皮膚の下に柔らかいしこりを見つけて「これは何だろう?」と不安になった経験はありませんか。多くの場合、それは脂肪腫と呼ばれる良性の腫瘍である可能性があります。しかし、もしそのしこりが硬かったり、急に大きくなったりしている場合は、注意が必要かもしれません。
本記事では、上野エリアで形成外科診療を提供するアイシークリニック上野院が、脂肪腫の基本的な知識から、しこりが硬い場合に考えられる疾患、そして適切な診断・治療法まで詳しく解説いたします。皮膚のしこりでお悩みの方、脂肪腫と診断されたものの硬さが気になる方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- 脂肪腫とは
- 脂肪腫の症状と特徴
- 脂肪腫ができやすい部位
- 脂肪腫の原因
- 脂肪腫の種類
- 脂肪腫が硬い場合に考えられること
- 脂肪腫と間違えやすい疾患
- 良性と悪性の見分け方
- 脂肪腫の検査・診断方法
- 脂肪腫の治療法
- 手術の流れと術後のケア
- 上野エリアでの脂肪腫治療
- よくある質問
- まとめ
脂肪腫とは
脂肪腫(しぼうしゅ)とは、皮膚の下にできる良性の腫瘍で、脂肪細胞が増殖して塊になったものです。医学用語では「リポーマ」とも呼ばれています。軟部組織に発生する良性腫瘍の中では最も頻度が高く、1,000人に1人以上が罹患すると考えられています。
脂肪腫は薄い被膜(ひまく)に覆われており、その中身は皮下脂肪と同じような黄色い色をしています。顕微鏡で組織を検査した場合も、正常な脂肪組織とほぼ同じように見えるのが特徴です。
一般的に脂肪腫は幼少期に発生すると考えられていますが、成長速度が非常にゆっくりであるため、実際に気づくのは40〜50歳代になってからというケースがほとんどです。20歳以下で発見されることは稀で、中年以降に多く見られる傾向があります。
脂肪腫は良性腫瘍であるため、命に関わる病気ではありません。しかし、自然に消えることはなく、放置すると徐々に大きくなっていきます。また、ごく稀ではありますが、脂肪腫と思っていたものが実は悪性腫瘍だったというケースもあるため、気になるしこりがある場合は早めに医療機関を受診することをおすすめします。
脂肪腫の症状と特徴
脂肪腫には、いくつかの特徴的な症状があります。これらの特徴を把握しておくことで、他の皮膚疾患との鑑別に役立てることができます。
見た目の特徴
脂肪腫は皮膚がドーム状に盛り上がった形状をしていることが多いです。皮膚の色は周囲と変わらず、表面に黒い点や開口部などは見られません。皮膚の深い層にできることが多いため、外見上は単に皮膚が隆起しているように見えます。
触った感触
典型的な脂肪腫を触ると、柔らかくゴムのような弾力を感じます。指で押すと皮膚の下で動く(可動性がある)のも特徴的です。境界は比較的はっきりしており、周囲の組織との区別がつきやすいことが多いです。
大きさ
脂肪腫の大きさは数ミリ程度の小さなものから、直径10センチ以上の大きなものまでさまざまです。中には15センチ程度まで巨大化するケースもあります。一般的には直径1〜10センチ程度のものが多く見られます。
痛みの有無
通常、脂肪腫には痛みがありません。圧痛(押すと痛む)もほとんどなく、日常生活に支障をきたすことは少ないです。ただし、脂肪腫が神経を圧迫するような位置にできた場合は、しびれや痛みを感じることがあります。
成長速度
脂肪腫は非常にゆっくりと成長します。数年から数十年かけて徐々に大きくなっていくのが一般的で、「何十年も前からあるが、あまり大きさが変わらない」とおっしゃる患者さんも少なくありません。急速に大きくなることはほとんどないため、短期間で明らかにサイズが増大した場合は、脂肪腫以外の疾患を疑う必要があります。
脂肪腫ができやすい部位
脂肪腫は脂肪組織が存在する体のどの部位にもできる可能性がありますが、特にできやすい場所があります。
最も多く見られるのは背中、肩、首といった体幹部です。これらの部位は脂肪組織が豊富であり、また服が擦れるなどの慢性的な刺激を受けやすい場所でもあります。次いで多いのが上腕、臀部、大腿部など、体幹に近い四肢の部分です。
一方、手や足、下腿、顔面、頭皮などに脂肪腫ができることは比較的稀です。ただし、まったくできないわけではないため、これらの部位にしこりができた場合も脂肪腫の可能性は考えられます。
また、脂肪腫は皮膚の比較的浅い層(皮下脂肪組織)にできる「浅在性脂肪腫」が多いですが、筋肉内や筋膜の下など深い場所にできる「深在性脂肪腫」もあります。深在性脂肪腫は皮下の脂肪腫と比べて周囲の筋肉に浸み込むように浸潤することがあり、手術で取り除いても再発する可能性があります。
脂肪腫の原因
脂肪腫がなぜできるのか、その正確な原因は現在のところ解明されていません。しかし、いくつかの要因が関与している可能性が指摘されています。
染色体異常
脂肪腫を詳しく調べると、約80%の症例で染色体に異常が見つかることがわかっています。毛細血管周辺の未分化の細胞が遺伝子異常を起こし、脂肪細胞に分化・増殖することで脂肪腫が発生すると考えられています。
外傷との関連
服が擦れるなどの刺激を受けやすい場所にできることが多いことから、外傷や慢性的な刺激が脂肪腫の発生に関与している可能性があります。「神輿だこ」と呼ばれる肩の膨らみも、強い衝撃や圧迫が原因で脂肪腫が増大したタイプがあるとされています。
生活習慣病との関連
単発性の脂肪腫は、肥満、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病をお持ちの方にできやすい傾向があります。ただし、これらの疾患が直接的な原因かどうかは明確にはわかっていません。
遺伝的要因
複数の脂肪腫が体のあちこちにできる「多発性脂肪腫」の場合は、遺伝的な要因が関与していることがあります。家族性脂肪腫症と呼ばれる遺伝性疾患や、その他のいくつかの遺伝性疾患に関連して多発することがあります。また、多発性脂肪腫とアルコール摂取との関係性も報告されています。
なお、「脂肪分の多い食事をするとできやすいですか?」というご質問をいただくことがありますが、食事内容と脂肪腫の発生には明確な因果関係は認められていません。ストレスなどの心理的要因についても、特に関与は確認されていません。
脂肪腫の種類
脂肪腫にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が少しずつ異なります。
単純脂肪腫
脂肪腫の中で最も多く見られるタイプです。成熟した脂肪細胞の中に膠原線維があり、被膜に包まれていることが多い良性の腫瘍です。痛みはなく、柔らかいしこりとして触れます。放置すると徐々に大きくなることが多いですが、小さい切開でつるっと取れることが多いです。
血管脂肪腫
脂肪細胞の隙間に毛細血管が多く含まれているタイプです。一般的な脂肪腫は首や体幹にできることが多いですが、血管脂肪腫は腕にも発生し、背部、腹部、上下肢に好発します。大きさは1〜2センチ程度と小ぶりなことが多いですが、普通の脂肪腫に比べてやや硬く、押すと痛みを伴うことがあるのが特徴です。多発することもあります。
筋肉内脂肪腫
筋肉の中に発生する脂肪腫です。皮下の脂肪腫と違い、周りの筋肉内に浸み込むように浸潤するため、境界が不明瞭になりやすいのが特徴です。完全に取り除くことが難しく、再発する場合があるため、周囲の正常な筋肉を含めて切除することがあります。
線維脂肪腫
脂肪細胞内に膠原線維が多く含まれている脂肪腫です。被膜に包まれ、皮下に発生するため痛みはありません。背中や後頸部にできやすいとされています。
多発性脂肪腫
体のあちこちに複数の脂肪腫ができるタイプです。遺伝的要素が強く、家族内で多発することがあります。
脂肪腫性母斑
真皮内の異所性脂肪組織の増殖からできた脂肪腫です。10歳以下のお子さんに多くみられ、お尻、腰、太ももにできやすいです。痛みなどの症状はありませんが、放置していると徐々に大きくなり、周辺組織を圧迫する可能性があります。
脂肪腫が硬い場合に考えられること
脂肪腫は基本的に柔らかい腫瘍であり、その柔らかさが特徴的な所見の一つです。しかし、MSDマニュアルによれば「硬さは様々で、かなり硬く感じられるものもある」とされており、脂肪腫であっても硬さを感じることがあります。
とはいえ、皮膚にできた腫瘍が硬い場合には、脂肪腫以外の皮膚疾患である可能性を考える必要があります。硬いしこりがある場合に考えられる可能性について見ていきましょう。
脂肪腫の亜型
前述した血管脂肪腫は、通常の脂肪腫よりもやや硬い触感を示すことがあります。毛細血管成分が豊富に含まれているため、押すと痛みを伴うこともあります。
マッサージによる硬化
脂肪腫にマッサージを施すと、刺激によって組織が硬くなることがあります。自己判断でしこりをマッサージしたり、強く揉んだりすることは避けましょう。
粉瘤(ふんりゅう)の可能性
硬いしこりがある場合、脂肪腫ではなく粉瘤である可能性があります。粉瘤は皮膚に触れると硬く弾力があり、しこりのような感触がするのに対し、脂肪腫はゴムのような柔らかさがあります。粉瘤と脂肪腫の詳しい違いについては後述します。
悪性腫瘍(脂肪肉腫)の可能性
硬いしこりで最も注意が必要なのは、悪性腫瘍である脂肪肉腫の可能性です。脂肪肉腫は脂肪細胞に由来する悪性腫瘍で、硬く、皮膚や筋肉と癒着していて動きにくいことが特徴です。脂肪腫と異なり、急速に大きくなることもあります。
専門医の診断が必要
「硬い」「痛い」などの症状がある場合は、他の疾患を疑う必要があります。自己判断するのではなく、形成外科や皮膚科などの専門医による診察を受けることが重要です。
脂肪腫と間違えやすい疾患
脂肪腫と外見や症状が似ている疾患がいくつかあります。自己診断は難しいため、医師による鑑別診断が必要です。
粉瘤(アテローム)
粉瘤は脂肪腫と最も間違えられやすい疾患の一つです。どちらも皮膚の下にできる良性腫瘍であり、徐々に大きくなる点は似ていますが、その成り立ちや特徴は大きく異なります。
粉瘤は皮膚の下にできた袋状の組織に、角質(垢)や皮脂などの老廃物がたまったものです。一方、脂肪腫は脂肪細胞が被膜に包まれた状態で増殖したものです。
粉瘤と脂肪腫の主な違いは以下の通りです。
見た目の違い:粉瘤は皮膚表面の浅い層にできやすく、全体的に青黒く見えることがあります。また、皮膚に開口部(黒い点)があることが多いです。脂肪腫は皮膚の深い層にできやすく、色の変化はほとんどありません。
触感の違い:粉瘤は硬く弾力があり、しこりのような感触です。脂肪腫はゴムのような柔らかさがあります。
可動性の違い:脂肪腫は指で押すと皮膚と関係なく動きます。粉瘤は皮膚と一緒に動く傾向があります。
症状の違い:粉瘤は炎症を起こすと赤く腫れて痛みを伴うことがあります。また、開口部から内容物が出ると独特の臭いを発します。脂肪腫は通常、炎症を起こすことはほとんどなく、臭いもありません。
ガングリオン
ガングリオンは関節の近くにできることが多い良性の腫瘤です。中身はゼリー状の液体で、手首や手の甲などに好発します。硬い腫瘤で、米粒からピンポン玉くらいの大きさのものが多いです。注射器で内容物を吸い出すことができる場合もあります。
石灰化上皮腫
石灰化上皮腫は皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性腫瘍です。20歳以下で発症することが多く、顔や首、上肢にできやすいです。触ると非常に硬く、皮膚の下で動くことがあります。
良性と悪性の見分け方
脂肪腫と間違えやすい悪性腫瘍として、脂肪肉腫があります。脂肪肉腫は脂肪細胞に由来する悪性腫瘍で、軟部肉腫の中では最も頻度が高い腫瘍の一つです。発生率は10万人に3人程度と稀ですが、正しい診断と適切な治療が必要です。
脂肪腫と脂肪肉腫の違い
良性の脂肪腫と悪性の脂肪肉腫を見分けるポイントは以下の通りです。
成長速度の違い:脂肪腫は数年から数十年かけてゆっくり大きくなります。脂肪肉腫は数週間から数か月で急速に大きくなることがあります。
硬さの違い:脂肪腫は柔らかく、ゴムのような弾力があります。脂肪肉腫は硬く、石のような硬さを感じることがあります。
可動性の違い:脂肪腫は押すと容易に動きます(可動性がある)。脂肪肉腫は押しても動かず、皮膚や深部組織に固定されていることが多いです。
境界の違い:脂肪腫は境界が比較的はっきりしています。脂肪肉腫は境界が不明瞭なことがあります。
発生部位の違い:脂肪腫は背中、首、腕、太ももなどにできやすいです。脂肪肉腫は太ももなどの四肢や後腹膜など深部にできやすい傾向があります。
悪性を疑うべき症状
以下のような症状がある場合は、悪性腫瘍の可能性を考慮し、早めに医療機関を受診することが重要です。
- 10センチ以上の巨大なもの
- 触って硬いもの
- 急速に大きくなったもの(数週間から数か月で明らかにサイズが増大)
- 痛みを伴うもの
- 下層の組織にくっついて動かないもの
- 大腿部など深部組織にできたもの
- 皮膚の色調変化(赤み、青黒さ)を伴うもの
- 表面に潰瘍ができているもの
- しびれや感覚異常があるもの
確定診断の重要性
見た目や触診だけで脂肪腫か脂肪肉腫かを正確に判断することは非常に難しいため、画像検査や病理検査による確定診断が重要です。少しでも心配な場合は、専門医の診察を受けることをおすすめします。
脂肪腫の検査・診断方法
脂肪腫の診断には、いくつかの検査方法が用いられます。
問診
腫瘍がいつ頃からあるか、成長速度はどうか、痛みの有無、全身症状(体重減少、発熱など)がないかなどを確認します。
視診・触診
専門医による詳細な身体診察では、約60%の脂肪腫を触診だけで診断することが可能とされています。柔らかさ、可動性、境界の明瞭さなどを確認します。ただし、確定診断には画像検査が必要です。
超音波検査(エコー)
超音波検査は簡便で痛みがなく、最初の検査として選ばれることが多いです。脂肪腫は均一な内部構造で境界がはっきりしているのに対し、脂肪肉腫は内部に不均一なエコー像(硬い部分と柔らかい部分の混在)を示し、境界が不明瞭なことがあります。
MRI検査
MRI検査は脂肪腫の診断において最も信頼性の高い画像診断法です。脂肪腫はT1強調画像で高信号(白く見える)、T2強調画像でも高信号を示し、均一な構造を持ちます。脂肪肉腫は脂肪以外の成分(線維、軟部組織)が混じり、信号が不均一になります。
MRI検査では脂肪腫の大きさや深さ、周囲の組織との関係を詳しく把握することができ、手術計画を立てる際にも有用です。
CT検査
CT検査ではMRI検査が困難な場合や、腫瘍周辺の血管の位置を確認したい場合に用いられます。
病理検査(生検)
摘出した腫瘍を顕微鏡で詳しく調べる検査です。良性か悪性かの確定診断が可能となります。手術で摘出した検体は通常、病理検査に提出され、最終的な診断が行われます。
画像検査だけでは悪性かどうかを完全に判断することが難しい場合もあるため、疑わしい場合には病理検査による確定診断が重要です。
脂肪腫の治療法
脂肪腫は良性腫瘍であるため、必ずしも緊急的な治療を必要としません。しかし、自然に消えることはなく、放置すると徐々に大きくなっていくため、適切なタイミングで治療を検討することが大切です。
経過観察
脂肪腫が小さく、痛みなどの症状がない場合は、経過観察を選択することもあります。定期的に医師の診察を受け、腫瘍の大きさや形状の変化を確認します。ただし、経過観察中も腫瘍の状態を自己チェックし、変化があれば医師に報告することが重要です。
手術による摘出
脂肪腫の根本的な治療法は、手術による摘出です。薬物療法や注射による吸引では治療効果がないため、完全に取り除くには外科手術が必要となります。
手術が推奨されるケースは以下の通りです。
- 脂肪腫が大きくなってきた場合
- 痛みやしびれなどの症状がある場合
- 日常生活に支障をきたしている場合
- 見た目が気になる場合
- 悪性の可能性が否定できない場合
- 神経や血管を圧迫している場合
早期治療のメリット
脂肪腫が小さいうちに手術を受けることで、以下のようなメリットがあります。
- 切開が小さくて済み、傷跡が目立ちにくい
- 手術時間が短く、体への負担が少ない
- 手術のリスクが低い
- もし悪性だった場合でも早期発見・早期治療につながる
大きくなってから手術をすると、手術のリスクが高くなったり、傷跡が大きくなったりする可能性があります。気になる脂肪腫がある場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。
手術の流れと術後のケア
脂肪腫の手術は、多くの場合日帰りで行うことができます。ここでは、一般的な手術の流れと術後のケアについて解説します。
手術前の準備
手術前に患者さんの健康状態を確認するための検査や問診が行われます。手術の詳細やリスクについて説明を受け、同意書にサインします。必要に応じて、MRI検査などの画像検査を事前に行い、腫瘍の正確な位置や大きさを把握します。
麻酔
多くの場合、局所麻酔で手術が行われます。手術部位に麻酔薬を注射し、痛みを感じないようにします。局所麻酔のため、手術中も意識はありますが、痛みは感じません。ただし、脂肪腫が大きい場合や深い場所にある場合、複雑な部位にある場合などは全身麻酔が必要になることもあります。
手術手技
腫瘍の直上の皮膚を切開し、脂肪腫を露出させます。形成外科専門医は皮膚切開のデザインにこだわり、できるだけ小さな切開で傷跡が目立ちにくくなるよう工夫します。
脂肪腫は被膜に包まれているため、この被膜を破らないように周囲の組織から慎重に剥離し、一塊として摘出します。細胞が残ると再発の可能性があるため、脂肪腫を完全に取り除くことが重要です。
止血と縫合
脂肪腫を摘出した部分は空洞になり、血液が溜まりやすくなるため、しっかりと止血を行います。必要に応じて、ドレーンと呼ばれる管を挿入し、血液や体液が溜まらないようにすることもあります。
その後、切開部を丁寧に縫合します。傷跡が目立ちにくくなるよう、細い糸を用いて的確かつ丁寧な縫合が行われます。最後にガーゼと伸縮テープで圧迫固定を行い、手術は終了です。
手術時間
手術時間は腫瘍の大きさや場所、複雑さによって異なりますが、通常30分から1時間程度で終了します。
術後のケア
手術翌日くらいまでは痛みが残ることがありますが、痛み止めの内服薬で対応可能です。術後は以下の点に注意してください。
圧迫と安静:手術当日はガーゼを貼りっぱなしで圧迫止血を行います。激しい動きは避けましょう。
入浴:シャワーは翌日から可能な場合が多いですが、手術した部位や大きさによって異なるため、医師の指示に従ってください。
飲酒・運動:飲酒や運動は血行を促進して出血のリスクを高めるため、しばらくは控えましょう。特にアルコールは傷の治りを遅らせるため、最低でも手術後3日間、できれば1週間は控えることが推奨されます。
抜糸:手術後1〜2週間で抜糸を行います。
傷跡のケア:色素沈着を防ぐため、傷跡の保湿を十分に行い、紫外線から肌を守るようにしましょう。
入院が必要なケース
脂肪腫の多くは日帰り手術で対応可能ですが、以下のような場合は入院が必要になることがあります。
- 5センチ以上の大きな脂肪腫
- 筋肉内など深い場所にある脂肪腫
- 後頸部や肩関節など癒着が強いことが疑われる部位の脂肪腫
- 神経や血管の近くにある脂肪腫
- 全身麻酔が必要な場合
- 悪性が疑われる場合
入院期間は通常1〜3日程度です。
手術費用
脂肪腫の手術は健康保険が適用されます。3割負担の場合、腫瘍の大きさや部位によって異なりますが、数千円から1〜2万円程度が目安です。別途、診察料、検査料、病理検査料などがかかります。
生命保険に加入している方は、手術給付金を受けられる場合があります。保険会社によって異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
上野エリアでの脂肪腫治療
上野エリアは交通アクセスが良好で、多くの医療機関が集まる地域です。脂肪腫の治療をお考えの方にとって、通院しやすい環境が整っています。
アイシークリニック上野院では、形成外科専門医が脂肪腫の診察から手術、術後のフォローアップまで一貫した対応を行っています。当院の特徴をご紹介します。
専門医による診察
日本形成外科学会認定の形成外科専門医が診療を担当します。脂肪腫と粉瘤の鑑別、良性と悪性の判断など、専門的な知識と経験に基づいた診断を行います。
日帰り手術に対応
多くの脂肪腫は日帰り手術で対応可能です。仕事や家事で忙しい方でも、負担を最小限に抑えて治療を受けることができます。
傷跡に配慮した手術
形成外科専門医が皮膚切開のデザインを担当し、できるだけ小さな切開で傷跡が目立ちにくくなるよう工夫しています。見た目が気になる部位の脂肪腫も安心してご相談ください。
提携医療機関との連携
MRI検査やCT検査が必要な場合は、提携する画像検査専門の医療機関で迅速に検査を受けることができます。また、悪性が疑われる場合や全身麻酔が必要な場合は、大学病院などの高度医療機関をご紹介いたします。
上野駅周辺でお体にしこりやできものがあり、「脂肪腫かもしれない」「硬いしこりが気になる」という方は、お気軽にアイシークリニック上野院にご相談ください。

よくある質問
脂肪腫に関して患者さんからよくいただく質問をまとめました。
脂肪腫は良性腫瘍であるため、放置しても命に関わることはありません。ただし、自然に消えることはなく、徐々に大きくなっていきます。大きくなってから手術をすると傷跡が大きくなったり、手術のリスクが高くなったりするため、ある程度の大きさになった場合は早めに治療を検討することをおすすめします。
脂肪腫は自然に消えることはありません。「以前あった脂肪腫が消えた」という場合は、脂肪腫ではなく別の疾患(粉瘤など)だった可能性が高いです。
脂肪腫は悪性化しますか?
脂肪腫が悪性化することはほとんどありません。ただし、最初から脂肪腫ではなく脂肪肉腫であった可能性もあるため、急に大きくなったり、硬くなったりした場合は早めに専門医を受診してください。
脂肪腫の手術は痛いですか?
手術は局所麻酔で行われるため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じることがありますが、極細の針を使用するなど痛みを軽減する工夫が行われています。術後は翌日くらいまで痛みが残ることがありますが、痛み止めで対応可能です。
脂肪腫の手術後、再発することはありますか?
脂肪腫を被膜ごと完全に摘出すれば、再発は稀です。ただし、筋肉内脂肪腫など周囲の組織に浸潤しているタイプでは再発することがあります。また、多発性脂肪腫の体質の方は、別の場所に新たな脂肪腫ができることがあります。
何科を受診すればよいですか?
脂肪腫の診察・治療は、主に形成外科で行われています。皮膚科でも診察を受けることができますが、手術が必要な場合は形成外科での対応となることが多いです。
脂肪腫と粉瘤はどう見分ければよいですか?
粉瘤は硬く弾力があり、皮膚に黒い点(開口部)が見られることが多いです。炎症を起こすと赤く腫れて痛み、独特の臭いを発することもあります。脂肪腫は柔らかく、皮膚の色に変化はなく、炎症を起こすことはほとんどありません。ただし、自己判断は難しいため、医師による診断を受けることをおすすめします。
まとめ
脂肪腫は皮膚の下にできる良性の腫瘍で、軟部腫瘍の中では最も頻度の高い疾患です。通常は柔らかく、痛みがなく、ゆっくりと成長するのが特徴です。しかし、しこりが硬い場合は、血管脂肪腫などの亜型である可能性や、粉瘤、あるいは悪性腫瘍(脂肪肉腫)である可能性も考えられるため、専門医による診断が重要です。
脂肪腫は自然に消えることがなく、放置すると徐々に大きくなります。大きくなってからの手術は傷跡が大きくなる可能性があるため、気になる脂肪腫がある場合は早めに医療機関を受診し、適切な治療を検討することをおすすめします。
急に大きくなった、硬い、痛みがある、10センチ以上あるなどの症状がある場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮し、できるだけ早く専門医の診察を受けてください。
上野エリアで脂肪腫の治療をお考えの方は、アイシークリニック上野院にお気軽にご相談ください。形成外科専門医が丁寧に診察し、最適な治療法をご提案いたします。
参考文献
- MSDマニュアル家庭版「脂肪腫」
- 日本医科大学武蔵小杉病院 形成外科「脂肪腫と良性悪性の判断と手術」
- 日本形成外科学会「脂肪腫」
- 日本整形外科学会「軟部腫瘍診療ガイドライン2020」
- 日本臨床腫瘍学会「がん診療ガイドライン 骨軟部腫瘍」
- 国立がん研究センター「脱分化型脂肪肉腫の発生、進展に関わる遺伝子異常を解明」
- 東京科学大学 整形外科「脂肪肉腫」
- メディカルノート「脂肪肉腫について」
- 関東労災病院「脂肪腫」
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務