はじめに
「気になっていたできものが、いつの間にかほくろのようになっている気がする」「最近できたできものが、ほくろに変わることってあるの?」そんな疑問を持ったことはありませんか?
皮膚にできる様々な変化は、私たちの日常生活において非常に身近な存在です。ふとした時に鏡を見て、以前はなかった皮膚の盛り上がりや色の変化に気づき、不安を感じる方も少なくありません。特に「できもの」と「ほくろ」は混同されやすく、その関係性や変化について正しい知識を持っている人は意外と少ないのが現状です。
本記事では、皮膚科専門の視点から、できものとほくろの違い、できものがほくろになる可能性、そして皮膚の変化で注意すべきポイントについて、詳しく解説していきます。正しい知識を身につけることで、不要な不安を解消し、必要な時には適切に医療機関を受診する判断ができるようになるでしょう。

ほくろとは何か?医学的な定義と特徴
ほくろの正体:メラノサイトの集まり
ほくろは、医学用語では「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞性母斑」と呼ばれます。皮膚の色を決定するメラニン色素を作り出す細胞である「メラノサイト」や、その細胞から変化した「母斑細胞」が、皮膚の一部に集まって増殖したものです。
ほくろは生まれつきあるものもあれば、成長の過程で新しくできるものもあります。日本人を含む黄色人種では、成人一人あたり平均20〜40個程度のほくろを持っているとされており、決して珍しいものではありません。
ほくろの種類
ほくろには大きく分けて以下のような種類があります。
先天性色素性母斑は、生まれた時からある、または生後1年以内に現れるほくろです。大きさは様々で、小さなものから直径20センチメートルを超える巨大なものまであります。
後天性色素性母斑は、生後しばらく経ってから現れるほくろで、多くの人が持っているのはこのタイプです。幼少期から思春期にかけて増加し、中年期以降は徐々に数が減少する傾向があります。
単純黒子(たんじゅんこくし)は、境界母斑とも呼ばれ、平坦で茶色から黒色の小さなほくろです。主に表皮と真皮の境界部分に母斑細胞が存在します。
複合母斑は、表皮と真皮の境界部分だけでなく、真皮内にも母斑細胞が存在するタイプで、やや盛り上がっていることが多いです。
真皮内母斑は、母斑細胞が真皮内のみに存在するタイプで、肌色から茶色で、ドーム状に盛り上がっていることが特徴です。加齢とともに増えることがあります。
ほくろができるメカニズム
ほくろができる正確なメカニズムは完全には解明されていませんが、遺伝的要因と環境要因の両方が関与していると考えられています。
遺伝的要因では、家族性にほくろが多い傾向がある人もいます。特定の遺伝子変異がほくろの形成に関わっていることも研究で明らかになっています。
環境要因としては、紫外線の影響が最も大きいとされています。紫外線を浴びることでメラノサイトが刺激され、メラニン色素の産生が増加します。この過程で、一部の細胞が増殖してほくろを形成すると考えられています。実際、日光に当たる機会が多い人ほど、ほくろの数が多い傾向があります。
ホルモンの影響も指摘されています。思春期や妊娠中にほくろが増えたり、既存のほくろが濃くなったりすることがあるのは、ホルモンバランスの変化が関係している可能性があります。
「できもの」とは?皮膚にできる様々な変化
できものの定義
「できもの」という言葉は、医学的な専門用語ではなく、皮膚にできる様々な盛り上がりや変化を総称する日常的な表現です。医学的には「皮膚腫瘍」「皮膚病変」などと呼ばれ、その種類は非常に多岐にわたります。
代表的なできものの種類
粉瘤(ふんりゅう、アテローム)は、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まってできるものです。徐々に大きくなり、中央に黒い点(開口部)が見られることがあります。柔らかく、押すと動くのが特徴で、細菌感染を起こすと赤く腫れて痛みを伴います。アイシークリニックでも治療を行っている代表的な皮膚病変の一つです。
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう、老人性疣贅)は、加齢とともに現れる良性の皮膚腫瘍で、一般的には「年寄りいぼ」とも呼ばれます。茶色から黒色で、表面がざらざらしており、徐々に盛り上がってきます。紫外線の影響を受けやすい顔や手の甲などによくできます。
軟性線維腫(なんせいせんいしゅ、アクロコルドン)は、首や脇の下、鼠径部などの皮膚が擦れやすい部分にできる小さな皮膚の突起です。肌色から茶色で、柔らかく、加齢とともに増える傾向があります。
稗粒腫(はいりゅうしゅ、ひりゅうしゅ)は、目の周りなどにできる白い小さな粒です。毛穴に角質が詰まってできるもので、1〜2ミリメートル程度の大きさです。
皮膚線維腫(ひふせんいしゅ、デルマトフィブローマ)は、真皮内の線維組織が増殖してできる硬いしこりです。茶色から赤褐色で、押すとくぼむ特徴があります。
尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい、いぼ)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によってできる良性の皮膚病変です。表面がざらざらしており、手や足によくできます。
血管腫(けっかんしゅ)は、血管が異常に増殖してできる腫瘍で、赤色や青紫色をしています。生まれつきあるものもあれば、加齢とともに現れるものもあります。
できものができる原因
できものができる原因は種類によって様々です。
加齢による変化として、脂漏性角化症や軟性線維腫などは、年齢を重ねることで自然に増えてくるものです。皮膚の老化現象の一つと考えられています。
紫外線の影響も大きな要因です。長年の紫外線曝露が皮膚の細胞に変化をもたらし、様々なできものの原因となります。
遺伝的要因として、できものができやすい体質というものも存在します。家族に同じようなできものが多い場合、遺伝的な要因が関与している可能性があります。
ウイルス感染では、いぼのように、ウイルス感染が直接の原因となるできものもあります。
皮膚構造の異常として、粉瘤のように、皮膚の構造的な変化によってできるものもあります。
できものがほくろになることはあるのか?
結論:基本的にはならない
最も重要なポイントは、一般的な「できもの」が「ほくろ」に変化することは、基本的にはないということです。
これは、できものとほくろでは、そもそもの成り立ちが根本的に異なるためです。ほくろはメラノサイトという色素細胞が増殖したものであり、粉瘤や脂漏性角化症などの一般的なできものとは、細胞のレベルで全く異なる性質を持っています。
粉瘤が突然メラノサイトの集まりであるほくろに変化することも、脂漏性角化症がほくろになることもありません。それぞれ別の細胞や組織から成り立っているため、一方が他方に変化することは通常ありえないのです。
では、なぜ「できものがほくろになった」と感じるのか?
しかし、「できものだと思っていたものが、気づいたらほくろのようになっていた」と感じる人がいるのも事実です。これにはいくつかの理由が考えられます。
最初からほくろだった可能性があります。小さくて目立たなかったほくろが、紫外線やホルモンの影響で徐々に大きくなったり、色が濃くなったりすることで、「新しくできものができて、それがほくろになった」と誤認することがあります。実際には、最初から存在していたほくろが成長しただけというケースです。
色素沈着による誤認も考えられます。何らかの皮膚病変に炎症や刺激が加わると、その部分にメラニン色素が沈着して茶色や黒っぽく見えることがあります。これを「ほくろになった」と感じることがありますが、実際にはほくろではなく、炎症後色素沈着という別の現象です。
複数の病変の併存という可能性もあります。たまたま同じ場所にできものとほくろが隣接して存在していた場合、それを一つの病変が変化したと認識してしまうことがあります。
脂漏性角化症の一部は、メラニン色素を多く含むため、ほくろと非常によく似た見た目になることがあります。これも「できものがほくろになった」と誤解される原因の一つです。
例外的なケース:ほくろ自体の変化
できものがほくろになることはありませんが、ほくろ自体が変化することはあります。
良性の変化としては、ほくろは時間とともに大きくなったり、色が濃くなったり薄くなったりすることがあります。また、平らだったほくろが盛り上がってくることもあります。これらは多くの場合、正常な加齢変化です。
しかし、注意が必要な変化もあります。ほくろが悪性化してメラノーマ(悪性黒色腫)という皮膚がんになる可能性はゼロではありません。特に以下のような変化が見られた場合は、早めに皮膚科を受診することが重要です。
注意すべきほくろの変化:ABCDEルール
ほくろの変化で注意すべきサインを見分けるために、国際的に広く使われている「ABCDEルール」というものがあります。これは、メラノーマの可能性を示唆する特徴を表したものです。
A:Asymmetry(非対称性)
正常なほくろは、中心を通る線で左右に分けた時に、ほぼ左右対称の形をしています。一方、メラノーマは非対称な形をしていることが多いです。ほくろの片側だけが大きくなったり、いびつな形をしている場合は注意が必要です。
B:Border(境界)
正常なほくろは、周囲の皮膚との境界がはっきりしており、輪郭が滑らかです。メラノーマは、境界が不明瞭でギザギザしていたり、にじんだように見えることがあります。ほくろの輪郭がぼやけている、または不規則な場合は要注意です。
C:Color(色)
正常なほくろは、全体が均一な茶色や黒色をしています。メラノーマは、一つのほくろの中に複数の色(茶色、黒色、赤色、白色、青色など)が混在していることがあります。ほくろの色が均一でなく、まだらになっている場合は注意が必要です。
D:Diameter(直径)
直径が6ミリメートル以上のほくろは、メラノーマの可能性を考慮する必要があります。ただし、6ミリメートル以下でもメラノーマのこともあるため、大きさだけで判断するのではなく、他の特徴も合わせて評価することが重要です。
E:Evolving(変化)
既存のほくろが、大きさ、形、色などの面で変化している場合は注意が必要です。特に短期間(数週間から数ヶ月)で急速に変化するほくろは、早急に医師の診察を受けるべきです。
その他の注意すべき症状
ABCDEルール以外にも、以下のような症状がある場合は、すぐに皮膚科を受診してください。
ほくろから出血する、またはじくじくと滲出液が出る場合。ほくろの表面がただれたり、潰瘍ができている場合。ほくろの周囲に赤みや腫れがある場合。ほくろがかゆい、痛いなどの自覚症状がある場合(ただし、一時的な刺激による痒みなどは問題ないことも多いです)。ほくろの周囲に小さな黒い点々(衛星病巣)が出現した場合。
これらの症状は、必ずしもメラノーマを意味するわけではありませんが、専門医による適切な診断が必要です。
メラノーマ(悪性黒色腫)について知っておくべきこと
メラノーマとは
メラノーマは、メラノサイトから発生する悪性腫瘍で、皮膚がんの中では最も悪性度が高いとされています。早期に発見して適切な治療を行えば治癒の可能性が高いですが、進行すると他の臓器に転移しやすく、生命に関わることもあります。
日本では、年間約4,000人がメラノーマと診断されており、近年増加傾向にあります。発症のピークは60〜70代ですが、若年者でも発症することがあります。
メラノーマのリスク因子
メラノーマになりやすい人の特徴として、以下のようなリスク因子が知られています。
紫外線曝露の影響は非常に大きく、特に若い頃の強い日焼けの経験は、メラノーマのリスクを高めます。
皮膚の色が白い人、金髪や赤毛の人、色白で日焼けしやすい体質の人は、メラノーマのリスクが高いとされています。ただし、日本人を含む有色人種でも決して油断はできません。
多数のほくろを持つ人、特に50個以上のほくろがある人は、リスクが高いとされています。
大きな先天性色素性母斑を持つ人、特に直径20センチメートル以上の巨大先天性色素性母斑がある場合は、メラノーマのリスクが高くなります。
家族歴として、家族にメラノーマの患者がいる場合、遺伝的にリスクが高いことがあります。
免疫抑制状態にある人、臓器移植後や特定の疾患で免疫抑制剤を使用している人は、メラノーマのリスクが高まります。
日本人に多いメラノーマのタイプ
欧米人と日本人では、メラノーマができやすい部位や種類が異なることが知られています。
日本人に最も多いのは、末端黒子型黒色腫(まったんこくしがたこくしょくしゅ)です。これは、手のひら、足の裏、爪などにできるタイプで、日本人のメラノーマの約半数を占めます。足の裏の黒い斑点やほくろには特に注意が必要です。
結節型黒色腫は、短期間で急速に大きくなる隆起したメラノーマです。色は黒色から赤色まで様々で、時に出血することもあります。
悪性黒子型黒色腫は、高齢者の顔などにできる、シミのようなメラノーマです。ゆっくりと拡大します。
表在拡大型黒色腫は、欧米人に多いタイプですが、日本人でも見られます。胴体や四肢にできることが多いです。
できものとほくろの見分け方
自己チェックのポイント
専門医でなければ正確な診断は難しいですが、以下のポイントを参考に自己チェックすることができます。
色の確認として、ほくろは基本的に茶色から黒色をしています。一方、粉瘤は肌色で中央に黒い点があることが多く、脂漏性角化症は茶色から黒色ですが、表面がざらざらしています。血管腫は赤色や青紫色です。
表面の状態も重要です。ほくろの表面は通常滑らかですが、盛り上がったほくろもあります。粉瘤は滑らかで、押すと動きます。脂漏性角化症は表面がざらざらしていて、角化が目立ちます。
硬さの違いも判断材料になります。ほくろは周囲の皮膚と同じか、やや硬い程度です。粉瘤は柔らかく、中に液体や半固形物が詰まっている感じがします。皮膚線維腫は硬いしこりです。
大きさの変化にも注目しましょう。ほくろはゆっくりと変化するか、変化しないことが多いです。粉瘤は徐々に大きくなります。脂漏性角化症もゆっくり大きくなったり、数が増えたりします。
専門医による診断方法
皮膚科では、以下のような方法で診断を行います。
視診では、まず肉眼で病変の大きさ、形、色、表面の状態などを観察します。
ダーモスコピー検査は、皮膚の表面を拡大して観察する検査です。特殊な拡大鏡を使用し、肉眼では見えない皮膚の構造や色素の分布を詳しく観察できます。ほくろとメラノーマ、他の皮膚病変を見分ける上で非常に有用です。
必要に応じて、皮膚生検を行うこともあります。病変の一部または全部を切除し、顕微鏡で細胞を詳しく調べます。これにより、良性か悪性か、具体的にどのような病変かを確定診断できます。
画像検査として、メラノーマが疑われる場合や、すでにメラノーマと診断された場合には、CTやMRI、PETなどの画像検査を行い、転移の有無を調べることがあります。
できものやほくろの治療法
ほくろの治療
ほくろは基本的に良性の病変なので、必ずしも治療が必要というわけではありません。しかし、以下のような場合には治療が検討されます。
美容的な理由で除去を希望する場合。顔など目立つ部分にあるほくろを取りたいという方は多くいます。
悪性が疑われる場合。ABCDEルールに該当するような変化がある場合は、診断を兼ねて切除することがあります。
機能的な問題がある場合。まぶたにあって視界を妨げる、衣服や髭剃りで擦れて出血するなど、日常生活に支障がある場合です。
ほくろの治療方法には以下のようなものがあります。
手術による切除は、メスでほくろとその周囲の正常皮膚を含めて切り取り、縫合する方法です。確実にほくろを取り除くことができ、切除した組織を病理検査に出すことができます。悪性が疑われる場合や、大きなほくろに適しています。傷跡は線状になりますが、丁寧に縫合すれば目立ちにくくなります。
レーザー治療は、炭酸ガスレーザーなどを使用してほくろを削り取る方法です。小さく平らなほくろに適しています。切除に比べて傷跡が目立ちにくいことが多いですが、深いほくろの場合は複数回の治療が必要なことがあります。また、組織検査ができないため、悪性が疑われる場合には適しません。
凍結療法は、液体窒素でほくろを凍らせて除去する方法ですが、ほくろの治療としてはあまり一般的ではありません。
できものの治療
できものの種類によって、適切な治療法が異なります。
粉瘤の場合、完治させるためには手術で袋ごと摘出する必要があります。炎症を起こしている場合は、まず抗生物質で炎症を抑えてから手術を行うこともあります。アイシークリニックでは、くり抜き法という傷跡が小さくて済む方法での粉瘤治療を行っています。
脂漏性角化症は、液体窒素による凍結療法やレーザー治療、手術による切除などがあります。美容的に気になる場合に治療を行います。
軟性線維腫は、小さなものはハサミで切除したり、液体窒素で凍結させて除去します。数が多い場合は、複数回に分けて治療することもあります。
いぼは、液体窒素による凍結療法が一般的です。ウイルス性のため、完全に治るまで時間がかかることがあります。
予防とセルフケア
紫外線対策の重要性
ほくろやメラノーマの予防において、最も重要なのが紫外線対策です。
日焼け止めの使用は基本中の基本です。SPF30以上、PA+++以上の日焼け止めを、外出の30分前に塗布し、2〜3時間ごとに塗り直すことが推奨されます。曇りの日でも紫外線は降り注いでいるため、一年中使用することが理想的です。
衣服や帽子、サングラスなどで物理的に紫外線から肌を守ることも効果的です。特に午前10時から午後2時の間は紫外線が最も強いため、この時間帯の外出を避ける、または十分な対策をすることが大切です。
日傘の使用も、特に夏場は有効です。最近はUVカット機能が高い日傘も多く販売されています。
定期的な自己チェック
月に1回程度、全身の皮膚をチェックする習慣をつけましょう。
明るい場所で、鏡を使って全身をくまなく観察します。背中など見えにくい部分は、家族に見てもらったり、手鏡を使って確認します。
新しくできたほくろやできもの、既存のほくろの変化に注意を払います。気になる変化があれば、写真を撮って記録しておくと、次回のチェック時に比較できて便利です。
適切な生活習慣
健康な皮膚を保つためには、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動など、基本的な生活習慣が重要です。
ビタミンA、C、Eなどの抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取することで、皮膚の健康維持に役立ちます。
ストレスも皮膚に悪影響を与えることがあるため、適切なストレス管理も大切です。
いつ医療機関を受診すべきか
受診の目安
以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
ABCDEルールに該当するほくろの変化が見られる場合。新しくできたほくろやできもので、短期間(数週間から数ヶ月)で大きくなっている場合。ほくろやできものから出血したり、じくじくと滲出液が出る場合。ほくろやできものに痛みやかゆみなどの自覚症状が続く場合。ほくろやできものが急に盛り上がってきた場合。足の裏や爪に新しくできた黒い斑点やほくろ。気になるほくろやできものがあり、不安を感じている場合。
自己判断で放置せず、専門医の診察を受けることが大切です。早期発見、早期治療が何よりも重要です。
アイシークリニック上野院での診療
アイシークリニック上野院では、皮膚のできものやほくろに関する診療を行っています。粉瘤をはじめとする皮膚のできものの治療から、ほくろの診断・治療まで、幅広く対応しています。
経験豊富な医師が、最新の診断機器を用いて丁寧に診察し、一人ひとりに最適な治療方法をご提案します。また、できものの治療においては、傷跡が目立ちにくい治療法を心がけています。
気になる皮膚の変化があれば、お気軽にご相談ください。

まとめ
本記事では、「できものがほくろになる」という疑問を出発点に、できものとほくろの違い、それぞれの特徴、注意すべき変化について詳しく解説してきました。
重要なポイントをまとめると、以下のようになります。
できものとほくろは根本的に異なる皮膚病変であり、通常、できものがほくろに変化することはありません。ほくろはメラノサイト(色素細胞)の増殖によるものであり、粉瘤や脂漏性角化症などの一般的なできものとは成り立ちが異なります。
「できものがほくろになった」と感じる場合、実際には最初からほくろだったものが成長した、炎症後の色素沈着、複数の病変の併存などの可能性が考えられます。
ほくろ自体が変化して悪性のメラノーマになる可能性はあるため、ABCDEルール(非対称性、境界の不明瞭さ、色のムラ、直径6ミリメートル以上、変化)に該当する変化には注意が必要です。
紫外線対策は、ほくろの増加やメラノーマの予防において非常に重要です。日焼け止めの使用、衣服や帽子での防御などを日常的に行いましょう。
月に1回程度、全身の皮膚を自己チェックする習慣をつけ、気になる変化があれば早めに皮膚科を受診することが大切です。
自己判断だけでは限界があるため、少しでも不安を感じる皮膚の変化があれば、専門医に相談することをお勧めします。早期発見、早期治療が、良好な結果につながります。
皮膚は私たちの体を守る大切な器官であり、その変化は時に重要なサインを送っています。日頃から自分の皮膚に関心を持ち、適切なケアと観察を続けることで、健康な皮膚を保つことができます。気になることがあれば、どうぞお気軽に専門医にご相談ください。
参考文献
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」
https://www.dermatol.or.jp/qa/ - 国立がん研究センター がん情報サービス「皮膚がん(メラノーマ)」
https://ganjoho.jp/public/cancer/melanoma/index.html - 日本皮膚悪性腫瘍学会「メラノーマ診療ガイドライン」
https://www.jdsm.jp/ - 厚生労働省「紫外線環境保健マニュアル」
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2020/matsigaisen2020.pdf - 日本臨床皮膚科医会「ひふの病気」
https://www.jocd.org/disease/
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務