顔のシミを消す方法|シミの種類別原因と皮膚科の治療・セルフケアを徹底解説

顔にできたシミは、年齢とともに増えていくことが多く、見た目の印象を大きく左右するため、多くの方が悩まれている肌トラブルのひとつです。鏡を見るたびに気になるシミを何とかしたいと思いながらも、どのような方法で改善できるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。シミにはいくつかの種類があり、それぞれ原因や特徴が異なります。そのため、効果的にシミを消すためには、まず自分のシミがどのタイプなのかを正しく理解し、適切な対策や治療法を選択することが大切です。本記事では、シミができるメカニズムから種類別の特徴、自宅でできるセルフケア、美容皮膚科での治療法、そして予防方法まで、顔のシミを消す方法について詳しく解説します。シミでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みいただき、ご自身に合った対策を見つけてください。


目次

  1. シミとは?シミができるメカニズムを解説
  2. 顔にできるシミの種類と特徴
  3. 自宅でできるシミ対策(セルフケア編)
  4. 美容皮膚科で受けられるシミ治療(クリニック治療編)
  5. シミ治療に使われる外用薬と内服薬
  6. シミを予防するための日常ケア
  7. シミ治療を受ける際の注意点
  8. シミの種類別おすすめ治療法まとめ
  9. よくある質問
  10. 参考文献

シミとは?シミができるメカニズムを解説

シミとは、皮膚にメラニン色素が過剰に蓄積し、肌の表面に茶色や黒褐色の斑点として現れる状態を指します。医学的には色素沈着と呼ばれ、その発生には複雑なメカニズムが関係しています。

メラニンができる仕組み

私たちの肌には、メラノサイトと呼ばれる色素細胞が存在しています。このメラノサイトは、紫外線などの外的刺激を受けると、肌を守るためにメラニン色素を生成します。メラニンの生成過程では、チロシナーゼという酵素が重要な役割を果たしており、この酵素の働きによってチロシンというアミノ酸がメラニンへと変換されます。通常であれば、生成されたメラニンは肌のターンオーバー(新陳代謝)によって約28日から45日程度で古い角質とともに剥がれ落ち、体外に排出されます。しかし、加齢やホルモンバランスの乱れ、生活習慣の乱れなどによってターンオーバーが遅くなると、メラニンが排出されずに肌の中に蓄積してしまいます。これがシミとして目に見える形で現れるのです。

シミができる主な原因

シミができる原因はさまざまですが、最も大きな要因は紫外線です。紫外線を浴びると、肌は自己防衛のためにメラニンを大量に生成します。長年にわたって紫外線を浴び続けることで、メラニンが蓄積しやすくなり、シミとして現れやすくなります。また、加齢による肌のターンオーバーの低下も重要な原因です。若い頃は約28日周期で肌が生まれ変わりますが、年齢を重ねるにつれてこの周期が長くなり、40代では約45日以上かかることもあります。そのほか、女性ホルモンの変動、ストレス、睡眠不足、喫煙、肌への摩擦や刺激なども、シミの発生や悪化に関係することが知られています。特に洗顔時の過度な摩擦や、化粧品によるかぶれ、ニキビの炎症なども、シミの原因となることがあります。

顔にできるシミの種類と特徴

一口にシミといっても、実際にはさまざまな種類があり、それぞれ原因や特徴、適した治療法が異なります。効果的にシミを改善するためには、まず自分のシミがどのタイプに該当するのかを正確に把握することが重要です。ここでは、代表的なシミの種類について詳しく解説します。

老人性色素斑(日光性色素斑)

老人性色素斑は、一般的に「シミ」と呼ばれるものの中で最も多いタイプです。日光黒子とも呼ばれ、主な原因は長年にわたる紫外線の蓄積です。20代から出現することもありますが、30代以降に目立ち始め、加齢とともに数が増えたり、色が濃くなったりする傾向があります。形は円形や楕円形で、直径は数ミリメートルから数センチメートルまでさまざまです。色は薄茶色から濃い茶色まであり、境界線がはっきりしているのが特徴です。顔のどこにでもできますが、特に紫外線を受けやすい頬骨のあたりや手の甲、腕などに出現しやすい傾向があります。老人性色素斑は、レーザー治療やIPL光治療で効果的に改善できることが多いです。

肝斑

肝斑は、主に30代から60代の女性に多く見られるシミの一種です。最大の特徴は、左右の頬骨に沿って対称的に現れることです。色は淡い褐色で、輪郭がぼんやりとしており、筆で塗ったような形状をしていることが多いです。目の周りにはできず、額や口の周りに広がることもあります。肝斑の発症には女性ホルモンが深く関係していると考えられており、妊娠や出産、経口避妊薬の服用をきっかけに発症することがあります。また、閉経後には自然と薄くなることも知られています。紫外線や肌への摩擦刺激によって悪化することがあるため、日常生活での注意が必要です。肝斑は他のシミとは異なり、通常のレーザー治療では悪化してしまうリスクがあるため、内服薬による治療が第一選択となることが多いです。

そばかす(雀卵斑)

そばかすは、医学的には雀卵斑と呼ばれ、遺伝的要因が大きく関係するシミです。雀の卵の柄に似ていることからこの名前がつけられました。鼻を中心に頬や目の下に、直径数ミリメートル程度の小さな茶色い斑点が多数散らばるように現れます。幼少期から思春期にかけて目立ち始め、成人以降は徐々に薄くなる傾向があります。色白の方に多く見られ、夏には色が濃くなり、冬には薄くなるという季節変動があるのも特徴です。そばかすは遺伝的な要素が強いため、セルフケアだけでの改善は難しいですが、IPL光治療やレーザー治療によって効果的に薄くすることができます。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

後天性真皮メラノサイトーシスは、ADM(Acquired Dermal Melanocytosis)とも呼ばれ、主に頬骨のあたりに左右対称に現れる灰褐色から青みがかった色素斑です。通常のシミとは異なり、メラニン色素が皮膚の深い層(真皮)に存在することが特徴です。思春期以降に発症することが多く、20代から30代の女性に好発します。肝斑やそばかすと混同されやすいですが、色調がやや青みを帯びていることや、発症年齢、分布パターンなどで区別されます。ADMは真皮にメラニンが存在するため、外用薬や通常の光治療では効果が限定的で、Qスイッチレーザーやピコレーザーなど、皮膚の深い層にまで届くレーザー治療が必要となります。

炎症後色素沈着

炎症後色素沈着は、ニキビやかぶれ、やけど、虫刺され、怪我などによって皮膚に炎症が起きた後に、その部位が茶色く色素沈着を起こした状態です。PIH(Post Inflammatory Hyperpigmentation)とも呼ばれます。炎症によってメラノサイトが刺激され、メラニンが過剰に生成されることで起こります。通常は数ヶ月から1年程度で自然に薄くなることが多いですが、日本人を含むアジア人は炎症後色素沈着を起こしやすい傾向があります。レーザー治療後に発生する「戻りシミ」も、この炎症後色素沈着の一種です。炎症後色素沈着は、紫外線対策を徹底し、肌への刺激を避けることで予防や改善が期待できます。

脂漏性角化症

脂漏性角化症は、別名「老人性いぼ」とも呼ばれる良性の皮膚腫瘍です。通常のシミとは異なり、皮膚がわずかに盛り上がっており、表面がざらついた感触があるのが特徴です。色は肌色から茶色、黒色までさまざまで、紫外線の影響や加齢によって出現しやすくなります。30代以降に見られることが多く、年齢とともに数が増える傾向があります。脂漏性角化症は良性腫瘍であるため必ずしも治療が必要ではありませんが、見た目が気になる場合は、炭酸ガスレーザーやQスイッチレーザーなどで除去することが可能です。

自宅でできるシミ対策(セルフケア編)

シミの改善には美容皮膚科での治療が最も効果的ですが、日常生活でのセルフケアも重要な役割を果たします。特に、できたばかりの薄いシミや全体的なくすみは、適切なスキンケアによって改善が期待できる場合もあります。また、シミの予防やクリニック治療後の維持においても、セルフケアは欠かせません。

正しい洗顔とスキンケア

シミ対策の基本は、肌に余計な刺激を与えないことです。洗顔の際は、たっぷりの泡を使って肌をこすらないように優しく洗いましょう。ゴシゴシと強くこすると、摩擦による刺激でメラニン生成が促進され、シミが悪化する原因となります。洗顔後は十分に保湿を行い、肌のバリア機能を高めることが大切です。乾燥した肌はターンオーバーが乱れやすく、メラニンの排出が滞る原因となります。化粧水で水分を補給した後、美容液やクリームでしっかりと保湿を行いましょう。また、3週間に1度程度、市販のピーリング剤を使って古い角質を除去することも、ターンオーバーを促進してメラニンの排出を助ける効果が期待できます。

美白化粧品の活用

美白有効成分が配合された化粧品を日常的に使用することで、新しいシミの発生を予防する効果が期待できます。厚生労働省が美白有効成分として認可している成分には、ビタミンC誘導体、トラネキサム酸、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキスなどがあります。ビタミンC誘導体はメラニンの生成を抑制し、還元作用によって既存のメラニンを薄くする効果も期待できます。トラネキサム酸はメラノサイトの活性化を抑える作用があり、肝斑の予防にも効果的です。アルブチンはハイドロキノンの誘導体で、チロシナーゼの働きを阻害してメラニン生成を抑制します。ただし、化粧品に配合できる成分の濃度は規制されているため、既にできてしまったシミを完全に消す効果は期待しにくいことを理解しておきましょう。

市販の医薬品の活用

ドラッグストアで購入できる市販の医薬品にも、シミに効果的な成分が含まれているものがあります。代表的なものとして、L-システインやビタミンCを配合した内服薬があります。L-システインは肌のターンオーバーを促進し、メラニンの排出を助ける効果があります。また、ビタミンCはメラニン生成を抑制する効果があるとされています。外用薬としては、低濃度のハイドロキノンクリームが市販されています。市販品のハイドロキノン濃度は2パーセント以下に制限されていますが、継続使用することで徐々にシミを薄くする効果が期待できます。ただし、市販薬は医療機関で処方される薬と比較すると成分濃度が低いため、効果を実感するまでには時間がかかることが多いです。

食事による内側からのケア

シミの予防と改善には、食事による内側からのケアも効果的です。特に抗酸化作用を持つ栄養素を積極的に摂取することが推奨されます。ビタミンCは柑橘類、キウイ、イチゴ、ブロッコリー、赤ピーマンなどに多く含まれており、メラニン生成の抑制とコラーゲン生成の促進に役立ちます。ビタミンEはアーモンド、アボカド、かぼちゃ、うなぎなどに含まれ、血行を促進して肌細胞に栄養を届ける働きがあります。また、鮭に含まれるアスタキサンチン、トマトに含まれるリコピン、緑茶のカテキンなどのポリフェノール類も、紫外線ダメージから肌を守る効果が期待できます。一方、精製された砂糖や白い炭水化物の過剰摂取は、血糖値の急上昇を招き、肌のくすみやシミの原因となる糖化反応を促進する可能性があるため、控えめにすることが望ましいです。

美容皮膚科で受けられるシミ治療(クリニック治療編)

セルフケアだけでは改善が難しい濃いシミや、特定の種類のシミを確実に消したい場合は、美容皮膚科での専門的な治療が効果的です。美容皮膚科ではシミの種類を正確に診断し、最適な治療法を選択することで、安全かつ効果的にシミを除去することができます。

レーザー治療

レーザー治療は、シミ治療の中で最も効果的な方法のひとつです。レーザー光がメラニン色素に選択的に吸収され、熱エネルギーによってメラニンを破壊します。周囲の正常な組織にはほとんどダメージを与えずに、シミだけをピンポイントで治療できることが大きな特徴です。レーザー治療にはいくつかの種類があり、代表的なものとしてQスイッチルビーレーザー、QスイッチYAGレーザー、ピコレーザーなどがあります。Qスイッチレーザーはナノ秒単位でレーザーを照射する従来型の治療機器で、濃いシミや深いシミに対して高い効果を発揮します。一方、ピコレーザーはピコ秒という極めて短い時間でレーザーを照射する最新の治療機器です。従来のQスイッチレーザーよりも照射時間が短いため、肌へのダメージが少なく、痛みやダウンタイムが軽減されます。また、メラニンをより細かく粉砕できるため、薄いシミにも効果的で、炎症後色素沈着のリスクも低いとされています。

IPL光治療(フォトフェイシャル)

IPL光治療は、Intense Pulsed Lightの略で、広い波長帯域の光を照射する治療法です。フォトフェイシャルという名称でも知られています。レーザーと異なり、複数の波長を含む光を照射するため、シミだけでなく、赤ら顔、毛穴の開き、小じわなど、複数の肌悩みに同時にアプローチできることが特徴です。光がメラニンに反応して肌表面に浮き上がらせ、その後のターンオーバーによって排出されることでシミが薄くなります。レーザー治療と比較して痛みやダウンタイムが少なく、施術時間も短いため、初めての方でも受けやすい治療です。ただし、1回の施術で劇的な効果を得ることは難しく、複数回の施術を重ねることで徐々にシミが改善していきます。一般的には3週間から4週間に1回のペースで5回以上の施術が推奨されます。

レーザートーニング

レーザートーニングは、低出力のレーザーを顔全体に均一に照射する治療法です。通常のスポット照射とは異なり、肝斑の治療に特化した照射方法として開発されました。従来、肝斑には強いレーザー照射が禁忌とされてきましたが、レーザートーニングでは弱いパワーで広範囲に照射することで、肝斑を悪化させることなくメラニンを減少させることができます。ピコレーザーを用いたピコトーニングは、従来のレーザートーニングよりもさらに肌への負担が少なく、肝斑治療に効果的とされています。レーザートーニングは即効性はありませんが、週に1回程度の施術を繰り返すことで、徐々に肌のトーンが明るくなり、くすみやシミが改善されていきます。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは、グリコール酸やサリチル酸などの薬剤を肌に塗布し、古い角質を除去する治療法です。ターンオーバーを促進することで、メラニンを含む古い角質が剥がれ落ち、シミが徐々に薄くなる効果が期待できます。また、新しい肌細胞の生成を促すことで、肌のキメが整い、全体的なトーンアップも期待できます。レーザー治療やIPL光治療と比較すると即効性は劣りますが、繰り返し施術を受けることで確実な効果が得られます。他の治療法と組み合わせることで、相乗効果を期待することもできます。

イオン導入・エレクトロポレーション

イオン導入は、微弱な電流を利用して美白成分を肌の奥深くまで浸透させる治療法です。ビタミンCやトラネキサム酸などの美白成分を、通常のスキンケアよりも効率的に肌に届けることができます。エレクトロポレーションは、電気の力で一時的に細胞膜に穴を開けることで、より大きな分子の成分も浸透させることができる技術です。これらの治療は単独でも効果がありますが、レーザー治療やIPL光治療と組み合わせることで、シミ治療の効果を高めたり、治療後の色素沈着を予防したりすることができます。ダウンタイムがほとんどなく、痛みも少ないため、マイルドな治療を希望する方に適しています。

シミ治療に使われる外用薬と内服薬

シミ治療では、レーザーなどの機器による治療だけでなく、外用薬や内服薬による薬物療法も重要な役割を果たします。特に肝斑の治療では内服薬が第一選択となることが多く、また他の治療法との併用で効果を高めることもできます。

ハイドロキノン(外用薬)

ハイドロキノンは「肌の漂白剤」とも呼ばれる、強力な美白作用を持つ外用薬です。メラニンを生成するチロシナーゼ酵素の働きを阻害し、さらにメラノサイト自体の数を減少させる効果があります。これにより、新しいシミができるのを防ぐとともに、既存のシミを薄くする効果が期待できます。日本では化粧品への配合濃度が2パーセント以下に制限されていますが、医療機関では4から5パーセント程度の高濃度製剤を処方することができます。濃度が高いほど効果は高くなりますが、赤みやかぶれなどの副作用のリスクも増加するため、医師の指導のもとで使用することが重要です。また、ハイドロキノンは紫外線に当たるとシミを悪化させる可能性があるため、夜間のみの使用が推奨されることが多いです。

トレチノイン(外用薬)

トレチノインは、ビタミンAの誘導体で、肌のターンオーバーを強力に促進する作用を持つ外用薬です。レチノールの50倍から100倍の生理活性があるとされ、表皮の細胞分裂を活発にすることで、古い角質とともにメラニンを排出します。ハイドロキノンと併用することで、ハイドロキノンの浸透性を高め、より効果的なシミ治療が可能になります。一般的な使用方法としては、まずトレチノインを塗布してターンオーバーを促進し、その後ハイドロキノンを塗布してメラニン生成を抑制するという組み合わせ療法が行われます。ただし、トレチノインは日本では厚生労働省の認可を受けていないため、適応外使用として医師の判断のもとで処方されます。使用初期には赤みや皮むけなどの反応が起こることがありますが、これは薬が効いている証拠であり、次第に落ち着いてきます。妊娠中や妊娠の可能性がある方には使用できません。

トラネキサム酸(内服薬)

トラネキサム酸は、もともと止血剤や抗炎症剤として使用されていたアミノ酸の一種ですが、1990年代にシミに対する効果が発見され、2002年に美白成分として厚生労働省から認可されました。トラネキサム酸はプラスミンという物質の働きを抑制する作用があり、このプラスミンがメラノサイトを活性化させる物質であることから、結果としてメラニン生成が抑制されます。特に肝斑の治療において高い効果を発揮することが知られており、肝斑治療の第一選択薬とされています。一般的には1日2回から3回の服用を継続し、効果を実感するまでには1ヶ月から3ヶ月程度かかることが多いです。副作用は比較的少ないですが、血栓症のリスクがある方や脳梗塞・心筋梗塞の既往がある方は服用できない場合があります。

ビタミンC製剤(内服薬)

ビタミンC(アスコルビン酸)は、メラニン生成を抑制する作用と、既存のメラニンを還元して薄くする作用の両方を持つ成分です。医療機関ではシナールなどのビタミンC製剤が処方されることがあります。ビタミンCはコラーゲンの生成にも関与しており、肌のハリや弾力を維持する効果も期待できます。内服によって体内からアプローチすることで、顔だけでなく全身のシミやくすみに効果を発揮します。ただし、ビタミンCは水溶性であるため、一度に大量に摂取しても体外に排出されてしまいます。そのため、1日数回に分けて摂取することが効果的です。

L-システイン製剤(内服薬)

L-システインは、アミノ酸の一種で、肌のターンオーバーを正常化し、メラニンの排出を促進する効果があります。また、メラニンの生成を抑制する作用もあるとされています。ビタミンCと併用することで相乗効果が期待でき、シミの予防と改善に効果を発揮します。医療機関での処方だけでなく、市販薬としても入手可能です。

シミを予防するための日常ケア

シミは一度できてしまうと改善に時間と労力がかかるため、予防が何よりも重要です。日常生活の中でいくつかのポイントに気をつけることで、新しいシミの発生を防ぎ、既存のシミが悪化するのを防ぐことができます。

徹底した紫外線対策

シミの最大の原因は紫外線であるため、紫外線対策はシミ予防の要となります。日焼け止めは季節を問わず毎日使用することが基本です。SPF30以上、PA++以上の日焼け止めを選び、2から3時間ごとに塗り直すことが理想的です。また、日傘や帽子、サングラスなどの物理的な遮光も効果的です。紫外線は曇りの日や室内でも窓ガラスを通して入ってくるため、一年を通じて注意が必要です。特に午前10時から午後2時頃は紫外線が最も強い時間帯であるため、できるだけ直射日光を避けるよう心がけましょう。レーザー治療やIPL光治療を受けた後は、肌が通常よりも紫外線に敏感になっているため、より入念な紫外線対策が必要です。

肌への摩擦を避ける

肌への摩擦刺激は、メラノサイトを活性化させてメラニン生成を促進するため、シミの原因となります。特に肝斑は摩擦によって悪化しやすいことが知られています。洗顔やクレンジングの際は、肌をこすらずに優しく行うことが大切です。洗顔料はしっかりと泡立てて、泡を転がすように洗いましょう。タオルで顔を拭く際も、こすらずに押さえるようにして水分を取ります。また、メイク時のブラシやパフによる摩擦にも注意が必要です。日常的に顔を触る癖がある方は、意識して改善するよう心がけましょう。

質の良い睡眠と規則正しい生活

肌のターンオーバーは睡眠中に活発に行われるため、質の良い睡眠を確保することはシミ予防に重要です。特に入眠後3から4時間に分泌される成長ホルモンは、肌の修復と再生に深く関わっています。睡眠不足が続くとターンオーバーが乱れ、メラニンの排出が滞りやすくなります。できるだけ毎日同じ時間に就寝・起床する習慣をつけ、7から8時間程度の睡眠を確保することが理想的です。また、過度なストレスは自律神経やホルモンバランスを乱し、シミの原因となることがあります。適度な運動やリラクゼーションなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることも大切です。

バランスの取れた食生活

シミの予防には、抗酸化作用を持つ栄養素を含む食品を積極的に摂取することが効果的です。ビタミンA、C、Eは抗酸化ビタミンと呼ばれ、活性酸素から肌を守る働きがあります。また、良質なタンパク質は肌のコラーゲンやエラスチンの材料となるため、しっかりと摂取することが大切です。野菜、果物、魚、大豆製品などをバランスよく食べ、加工食品や糖分の摂りすぎには注意しましょう。また、過度のアルコール摂取や喫煙は、肌の老化を促進しシミができやすい状態を作るため、控えめにすることが望ましいです。

シミ治療を受ける際の注意点

美容皮膚科でシミ治療を受ける際には、いくつかの注意点があります。事前に理解しておくことで、治療後のトラブルを防ぎ、より良い結果を得ることができます。

シミの種類を正確に診断してもらう

シミの種類によって適切な治療法が異なるため、まずは専門医による正確な診断を受けることが重要です。例えば、肝斑に対して通常のレーザー治療を行うと、かえってシミが悪化してしまうリスクがあります。また、一人の顔に複数の種類のシミが混在していることも珍しくありません。老人性色素斑と肝斑が併発している場合や、シミだと思っていたものが実はADMだったというケースもあります。経験豊富な医師に診察してもらい、自分のシミの種類と最適な治療法について相談することが大切です。

治療後のアフターケアを徹底する

レーザー治療やIPL光治療後の肌は非常にデリケートな状態になっています。治療後のアフターケアを怠ると、炎症後色素沈着を起こしたり、治療効果が十分に得られなかったりすることがあります。治療後は医師の指示に従い、十分な保湿と徹底した紫外線対策を行いましょう。治療部位をこすったり触ったりすることも避ける必要があります。また、かさぶたができた場合は無理に剥がさず、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。

炎症後色素沈着について理解する

レーザー治療後には、一時的に治療部位が茶色く色素沈着を起こすことがあります。これは炎症後色素沈着と呼ばれ、「戻りシミ」とも言われています。日本人を含むアジア人では30から40パーセント程度の方に発生するとされています。炎症後色素沈着は治療が失敗したわけではなく、通常は3ヶ月から6ヶ月程度で自然に薄くなります。ただし、この期間中に紫外線を浴びると色素沈着が長引くことがあるため、引き続き紫外線対策を徹底することが重要です。

複数回の治療が必要な場合がある

シミの種類や深さ、濃さによっては、1回の治療で完全に除去できないことがあります。特にADMのように真皮に存在するシミや、広範囲にわたるシミ、非常に濃いシミなどは、複数回の治療が必要になることが一般的です。治療前に医師からどの程度の回数が必要か、どのくらいの期間がかかるかについて説明を受け、納得した上で治療を開始しましょう。

シミの種類別おすすめ治療法まとめ

シミの種類によって最適な治療法は異なります。ここでは、主なシミの種類ごとにおすすめの治療法をまとめます。

老人性色素斑の場合は、Qスイッチレーザーやピコレーザーによるスポット照射が最も効果的です。1回から数回の治療でシミを除去できることが多いです。広範囲に薄いシミが散在している場合は、IPL光治療も適しています。

肝斑の場合は、内服薬(トラネキサム酸)による治療が第一選択となります。必要に応じて、低出力のレーザートーニングやピコトーニングを併用することもあります。通常のレーザー照射は肝斑を悪化させるリスクがあるため避けるべきです。

そばかすの場合は、IPL光治療やピコレーザーが効果的です。広範囲に存在することが多いため、顔全体に照射できるIPL光治療が適していることが多いです。

ADMの場合は、真皮に届くQスイッチレーザーやピコレーザーが必要です。複数回の治療が必要となることが多く、3ヶ月から6ヶ月の間隔で数回の治療を行います。

炎症後色素沈着の場合は、時間経過とともに自然に薄くなることも多いですが、外用薬(ハイドロキノン、トレチノイン)による治療で改善を早めることができます。紫外線対策と摩擦を避けることが重要です。

脂漏性角化症の場合は、盛り上がりがあるため、炭酸ガスレーザーによる除去が効果的です。Qスイッチレーザーでも治療可能な場合があります。

よくある質問

シミを消すクリームで本当にシミは消えますか?

市販のシミ消しクリームや美白化粧品には、メラニンの生成を抑制する効果がある成分が含まれていますが、既にできてしまったシミを完全に消すことは難しいとされています。化粧品に配合できる成分の濃度には規制があり、効果が穏やかに設計されているためです。できたばかりの薄いシミであれば改善が期待できる場合もありますが、濃いシミや長年存在するシミを確実に消したい場合は、美容皮膚科での専門的な治療を検討することをおすすめします。

レーザー治療後にシミが濃くなることはありますか?

レーザー治療後に一時的にシミが濃くなったように見えることがあります。これは炎症後色素沈着と呼ばれる現象で、レーザーによる刺激でメラニンが一時的に増加することで起こります。日本人を含むアジア人では30から40パーセント程度の方に発生するとされています。通常は3ヶ月から6ヶ月程度で自然に薄くなりますが、この期間中は紫外線対策を徹底し、肌をこすらないように注意することが大切です。治療後に気になる症状がある場合は、担当医に相談しましょう。

肝斑とシミの違いは何ですか?

肝斑は左右対称に頬骨に沿って現れる薄茶色のシミで、輪郭がぼんやりしているのが特徴です。主に30代から60代の女性に多く見られ、女性ホルモンの影響が関係していると考えられています。一方、一般的なシミ(老人性色素斑)は紫外線の蓄積によって起こり、境界がはっきりした円形や楕円形で、左右非対称に現れることが多いです。肝斑は通常のレーザー治療で悪化することがあるため、正確な診断と適切な治療法の選択が重要です。

シミ治療は1回で効果が出ますか?

シミの種類や状態によって異なります。老人性色素斑など表皮にあるシミであれば、Qスイッチレーザーやピコレーザーによる1回の治療で効果を実感できることが多いです。ただし、ADMのように真皮に存在するシミや、非常に濃いシミ、広範囲のシミなどは、複数回の治療が必要になります。また、IPL光治療やレーザートーニングは、徐々に効果が現れる治療法であるため、複数回の施術を重ねることで効果が得られます。治療前に医師から必要な回数や期間について説明を受けておくことが大切です。

シミ治療は痛いですか?

レーザー治療の痛みは、輪ゴムで弾かれるような感覚と表現されることが多いです。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの場合は我慢できる程度です。痛みに不安がある方には、麻酔クリームや局所麻酔テープを使用することで痛みを軽減することができます。また、ピコレーザーは従来のQスイッチレーザーに比べて痛みが少ないとされています。IPL光治療やケミカルピーリング、イオン導入などは、レーザー治療よりも痛みが少なく、マイルドな治療を希望する方に適しています。

シミ治療に保険は適用されますか?

一般的なシミ治療は保険適用外の自由診療となります。老人性色素斑やそばかす、肝斑などの美容目的でのシミ治療は、基本的に全額自己負担となります。ただし、太田母斑や扁平母斑など、特定のあざに分類されるものについては保険適用となる場合があります。また、使用するレーザーの種類や保険適用となる回数には制限があります。保険適用での治療を希望する場合は、事前に医療機関に確認することをおすすめします。


参考文献

※本記事は医療情報の提供を目的としており、診断や治療を目的としたものではありません。シミに関するお悩みがある場合は、医療機関を受診し、専門医にご相談ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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