陰茎(ペニス)のしこりについて – 原因・症状・対処法を専門医が解説

はじめに

陰茎(ペニス)にしこりができることは、男性にとって非常に不安な症状の一つです。多くの男性が「重篤な病気ではないか」「がんかもしれない」と心配になりますが、実際には良性の病変であることが多く、適切な診断と治療により改善が期待できるケースがほとんどです。

本記事では、陰茎のしこりの原因、症状、診断方法、治療法について、医学的根拠に基づいて詳しく解説します。恥ずかしさから受診を躊躇される方も多いですが、早期発見・早期治療が重要であり、専門医による適切な診断を受けることをお勧めします。

陰茎のしこりとは

陰茎のしこりとは、陰茎の皮膚表面や内部にできる塊状の病変のことを指します。しこりは大きさ、硬さ、位置、症状の有無などによって様々なタイプに分類されます。

しこりの特徴による分類

硬さによる分類

  • 軟らかいしこり:皮脂腺嚢腫、リンパ管腫など
  • 硬いしこり:石灰化を伴う病変、線維性病変など
  • 可動性のあるしこり:皮下の良性腫瘍
  • 固定性のしこり:深部組織との癒着を伴う病変

大きさによる分類

  • 小さなしこり(数mm程度):皮脂腺の詰まり、小さな嚢腫など
  • 中程度のしこり(1-2cm程度):皮脂腺嚢腫、脂肪腫など
  • 大きなしこり(2cm以上):より大きな嚢腫や腫瘍性病変

位置による分類

  • 亀頭部のしこり
  • 陰茎体部のしこり
  • 冠状溝周辺のしこり
  • 包皮のしこり

陰茎のしこりの主な原因と病気

陰茎にできるしこりの原因は多岐にわたります。以下に主要な原因と病気について詳しく解説します。

1. 皮脂腺嚢腫(アテローム)

皮脂腺嚢腫は、陰茎のしこりの中で最も頻度が高い良性の病変です。皮脂腺の出口が詰まることで皮脂が蓄積し、嚢腫を形成します。

特徴

  • 表面が滑らかで可動性がある
  • 徐々に大きくなることがある
  • 通常は痛みを伴わない
  • 感染を起こすと赤く腫れて痛みが生じる
  • 中央に小さな開口部(へそ)がある場合がある

好発部位 陰茎の根部や体部の皮膚に多く見られます。

2. フォーダイス顆粒

フォーダイス顆粒は、皮脂腺が異所性に存在することで生じる小さな黄白色の隆起です。

特徴

  • 1-2mm程度の小さな黄白色の点状病変
  • 多発することが多い
  • 痛みやかゆみはない
  • 思春期以降に出現することが多い
  • 治療の必要はない生理的変化

3. 陰茎硬化症(ペイロニー病)

陰茎硬化症は、陰茎海綿体を覆う白膜に線維化や石灰化が生じる病気です。

特徴

  • 硬いしこりやプラーク状の病変
  • 勃起時の陰茎の湾曲や変形
  • 勃起時の痛み
  • 勃起機能障害を伴うことがある
  • 中高年男性に多い

原因 外傷や繰り返される微細な損傷が原因と考えられていますが、明確な原因が不明な場合も多くあります。

4. 性器ヘルペス

ヘルペスウイルスの感染により生じる病変で、初期にはしこり状の病変として現れることがあります。

特徴

  • 初期は小さな水疱や硬結
  • 数日で潰瘍を形成
  • 強い痛みを伴う
  • 発熱やリンパ節の腫れを伴うことがある
  • 再発を繰り返すことが多い

5. 尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により生じる良性の腫瘍です。

特徴

  • カリフラワー状の外観
  • 複数個できることが多い
  • 徐々に大きくなる
  • かゆみを伴うことがある
  • 性感染症の一種

6. 陰茎がん

陰茎に発生する悪性腫瘍で、扁平上皮がんが最も多いタイプです。

特徴

  • 硬い固定性のしこり
  • 潰瘍を形成することが多い
  • 出血や悪臭を伴うことがある
  • 進行すると痛みを生じる
  • 包茎との関連が指摘されている

危険因子

  • 包茎
  • 不衛生な状態の持続
  • HPV感染
  • 喫煙
  • 高齢

7. リンパ管腫

リンパ管の発達異常により生じる良性の腫瘍です。

特徴

  • 軟らかく可動性がある
  • 透光性を示すことがある
  • 多房性の嚢腫状病変
  • 感染により急速に増大することがある

8. 血管腫

血管の増殖により形成される良性腫瘍です。

特徴

  • 赤色から紫色の病変
  • 軟らかい質感
  • 圧迫により退色することがある
  • 出血しやすい

9. 軟性下疳

ヘモフィルス・デュクレイの感染により生じる性感染症です。

特徴

  • 初期は小さな丘疹として始まる
  • 数日で潰瘍を形成
  • 鼠径リンパ節の腫脹
  • 痛みを伴う

10. 梅毒

梅毒トレポネーマの感染により生じる性感染症で、第一期では硬性下疳と呼ばれるしこりが形成されます。

特徴

  • 硬い辺縁を持つ潰瘍
  • 通常は痛みを伴わない
  • 自然に治癒することがあるが治療が必要
  • リンパ節の腫脹を伴う

症状と経過

陰茎のしこりに伴う症状は、原因となる病気によって異なります。

無症状のもの

  • フォーダイス顆粒
  • 小さな皮脂腺嚢腫
  • 血管腫の一部

痛みを伴うもの

  • 感染を起こした皮脂腺嚢腫
  • 性器ヘルペス
  • 軟性下疳
  • 陰茎硬化症(勃起時)

かゆみを伴うもの

  • 尖圭コンジローマ
  • 湿疹を伴う皮膚病変

機能障害を伴うもの

  • 陰茎硬化症:勃起時の湾曲、勃起機能障害
  • 大きな腫瘍:性機能への影響

全身症状を伴うもの

  • 性器ヘルペス:発熱、倦怠感
  • 梅毒:リンパ節腫脹、全身の皮疹(第二期以降)

診断方法

陰茎のしこりの診断には、以下のような方法が用いられます。

1. 問診

病歴の聴取

  • しこりに気づいた時期
  • 大きさや硬さの変化
  • 痛みやかゆみなどの症状
  • 性行為の有無
  • 既往歴、家族歴
  • 使用中の薬剤

症状の詳細

  • 疼痛の有無と程度
  • 分泌物の有無
  • 排尿時の症状
  • 勃起機能への影響

2. 視診・触診

視診

  • しこりの大きさ、形状、色調
  • 表面の性状(滑らか、粗糙、潰瘍形成など)
  • 周囲組織との境界
  • 炎症所見の有無

触診

  • しこりの硬さ、可動性
  • 圧痛の有無
  • 深部との癒着の程度
  • リンパ節の触診

3. 血液検査

感染症スクリーニング

  • 梅毒血清反応(STS、TPLA)
  • HIV抗体検査
  • B型肝炎、C型肝炎ウイルス検査

腫瘍マーカー

  • 悪性腫瘍が疑われる場合に実施
  • CEA、SCC(扁平上皮がんマーカー)など

4. 細胞診・組織診

細胞診(穿刺吸引細胞診)

  • 嚢腫性病変に対して実施
  • 侵襲が少なく外来で可能
  • 悪性細胞の有無を確認

組織生検

  • 確定診断のための検査
  • 局所麻酔下で組織の一部を採取
  • 病理組織学的診断が可能

5. 画像検査

超音波検査

  • 非侵襲的で簡便
  • しこりの内部構造の観察
  • 血流の評価(カラードプラー)
  • 嚢腫性病変と充実性病変の鑑別

MRI検査

  • より詳細な画像診断
  • 悪性腫瘍の進展度評価
  • 手術前の評価に有用

CT検査

  • リンパ節転移の評価
  • 進行がんの病期診断

6. 特殊検査

ダーモスコピー

  • 皮膚病変の詳細観察
  • 悪性黒色腫などの鑑別に有用

蛍光抗体法

  • ヘルペスウイルスの検出
  • 迅速診断が可能

PCR検査

  • ウイルスDNAの検出
  • HPVタイピングなど

治療法

陰茎のしこりの治療法は、原因となる病気によって大きく異なります。

1. 保存的治療

経過観察

  • フォーダイス顆粒:治療不要
  • 小さな無症状の皮脂腺嚢腫:経過観察可能
  • 定期的な診察による変化の監視

薬物療法

抗ウイルス薬

  • ヘルペス:アシクロビル、バラシクロビル
  • 早期治療により症状軽減と治癒促進

抗菌薬

  • 細菌感染:ペニシリン系、セフェム系抗菌薬
  • 梅毒:ペニシリンG筋注

外用薬

  • イミキモドクリーム:尖圭コンジローマに対して
  • ステロイド外用薬:炎症性病変に対して

2. 外科的治療

摘出術

  • 皮脂腺嚢腫:局所麻酔下での摘出
  • 完全摘出により再発防止
  • 美容的配慮も重要

レーザー治療

  • 尖圭コンジローマ:CO2レーザーによる蒸散
  • フォーダイス顆粒:美容目的での治療
  • 出血が少なく治癒が早い

冷凍療法

  • 液体窒素による凍結療法
  • 尖圭コンジローマや一部のウイルス性病変
  • 複数回の治療が必要な場合がある

電気焼灼術

  • 高周波電流による病変の除去
  • 小さな良性腫瘍に適用

3. 陰茎硬化症の治療

薬物療法

  • ビタミンE:抗酸化作用
  • コルヒチン:抗炎症作用
  • ベラパミル:局所注射
  • インターフェロン:局所注射

物理療法

  • 超音波療法
  • 体外衝撃波療法(ESWT)

手術療法

  • プラーク切除術
  • 陰茎形成術
  • 人工陰茎移植術(重症例)

4. 悪性腫瘍の治療

手術療法

  • 病変切除術:早期がん
  • 部分陰茎切断術:進行がん
  • 鼠径リンパ節郭清術:リンパ節転移例

放射線療法

  • 外照射療法
  • 小線源治療(ブラキセラピー)
  • 機能温存を目的とした治療

化学療法

  • 進行がんや転移例に対して
  • 5-FU、シスプラチンなど
  • 放射線療法との併用

5. 性感染症の治療

抗ウイルス薬

  • ヘルペス:アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル
  • 再発抑制療法も可能

抗菌薬

  • 梅毒:ペニシリンG
  • 軟性下疳:アジスロマイシン、セフトリアキソン

パートナーの治療

  • 性感染症では重要
  • 同時治療により再感染防止

予防法

陰茎のしこりの予防には、以下のような方法があります。

1. 基本的な衛生管理

清潔の保持

  • 毎日の入浴時に陰部を石鹸で洗浄
  • 包皮内の清拭を徹底
  • 清潔な下着の着用

包皮のケア

  • 包茎の場合は特に注意深い清拭
  • 恥垢の除去
  • 必要に応じて包茎手術の検討

2. 性感染症の予防

安全な性行為

  • コンドームの適切な使用
  • 不特定多数との性的接触の回避
  • パートナーの健康状態の把握

定期検査

  • 性感染症のスクリーニング検査
  • 早期発見・早期治療

3. 生活習慣の改善

禁煙

  • 陰茎がんのリスク軽減
  • 血流改善による組織の健康維持

適度な運動

  • 免疫機能の向上
  • 血流改善

バランスの取れた食事

  • ビタミン、ミネラルの補給
  • 抗酸化物質の摂取

4. 外傷の予防

激しい性行為の回避

  • 陰茎硬化症の予防
  • 適切な潤滑剤の使用

スポーツ時の保護

  • プロテクターの使用
  • 直接的な外傷の回避

5. 早期発見のための自己チェック

定期的な自己観察

  • 入浴時の触診
  • 変化の早期発見
  • 気になる症状があれば早期受診

いつ医療機関を受診すべきか

以下のような症状がある場合は、恥ずかしがらずに早期に医療機関を受診することをお勧めします。

緊急性の高い症状

すぐに受診が必要な症状

  • 急激に大きくなるしこり
  • 強い痛みを伴うしこり
  • 高熱を伴う陰部の腫れ
  • 出血を伴う潰瘍
  • 排尿困難を伴う場合

早期受診が望ましい症状

1-2週間以内の受診が望ましい症状

  • 新しく出現したしこり
  • 徐々に大きくなっているしこり
  • 硬いしこり
  • 固定性のしこり
  • 表面が粗糙なしこり

経過観察可能だが受診を検討すべき症状

1-2ヶ月以内の受診を検討

  • 小さな無痛性のしこり
  • 変化のないしこり
  • 美容的に気になるしこり

性感染症が疑われる場合

パートナーと共に受診が必要

  • 性器ヘルペス
  • 尖圭コンジローマ
  • 梅毒
  • その他の性感染症

専門医への相談と診療科の選択

受診すべき診療科

泌尿器科

  • 陰茎のしこりの第一選択科
  • 男性生殖器疾患の専門科
  • 手術的治療も可能

皮膚科

  • 皮膚表面の病変
  • 性感染症の診断・治療
  • 皮膚がんの専門的診断

形成外科

  • 美容的配慮が必要な手術
  • 陰茎形成術
  • 傷跡を最小限にする治療

セカンドオピニオンの重要性

セカンドオピニオンが推奨される場合

  • 悪性腫瘍の診断を受けた場合
  • 大きな手術が必要と言われた場合
  • 診断に疑問がある場合
  • 治療方針に不安がある場合

心理的サポートとケア

陰茎のしこりは、男性にとって非常にデリケートな問題であり、心理的な影響も大きいことが知られています。

よくある心理的反応

不安と恐怖

  • がんではないかという不安
  • 性機能への影響に対する恐怖
  • パートナーとの関係への不安

恥ずかしさ

  • 医師への相談をためらう
  • 検査を受けることへの抵抗
  • 家族や友人に相談できない

うつ状態

  • 将来への不安
  • 自信の喪失
  • 社会的な引きこもり

心理的サポートの重要性

専門的なカウンセリング

  • 心理カウンセラーによる支援
  • 不安の軽減
  • 治療に対する前向きな姿勢の構築

パートナーとのコミュニケーション

  • 正しい情報の共有
  • 相互理解の促進
  • 治療への協力体制の構築

患者会や支援グループ

  • 同じ悩みを持つ人との交流
  • 経験の共有
  • 情報交換

最新の研究と治療の進歩

陰茎のしこりに関する医学研究は日々進歩しており、新しい診断方法や治療法が開発されています。

診断技術の進歩

画像診断技術の向上

  • 高解像度超音波装置
  • MRIの画質向上
  • PET-CTによる代謝画像診断

分子生物学的診断

  • 遺伝子検査による精密診断
  • バイオマーカーの開発
  • 個別化医療への応用

治療技術の進歩

低侵襲手術

  • 内視鏡手術の応用
  • ロボット支援手術
  • レーザー技術の進歩

薬物療法の進歩

  • 分子標的治療薬
  • 免疫チェックポイント阻害薬
  • 個別化薬物療法

再生医療

  • 幹細胞治療
  • 組織工学的アプローチ
  • 成長因子の応用

合併症と後遺症

陰茎のしこりやその治療により生じる可能性のある合併症や後遺症について説明します。

病気自体による合併症

感染性病変

  • 蜂窩織炎
  • 膿瘍形成
  • 敗血症(重篤な場合)

悪性腫瘍

  • リンパ節転移
  • 遠隔転移
  • 機能障害

治療による合併症

手術による合併症

  • 創感染
  • 出血
  • 瘢痕形成
  • 神経損傷による感覚障害

薬物療法による副作用

  • アレルギー反応
  • 薬剤耐性の獲得
  • 全身への副作用

機能的後遺症

性機能への影響

  • 勃起機能障害
  • 射精機能障害
  • 感覚の変化

排尿機能への影響

  • 尿道狭窄
  • 排尿困難
  • 尿失禁(稀)

心理的後遺症

自信の低下

  • 外観への不安
  • 性的自信の低下
  • パートナーシップへの影響

うつや不安

  • 長期にわたる心理的影響
  • 専門的サポートの必要性

予後と長期的な管理

良性病変の予後

皮脂腺嚢腫

  • 完全摘出により根治可能
  • 再発率は低い
  • 美容的結果は良好

性感染症

  • 適切な治療により根治可能
  • 再感染の予防が重要
  • 定期的なフォローアップ

陰茎硬化症の予後

自然経過

  • 約13%で自然軽快
  • 多くは進行性
  • 早期治療が重要

治療後の予後

  • 薬物療法:30-60%で改善
  • 手術療法:機能的改善が期待できる
  • 長期的な管理が必要

悪性腫瘍の予後

早期がん

  • 5年生存率:85-95%
  • 機能温存可能
  • 定期的な経過観察が必要

進行がん

  • 5年生存率:50-70%
  • 集学的治療が必要
  • QOLを考慮した治療選択

質問と回答(FAQ)

Q1: 陰茎にしこりができたのですが、がんの可能性はどのくらいありますか?

A1: 陰茎のしこりの大部分(約80-90%)は良性の病変です。皮脂腺嚢腫やフォーダイス顆粒などが最も多く、がんの頻度は比較的低いとされています。ただし、しこりの性状(硬さ、固定性、潰瘍形成など)や年齢、リスク因子によって悪性の可能性は変わりますので、必ず専門医による診察を受けることをお勧めします。

Q2: 恥ずかしくて病院に行けません。自然に治ることはありますか?

A2: 小さなフォーダイス顆粒や軽微な皮脂腺の詰まりなどは治療不要な場合もありますが、多くのしこりは自然治癒しません。特に感染性の病変や悪性腫瘍の可能性がある場合は、放置により悪化する危険があります。現在では、男性専門外来やプライバシーに配慮した診察環境が整備されており、恥ずかしがらずに受診することをお勧めします。

Q3: 性感染症が原因の場合、パートナーにも影響しますか?

A3: ヘルペス、梅毒、尖圭コンジローマなどの性感染症が原因の場合、パートナーにも感染している可能性があります。これらの感染症は無症状の場合も多いため、パートナーと一緒に検査を受け、必要に応じて治療することが重要です。また、治療完了まで性的接触は避けるか、適切な予防措置を講じることが必要です。

Q4: 手術が必要と言われましたが、傷跡が心配です。

A4: 現在の外科技術では、可能な限り美容的配慮を行った手術が行われます。小さな病変では局所麻酔での日帰り手術が可能で、傷跡も最小限に抑えられます。形成外科医による手術や、レーザー治療なども選択肢となります。術前に医師と十分に相談し、手術方法や予想される結果について詳しく説明を受けることをお勧めします。

Q5: 再発の可能性はありますか?

A5: 再発の可能性は病気の種類によって異なります。皮脂腺嚢腫は完全摘出により再発率は低くなりますが、不完全な摘出では再発の可能性があります。性感染症は治癒後も再感染の可能性があるため、予防が重要です。陰茎硬化症は治療により改善しても、再発や進行の可能性があるため、長期的なフォローアップが必要です。

おわりに

陰茎のしこりは、多くの男性が経験する可能性のある症状であり、その原因は良性のものから悪性のものまで多岐にわたります。重要なことは、恥ずかしさや不安から受診を遅らせることなく、早期に専門医による適切な診断を受けることです。

現代医学の進歩により、多くの病変は適切な治療により良好な結果が得られます。また、心理的サポートも含めた総合的なケアが可能となっており、患者さんのQOL(生活の質)を重視した治療が行われています。

一人で悩まず、信頼できる医療機関で相談することをお勧めします。早期発見・早期治療により、多くの場合で良好な予後が期待できることを覚えておいてください。


参考文献

  1. 日本泌尿器科学会編:泌尿器科診療ガイドライン、メディカルレビュー社
  2. 日本皮膚科学会:皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン、日皮会誌
  3. 日本性感染症学会:性感染症診断・治療ガイドライン
  4. Campbell-Walsh Urology, 12th Edition, Elsevier
  5. 泌尿器科臨床、医学書院
  6. 皮膚科の臨床、金原出版
  7. 日本医学会:EBMに基づく診療ガイドライン作成マニュアル
  8. 厚生労働省:性感染症に関する特定感染症予防指針
  9. 日本癌治療学会:がん診療ガイドライン
  10. 世界保健機関(WHO):男性生殖器疾患に関する国際分類

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監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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