剤も適切に使用すれば一定の効果を期待できます。最も効果的な使用タイミングは、汗をかいていない清潔で乾燥した皮膚への塗布です。一般的には就寝前の使用が推奨されます。
塩化アルミニウム系の制汗剤は効果が高い一方で、皮膚刺激を起こすことがあります。使用初期は週2~3回から開始し、皮膚の反応を確認しながら使用頻度を調整します。
制汗剤の種類(スプレー、ロールオン、クリーム)により特徴が異なります。ロールオンタイプは密着性が高く効果的ですが、皮膚刺激のリスクも高くなります。敏感肌の方はスプレータイプから開始することが推奨されます。
🦠 環境調整と予防対策
室内環境の適切な管理は発汗の予防に重要です。理想的な室温は夏季で25~28℃、冬季で18~22℃とされています。湿度は50~60%に保つことで、体感温度を下げ、発汗を抑制できます。
外出時の対策として、日傘の使用、帽子の着用、冷却グッズの携帯などが効果的です。特に首元を冷却することで、体感温度を大幅に下げることができます。
食事面では、香辛料、カフェイン、アルコールなど発汗を促進する食品の摂取を控えめにします。一方で、体を冷やす効果のある食材(きゅうり、トマト、スイカなど)の積極的な摂取が推奨されます。
水分補給は重要ですが、一度に大量摂取すると発汗を促進することがあります。少量ずつ頻回に摂取することで、適切な水分バランスを保つことができます。
✨ 医療機関を受診すべきタイミング
👴 症状による受診の目安
日常生活に支障をきたす程度の発汗がある場合は、医療機関での相談を検討することが推奨されます。具体的には、週に数回以上、理由なく大量の発汗がある、汗により仕事や学業に集中できない、人との接触を避けるようになった、などの症状があれば受診を考慮します。
また、発汗と併せて他の症状(体重減少、動悸、振戦、発熱など)がある場合は、続発性多汗症の可能性があるため、早期の医療機関受診が必要です。
特に多汗症と体臭の関係でお悩みの方や、社会生活に深刻な影響が出ている場合は、早期の専門的な治療が推奨されます。
🔸 緊急性の高い症状
以下のような症状がある場合は、緊急性が高いため速やかな医療機関受診が必要です:
- 突然の大量発汗と胸痛、息切れ
- 発汗と併せて意識障害や錯乱状態
- 高熱を伴う異常な発汗
- 薬剤開始後の急激な発汗増加
これらの症状は、重篤な疾患の可能性があるため、迅速な診断と治療が必要です。
💧 治療開始のタイミング
多汗症の治療は、症状の程度や患者さんの希望に応じて開始時期を決定します。軽度の症状でも、本人が気にしている場合や社会生活に影響がある場合は、積極的な治療を検討することが重要です。
特に学生や若い社会人の方では、症状により学業や職業選択に制限が生じることがあります。早期の治療介入により、将来の可能性を広げることができます。
季節性の症状がある場合は、症状が悪化する季節の前に治療を開始することで、より効果的な症状管理が可能になります。
❓ よくある誤解と正しい知識
🔹 「汗をかくのは健康的」という誤解
「汗をかくのは健康的だから治療する必要はない」という考えは誤解です。多汗症は病的な状態であり、適切な治療により生活の質を大幅に改善できます。
正常な発汗と多汗症の発汗は明確に区別されるべきです。体温調節に必要な範囲を超えた異常な発汗は、医学的な治療対象となります。
💫 「治療は危険」という誤解
「多汗症の治療は危険で副作用が多い」という誤解もよく見られます。実際には、適切な医療機関での治療は安全性が高く、重篤な副作用は稀です。
ボツリヌストキシン注射や内服薬治療は、長年の使用実績があり、安全性が確立されています。副作用についても、適切な管理により最小限に抑えることが可能です。
🦠 「一度治療すれば完治する」という誤解
多汗症治療について「一度治療すれば完治する」という期待を持つ方もいらっしゃいますが、多くの治療法は継続的な管理が必要です。
ただし、継続治療により長期間にわたって症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることは十分可能です。治療の目標は「完治」ではなく「症状の管理と生活の質の向上」であることを理解することが重要です。
🏥 まとめ
多汗症は、適切な治療により症状の大幅な改善が期待できる疾患です。完全な完治は困難な場合が多いものの、日常生活に支障のないレベルまで症状をコントロールすることは十分可能です。
治療法は多岐にわたり、患者さんの症状や生活スタイルに応じて最適な選択肢を提案できます。重要なのは、一人で悩まずに専門医に相談し、適切な診断と治療を受けることです。
2024年から2025年にかけて、多汗症治療の選択肢はさらに拡大しており、より多くの患者さんに適した治療法が提供できるようになっています。症状でお悩みの方は、ぜひ一度医療機関にご相談ください。
📞 アイシークリニック上野院へのご相談
多汗症でお悩みの方は、アイシークリニック上野院までお気軽にご相談ください。経験豊富な医師が、患者さん一人ひとりの症状に合わせた最適な治療プランをご提案いたします。
📞 お電話でのご予約:0120-000-702
💻 WEB予約:こちらから24時間受付中
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務