「ワキガの治療を受けたいけれど、費用がどれくらいかかるのか不安」「保険は使えるの?」そんな疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。ワキガ(腋臭症)の治療法は、保険適用の手術から自費診療の最新治療まで多岐にわたり、それぞれ費用も大きく異なります。
本記事では、ワキガ治療の種類と値段について、保険診療と自費診療の違いを含めて詳しく解説します。アイシークリニック上野院での治療も含め、ご自身に合った治療法を選ぶための参考にしていただければ幸いです。

ワキガ(腋臭症)とは
ワキガは医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれ、わきの下から特有の臭いを発する状態を指します。日本皮膚科学会によると、わきが体質の人は日本人の約10〜15%程度とされており、決して珍しい症状ではありません。
ワキガの原因とメカニズム
ワキガの原因は、わきの下にある「アポクリン汗腺」から分泌される汗にあります。人間の汗腺には以下の2種類があります。
エクリン汗腺 体温調節のために全身に分布する汗腺で、分泌される汗は無色透明でほぼ無臭です。主に水分と塩分で構成されています。
アポクリン汗腺 わきの下、乳輪、陰部などの限られた部位に存在する汗腺です。ここから分泌される汗には、タンパク質や脂質、糖質、アンモニアなどが含まれており、これらが皮膚表面の常在菌によって分解されることで、特有の臭いが発生します。
ワキガ体質の方は、このアポクリン汗腺の数が多かったり、活動が活発だったりすることで、より強い臭いが発生しやすくなります。この体質は遺伝的要因が強く、両親ともにワキガ体質の場合、約80%の確率で子どもにも遺伝すると言われています。
ワキガのセルフチェック
ご自身がワキガかどうか気になる方は、以下のチェック項目を確認してみましょう。
- 耳垢が湿っている(飴耳)
- 両親のどちらかまたは両方がワキガ体質
- 白い衣服のわき部分が黄ばむ
- わき毛に白い粉のようなものが付着する
- わきの下の汗が多い
- 他人から臭いを指摘されたことがある
これらの項目に複数当てはまる場合は、ワキガ体質の可能性があります。特に耳垢が湿っている(飴耳)は、アポクリン汗腺が発達している強い指標とされています。
ワキガ治療の種類と特徴
ワキガの治療法は、軽度の症状に対する保存的治療から、根本的な解決を目指す外科的治療まで様々です。それぞれの治療法について、特徴と費用を詳しく見ていきましょう。
保存的治療(非手術)
1. 制汗剤・デオドラント
特徴 市販または医療用の制汗剤やデオドラント剤を使用する方法です。塩化アルミニウムなどの成分が汗腺の出口を塞ぎ、発汗を抑制します。
値段相場
- 市販品: 500円〜3,000円程度
- 医療用(処方): 1,000円〜5,000円程度
メリット
- 手軽に始められる
- 費用が比較的安価
- 痛みやダウンタイムがない
デメリット
- 効果は一時的
- 毎日の使用が必要
- 重度のワキガには効果が限定的
2. ボトックス注射
特徴 ボツリヌストキシンをわきの下に注射することで、エクリン汗腺の働きを抑制し、発汗を減少させます。厚生労働省が承認している治療法で、重度の原発性腋窩多汗症の場合は保険適用となることもあります。
値段相場
- 保険適用(重度の原発性腋窩多汗症): 約30,000円(3割負担)
- 自費診療: 50,000円〜100,000円程度
メリット
- 注射のみで治療が完了
- ダウンタイムがほとんどない
- 条件を満たせば保険適用可能
デメリット
- 効果は約4〜9ヶ月程度
- 定期的な治療が必要
- アポクリン汗腺には直接作用しない
外科的治療
3. 剪除法(せんじょほう)
特徴 わきの下の皮膚を3〜5cm程度切開し、医師が直接目で確認しながらアポクリン汗腺を除去する手術です。日本皮膚科学会のガイドラインでも標準的治療として位置づけられており、保険適用が可能です。
値段相場
- 保険適用: 片側約20,000円、両側約40,000円(3割負担)
- 自費診療: 250,000円〜400,000円程度
メリット
- 保険適用で治療可能
- 医師が直視下で確実にアポクリン汗腺を除去
- 再発率が比較的低い(約10〜20%)
- 効果が半永久的
デメリット
- 切開が必要で傷跡が残る
- ダウンタイムが1〜2週間程度
- 術後の固定が必要
- 完全に臭いがなくなるとは限らない
4. 皮下組織掻爬法(ひかそしきそうはほう)
特徴 小さな切開からキューレット(掻爬器具)を挿入し、アポクリン汗腺やエクリン汗腺を掻き出す方法です。
値段相場
- 保険適用: 片側約10,000円、両側約20,000円(3割負担)
- 自費診療: 150,000円〜300,000円程度
メリット
- 剪除法より切開が小さい
- 保険適用可能
- 比較的短時間で手術が終わる
デメリット
- 医師が直視できないため取り残しの可能性
- 剪除法より再発率がやや高い
- ダウンタイムが必要
5. 皮下組織吸引法
特徴 小さな切開から吸引器を挿入し、アポクリン汗腺を吸引除去する方法です。脂肪吸引の技術を応用した治療法です。
値段相場
- 自費診療のみ: 200,000円〜350,000円程度
メリット
- 傷跡が小さい
- ダウンタイムが比較的短い
デメリット
- 保険適用なし
- 完全な除去が難しい
- 効果が限定的な場合がある
最新の低侵襲治療
6. ミラドライ
特徴 マイクロ波(電磁波)を照射して汗腺を熱破壊する治療法です。切らずに治療できる最新の方法として注目されています。厚生労働省の承認を受けた医療機器ですが、保険適用外の自費診療となります。
値段相場
- 自費診療のみ: 250,000円〜400,000円程度(1回)
- 2回目以降の追加照射: 150,000円〜250,000円程度
メリット
- 切開が不要
- ダウンタイムが短い(数日程度)
- 効果が半永久的
- 治療時間が約1時間と短い
- 日常生活への影響が少ない
デメリット
- 保険適用なし
- 費用が高額
- 効果に個人差がある
- 複数回の照射が必要な場合がある
7. レーザー治療
特徴 わきの下に小さな穴を開け、そこからレーザーファイバーを挿入してアポクリン汗腺を破壊する方法です。
値段相場
- 自費診療のみ: 250,000円〜400,000円程度
メリット
- 傷跡がほとんど目立たない
- ダウンタイムが短い
- 出血が少ない
デメリット
- 保険適用なし
- 効果に個人差がある
- 複数回の治療が必要な場合がある
8. ビューホット
特徴 高周波(RF波)を照射して汗腺を破壊する治療法です。針を刺して熱を加えるため、皮膚の深い層まで効果を届けることができます。
値段相場
- 自費診療のみ: 300,000円〜450,000円程度
メリット
- 切開が不要
- ダウンタイムが比較的短い
- エクリン汗腺とアポクリン汗腺の両方に効果
デメリット
- 保険適用なし
- 費用が高額
- 施術時の痛みがある
- 一時的な赤みや腫れが出る
保険適用と自費診療の違い
ワキガ治療で最も気になるのが、保険適用の可否です。ここでは保険診療と自費診療の違いについて詳しく解説します。
保険適用となる条件
ワキガ(腋臭症)の治療で保険適用となるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 医師が腋臭症と診断すること
- 日常生活に支障をきたすレベルの症状であること
- 保険適用が認められている治療法を選択すること
具体的には、剪除法、皮下組織掻爬法などの外科的治療が保険適用の対象となります。また、重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合、ボトックス注射も保険適用となることがあります。
保険適用の治療法と費用
| 治療法 | 保険適用時の費用(3割負担) |
|---|---|
| 剪除法 | 両側約40,000円 |
| 皮下組織掻爬法 | 両側約20,000円 |
| ボトックス注射(重度多汗症) | 約30,000円 |
※上記の費用は目安です。医療機関や具体的な治療内容によって異なる場合があります。
自費診療となる治療法と費用
以下の治療法は、効果が期待できる一方で、保険適用外の自費診療となります。
| 治療法 | 費用相場 |
|---|---|
| ミラドライ | 250,000円〜400,000円 |
| レーザー治療 | 250,000円〜400,000円 |
| ビューホット | 300,000円〜450,000円 |
| 皮下組織吸引法 | 200,000円〜350,000円 |
| ボトックス注射(美容目的) | 50,000円〜100,000円 |
自費診療の場合、医療機関によって価格設定が異なるため、複数のクリニックで相談してみることをおすすめします。
医療費控除について
ワキガ治療が医療費控除の対象となるかどうかは、治療の目的によって異なります。
医療費控除の対象となる可能性が高い
- 保険適用の治療
- 医師が腋臭症と診断し、治療が必要と判断した場合の自費診療
医療費控除の対象とならない可能性が高い
- 美容目的や予防目的の治療
- 本人が希望して行う軽度の症状への治療
医療費控除を受けたい場合は、領収書を保管し、確定申告の際に申告してください。詳しくは国税庁のウェブサイトや税理士にご相談ください。
ワキガ治療法の選び方
数多くの治療法の中から、自分に合ったものを選ぶためのポイントをご紹介します。
症状の重さで選ぶ
軽度のワキガ
- 制汗剤やデオドラント
- ボトックス注射
まずは手軽な方法から試してみることをおすすめします。
中等度のワキガ
- ミラドライ
- レーザー治療
- ボトックス注射(定期的な治療)
切らない治療で効果を実感したい方に適しています。
重度のワキガ
- 剪除法(保険適用)
- ミラドライ
- レーザー治療
確実な効果を求める場合は、剪除法が推奨されます。
予算で選ぶ
予算を抑えたい(5万円以下)
- 保険適用の外科的治療(剪除法、皮下組織掻爬法)
- 制汗剤やデオドラント
保険適用の治療なら、3割負担で数万円程度で治療できます。
予算に余裕がある(10万円〜30万円)
- ミラドライ
- レーザー治療
- ビューホット
切らない治療を希望する場合は、これらの選択肢があります。
ダウンタイムで選ぶ
ダウンタイムを短くしたい
- ボトックス注射(ほぼなし)
- ミラドライ(数日程度)
- レーザー治療(3日〜1週間程度)
仕事や学校を休めない方には、これらの治療が適しています。
ダウンタイムがあっても確実な効果を求める
- 剪除法(1〜2週間)
長期休暇を利用して治療を受けることで、確実な効果が期待できます。
傷跡の有無で選ぶ
傷跡を残したくない
- ボトックス注射
- ミラドライ
切開を伴わない治療法を選びましょう。
傷跡より効果を重視
- 剪除法
3〜5cm程度の傷跡は残りますが、時間とともに目立たなくなり、効果は高いです。
再発リスクで選ぶ
再発を最小限にしたい
- 剪除法(再発率約10〜20%)
- ミラドライ(再発率約10〜30%)
医師が直視下で汗腺を除去する剪除法は、最も再発率が低いとされています。
多少の再発リスクがあっても侵襲の少ない治療を希望
- ボトックス注射(効果は約4〜9ヶ月)
- レーザー治療
- ビューホット
定期的なメンテナンスを前提とした治療を選択します。
アイシークリニック上野院でのワキガ治療
アイシークリニック上野院では、患者様一人ひとりの症状や希望に合わせたワキガ治療を提供しています。
当院の特徴
丁寧なカウンセリング まずは医師がしっかりと症状を診察し、患者様のお悩みやご希望を伺います。その上で、最適な治療法をご提案いたします。
複数の治療選択肢 保険適用の外科的治療から、最新の低侵襲治療まで、幅広い選択肢の中からお選びいただけます。
明確な料金説明 治療にかかる費用について、事前に明確にご説明いたします。追加費用が発生する場合も、事前にお知らせします。
アフターフォロー 治療後の経過観察やケアについても、しっかりとサポートいたします。
受診の流れ
- ご予約 お電話またはウェブサイトからご予約ください。
- 初診・カウンセリング 医師が症状を診察し、治療法についてご説明します。
- 治療日の決定 治療法が決まったら、治療日を決定します。
- 治療 当日は治療内容に応じて、30分〜2時間程度お時間をいただきます。
- アフターフォロー 治療後の経過を確認し、必要に応じてケアを行います。

よくある質問
A. 治療法によって異なります。外科的治療の場合は局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。ボトックス注射は注射の痛みがありますが、短時間で終わります。ミラドライなどの最新治療も、麻酔を使用するため痛みは最小限に抑えられます。
A. 治療により臭いは大幅に軽減されますが、完全にゼロにすることは難しい場合もあります。剪除法でも再発率が10〜20%程度あり、残存するアポクリン汗腺から軽度の臭いが残ることがあります。ただし、多くの患者様は治療後に日常生活で気にならないレベルまで改善されています。
Q3. 治療後の日常生活への影響は?
A. 治療法によって異なります。
- ボトックス注射: 当日から通常の生活が可能
- ミラドライ: 2〜3日は安静が望ましい
- 剪除法: 1〜2週間は激しい運動を避け、わきを固定する必要がある
仕事や学校のスケジュールに合わせて治療法を選ぶことが重要です。
Q4. 治療に最適な時期はありますか?
A. 一般的には、汗をかきにくい秋から冬の時期が治療に適しているとされています。特に外科的治療の場合、術後の固定期間があるため、夏場は避ける方が多いです。ただし、ミラドライなどの低侵襲治療は季節を問わず受けることができます。
Q5. 未成年でも治療は受けられますか?
A. ワキガは思春期に発症することが多いため、未成年の方も治療を受けることができます。ただし、保護者の同意が必要です。また、成長期の場合、治療後にアポクリン汗腺が再度発達する可能性もあるため、医師とよく相談することをおすすめします。
Q6. 治療後に再発することはありますか?
A. 治療法によって再発率は異なります。
- 剪除法: 約10〜20%
- ミラドライ: 約10〜30%
- ボトックス注射: 効果が切れるため定期的な治療が必要
- その他の治療: 個人差が大きい
完全に汗腺を除去しても、残存した汗腺が活発化したり、新たに発達したりすることで、軽度の症状が戻る場合があります。
Q7. 保険適用の治療を受けたいのですが、条件はありますか?
A. 保険適用を受けるには、医師が腋臭症と診断し、日常生活に支障をきたすレベルの症状であることが条件です。また、剪除法や皮下組織掻爬法など、保険適用が認められている治療法を選択する必要があります。診察時に医師にご相談ください。
Q8. 治療費の分割払いは可能ですか?
A. 医療機関によって異なりますが、多くのクリニックではクレジットカードや医療ローンによる分割払いに対応しています。アイシークリニック上野院でも、お支払い方法についてご相談いただけます。
Q9. 片側だけの治療は可能ですか?
A. 可能です。症状が片側のみの場合や、予算の都合で片側ずつ治療を受けることも選択肢の一つです。ただし、一般的には両側同時に治療することが推奨されます。
Q10. 他の治療との組み合わせは可能ですか?
A. 可能です。例えば、ボトックス注射で一時的に症状を抑えながら、外科的治療のタイミングを検討することもできます。また、治療後に軽度の症状が残った場合、追加の治療を行うこともあります。医師と相談しながら、最適な治療計画を立てましょう。
まとめ
ワキガ治療の値段は、治療法によって大きく異なります。保険適用の外科的治療なら数万円程度、自費診療の最新治療なら25万円〜45万円程度が相場です。
治療法選びのポイント
- 予算重視なら: 保険適用の剪除法や皮下組織掻爬法
- 傷跡を避けたいなら: ミラドライやボトックス注射
- 確実な効果を求めるなら: 剪除法
- ダウンタイムを短くしたいなら: ボトックス注射やミラドライ
ワキガは適切な治療により、日常生活の質を大きく向上させることができます。一人で悩まず、まずは専門医に相談することをおすすめします。
アイシークリニック上野院では、患者様一人ひとりの症状やご希望に合わせた治療をご提案しています。無料カウンセリングも行っておりますので、お気軽にご相談ください。あなたの悩みを解決するために、私たちが全力でサポートいたします。
参考文献
- 日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 腋臭症」
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa7/index.html - 日本皮膚科学会「腋臭症(ワキガ)」
https://www.dermatol.or.jp/ - 厚生労働省「医療費控除の対象となる医療費」
https://www.mhlw.go.jp/ - 日本美容外科学会(JSAPS)「ワキガ・多汗症治療について」
https://www.jsaps.com/ - 国税庁「医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
※本記事は医学的情報を提供することを目的としており、特定の治療法を推奨するものではありません。実際の治療については、必ず医師にご相談ください。
監修者医師
高桑 康太 医師
略歴
- 2009年 東京大学医学部医学科卒業
- 2009年 東京逓信病院勤務
- 2012年 東京警察病院勤務
- 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
- 2019年 当院治療責任者就任
佐藤 昌樹 医師
保有資格
日本整形外科学会整形外科専門医
略歴
- 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
- 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
- 2012年 東京逓信病院勤務
- 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
- 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務