鏡を見るたびに、顔のほくろが気になっていませんか。特に女性は、メイクをするときやスキンケアをするときなど、顔をじっくり見る機会が多いため、ほくろの数や位置が気になりやすいものです。顔にほくろが多いと、見た目の印象に影響するだけでなく、「病気のサインではないか」と不安を感じることもあるでしょう。実際、ほくろが増える原因には紫外線や加齢のほか、女性特有のホルモンバランスの変化が関係していることがあります。本記事では、顔にほくろが多い女性に向けて、ほくろができる仕組みや原因、女性ホルモンとの関係、危険なほくろの見分け方、そして予防法や治療法まで、皮膚科専門の知見をもとに詳しく解説します。顔のほくろでお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

目次
- ほくろとは何か?医学的な定義と種類
- 顔にほくろが多くなる原因
- 女性ホルモンとほくろの関係
- ほくろが多いことで起こりうる問題
- 危険なほくろの見分け方:メラノーマのABCDEルール
- 顔のほくろを予防する方法
- ほくろの治療法と除去方法
- ほくろ除去の費用と保険適用について
- ほくろ除去後のアフターケア
- まとめ
ほくろとは何か?医学的な定義と種類
ほくろは、医学的には「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞性母斑(ぼはんさいぼうせいぼはん)」と呼ばれています。皮膚の中でメラニン色素を作る細胞であるメラノサイト、またはその細胞が変化した母斑細胞が一か所に集まって増殖することで形成される良性の腫瘍です。
ほくろは通常、黒色や茶色をしており、平らなものから盛り上がったものまで、さまざまな形状があります。大きさも1mm程度の小さなものから、数cm以上の大きなものまで多様です。一般的に成人の場合、平均して10個から45個程度のほくろがあるといわれており、その数や形、大きさは人によって大きく異なります。
ほくろの種類
ほくろは皮膚の構造の中でできる位置によって、主に3つに分類されます。境界母斑は表皮と真皮の境界部分にできるもので、平らで色が濃いのが特徴です。複合母斑は表皮と真皮の両方にまたがるもので、やや盛り上がりがあります。真皮内母斑は真皮の中にできるもので、ドーム状に盛り上がり、色は薄くなる傾向があります。
また、生まれたときからあるもの(先天性母斑)と、成長するにつれてできるもの(後天性母斑)に分けることもできます。後天性のほくろは、紫外線や外的刺激、ホルモンバランスの変化などによって、思春期以降に徐々に増えていきます。
顔にほくろが多くなる原因
顔にほくろが多くなる原因はさまざまですが、主に以下の要因が考えられます。それぞれの原因を理解することで、適切な予防や対策につなげることができます。
紫外線の影響
ほくろが増える最も大きな原因の一つが紫外線です。紫外線を浴びると、皮膚を守るためにメラノサイトがメラニン色素を生成します。この過程で、メラノサイトが刺激を受けて増殖し、ほくろができやすくなります。特に、顔は常に紫外線にさらされる部位であるため、ほくろができやすい場所といえます。
紫外線量は5月から8月が1年で最も多い時期ですが、季節に関係なく、曇りの日や室内でも窓ガラスを通して降り注いでいます。そのため、1年を通して紫外線対策を行うことが重要です。幼少期から思春期にかけて強い紫外線を浴びた経験がある人は、大人になってからほくろが増えやすい傾向にあります。
遺伝的要因
ほくろの数やできやすさは、遺伝的な体質によって左右されることがあります。ご家族にほくろが多い方がいる場合、ご自身もほくろができやすい傾向があるかもしれません。これは、メラノサイトの活性度や数、紫外線への感受性などが遺伝的に決定される部分があるためです。先天性母斑のように、生まれつきほくろがある場合は、遺伝的な要因が強く関わっていると考えられます。
加齢による影響
年齢を重ねることで、ほくろが増えることは自然な現象です。長年にわたって蓄積された紫外線のダメージや、皮膚の老化に伴うメラノサイトの変化が、ほくろの増加につながります。特に40代以降になると、これまでに浴びた紫外線の影響が徐々に表れ、新しいほくろができることが増えてきます。
また、加齢とともに皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が遅くなり、メラニン色素が排出されにくくなることも、ほくろやシミが増える原因となります。
皮膚への物理的刺激
肌への物理的な刺激もほくろを作ってしまう原因となります。顔の場合は特に、毎日行うメイクやスキンケアの際に強い刺激を受けると、メラノサイトがメラニンを作りやすくなり、ほくろができることがあります。肌を強くこすったり、引っ張ったりすることで、メラニン色素が多く分泌されます。
メイクやスキンケアの際は、肌に刺激を与えないように、優しくお手入れをすることがポイントです。また、眼鏡のフレームやマスクの摩擦なども、ほくろができる原因になることがあります。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や夜更かし、食生活の偏りなどもほくろを作る原因となります。栄養バランスの乱れた食事や睡眠不足によって正常な皮膚のターンオーバーが障害されると、表皮に溜まったメラノサイトがいつまでも排出されず残ってしまいます。この蓄積により、シミやほくろが生じます。
また、過度のストレスも間接的にほくろの増加に影響を与える可能性があります。ストレスはホルモンバランスを乱し、自律神経の働きにも影響します。これにより、メラノサイトの活動が変化し、ほくろができやすくなることがあります。
女性ホルモンとほくろの関係
女性の場合、ホルモンバランスの変化がほくろの増加に大きく影響することがあります。女性ホルモンには「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があり、これらのホルモンは月経周期やライフステージによって分泌量が大きく変動します。
月経周期とほくろ
月経時に分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きが活発化することで、メラノサイトが刺激され、ほくろが増えてしまうことがあります。特に月経前にはプロゲステロンの分泌量がピークに達するため、肌のコンディションが変化しやすく、ほくろやシミができやすい時期といえます。
思春期のホルモン変化
思春期になると、成長ホルモンや性ホルモンの分泌が盛んになります。エストロゲンの分泌が増加し、女性らしい体つきになるとともに、メラノサイトの活動も活発になります。そのため、思春期はほくろが増えやすい時期の一つです。
妊娠・出産期の影響
妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンが大量に分泌されます。これらのホルモンはメラニン色素の生成を促進するため、既存のほくろが濃くなったり、新しいほくろができたりすることがあります。また、妊娠中に肝斑(かんぱん)と呼ばれるシミができやすくなるのも、同様のメカニズムによるものです。
出産後は、ホルモンバランスが急激に変化するため、妊娠中にできたほくろやシミが薄くなることもあれば、そのまま残ることもあります。
更年期のホルモン変化
更年期を迎えると、卵巣機能の低下によりエストロゲンの分泌が急激に減少します。この時期はホルモンバランスが大きく乱れるため、肌のコンディションも変化しやすくなります。更年期には、これまでに蓄積された紫外線ダメージとホルモンバランスの変化が重なり、ほくろやシミが増えることがあります。
20代から40代の女性で急に顔のほくろが増えたと感じる場合は、生活環境の変化やストレス、加齢に伴うホルモンバランスの乱れが原因でメラノサイトが活性化されている可能性があります。
ほくろが多いことで起こりうる問題
ほくろは基本的に良性の腫瘍であり、健康上の問題を引き起こすことはほとんどありません。しかし、顔にほくろが多いことで、以下のような問題が生じる可能性があります。
美容上の悩み
顔は人と会うときに最も目につく部位であり、ほくろの数や位置によっては、見た目の印象に影響することがあります。特に女性は、メイクでほくろを隠すのに苦労したり、ほくろが気になってメイクを楽しめないと感じたりすることがあるかもしれません。
また、ほくろがあることで自信を持てなくなったり、人前に出ることをためらったりする方もいます。このような美容上の悩みは、心理的なストレスにつながることもあります。
悪性腫瘍との鑑別の必要性
ほくろが多い場合、その中に悪性のものが紛れ込んでいないか注意が必要です。特に、急に増えたほくろや、形や色が変化したほくろがある場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性を考慮する必要があります。メラノーマは皮膚がんの一種で、進行が早く転移しやすい悪性度の高いがんです。
ほくろが多い方は、定期的に皮膚科を受診して、ほくろの状態をチェックしてもらうことをおすすめします。
危険なほくろの見分け方:メラノーマのABCDEルール
悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニン色素を作るメラノサイトという細胞ががん化して発生する皮膚がんです。見た目が通常のほくろとよく似ているため、早期発見のためには注意深い観察が重要です。メラノーマの早期発見には、「ABCDEルール」と呼ばれる5つの特徴が役立ちます。
A:Asymmetry(非対称性)
通常のほくろは円形や楕円形で左右対称ですが、メラノーマは形がいびつで非対称になることがあります。ほくろの中心で線を引いたときに、左右の形が大きく異なる場合は注意が必要です。
B:Border irregularity(不規則な境界)
メラノーマでは、ほくろと周辺の皮膚の境界がギザギザしていたり、不明瞭だったりすることがあります。通常のほくろは境界がはっきりしていますが、メラノーマは色のにじみ出しがあったり、境界に鮮明な部分と不鮮明な部分が混在したりします。
C:Color variegation(色調の不均一)
通常のほくろは色が均一ですが、メラノーマでは色にむらがあることが多いです。黒色だけでなく、茶色、赤、白、青などさまざまな色が混在することがあります。一つのほくろの中で色の濃淡が激しい場合は注意が必要です。
D:Diameter enlargement(大きさ)
メラノーマは直径が6mm以上の大きなものが多いとされています。鉛筆の消しゴム部分くらいの大きさを目安にするとわかりやすいでしょう。ただし、6mm未満でもメラノーマの可能性はあるため、他の特徴と合わせて判断することが重要です。
E:Evolving(変化)
ほくろの大きさ、形、色、表面の状態などが短期間で変化している場合は要注意です。通常のほくろは長年にわたりほとんど変化せず安定していますが、メラノーマは数週間から数カ月で急速に大きくなったり、形が変わったりすることがあります。
これらの特徴に当てはまるほくろがある場合は、できるだけ早く皮膚科を受診することをおすすめします。皮膚科では、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を使って、ほくろの構造を詳しく観察し、良性か悪性かを判断します。
日本人のメラノーマは足の裏や手のひら、爪のまわりなどに発生することが多いですが、顔に発生することもあります。特に高齢者の顔面に多い「悪性黒子型メラノーマ」は、慢性的な紫外線照射が関係しているといわれています。
顔のほくろを予防する方法
顔のほくろを完全に防ぐことは難しいですが、以下の対策を行うことで、新しいほくろができるリスクを減らすことができます。
徹底した紫外線対策
ほくろの予防で最も重要なのは、紫外線対策です。紫外線は大きくUV-AとUV-Bに分けられ、どちらも肌に悪影響を与えます。UV-Bはシミやほくろの原因となり、UV-Aは肌の奥深くまで届いてシワやたるみの原因になります。
日焼け止めを選ぶ際は、SPF(UV-Bを防ぐ指標)とPA(UV-Aを防ぐ指標)の両方をチェックしましょう。日常生活での外出にはSPF15から20程度、PA++のもので十分ですが、屋外での長時間の活動にはSPF30以上、PA+++以上のものを選ぶとよいでしょう。
日焼け止めは2から3時間おきに塗り直すことが重要です。また、帽子や日傘、サングラスなどの紫外線対策グッズを併用することで、より効果的に紫外線を防ぐことができます。
肌への刺激を避ける
メイクやスキンケアの際は、肌をこすらないように優しく行いましょう。クレンジングや洗顔のときに肌を強くこすると、メラノサイトが刺激されてほくろができやすくなります。また、ほくろを気にして触ったり、こすったりすることも避けましょう。
生活習慣の改善
規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとることで、肌のターンオーバーを正常に保つことができます。特に成長ホルモンが分泌される夜10時から深夜2時の時間帯は、できるだけ睡眠をとることを意識しましょう。
また、バランスの良い食事も肌の健康に重要です。ビタミンCやビタミンE、ベータカロテンなどの抗酸化物質を含む食品を積極的に摂取することで、紫外線によるダメージを軽減できる可能性があります。
ストレス管理
過度のストレスはホルモンバランスを乱し、肌のコンディションにも影響します。適度な運動やリラクゼーションを取り入れて、ストレスを上手にコントロールしましょう。
ほくろの治療法と除去方法
顔のほくろが気になる場合は、医療機関で除去することができます。ほくろの除去方法にはいくつかの選択肢があり、ほくろの大きさや深さ、位置などによって最適な方法が異なります。
炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)
炭酸ガスレーザーは、波長10,600nmの赤外線領域のレーザーで、ほくろの除去に最も多く用いられる治療法です。レーザー光を使ってほくろの組織を蒸発させ、除去します。メスを使わないため、傷跡が目立ちにくく、施術時間も短いのが特徴です。
比較的小さなほくろ(直径6mm以下)に適しており、局所麻酔をした後、レーザーを照射します。施術時間はほくろ1個あたり1から2分程度で、出血もほとんどありません。施術後は軟膏を塗布し、医療用テープで保護します。約10日から2週間で新しい皮膚が再生し、傷が治っていきます。
ただし、レーザー治療では肉眼で確認できない細胞が残ることがあり、再発する可能性があります。また、深いほくろの場合は複数回の治療が必要になることもあります。
切除縫合法
切除縫合法は、メスを使ってほくろを切り取り、縫合する方法です。大きなほくろ(直径6mm以上)や深いほくろ、悪性の疑いがあるほくろに適しています。ほくろの組織を完全に取り除くことができるため、再発のリスクが低いのが特徴です。
また、切除した組織を病理検査に出すことで、良性か悪性かを確実に診断することができます。縫合により線状の傷跡が残りますが、形成外科的な技術を用いることで、傷跡を目立たなくすることができます。
くり抜き法(パンチ法)
くり抜き法は、ほくろの形に合わせて円筒形の器具でほくろをくり抜いて除去する方法です。小さなほくろから中程度のほくろに適しており、切除縫合法よりも傷跡が小さくなる傾向があります。
電気メス(電気焼灼法)
電気の力を使ってほくろを焼き切る方法です。レーザー治療と同様に比較的傷跡が残りにくく、施術時間が短いという特徴があります。
ほくろ除去の費用と保険適用について
ほくろの除去費用は、治療法やほくろの大きさ、数によって異なります。また、美容目的の場合は保険適用外(自費診療)となりますが、悪性の疑いがある場合や医学的な理由がある場合は保険適用となることがあります。
自費診療の場合
美容目的でのほくろ除去は基本的に自費診療となります。レーザー治療の費用は、ほくろ1個あたり5,000円から30,000円程度が目安です。ほくろの大きさや施設によって費用は異なります。切除法の場合は、10,000円から50,000円程度が目安となります。
保険適用の場合
悪性の疑いがある場合や、ほくろが眼鏡に当たる、引っかかりやすい位置にあるなど、生活に支障をきたす場合は保険適用となることがあります。保険適用の場合、3割負担で5,000円から9,000円程度(露出部)が目安となります。
保険適用の可否は医師の判断によるため、まずは皮膚科を受診して相談することをおすすめします。
ほくろ除去後のアフターケア
ほくろ除去後のアフターケアは、傷跡をきれいに治すために非常に重要です。適切なケアを行うことで、傷跡を最小限に抑えることができます。
術後の経過
レーザー治療の場合、施術後は皮膚がくぼんだような状態になります。最初の1から2日は出血しやすいので、小さな絆創膏やテープで保護します。その後、徐々に皮膚が再生し、約2週間で新しい皮膚が完成します。赤みは2から3カ月かけて徐々に薄れていきます。
日常生活での注意点
傷が完全に治るまでは、患部を清潔に保ち、処方された軟膏を塗布してテープで保護しましょう。洗顔は可能ですが、患部をこすらないように注意してください。また、傷が治るまでは、患部への直接的な紫外線を避けることが重要です。紫外線を浴びると色素沈着が起こりやすくなるため、日焼け止めを塗り、テープやばんそうこうで保護しましょう。
再発した場合
レーザー治療の場合、まれに再発することがあります。再発した場合は、再度レーザー治療を行うか、切除法に切り替えることを検討します。多くのクリニックでは、一定期間内の再発に対しては無料または低価格で再治療を行っています。
まとめ
顔にほくろが多い原因は、紫外線、遺伝、加齢、ホルモンバランスの変化、皮膚への刺激などさまざまです。特に女性は、月経周期や妊娠、更年期などのライフステージに伴うホルモン変化によって、ほくろが増えやすい時期があります。
ほくろは基本的に良性の腫瘍であり、必ずしも除去する必要はありません。しかし、美容上の理由で気になる場合や、悪性の可能性が疑われる場合は、皮膚科を受診して適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
ABCDEルールを参考に定期的に自分のほくろをチェックし、気になる変化があれば早めに医療機関を受診しましょう。また、紫外線対策や生活習慣の改善などの予防法を実践することで、新しいほくろができるリスクを減らすことができます。
アイシークリニック上野院では、顔のほくろでお悩みの方に対して、経験豊富な医師が丁寧にカウンセリングを行い、一人ひとりに最適な治療法をご提案しています。ほくろの状態を正確に診断し、レーザー治療や切除法など、さまざまな治療オプションの中から、患者様のご希望に合った方法を選択していただけます。顔のほくろが気になる方は、お気軽にご相談ください。

よくある質問
顔にほくろが多いこと自体は病気ではありません。ほくろの多さは体質や紫外線量、年齢などによって個人差があり、成人では平均10個から45個程度のほくろがあるといわれています。ただし、急にほくろが増えた場合や、形や色が変化したほくろがある場合は、念のため皮膚科を受診することをおすすめします。
はい、女性ホルモンの影響でほくろが増えることがあります。特に思春期、妊娠中、月経周期の黄体期、更年期などホルモンバランスが変化する時期には、メラノサイトが活性化されてほくろができやすくなります。妊娠中は既存のほくろが濃くなったり、新しいほくろができたりすることがあります。
危険なほくろ(メラノーマ)を見分けるには、ABCDEルールが参考になります。A(非対称)形が左右非対称、B(境界)輪郭がギザギザで不明瞭、C(色)色にむらがある、D(大きさ)直径6mm以上、E(変化)短期間で大きさや形が変化している、といった特徴がある場合は、早めに皮膚科を受診してください。
顔のほくろ除去は、施術前に局所麻酔を行うため、施術中の痛みはほとんどありません。最初に局所麻酔を注射するときに少しチクッとした痛みがありますが、数秒で終わります。施術後は軽いヒリヒリ感がある場合がありますが、通常は数日で治まります。
適切な治療法を選択し、術後のケアをしっかり行えば、傷跡は徐々に目立たなくなります。レーザー治療の場合、施術後は赤みやくぼみがありますが、2から3カ月で赤みは薄れ、6カ月程度で安定します。切除縫合法の場合は線状の傷跡が残りますが、形成外科的な技術により、時間とともに目立たなくなります。
美容目的でのほくろ除去は基本的に自費診療となります。ただし、悪性の疑いがある場合、眼鏡に当たる、ひっかかりやすい位置にあるなど生活に支障をきたす場合、炎症を繰り返す場合などは保険適用となることがあります。保険適用の可否は医師の判断によりますので、まずは皮膚科を受診してご相談ください。
ほくろを完全に予防することは難しいですが、リスクを減らすことはできます。最も重要なのは紫外線対策で、日焼け止めを毎日塗り、帽子や日傘を活用しましょう。また、肌への摩擦を避ける、十分な睡眠をとる、バランスの良い食事を心がける、ストレスを溜めないなどの生活習慣の改善も効果的です。
参考文献
- 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
- 国立がん研究センター 希少がんセンター「悪性黒色腫(メラノーマ)」
- 小野薬品 がん情報「悪性黒色腫の特徴について」
- MSD oncology「悪性黒色腫(メラノーマ)とは」
- 済生会「メラノーマ(悪性黒色腫)」
- 日本皮膚悪性腫瘍学会「悪性黒色腫(メラノーマ)」
- がん研有明病院「悪性黒色腫(メラノーマ)」
- 東京女子医科大学附属足立医療センター「皮膚科:ほくろの説明」
- 厚生労働省 スマート・ライフ・プロジェクト「女性ホルモンとうまく付き合っていくには?」
- 厚生労働省 働く女性の心とからだの応援サイト「女性は一生にわたって女性ホルモンに影響を受ける?!」
- 国税庁「ホクロの除去費用」
※本記事は医療情報の提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。気になる症状がある方は、必ず医療機関を受診してください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務