⚠️「恥ずかしくて病院に行けない…」そう思っているうちに、症状がどんどん悪化してしまうのが肛門のイボです。実は日本人の3人に1人が痔の症状を経験しており、決して珍しい病気ではありません。
🏥 この記事を読めば、肛門のイボの正体と適切な対処法がわかります。放置すると手術が必要になることもあるので、早めの受診が大切です!

📋 目次
- 🔍 肛門にできるイボとは
- 💉 痔核(いぼ痔)について
- 🦠 尖圭コンジローマについて
- 🏷️ 肛門皮垂(スキンタグ)について
- 📌 その他の肛門周辺にできるイボ
- ⚡ 肛門のイボを放置するとどうなる?
- 🔬 肛門のイボの検査・診断
- 💊 肛門のイボの治療法
- 🛡️ 肛門のイボを予防するために
- 🏥 上野で肛門科をお探しの方へ
- 📝 まとめ
- 📚 参考文献
🔍 1. 肛門にできるイボとは
肛門周辺にイボのようなできものができる原因はさまざまです。「肛門にイボができた」と感じた場合、最も多いのは痔核(いぼ痔)ですが、それ以外にも尖圭コンジローマや肛門皮垂(スキンタグ)、見張りイボなど、複数の疾患が考えられます。
肛門は非常にデリケートな部位であり、日常的に排便時の負担や摩擦にさらされています。また、肛門周辺には血管や神経が集中しているため、さまざまな要因でイボ状のできものが生じやすい構造になっています。
⚠️ 肛門にできるイボは、その原因によって症状や治療法が大きく異なります。自己判断で市販薬を使用したり、放置したりすることで症状が悪化するケースもあるため、肛門周辺に異変を感じた場合は、早めに専門医を受診することが大切です。
📋 肛門にできる主なイボの種類は以下の通りです。
- 🔴 痔核(いぼ痔):内痔核、外痔核、血栓性外痔核
- 🦠 尖圭コンジローマ:ヒトパピローマウイルス(HPV)による感染症
- 🏷️ 肛門皮垂(スキンタグ):肛門周辺の皮膚のたるみ
- 👁️ 見張りイボ:慢性裂肛に伴ってできる皮膚の突起
- 📍 肛門ポリープ:歯状線付近にできる良性の突起
それぞれの疾患について、以下で詳しく解説していきます。
💉 2. 痔核(いぼ痔)について
痔核とは
痔核(じかく)は、一般的に「いぼ痔」と呼ばれる疾患です。肛門周辺の血管がうっ血して腫れ、イボのような形状になることからこの名前がつけられました。痔の中でも最も多いタイプであり、日本人の約3人に1人が痔の症状を経験するといわれています。
肛門には「肛門クッション」と呼ばれる組織があります。これは肛門括約筋と粘膜・皮膚の間にある血管が網目状に集まった部分で、肛門を自然に締める役割を担っています。この肛門クッションがうっ血して腫れあがった状態が痔核です。
痔核は、発生する位置によって「内痔核」と「外痔核」に分類されます。肛門の内側(直腸側)にできるものを内痔核、外側(肛門上皮側)にできるものを外痔核といい、両方が合併したものを内外痔核と呼びます。
🩸 内痔核の特徴と症状
内痔核は、肛門の内側にある歯状線より直腸側にできる痔核です。歯状線より内側は知覚神経が通っていないため、内痔核ができても初期段階では痛みを感じにくいという特徴があります。
🚨 内痔核の主な症状は以下の通りです。
- 🩸 排便時の出血(鮮血がポタポタ落ちる、または勢いよく出血する)
- 📤 排便時に痔核が肛門外へ脱出する(脱肛)
- 😣 肛門の違和感や残便感
- 💧 粘液の分泌による下着の汚れ
内痔核は進行度によって4段階に分類されます。これを「ゴリガー分類(Goligher分類)」といい、治療方針を決定する際の重要な指標となります。
- 🔵 Ⅰ度:痔核は肛門内にとどまり、排便時も脱出しない。出血が主な症状。
- 🟡 Ⅱ度:排便時に痔核が肛門外に脱出するが、排便後は自然に戻る。
- 🟠 Ⅲ度:排便時に脱出し、指で押し込まないと戻らない。
- 🔴 Ⅳ度:常に脱出した状態で、押し込んでも戻らない。
Ⅰ度やⅡ度の初期段階では、生活習慣の改善や薬物療法で症状をコントロールできることが多いですが、Ⅲ度以上になると外科的治療が必要になるケースが増えてきます。
🔴 外痔核の特徴と症状
外痔核は、歯状線より外側の肛門上皮にできる痔核です。この部位には知覚神経が通っているため、外痔核ができると痛みを感じやすいという特徴があります。指で触れると、肛門の外側にしこりやイボのようなものを確認できます。
外痔核の中でも特に多いのが「血栓性外痔核」です。これは、肛門周辺の血流が悪くなることで血栓(血の塊)ができ、イボ状に腫れあがった状態をいいます。
💥 血栓性外痔核の特徴と症状
血栓性外痔核は、突然発症することが特徴です。これまで痔の症状がなかった方でも、長時間の座位や過度な飲酒、便秘や下痢による強いいきみなどをきっかけに、急に肛門周囲に硬いしこりができて強い痛みを感じます。
😱 血栓性外痔核の主な症状は以下の通りです。
- ⚫ 肛門の外側にパチンコ玉ほどの大きさの腫れ
- 🟣 青黒く透けた色のイボ状のできもの
- 😰 激しい痛み(椅子に座れないほどの痛みになることも)
- 🪨 腫れた部分を触ると硬いしこりを感じる
血栓性外痔核は、血栓が体内に吸収されることで自然に縮小していきます。通常、1か月ほどで症状が落ち着くことが多いですが、痛みが強い場合や血栓が大きい場合は、局所麻酔下で血栓を取り除く処置が行われることもあります。
🔍 痔核(いぼ痔)の原因
痔核の明確な原因はまだ完全には解明されていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- 💩 便秘や下痢による排便時の強いいきみ
- 💺 長時間の座位(デスクワーク、長距離運転など)
- 🚶 長時間の立位
- 🤰 妊娠・出産
- 👴 加齢による支持組織の衰え
- 🍺 アルコールや刺激物の過剰摂取
- 🥶 冷え性による血行不良
- 💪 重いものを持つ仕事
- ⛳ ゴルフやテニスなど腹圧がかかるスポーツ
これらの要因が重なることで、肛門周辺の血流が悪くなり、静脈叢がうっ血して痔核が形成されます。

🦠 3. 尖圭コンジローマについて
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる性感染症の一種です。肛門周辺や性器にカリフラワー状または鶏のトサカのようなイボができることが特徴です。
尖圭コンジローマの原因となるHPVは主に6型や11型で、性行為を通じて感染することが多いですが、公衆浴場やサウナのタオル、温水洗浄便座などを介した感染の可能性も指摘されています。
感染から発症までの潜伏期間は2週間〜8か月(平均約3か月)と長く、いつ感染したのかを特定することが難しい疾患でもあります。
🔍 尖圭コンジローマの症状
尖圭コンジローマの主な症状は、肛門周辺や性器にできる特徴的なイボです。イボの特徴は以下の通りです。
- 🔺 先端がとがった形状のイボ
- 🎨 肌色〜薄茶色、ピンク色
- 📏 初期は1〜3mmほどの小さなイボ
- 📈 放置すると数が増え、大きくなる
- 🥦 複数のイボがくっつくとカリフラワー状やトサカ状になる
- 😌 痛みやかゆみはほとんどない(初期)
- 🪨 表面がざらざらしている
尖圭コンジローマのイボは、男性では陰茎、陰嚢、尿道、肛門周囲に、女性では大陰唇、小陰唇、膣、肛門周囲にできることが多いです。また、オーラルセックスによって口内や唇にできることもあります。
⚠️ 初期段階ではイボに痛みやかゆみがないため、見えにくい場所(肛門内や膣内など)にできた場合は気づかないまま放置してしまうケースもあります。しかし、放置するとイボは確実に大きくなり、数も増えていきます。
🔄 尖圭コンジローマの感染経路
尖圭コンジローマの主な感染経路は性行為です。感染者との性行為(膣性交、肛門性交、オーラルセックスを含む)により、60〜80%が感染するといわれています。
皮膚や粘膜のわずかな傷からウイルスが侵入することで感染が成立します。コンドームを使用していても、コンドームで覆われていない部分での接触があれば感染するリスクがあります。
性行為以外では、出産時の母子感染や、ごくまれに公衆浴場のタオルなどを介した感染も報告されています。
🔬 尖圭コンジローマと他の疾患との鑑別
肛門周辺にイボができた場合、尖圭コンジローマと似た外見を持つ他の疾患との鑑別が重要です。
「扁平コンジローマ」は尖圭コンジローマと名前が似ていますが、これは梅毒の2期症状として現れるもので、まったく別の疾患です。扁平コンジローマは先端が平べったい形状をしており、梅毒は放置すると命に関わる感染症であるため、早急な治療が必要です。
男性の場合、「フォアダイス」や「真珠様小丘疹」といった生理的な変化と尖圭コンジローマを見分けることが難しい場合もあります。これらは性感染症ではなく、特に治療の必要はありませんが、自己判断は危険ですので、医療機関で確認することをお勧めします。
🏷️ 4. 肛門皮垂(スキンタグ)について
肛門皮垂とは
肛門皮垂(こうもんひすい)は、肛門周辺にできる皮膚のたるみのことで、「スキンタグ」とも呼ばれます。痔核や裂肛(切れ痔)などによって肛門が一時的に腫れ、その腫れが引いた後に皮膚がたるんだまま残ってしまった状態です。
肛門皮垂自体は良性の変化であり、命に関わるような病気ではありません。しかし、見た目が気になったり、排便後の拭き取りがしにくくなったり、かゆみや炎症を起こしたりすることがあるため、生活の質に影響を与えることがあります。
肛門皮垂は特に若い女性に多く見られる傾向がありますが、これは妊娠・出産時に肛門に大きな負担がかかることが関係していると考えられています。
💡 肛門皮垂の原因
肛門皮垂ができる主な原因は以下の通りです。
🩸 血栓性外痔核の治癒後:血栓性外痔核によって腫れた皮膚が、血栓が吸収された後もたるんだまま残ることがあります。血栓性外痔核による肛門皮垂は比較的多く見られます。
🔪 慢性裂肛(切れ痔)による見張りイボ:裂肛を繰り返すことで、傷口の外側の皮膚が腫れて硬くなります。裂肛が治癒した後も、この腫れた皮膚が「見張りイボ」として残り、肛門皮垂の一種となります。
😰 嵌頓痔核の治癒後:内痔核が肛門外に脱出して戻らなくなった状態(嵌頓痔核)が治癒した後、伸びた皮膚がたるんで残ることがあります。
🤰 妊娠・出産:妊娠中は大きくなった子宮が肛門周辺の血管を圧迫し、痔ができやすくなります。また、出産時に強くいきむことで内痔核が脱出したり、肛門周辺の皮膚が引き伸ばされたりすることがあります。
😖 肛門皮垂の症状
肛門皮垂ができても、小さいうちは特に自覚症状がないことが多いです。皮垂が大きくなってくると、以下のような症状が現れることがあります。
- 👆 肛門の外側にやわらかい皮膚のたるみを触れる
- 🧻 排便後、ペーパーで拭くときに引っかかる感覚
- 😣 拭いてもスッキリしない
- 👙 下着との摩擦による不快感やかゆみ
- 🔥 清潔を保ちにくいことによる炎症
肛門皮垂は自然に治癒することはありません。症状が気になる場合や炎症を繰り返す場合は、手術で切除することも可能です。
📌 5. その他の肛門周辺にできるイボ
👁️ 見張りイボ
見張りイボは、慢性裂肛(慢性的な切れ痔)に伴ってできる皮膚の突起です。裂肛の傷口の外側(肛門出口側)にできることが多く、傷を「見張っている」ように見えることからこの名前がつけられました。
見張りイボは、裂肛が治癒すると縮小し軟らかくなりますが、完全に消失することはほとんどありません。見張りイボが残った状態がスキンタグの一種となります。見張りイボを根本的に治療するためには、原因となっている慢性裂肛の治療が必要です。
📍 肛門ポリープ
肛門ポリープは、慢性裂肛に伴って歯状線付近にできる良性の突起です。見張りイボが肛門の外側にできるのに対し、肛門ポリープは傷口の内側(直腸側)にできます。
肛門ポリープは大腸ポリープとは異なり、がん化する心配はありません。しかし、排便時に脱出して出血や痛みの原因になることがあります。
🚨 嵌頓痔核
嵌頓痔核(かんとんじかく)は、内痔核が肛門外に脱出し、肛門括約筋に締め付けられて戻らなくなった状態です。締め付けられることでうっ血や浮腫が生じ、大きく腫れあがります。
嵌頓痔核は激しい痛みを伴い、座ることもできなくなるほどの症状が出ることがあります。緊急の治療が必要な状態であり、早急に医療機関を受診する必要があります。
⚡ 6. 肛門のイボを放置するとどうなる?
💉 痔核を放置した場合
痔核を放置すると、症状は徐々に進行していきます。初期(Ⅰ度・Ⅱ度)であれば保存的治療で改善できることが多いですが、進行すると手術が必要になるケースが増えてきます。
特に内痔核がⅣ度まで進行すると、常に脱出した状態となり、日常生活に大きな支障をきたします。また、嵌頓痔核を起こすと激しい痛みを伴い、緊急手術が必要になることもあります。
出血が続く場合は、貧血を引き起こすこともあります。また、「痔だと思っていたら大腸がんだった」というケースもあるため、出血や肛門の異変がある場合は自己判断せず、必ず医療機関を受診することが重要です。
🦠 尖圭コンジローマを放置した場合
尖圭コンジローマを放置すると、イボは確実に大きくなり、数も増えていきます。また、パートナーへの感染リスクも高まります。
尖圭コンジローマの原因となるHPVの中には、まれにがん化するリスクがある型も存在します。尖圭コンジローマの原因となる6型や11型は低リスク型に分類されますが、放置して良い理由にはなりません。
女性の場合、HPVの高リスク型(16型、18型など)に感染すると子宮頸がんの原因となることがあります。尖圭コンジローマに感染している場合、他のHPV型にも感染している可能性があるため、婦人科での検査も受けることをお勧めします。
🏷️ 肛門皮垂を放置した場合
肛門皮垂は良性の変化であるため、放置しても命に関わることはありません。しかし、放置することで以下のような問題が生じることがあります。
- 🦠 清潔を保ちにくく、かゆみや炎症を繰り返す
- 📈 炎症を繰り返すことで皮垂がさらに大きくなる
- 😰 見た目の変化による精神的なストレス
肛門皮垂は自然に治癒することはないため、症状が気になる場合は医療機関で相談することをお勧めします。
🔬 7. 肛門のイボの検査・診断
肛門にイボのようなできものができた場合、その原因を特定するために以下のような検査・診断が行われます。
🗣️ 問診
まず、症状の経過や排便習慣、生活習慣などについて詳しくお聞きします。いつからイボに気づいたか、痛みや出血はあるか、排便時にイボが出てくるかなどの情報は、診断の重要な手がかりとなります。
👀 視診・触診
肛門周辺を直接観察し、イボの形状、色、大きさ、硬さなどを確認します。痔核、尖圭コンジローマ、肛門皮垂はそれぞれ特徴的な外見を持っているため、多くの場合は視診で診断の見当をつけることができます。
🔍 肛門鏡検査(アノスコピー)
肛門鏡という専用の器具を使って、肛門の内側を観察します。内痔核の有無や程度、肛門ポリープの有無などを確認することができます。
👆 直腸指診
手袋をした指を肛門に挿入し、直腸の内側を触診します。腫瘤の有無や直腸の状態を確認することができます。
🔬 病理検査
尖圭コンジローマが疑われる場合や、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合は、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる病理検査が行われることがあります。
📹 大腸内視鏡検査
血便が続く場合や、大腸の疾患が疑われる場合は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が行われます。大腸ポリープや大腸がんなど、肛門疾患以外の原因を除外するために重要な検査です。

💊 8. 肛門のイボの治療法
肛門にできるイボの治療法は、その原因によって異なります。以下に主な治療法を解説します。
💉 痔核(いぼ痔)の治療
痔核の治療は、保存的治療と外科的治療に大別されます。症状の程度や進行度(ゴリガー分類)に応じて、適切な治療法が選択されます。
🏥 保存的治療
Ⅰ度〜Ⅱ度の軽症例では、まず生活習慣の改善と薬物療法による保存的治療が行われます。
🍎 生活習慣の改善:便秘や下痢を防ぎ、排便時に強くいきまないようにすることが重要です。食物繊維や水分を十分に摂取し、規則正しい排便習慣を身につけましょう。長時間の座位を避け、適度な運動を心がけることも大切です。また、入浴などで肛門周辺を温めることで血流が改善されます。
💊 薬物療法:坐薬や注入軟膏を使用して、炎症や腫れを抑えます。内服薬として、血流を改善する薬や便を軟らかくする薬が処方されることもあります。
💉 ジオン注射(ALTA療法)
ジオン注射は、内痔核に対して行われる硬化療法の一種です。硫酸アルミニウムカリウム水和物とタンニン酸を主成分とする薬剤を痔核に注射することで、痔核を縮小させ、脱出や出血を改善します。
ジオン注射は「四段階注射法」という特殊な技術が必要であり、専門の講習を受けた医師のみが実施できます。1つの痔核に対して4か所に分けて注射を行い、痔核全体に薬剤を浸透させます。
✅ ジオン注射のメリットは、切開を伴わないため痛みや出血が少なく、日帰りで治療を受けられることです。治療後、約1〜3か月で痔核が縮小し、脱出や出血といった症状が改善されます。ただし、約10%程度の方に再発が見られることがあります。
ジオン注射は内痔核(Ⅱ度〜Ⅳ度)に適応があり、外痔核には対応できません。外痔核を伴う場合は、手術との併用(ハイブリッド治療)が行われることもあります。
✂️ 結紮切除術
結紮切除術は、痔核を切除する手術です。痔核に流入する血管を縛り(結紮)、痔核を切り取り(切除)、粘膜や皮膚を縫い合わせます。
結紮切除術は、内痔核、外痔核、内外痔核のいずれにも対応できる根治性の高い治療法です。再発率が低いというメリットがある一方で、術後の痛みや出血のリスクがあります。
⭕ ゴム輪結紮術
ゴム輪結紮術は、内痔核の根元を小さなゴム輪で縛り、血流を止めて痔核を壊死・脱落させる治療法です。Ⅲ度までの内痔核に適応があり、手技が簡単で外来で行えるというメリットがあります。ただし、外痔核には適応がなく、再発率がやや高いという特徴があります。
🔧 PPH法(自動縫合器による手術)
PPH法は、痔核を直接切除するのではなく、痔核上方の直腸粘膜を環状に切除して縫合する方法です。これにより、痔核を本来の位置に引き上げて固定します。知覚神経のある肛門周囲の皮膚を切開しないため、術後の疼痛が少ないという特徴があります。
🩸 血栓性外痔核の治療
血栓性外痔核の治療は、保存的治療が基本です。軟膏の塗布や入浴による温熱療法で血栓が吸収されるのを待ちます。通常、数週間〜1か月程度で症状が軽快します。
痛みが強い場合や、1日も早く治したい場合は、局所麻酔下で皮膚を少し切開し、血栓を摘出する処置が行われることもあります。この処置は10分程度で終わる簡単なものです。
🦠 尖圭コンジローマの治療
尖圭コンジローマの治療には、外科的治療と薬物療法があります。現在のところ、体内からHPVを完全に排除する治療法はなく、目に見えるイボを取り除くことが治療の主な目的となります。
⚡ 外科的治療
電気メスやレーザーを使ってイボを焼き切る方法が一般的です。液体窒素でイボを凍結させて除去する方法もあります。肛門内にまでコンジローマが及んでいる場合は、入院手術が必要になることもあります。
💊 薬物療法
ベセルナクリーム(イミキモドクリーム)という外用薬を患部に塗布する方法があります。週に3回、約8週間(最大16週間)使用します。外科的治療に比べると即効性は劣りますが、目に見えない部位への効果も期待できます。ただし、肛門の奥の病変には使用できません。
⚠️ 尖圭コンジローマは、治療後も約25%の方が3か月以内に再発するといわれています。これは、目に見えるイボを除去しても、皮膚内に潜伏しているウイルスを完全に除去できないためです。再発した場合は、再度治療を行います。定期的なフォローアップを受け、再発を早期に発見することが重要です。
🏷️ 肛門皮垂(スキンタグ)の治療
肛門皮垂は良性の変化であるため、特に症状がなければ治療の必要はありません。しかし、見た目が気になる場合や、炎症やかゆみを繰り返す場合は、手術で切除することができます。
肛門皮垂の手術は局所麻酔下で行われ、5分程度で終わる簡単なものです。ただし、肛門皮垂ができた原因(裂肛、血栓性外痔核など)に応じて適切な切除方法を選択する必要があります。
🛡️ 9. 肛門のイボを予防するために
肛門にできるイボを予防するためには、日常生活の中で肛門への負担を減らすことが大切です。以下のポイントを心がけましょう。
💩 排便習慣を整える
便秘や下痢は痔核の大きな原因となります。食物繊維を多く含む野菜や果物、海藻類などを積極的に摂取し、水分を十分に取ることで、適度な硬さの便を維持しましょう。
トイレでの長時間のいきみは禁物です。便意を感じたときにトイレに行き、3分以内を目安に排便を済ませましょう。トイレで新聞やスマートフォンを見る習慣は、知らず知らずのうちにトイレの時間が長くなる原因になります。
🚶 長時間の同じ姿勢を避ける
長時間座りっぱなしや立ちっぱなしでいると、肛門周辺の血流が悪くなり、うっ血を起こしやすくなります。デスクワークの方は、1時間に1回程度は立ち上がって軽く体を動かすようにしましょう。
🚿 肛門を清潔に保つ
排便後は肛門を清潔に保ちましょう。ただし、温水洗浄便座の過度な使用や、トイレットペーパーでゴシゴシこすることは、かえって肛門に刺激を与えてしまいます。やさしく拭き取ることを心がけてください。
🥶 体を冷やさない
体が冷えると血行が悪くなり、肛門周辺のうっ血を招きます。特に冬場は、腰回りを冷やさないように注意しましょう。毎日の入浴で体を温めることは、血行改善に効果的です。
🍺 アルコールや刺激物を控える
過度なアルコール摂取や、香辛料などの刺激物の摂りすぎは、肛門を刺激して痔核を悪化させる原因になります。適量を心がけましょう。
💉 尖圭コンジローマの予防
尖圭コンジローマの予防には、性行為の際にコンドームを使用することが有効です。ただし、コンドームで覆われていない部分での接触による感染リスクは残ります。
HPVワクチン(4価または9価)は、尖圭コンジローマの原因となるHPV 6型、11型にも効果があります。ワクチン接種により、尖圭コンジローマの発症リスクを大幅に下げることができます。
🏥 10. 上野で肛門科をお探しの方へ
肛門の症状は、恥ずかしさから受診をためらう方が少なくありません。しかし、肛門疾患は放置すると悪化することが多く、早期に適切な治療を受けることで、より負担の少ない治療で改善できる可能性が高まります。
アイシークリニック上野院は、JR上野駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りやお買い物のついでにも通いやすい立地です。プライバシーに配慮した診察環境を整えておりますので、肛門周辺のお肌の症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
当院では、皮膚疾患について、丁寧な診察と説明を心がけております。患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせて、最適な治療法をご提案いたします。
📝 11. まとめ
肛門にできるイボには、痔核(いぼ痔)、尖圭コンジローマ、肛門皮垂(スキンタグ)など、さまざまな種類があります。それぞれ原因や症状、治療法が異なるため、適切な診断を受けることが重要です。
痔核は最も多い肛門疾患であり、内痔核と外痔核があります。軽症であれば保存的治療で改善できますが、進行すると手術が必要になることもあります。ジオン注射(ALTA療法)は、切らずに内痔核を治療できる方法として注目されています。
尖圭コンジローマはHPVによる感染症であり、治療しても再発しやすいという特徴があります。パートナーとともに治療を受けることが大切です。
肛門皮垂は良性の変化ですが、症状が気になる場合は手術で切除することもできます。
肛門の症状は恥ずかしさから放置されがちですが、早期発見・早期治療が大切です。肛門周辺に異変を感じたら、早めに専門医を受診しましょう。
📚 参考文献
- 📖 肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版 改訂第2版 – Mindsガイドラインライブラリ
- 🏥 日本大腸肛門病学会
- 📋 痔核(いぼ痔) | みんなの医療ガイド | 兵庫医科大学病院
- 🦠 尖圭コンジローマ – 国立感染症研究所
- 📝 肛門皮垂について | メディカルノート
- 👨⚕️ 5.3大疾患の診断と治療 | 日本臨床外科学会
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務