ピコトーニングでシミ・肝斑を改善!効果・施術の流れ・注意点

近年、シミや肝斑、くすみの改善を目指す美容医療として注目を集めている「ピコトーニング」。
従来のレーザー治療とは一線を画す効果が期待できると話題ですが、「本当に効果があるの?」「痛みやダウンタイムは?」「料金はどのくらい?」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ピコトーニングの基本的な仕組みから、具体的な効果、必要な回数や費用、そして後悔しないためのクリニック選びまで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説します。
ピコトーニングの正しい知識を身につけ、透明感のある理想の肌を目指す第一歩を踏み出しましょう。

ピコトーニングは、「ピコレーザー」という種類の医療用レーザー機器を使用して行う美肌治療の一つです。
特に、これまで治療が難しいとされてきた肝斑の改善や、顔全体のくすみを取り除き、肌のトーンアップ(美白効果)を目指す目的で広く用いられています。

ピコトーニングのレーザー技術と仕組み

ピコトーニングの最大の特徴は、レーザーを照射する時間の長さにあります。

  • ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間でレーザーを照射
  • 熱によるダメージを最小限に抑え、衝撃波でメラニン色素を細かく粉砕

従来のレーザー(ナノ秒レーザー)が熱の作用でメラニンを破壊していたのに対し、ピコトーニングは衝撃波でより細かく色素を砕きます。
これにより、肌への負担を軽減しながら、細かくなったメラニン色素を体外へ排出しやすくするのです。
この仕組みにより、刺激に弱いとされる肝斑に対しても、悪化させるリスクを抑えながら治療を進めることが可能になりました。

他のピコレーザー治療との違い(ピコスポット・ピコフラクショナル)

同じピコレーザーを使用する治療法に「ピコスポット」と「ピコフラクショナル」があります。
これらは目的や照射方法が異なり、肌の悩みに合わせて使い分けられます。

治療法ピコトーニングピコスポットピコフラクショナル
主な目的肝斑、全体のくすみ改善、トーンアップ濃いシミ、そばかす、ADMなどをピンポイントで除去ニキビ跡の凹み、毛穴の開き、小じわ改善
照射方法低出力のレーザーを顔全体にシャワーのように照射高出力のレーザーをシミなどに局所的に照射点状に高密度のレーザーを照射し、皮膚の再生を促す
ダウンタイムほとんどない(軽い赤み程度)1~2週間程度の保護テープが必要な場合がある数日~1週間程度の赤みや点状出血
特徴回数を重ねて穏やかに改善少ない回数で効果が期待できる肌の深層に働きかけコラーゲン増生を促進

多くの場合、これらの治療法を組み合わせることで、より包括的な肌悩みの改善を目指します。

ピコトーニングで期待できる効果とメリット

ピコトーニングは、回数を重ねることで様々な肌悩みにアプローチできます。

シミ・そばかす・肝斑への効果

ピコトーニングは、低出力のレーザーでメラニン色素を少しずつ分解・排出していくため、刺激によって悪化しやすい肝斑治療の第一選択肢とされています。
また、顔全体に散らばる薄いシミやそばかすを徐々に薄くしていく効果も期待できます。

肌トーンアップ・くすみ改善効果

顔全体に照射することで、肌の奥に蓄積したメラニン色素を破壊し、肌全体のくすみを取り除きます。
これにより、肌が明るくなり、透明感がアップする効果が期待できます。いわゆる「美白効果」を実感しやすい治療です。

毛穴の開き・肌質改善効果

レーザーの刺激が真皮層に届き、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。
これにより、肌にハリが生まれ、キメが整い、開いた毛穴が引き締まるといった副次的な効果も期待できます。肌質そのものを健やかに導く働きがあります。

ニキビ跡・色素沈着への効果

炎症によって生じた茶色いニキビ跡(炎症後色素沈着)にも有効です。
ピコトーニングは、色素沈着の原因であるメラニンに働きかけ、徐々に色味を薄くしていく効果が期待できます。

ピコトーニングの施術回数と効果実感までの期間

ピコトーニングは、1回の施術で劇的な変化をもたらす治療ではなく、回数を重ねて少しずつ肌質を改善していく治療法です。

目安となる施術回数

肌の状態や目指すゴールによって個人差はありますが、一般的には5〜10回程度を1クールとして推奨するクリニックが多くなっています。
特に肝斑の治療では、慎重に効果を見ながら回数を重ねていく必要があります。

効果を実感しやすいタイミング

多くの方が3〜5回目あたりから、「肌が明るくなった」「化粧ノリが良くなった」といった効果を実感し始めると言われています。
焦らず、継続して治療を受けることが大切です。

施術推奨間隔

肌のターンオーバーの周期や、ダメージからの回復期間を考慮し、2週間〜1ヶ月に1回の間隔で施術を受けるのが一般的です。
短すぎる間隔での照射は、かえって肌に負担をかける可能性があるため、医師の指示に従いましょう。

効果が戻る?ピコトーニングの持続性について

1クールを終えて改善した肌状態も、残念ながら永久に続くわけではありません。
紫外線やホルモンバランス、摩擦などの影響で、シミや肝斑は再発する可能性があります。
良い状態を維持するためには、治療後も日焼け止めを徹底するなどのセルフケアが不可欠です。
また、1〜2ヶ月に1回程度のメンテナンスとしてピコトーニングを継続することで、効果を持続させやすくなります。

ピコトーニングの痛みとダウンタイム

美容医療を受ける上で気になるのが、痛みとダウンタイムです。
ピコトーニングは、他のレーザー治療と比較して、これらの負担が少ないのが大きなメリットです。

施術中の痛みについて

痛みには個人差がありますが、一般的には「輪ゴムで軽くパチパチと弾かれるような感覚」「チクチクする感じ」と表現されることが多いです。
多くの場合、麻酔は不要ですが、痛みに弱い方は事前にクリニックに相談してみましょう。

ダウンタイムの症状と期間

ピコトーニングはダウンタイムがほとんどないとされています。

  • 施術直後: ほんのりと赤みが出ることがありますが、数時間〜当日中には治まることがほとんどです。
  • かさぶた: 基本的にできません。
  • メイク: 施術当日から可能なクリニックが多いです。

日常生活にほとんど支障が出ないため、忙しい方でも受けやすい治療と言えます。

施術後の肌ケアと注意点

施術後の肌は非常にデリケートな状態です。
効果を最大限に引き出し、トラブルを防ぐために、以下のケアを徹底しましょう。

  • 保湿: レーザー照射後の肌は乾燥しやすいため、化粧水やクリームで十分に保湿してください。
  • 紫外線対策: 肌が紫外線の影響を受けやすくなっています。日焼け止めを必ず使用し、帽子や日傘も活用しましょう。
  • 摩擦を避ける: 洗顔やスキンケアの際に、肌をゴシゴシ擦らないよう注意してください。

ピコトーニングの費用相場と安く受ける方法

ピコトーニングは自由診療のため、クリニックによって料金が大きく異なります。

施術1回あたりの料金目安

全顔1回あたりの費用相場は、15,000円〜30,000円程度です。
ただし、使用する機器やクリニックの立地、医師の技術料などによって価格は変動します。

クリニックごとの料金体系と割引

多くのクリニックでは、複数回のコース料金を設定しており、1回あたりの料金が割安になることが多いです。

  • 5回コース: 70,000円〜120,000円程度
  • 10回コース: 130,000円〜200,000円程度

初回限定のトライアル価格や、他の施術とのセット割引などを提供している場合もあるため、カウンセリング時に確認してみましょう。

医療ローン・支払い方法

高額になりがちなコース契約では、医療ローンを利用できるクリニックも増えています。
月々の負担を抑えて治療を始められるため、希望する場合はカウンセリングで相談してみましょう。
クレジットカード払いに対応しているかも事前に確認しておくとスムーズです。

ピコトーニングで後悔しないために

期待して受けたのに「効果がなかった」と後悔しないために、知っておくべきポイントがあります。

ピコトーニングで効果なしと感じるケース

  • 回数が足りない: 最も多い原因の一つです。ピコトーニングは穏やかに作用するため、1〜2回では目に見える効果を実感しにくい場合があります。
  • 期待値とのギャップ: ピコスポットのように1回で濃いシミを取る治療法ではないため、「シミが完全に消える」と過度な期待をしていると、効果がないと感じてしまうことがあります。
  • シミの種類が適応外: シミのように見える肝斑以外の疾患(ADMなど)の場合、ピコトーニングだけでは効果が薄いことがあります。正確な診断が重要です。
  • 施術後のケア不足: 紫外線対策や保湿を怠ると、新たな色素沈着が起こり、効果が相殺されてしまうことがあります。

施術後の肌トラブルと対処法

基本的には安全性の高い治療ですが、稀に以下のようなトラブルが起こる可能性があります。

  • 肝斑の悪化: 出力が強すぎたり、肌の状態に合わなかったりすると、刺激で肝斑が濃くなることがあります。
  • 白斑(色素脱失): レーザーによってメラノサイトが破壊され、肌の色が白く抜けてしまうことがあります。頻度は低いですが、リスクとして知っておく必要があります。
  • 毛嚢炎(ニキビ): 施術の刺激で一時的にニキビのようなものができることがあります。

万が一、施術後に異常を感じた場合は、すぐに施術を受けたクリニックに連絡し、医師の診察を受けてください。

クリニック選びのポイント

ピコトーニングの成否は、クリニック選びにかかっていると言っても過言ではありません。

  • カウンセリングの丁寧さ: あなたの肌悩みを親身に聞き、治療のメリットだけでなく、リスクやデメリット、費用についてもしっかり説明してくれるかを確認しましょう。
  • 医師による正確な診断: シミの種類を正しく見極め、最適な治療計画を提案してくれるかが重要です。皮膚科専門医や形成外科専門医が在籍していると、より安心です。
  • ピコレーザーの症例実績: クリニックのウェブサイトなどで、ピコトーニングの症例写真や実績数を確認しましょう。
  • 料金体系の透明性: 提示された金額以外に追加料金が発生しないか、明確に説明してくれるクリニックを選びましょう。
  • アフターフォロー体制: 施術後に万が一トラブルがあった際に、迅速かつ適切に対応してくれる体制が整っているかを確認しておくことが大切です。

ピコトーニング施術の流れ

初めての方でも安心して受けられるよう、一般的な施術の流れをご紹介します。

カウンセリングから施術まで

  1. 予約・カウンセリング: まずはクリニックに予約を入れ、医師やカウンセラーによるカウンセリングを受けます。肌の状態を診察してもらい、治療内容や料金の説明を受けます。
  2. 洗顔: メイクや皮脂をしっかりと落とします。
  3. 施術: 目を保護するゴーグルを装着し、顔全体にレーザーを照射します。施術時間は15〜20分程度です。
  4. クーリング・保湿: 照射後、ほてりを抑えるために肌を冷やし、保湿剤や日焼け止めを塗布して終了です。

アフターケアの重要性

施術直後からメイクをして帰宅できる場合がほとんどです。
しかし、前述の通り、施術後の肌は非常に敏感です。
保湿と紫外線対策は、次の施術日まで毎日欠かさず行いましょう。

ピコトーニングに関するよくある質問

Q. ピコトーニングは何に効くの?

A. 主に、肝斑、顔全体のくすみ、薄いシミ、そばかす、ニキビ跡の色素沈着などに効果が期待できます。
また、肌のハリを高め、毛穴の開きやキメを改善する効果も見込めます。

Q. ピコトーニングは何回くらいやれば効果が出る?

A. 個人差がありますが、多くの場合、5〜10回を1クールとして推奨されます。
3〜5回目あたりから肌のトーンアップなど、効果を実感し始める方が多いです。

Q. ピコトーニングでシミは消えますか?

A. 回数を重ねることで薄いシミやそばかすはかなり目立たなくなりますが、「完全に消える」というよりは「薄くなる」「肌全体が明るくなる」という表現が適切です。
濃く境界がはっきりしたシミには、ピコスポットの方が適している場合があります。

Q. ピコトーニングでシミは取れますか?

A. 「取る」という表現は、ピンポイントでシミを除去するピコスポット治療の方が近いです。
ピコトーニングは、顔全体のメラニンを少しずつ減らしていくことで、結果的にシミが薄くなるというアプローチです。

Q. どんな肌質の人におすすめですか?

A. これまでのレーザー治療が難しかった肝斑でお悩みの方、肌へのダメージやダウンタイムを最小限にしたい方、肌全体のくすみを改善して透明感を出したい方、シミ予防や肌質改善をしたい方におすすめです。

Q. 施術を受けられないケースはありますか?

A. 以下に該当する方は施術を受けられない可能性があります。

  • 妊娠中・授乳中の方
  • 光線過敏症の方
  • 施術部位に重度の皮膚疾患や感染症がある方
  • てんかん発作の既往がある方
  • 金の糸を入れている方

詳細はカウンセリング時に必ず医師にご確認ください。


免責事項:本記事はピコトーニングに関する情報提供を目的としており、医学的なアドバイスに代わるものではありません。治療に関する判断は、必ず専門の医療機関にご相談の上、医師の指導のもとで行ってください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年東京逓信病院勤務
  • 2012年東京警察病院勤務
  • 2012年東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年東京逓信病院勤務
  • 2013年独立行政法人労働者健康安全機構横浜労災病院勤務
  • 2015年国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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