年齢を重ねるごとに気になるシミ。「毎日スキンケアをしているのにシミが増えてきた」「美白美容液を使っているのに効果が感じられない」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。シミ対策においては、まず自分のシミのタイプを正しく理解し、適切な美白有効成分を含む美容液を選ぶことが重要です。本記事では、シミができるメカニズムから、厚生労働省が認可した美白有効成分の種類と特徴、そして美容液の効果的な使い方まで、皮膚科専門の視点から詳しく解説します。セルフケアで対処できるシミと医療機関での治療が必要なシミの違いについてもご説明しますので、ご自身に最適なシミ対策を見つける参考にしてください。

目次
- シミとは?種類と原因を正しく理解する
- シミができるメカニズム|メラニンとターンオーバーの関係
- 美白有効成分とは?厚生労働省認可の成分を知る
- 代表的な美白有効成分とその特徴
- シミ対策美容液の正しい選び方
- 美容液の効果的な使い方と注意点
- 美容液でのセルフケアと医療機関での治療の違い
- シミを予防するための生活習慣
- よくある質問
シミとは?種類と原因を正しく理解する
シミとは、皮膚内部でメラニン色素が過剰に生成され、それが肌に蓄積して茶色い斑点として現れたものを指します。一言でシミといっても、実はさまざまな種類があり、それぞれ発症原因や適切な対処法が異なります。効果的なシミ対策を行うためには、まずご自身のシミがどのタイプに該当するのかを正しく把握することが大切です。
老人性色素斑(日光黒子)
老人性色素斑は、シミの中で最も多く見られるタイプです。主に紫外線によるダメージの蓄積と加齢が原因で発症し、日光に当たりやすい顔や手の甲、腕などに現れます。色は茶褐色で境界がはっきりしており、大きさは数ミリから数センチまでさまざまです。10代や20代で発症することもありますが、多くは30代以降に目立ち始め、年齢とともに色が濃くなり、数も増える傾向があります。紫外線を長年浴び続けることでメラノサイトが活性化し、メラニンが過剰に生成されることで形成されます。
肝斑
肝斑は、主に30代から60代の女性に多く見られるシミの一種で、両頬や額、口の周りなどに左右対称に現れるのが大きな特徴です。輪郭はぼんやりとしており、色は薄い褐色でくすみのように見えることもあります。発症原因は完全には解明されていませんが、女性ホルモンの変動が大きく関係していると考えられており、妊娠や出産、ピルの服用をきっかけに発症したり悪化したりするケースが報告されています。また、摩擦や強い刺激で悪化しやすいデリケートなシミであり、従来のレーザー治療では悪化するリスクがあるため、治療には慎重なアプローチが求められます。閉経後には自然に薄くなることもあります。
そばかす(雀卵斑)
そばかすは、鼻を中心に両頬に散らばるように現れる、直径数ミリほどの細かい斑点状のシミです。遺伝的要因が強く、親にそばかすがある場合は子どもにも発症しやすい傾向があります。幼少期から思春期にかけて目立つようになり、一般的なシミとは異なり、加齢とともに薄くなる傾向があります。また、夏は色が濃くなり冬には薄くなるなど、季節によって変動することも特徴です。紫外線を浴びることで悪化するため、日焼け対策が重要です。
炎症後色素沈着
炎症後色素沈着は、ニキビや傷、やけど、虫刺されなどで皮膚に炎症が起きた後に残る色素沈着です。炎症によってメラノサイトが刺激され、過剰にメラニンが生成されることで発症します。肌のターンオーバーが正常であれば、半年から1年程度で徐々に薄くなっていきますが、紫外線を浴びると色が濃くなることがあるため注意が必要です。ニキビ跡のシミとして悩んでいる方も多いタイプです。
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)
ADMは、両頬や額に左右対称に現れる青みを帯びた灰褐色のシミで、主に20代以降の女性に発症します。一般的なシミが表皮にメラニンが沈着しているのに対し、ADMはメラニンを作る細胞(メラノサイト)が真皮層という皮膚の深い場所に存在しています。肝斑やそばかすと見た目が似ているため混同されやすく、正確な診断には専門医の判断が必要です。通常の美白化粧品では効果が得られにくく、レーザー治療が有効な場合が多いです。
シミができるメカニズム|メラニンとターンオーバーの関係
シミの原因となるメラニン色素は、本来は肌を紫外線から守る重要な役割を担っています。メラニンがどのように生成され、どのような条件でシミになってしまうのか、そのメカニズムを理解することは効果的なシミ対策を行う上で欠かせません。
メラニンが生成されるしくみ
皮膚が紫外線を浴びると、表皮の基底層にあるメラノサイトという色素細胞に「メラニンを生成せよ」という指令が送られます。メラノサイト内では、チロシンというアミノ酸がチロシナーゼという酵素の働きによって酸化され、最終的に黒褐色のメラニン色素へと変化します。生成されたメラニンはメラノソームという小胞に蓄積され、周囲のケラチノサイト(表皮細胞)に受け渡されます。ケラチノサイト内のメラニンは紫外線を吸収し、細胞核のDNAを守る役割を果たしています。つまり、メラニン自体は肌を守るための大切な防御機能なのです。
ターンオーバーとメラニンの排出
肌のターンオーバーとは、表皮の細胞が生まれ変わるサイクルのことです。基底層で新しく生まれた表皮細胞は、約28日かけて徐々に上層へ押し上げられ、最終的には角質となって垢として剥がれ落ちます。このターンオーバーの過程で、ケラチノサイト内に蓄積されたメラニンも一緒に排出されていきます。健康な肌では、メラニンの生成と排出のバランスが保たれているため、一時的に日焼けをしても約1ヶ月程度で元の肌色に戻ります。
シミになってしまう条件
しかし、紫外線を過剰に浴び続けたり、加齢やストレス、睡眠不足、不規則な生活などによってターンオーバーのサイクルが乱れると、メラニンの生成量が排出量を上回り、皮膚内にメラニンが蓄積されてしまいます。これがシミとして目に見える形で現れるのです。特に加齢に伴いターンオーバーの周期は長くなり、20代では約28日だった周期が、40代では約55日、50代では約75日と遅くなっていきます。ターンオーバーが遅くなることでメラニンの排出も滞り、シミができやすく、また一度できたシミが消えにくくなります。
美白有効成分とは?厚生労働省認可の成分を知る
美白化粧品を選ぶ際に重要なポイントとなるのが「美白有効成分」の存在です。美白有効成分とは、厚生労働省が「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」という効能について有効性と安全性を認めた成分のことを指します。
美白有効成分と医薬部外品の関係
美白有効成分が一定の濃度で配合された化粧品は「医薬部外品」として認可され、「薬用化粧品」として販売することができます。一般の化粧品ではメラニンに対する効果を表示することができませんが、医薬部外品であれば「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」といった効能を表示することが認められています。現在、厚生労働省に認可されている美白有効成分は20種類以上あり、それぞれ作用するメカニズムが異なります。
美白有効成分の承認プロセス
化粧品メーカーや製薬会社が発見した成分が美白有効成分として承認されるまでには、膨大な時間と労力が必要です。研究機関での基礎研究に始まり、有効性を示すデータの収集、人を対象とした臨床試験、安全性の検証など、多くのステップを経て審査が行われます。申請から承認まで10年以上かかることも珍しくありません。こうした厳格な審査を経て認められた成分だからこそ、美白有効成分には一定の信頼性があるといえます。
美白有効成分の3つの作用タイプ
美白有効成分がシミ予防に働くメカニズムは、大きく分けて3つのタイプに分類されます。1つ目は「メラニン生成を抑制するタイプ」で、チロシナーゼの活性を阻害したり、メラノサイトへの情報伝達をブロックしたりすることでメラニンの生成を抑えます。2つ目は「メラニンを還元するタイプ」で、すでに酸化して黒くなったメラニンを無色化する作用があります。3つ目は「メラニンの排出を促進するタイプ」で、ターンオーバーを正常化することでメラニンの排出をサポートします。自分のシミの状態や目的に合わせて、適切なタイプの成分を選ぶことが効果的なケアにつながります。
代表的な美白有効成分とその特徴
ここでは、シミ対策美容液に配合されることが多い代表的な美白有効成分について、それぞれの特徴と作用メカニズムを詳しく解説します。
ビタミンC誘導体
ビタミンCは古くから美白効果が知られている成分ですが、そのままでは不安定で酸化しやすく、肌への浸透性も低いという欠点がありました。ビタミンC誘導体は、この弱点を改良した成分です。肌に塗布すると体内の酵素によってビタミンCに変換され、効果を発揮します。ビタミンC誘導体の特筆すべき点は、チロシナーゼ活性阻害によるメラニン生成抑制と、すでに黒くなったメラニンを還元して淡色化させる作用の両方を持っていることです。厚生労働省に認可された美白有効成分の中で、メラニン還元作用が認められているのはビタミンC誘導体のみです。また、抗酸化作用やコラーゲン生成促進作用もあり、シミ対策だけでなくエイジングケアにも効果が期待できます。水溶性、油溶性、両親媒性の3タイプがあり、製品の形態や目的に応じて使い分けられています。
トラネキサム酸
トラネキサム酸は、もともと止血剤や抗炎症剤として医療現場で使用されていた成分です。じんましんの治療薬として投与した患者さんの肝斑が改善したことから美白効果が発見され、その後、美白有効成分として承認されました。トラネキサム酸は、メラノサイトを活性化する情報伝達物質プラスミンの働きを阻害することで、メラニン生成の初期段階をブロックします。特に肝斑への効果が高く評価されており、内服薬としても処方されています。抗炎症作用も持っているため、肌荒れを防ぎながら美白ケアができる点も魅力です。敏感肌の方にも比較的使いやすい成分といえます。
アルブチン
アルブチンは、コケモモやナシ、セイヨウナシなどの植物に含まれる成分で、チロシナーゼに直接作用してその活性を阻害し、メラニンの生成を抑制します。人工的に合成することも可能で、α-アルブチンとβ-アルブチンの2種類があります。α-アルブチンの方がチロシナーゼ抑制効果が高いとされています。比較的穏やかな作用で刺激が少ないため、敏感肌の方にも使いやすい成分です。
コウジ酸
コウジ酸は、麹菌の培養液から発見された成分で、日本酒を造る杜氏の手が白くて美しいことから研究が始まりました。チロシナーゼの活性に必要な銅イオンをキレート(結合して不活性化)することで、メラニンの生成を抑制します。日本で開発された美白成分であり、長年にわたり美白化粧品に使用されてきた実績があります。
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドは、ビタミンB3(ニコチン酸アミド)とも呼ばれるビタミンB群の一種です。従来の美白有効成分の多くがメラニン生成を抑制するのに対し、ナイアシンアミドは生成されたメラニン(メラノソーム)がメラノサイトからケラチノサイトへ受け渡されるのを抑制するという独自のメカニズムを持っています。また、シワ改善効果も認められており、美白とエイジングケアを同時に行える成分として近年注目を集めています。刺激が少なく、敏感肌の方にも使いやすい点も魅力です。
プラセンタエキス
プラセンタエキスは、動物の胎盤から抽出される成分で、アミノ酸やビタミン、ミネラルなど豊富な栄養素を含んでいます。チロシナーゼを抑制してメラニン生成を抑えるとともに、新陳代謝を促進することでメラニンの排出をサポートする作用も持っています。保湿効果も高く、肌を健やかに保ちながら美白ケアができる成分として、多くの美白化粧品に配合されています。
4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)
4MSKは、資生堂が開発した美白有効成分で、チロシナーゼの活性を抑制するとともに、溜まったメラニンの排出を促進する作用を持っています。シミができにくい肌環境を整えながら、既存のメラニンの排出もサポートする二重のアプローチが特徴です。
エラグ酸
エラグ酸は、イチゴやラズベリー、ザクロなどに含まれるポリフェノールの一種です。チロシナーゼの活性を抑制してメラニンの生成を抑える働きがあります。天然由来の成分であるため肌への刺激が比較的少なく、抗酸化作用も持っているため、活性酸素によるメラニン生成抑制の面からも効果が期待できます。
シミ対策美容液の正しい選び方
多くのシミ対策美容液が販売されている中で、自分に合った製品を見つけるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
医薬部外品かどうかを確認する
シミ対策美容液を選ぶ際には、まず製品が「医薬部外品」または「薬用」と表示されているかを確認しましょう。これらの表示がある製品には、厚生労働省が認可した美白有効成分が一定濃度以上配合されており、シミ予防効果が期待できます。一般化粧品には効果を表示することができませんが、医薬部外品であれば「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」といった効能表示が認められています。
配合されている美白有効成分をチェックする
美白有効成分にはそれぞれ特徴と得意分野があります。メラニン生成を抑制したいのか、すでにできてしまったシミを薄くしたいのか、目的に応じて成分を選びましょう。予防重視であればトラネキサム酸やアルブチン、できてしまったシミを薄くしたい場合はビタミンC誘導体が配合された製品がおすすめです。肝斑が気になる方は、トラネキサム酸配合の製品を検討するとよいでしょう。
保湿成分が配合されているか確認する
肌が乾燥していると、キメが乱れてシミやくすみが目立ちやすくなります。また、乾燥によってバリア機能が低下すると、紫外線のダメージを受けやすくなり、シミができやすい状態になってしまいます。ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲンなどの保湿成分が配合された美容液を選ぶと、美白ケアと保湿ケアを同時に行うことができます。特に乾燥肌の方は、保湿効果も兼ね備えた製品を選ぶことをおすすめします。
自分の肌質に合ったものを選ぶ
美白有効成分の中には、人によっては刺激を感じるものもあります。特に高濃度のビタミンC誘導体は、敏感肌や乾燥肌の方にはピリピリとした刺激を感じることがあります。敏感肌の方は、トラネキサム酸やナイアシンアミド、グリチルリチン酸ジカリウムなど、抗炎症作用を持つ成分が配合された製品を選ぶとよいでしょう。また、新しい美容液を使い始める前には、腕の内側などでパッチテストを行い、肌に合うかどうかを確認することをおすすめします。
継続して使えるものを選ぶ
美白ケアは、効果を実感するまでに時間がかかることがほとんどです。肌のターンオーバーのサイクルを考えると、最低でも2〜3ヶ月は継続して使用する必要があります。そのため、価格や使用感、香りなども考慮して、無理なく続けられる製品を選ぶことが大切です。高価な製品を少しずつ使うよりも、適正価格の製品を毎日しっかり使う方が効果的なケアにつながります。
美容液の効果的な使い方と注意点
せっかく良い美容液を選んでも、使い方が間違っていては十分な効果を得ることができません。ここでは、美容液の効果を最大限に引き出すための正しい使い方をご紹介します。
基本的なスキンケアの順番
美容液は一般的に、洗顔後、化粧水で肌を整えた後に使用します。化粧水で肌に水分を与えた後、美容液の有効成分を浸透させ、最後に乳液やクリームで油分を補って蓋をするという順番が基本です。ただし、製品によっては使用するタイミングが異なる場合もありますので、必ずパッケージや説明書を確認してください。ブースター(導入美容液)タイプのものは、洗顔後すぐに使用します。
適量を守って使用する
美容液は、製品ごとに定められた適量を守って使用することが大切です。量が少なすぎると十分な効果が得られず、多すぎると肌に負担をかけたり、ベタつきの原因になったりします。一般的には、パール粒大から500円玉大程度が目安とされていますが、製品によって異なりますので確認してください。手のひらに美容液を取り、両手で温めてから顔全体に優しくなじませましょう。
顔全体に使用する
美白美容液は、シミが気になる部分だけでなく、顔全体に使用することをおすすめします。美白ケアは予防が重要であり、今はシミがない部分にも将来シミができる可能性があるためです。また、顔全体に使用することで肌のトーンが均一になり、透明感のある印象に仕上がります。特に気になる部分には重ね付けをするとよいでしょう。
朝と夜の両方に使用する
美白美容液は、朝と夜の両方のスキンケアに取り入れることで、より効果的なケアが可能です。朝はこれから浴びる紫外線からメラニン生成を抑制し、夜は日中に受けたダメージをケアするという役割があります。ただし、製品によっては「朝専用」「夜専用」と使用タイミングが指定されているものもありますので、説明書をよく読んで正しく使用してください。
紫外線対策と併用する
美白美容液を使用していても、紫外線対策をしなければシミ予防の効果は半減してしまいます。日中は必ず日焼け止めを使用し、帽子や日傘なども活用して紫外線から肌を守りましょう。紫外線は曇りの日やガラス越しでも降り注いでいますので、季節や天候に関係なく1年を通して紫外線対策を行うことが大切です。
使用時の注意点
美白美容液を使用する際には、いくつかの注意点があります。まず、新しい製品を使い始めるときは、腕の内側などでパッチテストを行い、赤みやかゆみなどの反応が出ないことを確認してください。また、生理前や季節の変わり目など、肌が敏感になりやすい時期には刺激を感じることもありますので、その場合は使用を控えるか、低刺激タイプの製品に切り替えることをおすすめします。肌に異常を感じた場合は、すぐに使用を中止し、医師に相談してください。
美容液でのセルフケアと医療機関での治療の違い
シミ対策には、自宅でのスキンケアと医療機関での治療という2つのアプローチがあります。それぞれの特徴と限界を理解し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。
美容液でできること・できないこと
美白美容液に認められている効果は「メラニンの生成を抑えてシミ・そばかすを防ぐ」ことです。つまり、美容液は主に予防を目的としており、すでにできてしまった濃いシミを完全に消すことは難しいのが現実です。ビタミンC誘導体のようにメラニンを還元する作用を持つ成分であっても、表皮に定着してしまったシミを完全に消すには限界があります。また、真皮にメラニンが存在するADMのようなシミは、美容液では改善が見込めません。美容液は、シミを増やさない、今あるシミをこれ以上濃くしないというケアに適しています。
医療機関での治療が適しているケース
濃くはっきりとしたシミ、数が多いシミ、真皮にまで及ぶシミ(ADMなど)は、美容皮膚科や美容クリニックでの治療が効果的です。医療機関では、レーザー治療、光治療(IPL、フォトフェイシャル)、ケミカルピーリング、イオン導入、内服薬・外用薬の処方など、さまざまな治療法が用意されています。レーザー治療ではメラニン色素を直接破壊してシミを除去することが可能で、1回の治療でも高い効果が期待できます。また、シミの種類を正確に診断してもらうことで、適切な治療法を選択することができます。
セルフケアと医療を組み合わせる
最も効果的なシミ対策は、医療機関での治療と自宅でのセルフケアを組み合わせることです。クリニックでのレーザー治療などでシミを除去した後も、美白美容液や日焼け止めを使った日々のケアを継続することで、新たなシミの発生を予防し、治療効果を維持することができます。また、トラネキサム酸やビタミンCの内服薬と外用薬を併用することで、より効果的なケアが可能になる場合もあります。シミでお悩みの方は、まずは専門の医師に相談し、ご自身のシミの種類と最適な治療法を確認されることをおすすめします。
シミを予防するための生活習慣
美白美容液によるスキンケアだけでなく、日々の生活習慣を見直すことも、シミ予防には欠かせません。
徹底した紫外線対策
シミの最大の原因は紫外線です。日焼け止めは季節を問わず毎日塗ることを習慣にしましょう。SPF30以上、PA++以上の製品を選び、2〜3時間おきに塗り直すことが理想的です。また、帽子や日傘、UVカット効果のあるサングラスなども活用して、物理的に紫外線をブロックすることも大切です。曇りの日や室内でも紫外線は届いていますので、油断は禁物です。
十分な睡眠をとる
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌のターンオーバーが活発に行われます。睡眠不足が続くとターンオーバーが乱れ、メラニンの排出が滞ってシミができやすくなります。最低でも6時間以上の睡眠を確保し、できれば毎日同じ時間に寝起きする規則正しい生活を心がけましょう。
バランスの良い食事
肌の健康を保つためには、バランスの良い食事が欠かせません。特にビタミンCはメラニン生成を抑制し、抗酸化作用も持っているため、積極的に摂取したい栄養素です。アセロラ、キウイ、イチゴ、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれています。また、ビタミンEには抗酸化作用があり、ビタミンCと協力して細胞を活性酸素から守る働きがあります。ナッツ類やアボカド、植物油などに豊富に含まれています。
ストレスを溜めない
慢性的なストレスは、活性酸素の発生を促進し、メラニン生成を活性化させます。また、ストレスによって自律神経が乱れると血行が悪くなり、肌のターンオーバーにも悪影響を及ぼします。適度な運動や趣味の時間を持つなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
喫煙を避ける
喫煙は美肌の大敵です。タバコを吸うと大量のビタミンCが消費されるため、メラニン生成を抑制する力が弱まります。また、喫煙によって血行が悪くなり、肌のターンオーバーも乱れやすくなります。シミ対策だけでなく、肌全体の健康のためにも、喫煙習慣のある方は禁煙を検討されることをおすすめします。
肌への過度な摩擦を避ける
洗顔やスキンケアの際に肌を強くこすると、その刺激がメラノサイトを活性化させ、シミの原因になることがあります。特に肝斑は摩擦によって悪化しやすいので注意が必要です。洗顔料はしっかり泡立てて、泡で優しく洗うようにしましょう。タオルで顔を拭くときも、こすらずに押さえるようにして水分を吸い取るよう心がけてください。

よくある質問
紫外線は1年を通して降り注いでいるため、美白美容液は季節を問わず継続して使用することをおすすめします。夏だけ集中して使用するよりも、年間を通じて毎日ケアを続ける方がシミ予防には効果的です。肌のターンオーバーのサイクルを考えても、継続的な使用が重要です。
美白美容液は「メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ」ことを目的としており、すでにできてしまった濃いシミを完全に消すことは難しいのが現実です。ただし、ビタミンC誘導体のようにメラニンを還元する作用を持つ成分を継続して使用することで、薄いシミであれば目立たなくなる可能性はあります。濃いシミや真皮に及ぶシミには、医療機関でのレーザー治療などが効果的です。
敏感肌の方でも使用できる美白美容液はあります。トラネキサム酸やナイアシンアミドは比較的刺激が少なく、抗炎症作用も持っているため、敏感肌の方にもおすすめです。一方、高濃度のビタミンC誘導体は刺激を感じることがあるため、低濃度のものから試すか、パッチテストを行ってから使用することをおすすめします。肌に異常を感じた場合は使用を中止し、医師にご相談ください。
美白美容液の効果を実感するまでには、一般的に2〜3ヶ月程度の継続使用が必要です。これは、肌のターンオーバーのサイクルに関係しています。20代では約28日、40代では約55日と年齢によってサイクルは長くなりますので、効果を感じるまでの期間にも個人差があります。1〜2回使っただけでは効果を実感することは難しいため、根気強く続けることが大切です。
複数の美白成分を組み合わせて使用することは可能です。異なる作用メカニズムを持つ成分を組み合わせることで、相乗効果が期待できる場合もあります。例えば、トラネキサム酸とビタミンC誘導体の組み合わせは、肝斑治療でも使用される定番の組み合わせです。ただし、さまざまな美白成分の過剰な使用による白斑の報告も少数ながらありますので、異常を感じたら使用を中止し、専門医にご相談ください。
参考文献
- 厚生労働省:化粧品・医薬部外品ホームページ
- 日本香粧品学会誌:美白製品とその作用(田中 浩、2019年)
- 第一三共ヘルスケア:しみ・肝斑のメカニズム
- エスエス製薬(ハイチオール):シミができるメカニズム
- 資生堂:おすすめ美容液
- 日比谷ヒフ科クリニック:一般的なシミと肝斑の違いや治療法
- ラ ロッシュ ポゼ:シミに効く注目の美白有効成分
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務