
皮膚が赤く腫れ上がり、痛みや熱感を伴う「おでき」は、多くの方が経験する身近な皮膚トラブルです。適切な薬による治療で改善できますが、症状や原因を正しく理解することが重要です。この記事では、おできの原因から効果的な薬による治療法まで、皮膚科医が詳しく解説します。
目次
- おできとは?医学的な定義と正式名称
- おできの症状と進行度による分類
- おできができる原因とメカニズム
- おできと間違えやすい皮膚疾患との見分け方
- おできに使われる薬の種類と特徴
- 市販薬でのセルフケア方法
- 皮膚科で処方される薬による治療
- 漢方薬によるおできの治療
- 薬以外の治療法(切開排膿など)
- おできの予防法と日常ケア
- 病院を受診すべき目安とタイミング
- まとめ
- 参考文献
## 🔬 1. おできとは?医学的な定義と正式名称 皮膚が赤く腫れ上がり、痛みや熱感を伴う「おでき」は、多くの方が一度は経験したことのある身近な皮膚トラブルです。しかし、「おでき」という呼び方は一般的な俗称であり、医学的にはより正確な名称で分類されています。 おできは医学用語では「毛嚢炎(もうのうえん)」または「毛包炎(もうほうえん)」と呼ばれる皮膚感染症の一種です。毛穴の奥にある毛根を包んでいる部分「毛包」に細菌が感染することで炎症が起こります。 この毛嚢炎がさらに深部に進行し、毛包とその周囲の皮下組織にまで炎症が広がった状態を「癤(せつ)」と呼びます。一般的に「おでき」といえば、この癤を指すことが多いです。 さらに症状が進行し、複数の癤が融合してより広範囲に炎症が広がった状態は「癰(よう)」と呼ばれ、重症化しやすく全身症状を伴うこともあります。 また、顔の中心部にできた癤は「面疔(めんちょう)」と呼ばれ、昔から特に危険視されてきました。これは顔面の静脈が脳につながっているため、感染が広がると重篤な合併症を引き起こす可能性があるためです。
## 📊 2. おできの症状と進行度による分類 おできの症状は、その進行度によって段階的に変化していきます。それぞれの段階における特徴を理解しておくことで、適切な対処のタイミングを判断しやすくなります。 ### 🔹 初期症状(毛嚢炎の段階) おできの最初期には、毛穴の部分に一致して小さな赤い丘疹(きゅうしん)が現れます。 **初期症状の特徴:** – 中央部に白や黄色の膿を持った膿疱 – 軽度の痛み – かゆみや軽い刺激感 – 1つまたは複数箇所に同時発生 この段階では痛みは軽度で、かゆみや軽い刺激感を感じる程度です。 ### 🔹 中期症状(癤の段階) 毛嚢炎が進行すると、炎症が毛包の深部にまで及び、周囲の皮膚組織にも広がっていきます。 **中期症状の特徴:** – 皮膚の腫れが顕著 – 硬いしこりのような感触 – 赤みの増大と熱感 – 触れると強い痛み – 数日から数週間の継続 膿が溜まってくると、中心部がぶよぶよと軟化してきます。この状態が数日から数週間続いた後、やがて破裂して膿が排出されます。膿が出ると急速に痛みや腫れが引いて、治癒に向かうのが一般的な経過です。 ### 🔹 重症化した状態(癰の段階) 複数の癤が融合して癰(よう)になると、症状はさらに深刻化します。 **重症化した症状:** – 広範囲の皮膚の赤い腫れ – 複数箇所からの膿の排出 – 発熱や倦怠感 – 悪寒などの全身症状 癰の状態まで進行した場合は、市販薬での対処は困難であり、医療機関での専門的な治療が必要となります。 ### 🔹 おできができやすい部位 おできは体毛が生えている部位であればどこにでも発生する可能性がありますが、特に以下の部位に好発します。 **好発部位:** – 首の後ろ(衣服との摩擦が多い) – 脇の下(汗がたまりやすい) – 太ももやお尻(摩擦が多い) – 顔面(口周りや鼻の周囲) – 背中や胸(皮脂の分泌が盛ん)
## 🧬 3. おできができる原因とメカニズム おできの発生には、細菌感染が直接的な引き金となりますが、その背景にはさまざまな要因が複雑に絡み合っています。 ### 🔹 主な原因菌 おできの原因菌として最も一般的なのは「黄色ブドウ球菌」です。この菌は健康な人の皮膚や鼻腔にも常在しており、通常は問題を起こしません。しかし、何らかの要因で皮膚のバリア機能が低下すると、毛穴から侵入して感染を引き起こします。 **その他の原因菌:** – 表皮ブドウ球菌 – 溶血性連鎖球菌 – 緑膿菌(温浴毛包炎の原因) – マラセチア(真菌による毛包炎) 真菌(カビ)の一種であるマラセチアが毛包内で増殖して炎症を引き起こす「マラセチア毛包炎」もあり、これは細菌性のおできとは治療法が異なります。 ### 🔹 おできを誘発する要因 **皮膚の外傷:** – 髭剃りやムダ毛処理による微細な傷 – 引っ掻き傷 – 衣服による摩擦 皮膚の小さな傷は、細菌が侵入する入り口となります。 **スキンケア不良:** – 皮膚に残る汚れや汗 – 過剰な皮脂の蓄積 – 運動後のケア不足 不十分なスキンケアも重要な要因です。皮膚に汚れや汗、過剰な皮脂が残っていると、細菌が増殖しやすい環境が作られます。 **免疫力の低下:** – 睡眠不足 – 過度のストレス – 栄養バランスの偏り – 風邪などの体調不良 免疫力の低下も大きく影響します。体の抵抗力が落ちている状態では、通常は問題を起こさない常在菌であっても感染を引き起こすことがあります。 **基礎疾患:** – 糖尿病 – 免疫抑制状態 – ステロイド外用薬の長期使用 糖尿病などの基礎疾患がある方は、おできができやすく、また治りにくい傾向があります。これは血糖コントロールが不良な状態では免疫機能が低下し、創傷治癒も遅延するためです。
## 🔍 4. おできと間違えやすい皮膚疾患との見分け方 おできと似た症状を呈する皮膚疾患がいくつかあります。適切な治療を行うためには、これらを正しく見分けることが重要です。 ### 🔹 粉瘤(ふんりゅう)との違い おできと最も間違えやすい疾患が粉瘤です。粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物(嚢腫)ができ、その中に角質や皮脂が溜まった良性腫瘍です。 **見分けるポイント:** | 特徴 | おでき | 粉瘤 | |——|——–|——| | 発症の経過 | 数日で急速に発症 | ゆっくりと大きくなる | | 痛み | 初期から痛み | 感染まで無痛 | | 開口部 | なし | 黒い点(開口部)あり | | 治癒 | 適切治療で完治 | 袋ごと摘出が必要 | 粉瘤に細菌感染が起こると「炎症性粉瘤」となり、おできと非常に似た症状を呈しますが、治療法が異なるため、専門医による診断が重要です。 ### 🔹 ニキビとの違い ニキビ(尋常性ざ瘡)もおできと混同されやすい疾患です。 **主な違い:** | 項目 | ニキビ | おでき | |——|——–|——–| | 原因菌 | アクネ菌 | 黄色ブドウ球菌 | | 好発年齢 | 思春期 | 年齢を問わず | | 炎症の深度 | 浅い | 深い | | 症状の強さ | 軽度〜中度 | 中度〜重度 | ニキビだと思っていたできものが急に硬くなったり、腫れ上がってきたりした場合は、おできに進行している可能性があります。 ### 🔹 化膿性汗腺炎との違い 化膿性汗腺炎は、わきの下、鼠径部、お尻など、アポクリン汗腺が多い部位に好発する慢性の皮膚疾患です。 **特徴:** – 20代から40代に多い – 再発を繰り返す – 複数の膿瘍が癒合 – トンネル状のつながり – 慢性的な経過 単発のおできとは異なり、化膿性汗腺炎は複数の膿瘍が癒合してトンネル状につながることがあります。喫煙や肥満がリスク因子とされており、治療には生物学的製剤の注射薬が使用されることもあります。
## 💊 5. おできに使われる薬の種類と特徴 おできの治療には、主に抗生物質(抗菌薬)が使用されます。炎症の程度や範囲によって、外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)を使い分けます。 ### 🔹 外用抗生物質(塗り薬) 軽度から中等度のおできには、まず外用抗生物質が選択されることが多いです。 **主な外用抗生物質:** – **ゲンタマイシン軟膏(ゲンタシン軟膏など)** – アミノグリコシド系抗生物質 – 黄色ブドウ球菌に対して優れた抗菌力 – 皮膚科で最もよく処方される – **フシジン酸ナトリウム(フシジンレオ軟膏)** – 黄色ブドウ球菌に対する強い抗菌作用 – おできの治療に広く使用 – **ナジフロキサシン(アクアチム軟膏、クリーム)** – ニューキノロン系外用剤 – 化膿性皮膚疾患に効果的 – **オゼノキサシン(ゼビアックスローション)** – 新しいニューキノロン系外用剤 – **クリンダマイシン(ダラシンTゲル)** – リンコマイシン系抗生物質 – グラム陽性菌に対する抗菌活性 ### 🔹 内服抗生物質(飲み薬) おできが大きい場合、複数箇所に発生している場合、顔面にできた場合、全身症状を伴う場合などには、内服抗生物質が処方されます。 **主な内服抗生物質:** – **セフェム系抗生物質** – メイアクト錠、フロモックス錠など – 皮膚軟部組織感染症に広く使用 – 副作用が比較的少なく安全性が高い – **ペニシリン系抗生物質** – 黄色ブドウ球菌感染症に有効 – ペニシリンアレルギーのある方は使用不可 – **マクロライド系抗生物質** – クラリス錠、ルリッド錠など – 抗菌作用+抗炎症作用 – 副作用が出にくく長期服用に適す – **テトラサイクリン系抗生物質** – ミノマイシンなど – 抗炎症作用も併せ持つ – **ニューキノロン系抗生物質** – クラビット錠など – 広域スペクトラムの抗菌薬 ### 🔹 ステロイド配合剤 急性期の強い炎症を抑える目的で、抗生物質とステロイドを配合した外用剤が処方されることがあります。 **代表的なステロイド配合剤:** – リンデロンVG軟膏(ベタメタゾン+ゲンタマイシン) – デルモゾールG軟膏 **注意点:** – ステロイドには免疫抑制作用がある – 長期使用は逆効果となる可能性 – 使用は短期間(1週間以内程度)に限定 – 炎症が落ち着いたら抗生物質単剤に切り替え
## 🏪 6. 市販薬でのセルフケア方法 軽度のおでき(毛嚢炎程度)であれば、市販薬を使用したセルフケアで改善することも可能です。ただし、5〜6日使用しても改善が見られない場合は、使用を中止して皮膚科を受診することをお勧めします。 ### 🔹 抗生物質を配合した市販薬 **ドルマイシン軟膏** – コリスチンとバシトラシンの2種類の抗生物質を配合 – グラム陽性菌・陰性菌の両方に効果 – ステロイドを含んでいないため副作用の心配が少ない – 効能効果に「せつ」「よう」と記載 **テラマイシン軟膏** – オキシテトラサイクリンとポリミキシンBを配合 – 化膿してしまったおできに効果的 – ノンステロイドでデリケートゾーンにも使用可能 **クロマイN軟膏** – クロラムフェニコールとフラジオマイシンの2種類の抗生物質 – 抗真菌薬のナイスタチンも配合 – 細菌・真菌両方の感染に対応 – 油性軟膏で患部を保護 ### 🔹 抗生物質+ステロイド配合の市販薬 **テラコートリル軟膏** – オキシテトラサイクリン+ヒドロコルチゾン(弱めのステロイド) – 化膿を伴う湿疹や皮膚炎に効果 – 炎症とかゆみを同時に抑制 **ベトネベートN軟膏** – ベタメタゾン(ストロングクラスのステロイド)+フラジオマイシン – 炎症が強いときに適している – 顔への使用は避ける ### 🔹 おでき専用の市販薬 **オデキュアEX** – おでき治療に特化した市販薬 – スルファジアジン(化膿を抑制) – ジフェンヒドラミンサリチル酸塩(腫れを鎮静) – 膿を排出しやすくし痛みを軽減 ### 🔹 市販薬を選ぶ際のポイント **部位別の選び方:** **顔にできた場合:** – 皮膚が薄くデリケート – 強いステロイドは避ける – 抗生物質のみ、または弱いステロイドを含む薬を選択 **背中にできやすい場合:** – 黄色ブドウ球菌だけでなくマラセチア菌の可能性 – 抗真菌成分も含む薬が効果的 **デリケートゾーンの場合:** – 皮膚が薄く薬の吸収率が高い – ステロイドの強さに注意 – おできではない疾患の可能性も考慮
## 🏥 7. 皮膚科で処方される薬による治療 市販薬で改善しない場合や、症状が重い場合には、皮膚科を受診して適切な治療を受けることが重要です。皮膚科では、症状や原因菌に応じてより効果の高い処方薬を選択することができます。 ### 🔹 外用薬による治療 皮膚科で処方される外用抗生物質は、市販薬よりも高濃度かつ効果の高いものが選択できます。 **主な処方外用薬:** – ゲンタシン軟膏 – フシジンレオ軟膏 – アクアチム軟膏 – ダラシンTゲル 症状に応じて、抗生物質とステロイドの配合剤であるリンデロンVG軟膏やデルモゾールG軟膏が処方されることもあります。これらは短期間の使用で炎症を素早く鎮めたい場合に有効ですが、長期使用は避けるべきです。 ### 🔹 内服薬による治療 **内服抗生物質の適応:** – おできが大きい場合 – 複数箇所に発生している場合 – 糖尿病などで治りにくい場合 – 顔面にできた場合 **第一選択薬:** 一般的にはセフェム系抗生物質(メイアクト、フロモックスなど)が第一選択となることが多いです。 **その他の選択薬:** – **マクロライド系抗生物質**(クラリス、ルリッドなど) – 抗炎症作用も持つ – おできやニキビの治療に好んで使用 – **テトラサイクリン系**(ミノマイシンなど) – 抗菌作用と抗炎症作用を併せ持つ – 妊婦や小児には使用できない **服用期間と注意点:** – 通常4〜7日程度、症状によっては2週間程度 – 症状が改善しても指示された期間は飲み切る – 中途半端な中止は耐性菌発生のリスク ### 🔹 消炎鎮痛剤の併用 おできによる痛みが強い場合には、以下の消炎鎮痛剤が処方されることがあります。 **主な消炎鎮痛剤:** – ロキソニン(ロキソプロフェン) – カロナール(アセトアミノフェン) これらは直接おできを治す薬ではありませんが、痛みを軽減して日常生活の質を維持するのに役立ちます。
## 🌿 8. 漢方薬によるおできの治療 おできの治療には、西洋医学の抗生物質だけでなく、漢方薬も有効な選択肢となります。特に、おできを繰り返しやすい体質の改善や、抗生物質にアレルギーがある場合などに漢方薬が活用されています。 ### 🔹 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう) 排膿散及湯は、その名の通り膿を排出(排膿)する効果を持つ漢方薬です。患部が赤く腫れ、痛みを伴う化膿性の皮膚疾患に広く使用されています。 **特徴:** – 「漢方の抗生物質」とも呼ばれる – 体の中から化膿を鎮める効能 – 飲んで2〜3日でおできが自然に破れて膿が出る – 化膿が軽度な場合は破れずに治癒 – 体質(証)をあまり選ばず使用可能 また、抗生物質と異なり、排膿散及湯は悪い菌だけを追い出し、良い菌には影響を与えにくいとされています。抗生物質の乱用による耐性菌の問題が注目される中、漢方薬の役割は再評価されつつあります。 ### 🔹 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 十味敗毒湯は、おでき治療の代表的な漢方薬として古くから使用されてきました。 **適応:** – 初期の化膿を消散させる – 化膿が不十分でおできがまだ広がっている段階 – 化膿しやすい体質の改善 「毒」は昔の言葉で膿を意味しており、初期の化膿を消散させる目的で作られた処方です。単独で使用するよりも、黄連解毒湯などの清熱解毒剤と併用すると効果が高まることがあります。 ### 🔹 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) 荊芥連翹湯は、余分な熱を追い出し、首から上の炎症を改善するとされる漢方薬です。 **適応:** – 慢性的に化膿を繰り返すニキビ – 蓄膿症、慢性鼻炎 – 化膿しやすい体質の改善 化膿しやすい体質の方の体質改善に適しており、長期間継続して服用することで効果が期待できます。 ### 🔹 黄連解毒湯(おうれんげどくとう) 黄連解毒湯は、強力な清熱解毒作用を持つ漢方薬です。 **適応:** – 炎症が強く、患部が赤く熱を持っている状態 – 排膿散及湯と併用されることが多い ### 🔹 漢方薬使用上の注意点 漢方薬は西洋薬に比べて作用が穏やかですが、副作用が全くないわけではありません。 **主な注意点:** – 多くの漢方薬に含まれる甘草による「偽アルドステロン症」 – 症状:むくみ、血圧上昇、低カリウム血症 – 複数の漢方薬併用時は医師・薬剤師に相談 – 長期服用時も専門家への相談が必要
## ⚕️ 9. 薬以外の治療法(切開排膿など) おできの病巣部に膿が大量に溜まって自然に排膿されにくい場合や、薬物療法だけでは改善が見られない場合には、外科的な処置が必要となることがあります。 ### 🔹 切開排膿 おできが成熟して膿がたまり、中心部がぶよぶよと軟化してきた段階で行われることが多い処置です。 **処置の流れ:** 1. 局所麻酔を実施 2. メスで皮膚を小さく切開 3. 膿を排出 4. 滅菌済み生理食塩水で洗浄 5. 清潔なガーゼで覆う **メリット:** – 薬物療法のみより早い症状改善 – 痛みの迅速な軽減 **デメリット:** – 小さな傷跡が残る可能性 – 顔面の場合は特に慎重な処置が必要 切開排膿を行うと、薬物療法のみの場合よりも早く症状が改善することが多いです。ただし、小さな傷跡が残る可能性があります。 ### 🔹 穿刺排膿 切開ではなく、注射針を用いて膿を穿刺・吸引する方法もあります。 **特徴:** – 切開に比べて傷が小さい – 膿を完全に排出できないことがある – より低侵襲な処置 ### 🔹 ステロイド局所注射 まれなケースですが、おできの治りを良くするために、直接皮膚にステロイドを注射することがあります。 **使用薬剤:** – トリアムシノロン(ケナコルト) – ベタメタゾン **目的:** – 炎症を強力に抑制 **注意点:** – 副作用の可能性 – 適応は限定的 これは炎症を強力に抑える目的で行われますが、副作用の可能性もあるため、適応は限られます。
## 🛡️ 10. おできの予防法と日常ケア おできは一度できると不快な症状を伴いますが、日頃からの予防と適切なケアによって発生リスクを大幅に減らすことができます。特に再発を繰り返す方は、生活習慣の見直しが重要です。 ### 🔹 皮膚を清潔に保つ 皮膚を清潔に保つことは、おでき予防の基本中の基本です。ただし、ただ洗えば良いというわけではありません。 **基本的な清潔ケア:** – 毎日の入浴やシャワーで汚れ・汗・皮脂を除去 – 汗をかきやすい夏場や運動後はこまめにシャワー – 清潔なタオルで汗を拭き取る **正しい洗浄方法:** – 石鹸やボディソープをよく泡立てる – 泡で皮膚を包み込むように優しく洗う – ゴシゴシ洗いは禁物(バリア機能を傷つける) – 石鹸成分が残らないようしっかり洗い流す ### 🔹 適切な保湿ケア 入浴後には化粧水やクリームを使用して、肌状態を整えましょう。 **保湿のポイント:** – 過度な乾燥はバリア機能を低下させる – さらっとしたタイプの保湿剤を適量使用 – 油分の多すぎるクリームは毛穴を塞ぐ可能性 ### 🔹 皮膚を傷つけない **髭剃り・ムダ毛処理の注意点:** – 切れ味の悪いカミソリは定期的に交換 – シェービングジェルを十分に使用 – カミソリ負けを繰り返す場合は電気シェーバーに変更 髭剃りやムダ毛処理の際には、皮膚を傷つけないよう注意しましょう。 ### 🔹 免疫力を高める生活習慣 **睡眠・食事・運動:** – 十分な睡眠(睡眠不足は免疫機能を低下) – バランスの良い食事(ビタミンA、C、E、亜鉛が重要) – 適度な運動(運動後は早めにシャワー) **ストレス管理:** – ヨガや瞑想 – ウォーキング – 自分に合ったストレス解消法を見つける 睡眠や食生活を整え、体の免疫力を高めることも重要な予防策です。 ### 🔹 衣服・下着の選び方 **適切な素材選択:** – 通気性の良い天然素材(綿100%など) – ナイロンやポリエステルは蒸れやすい – 適度なゆとりのあるサイズを選択 きつすぎる衣服は摩擦を増やし、毛包を傷つけやすくなります。 ### 🔹 タオルや寝具の管理 **衛生管理のポイント:** – 使用したタオルは他の人と共有しない – タオルや寝具は定期的に洗濯 – 湿ったタオルは放置せず乾燥させる 使用したタオルは他の人と共有しないようにしましょう。おできの原因菌がタオルを介して感染が広がる可能性があります。
## 🚨 11. 病院を受診すべき目安とタイミング おできの多くは適切なセルフケアで改善しますが、以下のような場合には速やかに医療機関(皮膚科)を受診することをお勧めします。 ### 🔹 早めに受診すべき症状 **緊急性が高い症状:** – 痛みが強く日常生活に支障がある – おできが大きく腫れている(直径2〜3cm超) – 発熱や全身倦怠感などの全身症状 – 顔面、特に鼻や口の周囲にできた場合 **注意が必要な状況:** – おできを繰り返しできる – 市販薬を5〜6日使用しても改善なし – できものがおできか粉瘤か判断がつかない – 糖尿病などの基礎疾患がある **特に危険な部位:** 顔面、特に鼻や口の周囲にできた場合は注意が必要です。この部位の静脈は脳につながっているため、感染が広がると重篤な合併症を引き起こす可能性があります。 **繰り返す場合の注意:** おできを繰り返しできる場合は、単なるおできではなく化膿性汗腺炎など別の疾患の可能性があります。また、糖尿病などの基礎疾患が隠れていることもあるため、一度詳しい検査を受けることをお勧めします。 ### 🔹 受診時に伝えるべき情報 医療機関を受診する際には、以下の情報を伝えると診察がスムーズに進みます。 **症状に関する情報:** – いつからおできができたか – 症状の経過はどうか – 痛みの程度 – 発熱などの全身症状の有無 **既往歴・治療歴:** – 過去にも同じような症状があったか – いつ頃でどのように治ったか – これまでに使用した市販薬とその効果 **基礎情報:** – 持病の有無(糖尿病など) – 普段飲んでいる薬 – 薬のアレルギーの有無 糖尿病などの持病がある場合や、普段飲んでいる薬がある場合も必ず伝えてください。薬のアレルギーがある場合は、事前に申告することが重要です。

## 📚 13. 参考文献
- 毛包炎(毛嚢炎)|ひふ研|第一三共ヘルスケア
- 毛嚢炎について|メディカルノート
- おでき(毛嚢炎)原因・症状・治療法|肌トラブル情報館|池田模範堂
- 毛嚢炎(毛包炎)の原因|症状・疾患ナビ|健康サイト|アリナミン製薬
- 漢方薬122「排膿散及湯(ハイノウサンキュウトウ)」|巣鴨千石皮ふ科
- 排膿散及湯の効果・副作用|ウチカラクリニック
- ニキビの漢方治療|漢・方・優・美|クラシエ薬品
- にきびに効果が期待できる漢方薬とは?|CLINIC FOR
監修者医師
高桑 康太 医師
保有資格
ミラドライ認定医
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
- 皮膚腫瘍・皮膚外科領域で15年以上の臨床経験と30,000件超の手術実績を持ち、医学的根拠に基づき監修を担当
- 専門分野:皮膚腫瘍、皮膚外科、皮膚科、形成外科
- 臨床実績(2024年時点) 皮膚腫瘍・皮膚外科手術:30,000件以上、腋臭症治療:2,000件以上、酒さ・赤ら顔治療:1,000件以上
- 監修領域 皮膚腫瘍(ほくろ・粉瘤・脂肪腫など)、皮膚外科手術、皮膚がん、一般医療コラムに関する医療情報
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務
おできの多くは黄色ブドウ球菌感染が原因ですが、近年マラセチア毛包炎との鑑別が重要になってきています。特に背中や胸に繰り返すできものは、真菌が原因の可能性もあるため、抗生物質が効かない場合は抗真菌薬による治療を検討する必要があります。正確な診断により、適切な治療選択が可能となります。