手の甲のほくろが気になる方へ|良性・悪性の見分け方から除去治療まで詳しく解説

手の甲にほくろがあると、ふと気になることはありませんか。手は日常生活において常に目に入る部位であり、そこにあるほくろの存在を意識する方も少なくありません。「最近できたような気がする」「少し大きくなった気がする」「色が変わってきた気がする」など、手の甲のほくろに関する不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

手の甲は紫外線を浴びやすい部位であり、年齢とともにシミやほくろが目立ちやすくなる傾向があります。また、手の甲のほくろは見た目の印象にも影響を与えるため、除去を検討される方も増えています。一方で、ほくろの中にはまれに皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)が隠れていることがあり、正しい知識を持つことは健康管理において非常に重要です。

本記事では、アイシークリニック上野院の医療チームの知見に基づき、手の甲のほくろについて詳しく解説いたします。ほくろの基礎知識から、良性と悪性の見分け方、除去治療の方法、さらには日常的なセルフチェックのポイントまで、幅広くお伝えします。手の甲のほくろについて正しく理解し、適切な判断ができるようになることを目指しています。


目次

  1. ほくろとは何か:基本的なメカニズムと種類
  2. 手の甲にほくろができる原因
  3. 良性のほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の違い
  4. 手の甲のほくろをセルフチェックする方法:ABCDEルール
  5. ダーモスコピー検査とは:皮膚科での専門的な診断
  6. 手の甲のほくろを除去する治療法
  7. ほくろ除去の保険適用と自由診療
  8. 手の甲の紫外線対策と予防ケア
  9. 受診の目安とアイシークリニック上野院でできること
  10. よくある質問

1. ほくろとは何か:基本的なメカニズムと種類

ほくろは医学的には「色素細胞母斑」や「母斑細胞母斑」と呼ばれ、皮膚の母斑細胞が局所的に増殖することでできる良性の腫瘍です。母斑細胞はメラニン色素を産生する能力を持っており、そのためほくろは褐色から黒色の色調を呈します。ほくろは全身のあらゆる部位に発生する可能性があり、手の甲も例外ではありません。

ほくろの発生メカニズム

ほくろができるメカニズムには、遺伝的要因と環境的要因の両方が関与しています。遺伝的にほくろができやすい体質の方もいれば、後天的な紫外線への曝露や皮膚への刺激によってほくろが増える方もいます。ほくろは胎児期から存在する先天性のものと、出生後に生じる後天性のものに大別されます。後天性のほくろは幼少期から増え始め、20〜30代にかけて数がピークに達することが多いとされています。

ほくろの大きさは多くの場合、直径5〜6mm程度までの小さなものですが、中には1cm以上に成長するものもあります。形状も平坦なものから盛り上がったもの、いぼ状のものまでさまざまです。通常のほくろは円形または楕円形をしており、境界がはっきりしていて、色が均一であることが特徴です。

ほくろの種類

ほくろは組織学的な特徴によっていくつかの種類に分類されます。境界母斑は表皮と真皮の境界部に母斑細胞が存在するタイプで、通常は平坦で黒っぽい色をしています。複合母斑は境界部と真皮の両方に母斑細胞が存在し、やや盛り上がった外観を呈することが多いです。真皮内母斑は母斑細胞が真皮内のみに存在し、ドーム状に隆起していることが特徴的です。

また、色素の薄い青色母斑や、毛が生えている毛母斑なども存在します。これらはいずれも良性の病変であり、基本的には健康上の問題を引き起こすことはありません。ただし、見た目が気になる場合や、衣服との摩擦で刺激を受けやすい場合には、除去を検討することもあります。

2. 手の甲にほくろができる原因

手の甲は体の中でも特にほくろやシミができやすい部位の一つです。その主な理由として、紫外線への曝露量の多さが挙げられます。手の甲は衣類で覆われることが少なく、年間を通じて紫外線を浴び続けています。顔や腕には日焼け止めを塗る習慣があっても、手の甲への紫外線対策を怠りがちな方は少なくありません。

紫外線によるダメージの蓄積

紫外線は皮膚細胞のDNAにダメージを与え、メラノサイトの活動を活性化させます。メラノサイトは紫外線から肌細胞を守るためにメラニン色素を産生しますが、長年にわたって紫外線を浴び続けると、メラノサイトが過剰にメラニンを作り出すようになります。このメラニンが皮膚内に蓄積することで、シミやほくろの原因となるのです。

特に手の甲は、自動車の運転中に窓から差し込む紫外線を受けやすい部位でもあります。また、日常的な家事や屋外での作業など、意識せずに紫外線を浴びている機会が非常に多いのが特徴です。手洗いの頻度が高い現代においては、日焼け止めを塗っても頻繁に洗い流されてしまうという問題もあります。

加齢によるターンオーバーの乱れ

若い頃は皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が活発で、メラニン色素は古い角質とともに約28日周期で自然に排出されます。しかし、加齢とともにこのターンオーバーの周期は長くなり、40代以降では若年期の1.5〜2倍に延びることもあります。その結果、メラニンが皮膚内に蓄積しやすくなり、シミやほくろとして表面化しやすくなります。

手の甲は特に肌のターンオーバーが遅い部位とされており、紫外線によるダメージが蓄積しやすい環境にあります。若い頃に無防備に紫外線を浴びていたツケが、中年期以降になって手の甲のシミやほくろとして現れることは珍しくありません。

その他の要因

紫外線以外にも、手の甲にほくろができる要因はいくつか考えられます。遺伝的な要因によってほくろができやすい体質の方もいます。また、やけどや虫刺され、かぶれなどの炎症がきっかけとなって、その部位に色素沈着が残り、ほくろのように見えることもあります。これは「炎症後色素沈着」と呼ばれ、時間の経過とともに薄くなることが多いですが、紫外線を浴びると定着してしまうこともあります。

さらに、妊娠中はホルモンバランスの変化により、既存のほくろが濃くなったり、新たにほくろができたりすることがあります。これは一時的な変化であることが多いですが、急激な変化が見られる場合は皮膚科医に相談することをおすすめします。

3. 良性のほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)の違い

ほくろのほとんどは良性であり、健康に害を及ぼすことはありません。しかし、ごくまれにほくろに似た外見を持つ悪性黒色腫(メラノーマ)が存在することがあります。メラノーマは皮膚がんの中でも特に悪性度が高く、早期発見と早期治療が極めて重要です。

悪性黒色腫(メラノーマ)とは

メラノーマは皮膚のメラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)ががん化した腫瘍です。日本皮膚科学会によれば、日本におけるメラノーマの罹患率は10万人あたり1〜2人程度とされており、希少がんに分類されています。しかし、病気の進行が非常に早く、早い段階で他の臓器に転移する可能性があるため、決して油断はできません。

メラノーマには主に4つのタイプがあります。末端黒子型は足の裏や手のひら、爪などに発生するタイプで、日本人のメラノーマの約40%を占め、最も多いタイプです。表在拡大型は胸や腹、背中など体の中心部に発生し、白人に多く見られます。結節型は全身のあらゆる部位に発生し、黒色の結節(しこり)として現れます。悪性黒子型は顔面や手の甲など日光に長時間さらされる部位に発生し、高齢者に多いタイプです。

手の甲におけるメラノーマの特徴

手の甲は紫外線を継続的に浴びる部位であるため、悪性黒子型メラノーマが発生しやすい場所の一つです。悪性黒子型メラノーマは初期にはシミのような平坦な褐色〜黒色の色素斑として現れ、数年から数十年という長い期間をかけてゆっくりと拡大していきます。初期段階では普通のシミやほくろと区別がつきにくいため、注意が必要です。

特に高齢者の方で、手の甲に以前からあるシミやほくろが徐々に大きくなったり、色が濃くなったり、形が不規則になったりしている場合は、皮膚科専門医の診察を受けることをおすすめします。悪性黒子型メラノーマは進行すると真皮内にがん細胞が増殖し、内臓への転移を起こす可能性がありますが、早期に発見して手術で完全に除去できれば、完治が期待できます。

良性と悪性を見分けるポイント

良性のほくろと悪性黒色腫を見分けるポイントはいくつかあります。良性のほくろは通常、円形または楕円形で左右対称、境界がはっきりしていて、色が均一です。また、大きさは直径6mm以下であることが多く、時間が経っても大きな変化は見られません。

一方、悪性黒色腫は左右非対称で形がいびつ、境界がギザギザしている、色にむらがある、直径が6mm以上、短期間で大きくなるといった特徴があります。これらの特徴はABCDEルールとしてまとめられており、セルフチェックに活用できます。ただし、自己判断だけでは見分けることが難しいケースも多いため、少しでも気になる症状があれば、専門医の診察を受けることが重要です。

4. 手の甲のほくろをセルフチェックする方法:ABCDEルール

手の甲のほくろを定期的にセルフチェックすることは、悪性黒色腫の早期発見につながります。米国皮膚科学会などで推奨されている「ABCDEルール」は、ほくろをセルフチェックする際の5つの視点を示したものです。このルールに基づいてほくろの状態を観察することで、危険なサインを見逃さずに済む可能性が高まります。

A(Asymmetry:左右非対称)

ほくろの形が左右で対称かどうかを確認します。ほくろの中心に線を引いたとき、両側が同じ形になっていれば問題ありません。しかし、左右の形が異なり非対称な場合は、悪性の可能性を考慮する必要があります。良性のほくろは通常、円形または楕円形で整った形をしています。

B(Border:境界不整)

ほくろと周囲の正常な皮膚との境界がどのようになっているかを観察します。良性のほくろは境界がはっきりしていてくっきりとした輪郭を持っています。一方、悪性黒色腫では境界がギザギザしていたり、不明瞭であったり、色がにじんだように周囲に広がっていることがあります。墨汁を垂らしたようなにじみがある場合は特に注意が必要です。

C(Color:色の不均一)

ほくろの色が均一かどうかを確認します。良性のほくろは一つの色調で統一されていることが多いです。しかし、悪性黒色腫では一つのほくろの中に黒色、褐色、茶色、赤色、白色、青色などさまざまな色が混在していることがあります。もともと褐色だったほくろが徐々に濃い黒色に変化していく場合も注意が必要です。

D(Diameter:直径)

ほくろの大きさを測定します。一般的に直径6mm以上のほくろは、悪性の可能性を考慮して検査を受けることが推奨されます。鉛筆の消しゴム部分の直径がおよそ6mmなので、それを超える大きさのほくろには注意が必要です。ただし、生まれつき大きなほくろがある場合もあるため、急に大きくなったかどうかが重要な判断基準となります。

E(Evolution:変化)

ほくろの大きさ、色、形、症状に変化がないかを観察します。良性のほくろは長期間にわたって大きな変化を示しません。しかし、1〜2年の間に急激に大きくなったり、色や形が変化したり、かゆみや痛み、出血などの症状が現れたりする場合は、悪性黒色腫の可能性があります。特に短期間での変化は要注意です。

セルフチェックの実践方法

月に一度程度、手の甲を含む全身のほくろをチェックする習慣をつけることをおすすめします。明るい場所で手の甲を観察し、上記のABCDEの各項目について確認します。スマートフォンなどで定期的に写真を撮っておくと、変化を比較しやすくなります。気になるほくろがあれば、いつからあるか、大きさや色に変化がないかを記録しておくと、医師に相談する際に役立ちます。

ただし、ABCDEルールはあくまでセルフチェックの目安であり、専門医による診断の代わりにはなりません。少しでも不安がある場合や、上記の特徴に当てはまるほくろがある場合は、必ず皮膚科を受診してください。

5. ダーモスコピー検査とは:皮膚科での専門的な診断

皮膚科では、ほくろの良性・悪性を判断するためにダーモスコピー検査が広く行われています。ダーモスコピー検査とは、ダーモスコープという特殊な拡大鏡を使って皮膚病変を詳細に観察する検査方法です。この検査により、肉眼では見えにくい微細な構造や色素のパターンを確認することができます。

ダーモスコピーの仕組みと特徴

ダーモスコープはライトが付いた拡大鏡のような器具で、皮膚病変を10〜30倍に拡大して観察することができます。皮膚表面には光の乱反射が起こりやすいため、通常の拡大鏡では皮膚内部の構造を見ることは困難です。ダーモスコープは偏光レンズやエコーゼリーを使用することで、この乱反射を抑え、表皮の下にある真皮浅層までの状態を観察することを可能にします。

ダーモスコピー検査は痛みを伴わない非侵襲的な検査であり、検査時間も数分程度で済みます。健康保険が適用されており、3割負担の場合は数百円程度の費用で検査を受けることができます。慶應義塾大学病院の情報によれば、検査前日に特別な準備は必要なく、通常の皮膚科診察の中で実施されます。

ダーモスコピーで診断できる疾患

ダーモスコピーは主に色素性の皮膚病変の診断に用いられます。具体的には、色素細胞母斑(ほくろ)、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、脂漏性角化症(老人性いぼ)、血管腫、血腫(血まめ)などの鑑別に有用です。特に、良性のほくろと悪性黒色腫の区別において、ダーモスコピーは非常に高い診断精度を発揮します。

日本皮膚科学会によれば、ダーモスコピーによる診断法に習熟した皮膚科医が悪性黒色腫を診断した場合、肉眼のみの診察に比べて診断精度が4〜9倍向上するとされています。これはメラノーマの早期発見・早期治療に大きく貢献しています。

ダーモスコピーの限界と皮膚生検

ダーモスコピーは非常に有用な検査ですが、すべての病変を正確に診断できるわけではありません。確定診断が必要な場合や、悪性が強く疑われる場合には、皮膚生検が行われます。皮膚生検とは、病変の一部または全部を切除して、顕微鏡で組織を調べる検査です。

皮膚生検には全切除生検(腫瘍全体を切除する方法)と部分生検(病変の一部を切除する方法)があり、日本では通常は全切除生検が行われます。局所麻酔を行った後にメスで切除し、必要に応じて縫合します。検査結果は通常1〜2週間程度で判明します。生検によって悪性と診断された場合は、追加の治療が必要になることがあります。

6. 手の甲のほくろを除去する治療法

手の甲のほくろを除去したい場合、いくつかの治療法があります。治療法の選択は、ほくろの大きさ、形状、深さ、良性・悪性の診断結果などによって異なります。皮膚科専門医と相談の上、自分に適した治療法を選ぶことが重要です。

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

炭酸ガスレーザーは、皮膚細胞に含まれる水分に反応して熱エネルギーを発生させ、その蒸散作用によってほくろの組織を除去する治療法です。メスを使わないため、傷跡が残りにくく、施術時間も短いのが特徴です。局所麻酔を行った後にレーザーを照射し、ほくろ1個であれば1〜2分程度で施術が完了します。

炭酸ガスレーザーは比較的小さなほくろ(おおむね5mm以下)に適しており、平坦なほくろから隆起したほくろまで対応可能です。施術後はかさぶたができ、1〜2週間程度で自然に脱落します。赤みは個人差がありますが、1〜3か月程度で徐々に薄れていきます。ただし、レーザーでは細胞を完全に除去できないことがあり、まれに再発する可能性があります。

切除法(手術による切除)

切除法は、メスを使ってほくろを切り取り、周囲の皮膚を縫合する方法です。大きなほくろや深いほくろ、悪性が疑われるほくろに適しています。ほくろを確実に除去できるため、再発のリスクが低いのが利点です。また、切除した組織を病理検査に提出することで、良性・悪性の確定診断を得ることができます。

手術は局所麻酔下で行われ、ほくろの周囲を紡錘形(木の葉型)に切除することが一般的です。縫合後は約1週間後に抜糸を行います。傷跡は線状になりますが、時間の経過とともに目立たなくなっていきます。手の甲の場合、皮膚の動きが大きい部位であるため、術後のケアを丁寧に行うことが大切です。

くり抜き法(パンチ生検)

くり抜き法は、トレパンという円筒状の刃物を使ってほくろを円形にくり抜く方法です。小さなほくろの除去や、組織検査のための生検に用いられます。切除法よりも傷が小さく済むことが多いですが、深いほくろには対応できない場合があります。くり抜いた部分は縫合するか、小さい場合は縫合せずに自然治癒させることもあります。

電気メス(電気焼灼)

電気メスは、電気の熱を利用してほくろを焼き切る方法です。小さく隆起したほくろに適しており、施術時間が短いのが特徴です。止血しながら切除できるため、出血が少なく済みます。ただし、レーザー治療と同様に、深いほくろには対応できないことがあり、再発する可能性もあります。

治療法の選び方

どの治療法を選ぶかは、ほくろの状態や患者さんの希望によって異なります。見た目を重視し、傷跡を最小限にしたい場合は炭酸ガスレーザーが選択されることが多いです。一方、悪性が疑われる場合や確実に除去したい場合は、切除法が推奨されます。皮膚科専門医による診察を受け、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で、納得のいく治療法を選択することが重要です。

7. ほくろ除去の保険適用と自由診療

ほくろ除去を検討する際に気になるのが、保険が適用されるかどうかという点でしょう。結論から言えば、ほくろ除去には保険が適用されるケースと適用されないケースがあります。その違いを理解しておくことで、治療を受ける際の参考になります。

保険適用になるケース

ほくろ除去で保険が適用されるのは、主に医学的な必要性がある場合です。具体的には、悪性腫瘍(メラノーマや基底細胞がんなど)の疑いがある場合は保険適用となります。また、ほくろが日常生活に支障をきたしている場合も保険適用の対象となることがあります。例えば、まぶたにあるほくろが視界の妨げになっている場合、顔にあるほくろが髭剃りの際に引っかかって出血する場合、洋服の着脱時に引っかかって傷ができる場合などが該当します。

保険が適用される場合、治療費は3割負担で数千円から1万円程度に収まることが多いです。ただし、ほくろの大きさや部位、手術の範囲によって費用は異なります。保険適用の場合、治療法は切除法が基本となり、炭酸ガスレーザーは保険適用外となるケースがほとんどです。

自由診療になるケース

美容目的でのほくろ除去は基本的に保険適用外であり、自由診療となります。見た目が気になるからという理由だけでほくろを除去する場合は、全額自己負担となります。自由診療の場合、治療法は炭酸ガスレーザーや電気メスなど、傷跡が残りにくい方法を選択できることが多いです。費用はクリニックによって異なりますが、ほくろ1個あたり5,000円から13,000円程度が相場とされています。

保険診療と自由診療のメリット・デメリット

保険診療のメリットは、費用負担が軽減されることと、切除した組織を病理検査に出して確定診断を得られることです。一方、デメリットとしては、治療法が限られること(主に切除法)、縫合による線状の傷跡が残る可能性があることが挙げられます。自由診療のメリットは、傷跡が残りにくい治療法を選択できること、治療法の選択肢が広いことです。デメリットは、費用が全額自己負担になること、レーザー治療では再発のリスクがあることです。

どちらを選ぶかは、ほくろの状態や治療の目的、費用、仕上がりへのこだわりなどを総合的に考慮して決めることになります。保険診療と自由診療の両方に対応しているクリニックを選べば、ほくろの状態に合わせて最適な治療法を提案してもらうことができます。

8. 手の甲の紫外線対策と予防ケア

手の甲のほくろやシミを予防するためには、日常的な紫外線対策が欠かせません。一度できてしまったほくろやシミを完全に消すことは難しいため、予防に力を入れることが重要です。ここでは、今日から実践できる紫外線対策と予防ケアについてご紹介します。

日焼け止めのこまめな塗り直し

手の甲への紫外線対策として最も基本的なのは、日焼け止めを塗ることです。しかし、手は日常生活の中で何度も洗う部位であるため、日焼け止めが流れ落ちてしまいやすいという問題があります。手洗いやアルコール消毒をした後には、必ず日焼け止めを塗り直す習慣をつけることが大切です。

日焼け止めを選ぶ際には、SPF(紫外線B波の防止効果を示す指標)やPA(紫外線A波の防止効果を示す指標)だけでなく、保湿効果にも注目しましょう。手は水に触れる機会が多く、乾燥しやすい部位です。UVカットと保湿を両立できる日焼け止めを選ぶことで、紫外線対策と乾燥対策を同時に行うことができます。

UVカット手袋やアームカバーの活用

日差しが強い季節には、UVカット機能のある手袋やアームカバーを活用することも効果的です。特に自動車の運転中は、窓から差し込む紫外線によって手の甲が日焼けしやすいため、運転用の手袋を着用することをおすすめします。最近では通気性が良く、夏でも快適に使えるUVカット手袋が多数販売されています。

保湿ケアの重要性

手の甲の肌バリア機能を高めるためには、こまめな保湿が欠かせません。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、紫外線によるダメージを受けやすくなります。水仕事の後や手洗いの後には、ハンドクリームなどで保湿することを習慣づけましょう。ビタミンC誘導体やトラネキサム酸など、美白成分を配合したハンドクリームを使用することで、シミの予防にもつながります。

生活習慣の見直し

肌のターンオーバーを正常に保つためには、規則正しい生活習慣も重要です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、肌の代謝機能を高めることができます。特にビタミンCはメラニンの生成を抑える効果があるため、キウイフルーツやイチゴなどのビタミンCを豊富に含む食品を積極的に摂取することをおすすめします。

9. 受診の目安とアイシークリニック上野院でできること

手の甲のほくろについて、どのような場合に皮膚科を受診すべきか迷うこともあるかもしれません。ここでは、受診の目安となるポイントと、アイシークリニック上野院で対応可能な診療内容についてご説明します。

こんな症状があれば受診を検討してください

以下のような症状や変化が見られる場合は、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。まず、ほくろの大きさが急に大きくなった場合です。数か月から1〜2年の間に目に見えて大きくなっている場合は注意が必要です。次に、ほくろの色が変化した場合です。色が濃くなったり、複数の色が混在するようになったりした場合は、専門医の診察を受けてください。

また、ほくろの形がいびつになった場合、境界がぼやけてきた場合、ほくろからかゆみや痛み、出血がある場合も受診の目安となります。直径6mm以上のほくろがある場合や、手の甲に新しくできたほくろで上記のような特徴がある場合も、念のため診察を受けることをおすすめします。

定期的なチェックの重要性

特に気になる症状がなくても、定期的に皮膚科で全身のほくろをチェックしてもらうことは有意義です。自分では見えにくい部位のほくろや、自分では気づきにくい微細な変化を専門医に確認してもらうことで、早期発見につながる可能性があります。特に、ほくろの数が多い方や、過去に皮膚がんの既往がある方、家族に皮膚がんの患者がいる方は、定期的な検診を受けることをおすすめします。

アイシークリニック上野院での診療

アイシークリニック上野院では、皮膚科専門医による診察を行っております。ほくろの良性・悪性を詳細に評価し、適切な治療方針をご提案いたします。良性のほくろで美容目的の除去をご希望の場合は、炭酸ガスレーザーによる治療が可能です。また、悪性が疑われる場合や日常生活に支障をきたすほくろの場合は、保険診療による切除手術にも対応しております。

手の甲のほくろについて気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの状態やご希望に合わせて、最適な診療をご提供いたします。

10. よくある質問

手の甲のほくろは放っておいても大丈夫ですか?

ほとんどのほくろは良性であり、特に治療の必要はありません。ただし、ABCDEルール(左右非対称、境界不整、色の不均一、直径6mm以上、変化がある)に当てはまる場合や、急激に大きくなった場合、かゆみや出血がある場合は皮膚科を受診してください。定期的なセルフチェックを行い、変化がないか観察することをおすすめします。

手の甲のほくろと皮膚がん(メラノーマ)はどうやって見分けるのですか?

肉眼だけで良性と悪性を見分けることは難しいため、皮膚科でダーモスコピー検査を受けることをおすすめします。ダーモスコピーは特殊な拡大鏡で皮膚病変を観察する検査で、痛みがなく保険適用で受けられます。ABCDEルール(左右非対称、境界がギザギザ、色むらがある、直径6mm以上、変化がある)はセルフチェックの参考になりますが、確定診断には専門医による診察が必要です。

手の甲のほくろ除去は痛いですか?

ほくろ除去の際には局所麻酔を行うため、施術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射をする際に多少の痛みがありますが、数秒で終わります。施術後は麻酔が切れると軽い痛みを感じることがありますが、通常は数日で治まります。炭酸ガスレーザーによる治療は出血も少なく、体への負担が小さい治療法です。

ほくろ除去後に傷跡は残りますか?

炭酸ガスレーザーによる除去の場合、比較的小さなほくろであれば傷跡はほとんど目立ちません。施術直後は赤みがありますが、2〜3か月程度で徐々に薄れていきます。切除法(手術)の場合は線状の傷跡が残りますが、時間の経過とともに白く薄くなり、目立たなくなっていきます。傷跡の残り方には個人差があり、ほくろの大きさや部位によっても異なります。

手の甲のほくろ除去は保険が適用されますか?

ほくろ除去が保険適用になるかどうかは、ほくろの状態や除去の理由によって異なります。悪性腫瘍の疑いがある場合や、日常生活に支障をきたしている場合は保険適用となります。一方、見た目が気になるという美容目的での除去は自由診療となり、全額自己負担です。保険適用になるかどうかは皮膚科医の診察で判断されますので、まずは受診してご相談ください。

ほくろを自分で取ることはできますか?

ほくろを自分で取ることは絶対に避けてください。市販の除去クリームや器具を使った自己処理は、感染や瘢痕形成のリスクがあり、悪性腫瘍を見落とす危険性もあります。特に悪性黒色腫(メラノーマ)の場合、不完全な除去によって病気が広がる可能性があります。ほくろの除去は必ず医療機関で専門医の診察を受けてから行ってください。

手の甲のほくろはなぜ増えるのですか?

手の甲にほくろが増える主な原因は紫外線への曝露です。手の甲は衣類で覆われず年間を通じて紫外線を浴びやすく、また日焼け止めを塗り直す機会が少ない部位です。加齢による肌のターンオーバーの乱れもほくろが増える原因となります。紫外線対策としてこまめに日焼け止めを塗り直すこと、UVカット手袋を使用することなどが予防に効果的です。

子どもの手にほくろがあっても心配いりませんか?

子どもにもほくろができることは珍しくなく、多くの場合は良性です。ただし、急激に大きくなっているほくろや、形や色に異常が見られるほくろがある場合は、小児皮膚科で診察を受けることをおすすめします。小児のメラノーマは非常にまれですが、家族に悪性黒色腫の既往がある場合は特に注意が必要です。心配な場合は専門医にご相談ください。


参考文献

※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりとなるものではありません。具体的な症状や治療については、必ず医療機関を受診し、専門医にご相談ください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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