「キスのあとに唇が荒れる」「唇がピリピリする」「赤みや水ぶくれができた」といった経験をしたことはありませんか?キスは日常的なスキンシップのひとつですが、唇は非常にデリケートな部位であるため、さまざまな刺激によって荒れやすくなります。原因としては、摩擦や乾燥による物理的な刺激のほか、アレルギー反応、口唇ヘルペスの感染、唾液による化学的刺激など多岐にわたります。この記事では、キスによって唇が荒れる主な原因を医学的な観点から整理し、日常生活でできる予防・ケア方法を詳しく解説します。唇の状態が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
- 唇の構造とデリケートさの理由
- キスで唇が荒れる主な原因
- 口唇ヘルペスとはどのような病気か
- 接触性皮膚炎(口周りのアレルギー)について
- 唾液が唇に与える影響
- 物理的な摩擦と乾燥によるダメージ
- 唇の荒れを悪化させる習慣と生活環境
- 唇荒れの症状別・気をつけるべきサイン
- 日常的にできる唇のケアと予防法
- クリニックに相談するタイミング
- まとめ
この記事のポイント
キスによる唇荒れの主な原因は、摩擦・唾液の化学的刺激・口唇ヘルペス・接触性皮膚炎の4つ、水ぶくれや2週間以上続く症状には早期受診を推奨している。
🎯 1. 唇の構造とデリケートさの理由
唇が荒れやすい理由を理解するためには、まず唇の構造について知っておく必要があります。唇の表面は「口唇粘膜」と呼ばれる薄い皮膚で覆われており、顔の他の部位の皮膚と比べていくつかの大きな違いがあります。
通常の皮膚には、バリア機能の要となる「角質層」が存在し、外部からの刺激や水分の蒸発を防いでいます。しかし唇の皮膚はこの角質層が非常に薄く、バリア機能が弱い状態にあります。さらに、毛穴・汗腺・皮脂腺が存在しないため、自ら潤いを保つための皮脂を分泌する機能がありません。皮脂膜がほとんど形成されない唇は、外気の影響を受けやすく、乾燥しやすい部位です。
また、唇は顔の中央に位置し、話す・食べる・表情を作るといった動作のたびに頻繁に動く部位でもあります。日常的に多くの刺激にさらされているため、ちょっとしたことでダメージを受けやすいのが唇の特徴です。さらに、唇と口腔粘膜の境界部分(赤唇部)は毛細血管が豊富で、刺激を受けたときに炎症が起きやすい構造になっています。
このような解剖学的な特徴から、唇はキスによる物理的・化学的・生物学的な刺激を受けやすく、荒れが生じやすいのです。
Q. 唇がキスで荒れやすい理由は何ですか?
唇の表面は角質層が非常に薄く、バリア機能が弱い構造です。さらに汗腺や皮脂腺がないため自ら潤いを保てません。毛細血管が豊富で炎症が起きやすく、話す・食べるなど日常動作でも頻繁に動く部位のため、キスによる摩擦や化学的刺激を受けやすい状態にあります。
📋 2. キスで唇が荒れる主な原因
キスによって唇が荒れる原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っている場合も多くあります。ここでは主な原因を整理して解説します。
まず考えられるのが「摩擦による物理的刺激」です。唇同士が擦れ合うことで表面の薄い皮膚が傷つき、炎症が起きやすくなります。皮膚が薄い唇では、この摩擦ダメージが皮膚の奥まで影響することがあります。
次に「唾液による化学的刺激」があります。唾液にはアミラーゼなどの消化酵素が含まれており、これらが唇の皮膚に繰り返し触れることで皮膚のバリアを壊し、炎症を引き起こすことがあります。特にキスの後に唾液が乾燥するときに水分も一緒に奪われ、唇の乾燥が悪化しやすくなります。
三つ目は「口唇ヘルペスウイルスの感染」です。単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因で、キスを通じて感染・再活性化する代表的な疾患です。水ぶくれや痛みを伴う症状として現れます。
四つ目は「アレルギー反応(接触性皮膚炎)」です。相手が使用しているリップクリームや化粧品、食べたものの成分が唇に触れることで、アレルギー反応が起きることがあります。
これらの原因は単独で起きることもあれば、複合的に重なって症状を起こすこともあります。自分の唇荒れの原因がどれに当たるかを見極めることが、適切なケアへの第一歩となります。
💊 3. 口唇ヘルペスとはどのような病気か
キスをきっかけに唇が荒れる原因の中でも、特に注意が必要なのが「口唇ヘルペス」です。口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)による感染症で、唇や口の周囲に小さな水ぶくれが集まって現れる疾患です。
日本では成人の約60〜80%がこのウイルスに感染していると言われています。多くの場合、子供のころに感染し、そのまま神経節(三叉神経節)に潜伏します。健康な状態では症状が出ることはありませんが、免疫力の低下、強いストレス、紫外線、疲労、風邪などをきっかけにウイルスが再活性化し、症状として現れます。
口唇ヘルペスの主な症状は、唇やその周囲に現れるヒリヒリ・ピリピリとした違和感(前駆症状)から始まり、その後に赤みと小さな水ぶくれが群れをなして現れます。水ぶくれはやがてつぶれてかさぶたになり、通常1〜2週間で自然に治ります。ただし、かゆみや痛みを伴うことが多く、生活への支障もあります。
感染経路として、ウイルスが活性化している時期(水ぶくれがある時期)のキスや接触による感染が最も一般的です。しかし、症状が出ていない「無症候性排出」の時期にも感染が起こりうることがわかっています。つまり、症状が見えていないからといって必ずしも安全とは言えません。
一度ヘルペスウイルスに感染すると、ウイルスを体内から完全に除去することはできませんが、抗ウイルス薬による治療で症状を和らげ、治癒を早めることができます。再発頻度が高い場合には、抗ウイルス薬を毎日服用する「抑制療法」が選択されることもあります。口唇ヘルペスが疑われる場合は、皮膚科や内科などを早めに受診することが大切です。
Q. 口唇ヘルペスはどのように感染しますか?
口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因の感染症で、日本の成人の約60〜80%が保有しています。水ぶくれが出ている時期のキスで感染リスクが最も高まりますが、症状が見えない無症候性排出の時期にも感染が起こり得るため、症状の有無だけで安全性を判断することはできません。
🏥 4. 接触性皮膚炎(口周りのアレルギー)について
キスの後に唇が赤くなったり、かゆみや腫れが出たりする場合、「接触性皮膚炎」の可能性があります。接触性皮膚炎は、皮膚に特定の物質が触れることで起こる炎症反応で、大きく「刺激性接触性皮膚炎」と「アレルギー性接触性皮膚炎」の二種類に分けられます。
刺激性接触性皮膚炎は、石鹸・洗剤・酸などの刺激の強い物質が直接皮膚に触れることで起こるもので、誰にでも起こり得ます。一方、アレルギー性接触性皮膚炎は特定のアレルゲンに対して免疫系が過剰反応することで起きるもので、同じ物質に触れてもアレルギー体質の人だけに反応が出ます。
キスに関連して口周りに接触性皮膚炎が起きる原因として代表的なものをいくつか挙げます。
まず「リップクリームや口紅などの化粧品」です。パートナーが使用しているリップクリームや口紅に含まれる成分(香料・防腐剤・色素・ラノリンなど)がアレルゲンとなることがあります。また、相手が食べたものや飲み物に含まれる成分(ナッツ類・果物・スパイスなど)が唇に触れてアレルギー反応を起こすケースもあります。これは「食物アレルギーの経口暴露による接触性反応」と呼ばれることもあります。
さらに、パートナーが使用している歯磨き粉の成分(ミント・フッ素・香料など)が唇に触れることで刺激になる場合もあります。香水や整髪料なども、唇周辺に触れると刺激になりえます。
接触性皮膚炎の症状は、接触後数時間から数日以内に現れることが多く、赤みやかゆみ、浮腫(むくみ)、水ぶくれなどが見られます。アレルギー性の場合は初回の接触では症状が出にくく、繰り返し触れることで感作(アレルギーが成立すること)が起こり、その後の接触で強い反応が出るのが特徴です。
接触性皮膚炎が疑われる場合は、原因物質を特定し取り除くことが基本的な対処となります。皮膚科ではパッチテスト(貼付試験)でアレルゲンを調べることができます。症状がひどい場合はステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬による治療が行われます。
⚠️ 5. 唾液が唇に与える影響
唾液は口の中の健康を保つ上で非常に重要な役割を持っています。しかし、唇の皮膚にとっては必ずしも優しいものではありません。ここでは唾液が唇に与える影響を詳しく解説します。
唾液の主な成分は水(約99%)ですが、それ以外にも消化酵素(アミラーゼ、リパーゼなど)、免疫物質(IgA、リゾチームなど)、電解質、タンパク質などが含まれています。これらの成分は口腔内の環境を整えるためのものですが、唇の皮膚に繰り返し接触すると、バリア機能を持たない薄い唇の皮膚を刺激することがあります。
特に問題となるのが「唾液の蒸発による乾燥」です。キスの後、唇に残った唾液が乾燥すると、蒸発の際に唇本来の水分も一緒に奪っていきます。これを繰り返すことで唇が極度に乾燥し、皮が剥けたりひび割れたりするようになります。この現象は「ドライリップ」や「口唇炎」と呼ばれる状態につながることがあります。
また、消化酵素が皮膚のタンパク質を分解することで、皮膚のバリア機能がさらに低下するという報告もあります。バリア機能が低下すると、外部からの刺激をより受けやすくなり、炎症が起きやすい状態になります。
なお、唇をなめる癖がある人は「舐性口唇炎(しせいこうしんえん)」と呼ばれる状態になることがあります。これは唇をなめることで唾液が繰り返し触れ、乾燥・炎症のサイクルが止まらなくなるものです。この状態はキスによる唾液の接触と同じメカニズムで起こると考えられています。
唇に唾液が触れた後は、清潔なティッシュや柔らかいタオルで軽く拭き取り、すぐにリップクリームなどで保湿することが予防に効果的です。
🔍 6. 物理的な摩擦と乾燥によるダメージ
キスによって唇が荒れる原因の中で、最もシンプルかつ頻繁に起こるのが、物理的な摩擦と乾燥によるダメージです。
唇同士が接触・摩擦することで、唇の表面の薄い皮膚に微細な傷がつきます。皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が正常であれば、ある程度の傷は自然に修復されます。しかし、乾燥した状態や繰り返しの摩擦が続く場合には、修復が追いつかず炎症が持続することがあります。
特に季節の変わり目や冬場など、空気が乾燥している時期には唇の水分が蒸発しやすく、バリア機能がより低下した状態になっています。このタイミングでキスをすると、摩擦によるダメージが通常よりも大きくなりやすいのです。
また、双方の唇の状態(乾燥具合、荒れ具合)も影響します。どちらかの唇が荒れていて皮が剥けた状態になっている場合、その縁の部分が摩擦によって相手の唇を傷つけることもあります。
さらに、ひげが伸びている状態での接触も、唇や口周りの皮膚を傷つける一因となります。ひげの先端は非常に硬く、摩擦によって皮膚に小さな傷をつけ、炎症を起こすことが知られています。「ひげ焼け」や「ひげかぶれ」とも呼ばれ、特に女性の敏感な皮膚に影響を与えやすいです。
こうした物理的ダメージを防ぐためには、キスの前後に唇をしっかり保湿しておくことが効果的です。リップクリームなどで唇を滑らかに保つことで、摩擦を軽減することができます。また、唇が荒れているときは摩擦を避けることも大切です。
Q. キスで接触性皮膚炎が起きる原因は何ですか?
キスによる接触性皮膚炎は、パートナーが使用するリップクリームや口紅に含まれる香料・防腐剤・ラノリン、歯磨き粉のミント・フッ素、または相手が食べたナッツ・果物・スパイスなどの成分が唇に触れることで起こります。アレルギー性の場合、繰り返し接触することで感作が成立し、その後に強い反応が出るのが特徴です。
📝 7. 唇の荒れを悪化させる習慣と生活環境
キスそのものが直接の原因でなくても、日常生活の中の習慣や環境が唇の荒れを悪化させることがあります。キスをきっかけに症状が出た場合でも、下地となる唇の状態が影響していることが多いため、日々の生活を見直すことも重要です。
まず「唇をなめる癖」は、唇荒れを最も悪化させやすい習慣のひとつです。唇が乾燥したときに反射的になめてしまう人は多いですが、前述の通り唾液が乾燥するときに水分を奪うため、結果的に乾燥が悪化するという悪循環を引き起こします。
次に「唇の皮をむく癖」も悪化の原因になります。皮が浮いてきたときについ手で剥こうとしてしまいますが、まだ完全に剥がれていない皮を無理に取ると、下の皮膚まで傷つけてしまい、出血・感染・瘢痕のリスクが高まります。
「水分不足」も唇の乾燥に直結します。体全体が脱水気味になると、唇の水分も減少します。1日を通じてこまめに水を飲む習慣をつけることが大切です。
「紫外線」も見落とされがちな原因のひとつです。唇は顔の中でも紫外線を受けやすい部位で、紫外線ダメージによってバリア機能が低下します。UVカット機能のあるリップクリームの活用も検討してみましょう。
「偏った食事」も唇の状態に影響します。ビタミンB群(特にB2・B6)が不足すると口唇炎が起きやすくなることが知られています。ビタミンB2はレバー・乳製品・卵などに、ビタミンB6は魚・鶏肉・バナナなどに多く含まれています。バランスの取れた食事を心がけることが基本的な予防となります。
「ストレスや睡眠不足」は免疫力を低下させ、口唇ヘルペスの再活性化を招くだけでなく、皮膚のターンオーバーを乱して唇の荒れを起こしやすくします。規則正しい生活リズムを維持することも唇のケアにつながります。
「刺激の強い飲食物」も唇に影響します。柑橘類・トマト・唐辛子などの酸味や辛味の強い食べ物は、荒れた唇に触れることで刺激となり、炎症を悪化させることがあります。
💡 8. 唇の荒れの症状別・気をつけるべきサイン
唇の荒れといっても、その症状はさまざまです。どのような症状が出ているかによって、考えられる原因や対処法が異なります。自己判断が難しいケースも多いですが、症状のパターンをある程度知っておくことで、適切な対応につながります。
「乾燥・皮むけ」が主な症状の場合は、乾燥が原因であることが多く、保湿ケアで改善する場合がほとんどです。ただし、保湿をしても改善しない場合は、何らかの炎症や栄養不足が隠れている可能性があります。
「水ぶくれが集まって現れる」場合は、口唇ヘルペスの疑いがあります。ピリピリ・ヒリヒリとした前駆症状とともに水ぶくれが出現する場合は、できるだけ早く皮膚科を受診してください。早期に抗ウイルス薬を使用することで、症状を軽く抑えることができます。
「赤みとかゆみ・腫れが目立つ」場合は、アレルギー性の接触性皮膚炎が疑われます。原因物質の除去と、必要であれば皮膚科でのパッチテストを検討してください。
「口角(くちの端)の割れやただれ」が出ている場合は、「口角炎」と呼ばれる状態が疑われます。細菌・カンジダ(真菌)・ウイルスなどが原因となることがあり、栄養不足(特にビタミンB群・鉄分)と関連することも多いです。口角炎は見た目が目立ち、口を開けるたびに痛みを感じる場合もあります。
「唇全体が腫れる」場合は、アレルギー反応(接触性皮膚炎、食物アレルギー)の可能性があります。唇だけでなく、のどの腫れやじんましん、呼吸困難などの症状を伴う場合は、アナフィラキシーの可能性があり、直ちに医療機関を受診する必要があります。
「なかなか治らない・繰り返す」場合も注意が必要です。通常の唇荒れは数日から1〜2週間程度で改善しますが、2週間以上症状が続く場合や、繰り返して同じ場所に症状が出る場合は、別の疾患が隠れている可能性があるため、専門医への相談をおすすめします。
Q. 唇の荒れでクリニックを受診すべき症状は?
アイシークリニック上野院では以下の場合に早期受診を推奨しています。唇に水ぶくれが集まって現れた場合(口唇ヘルペスの疑い)、2週間以上症状が改善しない場合、強いかゆみ・腫れ・赤みがある場合、そして唇の腫れとともにのどのかゆみや息苦しさを感じる場合は緊急性が高く、直ちに医療機関を受診する必要があります。
✨ 9. 日常的にできる唇のケアと予防法
唇の荒れを防ぎ、健康な状態を保つためには、日々のケアが非常に重要です。シンプルでありながら続けることで大きな効果を発揮するケア習慣をご紹介します。
最も基本的かつ重要なのが「保湿」です。リップクリームやリップバームを使って唇の水分を補い、閉じ込めることが唇のバリア機能を守る第一歩です。リップクリームを選ぶ際は、ワセリンやシアバター、セラミドなどの保湿成分が含まれたものが適しています。香料や添加物の多いものは刺激になる場合があるため、敏感な方はシンプルな成分のものを選ぶとよいでしょう。
保湿のタイミングも重要です。就寝前にリップクリームをたっぷり塗ることで、睡眠中に唇の保湿ケアができます。朝起きたとき、食事の後、外出前後など、こまめに塗り直す習慣をつけましょう。ただし、唇に食べ物や唾液が付いた状態での上塗りは効果が薄いため、一度軽く拭き取ってから塗るようにしてください。
「唇の角質ケア(スクラブ)」は週1〜2回程度で十分です。市販のリップスクラブや、砂糖とオリーブオイルを混ぜたもので優しくマッサージすることで、古い角質を取り除き、保湿成分の浸透を助けます。ただし、荒れているときやヘルペスが出ているときは刺激になるため避けてください。
キスの前後の具体的なケアとしては、事前にリップクリームで保湿しておくことで摩擦ダメージを軽減できます。キスの後は唾液が残っていれば清潔なティッシュで軽く拭き取り、再度リップクリームで保湿することをおすすめします。
栄養面では、ビタミンB2・B6を含む食品(レバー、卵、乳製品、魚、鶏肉、バナナなど)を積極的に取り入れましょう。ビタミンCも皮膚の修復に重要な役割を果たします。
口唇ヘルペスの予防という観点では、免疫力を維持することが最大の対策です。十分な睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理などが基本的な対策となります。また、水ぶくれが出ているときのキスはウイルスの感染リスクが高いため、症状が落ち着くまで控えることが大切です。
アレルギーが疑われる場合は、パートナーに使用している化粧品や歯磨き粉の成分を確認し、原因と思われるものを変えてもらうことも一つの選択肢です。また、食後すぐのキスではなく、ある程度時間をおいてから接触することで、食べ物成分による反応を軽減できる場合があります。
📌 10. クリニックに相談するタイミング

唇の荒れは多くの場合、日常的なケアで改善しますが、場合によっては医療機関での診察・治療が必要になることがあります。どのようなときに受診すべきかを把握しておきましょう。
まず「2週間以上改善しない場合」は受診をおすすめします。通常の乾燥やちょっとした炎症であれば1〜2週間程度で回復しますが、それ以上続く場合は感染症や皮膚疾患、全身疾患(糖尿病や自己免疫疾患など)が背景にある可能性があります。
「水ぶくれが出現した場合」は口唇ヘルペスの疑いがあるため、できるだけ早期に皮膚科を受診してください。口唇ヘルペスは早期に抗ウイルス薬を使用することで、症状の悪化を防ぎ、治癒を早めることができます。また、初感染の場合は症状が特に強く出ることがあるため注意が必要です。
「強いかゆみ・腫れ・赤みがある場合」はアレルギーが疑われます。皮膚科でのパッチテストによってアレルゲンを特定し、適切な治療を受けることができます。
「唇の腫れとともにのどのかゆみ・じんましん・息苦しさを感じる場合」は、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)の可能性があります。この場合は緊急性が高く、直ちに救急医療機関を受診する必要があります。
「繰り返し同じ場所にできる潰瘍(口内炎のようなもの)」がある場合も受診を検討してください。再発性アフタ性口内炎やベーチェット病など、別の疾患の可能性があります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、キスをきっかけに唇が荒れたとご相談いただく患者様の中で、口唇ヘルペスや接触性皮膚炎が原因であるケースが少なくなく、単純な乾燥と見分けがつかずにセルフケアだけで様子を見てしまう方も多い印象です。特に口唇ヘルペスは早期に抗ウイルス薬を使用することで症状の重症化を防げるため、水ぶくれやピリピリとした違和感が現れた際はできるだけ早めにご相談いただくことをおすすめします。唇の荒れは「よくあること」と放置されがちですが、原因を正確に見極めることが適切なケアへの近道ですので、気になる症状がある方はどうぞお気軽にご来院ください。」
🎯 よくある質問
キスによる唇荒れの主な原因は、①唇同士の摩擦による物理的刺激、②唾液に含まれる消化酵素による化学的刺激、③口唇ヘルペスウイルスへの感染、④パートナーの化粧品や食べ物成分によるアレルギー反応の4つです。これらが単独または複合的に重なって症状を引き起こすことがあります。
はい、感染する可能性があります。口唇ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が原因で、水ぶくれが出ている時期のキスで感染リスクが特に高くなります。また、症状が見えない「無症候性排出」の時期にも感染が起こり得るため注意が必要です。感染が疑われる場合は早めに皮膚科を受診してください。
キスの前はリップクリームで保湿しておくと、摩擦によるダメージを軽減できます。キスの後は唇に残った唾液を清潔なティッシュで軽く拭き取り、再度リップクリームで保湿することが大切です。唾液が乾燥する際に唇の水分も奪われるため、この習慣を続けることで唇荒れの予防につながります。
唇に水ぶくれが集まって現れた場合は、口唇ヘルペスの疑いがあります。ピリピリ・ヒリヒリとした違和感を伴うことが多く、できるだけ早く皮膚科を受診することをおすすめします。早期に抗ウイルス薬を使用することで症状の重症化を防ぎ、治癒を早めることができます。自己判断でのケアは避けましょう。
以下の場合はアイシークリニック上野院など医療機関への相談をおすすめします。①2週間以上症状が改善しない、②水ぶくれが出現した、③強いかゆみ・腫れ・赤みがある、④唇の腫れとともにのどのかゆみや息苦しさを感じる(この場合は緊急受診)、⑤同じ場所に潰瘍が繰り返しできる、といったケースです。
📋 まとめ
キスによって唇が荒れる原因は、物理的な摩擦や乾燥、唾液による化学的刺激、口唇ヘルペスウイルスの感染、アレルギー(接触性皮膚炎)など多岐にわたります。唇はもともと皮膚が薄くバリア機能が弱い部位であるため、こうした刺激を受けると症状が出やすいのです。
日常的なケアとしては、リップクリームによる保湿を習慣づけること、唇をなめる癖をやめること、バランスの取れた食事と十分な睡眠を確保することが基本です。キスの前後には保湿を意識し、唾液が残った場合はそっと拭き取ってから再度保湿することをおすすめします。
口唇ヘルペスが疑われる水ぶくれが出た場合、強いアレルギー反応が出た場合、2週間以上改善しない場合は、自己判断せず医療機関に相談することが大切です。早期に適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早期回復につなげることができます。
唇の健康は全身の健康とも深くつながっています。日ごろから唇の状態に気を配り、異変を感じたときは早めに専門家へ相談する習慣をつけましょう。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 口唇ヘルペス・接触性皮膚炎・口唇炎などの皮膚疾患に関する診断基準・治療ガイドラインの参照
- 国立感染症研究所 – 単純ヘルペスウイルス(HSV-1)の感染経路・疫学・無症候性排出・感染予防に関する情報の参照
- 厚生労働省 – 感染症対策および皮膚・粘膜トラブルに関する一般向け健康情報・予防対策の参照
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務