顔に脂肪の塊ができる原因と対処法|種類別の症状・治療方法を専門医が解説

はじめに

鏡を見たときに、顔に小さな膨らみや塊のようなものを発見して不安になった経験はありませんか?「これは何だろう」「もしかして悪いものでは?」と心配になる方も多いでしょう。顔にできる脂肪の塊のような症状は、実は多くの方が経験する一般的な皮膚のトラブルです。

顔に脂肪の塊ができる症状には、いくつかの種類があります。代表的なものとして、粉瘤(アテローム)、脂肪腫、稗粒腫(はいりゅうしゅ)などがあり、それぞれ原因や治療法が異なります。多くの場合は良性のものですが、放置すると大きくなったり、炎症を起こしたりすることもあるため、適切な診断と対処が重要です。

この記事では、顔にできる脂肪の塊について、その種類や原因、症状、治療方法まで詳しく解説していきます。アイシークリニック上野院では、これらの症状に対して日帰り手術による治療を行っており、多くの患者様の悩みを解決してきました。顔にできた気になる塊について正しい知識を持ち、適切な対応ができるよう、専門医の視点からわかりやすくご説明します。

顔にできる脂肪の塊の主な種類

顔にできる「脂肪の塊」のように見える症状には、実はいくつかの異なる疾患があります。見た目は似ていても、その正体や治療法は大きく異なるため、正しい診断が不可欠です。ここでは、代表的な4つの疾患について詳しく見ていきましょう。

粉瘤(アテローム)

粉瘤は、顔にできる脂肪の塊のような症状の中で最も多く見られるものの一つです。正式には「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」または「アテローム」と呼ばれ、皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に老廃物や角質が溜まることで形成されます。

粉瘤の特徴として、以下のようなポイントがあります。

粉瘤の主な特徴

  • 中心部に黒い点(開口部)が見られることが多い
  • 触ると弾力があり、動かすことができる
  • 徐々に大きくなっていく傾向がある
  • 細菌感染すると赤く腫れ、痛みを伴うことがある
  • 悪臭を伴う内容物が出ることがある

粉瘤は体のどこにでもできる可能性がありますが、顔面では特に頬、顎、耳たぶの周辺、額などにできやすい傾向があります。大きさは数ミリから数センチまで様々で、放置すると徐々に大きくなることが多いのが特徴です。

粉瘤ができる原因は完全には解明されていませんが、毛穴が何らかの理由で詰まり、皮膚の一部が内側に入り込んで袋状の構造を作ることで発生すると考えられています。外傷やニキビの痕、体質的な要因なども関係していると言われています。

脂肪腫

脂肪腫は、皮下組織に脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。粉瘤と並んで、顔の脂肪の塊として訴えられることが多い疾患の一つです。

脂肪腫の主な特徴

  • 柔らかくて弾力性がある
  • 皮膚の深いところにできることが多い
  • 痛みはほとんどない
  • ゆっくりと成長する
  • 表面の皮膚は正常な色をしている
  • 押すと少し動く感触がある

脂肪腫は粉瘤と比べると、より深い層にできるため、表面からは単なる膨らみとして認識されることが多いです。顔面では額や頬にできることがあり、大きさは数ミリから数センチまで様々です。

脂肪腫の発生原因も完全には解明されていませんが、遺伝的要因や体質、外傷などが関係していると考えられています。多発性の脂肪腫が見られる場合もあり、これは家族性の傾向があることも知られています。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)

稗粒腫は、顔、特に目の周りにできやすい小さな白い粒状の塊です。「脂肪の粒」「白いプツプツ」などと表現されることも多く、美容的な観点から気にされる方が多い症状です。

稗粒腫の主な特徴

  • 1〜2ミリ程度の小さな白い粒
  • 目の周り、特に目の下や頬骨の上部に多い
  • 痛みやかゆみはない
  • 表面がやや盛り上がっている
  • 複数個できることが多い
  • 硬めの触感がある

稗粒腫は、毛穴や皮脂腺の出口が塞がれ、角質や皮脂が溜まることでできる小さな嚢胞です。新生児にできることもあり、その場合は「新生児稗粒腫」と呼ばれ、自然に消失することが多いです。一方、成人にできる稗粒腫は自然消失しにくく、美容的な理由から治療を希望される方が多くいらっしゃいます。

黄色腫

黄色腫は、脂質代謝異常により皮膚に黄色い塊ができる疾患です。顔にできる場合、特にまぶたにできることが多く、「眼瞼黄色腫(がんけんおうしょくしゅ)」と呼ばれます。

黄色腫の主な特徴

  • 黄色からオレンジ色の扁平な隆起
  • まぶた、特に上まぶたの内側にできやすい
  • 柔らかく、痛みはない
  • 左右対称にできることが多い
  • 脂質異常症と関連していることがある

黄色腫は、他の疾患と異なり、体内の脂質代謝の異常を反映している可能性があります。そのため、黄色腫が見つかった場合は、血液検査で脂質の値を確認することが重要です。高コレステロール血症や高中性脂肪血症などの基礎疾患が隠れていることもあります。

顔に脂肪の塊ができる原因

顔に脂肪の塊ができる原因は、疾患の種類によって異なりますが、いくつかの共通する要因や背景があります。ここでは、主な原因について詳しく見ていきましょう。

毛穴の詰まりと皮脂の蓄積

粉瘤や稗粒腫の主な原因として、毛穴や皮脂腺の詰まりが挙げられます。皮膚には無数の毛穴があり、そこから皮脂が分泌されています。何らかの理由でこの出口が塞がれると、内部に皮脂や角質などの老廃物が蓄積し、塊を形成します。

顔は体の中でも特に皮脂腺が発達している部位であり、Tゾーン(額から鼻にかけて)は特に皮脂の分泌が活発です。そのため、顔には脂肪の塊ができやすい環境が整っていると言えます。

毛穴が詰まる要因としては、以下のようなものがあります。

  • 過剰な皮脂分泌
  • 古い角質の蓄積
  • メイク汚れの残留
  • 不適切なスキンケア
  • ホルモンバランスの変化

外傷や炎症による影響

外傷や皮膚の炎症も、顔に脂肪の塊ができる原因となることがあります。特に粉瘤の場合、過去にニキビができた跡や、軽い外傷を受けた部位に発生しやすいことが知られています。

外傷によって皮膚の構造が乱れると、表皮の一部が皮下に入り込み、そこで袋状の構造を作ることがあります。この袋の中に角質や皮脂が蓄積することで、粉瘤が形成されるのです。

また、繰り返すニキビの炎症や、誤った自己処理(指で潰すなど)も、皮膚組織にダメージを与え、後に粉瘤などの塊ができるリスクを高めます。

遺伝的・体質的要因

脂肪腫や多発性の粉瘤は、遺伝的・体質的な要因が関与していることが知られています。家族内で同様の症状が見られることも多く、体質的にこれらの塊ができやすい方がいらっしゃいます。

脂肪腫に関しては、脂肪細胞の増殖を制御する遺伝子の変異が関係している可能性が研究されています。また、粉瘤も体質的にできやすい方がおり、一度治療しても別の場所に再発することがあります。

加齢による変化

加齢とともに、皮膚の新陳代謝が低下し、角質が厚くなりやすくなります。これにより、毛穴が詰まりやすくなり、粉瘤や稗粒腫ができるリスクが高まります。

また、皮膚の弾力性が失われることで、皮下組織の構造も変化し、脂肪腫などができやすくなることもあります。加齢に伴うホルモンバランスの変化も、皮脂分泌に影響を与え、これらの疾患の発生に関係していると考えられています。

脂質代謝異常

黄色腫の場合、体内の脂質代謝異常が直接的な原因となります。血中のコレステロールや中性脂肪の値が高い状態が続くと、これらの脂質が皮膚に沈着し、黄色腫を形成します。

脂質代謝異常は、以下のような要因で起こります。

  • 遺伝性の脂質異常症
  • 高カロリー・高脂肪の食生活
  • 運動不足
  • 肥満
  • ストレス
  • 糖尿病や甲状腺機能低下症などの基礎疾患

黄色腫が見られる場合は、これらの背景にある健康問題にも注意を払う必要があります。

生活習慣の影響

日常的な生活習慣も、顔に脂肪の塊ができることに影響を与えます。

食生活の影響 脂肪分や糖質の多い食事は、皮脂の分泌を増加させ、毛穴の詰まりを引き起こしやすくします。また、ビタミンやミネラルが不足すると、皮膚の新陳代謝が低下し、角質が厚くなりやすくなります。

スキンケアの影響 過度な洗顔や不適切なスキンケアは、皮膚のバリア機能を低下させ、毛穴の詰まりや炎症を引き起こす原因となります。反対に、洗顔不足でメイク汚れや皮脂が残ることも、毛穴の詰まりにつながります。

睡眠とストレス 睡眠不足やストレスは、ホルモンバランスを乱し、皮脂の分泌を増加させます。また、免疫力の低下により、小さな傷や炎症が治りにくくなり、それが粉瘤などの発生につながることもあります。

症状の見分け方と診断

顔にできた脂肪の塊のような症状を正確に診断することは、適切な治療を行う上で非常に重要です。見た目や触った感触、症状の経過などから、ある程度は推測できますが、最終的には専門医による診察が必要です。

粉瘤の見分け方

粉瘤を他の疾患と見分けるポイントは以下の通りです。

視診でのポイント

  • 中心部に小さな黒い点(開口部)がある
  • 皮膚の表面から盛り上がっている
  • 感染を起こすと赤く腫れて痛みを伴う
  • 内容物を絞ると、白いドロドロとした物質や悪臭のある物質が出ることがある

触診でのポイント

  • 弾力性のある触感
  • 周囲の組織とは分離して動く
  • 球状またはドーム状の形をしている
  • 非感染時は通常痛みがない

粉瘤は、初期段階では数ミリ程度の小さなものですが、放置すると数センチ大にまで成長することがあります。また、細菌感染を起こすと「炎症性粉瘤」となり、急速に腫れて強い痛みを伴うようになります。

脂肪腫の見分け方

脂肪腫の特徴的な所見は以下の通りです。

視診でのポイント

  • 表面の皮膚は正常な色
  • なだらかな膨らみ
  • 開口部などの特徴的な構造はない

触診でのポイント

  • 柔らかく弾力性がある(「ゴムまり様」と表現されることもある)
  • 境界が比較的明瞭
  • 押すとわずかに移動する
  • 痛みはほとんどない

脂肪腫は粉瘤よりも深い層にできるため、表面からはただの膨らみとして認識されることが多いです。成長速度は非常にゆっくりで、何年もかけて徐々に大きくなります。

稗粒腫の見分け方

稗粒腫は、その小ささと特徴的な見た目から比較的診断しやすい疾患です。

視診でのポイント

  • 1〜2ミリ程度の小さな白い粒
  • 目の周り、特に下まぶたや頬骨の上部に多い
  • 複数個が集まってできることが多い
  • 表面が滑らかで光沢がある

触診でのポイント

  • 硬めの触感
  • 粒状の形状
  • 痛みやかゆみはない

稗粒腫は自然に消失することは少なく、長期間同じ状態が続くことが多いです。ニキビと間違えられることもありますが、ニキビのように炎症を起こすことはありません。

黄色腫の見分け方

黄色腫は、その特徴的な色から他の疾患と区別しやすい傾向があります。

視診でのポイント

  • 黄色からオレンジ色の扁平な隆起
  • まぶた、特に上まぶたの内側に多い
  • 左右対称にできることが多い
  • 境界が比較的明瞭

触診でのポイント

  • 柔らかい触感
  • 痛みはない
  • 皮膚に固着している

黄色腫が見られた場合は、脂質代謝異常の可能性を考慮し、血液検査を行うことが推奨されます。

医療機関での診断方法

セルフチェックである程度の見当はつきますが、正確な診断のためには医療機関での検査が必要です。

問診 医師は以下のような情報を聞き取ります。

  • いつ頃から気になり始めたか
  • 大きさの変化はあるか
  • 痛みやかゆみはあるか
  • 過去に同様の症状があったか
  • 家族に同じような症状の人がいるか

視診・触診 実際に患部を見て、触って、その性状を確認します。専門医は、色、形、大きさ、硬さ、可動性、周囲組織との関係などを詳しく観察します。

超音波検査 皮膚の深い層にある病変や、内部の構造を確認するために超音波検査を行うことがあります。超音波検査では、以下のような情報が得られます。

  • 病変の深さ
  • 内部の性状(液体か固形か)
  • 周囲組織との関係
  • 血流の有無

超音波検査は痛みがなく、リアルタイムで観察できるため、診断だけでなく治療の計画を立てる際にも有用です。

ダーモスコピー検査 皮膚の表面を拡大して観察する検査です。特に稗粒腫や小さな粉瘤の診断に役立ちます。

病理組織検査 摘出した組織を顕微鏡で詳しく調べる検査です。良性か悪性かの最終診断や、正確な疾患名を確定するために行われます。多くの場合、切除した組織を用いて手術後に実施されます。

血液検査 黄色腫の場合、脂質代謝異常の有無を確認するために血液検査を行います。総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などの値を測定します。

治療方法について

顔にできた脂肪の塊の治療方法は、その種類や大きさ、症状によって異なります。ここでは、それぞれの疾患に対する主な治療方法について詳しく解説します。

粉瘤の治療

粉瘤の治療の基本は「手術による摘出」です。粉瘤は皮膚の下に袋状の構造物があるため、この袋を完全に取り除かない限り再発してしまいます。自然に消失することはなく、放置すると徐々に大きくなる傾向があります。

非炎症時の手術(待機的手術) 粉瘤に炎症が起きていない時期に行う手術です。アイシークリニック上野院では、主に以下の方法で治療を行っています。

くり抜き法(へそ抜き法) 最小限の切開で粉瘤を摘出する方法です。粉瘤の中心部分に小さな穴を開け、内容物を排出した後、袋状の構造物を取り除きます。傷跡が小さく、顔の手術に適しています。局所麻酔下で行われ、手術時間は15〜30分程度です。

小切開法 粉瘤の直径より少し小さめの切開を加え、内容物と袋を摘出する方法です。くり抜き法と同様に傷跡を最小限にすることができます。

切除法 粉瘤全体を周囲の皮膚と一緒に紡錘形に切除する方法です。大きな粉瘤や、何度も炎症を繰り返した粉瘤に対して行われることがあります。切開線は粉瘤の直径より大きくなりますが、確実に袋を取り除くことができます。

炎症時の対応 粉瘤が細菌感染を起こして炎症を起こしている場合(炎症性粉瘤)は、以下のような段階的な治療を行います。

まず抗生物質の内服や外用で炎症を抑えます。膿が溜まっている場合は、切開して膿を排出させる処置(切開排膿)を行います。この時点では袋の摘出は行わず、炎症が落ち着いてから改めて根治手術を行います。

炎症が激しい時期に無理に袋を取ろうとすると、組織が脆弱になっているため袋が破れやすく、完全に摘出できない可能性が高くなります。また、傷の治りも悪くなり、傷跡が目立ちやすくなります。

手術後のケア 手術後は、以下のようなケアが重要です。

  • 処方された抗生物質を指示通り服用する
  • 患部を清潔に保つ
  • 激しい運動や入浴は数日間控える
  • 患部に過度な刺激を与えない

抜糸は通常、顔の場合は7日前後で行います。傷跡は時間とともに目立たなくなっていきます。

脂肪腫の治療

脂肪腫も粉瘤と同様に、手術による摘出が基本的な治療法です。ただし、脂肪腫は急速に大きくなることは少なく、痛みなどの症状もないため、小さくて美容的に問題がない場合は経過観察も選択肢となります。

手術の適応 以下のような場合に手術が検討されます。

  • 美容的に気になる
  • 徐々に大きくなっている
  • 痛みや違和感がある
  • 悪性の腫瘍との鑑別が必要

手術方法 脂肪腫の上の皮膚を切開し、脂肪腫を周囲の組織から剥離して摘出します。脂肪腫は被膜に包まれているため、この被膜ごと取り除くことが重要です。局所麻酔下で行われ、手術時間は大きさによって異なりますが、30分〜1時間程度です。

顔面の脂肪腫の場合、美容的な配慮が特に重要となります。できるだけ目立たない部位に切開線を設定し、丁寧に縫合することで、傷跡を最小限にすることができます。

稗粒腫の治療

稗粒腫は自然に消失することは少なく、治療を希望する場合は医療機関での処置が必要です。ただし、小さくて目立たない場合は、必ずしも治療の必要はありません。

針による圧出法 最も一般的な治療方法です。細い針で稗粒腫の表面に小さな穴を開け、中身の角質を押し出します。処置は数分で終わり、痛みもほとんどありません。ただし、複数個ある場合は何回かに分けて処置を行うこともあります。

レーザー治療 CO2レーザーなどを用いて稗粒腫を除去する方法もあります。針による圧出法と比べて、より確実に除去でき、再発のリスクも低いとされています。

ケミカルピーリング 稗粒腫の予防や、ごく初期の小さなものに対して有効なことがあります。ピーリングによって角質の蓄積を防ぎ、毛穴の詰まりを改善します。

黄色腫の治療

黄色腫の治療は、美容的な改善だけでなく、背景にある脂質代謝異常への対応も重要です。

内科的治療 まず、血液検査で脂質の値を確認し、異常が見られる場合は食事療法や運動療法、必要に応じて薬物療法を行います。スタチンなどのコレステロール低下薬が処方されることもあります。

脂質の値を正常化することで、黄色腫の進行を抑え、場合によっては縮小させることもできます。

外科的治療 美容的に気になる場合や、大きくなった黄色腫に対しては、外科的に切除することもできます。まぶたの黄色腫の場合、眼科や形成外科で治療が行われます。

レーザー治療 CO2レーザーやエルビウムヤグレーザーなどを用いて、黄色腫を除去する方法もあります。切除と比べて傷跡が目立ちにくいというメリットがあります。

ただし、黄色腫の場合、治療後も脂質代謝異常が続いていれば再発する可能性があるため、継続的な内科的管理が重要です。

アイシークリニック上野院での治療の特徴

アイシークリニック上野院では、顔にできた脂肪の塊に対して、以下のような特徴を持った治療を提供しています。

日帰り手術 ほとんどの症例で日帰り手術が可能です。入院の必要がないため、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

局所麻酔による手術 局所麻酔を用いるため、全身麻酔のリスクを避けることができます。手術中の意識はありますが、痛みはほとんど感じません。

美容面への配慮 顔の手術では特に美容面への配慮が重要です。できるだけ小さな切開で、目立たない部位に傷を作るよう心がけています。また、丁寧な縫合技術により、傷跡を最小限にすることができます。

経験豊富な専門医による治療 粉瘤や脂肪腫などの良性腫瘍の治療経験が豊富な医師が診察・手術を行います。適切な診断と、患者様一人ひとりに最適な治療法の選択が可能です。

予防と日常的なケア

顔に脂肪の塊ができるのを完全に予防することは難しいですが、適切なスキンケアと生活習慣によって、そのリスクを減らすことは可能です。

適切な洗顔とスキンケア

正しい洗顔方法 毛穴の詰まりを防ぐためには、適切な洗顔が重要です。ただし、洗いすぎは逆効果となることもあるため、バランスが大切です。

朝晩2回、ぬるま湯で優しく洗顔します。洗顔料はしっかりと泡立て、肌をこすらないよう泡で包み込むように洗います。洗顔後は清潔なタオルで優しく押さえるように水分を拭き取ります。

メイク落としの重要性 メイクをした日は、必ずクレンジングで丁寧にメイクを落とします。メイク汚れが毛穴に残ると、詰まりの原因となります。ただし、過度なクレンジングは皮膚のバリア機能を低下させるため、肌に優しいタイプのクレンジング剤を選びましょう。

保湿の重要性 洗顔後は速やかに保湿を行います。肌が乾燥すると、過剰な皮脂分泌を引き起こすことがあるため、適度な保湿は重要です。ただし、油分の多すぎるクリームは毛穴を詰まらせる可能性があるため、自分の肌質に合ったものを選びましょう。

定期的な角質ケア 古い角質の蓄積を防ぐため、週に1〜2回程度、ピーリング効果のある洗顔料やスクラブを使用するのも効果的です。ただし、やりすぎは肌に負担をかけるため、頻度には注意が必要です。

食生活の改善

皮脂分泌をコントロールする食事 脂肪分や糖質の多い食事は皮脂の分泌を増加させるため、バランスの取れた食事を心がけます。特に以下の栄養素を意識して摂取しましょう。

ビタミンB群 皮脂の分泌を調整し、皮膚の健康を保つために重要です。豚肉、レバー、納豆、卵などに多く含まれます。

ビタミンC コラーゲンの生成を助け、皮膚の健康を保ちます。柑橘類、ブロッコリー、パプリカなどに多く含まれます。

ビタミンE 抗酸化作用があり、皮膚の老化を防ぎます。ナッツ類、植物油、かぼちゃなどに多く含まれます。

亜鉛 皮膚の新陳代謝に関わる重要なミネラルです。牡蠣、牛肉、納豆などに多く含まれます。

脂質代謝を整える食事 黄色腫の予防には、脂質代謝を整える食生活が重要です。

  • 飽和脂肪酸(肉の脂身、バターなど)の摂取を控える
  • 不飽和脂肪酸(魚、植物油、ナッツ類)を適度に摂取する
  • 食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこ類)を積極的に摂る
  • トランス脂肪酸を含む食品(マーガリン、ショートニングを使った菓子類など)を避ける

生活習慣の改善

十分な睡眠 睡眠不足はホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌や肌のターンオーバーの乱れにつながります。質の良い睡眠を7〜8時間確保するよう心がけましょう。

ストレス管理 ストレスもホルモンバランスに影響を与え、皮脂の分泌を増加させます。適度な運動、趣味の時間、リラックスする時間を持つことで、ストレスを軽減しましょう。

適度な運動 運動は血行を促進し、新陳代謝を高めます。また、汗をかくことで毛穴の詰まりを防ぐ効果も期待できます。ウォーキングやジョギング、ヨガなど、無理のない範囲で継続できる運動を選びましょう。

紫外線対策 紫外線は皮膚にダメージを与え、肌のターンオーバーを乱します。外出時は日焼け止めを使用し、帽子や日傘なども活用しましょう。

やってはいけないこと

自己判断での処置 顔にできた塊を自分で潰したり、針で刺したりすることは絶対に避けてください。以下のようなリスクがあります。

  • 細菌感染のリスク
  • 炎症の悪化
  • 傷跡が残る
  • 内容物が皮下に散らばり、悪化する(特に粉瘤の場合)

過度な刺激 気になるからといって、頻繁に触ったり、強く押したりすることは避けましょう。刺激によって炎症を引き起こす可能性があります。

不適切なスキンケア製品の使用 自分の肌質に合わない化粧品や、油分の多すぎる製品の使用は、毛穴の詰まりを悪化させる可能性があります。

よくある質問(FAQ)

Q1: 顔にできた塊は放置しても大丈夫ですか?

A: 良性の腫瘍であれば、直ちに健康に害を及ぼすことはありません。しかし、以下の理由から、早めの受診をお勧めします。
粉瘤の場合、放置すると徐々に大きくなる傾向があります。大きくなってからの手術は、傷跡も大きくなりがちです。また、炎症を起こすと痛みを伴い、緊急の処置が必要になることもあります。小さいうちに治療すれば、より小さな傷で済み、治療後の経過も良好です。
また、自己判断では良性か悪性かの判断ができません。稀ではありますが、悪性の腫瘍が皮膚の塊として現れることもあるため、専門医による診断が重要です。

Q2: 手術は痛いですか?

A: 手術は局所麻酔下で行われるため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔の注射時にチクッとした痛みを感じることはありますが、その後は患部の感覚がなくなります。
手術後、麻酔が切れてから多少の痛みや腫れを感じることがありますが、痛み止めの薬を処方しますので、日常生活に大きな支障はありません。痛みは通常2〜3日程度で落ち着きます。

Q3: 傷跡は残りますか?

A: 手術である以上、全く傷跡が残らないということはありませんが、適切な手術と術後管理により、傷跡を最小限にすることは可能です。

顔の手術では特に美容面への配慮が重要です。アイシークリニック上野院では、できるだけ小さな切開で、目立たない部位に傷を作るよう心がけています。また、丁寧な縫合技術により、傷跡を最小限にすることができます。

傷跡は時間とともに目立たなくなっていきます。個人差はありますが、3ヶ月から半年程度で徐々に薄くなり、1年後にはかなり目立たなくなることが多いです。

Q4: 再発することはありますか?

A: 疾患の種類によって再発のリスクは異なります。

粉瘤の場合、袋状の構造物を完全に摘出できれば、同じ場所に再発することはほとんどありません。ただし、体質的に粉瘤ができやすい方は、別の場所に新たに粉瘤ができる可能性はあります。

脂肪腫も同様に、完全に摘出できれば再発はまれです。

稗粒腫は、一度取り除いても体質的な要因で再発することがあります。適切なスキンケアで予防することが重要です。

黄色腫は、脂質代謝異常が続いていれば再発する可能性があります。内科的な治療と並行して管理することが重要です。

Q5: 手術後、いつから普通の生活に戻れますか?

A: 手術後の経過には個人差がありますが、一般的には以下のようなスケジュールになります。

当日 手術直後から歩行や軽い日常動作は問題ありません。ただし、患部に負担をかけないよう注意が必要です。

翌日以降 デスクワークなどの軽い仕事は翌日から可能です。ただし、激しい運動や重労働は1週間程度控えることをお勧めします。

洗顔・入浴 患部を濡らさなければ、手術当日から入浴は可能です。洗顔は翌日から可能ですが、患部を強くこすらないよう注意してください。

メイク 傷の周囲は翌日からメイク可能ですが、傷の上は抜糸後まで避けることをお勧めします。

抜糸 顔の場合、通常7日前後で抜糸を行います。抜糸後は通常通りの生活に戻ることができます。

Q6: 保険は適用されますか?

A: 粉瘤や脂肪腫の手術は、基本的に保険診療の適用となります。ただし、美容目的での治療や、一部の治療法については自費診療となる場合もあります。

稗粒腫の治療は、症状がある場合は保険適用となることもありますが、純粋に美容目的の場合は自費診療となります。

黄色腫の治療も、症状や大きさによって保険適用となる場合があります。

詳しくは診察時に医師にご確認ください。

Q7: 粉瘤とニキビの違いは何ですか?

A: 粉瘤とニキビは見た目が似ていることがありますが、まったく異なる疾患です。

ニキビ

  • 毛穴の炎症によって起こる
  • 通常数日から数週間で自然に治る
  • 赤みや痛みを伴うことが多い
  • 適切なスキンケアや薬で治療できる

粉瘤

  • 皮膚の下に袋状の構造物ができる
  • 自然に治ることはない
  • 中心に黒い点があることが多い
  • 根治には手術が必要

ニキビだと思って放置していたら、実は粉瘤だったということもあります。長期間(1ヶ月以上)同じ場所に膨らみが残っている場合は、粉瘤の可能性があるため、医療機関を受診することをお勧めします。

Q8: 顔の塊が急に大きくなったり、痛くなったりしたらどうすればいいですか?

A: 急激な変化があった場合は、細菌感染などの可能性があります。できるだけ早く医療機関を受診してください。

特に以下のような症状がある場合は、早急な対応が必要です。

  • 急に腫れて痛みが強くなった
  • 赤く熱を持っている
  • 膿が出てきた
  • 発熱がある

これらは感染性粉瘤など、緊急の処置が必要な状態の可能性があります。自己判断で潰したり、強く押したりせず、専門医の診察を受けてください。

Q9: 家族に同じような症状の人がいます。遺伝しますか?

A: 粉瘤や脂肪腫には、ある程度の遺伝的・体質的要因があることが知られています。家族内で同様の症状が見られることも珍しくありません。

ただし、遺伝するからといって必ず発症するわけではありません。また、適切な予防やケアによって、発症のリスクを減らすことは可能です。

家族に同様の症状がある場合は、日頃から自分の皮膚の状態に注意を払い、気になる変化があれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。

Q10: 自分でできるセルフケアはありますか?

A: 発症を完全に防ぐことは難しいですが、以下のようなセルフケアでリスクを減らすことができます。

日常的なスキンケア

  • 適切な洗顔で毛穴の詰まりを防ぐ
  • 保湿をしっかり行う
  • メイクは丁寧に落とす
  • 肌に合った化粧品を使用する

生活習慣の改善

  • バランスの取れた食事
  • 十分な睡眠
  • ストレス管理
  • 適度な運動

避けるべきこと

  • 自己判断での処置(潰す、針で刺すなど)
  • 過度な刺激
  • 不適切なスキンケア

ただし、すでにできてしまった塊に対しては、セルフケアでの改善は困難です。気になる症状がある場合は、自己判断せず、専門医に相談することをお勧めします。

まとめ

顔に脂肪の塊ができる症状には、粉瘤、脂肪腫、稗粒腫、黄色腫など、いくつかの種類があります。見た目は似ていても、それぞれ原因や治療法が異なるため、正確な診断が重要です。

多くの場合は良性のものですが、放置すると大きくなったり、炎症を起こしたりすることもあります。また、自己判断での処置は感染や悪化のリスクがあるため、避けるべきです。気になる症状がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。

アイシークリニック上野院では、これらの症状に対して、日帰り手術による治療を行っています。局所麻酔下での手術のため、痛みも少なく、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。また、顔の手術では特に美容面への配慮を重視し、できるだけ傷跡を目立たなくする工夫をしています。

適切な治療により、多くの患者様が悩みから解放されています。顔にできた塊で悩んでいる方は、一人で抱え込まず、ぜひ専門医にご相談ください。早期の診断と適切な治療により、より良い結果が期待できます。

また、日頃からのスキンケアや生活習慣の改善により、これらの症状のリスクを減らすことも可能です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適切なスキンケアを心がけ、健康な肌を保ちましょう。

参考文献

  1. 日本皮膚科学会「皮膚腫瘍ガイドライン」
    https://www.dermatol.or.jp/
  2. 日本形成外科学会「形成外科診療ガイドライン」
    https://www.jsprs.or.jp/
  3. MSDマニュアル プロフェッショナル版「表皮嚢腫」
    https://www.msdmanuals.com/ja-jp/
  4. 東京大学医学部附属病院 皮膚科・形成外科「良性皮膚腫瘍について」
    https://www.h.u-tokyo.ac.jp/
  5. 日本臨床皮膚科医会「一般の皆様へ – 粉瘤(アテローム)」
    https://www.jocd.org/
  6. 厚生労働省「e-ヘルスネット – 脂質異常症」
    https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
  7. 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト「粉瘤・脂肪腫」
    https://kompas.hosp.keio.ac.jp/

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監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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