多汗症は病院の何科を受診?症状別の診療科選びと治療法を医師が解説

「異常なほど汗をかいてしまう」「日常生活に支障が出るほどの発汗に悩んでいる」このような症状でお悩みの方は、多汗症という疾患の可能性があります。多汗症は単なる汗っかきではなく、医学的な治療が必要な疾患です。しかし、いざ病院を受診しようと思っても「何科に行けばいいのかわからない」と迷う方も多いでしょう。本記事では、多汗症の症状別に適切な診療科の選び方から、各診療科で受けられる治療法まで、専門医が詳しく解説します。


目次

  1. 多汗症とは?症状と診断基準
  2. 多汗症で受診すべき診療科の基本的な選び方
  3. 皮膚科での多汗症治療
  4. 内科での多汗症治療
  5. 形成外科・美容外科での多汗症治療
  6. 症状別の適切な診療科選び
  7. 初診時の準備と注意点
  8. 多汗症治療の費用と保険適用
  9. 病院選びのポイント
  10. まとめ

この記事のポイント

多汗症の受診科は症状により異なり、初回は皮膚科が推奨される。外用薬・イオントフォレーシス・保険適用のボトックス治療が中心で、全身性発汗や動悸を伴う場合は内科での続発性多汗症の精査が必要。重症例には形成外科での手術も選択肢となる。

🎯 多汗症とは?症状と診断基準

多汗症は、日常生活に支障をきたすほど過剰な発汗が生じる疾患です。通常の体温調節に必要な量を大幅に超えた発汗が特徴で、医学的には「原発性局所多汗症」と「続発性多汗症」に分類されます。

🦠 多汗症の主な症状

多汗症の症状は発汗部位によって異なりますが、共通する特徴があります。

手掌多汗症では、手のひらに大量の汗をかき、書類が濡れる、握手を避けたくなる、スマートフォンの操作が困難になるなどの症状が現れます。腋窩多汗症では、脇に過剰な汗をかき、衣服に汗染みができる、制汗剤が効かない、臭いが気になるなどの問題が生じます。

足底多汗症では、足裏に大量の汗をかき、靴や靴下がすぐに湿る、足の臭いが強くなる、水虫になりやすいなどの症状があります。顔面多汗症では、顔から汗が流れ落ちる、メイクが崩れやすい、人前に出るのが恥ずかしいなどの悩みを抱えることが多くなります。

👴 診断基準

原発性局所多汗症の診断には、国際的に認められた基準が用いられます。まず、明らかな原因なく、局所的な過剰な発汗が6ヶ月以上持続していることが必要です。

さらに、以下の項目のうち2つ以上が該当する場合に診断されます。左右対称性に発汗がある、睡眠中は発汗が止まっている、週1回以上の頻度で発汗エピソードがある、25歳未満で発症した、家族歴がある、局所の発汗により日常生活に支障をきたしているという項目です。

🔸 原発性と続発性の違い

原発性多汗症は、明確な原因疾患がない状態で生じる多汗症です。遺伝的要因や自律神経の過敏性が関与していると考えられており、多汗症患者の約95%がこのタイプに該当します。

一方、続発性多汗症は、甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害、薬の副作用などの明確な原因があって生じる多汗症です。この場合、原因となる疾患の治療が優先されます。

Q. 多汗症で最初に受診すべき診療科はどこですか?

多汗症で初めて受診する場合、まず皮膚科を選ぶことが推奨されます。皮膚科では診断から外用薬・イオントフォレーシス・ボトックス治療まで一貫して対応可能です。ただし、急な発汗増加や動悸・体重減少を伴う場合は、続発性多汗症の疑いがあるため内科を優先してください。

📋 多汗症で受診すべき診療科の基本的な選び方

多汗症の治療は複数の診療科で行われているため、症状や希望する治療法によって適切な診療科を選択することが重要です。

💧 主な診療科とその特徴

皮膚科は多汗症治療の第一選択となることが多い診療科です。皮膚科では、外用薬による治療、イオントフォレーシス、ボトックス注射などの保存的治療を中心に行います。多汗症の診断から初期治療まで幅広く対応しており、多くの患者さんがまず皮膚科を受診されます。

内科では、続発性多汗症の原因となる基礎疾患の診断と治療を行います。甲状腺機能検査、血糖値検査、ホルモン検査などを通じて、多汗症の原因を特定し、適切な治療を提供します。

形成外科・美容外科では、手術治療やより専門性の高い治療を行います。ETS手術(胸腔鏡下交感神経遮断術)や皮膚切除術など、根本的な治療法を提供しています。

✨ 初回受診におすすめの診療科

多汗症の症状で初めて病院を受診する場合、まずは皮膚科を受診することをおすすめします。皮膚科では多汗症の診断から保存的治療まで一貫して行うことができ、多くの症例に対応可能です。

ただし、以下のような場合は内科を先に受診することを検討してください。全身的な発汗がある、急に汗の量が増えた、他の症状(動悸、体重減少、手の震えなど)を伴う、薬を服用している場合などです。これらの症状がある場合、続発性多汗症の可能性が高いため、原因疾患の検査が優先されます。

💊 皮膚科での多汗症治療

皮膚科は多汗症治療の中心的な役割を担う診療科です。診断から各種保存的治療まで幅広く対応しており、多汗症患者の約80%は皮膚科での治療で症状の改善が期待できます。

📌 皮膚科で行われる診断

皮膚科では、まず詳細な問診を行い、発汗の部位、量、持続期間、日常生活への影響などを確認します。家族歴の確認も重要で、多汗症には遺伝的要因が関与することがあるためです。

次に、発汗量の客観的評価を行います。Minor法という検査では、ヨウ素でんぷん反応を利用して発汗部位を可視化し、発汗の範囲と程度を評価します。重量法では、一定時間内の発汗量を実際に測定し、数値として記録します。

必要に応じて、続発性多汗症を除外するための血液検査も行います。甲状腺ホルモン、血糖値、その他のホルモン値を測定し、基礎疾患の有無を確認します。

▶️ 皮膚科での治療選択肢

皮膚科での多汗症治療は段階的に行われます。まず第一選択として外用薬治療が行われます。塩化アルミニウムローションは最も一般的な外用薬で、汗腺の導管を閉塞することで発汗を抑制します。夜間に塗布し、朝に洗い流すという使用法が基本です。

イオントフォレーシス療法は、手のひらや足裏の多汗症に特に効果的な治療法です。水道水に微弱な電流を流した中に手足を浸し、汗腺の機能を抑制します。週2-3回の治療を4-6週間続けることで効果が現れます

多汗症のボトックス治療は、重症の腋窩多汗症に対して保険適用で行われる治療法です。ボツリヌス毒素を脇の皮下に注射し、神経から汗腺への信号を遮断することで発汗を抑制します。効果は4-6ヶ月持続し、繰り返し治療を受けることができます。

🔹 皮膚科治療のメリット・デメリット

皮膚科治療の最大のメリットは、侵襲性が低く安全性が高いことです。外用薬治療は自宅で行うことができ、通院頻度も少なくて済みます。ボトックス治療は重症例に対して高い効果を示し、保険適用により費用負担も軽減されます。

一方で、効果には個人差があり、重症例では十分な改善が得られない場合もあります。外用薬による皮膚刺激、ボトックス治療の効果持続期間の限界などのデメリットもあります。

Q. 多汗症のボトックス治療は保険適用になりますか?

重症の腋窩多汗症(脇汗)に対するボトックス治療は、2012年から保険適用となっています。3割負担で約22,000円程度の費用で受けられ、効果は4〜6ヶ月持続します。なお、手のひらや顔など腋窩以外の部位へのボトックス治療は自費診療となる点に注意が必要です。

🏥 内科での多汗症治療

内科では、続発性多汗症の診断と治療、および全身的なアプローチによる多汗症の管理を行います。特に、基礎疾患が原因となる多汗症の場合、内科での専門的な診断と治療が不可欠です。

📍 内科で行われる検査

内科では、多汗症の原因となり得る様々な疾患の検査を行います。甲状腺機能検査では、甲状腺ホルモン(T3、T4)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定し、甲状腺機能亢進症を除外します。

血糖値検査では、空腹時血糖、HbA1c、経口ブドウ糖負荷試験を行い、糖尿病の診断を行います。糖尿病による自律神経障害は、異常な発汗の原因となることがあります。

ホルモン検査では、更年期障害、副腎機能異常、下垂体疾患など、ホルモンバランスの異常による多汗症を除外します。女性の場合、エストロゲン、プロゲステロン、LH、FSHなどの測定が行われます。

その他、感染症の検査、薬歴の確認、画像検査(胸部X線、CT、MRIなど)も必要に応じて実施されます。

💫 内科での治療アプローチ

続発性多汗症と診断された場合、原因疾患の治療が最優先となります。甲状腺機能亢進症には抗甲状腺薬、糖尿病には血糖降下薬、更年期障害にはホルモン補充療法などが行われます。

多汗症の薬・内服薬治療として、抗コリン薬の処方も行われます。プロバンサイン(プロパンテリン)は、神経から汗腺への信号を遮断することで発汗を抑制する薬です。全身の発汗を抑制する効果がありますが、口渇、便秘などの副作用に注意が必要です。

自律神経のバランスを整える治療として、β遮断薬、抗不安薬、漢方薬なども使用されることがあります。特に多汗症とストレスの関係が深い場合、精神的なケアも重要になります。

🦠 内科受診が適している場合

以下のような症状がある場合は、内科での精査をおすすめします。急に汗の量が増えた場合、全身性の発汗がある場合、体重減少や増加を伴う場合、動悸、手の震え、息切れなどを伴う場合、月経異常がある場合、薬を新たに開始した後に発汗が増えた場合などです。

また、家族に甲状腺疾患、糖尿病、自己免疫疾患の病歴がある場合も、内科での検査を受けることが重要です。

⚠️ 形成外科・美容外科での多汗症治療

形成外科・美容外科では、保存的治療で効果が得られない重症の多汗症に対して、外科的治療を提供しています。根本的な治療効果が期待できる一方で、侵襲性が高く、慎重な適応判断が必要です。

👴 ETS手術(胸腔鏡下交感神経遮断術)

多汗症の手術(ETS手術)は、手のひらの多汗症に対する最も確実な治療法です。全身麻酔下で胸腔鏡を用いて交感神経を切断または遮断し、手のひらへの発汗信号を遮断します。

手術の成功率は95%以上と非常に高く、手のひらの発汗はほぼ完全に停止します。手術時間は30分程度で、日帰りまたは1泊2日の入院で行われます。

しかし、代償性発汗という合併症があります。これは、手のひらの発汗が停止する代わりに、体幹部や下肢からの発汗が増加する現象です。約90%の患者に何らかの代償性発汗が生じるため、手術前に十分な説明と同意が必要です。

🔸 皮膚切除術・吸引法

腋窩多汗症に対しては、汗腺を物理的に除去する手術法があります。皮膚切除術では、脇毛の生えている皮膚を紡錘形に切除し、汗腺を除去します。確実な効果が得られますが、術後の瘢痕が目立つことがあります。

吸引法では、小さな切開から細いカニューレを挿入し、汗腺を吸引除去します。傷跡が小さく美容的に優れていますが、汗腺の取り残しの可能性があります。

マイクロ波治療(miraDry)は、マイクロ波エネルギーで汗腺を破壊する非侵襲的な治療法です。切開を行わないため傷跡が残らず、ダウンタイムも短くて済みます。

💧 手術適応の判断

外科的治療の適応となるのは、保存的治療で十分な効果が得られない重症例、日常生活に著しい支障をきたしている場合、患者の強い希望がある場合などです。

一方で、軽症例、精神的に不安定な状態、現実的でない期待を持っている場合、他の疾患の治療が優先される場合などは適応外となります。

手術前には、十分なインフォームドコンセントが行われ、代償性発汗などの合併症のリスクについて詳しく説明されます。

Q. 手掌多汗症の手術治療にはどんなリスクがありますか?

重症の手掌多汗症に対するETS手術(胸腔鏡下交感神経遮断術)は成功率95%以上ですが、約90%の患者に「代償性発汗」が生じます。これは手のひらの発汗が止まる代わりに、体幹部や下肢からの発汗が増加する現象です。手術前に医師から十分な説明を受けることが不可欠です。

🔍 症状別の適切な診療科選び

多汗症の症状や部位によって、最適な診療科が異なります。効率的な治療を受けるために、症状に応じた診療科選びを理解しておくことが重要です。

✨ 手のひらの多汗症(手掌多汗症)

手汗(手掌多汗症)は最も一般的な多汗症の一つです。軽度から中等度の症状であれば、まず皮膚科を受診することをおすすめします。

皮膚科では、塩化アルミニウムローションの処方、イオントフォレーシス療法を行います。これらの治療で約70%の患者で症状の改善が期待できます。

重症で日常生活に著しい支障をきたしている場合は、形成外科でのETS手術も検討されます。ただし、代償性発汗のリスクがあるため、慎重な適応判断が必要です。

📌 脇汗の多汗症(腋窩多汗症)

脇汗がひどい症状でお悩みの場合、皮膚科が第一選択です。重症の腋窩多汗症に対してはボトックス治療が保険適用で行われ、高い効果が期待できます。

ボトックス治療で効果が不十分な場合や、より根本的な治療を希望する場合は、形成外科・美容外科での手術的治療を検討します。マイクロ波治療、吸引法、皮膚切除術などの選択肢があります。

▶️ 顔汗・頭部の多汗症

顔汗・頭部多汗症は治療が困難な部位の一つです。まず皮膚科で診断を受け、外用薬治療や内服薬治療を試します。

継発性多汗症の可能性も考慮し、内科での精査も重要です。更年期障害、甲状腺疾患、自律神経失調症などが原因となることがあります。

保存的治療で効果が得られない場合は、形成外科でのETS手術も検討されますが、顔面神経麻痺のリスクがあるため、慎重な適応判断が行われます。

🔹 足汗の多汗症(足底多汗症)

足汗の症状では、皮膚科での治療が中心となります。塩化アルミニウムローション、イオントフォレーシス療法が効果的です。

足底の多汗症は白癬菌感染症(水虫)を合併しやすいため、皮膚科での専門的な診断と治療が重要です。足汗と水虫の鑑別診断も必要になります。

📍 全身性多汗症

全身に及ぶ多汗症の場合、続発性多汗症の可能性が高いため、まず内科での精査をおすすめします。甲状腺機能、血糖値、ホルモン値などの検査を行い、原因疾患の特定を行います。

原因疾患が特定できない場合や、原発性の全身性多汗症と診断された場合は、皮膚科と連携した治療を行います。

📝 初診時の準備と注意点

多汗症の診断と適切な治療を受けるために、初診時の準備は重要です。事前の準備により、効率的で正確な診断が可能になります。

💫 症状の記録

受診前に、症状について詳細に記録しておくことをおすすめします。発汗の部位、一日の中で汗をかく時間帯、発汗量の程度、誘因(運動、ストレス、気温など)、日常生活への影響の程度を記録しておきます。

可能であれば、2週間程度の発汗日記をつけると、医師にとって有用な情報となります。天候、気温、活動内容、ストレスの有無、発汗の程度を5段階評価で記録します。

🦠 家族歴・既往歴の整理

多汗症には遺伝的要因が関与することがあるため、家族歴の確認が重要です。両親、兄弟姉妹に多汗症の人がいるかどうか、甲状腺疾患、糖尿病、自己免疫疾患の家族歴があるかどうかを確認しておきます。

自身の既往歴についても整理しておきます。これまでにかかった病気、現在服用中の薬、アレルギーの有無、手術歴などを記録しておきます。

👴 質問事項の準備

診察時に聞きたいことを事前にリストアップしておくことをおすすめします。治療方法の選択肢、各治療法の効果と副作用、治療期間と費用、日常生活で注意すべき点、治療効果の判定方法などについて質問を準備しておきます。

また、仕事や学校生活への影響が大きい場合は、治療スケジュールについても相談できるよう準備しておきます。

🔸 受診時の注意点

診察当日は、普段通りの状態で受診することが重要です。制汗剤の使用を控える、症状が現れやすい時間帯に受診する、清潔な状態で受診するなどの配慮が必要です。

診察では、正直に症状を伝えることが大切です。恥ずかしがらずに、日常生活への具体的な影響を説明し、困っていることを率直に相談しましょう。

Q. 多汗症の診断では具体的にどんな検査をしますか?

多汗症の診断ではまず発汗部位・量・持続期間・家族歴を確認する問診を行います。次にヨウ素でんぷん反応を使うMinor法で発汗部位を可視化し、重量法で発汗量を数値測定します。さらに続発性多汗症を除外するため、甲状腺ホルモン・血糖値・ホルモン値などの血液検査も必要に応じて実施されます。

💡 多汗症治療の費用と保険適用

多汗症治療にかかる費用は、治療方法によって大きく異なります。保険適用の治療と自費診療の治療があるため、事前に確認しておくことが重要です。

💧 保険適用の治療

原発性局所多汗症と診断された場合、以下の治療が保険適用となります。

外用薬治療では、塩化アルミニウムローションが処方され、薬剤費は数百円程度です。イオントフォレーシス療法は、1回あたり約500-1000円で受けることができます。

重症の腋窩多汗症に対するボトックス治療は、2012年から保険適用となっています。3割負担で約22,000円程度の費用がかかりますが、効果は4-6ヶ月持続します。

内服薬治療として処方される抗コリン薬(プロバンサイン)も保険適用です。1ヶ月分の薬剤費は3割負担で約1,000-2,000円程度です。

✨ 自費診療の治療

以下の治療は基本的に自費診療となります。

ETS手術は、保険適用外のため約30-50万円の費用がかかります。ただし、一部の医療機関では条件を満たせば保険適用となる場合もあります。

マイクロ波治療(miraDry)は、1回あたり約30-40万円の費用がかかります。通常2-3回の治療が推奨されます。

手のひらや足底以外の部位に対するボトックス治療は自費診療となり、部位や範囲によって10-30万円程度の費用がかかります。

📌 治療費を抑えるポイント

治療費を抑えるためには、まず保険適用の治療から開始することをおすすめします。軽度から中等度の症状であれば、外用薬治療やイオントフォレーシス療法で十分な効果が得られることが多くあります。

重症例に対するボトックス治療は、腋窩多汗症であれば保険適用となるため、まずは皮膚科で診断を受けることが重要です。

自費診療を検討する場合は、複数の医療機関で費用を比較し、分割払いやローンの利用も検討しましょう。

✨ 病院選びのポイント

多汗症の治療を受ける医療機関選びは、治療効果に大きく影響します。適切な病院選びのポイントを理解し、自分に合った医療機関を見つけることが重要です。

▶️ 専門性の確認

多汗症治療の実績が豊富な医療機関を選ぶことが重要です。ホームページや問い合わせにより、年間の多汗症治療件数、担当医師の専門資格、治療設備の充実度を確認しましょう。

皮膚科専門医、形成外科専門医などの専門資格を持つ医師が在籍している病院を選ぶことをおすすめします。また、学会発表や論文発表の実績がある医師は、最新の治療法に精通している可能性が高くなります。

🔹 治療選択肢の豊富さ

一つの治療法に偏らず、患者の症状や希望に応じて複数の治療選択肢を提示できる医療機関を選びましょう。外用薬、イオントフォレーシス、ボトックス治療、手術など、幅広い治療選択肢を有している病院が理想的です。

また、治療効果が不十分な場合の次のステップについても、明確な方針を示してくれる医療機関を選ぶことが重要です。

📍 アクセスと通院の利便性

多汗症治療は継続的な通院が必要になることが多いため、アクセスの良さも重要な要素です。自宅や職場からの距離、公共交通機関でのアクセス、駐車場の有無などを考慮しましょう。

診療時間が自分のライフスタイルに合っているかどうかも確認が必要です。夜間診療や土日診療を行っている医療機関は、働いている方にとって通院しやすい選択肢となります。

💫 医師との相性

多汗症は患者のQOL(生活の質)に大きく影響する疾患であり、医師との信頼関係が治療効果に影響することがあります。初診時の説明が丁寧で分かりやすい、患者の悩みに共感してくれる、治療選択肢について十分に説明してくれるなどの要素を確認しましょう。

また、治療に対する不安や疑問に丁寧に答えてくれる医師を選ぶことが重要です。セカンドオピニオンを求めることも検討し、複数の医療機関で相談してから治療方針を決めることも有効です。

🦠 口コミ・評判の確認

インターネットの口コミサイトや医療機関の評価サイトを参考にすることも有効です。ただし、個人的な感想に偏っている場合もあるため、複数の情報源を参考にして総合的に判断することが重要です。

同じような症状で治療を受けた患者の体験談は参考になりますが、個人差があることも理解しておきましょう。

📌 まとめ

多汗症の治療においては、症状の特徴や重症度に応じて適切な診療科を選択することが重要です。初回受診では皮膚科を選択することが一般的ですが、全身性の発汗や他の症状を伴う場合は内科での精査も必要になります。

皮膚科では外用薬、イオントフォレーシス、ボトックス治療などの保存的治療を中心に行い、多くの患者で良好な結果が得られます。内科では続発性多汗症の原因検索と治療、内服薬治療を行います。形成外科・美容外科では、重症例に対する手術的治療を提供しています。

治療選択肢は年々拡大しており、患者一人ひとりの症状や生活スタイルに合わせた個別化治療が可能になっています。多汗症でお悩みの方は、まずは専門医療機関での相談を検討し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。早期の適切な治療により、QOLの大幅な改善が期待できます。


参考文献

多汗症の症状で初めて病院を受診する場合、何科に行けばよいですか?

初回受診では皮膚科をおすすめします。皮膚科では多汗症の診断から外用薬、イオントフォレーシス、ボトックス治療まで幅広く対応可能です。ただし、急に汗の量が増えた、動悸や体重減少などの症状を伴う場合は、続発性多汗症の可能性があるため内科を先に受診することを検討してください。

多汗症の治療は保険適用されますか?

原発性局所多汗症と診断された場合、外用薬治療、イオントフォレーシス療法、重症腋窩多汗症に対するボトックス治療、抗コリン薬の内服治療が保険適用となります。一方、ETS手術やマイクロ波治療(miraDry)、腋窩以外の部位へのボトックス治療は基本的に自費診療となります。

ボトックス治療はどのような症状に効果がありますか?

ボトックス治療は重症の腋窩多汗症(脇汗)に特に効果的で、保険適用で治療を受けることができます。ボツリヌス毒素を脇の皮下に注射し、神経から汗腺への信号を遮断することで発汗を抑制します。効果は4-6ヶ月持続し、約95%以上の高い成功率を示しています。

手のひらの多汗症が重症の場合、手術治療はありますか?

重症の手掌多汗症に対してはETS手術(胸腔鏡下交感神経遮断術)という根本的治療法があります。成功率は95%以上と非常に高く、手のひらの発汗はほぼ完全に停止します。ただし、約90%の患者に代償性発汗(体幹部や下肢からの発汗増加)が生じるため、慎重な適応判断が必要です。

多汗症の診断にはどのような検査が行われますか?

まず詳細な問診で発汗の部位、量、持続期間、家族歴を確認します。次にMinor法(ヨウ素でんぷん反応)で発汗部位の可視化や重量法で発汗量の測定を行います。続発性多汗症を除外するため、甲状腺ホルモン、血糖値、その他ホルモン値の血液検査も必要に応じて実施されます。

📚 参考文献

  • 日本美容外科学会 – 多汗症の外科的治療(ETS手術、皮膚切除術、マイクロ波治療等)に関するガイドラインと治療基準、形成外科・美容外科での治療選択肢についての専門的見解
  • PubMed – 原発性局所多汗症の診断基準、治療法(ボトックス療法、イオントフォレーシス、外用薬等)の有効性と安全性に関する国際的な医学論文および臨床研究
  • PubMed – 多汗症の保存的治療(外用薬、ボトックス注射)から外科的治療まで、症状別治療選択に関するエビデンスベースの医学文献

👨‍⚕️ 当院での診療傾向【医師コメント】

高桑康太 医師(当院治療責任者)より

「当院でも多汗症でお悩みの患者様が増えており、症状に応じた適切な診療科選びが治療成功の鍵となっています。記事にもある通り、まずは皮膚科での診断・治療から始めることをお勧めしていますが、約3割の患者様では甲状腺機能異常などの基礎疾患が見つかるため、必要に応じて内科との連携も重視しています。最近の傾向として、保険適用となったボトックス治療への関心が高まっているますが、患者様一人ひとりの生活スタイルや症状の程度を丁寧に伺い、最適な治療法を一緒に選択していくことを大切にしています。」

監修者医師

高桑 康太 医師

保有資格

ミラドライ認定医

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任
  • 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
  • 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
  • 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
  • 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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