「生理前になると汗をかきやすくなる」「妊娠してから手汗がひどくなった」「更年期に入ってから急に汗っかきになった」このような経験をお持ちの女性は多いのではないでしょうか。実は、女性の多汗症はホルモンバランスの変化と深く関係しており、月経周期や人生のライフステージによって症状が大きく変化することが知られています。本記事では、女性特有の多汗症の特徴やメカニズム、効果的な対策について専門医の視点から詳しく解説いたします。
📊 【2024-2025】今シーズンの女性多汗症の特徴
2024-2025年シーズンでは、在宅ワークの定着により室内環境での発汗パターンが変化し、特に女性では月経周期と室温管理の関係性がより注目されています。また、マスク着用の習慣化により顔面多汗症への関心が高まり、女性特有のメイク崩れや肌トラブルとの関連についての相談が増加傾向にあります。

🦠 目次
- 女性の多汗症の特徴と男性との違い
- 女性ホルモンと汗腺の関係
- 月経周期による多汗症の変化
- 妊娠・授乳期の多汗症
- 更年期における多汗症の変化
- ピルや薬剤と多汗症の関係
- 女性特有の多汗症への対策
- 日常生活での工夫とセルフケア
- 医療機関での治療選択肢
- いつ医師に相談すべきか
👨⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】
高桑康太医師(当院治療責任者)より
「当院では月経周期に合わせて症状が変動する女性患者様が多くいらっしゃり、特に生理前や更年期に入ってから急に汗が気になり始めたという相談をよくお受けします。2024年以降、在宅ワークの普及により室内環境での発汗パターンが変化し、従来とは異なる症状を訴える女性が約30%増加しています。女性特有のホルモンバランスの変化による多汗症は、適切な診断と個々のライフステージに応じた治療選択により大幅な改善が期待できますので、一人で悩まずお気軽にご相談いただければと思います。」
生理前はプロゲステロンというホルモンの分泌が増加し、基礎体温が0.3〜0.5℃上昇するため発汗しやすくなります。また、プロゲステロンは自律神経系に影響を与え、精神的発汗も増強させるため、月経前症候群(PMS)の時期に汗の症状が悪化することがあります。
更年期の多汗症は、エストロゲンの急激な低下により体温調節中枢が不安定になることが原因です。ホットフラッシュや夜間発汗が主な症状で、ホルモン補充療法により改善が期待できます。ただし、血栓症などのリスクもあるため、当院では他の更年期症状と合わせて総合的に治療方針を検討いたします。
妊娠・授乳期の治療では、胎児や乳児への安全性を最優先に考慮します。塩化アルミニウム製剤は比較的安全とされていますが、内服薬は原則避けることが一般的です。衣類の工夫や生活習慣の改善などの非薬物療法を中心とし、必要に応じてアイシークリニックで安全な治療選択肢をご相談いたします。
低用量ピルは人工ホルモンを含有し、自然なホルモン変動を抑制するため、多汗症の症状に影響を与えることがあります。ピル開始初期には体が適応する過程で一時的に発汗量が変化したり、個人の体質によっては新たに多汗症様の症状が出現することもあります。症状が続く場合は処方医師にご相談ください。
日常生活に支障をきたすレベルの発汗、月経周期に関連した症状の変化、セルフケアで改善しない場合は医師への相談をおすすめします。特に更年期に入って急激に症状が変化した場合や、薬剤服用後に発汗が増加した場合は、早めにアイシークリニックにご相談いただくことで適切な治療選択肢をご提案できます。
在宅ワークでは室温管理が重要で、特に女性は月経周期に合わせて体感温度が変化するため、こまめな調整が必要です。また、長時間同じ姿勢でいることで血行不良による発汗パターンの変化も見られます。定期的な換気と適度な運動、ストレス管理を心がけることが効果的です。
この記事のポイント
女性の多汗症は月経周期・妊娠・更年期などホルモンバランスの変化と密接に関連し、ライフステージごとに症状が変動する。適切な診断と個々の状況に応じた治療選択により改善が期待できる。
🎯 女性の多汗症の特徴と男性との違い
女性の多汗症は、男性のそれと比べていくつかの特徴的な違いがあります。最も顕著なのは、ホルモンバランスの変化に連動して症状が変動することです。
👴 発症年齢と部位の特徴
女性の原発性局所多汗症は、思春期前後から症状が現れることが多く、特に手掌多汗症は10代前半に発症のピークを迎えます。一方で、腋窩多汗症は思春期後期から20代前半にかけて発症することが一般的です。これは、性ホルモンの分泌が活発になる時期と密接に関連しています。
発汗部位についても男女差があり、女性では手のひらや足裏の多汗症が男性よりも多く見られる傾向があります。また、顔面の多汗症も女性に多く、これは女性ホルモンが顔面の血管や汗腺に与える影響が関係していると考えられています。
🔸 周期性の症状変動
女性の多汗症の最大の特徴は、月経周期に伴う症状の変動です。多くの女性が、排卵期から月経前にかけて発汗量が増加することを経験しており、これは女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの分泌変動が影響しています。
また、妊娠・授乳期や更年期といったライフステージの変化に伴い、多汗症の症状が大きく変化することも女性特有の特徴です。これらの変化を理解することで、より効果的な治療計画を立てることが可能になります。
💧 心理的影響の違い
女性の多汗症患者は、男性と比較して心理的なストレスを強く感じる傾向があります。特に、メイクの崩れや衣服への汗ジミを気にする方が多く、これが社会的活動や対人関係に影響を与えることがあります。
また、女性は男性よりも体臭に対する意識が高く、多汗症と体臭の関係について深く悩む方が多いのも特徴です。このような心理的負担は、自律神経系に影響を与え、さらなる発汗を引き起こす悪循環を生む可能性があります。
Q. 月経周期で多汗症の症状が変わるのはなぜですか?
月経周期はエストロゲンとプロゲステロンの分泌変動により発汗量に影響します。特に排卵後の黄体期はプロゲステロンが増加して基礎体温が0.3〜0.5℃上昇するため発汗しやすくなり、月経前のPMS時期に症状が最も悪化しやすい傾向があります。
📋 女性ホルモンと汗腺の関係
女性の多汗症を理解するためには、女性ホルモンが汗腺や発汗メカニズムに与える影響について知ることが重要です。
✨ エストロゲンの作用
エストロゲンは、女性の主要な性ホルモンで、発汗調節に複雑な影響を与えます。エストロゲンは体温調節中枢である視床下部に作用し、発汗閾値を変化させることが知られています。
興味深いことに、エストロゲンは状況によって発汗を促進することもあれば、抑制することもあります。月経周期の卵胞期(低エストロゲン期)では発汗が抑制される傾向があり、排卵期に向けてエストロゲンが上昇すると、体温調節の感受性が変化し、より低い体温でも発汗が開始されるようになります。
📌 プロゲステロンの影響
プロゲステロンは、排卵後から月経前にかけて分泌が増加するホルモンで、体温を上昇させる作用があります。基礎体温が0.3〜0.5℃上昇することで、相対的に発汗しやすい状態となります。
また、プロゲステロンは自律神経系にも影響を与え、特に交感神経の活性を高めることで、精神的発汗(緊張による発汗)を増強させる可能性があります。これが、月経前症候群(PMS)の時期に緊張すると汗が止まらない症状が悪化する原因の一つと考えられています。
🔹 ▶️ 汗腺への直接作用
女性ホルモンは、汗腺そのものにも直接作用することが研究で明らかになっています。エクリン汗腺にはエストロゲン受容体が存在し、ホルモンの変動により汗腺の感受性や分泌能力が変化します。
特に、思春期における性ホルモンの増加は、アポクリン汗腺の発達を促進し、腋窩部の発汗量増加につながります。この変化は、思春期以降に腋窩多汗症が発症しやすくなる理由の一つです。
💊 月経周期による多汗症の変化
月経周期は約28日間で、卵胞期、排卵期、黄体期、月経期の4つの段階に分けられます。それぞれの時期でホルモンバランスが異なり、多汗症の症状にも変化が現れます。
🔹 卵胞期(月経開始から排卵まで)
月経開始から排卵までの約14日間は卵胞期と呼ばれ、エストロゲンが徐々に上昇する時期です。この期間の前半では、両ホルモンの分泌量が低いため、発汗量は比較的安定している女性が多く見られます。
しかし、卵胞期後半になってエストロゲンが上昇してくると、体温調節の閾値が変化し、わずかな体温上昇でも発汗しやすくなる傾向があります。この時期は、運動時や暖かい環境での発汗量が増加することがあります。
📍 排卵期
排卵期は、エストロゲンがピークに達し、黄体化ホルモン(LH)の急激な上昇が起こる時期です。この期間は、ホルモンバランスが最も不安定になるため、多汗症の症状が一時的に悪化することがあります。
特に、精神的発汗(ストレスや緊張による発汗)が増加しやすく、普段よりも手のひらや脇の下の汗が気になる女性が多く見られます。また、顔面の発汗が一時的に増加することもあります。
💫 黄体期(排卵後から月経前まで)
排卵後の黄体期は、プロゲステロンの分泌が増加し、基礎体温が上昇する時期です。この体温上昇により、多くの女性が発汗量の増加を経験します。
黄体期後半、いわゆる月経前の時期は、PMS症状と相まって多汗症が最も悪化しやすい期間です。夜間の発汗(寝汗)が増加したり、日中の手汗や脇汗が普段よりも多くなったりすることがあります。
🦠 月経期
月経が始まると、エストロゲンとプロゲステロンの両方が急激に低下します。この期間は、ホルモンレベルが最も低くなるため、発汗量は比較的落ち着く傾向があります。
ただし、月経による体調の変化やストレスにより、一部の女性では発汗量が変動することがあります。また、月経痛に伴う交感神経の緊張により、手のひらの発汗が一時的に増加することもあります。
Q. 更年期の夜間発汗はどのくらいの女性に起こりますか?
更年期女性の約60〜80%が夜間発汗(寝汗)を経験するとされています。エストロゲンの急激な低下により視床下部の体温調節中枢が不安定になることが原因です。パジャマや寝具が汗でぬれるほど激しい場合もあり、睡眠の質低下や自律神経の乱れを招く悪循環につながることがあります。
🏥 妊娠・授乳期の多汗症
妊娠と授乳期は、女性の人生において最もホルモンバランスが劇的に変化する時期の一つです。この期間の多汗症には特別な配慮が必要となります。
👴 妊娠期の多汗症
妊娠中は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が非妊娠時の数十倍に増加します。これらのホルモン変化により、妊娠前は多汗症の症状がなかった女性でも、新たに発汗過多を経験することがあります。
妊娠初期は、つわりに伴う自律神経の不安定により、手のひらや額の発汗が増加することがあります。妊娠中期以降は、基礎代謝の向上と血液量の増加により、全身の発汗量が増加する傾向があります。
妊娠後期には、胎児の成長による体重増加と体温上昇により、特に夜間の発汗が著明になることがあります。これは正常な生理現象ですが、睡眠の質に影響を与える場合は対策が必要です。
🔸 授乳期の多汗症
授乳期は、プロラクチンというホルモンの分泌が増加し、エストロゲンは低下します。このホルモンバランスの変化により、授乳期特有の発汗パターンが現れます。
授乳中の女性でよく見られるのは、授乳時や搾乳時の発汗増加です。これは、オキシトシンというホルモンの作用により、自律神経が刺激されることが原因です。また、夜間の授乳に伴う睡眠不足やストレスも、発汗量の増加に寄与します。
💧 妊娠・授乳期の治療上の注意点
妊娠・授乳期の多汗症治療では、胎児や乳児への安全性を最優先に考慮する必要があります。一般的に使用される制汗剤のアルミニウム塩は、妊娠中・授乳中でも使用可能とされていますが、使用前に医師への相談が推奨されます。
内服薬による治療は、胎児や乳児への影響を考慮し、原則として避けることが一般的です。代わりに、衣類の工夫や生活習慣の改善などの非薬物療法が中心となります。
⚠️ 更年期における多汗症の変化
更年期は、女性の多汗症において最も劇的な変化が現れる時期の一つです。この時期の多汗症は、卵巣機能の低下に伴うホルモンバランスの急激な変化が主な原因となります。
✨ 更年期症状としてのホットフラッシュ
更年期の代表的症状であるホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)は、急激な発汗を伴うことが特徴です。これは、エストロゲンの急激な低下により、視床下部の体温調節中枢が不安定になることで起こります。
ホットフラッシュによる発汗は、通常の多汗症とは異なり、短時間で大量の汗が出ることが特徴です。特に顔面、首、胸部に集中して発汗が起こり、症状は数分から数十分続くことがあります。
📌 夜間発汗の増加
更年期女性の約60-80%が夜間の発汗(寝汗)を経験します。これは、夜間にホットフラッシュが起こることで生じる症状で、睡眠の質を大きく低下させる原因となります。
夜間発汗は、パジャマや寝具が汗でびっしょりになるほど激しいことがあり、頻繁な着替えや寝具の交換が必要になることもあります。この症状は、睡眠不足による日中の体調不良や、さらなる自律神経の乱れを引き起こす悪循環を生む可能性があります。
📍 ▶️ 既存多汗症への影響
若い頃から多汗症を患っていた女性の場合、更年期に入ると症状が変化することがあります。手のひらや足裏の多汗症が軽減する一方で、顔面や首の発汗が新たに出現したり増加したりすることがあります。
また、更年期のホルモン変化により、従来の治療効果が変化することもあります。これまで効果的だった制汗剤が効きにくくなったり、逆に敏感肌になって刺激を感じやすくなったりする場合があります。
🔹 ホルモン補充療法と多汗症
更年期症状の治療として行われるホルモン補充療法(HRT)は、多汗症の改善にも効果があることが知られています。エストロゲンの補充により、ホットフラッシュや夜間発汗が大幅に軽減されることが多く、生活の質の向上が期待できます。
ただし、ホルモン補充療法には血栓症や乳がんなどのリスクもあるため、医師との十分な相談の上で治療方針を決定する必要があります。多汗症の改善のみを目的としたホルモン補充療法は一般的ではなく、他の更年期症状との総合的な判断が重要です。
Q. 妊娠・授乳中に使える多汗症の治療法はありますか?
妊娠・授乳期の多汗症治療は胎児・乳児への安全性を最優先に考慮します。塩化アルミニウム製剤は比較的安全とされますが、内服薬は原則として避けるのが一般的です。薬剤を使用しないイオントフォレーシス(電気治療)も選択肢の一つで、衣類の工夫など非薬物療法が治療の中心となります。
🔍 ピルや薬剤と多汗症の関係
経口避妊薬(ピル)や各種薬剤は、女性のホルモンバランスや自律神経系に影響を与え、多汗症の症状を変化させることがあります。
📍 低用量ピルの影響
低用量ピルは、合成エストロゲンとプロゲスチンを含有し、自然な月経周期のホルモン変動を抑制します。これにより、月経周期に伴う多汗症の症状変動が軽減される場合があります。
一方で、ピル開始初期には、人工ホルモンに体が適応する過程で一時的に発汗量が変化することがあります。また、個人の体質によっては、ピルの服用により新たに多汗症様の症状が出現することもあります。
💫 抗うつ薬・向精神薬の影響
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬は、副作用として発汗増加を引き起こすことが知られています。特に、治療開始時や用量調整時に症状が現れやすいとされています。
これらの薬剤による発汗増加は、薬剤が自律神経系に与える影響によるものです。女性の場合、月経周期やホルモンバランスの変化と相まって、症状がより複雑になることがあります。
🦠 その他の薬剤の影響
甲状腺機能亢進症の治療薬、血圧降下薬、糖尿病治療薬など、様々な薬剤が発汗に影響を与える可能性があります。特に女性では、これらの薬剤の作用がホルモンバランスと相互作用し、予期しない発汗パターンを示すことがあります。
薬剤による発汗増加が疑われる場合は、自己判断での薬剤中止は危険ですので、必ず処方医師に相談することが重要です。代替薬への変更や用量調整により、症状の改善が図れる場合があります。
📝 女性特有の多汗症への対策
女性の多汗症対策は、ホルモンバランスの変動を考慮した包括的なアプローチが重要です。症状の変動パターンを理解し、それに応じた対策を講じることで、より効果的な症状管理が可能になります。
👴 月経周期に合わせた対策
月経周期による症状変動がある場合は、周期に合わせた対策計画を立てることが効果的です。排卵期から月経前にかけて症状が悪化する女性は、この期間中により強力な制汗剤を使用したり、予防的な措置を講じたりすることが推奨されます。
基礎体温や症状の記録をつけることで、自分の発汗パターンを把握し、予測的な対策を取ることが可能になります。また、この記録は医師への相談時にも有用な情報となります。
🔸 食事と栄養による対策
ホルモンバランスを整える食事は、多汗症の症状軽減にも寄与することがあります。大豆イソフラボンやビタミンE、オメガ3脂肪酸などの栄養素は、女性ホルモンのバランスを整える効果が期待されています。
一方で、カフェインやアルコール、香辛料などの刺激物は発汗を促進する可能性があるため、症状が強い時期には摂取を控えることも有効です。特に更年期女性では、これらの食品がホットフラッシュを誘発することがあります。
💧 ストレス管理と生活リズム
女性の多汗症では、ストレスとホルモンバランスの相互作用により症状が悪化することがあります。定期的な運動、十分な睡眠、リラクゼーション技法の実践などは、ストレス軽減とホルモンバランスの安定に寄与します。
特に、深呼吸や瞑想、ヨガなどのマインドフルネス技法は、自律神経の調整に効果的で、精神的発汗の軽減が期待できます。これらの技法は、月経前症候群や更年期症状の緩和にも有効とされています。
Q. ピルの服用が多汗症の症状に影響することはありますか?
低用量ピルは合成ホルモンにより自然な月経周期の変動を抑制するため、周期に伴う多汗症の症状変動が軽減される場合があります。一方で、服用開始初期に体が適応する過程で一時的に発汗量が変化したり、体質によっては新たに発汗症状が現れたりすることもあるため、症状が続く場合は処方医師への相談が推奨されます。
💡 日常生活での工夫とセルフケア
女性の多汗症においては、医療的治療と並行して日常生活での工夫が症状管理に大きく寄与します。
✨ 衣類選びと着こなしの工夫
女性の場合、ファッション性と機能性の両立が重要です。吸湿速乾性に優れた素材を選び、レイヤードスタイルで体温調節しやすい服装を心がけることが推奨されます。
色選びも重要で、汗ジミが目立ちにくい色(白、黒、ネイビーなど)を選ぶか、柄物を活用することで視覚的な影響を軽減できます。また、脇汗パッドや汗取りインナーの使用も効果的です。
📌 メイクとスキンケア
顔面多汗症がある女性では、ウォータープルーフ化粧品の使用や、汗に強いベースメイクの技法を身につけることが重要です。また、制汗剤を使用する際は、肌への刺激を避けるため、敏感肌用の製品を選ぶことが推奨されます。
スキンケアでは、過度な洗浄は避け、肌のバリア機能を保持することが大切です。特に更年期女性では、エストロゲン低下により肌が敏感になりやすいため、優しいケアを心がけましょう。
💫 ▶️ 環境調整
自宅や職場の環境を調整することも重要な対策の一つです。適切な室温・湿度の管理、扇風機やハンディファンの活用、冷却グッズの準備などが有効です。
特に更年期女性では、急激な温度変化がホットフラッシュを誘発することがあるため、温度差の少ない環境作りが重要です。寝室の温度管理や、通気性の良い寝具の選択も夜間発汗の軽減に役立ちます。
✨ 医療機関での治療選択肢
セルフケアで十分な改善が得られない場合は、医療機関での専門的治療を検討することが重要です。女性の多汗症治療では、ライフステージや妊娠・授乳の可能性を考慮した治療選択が必要となります。
🔹 外用療法
塩化アルミニウム製剤は、多汗症治療の第一選択薬として広く使用されています。女性の場合、皮膚刺激への感受性が高い場合があるため、低濃度から開始し、段階的に濃度を上げていくことが一般的です。
また、妊娠・授乳期においても比較的安全に使用できるとされていますが、使用前には必ず医師に相談することが推奨されます。近年では、グリコピロニウム外用剤なども保険適用となり、選択肢が広がっています。
📍 内服治療
抗コリン薬は全身の発汗を抑制する効果がありますが、副作用として口渇、便秘、尿閉などがあり、女性では特に便秘の副作用が問題となることがあります。また、妊娠・授乳期には使用を避けることが一般的です。
更年期女性では、ホットフラッシュに対してSSRI系抗うつ薬や抗てんかん薬が使用されることがありますが、これらの薬剤選択には専門医の判断が必要です。
🔸 その他の治療法
ボツリヌス毒素注射は、局所多汗症に対して高い効果を示す治療法です。女性では、特に腋窩多汗症や手掌多汗症に対して良好な結果が得られることが多く、妊娠・授乳期以外では安全に施行できます。
イオントフォレーシス(電気治療)は、手のひらや足裏の多汗症に効果的で、薬剤を使用しないため妊娠・授乳期でも安全に行えます。ただし、継続的な治療が必要で、日常生活での対策と組み合わせることが重要です。
⏰ いつ医師に相談すべきか
女性の多汗症では、ホルモンバランスの変化や生活への影響を考慮して、適切なタイミングで医師に相談することが重要です。
🚨 緊急性の高い症状
以下のような症状がある場合は、早急に医師の診察を受けることが推奨されます:
- 急激な発汗量の増加(特に更年期以外の年齢で)
- 発熱、体重減少、動悸などを伴う発汗
- 夜間発汗が著明で睡眠に大きな支障をきたす場合
- 薬剤開始後の急激な発汗増加
📅 相談のタイミング
日常生活に支障をきたすレベルの発汗、月経周期に関連した症状の変化、セルフケアで改善しない場合は、医師への相談を検討しましょう。特に以下のような状況では、早めの相談が有効です:
- 仕事や学業に支障をきたしている
- 対人関係に影響が出ている
- 月経周期に合わせて症状が著明に変動する
- 更年期に入って症状が急激に変化した
- 妊娠・授乳期で治療選択に迷っている
🏥 受診前の準備
医師への相談をより効果的にするため、以下の情報を整理しておくことが推奨されます:
- 症状の発症時期と経過
- 月経周期との関連性
- 現在服用中の薬剤(ピルを含む)
- これまでに試した対策とその効果
- 日常生活への影響の程度
アイシークリニック上野院では、女性の多汗症に対して包括的な診療を行っており、ライフステージに応じた最適な治療選択肢をご提案いたします。お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
📚 まとめ
女性の多汗症は、ホルモンバランスの変化と密接に関連した複雑な症状です。月経周期、妊娠・授乳期、更年期といった各ライフステージで症状が変化するため、個々の状況に応じた適切な対策と治療選択が重要となります。
セルフケアから医療機関での専門治療まで、様々な選択肢がありますが、最も大切なのは一人で悩まずに適切な時期に専門医に相談することです。多汗症は治る可能性の高い疾患であり、適切な治療により生活の質を大幅に改善することができます。
📖 参考文献
- 厚生労働省「女性の健康推進室」多汗症に関する情報(2024年更新)
- 日本皮膚科学会「原発性局所多汗症診療ガイドライン 2023年改訂版」
- 日本産科婦人科学会「女性ヘルスケア委員会報告書」(2024年)
- International Hyperhidrosis Society「Hormonal Influences on Sweating」(2024年更新)
- 日本更年期医学会「更年期症状と多汗症の関連に関する研究報告」(2024年)
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務