「鼻瘤(びりゅう)ってどんな症状?」
「鼻瘤になったらどうすればいい?」
このように鼻が赤くなる皮膚疾患に悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
鼻瘤は鼻が赤みを伴って大きくなるのが特徴です。放置していると、呼吸が困難になる場合もあるため早期の治療が大切です。
本記事では、鼻瘤の原因や症状を紹介します。また、記事の後半では鼻瘤の治し方や予防方法も解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
鼻瘤とは?
鼻瘤とは、鼻が赤みを伴ってだんご鼻のように変形していく皮膚疾患です。
「酒さ(しゅさ)」と呼ばれる皮膚疾患の、重度の症状を「鼻瘤」と呼びます。
血管の拡張や皮脂腺の閉塞化が起こり、見た目の問題だけでなく呼吸しづらくなることもあります。
鼻瘤は症状が進行する皮膚疾患のため、鼻瘤を疑ったら医師の診療を受けましょう。
酒さ(赤ら顔)とは?皮膚の赤みの原因や症状、2つの治療法を解説
鼻瘤はなぜできる?原因を紹介
鼻瘤は、皮脂腺が異常に増殖することで発症します。
女性よりも男性の発症率が高く、主に以下のようなものが皮脂腺増殖の原因として考えられています。
- アルコール
- 胃腸障害
- ビタミンB複合体の欠乏
- 香辛料
- コーヒー
- 紫外線
- 化粧品
- シャンプー
- リンス
- 副腎皮質ホルモンを含有した市販のかぶれ止め薬
ただし、鼻瘤が起こる原因はまだ全て明らかになっていません。
鼻瘤は放置しているとだんご鼻になる?症状を紹介
鼻瘤は、初期症状として皮膚に赤みが現れます。その状態で放置していると吹き出物ができ、最後には鼻が変形するように症状が進行するのが特徴です。
初期症状で治療を開始すれば鼻が変形するまで悪化することはないものの、鼻瘤を放置しているとだんご鼻になります。
だんご鼻になると、呼吸がしづらくなるといった機能的な問題も現れるため早期の治療が大切です。
鼻瘤にイソトレチノインは効く?治療方法を紹介
鼻瘤の主な治療方法は以下の通りです。
- メスによる除去
- 電気メスによる焼灼
- 炭酸ガスレーザーによる焼灼
- Er:YAGレーザーによる焼灼
- イソトレチノインの内服
そのほか、さまざまな機械を使った手術方法があります。
なお、手術による治療よりも、レーザー治療の方が出血量の少なさや回復の速さにおいて優れているとされています。
イソトレチノインは、軽症の場合のみ使われる内服薬です。
鼻瘤はどう防ぐ?予防方法を紹介
鼻瘤を予防するためには、酒さの症状悪化につながる以下のような飲食物を控えることが重要です。
- 香辛料を多く含む食物
- カフェイン
- アルコール
- 熱すぎる飲食物
また、酒さを発症したらスキンケアを行って症状の悪化を防ぐことが大切です。皮膚が敏感になっており、刺激が加わると症状が悪化する可能性があります。洗顔の際はよく泡立てて手が直接肌と触れないように泡を転がして洗いましょう。
鼻瘤に関するよくある質問
鼻瘤に関するよくある質問をまとめました。
一般的に、鼻瘤の手術には保険が適用されません。
ただし、2022年6月にロゼックスゲル(0.75%メトロニダゾール外用薬)が保険適用で処方できるようになりました。
メトロニダゾールは、炎症などの症状を鎮める作用があり、酒さや鼻瘤に対する改善効果が期待できます。
鼻瘤の初期症状はどんなものがありますか?
酒さや鼻瘤は主に以下のような初期症状が現れます。
- 顔のほてり
- 赤み
- 吹き出物
また、酒さは進行性の皮膚疾患であり、進行度ごとの主な症状は以下の通りです。
進行度 | 内容 |
---|---|
第Ⅰ病期 | ・外部からの刺激で顔のほてりや赤みが出る ・通常数時間〜数日間持続する |
第Ⅱ病期 | ・ニキビのような吹き出物が現れる ・通常数週間持続する |
第Ⅲ病期 | ・鼻が赤く腫れる ・ニキビのようなしこり ・だんご鼻に変形する |
鼻瘤の症状は、ほほや鼻、あご、額、眉間に出やすいです。
東京(上野)で鼻瘤の治療ならアイシークリニックへご相談ください
酒さ・鼻瘤は外部からの刺激によって発症する皮膚疾患です。
放置すると症状が進行し、最終的には鼻がだんご鼻のように変形することもあります。
初期症状のうちに治療を開始すれば変形するほど悪化することはないため、酒さを疑ったら医師の診療を受けましょう。
アイシークリニック上野院は、老若男女どなたでも相談しやすいクリニックを目指しています。
どんな症状であっても、患者様と相談しながら治療方法を提案させていただきますので、顔のほてりや赤みなどに少しでもお悩みの方は、アイシークリニックにご相談くださいませ。
アイシークリニック上野院の鼻瘤治療の特徴
アイシークリニック上野院では、鼻瘤という専門性の高い疾患に対して以下の特徴を持った診療を行っています。
酒さ・鼻瘤治療の専門的アプローチ 酒さから鼻瘤への進行過程を熟知した皮膚科専門医が、病期に応じた最適な治療戦略を立案します。早期診断により重篤な変形を防ぐことを最優先としています。
最新のレーザー治療機器 炭酸ガス(CO2)レーザーやEr:YAGレーザーなど、複数のレーザー機器を完備。患者様の症状や鼻の形状に最も適した治療機器を選択します。
美容面に配慮した形成外科的技術 鼻という顔の中心部位の治療では、機能回復だけでなく美容面への配慮が重要です。形成外科的技術を駆使し、自然で美しい鼻の形状回復を目指します。
段階的治療プログラム 軽度から重度まで、病期に応じた段階的治療を実施。無理な一度の治療ではなく、患者様の負担を最小限に抑えた治療計画を提案します。
鼻瘤の詳細な病期分類と治療戦略
第Ⅰ病期(紅斑期)
症状: 鼻部の発赤、ほてり感 治療方針: 内服薬とスキンケア指導による症状コントロール 使用薬剤:
- ロゼックスゲル(メトロニダゾール)
- 抗生物質(ドキシサイクリン等)
- ビタミンB群製剤
期待される効果: 80-90%の症例で進行抑制
第Ⅱ病期(丘疹膿疱期)
症状: 炎症性丘疹、膿疱の出現 治療方針: 内服薬 + 軽度のレーザー治療 追加治療:
- イオン導入による抗炎症治療
- 低出力レーザー治療
- 適切なスキンケア製品の処方
期待される効果: 70-80%の症例で改善
第Ⅲ病期(鼻瘤期)
症状: 鼻の肥大、変形、結節形成 治療方針: 外科的治療が主体 治療選択肢:
- 炭酸ガスレーザー蒸散術
- Er:YAGレーザー削皮術
- 電気メス切除術
- 形成外科的再建術
期待される効果: 95%以上の症例で形状改善
診療の流れ
1. 初診・詳細評価(約45分)
- 病歴聴取と誘因の特定
- 皮膚鏡を用いた精密検査
- 病期診断と重症度評価
- 鼻内視鏡による呼吸機能評価
- 治療方針の詳細説明
2. 検査・追加評価
- 血液検査(炎症マーカー、アレルギー検査)
- 細菌培養検査(必要に応じて)
- 3D撮影による形状解析
- 呼吸機能検査
3. 治療計画の決定
- 患者様のライフスタイルを考慮した治療スケジュール
- 段階的治療プログラムの提案
- 費用と期間の明確化
4. 治療実施
- 各病期に適した治療の実施
- 継続的な効果判定と治療調整
- 定期的な経過観察
治療法の詳細比較
炭酸ガス(CO2)レーザー治療
適応: 第Ⅱ-Ⅲ期の鼻瘤 メリット:
- 出血が最小限
- 精密な深度調整が可能
- 感染リスクが低い
- ダウンタイムが比較的短い
デメリット:
- 複数回治療が必要な場合がある
- 完全な形状修正には限界がある
治療プロセス:
- 局所麻酔の実施
- レーザーによる段階的蒸散
- 冷却と創面保護
- 術後ケア指導
Er:YAGレーザー治療
適応: 中等度から重度の鼻瘤 メリット:
- 周囲組織への熱損傷が最小限
- より自然な仕上がり
- 術後の痛みが少ない
デメリット:
- 治療時間がやや長い
- 費用が高額
形成外科的再建術
適応: 高度変形例、機能的問題を伴う症例 メリット:
- 劇的な改善が可能
- 呼吸機能の回復
- 美容的に満足度の高い結果
デメリット:
- 手術侵襲が大きい
- 長期間のダウンタイム
- 高額な治療費
アフターケア・術後管理
治療直後(当日-3日)
- 創面の清潔保持と軟膏塗布
- 冷却による腫脹軽減
- 強い日光や熱の回避
- 処方薬の確実な服用
治療後1週間
- ガーゼ交換と創面チェック
- 洗顔方法の指導(泡洗顔)
- メイクは患部を避けて実施
- アルコール・香辛料の摂取制限継続
治療後1ヶ月
- 紫外線対策の徹底
- 保湿ケアの重要性
- 再発予防のための生活指導
- 定期的な経過観察
長期フォロー(3-6ヶ月)
- 再発兆候の早期発見
- 追加治療の必要性評価
- スキンケア製品の見直し
- ライフスタイル改善の継続指導
症例紹介と治療成績
症例1:50代男性(第Ⅲ期鼻瘤)
- 主訴:鼻の著明な肥大と変形、呼吸困難
- 治療:炭酸ガスレーザー + 形成外科的修正
- 治療期間:6ヶ月(3回の手術)
- 結果:鼻形状の劇的改善、呼吸機能回復
症例2:40代男性(第Ⅱ期酒さ)
- 主訴:鼻部の発赤と軽度肥大
- 治療:内服薬 + ロゼックスゲル + 軽度レーザー
- 治療期間:3ヶ月
- 結果:発赤消失、進行抑制に成功
症例3:60代男性(第Ⅲ期重度鼻瘤)
- 主訴:20年来の鼻変形、社会生活への影響
- 治療:Er:YAGレーザー削皮 + 鼻翼形成
- 治療期間:1年(段階的治療)
- 結果:自然な鼻形状を獲得、QOL大幅改善
酒さ・鼻瘤の予防プログラム
生活習慣改善指導
- アルコール摂取の適正化
- 香辛料制限の具体的指導
- ストレス管理法の習得
- 紫外線対策の徹底
スキンケアプログラム
- 低刺激性洗顔料の処方
- 保湿剤の適切な選択と使用法
- 日焼け止めの正しい使用
- メイクアップ製品の選択指導
定期モニタリング
- 3ヶ月ごとの定期診察
- 皮膚状態の客観的評価
- 誘因の再評価と対策修正
- 早期治療介入の判断
他の鼻部疾患との鑑別と対応
脂腺増殖症 同様に鼻部に発生する良性腫瘍との鑑別診断を正確に行い、適切な治療法を選択します。
基底細胞癌 鼻部悪性腫瘍との鑑別は重要で、必要に応じて組織検査を実施し、専門医療機関との連携も行います。
接触皮膚炎 化粧品や外用薬による接触皮膚炎との鑑別を行い、原因物質の特定と除去を指導します。
脂漏性皮膚炎 併発することの多い脂漏性皮膚炎の治療も同時に行い、包括的な皮膚ケアを提供します。
心理的サポートとカウンセリング
外見コンプレックスへの対応
- 治療前後の心理的変化のサポート
- リアルな治療効果の説明
- 段階的改善への理解促進
社会復帰支援
- 職場や学校での対応アドバイス
- メイクアップ指導による外見改善
- 自信回復のための継続的サポート
家族・パートナーへの説明
- 疾患に対する正しい理解の促進
- 治療協力の重要性説明
- 長期的サポート体制の構築
セカンドオピニオン・難治例対応
他院治療歴のある患者様へ
- 過去の治療内容の詳細評価
- 治療効果不十分の原因分析
- 当院での治療選択肢の提示
難治例への特別対応
- 大学病院皮膚科との連携
- 最新治療法の積極的導入
- 臨床研究への参加機会の提供
セカンドオピニオン内容
- 現在の病状の客観的評価
- 治療選択肢の再検討
- 費用対効果の比較分析
- 治療期間の現実的予測
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務