まんこ(デリケートゾーン)に小さなイボやブツブツを見つけて、不安を感じている方はいませんか。女性器周辺にできるイボは、尖圭コンジローマという性感染症の可能性があります。この疾患は痛みやかゆみなどの自覚症状が乏しいため、気づかないうちに進行してしまうケースも少なくありません。
本記事では、まんこ(女性器)にできるイボの原因として最も多い尖圭コンジローマについて、その症状や原因、診断方法、治療法、そして予防策まで詳しく解説します。デリケートな悩みだからこそ、正しい知識を身につけて適切な対処ができるよう、医学的根拠に基づいた情報をお届けします。
💡 この記事を読むメリット
- 女性器のイボが性感染症かどうか判断できる
- 放置すると起こる3つのリスクがわかる
- 最新の治療法と再発予防のポイントを知れる
⚠️ 放置すると…パートナーへの感染、悪性化のリスク、精神的ストレスの増大など深刻な問題に発展する可能性があります。

📌 目次
- 🦠 尖圭コンジローマとは
- 🧬 尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について
- 👩 女性における尖圭コンジローマの症状
- 🤝 尖圭コンジローマの感染経路
- 🔍 尖圭コンジローマと似た症状を示す疾患
- 🩺 尖圭コンジローマの診断方法
- 💊 尖圭コンジローマの治療法
- ⚠️ 尖圭コンジローマを放置するとどうなるか
- 🔄 尖圭コンジローマの再発について
- 🤰 妊娠・出産への影響
- 🛡️ 尖圭コンジローマの予防法
- 💉 HPVワクチンによる予防
- 📊 日本における尖圭コンジローマの発生状況
- 🏥 医療機関を受診する際のポイント
- 📝 まとめ
🦠 尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって引き起こされる性感染症の一つです。主に性器や肛門周辺に、淡紅色から褐色の特徴的なイボ状の病変が形成されることが特徴です。「尖圭」という名前は、イボの先端が尖った形状をしていることに由来しています。
この疾患は感染症法において5類感染症の定点把握対象疾患に分類されており、全国約1,000か所の性感染症定点医療機関から発生状況が報告されています。厚生労働省の統計によると、近年は特に若年層での感染が増加傾向にあり、女性では20代前半が最も多く、男性では25歳から29歳にピークがみられます。
尖圭コンジローマは良性の腫瘍であり、それ自体が直接生命を脅かすことは稀です。しかし、放置すると病変が拡大・増殖するだけでなく、パートナーへの感染拡大や、妊娠中の場合は母子感染のリスクもあるため、早期発見と適切な治療が重要となります。
🧬 尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)について
尖圭コンジローマの原因となるのは、ヒトパピローマウイルス(Human Papillomavirus:HPV)というウイルスです。HPVは非常にありふれたウイルスで、性交経験のある女性の50パーセント以上が生涯で一度は感染するといわれています。
HPVには200種類以上の型(遺伝子型)が存在し、感染する部位や引き起こす疾患によって分類されています。尖圭コンジローマの原因となるのは主にHPV6型と11型で、これらは「低リスク型」と呼ばれています。一方、子宮頸がんの原因となるHPV16型、18型、31型などは「高リスク型」に分類されます。
低リスク型HPVによる尖圭コンジローマは良性の疣贅(ゆうぜい)であり、がん化することは稀です。ただし、尖圭コンジローマに罹患している場合、同時に高リスク型HPVにも感染している可能性があることが報告されています。そのため、尖圭コンジローマと診断された場合は、子宮頸がん検診などの定期的な検査を受けることが推奨されています。
HPVは小型のDNAウイルスで、約8,000塩基対の環状二本鎖DNAを持ち、正二十面体のキャプシド(外殻タンパク質)に包まれた構造をしています。エンベロープ(脂質二重膜)を持たないため、アルコール消毒などに対して比較的抵抗性があります。ウイルスは皮膚や粘膜の微小な傷から基底層細胞に侵入し、感染を引き起こします。
👩 女性における尖圭コンジローマの症状
女性が尖圭コンジローマに感染した場合、主に外陰部や肛門周辺にイボ状の病変が出現します。具体的な発症部位としては、大陰唇、小陰唇、腟前庭、腟内部、子宮頸部、肛門およびその周辺、尿道口などが挙げられます。また、オーラルセックスによる感染の場合は、口腔内や唇周辺に症状が現れることもあります。
イボの特徴は以下のとおりです。
色調は淡紅色から褐色、白色、灰色など様々です。大きさは数ミリメートルから数センチメートルまで個人差があります。形状は乳頭状、鶏冠状(ニワトリのトサカのような形)、カリフラワー状などと表現される特徴的な外観を呈します。表面はざらざらしており、刺々しく角化した隆起性の病変として認められます。
症状の進行について説明すると、初期段階では小さなイボが1つまたは数個程度認められるだけで、痛みやかゆみなどの自覚症状はほとんどありません。そのため、入浴時や着替えの際にふと気づく、あるいはパートナーに指摘されて初めて発見されるケースが多くみられます。
しかし、治療せずに放置すると、時間の経過とともにイボの数が増加し、サイズも大きくなっていきます。隣り合ったイボが融合すると、カリフラワーのような大きな塊状の病変となることがあります。この段階になると、違和感や軽度の痛み、かゆみ、出血などの症状が出現することがあります。
腟内部や子宮頸部に病変が形成された場合は、外から見えないため発見が遅れがちです。おりものの増加や性交時の出血などの症状がきっかけで受診し、診断に至ることもあります。

🤝 尖圭コンジローマの感染経路
尖圭コンジローマは主に性行為によって感染する性感染症です。腟性交だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスでも感染する可能性があります。ウイルスは皮膚や粘膜の微小な傷から侵入するため、性行為の際に生じる摩擦による小さな傷が感染の入り口となります。
感染から症状が出現するまでの潜伏期間は3週間から8か月程度で、平均すると2~3か月といわれています。この長い潜伏期間のため、いつ誰から感染したのかを特定することは難しく、感染に気づかないまま他者に感染させてしまうケースも少なくありません。
また、稀なケースではありますが、性行為以外の経路で感染することもあります。両親や医療従事者の手指を介して幼児に感染するケース、タオルや入浴用品などの物品を介した接触感染、そして分娩時に産道を通過する際の母子感染(垂直感染)などが報告されています。
感染しやすくなる要因としては、免疫力の低下が挙げられます。疲労やストレス、睡眠不足、服用している薬の影響などで免疫機能が低下していると、ウイルスに感染しやすくなります。また、外陰部にアトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合も、皮膚のバリア機能が低下しているため感染リスクが高まります。
🔍 尖圭コンジローマと似た症状を示す疾患
女性器周辺にイボやブツブツができた場合、尖圭コンジローマ以外にも似た症状を示す疾患がいくつかあります。自己判断で尖圭コンジローマと決めつけることは危険ですので、必ず医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。
腟前庭乳頭症は、尖圭コンジローマと見た目が非常によく似ている疾患です。小陰唇の内側や腟前庭部に、小さな乳頭状の突起が多発します。しかし、これは生理的な変化であり、性感染症ではありません。ウイルス感染も関与しておらず、他者への感染性もないため、特別な治療は必要ありません。専門医による視診で鑑別が可能です。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスの感染によって外陰部に水疱や潰瘍ができる性感染症です。尖圭コンジローマのイボとは異なり、痛みを伴う水ぶくれや、それが破れてできるただれが特徴です。初感染時には発熱や全身倦怠感を伴うこともあります。
扁平コンジローマは梅毒の二期疹として出現する病変で、尖圭コンジローマに似た扁平なイボ状の隆起が認められます。梅毒は適切な治療を行わないと重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と治療が極めて重要です。
フォアダイス状態は、陰唇などに見られる小さな白い丘疹で、皮脂腺の増殖によるものです。性感染症ではなく、生理的な変化であるため治療の必要はありません。
このように、女性器周辺のイボには様々な原因が考えられます。それぞれ対処法が異なるため、自己判断せずに婦人科や皮膚科を受診して正確な診断を受けることが大切です。
🩺 尖圭コンジローマの診断方法
尖圭コンジローマの診断は、主に視診(目で見て診察すること)によって行われます。尖圭コンジローマの病変は乳頭状、鶏冠状という特徴的な形態を示すため、経験のある医師であれば視診のみで診断がつくことが多いです。
より詳細な診察のために、酢酸溶液を用いた検査が行われることがあります。これは、病変部に3~5パーセントの酢酸溶液を塗布すると、尖圭コンジローマの病変が白く変色するという性質を利用した検査法です。特に、肉眼では判別しにくい小さな病変や、子宮頸部・腟壁の病変を確認する際に有用です。
腟鏡(クスコ)を用いた内診により、腟内部や子宮頸部に病変がないかを確認します。子宮頸部に発症した場合は、外陰部のような明らかなイボ状にならず、扁平な病変(フラットコンジローマ)として認められることがあります。
組織学的検査(病理検査)は、視診だけでは診断が確定できない場合や、悪性病変との鑑別が必要な場合に行われます。病変の一部を採取し、顕微鏡で観察します。尖圭コンジローマに特徴的な所見として、軽度の過角化、表皮の乳頭状増殖、そしてコイロサイトーシス(核が濃縮し細胞質が空胞化した状態)が認められます。
HPV型別検査は、感染しているHPVの型を特定するための検査です。病変部から採取した検体のDNAをPCR法で増幅し、ウイルスの型を判定します。多くの尖圭コンジローマは低リスク型のHPV6型または11型の感染によるものですが、稀に高リスク型HPVが検出されることがあります。高リスク型が検出された場合は、がん化のリスクがあるため、より慎重な経過観察が必要となります。
💊 尖圭コンジローマの治療法
尖圭コンジローマの治療法は、大きく分けて薬物療法と外科療法の2種類があります。病変の部位、大きさ、数、患者さんの状態などを考慮して、最適な治療法が選択されます。
薬物療法では、イミキモドクリーム(商品名:ベセルナクリーム)が第一選択薬として広く使用されています。この薬は免疫調整作用を持ち、局所の免疫細胞を活性化させることでウイルスの増殖を抑制し、病変を縮小させます。使用方法は、就寝前に患部に塗布し、翌朝に石鹸で洗い流します。週に3回(1日おき)の頻度で使用し、治療期間は通常8週間から16週間程度です。
イミキモドクリームによる治療は、外科的治療と比較して患部への侵襲が少なく、自宅で治療を継続できるというメリットがあります。ただし、薬剤の作用により、塗布部位にかゆみ、発赤、びらん(ただれ)などの局所反応が生じることがあります。これらの症状が強い場合は、使用頻度を調整するか、一時的に休薬する必要があります。また、腟内や子宮頸部の病変にはクリームが使用できないという制限もあります。
外科療法にはいくつかの方法があります。
液体窒素による凍結療法は、マイナス196度の液体窒素を病変部に塗布または噴霧し、組織を凍結壊死させる方法です。比較的簡便で、外来で実施可能です。複数回の施術が必要となることが多く、1~2週間間隔で繰り返し行います。
炭酸ガス(CO2)レーザー蒸散法は、レーザー光線で病変を焼灼・蒸散させる方法です。周辺組織への損傷が少なく、治療効果が高いことから、最も優れた外科的治療法とされています。局所麻酔下で行われ、出血も少なく、傷跡が残りにくいという利点があります。
電気メスによる焼灼法は、高周波電流を用いて病変を焼き切る方法です。レーザー治療と同様に、局所麻酔下で行われます。
外科的切除は、メスを用いて病変を切り取る従来からの方法です。大きな病変や、薬物療法・他の外科療法で効果が不十分な場合に選択されることがあります。
いずれの治療法を選択した場合でも、尖圭コンジローマは再発しやすい疾患であることを理解しておく必要があります。治療によって目に見える病変を除去しても、周囲の皮膚や粘膜にウイルスが潜伏している可能性があるためです。治療終了後も最低3か月間は定期的に経過観察を行い、再発の早期発見に努めることが重要です。
⚠️ 尖圭コンジローマを放置するとどうなるか
尖圭コンジローマは自然治癒することもある疾患で、約20~30パーセントの患者では3~4か月以内に病変が自然に消退するといわれています。しかし、残りの多くの患者では自然治癒せず、病変が安定したまま残存するか、あるいは進行していきます。
放置することで生じる問題として、まず病変の拡大・増殖が挙げられます。治療しないままでいると、イボの数は徐々に増加し、サイズも大きくなっていきます。最初は小さな病変でも、時間の経過とともにカリフラワー状の大きな塊へと成長することがあります。病変が大きくなると、それだけ治療も複雑になり、治療期間も長期化します。
二つ目の問題は、感染拡大のリスクです。尖圭コンジローマがある状態で性行為を行うと、パートナーにウイルスを感染させる可能性が高くなります。また、自分自身の他の部位(肛門周囲など)に病変が広がることもあります。
三つ目は、悪性化の可能性です。尖圭コンジローマの多くは良性ですが、稀に悪性化(がん化)することがあります。特に、高リスク型HPVが同時に感染している場合は、外陰がんや腟がん、肛門がんなどの発症リスクが高まります。また、尖圭コンジローマがある方は、高リスク型HPVにも感染している可能性があり、子宮頸がんのリスク因子ともなりえます。
四つ目は、精神的なストレスです。尖圭コンジローマは見た目に特徴的な病変を形成するため、羞恥心や不安感から精神的なストレスを感じる方が少なくありません。パートナーへの感染に対する罪悪感や、性生活への影響に悩む方もいます。適切な治療を受けることで、これらの心理的負担を軽減することができます。
🔄 尖圭コンジローマの再発について
尖圭コンジローマは再発しやすい性感染症として知られています。治療によって目に見える病変を除去しても、3か月以内に約25パーセントの患者で再発がみられるというデータがあります。
再発の主な原因は、治療によって病変を除去しても、周囲の皮膚や粘膜に潜伏しているウイルスを完全に排除することが難しいためです。現在の医療技術では、HPVを体内から完全に除去する方法は確立されていません。治療はあくまで症状(イボ)を取り除くものであり、ウイルスそのものを駆逐するものではないのです。
また、パートナーがHPVに感染している場合は、治療後に再感染するリスクもあります。そのため、本人だけでなくパートナーも検査を受け、必要に応じて治療を行うことが重要です。
再発を予防するためのポイントとしては、まず治療を最後まで完遂することが挙げられます。薬物療法の場合は、症状が改善しても自己判断で中断せず、医師の指示どおりに治療を続けることが大切です。
次に、治療後の経過観察を怠らないことです。治療終了後も3か月間は定期的に受診し、再発がないかチェックを受けることが推奨されています。再発した場合は、できるだけ早期に治療を開始することで、病変の拡大を防ぐことができます。
そして、免疫力を維持・向上させることも重要です。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、健康的な生活習慣を心がけることで、体の免疫機能を良好に保ち、ウイルスの活性化を抑えることが期待できます。

🤰 妊娠・出産への影響
尖圭コンジローマは妊娠・出産に影響を及ぼす可能性があるため、妊娠を考えている方や妊娠中の方は特に注意が必要です。
妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫機能の変化により、尖圭コンジローマが急速に増大することがあります。妊娠前は小さかった病変が、妊娠中に大きく成長するケースもみられます。
最も懸念されるのは、分娩時の母子感染(垂直感染)です。尖圭コンジローマがある状態で経腟分娩を行うと、産道を通過する際に赤ちゃんがHPVに感染する可能性があります。新生児がHPVに感染すると、咽頭(喉)に乳頭腫ができる「多発性喉頭乳頭腫」という疾患を発症することがあります。この疾患は頻度こそ高くありませんが、発症すると呼吸困難を引き起こし、幼少期に繰り返し手術が必要となるなど、治療に難渋することがあります。
そのため、妊婦さんに尖圭コンジローマが発見された場合は、分娩までに治療を完了させることが望ましいとされています。妊娠中の治療は制限がありますが、凍結療法やレーザー治療など、母体と胎児への影響が少ない方法が選択されます。イミキモドクリームは妊娠中の使用が推奨されていません。
分娩直前まで病変が残存している場合は、母子感染を防ぐために帝王切開が検討されることもあります。妊娠を考えている方は、事前に婦人科を受診して検査を受け、必要に応じて治療を行っておくことをお勧めします。
🛡️ 尖圭コンジローマの予防法
尖圭コンジローマを予防するためには、いくつかの方法があります。
コンドームの使用は、性感染症予防の基本です。性行為の際にコンドームを正しく使用することで、HPVを含む様々な性感染症の感染リスクを低減させることができます。ただし、コンドームで覆われない部分(外陰部、陰嚢、肛門周囲など)にも尖圭コンジローマは発症するため、コンドームだけでは完全な予防はできないことを理解しておく必要があります。
不特定多数との性的接触を避けることも重要です。性的パートナーが多いほど、HPVに感染するリスクは高くなります。また、パートナーが変わった場合は、互いに性感染症の検査を受けることが推奨されます。
感染者との性的接触を避けることも予防になります。尖圭コンジローマの治療中は性行為を控え、治療完了後も3か月程度は経過観察を行い、再発がないことを確認してから性行為を再開することが望ましいです。
定期的な検査を受けることも大切です。尖圭コンジローマは症状がなくても感染している可能性があります。また、尖圭コンジローマがある場合は高リスク型HPVへの同時感染の可能性もあるため、子宮頸がん検診を含む婦人科検診を定期的に受けることが推奨されます。
💉 HPVワクチンによる予防
HPVワクチンは、尖圭コンジローマを予防する最も効果的な方法の一つです。日本では現在、2価ワクチン(サーバリックス)、4価ワクチン(ガーダシル)、9価ワクチン(シルガード9)の3種類のHPVワクチンが使用可能です。
このうち4価ワクチンと9価ワクチンは、尖圭コンジローマの原因となるHPV6型と11型の感染を予防する効果があります。臨床試験では、これらのワクチンによる尖圭コンジローマの予防効果は約90パーセント以上と報告されています。
また、4価ワクチンと9価ワクチンは子宮頸がんの原因となる高リスク型HPV(16型、18型など)の感染も予防するため、子宮頸がんの予防にも有効です。9価ワクチンはさらに多くの高リスク型HPV(31型、33型、45型、52型、58型)にも対応しており、子宮頸がんの原因の約90パーセントを予防できるとされています。
日本では、小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に、HPVワクチンの定期接種が行われています。2022年4月からは積極的な接種勧奨が再開され、キャッチアップ接種として、過去に接種機会を逃した方も公費で接種を受けられる制度が設けられています。
また、2020年12月からは4価ワクチン(ガーダシル)が男性にも適応となりました。男性へのHPVワクチン接種は、本人の尖圭コンジローマや肛門がん、陰茎がんなどの予防になるだけでなく、パートナーへの感染防止にも貢献します。一部の自治体では男性へのHPVワクチン接種に対する公費助成も始まっています。
HPVワクチンは、性交開始前の接種が最も効果的ですが、すでに性交経験がある方でも、まだ感染していないHPV型に対しては予防効果が期待できます。ワクチン接種を検討されている方は、医療機関にご相談ください。
📊 日本における尖圭コンジローマの発生状況
国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、尖圭コンジローマは日本国内で年間を通じて報告がある性感染症です。定点医療機関からの報告数は、年間で男女合わせて数千件にのぼります。
年齢別にみると、女性では20代前半(20~24歳)が最も多く、次いで20代後半、10代後半と続きます。性活動が活発な若年層に多い傾向がみられます。男性では25~29歳がピークで、女性よりもやや高い年齢層に多い傾向があります。
男女比をみると、かつては男女ほぼ同数でしたが、近年は若年女性での減少傾向がみられます。これは、HPVワクチンの接種が進んだことによる効果と考えられています。実際に、HPVワクチンの接種率が高い国では、若年層の尖圭コンジローマが大幅に減少したことが報告されています。
一方で、性感染症全体としては近年増加傾向にあり、特に梅毒などは急増しています。複数の性感染症に同時感染するケースもあるため、尖圭コンジローマと診断された場合は、他の性感染症の検査も併せて受けることが推奨されます。
🏥 医療機関を受診する際のポイント
女性器周辺にイボやブツブツを見つけた場合、どの診療科を受診すればよいか迷う方もいるかもしれません。女性の尖圭コンジローマは、主に婦人科(産婦人科)で診察・治療を行います。外陰部だけでなく、腟内や子宮頸部にも病変が及んでいる可能性があるため、婦人科での診察が適しています。
皮膚科でも診察は可能ですが、腟内の診察ができない場合があります。肛門周囲のみに病変がある場合は、肛門科(肛門外科)を受診する選択肢もあります。
受診の際には、以下の情報を医師に伝えるとスムーズです。
症状について、イボに気づいた時期、イボの変化(大きくなった、数が増えたなど)、痛みやかゆみの有無、おりものの変化などを整理しておきましょう。
性活動について、直近の性交の時期、パートナーの数、パートナーに同様の症状がないかなども重要な情報です。性感染症の診察では、正確な情報を伝えることが適切な診断・治療につながります。プライバシーは守られますので、遠慮せずに伝えてください。
既往歴について、過去に性感染症にかかったことがあるか、現在治療中の病気や服用中の薬があるかなども伝えましょう。
妊娠の可能性についても確認しておいてください。妊娠中は使用できない薬や治療法があるため、重要な情報となります。
尖圭コンジローマは決して珍しい病気ではなく、性活動のある方であれば誰でも感染する可能性があります。恥ずかしいからといって受診を先延ばしにすると、病変が拡大したり、パートナーへの感染リスクが高まったりします。気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

📝 まとめ
女性器にできるイボの原因として最も多い尖圭コンジローマについて、詳しく解説してきました。ここで重要なポイントを整理します。
尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)6型および11型の感染によって引き起こされる性感染症です。主に性行為によって感染し、外陰部や腟内、肛門周囲などに特徴的なイボ状の病変を形成します。
初期段階では痛みやかゆみなどの自覚症状がほとんどないため、発見が遅れがちです。しかし、放置すると病変が拡大・増殖し、パートナーへの感染や、まれに悪性化のリスクもあります。
診断は主に視診によって行われ、治療には薬物療法(イミキモドクリーム)と外科療法(凍結療法、レーザー治療など)があります。治療によって病変を除去することは可能ですが、再発率が高いため、治療後も定期的な経過観察が必要です。
予防には、コンドームの使用、HPVワクチンの接種が有効です。特にHPVワクチン(4価および9価)は、尖圭コンジローマの原因となるHPV型の感染を約90パーセント以上予防できるとされており、最も効果的な予防法といえます。
女性器周辺に気になるイボやブツブツを見つけた場合は、自己判断せず、早めに婦人科を受診してください。尖圭コンジローマは適切な治療により改善が期待できる疾患です。恥ずかしいからと受診をためらうことなく、専門医に相談することをお勧めします。
参考文献
- 国立感染症研究所 尖圭コンジローマ(詳細版)
- 厚生労働省 ヒトパピローマウイルス感染症~子宮頸がんとHPVワクチン~
- 東京都感染症情報センター 尖圭コンジローマ
- 国立がん研究センター 子宮頸がんとその他のHPV関連がんの予防
- 国立感染症研究所 尖圭コンジローマの発生動向、2021年
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務