脇の下のできもの|原因・症状・治療法を医師が解説

はじめに

脇の下にできものを見つけたとき、多くの方が不安を感じるのではないでしょうか。入浴時や着替えの際に偶然触れて気づいたり、痛みや違和感から存在に気づくこともあります。脇の下は普段あまり注意深く見ない部位であるため、できものに気づいたときには「これは何だろう」「病院に行くべきだろうか」と心配になるものです。

脇の下のできものには、さまざまな原因があります。多くは良性で心配のないものですが、中には適切な治療が必要なケースもあります。この記事では、脇の下にできるさまざまな種類のできものについて、その特徴や症状、治療法について詳しく解説していきます。

脇の下にできものができやすい理由

脇の下は、身体の中でも特にできものができやすい部位の一つです。その理由として、以下のような特徴が挙げられます。

皮膚の構造的特徴

脇の下の皮膚は、他の部位と比べて以下のような特徴があります。

皮脂腺や汗腺が多い
脇の下には皮脂腺やアポクリン汗腺、エクリン汗腺が密集しています。これらの腺が詰まることで、さまざまなできものの原因となります。

摩擦が多い
腕の動きによって常に皮膚同士が擦れ合い、また衣服との摩擦も多い部位です。この摩擦が毛穴の詰まりや炎症を引き起こすことがあります。

蒸れやすい環境
脇の下は密閉された空間になりやすく、汗をかきやすい上に通気性が悪いため、細菌が繁殖しやすい環境です。

リンパ節が存在
脇の下には腋窩リンパ節と呼ばれるリンパ節が集まっており、感染症や炎症に反応して腫れることがあります。

日常生活での刺激

日常的なケアや習慣も、脇の下のできものの原因となることがあります。

  • ムダ毛処理:カミソリや毛抜きによる処理で毛穴が傷つき、炎症や感染を起こすことがあります
  • 制汗剤の使用:制汗剤やデオドラント剤が毛穴を詰まらせることがあります
  • 衣服の締め付け:きつい下着や衣服による圧迫が刺激となります

脇の下のできものの主な種類

脇の下にできるできものには、さまざまな種類があります。ここでは代表的なものを紹介します。

1. 粉瘤(アテローム)

粉瘤は、脇の下のできもので最も多く見られるものの一つです。

特徴
皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に角質や皮脂などの老廃物が溜まってしまう良性腫瘍です。正式には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」といいます。触ると弾力のある球状のしこりとして感じられ、中央に小さな黒い点(開口部)が見られることがあります。

症状

  • 皮膚の下にやわらかい、または硬めのしこりを触れる
  • 通常は痛みがない
  • 徐々に大きくなることが多い
  • 細菌感染を起こすと赤く腫れて痛みを伴う(炎症性粉瘤)
  • 悪臭のある内容物が出ることがある

原因
毛穴の出口が何らかの原因で塞がれ、皮膚の一部が内側に入り込んで袋状の構造を作ることで発生します。外傷や体質的な要因が関係していると考えられていますが、明確な原因は不明です。

治療法
根本的な治療には手術が必要です。袋ごと摘出しないと再発するため、小切開または完全切除による手術が行われます。炎症を起こしている場合は、まず抗生物質で炎症を抑えてから手術を行うこともあります。

2. リンパ節の腫れ

脇の下のリンパ節が腫れることで、しこりとして触れることがあります。

特徴
リンパ節は身体の免疫システムの一部で、細菌やウイルスと戦う役割を担っています。感染や炎症に反応して腫れることがあり、これは身体が正常に防御反応を示している証拠です。

原因

  • 感染症:風邪、インフルエンザ、扁桃炎などの上気道感染
  • 局所的な感染:腕や手の傷からの細菌感染
  • 炎症性疾患:関節リウマチなどの自己免疫疾患
  • 悪性腫瘍:乳がん、リンパ腫、白血病などの転移(まれ)

症状

  • 豆粒大から小指の先くらいの大きさの複数のしこり
  • 押すと痛みがあることが多い
  • 動かすことができる(可動性がある)
  • 発熱や全身倦怠感を伴うことがある
  • 原因となる感染が治まると小さくなることが多い

受診の目安
以下のような場合は早めに医療機関を受診しましょう。

  • 2週間以上腫れが引かない
  • 徐々に大きくなっている
  • 硬くて動かない
  • 痛みがない腫れ(悪性腫瘍の可能性)
  • 発熱や体重減少を伴う
  • 夜間の大量の寝汗がある

3. 脂肪腫

脂肪腫は、脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。

特徴
皮膚の下の脂肪組織から発生する柔らかいしこりで、全身どこにでもできますが、脇の下にもよく見られます。厚生労働省の情報によると、中高年に多く見られる良性腫瘍の一つです。

症状

  • やわらかく弾力性のあるしこり
  • 通常は痛みがない
  • ゆっくりと大きくなる
  • 皮膚の上から動かすことができる
  • 大きさは数ミリから10センチ以上まで様々

原因
明確な原因は不明ですが、遺伝的要因や体質が関係していると考えられています。外傷が引き金となることもあります。

治療法
痛みがなく、日常生活に支障がなければ経過観察となることが多いです。大きくなって痛みが出たり、美容的に気になる場合は手術で摘出します。

4. 毛嚢炎(もうのうえん)

毛嚢炎は、毛穴に細菌が感染して炎症を起こした状態です。

特徴
毛穴の周囲が赤く腫れ、中心に膿を持つことが特徴です。脇の下は毛が多く、ムダ毛処理による刺激を受けやすいため、毛嚢炎ができやすい部位です。

原因

  • カミソリやシェーバーによる毛穴の傷
  • 毛抜きでの処理による毛穴の損傷
  • 不衛生な状態
  • 汗や皮脂による毛穴の詰まり
  • 黄色ブドウ球菌などの細菌感染

症状

  • 毛穴を中心とした赤い丘疹(きゅうしん)
  • 押すと痛みがある
  • 中心に白や黄色の膿が見える
  • 複数個できることが多い
  • かゆみを伴うことがある

治療法
軽度であれば自然に治ることもありますが、悪化する前に適切なケアが大切です。

  • 清潔を保つ
  • 抗菌薬入りの外用薬
  • 症状が強い場合は内服の抗生物質
  • 膿がたまっている場合は切開排膿

予防

  • ムダ毛処理の際は清潔な道具を使用
  • 処理後は保湿と清潔を心がける
  • 毛抜きでの処理は避ける
  • 蒸れないように通気性の良い衣服を選ぶ

5. 化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)

化膿性汗腺炎は、アポクリン汗腺の慢性的な炎症性疾患です。

特徴
脇の下、鼠径部(そけいぶ)、乳房の下など、アポクリン汗腺が多い部位に繰り返し膿瘍(のうよう)や結節ができる慢性的な病気です。日本皮膚科学会でも診療ガイドラインが示されている疾患です。

症状

  • 赤く腫れた痛みのあるしこり
  • 膿が出る
  • 治っても繰り返しできる
  • 瘢痕(はんこん)や色素沈着が残る
  • 悪臭を伴うことがある
  • 複数のしこりがトンネル状につながることがある

原因
毛包の詰まりから始まり、炎症が汗腺や周囲の組織に広がると考えられています。以下の要因が関係しています。

  • 喫煙
  • 肥満
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 遺伝的要因
  • 摩擦や刺激

治療法
早期の治療開始が重要です。

  • 抗生物質の内服や外用
  • 炎症を抑える薬剤
  • レーザー治療
  • 手術による病変部の切除
  • 生物学的製剤(重症例)

生活習慣の改善も重要で、禁煙、体重管理、摩擦の軽減などが推奨されます。

6. 副乳

副乳は、正常な乳房以外の場所に乳腺組織が存在する状態です。

特徴
脇の下は副乳ができやすい場所の一つです。人間の進化の過程で、複数あった乳腺の名残が残ったものと考えられています。

症状

  • やわらかいふくらみやしこり
  • 生理前や妊娠中に大きくなったり痛みが出る
  • 授乳期に張りや痛みを感じることがある
  • 乳頭や乳輪が見られることもある(完全副乳)
  • 通常は無症状

種類

  • 完全副乳:乳腺組織と乳頭・乳輪がある
  • 不完全副乳:乳腺組織のみで乳頭がない

治療法
症状がなければ治療の必要はありません。痛みや美容的な理由で治療を希望する場合は、手術で摘出することができます。妊娠・授乳期には症状が強くなることがあるため、その時期を避けて手術することが一般的です。

7. 脂漏性角化症

脂漏性角化症は、良性の皮膚腫瘍で、いわゆる「老人性イボ」とも呼ばれます。

特徴
加齢とともに増える茶色や黒色の隆起性病変で、表面がざらざらしているのが特徴です。

症状

  • 茶色〜黒色の扁平または隆起性の病変
  • 表面がざらざらしている
  • 痛みやかゆみはない
  • 徐々に大きくなったり、数が増える

原因
加齢と紫外線による皮膚の老化が主な原因です。

治療法
悪性ではないため治療の必要はありませんが、美容的に気になる場合や衣服との摩擦で症状が出る場合は、液体窒素による凍結療法やレーザー治療、手術などで除去できます。

8. その他のできもの

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)
末梢神経を覆う鞘から発生する良性腫瘍です。圧迫すると電気が走るような痛みを感じることがあります。

血管腫
血管が増殖してできる腫瘍で、赤みや青みを帯びた見た目が特徴です。

悪性腫瘍
まれですが、悪性リンパ腫や皮膚がん、乳がんの転移などの可能性もあります。以下のような特徴がある場合は早急に医療機関を受診しましょう。

  • 硬くて動かない
  • 急速に大きくなる
  • 痛みがない
  • 表面が潰瘍化している
  • 周囲のリンパ節も腫れている

できものの見分け方

脇の下のできものを自分で観察するときのポイントをまとめます。ただし、自己判断は危険ですので、心配な場合は必ず医療機関を受診してください。

観察のポイント

大きさ

  • 小さい(5mm以下):毛嚢炎、小さな粉瘤
  • 中程度(5mm〜3cm):粉瘤、リンパ節の腫れ、脂肪腫
  • 大きい(3cm以上):脂肪腫、大きくなった粉瘤

硬さ

  • 硬い:炎症を起こした粉瘤、悪性腫瘍の可能性
  • 柔らかい:脂肪腫、リンパ節の腫れ
  • 弾力がある:粉瘤

動きやすさ

  • よく動く:脂肪腫、リンパ節
  • 動かない:皮膚に癒着した腫瘍

痛みの有無

  • 痛みがある:炎症性粉瘤、毛嚢炎、リンパ節炎、化膿性汗腺炎
  • 痛みがない:非炎症性の粉瘤、脂肪腫、副乳、悪性腫瘍(初期)

表面の状態

  • 開口部がある:粉瘤
  • 膿が出る:炎症性粉瘤、毛嚢炎、化膿性汗腺炎
  • 赤く腫れている:炎症を伴う疾患

経過

  • 急に大きくなった:感染、炎症
  • ゆっくり大きくなる:良性腫瘍
  • 大きさが変わらない:古い粉瘤、脂肪腫

緊急性の高い症状

以下の症状がある場合は、早急に医療機関を受診してください。

  • 激しい痛みや発熱を伴う
  • 急速に大きくなる
  • 硬くて動かないしこり
  • 表面が潰瘍化している
  • 出血がある
  • 原因不明の体重減少や夜間の大量発汗を伴う
  • 複数のリンパ節が腫れている

診察と検査

脇の下のできもので医療機関を受診した場合、以下のような診察や検査が行われます。

問診

医師は以下のようなことを確認します。

  • いつ頃から気づいたか
  • 大きさの変化
  • 痛みの有無と程度
  • 発熱や全身症状の有無
  • 過去の病歴
  • 最近の感染症の有無
  • ムダ毛処理の方法
  • 家族歴

視診・触診

医師が実際にできものを見て触って確認します。

  • 大きさ、形状、硬さ
  • 可動性(動くかどうか)
  • 圧痛の有無
  • 皮膚の色調変化
  • 開口部の有無
  • 周囲のリンパ節の状態

画像検査

必要に応じて以下の検査が行われます。

超音波検査(エコー)
できものの内部構造を観察できる安全で簡便な検査です。液体成分が多いか、充実性か、血流の状態などを確認できます。

CT検査・MRI検査
腫瘍の広がりや深さ、周囲組織との関係を詳しく調べる必要がある場合に行われます。

マンモグラフィ
副乳が疑われる場合や、乳がんとの鑑別が必要な場合に行われます。

組織検査

悪性腫瘍が疑われる場合や、診断を確定するために組織を採取して顕微鏡で調べます。

細胞診
細い針を刺して細胞を採取する検査です。

組織診(生検)
小さく切開して組織の一部を採取し、詳しく調べます。最も確実な診断方法です。

治療方法

できものの種類や大きさ、症状によって治療方法が異なります。

経過観察

以下のような場合は、すぐに治療せず経過を見ることがあります。

  • 小さくて症状がない良性腫瘍
  • 感染症によるリンパ節の腫れ(原因の治療を行いながら)
  • 副乳(症状がない場合)

薬物療法

外用薬

  • 抗生物質軟膏:毛嚢炎、化膿性汗腺炎
  • ステロイド軟膏:炎症を抑える

内服薬

  • 抗生物質:細菌感染を伴う場合
  • 鎮痛薬:痛みが強い場合
  • 生物学的製剤:重症の化膿性汗腺炎

外科的治療

粉瘤の手術
粉瘤は手術で袋ごと摘出しないと再発します。以下の方法があります。

  • 小切開摘出術(へそ抜き法):小さな切開から内容物と袋を取り出す方法。傷が小さく済みます。
  • 完全切除:できものの上を切開し、袋を完全に摘出する方法。確実ですが傷跡が残ります。
  • くり抜き法:円形のメスでくり抜く方法。

手術は局所麻酔で行われ、日帰りで可能なことが多いです。炎症を起こしている場合は、まず抗生物質で炎症を落ち着かせてから手術することもあります。

脂肪腫の手術
局所麻酔下で切開し、脂肪腫を摘出します。大きさによっては全身麻酔で行うこともあります。

副乳の手術
症状がある場合や美容的に気になる場合、局所麻酔または全身麻酔下で摘出します。

化膿性汗腺炎の手術
病変部を広範囲に切除する手術が行われることがあります。

その他の治療

切開排膿
膿がたまっている場合、切開して膿を出します。

レーザー治療
化膿性汗腺炎や脂漏性角化症などに使用されることがあります。

凍結療法
液体窒素で凍結させて組織を壊死させる方法。脂漏性角化症などに用いられます。

予防とセルフケア

脇の下のできものを予防するために、日常生活で気をつけたいポイントを紹介します。

清潔の維持

適切な洗浄

  • 毎日入浴・シャワーで脇の下を清潔に保つ
  • 低刺激性の石鹸を使用
  • やさしく洗い、ゴシゴシこすらない
  • 洗った後はしっかり乾燥させる

制汗剤の適切な使用

  • 毛穴を詰まらせにくいタイプを選ぶ
  • つけすぎない
  • 就寝前には洗い流す

適切なムダ毛処理

処理方法の選択

  • 毛抜きでの処理は避ける(毛穴を傷つけやすい)
  • カミソリを使う場合は、清潔な刃で優しく処理
  • 電気シェーバーが肌への負担が少ない
  • 医療脱毛やエステ脱毛も選択肢

処理の注意点

  • 処理前に皮膚を清潔にする
  • シェービングクリームやジェルを使用
  • 毛の流れに沿って処理
  • 処理後は保湿ケア

衣服の選び方

通気性の良い素材

  • 綿や吸湿速乾性の素材を選ぶ
  • きつすぎる下着や衣服は避ける
  • 汗をかいたら着替える

摩擦の軽減

  • 縫い目やタグが当たらないものを選ぶ
  • 適度なゆとりのあるサイズ

生活習慣の改善

食生活

  • バランスの取れた食事
  • 脂質の摂りすぎに注意
  • ビタミンを十分に摂取

その他

  • 禁煙(化膿性汗腺炎のリスクを下げる)
  • 適正体重の維持
  • ストレス管理
  • 十分な睡眠

早期発見のために

自己チェック

  • 入浴時に脇の下を触って確認
  • 変化に気づいたら記録する
  • 写真を撮って経過を観察

定期検診

  • 健康診断を受ける
  • 気になることがあれば早めに受診

よくある質問

Q1. 脇の下のできものは自然に治りますか?

A. できものの種類によります。毛嚢炎のような感染性のものは適切なケアで自然治癒することもありますが、粉瘤や脂肪腫のような腫瘍は自然には消えません。また、放置することで大きくなったり、炎症を起こして症状が悪化することもあるため、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

Q2. できものが痛くないのですが、受診すべきですか?

A. 痛みがない場合でも受診をお勧めします。特に硬くて動かないしこりや、徐々に大きくなるしこりは、悪性腫瘍の可能性も考えられます。痛みの有無だけで判断せず、医師の診察を受けましょう。

Q3. 粉瘤は放置しても大丈夫ですか?

A. 小さくて症状がない粉瘤は経過観察でも構いませんが、細菌感染を起こすと急激に腫れて痛みを伴います。また、大きくなると手術の傷跡も大きくなります。小さいうちに手術で摘出することをお勧めします。

Q4. 脇の下のムダ毛処理はやめた方がいいですか?

A. 完全にやめる必要はありませんが、適切な方法で行うことが大切です。毛抜きでの処理は毛穴を傷つけやすいため避け、電気シェーバーなど肌への負担が少ない方法を選びましょう。繰り返し炎症を起こす場合は、医療脱毛も検討してください。

Q5. 市販薬で治せますか?

A. 毛嚢炎のような軽度の感染症であれば、抗菌作用のある外用薬で改善することもあります。ただし、しこりのあるできものは市販薬では治療できません。自己判断で薬を使用せず、まず医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。

Q6. 手術は痛いですか?

A. 手術は局所麻酔下で行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクっとした痛みを感じますが、その後は麻酔が効いて痛みを感じなくなります。術後は多少の痛みがありますが、処方される鎮痛薬で対応できる程度です。

Q7. 手術後の傷跡は残りますか?

A. 手術の方法や大きさによって異なりますが、傷跡は残ります。ただし、脇の下は皮膚のしわに沿って切開するため、時間が経つと目立たなくなることが多いです。小さな粉瘤であれば、小切開摘出術で目立たない傷で済むこともあります。

Q8. 悪性腫瘍の可能性はどのくらいありますか?

A. 脇の下のできものの多くは良性ですが、まれに悪性腫瘍のこともあります。硬くて動かない、急速に大きくなる、痛みがない、などの特徴がある場合は注意が必要です。自己判断せず、必ず医師の診察を受けてください。

Q9. 何科を受診すればいいですか?

A. 基本的には皮膚科を受診するのが良いでしょう。粉瘤や脂肪腫などの手術が必要な場合は、形成外科や皮膚外科を紹介されることもあります。リンパ節の腫れが疑われる場合は、内科でも診察を受けられます。

Q10. 再発することはありますか?

A. 粉瘤は袋を完全に摘出しないと再発します。また、化膿性汗腺炎は慢性的に繰り返す疾患です。再発を防ぐためには、根本的な治療と適切なセルフケアが重要です。

まとめ

脇の下のできものには、粉瘤、リンパ節の腫れ、脂肪腫、毛嚢炎、化膿性汗腺炎、副乳など、さまざまな種類があります。多くは良性で心配のないものですが、適切な診断と治療が必要なケースもあります。

以下のような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

  • できものに気づいてから2週間以上経過しても変化がない
  • 徐々に大きくなっている
  • 痛みや発熱を伴う
  • 硬くて動かない
  • 複数のリンパ節が腫れている

また、日常生活では以下のことに気をつけましょう。

  • 脇の下を清潔に保つ
  • 適切なムダ毛処理
  • 通気性の良い衣服を選ぶ
  • 入浴時に自己チェック

気になるできものを見つけたら、自己判断せず専門医の診察を受けることが大切です。早期発見・早期治療により、症状の悪化や合併症を防ぐことができます。

当院では、脇の下のできものに関する診察・検査・治療を行っています。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A」https://www.dermatol.or.jp/qa/
  2. 日本形成外科学会「形成外科で扱う疾患」https://www.jsprs.or.jp/
  3. 厚生労働省「e-ヘルスネット」https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  4. 国立がん研究センター「がん情報サービス」https://ganjoho.jp/
  5. 日本臨床皮膚科医会「ひふの病気」https://www.jocd.org/
  6. メディカルノート「医療情報」https://medicalnote.jp/

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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