「自分のワキのにおいが気になる」「もしかしてワキガかもしれない」と不安を感じている方は少なくありません。ワキガ(腋臭症)は、アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚常在菌によって分解されることで発生する特有のにおいを指します。しかし、一口にワキガのにおいといっても、その種類や特徴は人によってさまざまです。本記事では、ワキガのにおいの種類と特徴について詳しく解説し、セルフチェック方法や対策、治療法まで幅広くお伝えします。
目次
- ワキガとは?においが発生するメカニズム
- ワキガのにおいの種類と特徴
- ワキガのにおいの強さに影響する要因
- 自分でできるワキガのセルフチェック方法
- ワキガのにおいと間違えやすい体臭の種類
- ワキガのにおい対策と日常生活での注意点
- ワキガの治療法と医療機関での選択肢
- よくある質問
この記事のポイント
ワキガは遺伝や細菌分解が原因で、玉ねぎ臭・酸臭など複数タイプがある。耳垢・衣服黄ばみでセルフチェック可能。治療はボトックス・ミラドライ・手術で70〜90%の軽減効果が期待できる。
🎯 ワキガとは?においが発生するメカニズム
ワキガのにおいの種類を理解するためには、まずにおいが発生するメカニズムを知ることが重要です。ここでは、ワキガの原因となる汗腺の仕組みや、においが生じる過程について解説します。
🦠 エクリン汗腺とアポクリン汗腺の違い
人間の体には2種類の汗腺が存在します。1つ目は全身に分布するエクリン汗腺で、主に体温調節のために水分を多く含んだサラサラの汗を分泌します。この汗は約99%が水分で構成されており、基本的に無臭です。
2つ目がアポクリン汗腺です。この汗腺はワキの下、耳の中、乳輪周辺、陰部などの限られた部位にのみ存在します。アポクリン汗腺から分泌される汗には、タンパク質、脂質、脂肪酸、アンモニア、鉄分などの成分が含まれており、これらがワキガのにおいの原因となります。
👴 においが発生する仕組み
アポクリン汗腺から分泌される汗自体は、実はほとんど無臭です。ワキガ特有のにおいは、この汗が皮膚表面に存在する常在菌によって分解される過程で発生します。特に、コリネバクテリウム属の細菌がアポクリン汗に含まれる成分を分解することで、独特のにおい物質が生成されます。
具体的には、アポクリン汗に含まれる脂肪酸が細菌によって分解されると、3-メチル-2-ヘキセン酸(3M2H)という物質が生成されます。この物質がワキガの主要なにおい成分の1つとされています。また、汗に含まれる硫黄化合物やアンモニアなども、においの原因となります。
🔸 ワキガになりやすい体質とは
ワキガの発症には遺伝的要因が大きく関係しています。アポクリン汗腺の数や大きさ、活動性は遺伝によって決まるため、両親のどちらかがワキガ体質である場合、子どもも同様の体質になる可能性が高くなります。研究によると、両親がともにワキガ体質の場合、約80%の確率で子どもにも遺伝するとされています。
また、ワキガ体質と耳垢の性質には関連があることが知られています。耳垢が湿っているタイプ(湿性耳垢)の方は、アポクリン汗腺が発達している傾向があり、ワキガになりやすいとされています。日本人の約16%が湿性耳垢を持つとされており、欧米人と比較すると割合は低いものの、決して珍しいものではありません。
Q. ワキガのにおいはどのような仕組みで発生するのですか?
ワキガのにおいは、アポクリン汗腺から分泌される汗が皮膚の常在菌(主にコリネバクテリウム属)によって分解される過程で発生します。分解によって生成される3-メチル-2-ヘキセン酸(3M2H)や硫黄化合物、アンモニアなどが、ワキガ特有のにおいの主要成分です。
📋 ワキガのにおいの種類と特徴
ワキガのにおいは、その原因となる成分の組み合わせや分解のされ方によって、さまざまなタイプに分類されます。ここでは、代表的なワキガのにおいの種類とその特徴について詳しく解説します。
💧 玉ねぎ・ネギのようなにおい
ワキガのにおいとして最も一般的に報告されるのが、玉ねぎやネギを連想させるツンとした刺激的なにおいです。このにおいは、アポクリン汗に含まれる硫黄化合物が細菌によって分解されることで発生します。
硫黄化合物は非常に揮発性が高く、少量でも強いにおいとして感じられる特徴があります。そのため、このタイプのにおいを持つ方は、周囲の人に気づかれやすい傾向があります。特に汗をかいた直後や、緊張している時に強くなることが多いです。
✨ 酸っぱいにおい
酢やヨーグルトのような酸っぱいにおいも、ワキガの代表的なタイプの1つです。このにおいは、アポクリン汗に含まれる脂肪酸が細菌によって分解され、低級脂肪酸(イソ吉草酸など)が生成されることで発生します。
酸っぱいにおいは、特に運動後や暑い環境で過ごした後に強くなる傾向があります。また、ストレスや緊張によってアポクリン汗腺の活動が活発になると、このにおいが強まることもあります。このタイプのにおいは、足の臭いと似た成分が原因となっている場合もあります。
📌 鉛筆の芯・クレヨンのようなにおい
比較的軽度のワキガの方に多く見られるのが、鉛筆の芯やクレヨンを連想させるにおいです。このにおいは、アポクリン汗に含まれる脂質成分が酸化・分解される過程で発生するものと考えられています。
鉛筆の芯のようなにおいは、他のタイプと比較すると比較的穏やかで、本人が自覚しにくいことがあります。しかし、密閉された空間や至近距離では周囲の人に感じられることがあるため、セルフケアを怠らないことが大切です。
📌 ▶️ カレー・スパイスのようなにおい
アポクリン汗に含まれる特定の成分が分解されると、カレーやスパイスのようなにおいが発生することがあります。このにおいは、アンドロステノールやアンドロステノンといった物質が関与していると考えられています。
興味深いことに、このタイプのにおいに対する感受性は個人差が大きく、同じにおいでも人によって「不快」と感じる場合と「あまり気にならない」と感じる場合があります。これは遺伝的な嗅覚受容体の違いによるものとされています。
🔹 生乾きの洗濯物のようなにおい
湿った環境で細菌が繁殖した際に発生するような、生乾きの洗濯物を連想させるにおいもワキガの一種です。このにおいは、特に皮膚が蒸れやすい状態が続いた時に発生しやすくなります。
生乾きのにおいは、モラクセラ菌という細菌が産生する4-メチル-3-ヘキセン酸(4M3H)という物質が主な原因です。この菌は高温多湿の環境で増殖しやすいため、夏場や通気性の悪い衣服を着用している時にこのにおいが強くなることがあります。
📍 古い油・脂っぽいにおい
アポクリン汗に含まれる脂質が酸化すると、古い油や脂っぽいにおいが発生することがあります。このにおいは、特に皮脂分泌が活発な方や、脂質の多い食事を好む方に見られることがあります。
脂っぽいにおいは、時間の経過とともに強くなる傾向があります。朝は気にならなくても、夕方になると汗と皮脂が混ざり合い、においが強まることがあるため、こまめなケアが必要です。
Q. ワキガのにおいにはどんな種類がありますか?
ワキガのにおいは主に6種類に分類されます。①玉ねぎ・ネギのような硫黄系の刺激臭、②酢やヨーグルトに似た酸っぱいにおい、③鉛筆の芯・クレヨン系の穏やかなにおい、④カレー・スパイス系、⑤生乾きの洗濯物のようなにおい、⑥古い油・脂っぽいにおい、があり、原因成分や分解のされ方によって異なります。
💊 ワキガのにおいの強さに影響する要因
ワキガのにおいは常に一定ではなく、さまざまな要因によって強くなったり弱くなったりします。ここでは、においの強さに影響を与える主な要因について解説します。
💫 食事の影響
食べ物は体臭に大きな影響を与えます。特に、ニンニクやニラ、玉ねぎなどのアリウム属の野菜に含まれる硫黄化合物は、摂取後に汗や息から排出されるため、ワキガのにおいを強める可能性があります。
また、動物性脂肪を多く含む肉類や乳製品は、アポクリン汗腺の活動を活発にし、脂質成分の分泌を増加させることがあります。一方で、野菜や果物、発酵食品などを積極的に摂取することで、体臭が軽減される可能性があるとされています。
🦠 ストレスと精神的要因
アポクリン汗腺は自律神経の支配を受けており、緊張やストレスを感じると活発に働きます。いわゆる「冷や汗」や「緊張汗」と呼ばれるものは、アポクリン汗腺からの分泌が主体となっています。
精神的なプレッシャーがかかる場面、例えば大事なプレゼンテーションや面接、初対面の人と会う時などは、アポクリン汗の分泌が増加し、においが強くなりやすいです。このため、ワキガを気にするあまり緊張してしまい、さらににおいが強くなるという悪循環に陥ることもあります。
👴 ホルモンバランスの変化
アポクリン汗腺はホルモンの影響を強く受けます。思春期になるとアポクリン汗腺が発達し始めるため、この時期からワキガの症状が現れることが多いです。また、女性の場合は月経周期に伴うホルモン変動によって、においの強さが変化することがあります。
妊娠中や更年期など、ホルモンバランスが大きく変化する時期にも、体臭に変化が生じることがあります。このような時期は、普段よりもにおいケアに注意を払う必要があるでしょう。
🔸 季節と気温の影響
当然ながら、気温が高い季節は汗の分泌量が増加し、ワキガのにおいも強くなりやすいです。また、高温多湿の環境では細菌の繁殖が活発になるため、においの原因物質が生成されやすくなります。
一方で、冬場でも暖房の効いた室内で厚着をしていると、ワキが蒸れやすくなり、においが発生することがあります。季節を問わず、適切な通気性を確保することが大切です。
💧 衣服の素材と通気性
着用する衣服の素材もにおいの強さに影響します。ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、綿や麻などの天然繊維と比較して通気性が悪く、汗を吸収しにくい特徴があります。そのため、ワキの周辺が蒸れやすくなり、細菌の繁殖を促進してしまいます。
また、衣服に染み付いた汗や皮脂は、洗濯しても完全に落ちないことがあり、着用するたびににおいが復活することがあります。特にワキ部分は念入りに洗濯し、定期的に漂白剤を使用するなどの対策が必要です。
🏥 自分でできるワキガのセルフチェック方法
自分がワキガかどうかを客観的に判断することは難しいものです。しかし、いくつかのポイントをチェックすることで、ワキガ体質かどうかの目安を知ることができます。
✨ 耳垢のタイプを確認する
先述したように、耳垢のタイプとワキガ体質には強い相関関係があります。耳垢が湿っていてベタベタしている(湿性耳垢)場合は、アポクリン汗腺が発達している可能性が高く、ワキガ体質である可能性があります。
耳垢のタイプを確認する際は、入浴後ではなく、乾いた状態の耳垢で判断してください。綿棒で耳の中を軽くこすり、付着した耳垢が乾燥してカサカサしているか、湿ってベトベトしているかを確認します。湿性耳垢の場合は、綿棒に黄色っぽい湿った耳垢が付着します。
📌 衣服の黄ばみを確認する
アポクリン汗にはリポフスチンという色素成分が含まれているため、ワキガ体質の方は衣服のワキ部分が黄ばみやすい傾向があります。白いシャツやインナーを着用した後、ワキ部分に黄色いシミができていないか確認してみましょう。
通常の汗(エクリン汗)でも長時間放置すると黄ばむことがありますが、アポクリン汗による黄ばみは色が濃く、範囲も広い傾向があります。また、洗濯しても完全に落ちにくいのが特徴です。
🦠 ▶️ ▶️ 家族歴を確認する
ワキガは遺伝的要因が大きいため、両親や兄弟姉妹にワキガ体質の人がいるかどうかを確認することも重要なチェックポイントです。片方の親がワキガ体質の場合は約50%、両親ともにワキガ体質の場合は約80%の確率で子どもにも遺伝するとされています。
ただし、家族にワキガ体質の人がいないからといって、自分がワキガでないとは限りません。遺伝子の発現には個人差があるため、親にはあまり症状が出ていなくても、子どもに強く現れることもあります。
🔹 ガーゼテストを行う
より客観的にワキガのにおいを確認する方法として、ガーゼテストがあります。清潔なガーゼや脱脂綿をワキに挟んで数時間過ごした後、そのにおいを確認します。
この方法では、自分の鼻が自分のにおいに慣れてしまう「嗅覚順応」を避けることができます。ガーゼを密閉容器に入れて保管し、少し時間を置いてから嗅ぐと、より客観的に判断できます。ただし、この方法でも自己判断には限界があるため、気になる場合は医療機関での診察を受けることをお勧めします。
📍 ワキ毛の状態を確認する
ワキ毛とアポクリン汗腺には関連があるとされています。一般的に、ワキ毛が太くて量が多い方は、アポクリン汗腺も発達している傾向があります。また、ワキ毛の根元に白い粉のようなものが付着している場合は、アポクリン汗の成分が結晶化したものである可能性があります。
女性の場合は、ワキ毛を処理していることが多いため判断しにくいですが、毛穴の大きさや数などからある程度推測することができます。
Q. 自分でワキガかどうか確認する方法はありますか?
自宅でできるワキガのセルフチェック方法として、①耳垢が湿ってベタベタしている(湿性耳垢)かどうかの確認、②白い衣服のワキ部分に濃い黄ばみが生じやすいかの確認、③両親や兄弟にワキガ体質の人がいるかの確認、④清潔なガーゼをワキに挟んで後からにおいを確認するガーゼテスト、の4つが有効です。
⚠️ ワキガのにおいと間違えやすい体臭の種類
ワキから発生するにおいすべてがワキガというわけではありません。ここでは、ワキガと間違えやすい他の体臭について解説します。
💫 通常の汗臭
エクリン汗腺から分泌される汗は本来無臭ですが、時間が経って細菌に分解されると、酸っぱいような汗臭が発生することがあります。これは一般的な「汗臭い」においであり、ワキガとは異なります。
汗臭はシャワーを浴びたり、汗を拭いたりすることで比較的簡単に軽減できます。一方、ワキガのにおいは汗を拭いても完全には消えにくく、独特のにおいが持続する傾向があります。
🦠 加齢臭
40代以降に増加する加齢臭は、皮脂に含まれるパルミトレイン酸が酸化して生成されるノネナールという物質が原因です。古い油や古本のような独特のにおいが特徴で、主に頭部や首の後ろ、胸、背中などから発生します。
加齢臭とワキガは原因となる物質が異なり、においの特徴も異なります。ただし、両方が同時に存在する場合もあるため、注意が必要です。
👴 ミドル脂臭
30代〜40代の男性に多く見られるミドル脂臭は、汗に含まれる乳酸が細菌に分解されて生成されるジアセチルという物質が原因です。古い油と酢を混ぜたような不快なにおいが特徴で、特に頭皮や首の後ろから発生しやすいです。
ミドル脂臭はワキガとは発生部位やにおいの質が異なりますが、体全体のにおいとして混同されることがあります。
🔸 疲労臭
疲労が蓄積すると、肝臓でのアンモニア代謝能力が低下し、汗からアンモニア臭が発生することがあります。これを疲労臭と呼びます。ツンとした刺激的なにおいが特徴で、全身から発生する傾向があります。
疲労臭は一時的なものであり、十分な休養を取ることで改善します。慢性的に続く場合は、肝機能の問題が隠れている可能性もあるため、医療機関での検査を受けることをお勧めします。肝臓の働きについて気になる方は、「肝臓の回復に効果的な食べ物とは?肝機能を高める食事法を医師が解説」の記事も参考にしてください。
Q. ワキガの治療法にはどのような選択肢がありますか?
ワキガの治療法は症状の程度によって異なります。軽度には塩化アルミニウム外用薬、中等度にはボトックス注射(効果4〜6ヶ月)やミラドライ(マイクロ波でアポクリン汗腺を破壊)、重度には皮弁法(剪除法)手術が選択されます。手術やミラドライでは70〜90%程度のにおい軽減効果が期待でき、医師との十分な相談のうえ選択することが重要です。
🔍 ワキガのにおい対策と日常生活での注意点
ワキガのにおいは、日常生活での工夫によってある程度軽減することができます。ここでは、自分でできる効果的な対策について解説します。
💧 こまめな清潔ケア
ワキガのにおいは汗と細菌の相互作用によって発生するため、こまめに汗を拭き取ることが重要です。汗拭きシートや濡れタオルでワキを清潔に保つことで、においの発生を抑制できます。
入浴時には、ワキを丁寧に洗うことが大切です。ただし、強くこすりすぎると皮膚が傷つき、かえって細菌が繁殖しやすくなることもあるため、優しく洗うようにしましょう。抗菌作用のある石鹸を使用することも効果的です。
✨ 制汗剤・デオドラント製品の活用
市販の制汗剤やデオドラント製品は、ワキガのにおい対策として広く利用されています。制汗剤は汗の分泌を抑制し、デオドラント製品は細菌の繁殖を抑えたりにおいを中和したりする効果があります。
製品を選ぶ際は、塩化アルミニウムなどの制汗成分や、殺菌成分を含むものを選ぶと効果的です。スプレータイプよりも、ロールオンやスティックタイプの方が成分が肌に密着しやすく、効果が持続する傾向があります。また、無香料タイプを選ぶことで、香りの混合によるにおいの悪化を防ぐことができます。
📌 衣服の選び方と管理
通気性の良い天然素材の衣服を選ぶことで、ワキの蒸れを軽減できます。綿や麻、シルクなどの素材は汗を吸収し、空気を通すため、細菌の繁殖を抑える効果があります。
また、ワキ汗パッドを使用することで、衣服への汗染みを防ぎ、においの拡散を抑制できます。使い捨てタイプのものを活用すれば、常に清潔な状態を保つことができます。衣服の洗濯時には、ワキ部分を重点的に洗い、定期的に酸素系漂白剤を使用して殺菌することをお勧めします。
🔹 ▶️ 食生活の見直し
においの原因となりやすい食品を控えることで、ワキガのにおいを軽減できる可能性があります。ニンニクやニラ、玉ねぎなどの硫黄化合物を多く含む食品、脂肪分の多い肉類、アルコール類などは、体臭を強める傾向があります。
一方で、緑黄色野菜や果物、発酵食品、海藻類などは体臭を軽減する効果があるとされています。バランスの良い食事を心がけることで、体の内側からにおい対策をすることができます。胃腸の健康も体臭に影響を与えるため、「胃粘膜を修復する食べ物とは?胃を守る食事法と生活習慣を医師が解説」も参考にしてください。
🔹 ストレス管理
ストレスはアポクリン汗腺の活動を活発にするため、ストレス管理もワキガ対策として重要です。十分な睡眠、適度な運動、リラクゼーション法の実践などで、ストレスを軽減することを心がけましょう。
また、ワキガのにおいを過度に気にしすぎると、それ自体がストレスとなり、においを悪化させる悪循環に陥ることがあります。適切な対策を行いつつも、過度に神経質にならないことが大切です。自律神経の乱れが気になる方は、「連休明けがつらい方へ|自律神経の整え方を医師が解説」の記事もご覧ください。
📍 ワキ毛の処理
ワキ毛は汗や細菌が付着しやすく、においが発生しやすい環境を作ります。そのため、ワキ毛を処理することでにおいを軽減できる可能性があります。
ただし、カミソリなどでの自己処理は肌を傷つけ、かえって細菌感染のリスクを高めることもあるため、注意が必要です。処理後は保湿ケアを行い、肌を清潔に保つようにしましょう。
📝 ワキガの治療法と医療機関での選択肢
セルフケアだけでは改善が難しい場合や、より根本的な解決を望む場合は、医療機関での治療を検討することができます。ここでは、現在利用可能なワキガの治療法について解説します。
💫 外用薬による治療
軽度から中等度のワキガに対しては、塩化アルミニウム製剤などの外用薬が処方されることがあります。塩化アルミニウムは汗腺の出口を一時的に塞ぐことで、汗の分泌を抑制します。
また、抗菌作用のある外用薬を使用することで、においの原因となる細菌の繁殖を抑えることもできます。外用薬による治療は比較的手軽で副作用も少ないですが、効果は一時的であり、継続的な使用が必要です。
🦠 ボトックス注射
ボトックス(ボツリヌストキシン)注射は、汗腺への神経伝達を一時的にブロックすることで、発汗を抑制する治療法です。施術時間は15〜30分程度で、効果は約4〜6ヶ月持続します。
ボトックス注射はダウンタイムがほとんどなく、すぐに日常生活に復帰できるのがメリットです。ただし、効果は永続的ではないため、定期的な施術が必要となります。重度のワキガの場合は、効果が限定的なこともあります。
👴 ミラドライ
ミラドライは、マイクロ波を使ってアポクリン汗腺とエクリン汗腺を破壊する治療法です。皮膚を切開せずに治療できるため、傷跡が残りにくく、ダウンタイムも比較的短いのが特徴です。
一度破壊された汗腺は再生しないため、長期的な効果が期待できます。多くの場合、1〜2回の施術で症状の改善が見られます。ただし、すべての汗腺を完全に破壊することは難しく、ある程度の汗やにおいは残ることがあります。
🔸 手術による治療
重度のワキガや、他の治療法で効果が不十分な場合は、手術による治療が検討されます。代表的な手術法として、皮弁法(剪除法)があります。これは、ワキの皮膚を切開し、直視下でアポクリン汗腺を除去する方法です。
手術は効果が高い一方で、入院が必要な場合があり、術後のダウンタイムも長くなります。また、傷跡が残る可能性や、術後の合併症(血腫、感染、皮膚壊死など)のリスクもあります。手術を検討する場合は、経験豊富な医師のもとで十分な説明を受けることが重要です。
💧 レーザー治療
レーザーを使用してアポクリン汗腺を破壊する治療法も行われています。皮膚への負担が比較的少なく、傷跡も目立ちにくいのがメリットです。
ただし、レーザー治療の効果は施術者の技術や使用する機器によって差があります。また、複数回の施術が必要になることが多く、費用もかさむ傾向があります。
✨ 保険適用について
ワキガの治療については、症状の程度や治療法によって保険適用の可否が異なります。皮弁法などの手術は、腋臭症と診断された場合に保険適用となることがあります。一方、ボトックス注射やミラドライなどは、基本的に自由診療となります。
保険適用の可否については、医療機関によって判断が異なる場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「当院でワキガに関するご相談を受ける患者さんの中で、実際にワキガ体質と診断される方は全体の約6〜7割程度です。残りの方は、通常の汗臭や精神的な要因による発汗を『ワキガではないか』と心配されてご来院されるケースが多い印象です。特に夏場は、ワキガに関するご相談が例年の1.5倍ほど増加する傾向があります。においの悩みは非常にデリケートな問題ですので、一人で抱え込まず、まずは医療機関でご相談いただくことをお勧めします。客観的な診察によって、適切な対策や治療法をご提案させていただきます。」
💡 よくある質問
自分のにおいは嗅覚が順応してしまうため、自覚しにくいことが多いです。耳垢が湿っている、衣服のワキ部分が黄ばみやすい、家族にワキガ体質の人がいるなどの特徴があれば、ワキガ体質の可能性があります。気になる場合は、信頼できる人に確認してもらうか、医療機関で診察を受けることをお勧めします。
ワキガのにおいを完全に消すことは難しいですが、適切な治療によって大幅に軽減することは可能です。手術やミラドライなどの治療法では、70〜90%程度のにおい軽減効果が期待できます。ただし、完全に無臭になることを保証するものではなく、個人差があります。治療前に医師と十分に相談し、現実的な期待値を持つことが大切です。
ワキガの症状は、アポクリン汗腺が発達する思春期(10〜15歳頃)から現れることが多いです。ただし、個人差があり、早い子どもでは小学校低学年から症状が出ることもあります。お子さんのにおいが気になる場合は、まず清潔ケアや制汗剤などのセルフケアを試し、改善が見られない場合は医療機関に相談することをお勧めします。
食事だけでワキガを完全に治すことはできませんが、においを軽減する効果は期待できます。ニンニクやニラ、脂肪分の多い肉類、アルコールなどはにおいを強める傾向があるため、控えめにすることをお勧めします。一方、野菜や果物、発酵食品、海藻類などを積極的に摂取することで、体臭の軽減に役立つ可能性があります。
ワキガと多汗症は異なる症状です。ワキガはアポクリン汗腺から分泌される汗が原因で特有のにおいが発生する状態を指し、多汗症はエクリン汗腺からの汗が過剰に分泌される状態を指します。ただし、両方の症状を併せ持つ方も多く、治療法も重なる部分があります。どちらの症状があるかは、医師の診察によって判断されます。
はい、ワキガのにおいは季節によって変化します。夏場は気温が高く汗の分泌量が増えるため、においが強くなりやすい傾向があります。また、高温多湿の環境では細菌が繁殖しやすく、においの原因物質が生成されやすくなります。一方、冬場でも暖房の効いた室内で厚着をしていると、ワキが蒸れてにおいが発生することがあるため、季節を問わず対策が必要です。
参考文献
- 日本皮膚科学会雑誌「腋臭症の診断と治療」
- 日本美容外科学会「腋臭症診療ガイドライン」
- 杏林大学医学部皮膚科「腋臭症の病態と治療」
- 花王株式会社「体臭・汗臭の基礎知識」
- 厚生労働省「多汗症の診療について」
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務