親指の爪の横が痛い、赤く腫れている、膿が出てきたなど、爪まわりのトラブルは日常生活の中で意外と多く経験するものです。「少し様子を見れば治るだろう」と放置してしまいがちですが、原因によっては悪化して膿瘍を形成したり、歩行困難になるほど痛みが強くなったりすることもあります。親指の爪の横の痛みには、陥入爪(かんにゅうそう)、爪周囲炎(そうしゅういえん)、ひょう疽(ひょうそ)、タコ・魚の目など、さまざまな原因が考えられます。それぞれの特徴や見分け方、自分でできるケア方法、そして医療機関を受診すべきタイミングについて、この記事ではわかりやすく解説していきます。
目次
- 親指の爪の横が痛くなる主な原因
- 陥入爪(かんにゅうそう)とは
- 爪周囲炎(そうしゅういえん)とは
- ひょう疽(ひょうそ)とは
- タコ・魚の目・外反母趾との関連
- 爪の横の痛みを引き起こす生活習慣・原因
- 自分でできる応急処置とケア方法
- 医療機関を受診すべきタイミング
- クリニックでの診断と治療法
- 親指の爪のトラブルを予防するためのポイント
- まとめ
この記事のポイント
親指の爪の横の痛みは陥入爪・爪周囲炎・ひょう疽・タコなどが原因。膿や拍動痛・発熱がある場合は早急に皮膚科・形成外科を受診し、予防にはスクエアカットと足に合った靴の選択が有効。
🎯 1. 親指の爪の横が痛くなる主な原因
親指の爪の横(側縁部)が痛むとき、その原因は一つとは限りません。見た目が似ていても、原因によって適切な対処法は大きく異なります。まずは代表的な原因を整理しておきましょう。
もっとも多いのが陥入爪です。爪の角が皮膚に食い込むことで炎症を引き起こし、強い痛みや赤み、腫れ、場合によっては膿が出るといった症状が現れます。次に多いのが爪周囲炎で、爪のまわりの皮膚に細菌が感染して炎症を起こした状態です。ひょう疽は指先全体に広がる深部の感染症で、ズキズキとした強い拍動性の痛みが特徴です。
そのほかにも、タコや魚の目が爪の横に形成されることがあります。外反母趾があると、足の変形によって靴と当たる場所が変わり、爪の横にタコができやすくなります。また、爪白癬(爪水虫)が進行すると爪が分厚くなって周囲の皮膚を圧迫し、痛みを引き起こすこともあります。
手の親指にも同様の症状が起こります。爪をかむ癖がある方、手仕事や水仕事が多い方は、手の親指の爪周囲炎やひょう疽を発症しやすい傾向があります。
Q. 陥入爪と巻き爪の違いは何ですか?
巻き爪は爪自体が筒状に丸まった変形で、皮膚への食い込みを必ずしも伴いません。一方、陥入爪は爪の端が皮膚(爪溝)に食い込み、炎症・赤み・腫れ・膿などの症状を引き起こした状態です。ただし、巻き爪が原因で陥入爪を発症するケースも多く、両者は密接に関連しています。
📋 2. 陥入爪(かんにゅうそう)とは
陥入爪は、爪の端(側縁)が弧を描くように丸まって皮膚(爪溝)に食い込んだ状態を指します。足の親指(母趾)に最も多く発生しますが、手の親指や他の指にも起こることがあります。
陥入爪が起きると、初めは「なんとなく爪の横が痛い」「靴を履くと圧迫されて痛む」という程度です。しかし放置していると、食い込んだ爪によって皮膚が傷つき、そこから細菌が侵入して化膿することがあります。さらに進行すると、爪の横に赤く盛り上がった肉芽組織(過剰増殖した組織)が形成され、少し触れるだけでも激しく痛んだり出血したりするようになります。
陥入爪の主な原因は以下のとおりです。
まず、深爪が挙げられます。爪を短く切りすぎると、爪の角が皮膚に食い込みやすくなります。次に、爪の丸切りです。爪の両端を丸く切る「ラウンドカット」は陥入爪を招きやすいとされています。また、先が細い靴やサイズが合わない靴を履くことで、爪が常に圧迫されることも原因になります。さらに、扁平足や外反母趾、肥満なども足への荷重の偏りによって陥入爪のリスクを高めます。スポーツでの繰り返す衝撃やケガも原因になり得ます。
陥入爪は爪の変形(巻き爪)と混同されることがありますが、厳密には別の状態です。巻き爪は爪そのものが筒状に丸まっている状態で、皮膚への食い込みが必ずしも伴うわけではありません。一方、陥入爪は皮膚への食い込みと炎症が主体となります。ただし、巻き爪が陥入爪を引き起こしていることも多く、両者は密接な関係があります。
💊 3. 爪周囲炎(そうしゅういえん)とは
爪周囲炎は、爪のまわりの皮膚に細菌(主に黄色ブドウ球菌や連鎖球菌)が感染して炎症を起こした状態です。爪甲周囲炎とも呼ばれます。陥入爪の合併症として起こることが多いですが、爪をかんだり、指先をいじったり、甘皮(キューティクル)を無理に処理したりした際の小さな傷から細菌が入ることでも発症します。
症状としては、爪の横や根元あたりの皮膚が赤くなり、腫れて熱感を帯びてきます。圧痛(押すと痛む)が強く、次第に拍動するような痛みに変わることもあります。炎症が進むと膿がたまり、爪の横の皮膚の下に白や黄色の膿瘍が透けて見えることがあります。膿が自然に排出されると症状が和らぐこともありますが、適切に治療しないと再発を繰り返したり、深部まで感染が広がったりする恐れがあります。
爪周囲炎は手にも足にも起こりますが、手に多い傾向があります。特に水仕事が多い人は皮膚のバリア機能が低下しやすく、細菌が侵入しやすくなります。また、糖尿病の方は免疫機能が低下していることが多く、感染症が起こりやすく、また重症化しやすいため注意が必要です。
軽症であれば抗菌薬の外用(塗り薬)で対応できることもありますが、膿がたまっている場合には排膿処置(切開して膿を出す)が必要になります。自己判断で処置をしようとすると感染が広がるリスクがあるため、症状が悪化するようであれば医療機関を受診することが重要です。
Q. ひょう疽の症状と放置した場合のリスクは?
ひょう疽は指先の深部まで細菌感染が及んだ状態で、ズキズキ・ドクドクとした拍動性の激しい痛みと、指先全体の赤い腫れ・強い熱感が特徴です。放置すると感染が腱・関節・骨へ広がり、腱損傷や骨髄炎、最悪の場合は壊死に至ることもあるため、早急に皮膚科や形成外科を受診する必要があります。
🏥 4. ひょう疽(ひょうそ)とは
ひょう疽は、指先の皮膚のより深い層(皮下脂肪組織や腱鞘など)にまで細菌感染が及んだ状態です。医学的には「指尖部蜂窩織炎」や「指腱鞘炎」と重なる部分もあります。爪周囲炎が悪化してひょう疽になることもあります。
ひょう疽の症状は、爪周囲炎よりも痛みが強烈で、ズキズキ・ドクドクとした拍動性の激しい痛みが特徴です。指先全体が赤く腫れ上がり、熱感が強く、触れるだけで激痛が走ることもあります。発熱を伴うこともあります。炎症が腱(けん)や関節にまで及ぶと、指全体の動きが制限されることもあります。
ひょう疽が疑われる場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。感染が深部に広がるほど治療が難しくなり、最悪の場合には腱損傷や骨髄炎(骨の感染)、さらには壊死に至ることもあります。治療は基本的に切開排膿と抗菌薬の内服(または点滴)です。
ひょう疽になりやすいのは、免疫が低下している方(糖尿病患者、ステロイド薬の長期使用者など)や、指先に外傷や刺し傷を負った後に適切な処置をしなかった場合などです。
⚠️ 5. タコ・魚の目・外反母趾との関連
爪の横が痛い原因として、タコや魚の目(鶏眼)が関係していることもあります。タコ(胼胝)は皮膚が慢性的に圧迫や摩擦を受けることで角質が厚く硬くなった状態です。魚の目(鶏眼)はタコと似ていますが、中心部に「芯」と呼ばれる硬い核があり、それが神経を圧迫するため、歩いたり押したりしたときに強い痛みを感じます。
これらが爪の横に形成されると、爪の側縁部に圧力がかかって爪が変形したり、爪が皮膚に食い込んだりする二次的な問題を引き起こすことがあります。また、爪の横のタコや魚の目を削ろうとして誤って傷をつけてしまうと、そこから細菌が侵入して炎症を起こす可能性もあります。
外反母趾は、足の親指(母趾)が人差し指側に向かって曲がっていく変形です。外反母趾があると、靴との当たり方が変化して爪の横に圧力が集中しやすくなります。その結果、陥入爪やタコ・魚の目が生じやすくなります。外反母趾そのものを改善しなければ、爪の問題も繰り返し起こりやすくなるため、整形外科や形成外科での評価が大切です。
手の場合は、パソコン作業や手工芸など特定の動作を繰り返すことで、親指の爪の横にタコが形成されることがあります。ペンだこに似た状態ですが、爪の横に位置すると痛みや不快感を伴うこともあります。
🔍 6. 爪の横の痛みを引き起こす生活習慣・原因
爪の横の痛みは、日常生活のさまざまな習慣や環境が関係していることが多くあります。原因を知ることで、予防や再発防止につながります。
爪の切り方の問題は非常に大きな要因です。深爪や丸切り(ラウンドカット)は陥入爪の主な誘因になります。特に「爪の白い部分が残ると汚い」という感覚から、爪を極端に短く切ってしまう方は注意が必要です。また、爪の両端を短く切りすぎることで、爪が皮膚に食い込みやすくなります。
靴の選び方も重要です。つま先が狭い・細い靴(ポインテッドトゥなど)、ハイヒール、サイズが小さい靴は、足の指先を圧迫して爪に負担をかけます。スポーツシューズでもサイズが合っていないと、走るたびに爪が靴の内側に当たり続けて炎症を引き起こします。
ネイルケアの問題も見落とせません。ジェルネイルやアクリルネイルを長期間続けることで爪が薄くなったり、甘皮を無理に押し上げたり切ったりすることで、爪周囲炎の原因になることがあります。また、ネイルサロンでのケアが原因で感染が広がるケースも報告されています。
爪をかむ・いじる癖も問題です。爪を噛む習慣がある方は、爪の周囲に小さな傷ができやすく、そこから細菌が入りやすくなります。爪の端をむしったり、爪の甘皮を引っ張ったりする癖も同様のリスクがあります。
水仕事・過度な手洗いによる皮膚バリアの低下も原因になります。手が頻繁に水に触れると皮膚のバリア機能が弱まり、細菌が侵入しやすくなります。特に調理師や看護師、清掃業務に従事している方は爪周囲炎を発症しやすい傾向があります。
基礎疾患の影響も無視できません。糖尿病の方は血糖値のコントロールが不良だと免疫が低下し、軽微な傷でも感染が起きやすく重症化しやすくなります。また、末梢血行障害がある場合には、指先への血流が悪くなり感染への抵抗力が低下します。
Q. 爪の横の痛みで病院受診が必要なタイミングは?
膿がたまっている、拍動するような強い痛みが続く、発熱・悪寒・リンパ節の腫れを伴う、赤い肉芽組織が形成されている、1週間以上ケアを続けても改善しない場合は、皮膚科または形成外科への受診が必要です。糖尿病など基礎疾患がある方は重症化リスクが高いため、より早めの受診が重要です。
📝 7. 自分でできる応急処置とケア方法
症状が軽度の場合、自宅でできるケアで改善することもあります。ただし、感染が疑われる場合や痛みが強い場合は、自己処置を重ねるよりも医療機関を受診することが基本です。
足浴(フットバス)は効果的なケア方法の一つです。38〜40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分程度足を浸けることで、血行が促進され炎症が和らぐとともに、皮膚が柔らかくなって爪の食い込みが改善しやすくなります。また、清潔を保つことで感染のリスクを下げることもできます。
コットンパッキング法は、陥入爪の初期段階に行われる方法です。爪の先端と皮膚の間に小さなコットン(脱脂綿)を少しずつ押し込んで、爪が皮膚に直接当たらないようにします。ただし、炎症がある場合や慣れていない方が無理に行うと症状を悪化させる可能性があるため、まずは医療機関での指導を受けてから行うことが望ましいです。
テーピングは、皮膚を爪から引き離すように固定するテープを貼ることで痛みを和らげる方法です。爪の横の皮膚に柔らかいテープを貼り、皮膚を指先の反対側に引っ張るように固定します。陥入爪の一時的な痛み対策として有効ですが、根本的な治療ではないため、症状が改善しない場合は医療機関を受診してください。
市販薬の使用については、軽度の炎症に対してはドラッグストアで購入できるスキンケア用品や抗菌作用のある外用薬が有効な場合もあります。ただし、「化膿している」「強い痛みがある」「腫れがひどい」場合は市販薬の対処では不十分であることが多く、医師による処方薬が必要です。
爪の正しいカット方法を実践することも大切です。爪はまっすぐに(スクエアカット)切り、爪の先端が指の先端と同じかわずかに長くなるくらいの長さを保つのが基本です。爪の両端を切りすぎないようにすることで、爪が皮膚に食い込むリスクを大幅に減らすことができます。
適切な靴への変更も重要な対処法です。つま先にゆとりのある靴、足の形に合ったインソールを使用することで、爪への圧迫を軽減することができます。
💡 8. 医療機関を受診すべきタイミング
自宅でのケアで改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
膿が出ている・膿が皮膚の下にたまっているように見えるときは、感染が進んでいる可能性があります。自分で膿を出そうとすると、感染をさらに広げたり、傷が深くなったりする危険性があります。必ず医師に処置を任せてください。
ズキズキ・ドクドクとした拍動性の強い痛みが続くときは、ひょう疽や深部への感染が疑われます。このような痛みは放置するほど治療が難しくなるため、早急に受診が必要です。
発熱や悪寒、リンパ節の腫れ(脇の下や鼠径部)を伴う場合は、局所の感染が全身に広がっている可能性があります。これは緊急性が高い状態です。
爪の横に赤く盛り上がった肉芽組織が形成されている場合、保存的治療だけでは改善が難しいことが多く、処置(肉芽の切除や爪の矯正・抜爪など)が必要になります。
1週間以上症状が続いている・悪化しているときも受診の目安です。軽症でも1週間ケアを続けて改善の兆しがない場合や、明らかに悪化している場合は、専門的な治療が必要なサインです。
糖尿病や免疫抑制状態にある方は、通常よりも早めに受診することが重要です。軽微な傷や感染でも重症化するリスクが高く、場合によっては入院治療が必要になることもあります。
受診する診療科については、陥入爪・爪周囲炎・ひょう疽などは皮膚科や形成外科が専門です。外反母趾など足の変形が原因の場合は整形外科も関連します。どの科に行けばよいか迷う場合は、まずかかりつけ医に相談するか、皮膚科・形成外科を受診するとよいでしょう。
Q. 陥入爪を繰り返さない爪の切り方は?
陥入爪の予防には「スクエアカット」が基本です。爪を直線的に切り、角をわずかに丸める程度にとどめます。深爪や爪の両端を丸く切る「ラウンドカット」は皮膚への食い込みを招くため避けましょう。爪の長さは指の先端とほぼ同じが目安で、乾燥を防ぐため入浴後の柔らかい状態で切ると安全です。
✨ 9. クリニックでの診断と治療法
医療機関では、問診と視診・触診によって診断を行います。必要に応じて、原因菌を特定するための細菌培養検査、爪の状態を詳しく確認するための画像検査などが行われることもあります。
陥入爪の治療としては、症状の程度によってさまざまな方法があります。軽度の場合は前述のコットンパッキング法やテーピング法を医師の指導のもとで行います。中等度以上では、爪矯正(ワイヤーやプレートを用いて爪の形を矯正する方法)が行われることが増えています。これは爪に特殊なワイヤーやガラス製のプレートを取り付けて、丸まった爪を徐々に平らに矯正していく方法です。保険適用外のものもありますが、手術なしに改善できることから、多くの患者さんに選ばれています。
重症の陥入爪や、繰り返し再発する場合には手術が選択されることがあります。代表的な手術として、フェノール法(爪の側縁を切除した後、フェノールという薬剤を塗布して爪の一部が再び生えてこないようにする方法)があります。局所麻酔で行われるため日帰り手術が可能で、再発率が低い治療法として評価されています。
爪周囲炎の治療は、炎症の程度によって異なります。初期であれば抗菌薬の外用薬(クリームや軟膏)と内服薬で対応できることもあります。膿がたまっている場合には、切開排膿処置を行って膿を外に出します。処置そのものは比較的短時間で終わりますが、その後も適切な消毒とドレナージ(膿の排出路の確保)が必要です。
ひょう疽の治療は、切開排膿と抗菌薬投与が基本です。感染が深部まで及んでいる場合には、より広範囲な外科的処置が必要になることもあります。入院して抗菌薬の点滴治療が必要になるケースもあります。
タコや魚の目の治療は、硬くなった角質をメスで削る「スピール膏(角質軟化剤)処置」や外科的切除が行われます。再発を防ぐためには、原因となっている靴や歩き方・足の変形にもアプローチすることが大切です。
📌 10. 親指の爪のトラブルを予防するためのポイント

爪の横の痛みは、正しいケアと生活習慣の見直しによって多くは予防することができます。以下のポイントを日常生活に取り入れてみてください。
爪の正しい切り方を身につけることが、もっとも基本的な予防策です。爪はスクエアカット(直線的に切り、角を少し丸める程度)にし、深爪にならないようにします。目安として、爪の先端が指の先端とほぼ同じ長さになるようにします。爪切りは一度に大きく切ろうとせず、少しずつ切り進めるのがコツです。爪が乾燥しているときは割れやすいため、入浴後などやわらかい状態のときに切ると安全です。
足に合った靴を選ぶことも重要です。つま先に1センチメートル程度のゆとりがある靴を選び、横幅も自分の足に合ったものを使用しましょう。長時間歩くときや運動をするときは、特に靴の選択に気を配ることが大切です。インソール(中敷き)を活用することで、足への荷重の分散を助けることもできます。
足や手のスキンケアも忘れてはいけません。乾燥した皮膚は傷つきやすく、バリア機能が低下しています。入浴後など保湿クリームやハンドクリームを使ってしっかり保湿することで、皮膚の状態を整え、感染リスクを下げることができます。
爪の甘皮(キューティクル)のケアは慎重に行うことが必要です。甘皮は爪と皮膚の境目を保護する役割があります。無理に押し上げたり切ったりすると、そこから細菌が侵入しやすくなります。甘皮のケアはプロのネイリストに任せるか、ケアが必要な場合はやさしく押し上げる程度にとどめましょう。
爪をかむ癖や爪の端をむしる癖は意識的に改善することが大切です。これらの癖は爪周囲炎や陥入爪の原因になります。爪をかむ癖がある方は、マニキュアを塗ることで抑制できる場合もあります。
定期的な足チェックを習慣にすることも予防につながります。特に糖尿病のある方や高齢者の方は、毎日足を確認して、爪の状態や皮膚の変化に早めに気づくことが重要です。見えにくい場合は鏡を使ったり、家族に確認を依頼したりすることも有効です。
スポーツをする方は、競技に適したシューズ選びと爪の管理が必要です。マラソンやサッカーなど足への負担が大きいスポーツでは、爪が繰り返し圧迫されて内出血(ブラックネイル)や陥入爪が起きやすくなります。競技前に爪を適切な長さに整えること、クッション性の高いシューズを選ぶことなどで予防できます。
足の変形(外反母趾・扁平足・ハンマートゥなど)がある方は、専門家によるフットケアや矯正具の使用を検討することが望ましいです。変形が根本にある場合、爪のケアだけでは解決しないことが多く、整形外科的なアプローチが必要になることもあります。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太 医師(当院治療責任者)より
「当院では、爪の横の痛みを「少し様子を見れば治るだろう」と放置されてから受診される患者さんが多く、来院時にはすでに膿がたまっていたり、肉芽が形成されていたりするケースが少なくありません。陥入爪・爪周囲炎・ひょう疽はいずれも早期に対処するほど治療の選択肢が広がり、患者さんご自身の負担も小さくて済みます。「なんとなく気になる」という段階でもお気軽にご相談いただき、一緒に適切なケアの方法を考えていきましょう。」
🎯 よくある質問
巻き爪は爪そのものが筒状に丸まった状態で、皮膚への食い込みが必ずしも伴うわけではありません。一方、陥入爪は爪の端が皮膚に食い込み、炎症や痛みを引き起こした状態を指します。ただし、巻き爪が陥入爪を引き起こすケースも多く、両者は密接に関連しています。
軽度の場合は、38〜40℃のぬるめのお湯に10〜15分足を浸ける足浴が効果的です。また、コットンパッキング法(爪と皮膚の間にコットンを挟む)やテーピングで一時的に痛みを和らげることもできます。ただし、膿が出ている・痛みが強い場合は自己処置を避け、医療機関を受診してください。
膿がたまっている、ズキズキとした拍動性の強い痛みが続く、発熱や悪寒を伴う、赤く盛り上がった肉芽が形成されている、1週間以上ケアを続けても改善しない場合は早めに受診してください。特に糖尿病など基礎疾患がある方は、重症化リスクが高いため通常より早めの受診が重要です。
爪はスクエアカット(直線的に切り、角をわずかに丸める程度)が基本です。深爪や爪の両端を丸く切る「ラウンドカット」は陥入爪の主な原因となるため避けましょう。爪の長さは先端が指の先端とほぼ同じになる程度を目安にし、乾燥を避けるため入浴後の柔らかい状態で切ると安全です。
ひょう疽は指先深部への細菌感染で、ズキズキ・ドクドクとした拍動性の激しい痛みと、指先全体の赤い腫れ・強い熱感が特徴です。放置すると感染が腱や関節・骨にまで広がり、腱損傷や骨髄炎、最悪の場合は壊死に至ることもあります。疑われる症状があれば、できるだけ早く皮膚科や形成外科を受診してください。
📋 まとめ
親指の爪の横が痛いときの原因は、陥入爪、爪周囲炎、ひょう疽、タコ・魚の目、外反母趾に関連したものなど多岐にわたります。それぞれ症状や重症度が異なり、適切な対処法も違います。
軽度の陥入爪や炎症初期であれば、正しいケア方法(足浴・コットンパッキング・テーピング)と靴の変更で改善することもありますが、膿がたまっている、拍動する強い痛みがある、発熱を伴う、1週間以上改善しないといった場合は迷わず医療機関を受診してください。特に糖尿病などの基礎疾患がある方は、早期受診が重症化予防につながります。
予防の基本は、爪をスクエアカットに整えること、自分の足に合った靴を選ぶこと、日々の保湿ケアを続けることです。爪の横の痛みは再発しやすいトラブルですが、正しい知識と習慣を身につけることで、多くの場合は防ぐことができます。
「なんとなく痛い」「少し腫れているだけだから」と放置せず、症状が気になったら早めに皮膚科や形成外科を受診することをお勧めします。アイシークリニック上野院では、爪のトラブルを含む皮膚・爪まわりの症状についてご相談を承っております。お気軽にご来院ください。
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📚 参考文献
- 日本皮膚科学会 – 陥入爪・爪周囲炎・ひょう疽などの爪周辺疾患の診断基準、治療ガイドライン、および細菌感染による皮膚炎症への対処法に関する専門的情報
- 日本形成外科学会 – 陥入爪の外科的治療法(フェノール法・爪矯正など)および爪形成手術の適応・術式に関する専門的情報
- 厚生労働省 – 糖尿病患者における足病変・感染症リスク管理、および日常的なフットケア・予防に関する公式ガイダンス情報
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務