顔面多汗症治療の完全ガイド|原因から最新治療法まで徹底解説

はじめに

顔から大量の汗が流れ落ちる、人と会話するときに顔が汗でびっしょりになってしまう――そんな悩みを抱えていませんか?「顔面多汗症」は、日常生活に大きな支障をきたす疾患でありながら、「体質だから仕方ない」と諦めている方も少なくありません。

しかし、顔面多汗症は適切な治療により改善が可能な疾患です。本記事では、アイシークリニック上野院の医療コラムとして、顔面多汗症の原因から最新の治療法まで、専門的かつ分かりやすく解説します。あなたの汗の悩みを解決する一助となれば幸いです。

顔面多汗症とは?基礎知識を理解する

多汗症の定義と分類

多汗症とは、体温調節に必要な範囲を超えて過剰に発汗する状態を指します。日本皮膚科学会によると、多汗症は発症部位によって「局所性多汗症」と「全身性多汗症」に分類されます。

顔面多汗症は局所性多汗症の一種で、主に顔面、特に額や鼻、頬などから過剰な発汗が見られる疾患です。この症状は、単に汗の量が多いというだけでなく、患者さんの社会生活や精神面に大きな影響を及ぼすことが知られています。

顔面多汗症の特徴

顔面多汗症には以下のような特徴があります:

発汗の特徴

  • 気温や運動に関係なく、緊張や不安で顔から大量の汗が出る
  • 額から汗が滴り落ちるほどの発汗量
  • 化粧が崩れやすい、または化粧ができない
  • 頭部からも同時に発汗することが多い(頭部顔面多汗症)

心理的影響

  • 人前に出ることへの恐怖や不安
  • 対人関係における自信の喪失
  • 社会活動や仕事への支障
  • うつ症状や社交不安障害の併発リスク

厚生労働省の調査によると、多汗症患者の約70%が日常生活に何らかの支障を感じており、そのうち約40%が「社会生活に大きな影響がある」と回答しています。

原発性と続発性の違い

顔面多汗症は、原因によって「原発性(一次性)」と「続発性(二次性)」に分類されます。

原発性顔面多汗症

  • 明確な原因疾患がなく発症する
  • 交感神経の過剰な活動が関与
  • 思春期頃から症状が現れることが多い
  • 家族歴を有することがある

続発性顔面多汗症

  • 他の疾患や薬剤が原因で発症する
  • 甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害などが原因となりうる
  • 向精神薬や抗コリンエステラーゼ薬などの副作用として発症することもある
  • 原因疾患の治療により改善する可能性がある

治療を開始する前には、必ず続発性多汗症の可能性を除外することが重要です。

顔面多汗症の原因とメカニズム

発汗のメカニズム

人間の体には約200万〜500万個の汗腺が存在し、体温調節や老廃物の排出などの重要な役割を担っています。汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があり、顔面多汗症に関与するのは主にエクリン腺です。

エクリン腺からの発汗は、交感神経系によって調節されています。通常、体温の上昇や運動時に交感神経が活性化し、適切な量の発汗が起こります。しかし、顔面多汗症では、この調節機構に異常が生じていると考えられています。

交感神経の過剰活動

原発性顔面多汗症の主な原因は、交感神経の過剰な活動にあります。具体的には以下のようなメカニズムが考えられています:

中枢性の調節異常 脳の視床下部や大脳皮質における発汗調節中枢の機能異常により、わずかな刺激でも過剰な発汗指令が出されてしまう状態です。

末梢性の感受性亢進 汗腺そのものや、汗腺を支配する神経終末の感受性が高まっており、通常では発汗を引き起こさないレベルの刺激でも反応してしまう状態です。

精神的ストレスとの関係 不安や緊張、ストレスなどの精神的要因が交感神経を刺激し、発汗を引き起こします。これにより「汗をかきたくない」という思いが逆に発汗を促進するという悪循環に陥ることがあります。

遺伝的要因

顔面多汗症には遺伝的要因の関与も指摘されています。家族内発症が比較的多く見られ、一卵性双生児での一致率が高いことから、何らかの遺伝的素因が存在すると考えられています。

ただし、特定の遺伝子変異が同定されているわけではなく、複数の遺伝子と環境要因が複雑に関与する「多因子遺伝」と考えられています。

その他の関連要因

ホルモンバランス 思春期や更年期など、ホルモンバランスが変化する時期に症状が悪化することがあります。特に女性では、月経周期や妊娠、出産などに伴って症状の変動が見られることがあります。

生活習慣 カフェインやアルコール、辛い食品などの摂取が発汗を促進することがあります。また、睡眠不足やストレスの蓄積も症状を悪化させる要因となります。

味覚性発汗 食事、特に辛いものや熱いものを食べた際に顔面から発汗する「味覚性発汗」が、顔面多汗症では通常よりも強く現れることがあります。

顔面多汗症の診断

診断基準

顔面多汗症の診断は、主に症状の程度と日常生活への影響度によって行われます。日本皮膚科学会が示す原発性局所多汗症の診断基準を参考に、以下の項目が評価されます。

主要症状 明らかな原因がないまま、6ヶ月以上にわたって顔面の過剰な発汗が続いている

副次的症状(以下のうち2項目以上を満たす)

  1. 最初の症状が25歳以下で出現した
  2. 対称性に発汗が見られる
  3. 睡眠中は発汗が止まっている
  4. 週に1回以上、多汗のエピソードがある
  5. 家族歴がある
  6. 日常生活に支障をきたしている

これらの基準を満たし、かつ続発性多汗症を除外できた場合に、原発性顔面多汗症と診断されます。

重症度の評価

治療方針を決定するためには、症状の重症度を適切に評価することが重要です。一般的に使用される評価方法には以下があります:

HDSS(Hyperhidrosis Disease Severity Scale) 患者さんの主観的な症状を4段階で評価する指標です:

  • グレード1:発汗は全く気にならず、日常生活に支障がない
  • グレード2:発汗は我慢できるが、時々日常生活に支障がある
  • グレード3:発汗はほとんど我慢できず、頻繁に日常生活に支障がある
  • グレード4:発汗は我慢できず、常に日常生活に支障がある

グレード3以上を重症と判断し、積極的な治療介入が検討されます。

発汗量の測定 より客観的な評価として、以下の方法が用いられることがあります:

  • ヨードデンプン法:発汗部位にヨード溶液とデンプンを塗布し、発汗により色が変化する範囲を確認する方法
  • 重量測定法:一定時間内に吸収させた汗の重量を測定する方法
  • 発汗計を用いた定量的測定

続発性多汗症の除外

顔面多汗症の治療を開始する前に、必ず続発性多汗症を除外する必要があります。具体的には以下のような検査が行われます:

血液検査

  • 甲状腺機能検査(TSH、FT3、FT4)
  • 血糖値、HbA1c(糖尿病の評価)
  • ホルモン検査(必要に応じて)

問診

  • 服用中の薬剤の確認
  • 他の症状の有無(動悸、体重変化、月経異常など)
  • 発症時期や経過の確認

画像検査 必要に応じて、頭部MRIや胸部X線などが実施されることがあります。

顔面多汗症の治療法

顔面多汗症の治療は、症状の重症度や患者さんのライフスタイル、希望などを総合的に考慮して選択されます。以下、主な治療法について詳しく解説します。

1. 外用療法

塩化アルミニウム外用薬

塩化アルミニウムは、汗腺の導管に作用して発汗を抑制する効果があります。手掌や足底の多汗症には有効性が高いですが、顔面への使用は以下の理由から限定的です:

  • 皮膚刺激性が高く、顔面の敏感な皮膚では炎症を起こしやすい
  • 眼や口への接触リスクがある
  • 濃度調整が難しい

使用する場合は、低濃度(5〜10%程度)から開始し、医師の指導のもとで慎重に行う必要があります。

効果と注意点

  • 効果発現まで:1〜2週間程度
  • 持続期間:継続使用が必要
  • 副作用:かゆみ、発赤、ヒリヒリ感
  • 使用方法:就寝前に患部に塗布し、朝に洗い流す

2. 内服療法

抗コリン薬

抗コリン薬は、汗腺を刺激するアセチルコリンの作用を阻害することで、全身的に発汗を抑制します。顔面多汗症に対しても一定の効果が期待できます。

主な薬剤:

  • プロパンテリンブロマイド(プロ・バンサイン®)
  • オキシブチニン塩酸塩(ポラキス®)※保険適応外

効果と注意点

  • 効果発現:服用後1〜2時間
  • 持続時間:4〜6時間程度
  • 副作用:口渇、便秘、排尿困難、視覚障害など
  • 注意:緑内障や前立腺肥大症のある方は使用できない

抗コリン薬は全身に作用するため、副作用に注意が必要です。特に口渇は高頻度で出現します。

漢方薬

東洋医学的アプローチとして、以下の漢方薬が使用されることがあります:

  • 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
  • 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
  • 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

漢方薬は、体質や症状に合わせて選択されます。効果は穏やかですが、長期服用により体質改善が期待できます。

3. ボツリヌストキシン注射

ボツリヌストキシン注射は、顔面多汗症に対して高い有効性を示す治療法です。ボツリヌス菌が産生する毒素を精製した薬剤を、多汗部位の皮内に注射します。

作用機序 ボツリヌストキシンは、交感神経終末から汗腺へのアセチルコリン放出を阻害することで、発汗を抑制します。注射した部位にのみ作用するため、全身性の副作用が少ないことが特徴です。

治療の実際

施術の流れ:

  1. 発汗の範囲を確認し、注射部位をマーキング
  2. 必要に応じて冷却または麻酔クリームを使用
  3. 非常に細い針で皮内に薬剤を注射(額で15〜30箇所程度)
  4. 施術時間は10〜20分程度

効果と持続期間

  • 効果発現:注射後2〜7日
  • 最大効果:2週間後
  • 持続期間:4〜9ヶ月(個人差あり)
  • 改善率:80〜90%

定期的な再注射により、効果を維持できます。

注意点と副作用

  • 注射部位の一時的な腫れや内出血
  • まれに額の重だるさ
  • 眉の位置の微妙な変化(通常は一時的)
  • 効果の不均一性

顔面への注射は、解剖学的な知識と注射技術が必要なため、経験豊富な医師による施術が推奨されます。

保険適応について 現在、日本では腋窩(わきの下)の原発性多汗症に対してのみボツリヌストキシン注射の保険適応が認められています。顔面多汗症に対しては自費診療となります。

4. イオントフォレーシス

イオントフォレーシスは、微弱な電流を用いて発汗を抑制する物理療法です。主に手掌や足底の多汗症に対して行われますが、特殊な機器を用いることで顔面にも適応可能です。

作用機序 水道水などの電解質溶液に患部を浸し、微弱電流を流すことで、汗腺の機能を一時的に抑制します。詳細なメカニズムは完全には解明されていませんが、汗腺導管の閉塞や汗腺細胞への直接作用が考えられています。

治療方法

  • 週2〜3回、1回20〜30分の治療を実施
  • 効果が得られた後は、週1回程度の維持療法
  • 家庭用機器も利用可能

効果と注意点

  • 改善率:60〜80%
  • 副作用:皮膚の乾燥、一時的な刺激感
  • 禁忌:ペースメーカー装着者、妊婦

顔面への適応は、専用のアプリケーターが必要で、実施できる施設が限られています。

5. 神経ブロック・手術療法

重症の顔面多汗症で、他の治療法で十分な効果が得られない場合に検討される治療法です。

交感神経節ブロック

胸部交感神経節(主にT2、T3)に対してブロックを行い、顔面への発汗信号を遮断します。

種類:

  • ボツリヌストキシンによる一時的ブロック
  • 局所麻酔薬による短期的ブロック
  • アルコールや高周波による永久的ブロック

胸腔鏡下交感神経切除術(ETS)

全身麻酔下で胸腔鏡を用いて、交感神経節を切除または遮断する手術です。

効果

  • 成功率:90%以上
  • 効果の持続:永続的

合併症とリスク 最も重要な合併症は「代償性発汗」です。顔面の発汗は減少しますが、その代わりに体幹や下肢からの発汗が増加します。この代償性発汗は不可逆的であり、患者さんのQOL(生活の質)を低下させる可能性があります。

その他のリスク:

  • ホルネル症候群(まぶたが下がる、瞳孔が小さくなる)
  • 味覚性発汗の増悪
  • 手術一般のリスク(感染、出血、気胸など)

手術療法は、効果は確実ですが、不可逆的な合併症のリスクがあるため、慎重な適応判断が必要です。他の治療法を十分に試みた後の最終手段として位置づけられています。

6. 心理療法・行動療法

顔面多汗症では、精神的ストレスや不安が症状を悪化させることが多いため、心理的アプローチも重要です。

認知行動療法(CBT)

発汗に対する不安や恐怖を軽減し、悪循環を断ち切ることを目指します。

  • 発汗に対する破局的思考の修正
  • リラクゼーション技法の習得
  • 段階的な曝露療法

バイオフィードバック

自律神経の活動を視覚化し、自己制御できるようにする訓練です。ストレス管理や不安軽減に効果があります。

カウンセリング

発汗による社会生活への影響や、心理的負担について話し合い、対処法を探ります。必要に応じて、精神科や心療内科との連携も検討されます。

日常生活での工夫と対策

医療的治療と並行して、日常生活での工夫も症状の軽減に役立ちます。

生活習慣の改善

食生活

  • カフェイン(コーヒー、紅茶、エナジードリンク)の摂取を控える
  • 辛い食べ物、熱い飲み物を避ける
  • アルコールの摂取を控える
  • 刺激性のあるスパイスを減らす

ストレス管理

  • 十分な睡眠時間の確保(7〜8時間)
  • 規則正しい生活リズム
  • 適度な運動習慣(ヨガ、ウォーキングなど)
  • リラクゼーション技法の実践(深呼吸、瞑想など)

環境調整

  • 室温を適切に保つ(冷房の活用)
  • 通気性の良い衣類の選択
  • 吸汗性・速乾性の高い素材を使用

スキンケア

顔面多汗症の方は、頻繁に汗を拭き取る必要があるため、適切なスキンケアが重要です。

洗顔

  • 朝晩2回、優しく洗顔する
  • 刺激の少ない洗顔料を選ぶ
  • 洗顔後はしっかり保湿する

汗の拭き取り方

  • 柔らかいタオルやティッシュを使用
  • こすらず、押さえるように拭く
  • 携帯用の汗拭きシートを活用(アルコールフリーのもの)

保湿ケア

  • 汗をかきやすい肌は意外と乾燥しがち
  • 軽めの保湿剤を使用
  • バリア機能を保つことで肌トラブルを予防

メイクの工夫(女性の場合)

顔面多汗症の女性にとって、メイクの崩れは大きな悩みです。以下の工夫が有効です:

ベースメイク

  • 皮脂吸着パウダーの使用
  • ウォータープルーフ製品の選択
  • 薄づきで仕上げる
  • メイクの上から使えるミストの活用

メイク直し

  • 脂取り紙で余分な皮脂と汗を取る
  • パウダーで軽く押さえる
  • 携帯用のメイク直しアイテムを常備

社会生活での対処

コミュニケーション 信頼できる人には、顔面多汗症であることを伝えることで、理解と支援が得られることがあります。

職場での配慮

  • 可能であれば、室温調整がしやすい環境を選ぶ
  • デスクにミニ扇風機を置く
  • ハンカチやタオルを常備

外出時の準備

  • 替えのハンカチやタオルを複数持参
  • 冷却グッズの活用
  • 水分補給用の飲み物を持参

よくある質問(Q&A)

Q1. 顔面多汗症は完治しますか?

原発性顔面多汗症は、根本的な原因が完全には解明されていないため、「完治」という概念は難しいのが現状です。しかし、適切な治療により症状を大幅に軽減し、日常生活に支障がないレベルまで改善することは十分に可能です。
ボツリヌストキシン注射や内服薬などの治療を継続することで、長期的に良好な状態を維持できます。また、年齢とともに症状が軽減するケースもあります。

Q2. 顔面多汗症の治療に保険は適用されますか?

顔面多汗症の治療に対する保険適応は、治療法によって異なります:

保険適応あり

  • 内服薬(抗コリン薬など)
  • 漢方薬
  • 診察、検査費用

保険適応なし(自費診療)

  • ボツリヌストキシン注射
  • イオントフォレーシス(施設による)
  • 交感神経節ブロック(一部)

なお、腋窩多汗症に対するボツリヌストキシン注射は保険適応がありますが、顔面多汗症は現時点では自費診療となります。

Q3. ボツリヌストキシン注射は痛いですか?

ボツリヌストキシン注射には非常に細い針を使用するため、痛みは比較的軽度です。多くの患者さんは「チクチクする程度」と表現されます。

ただし、痛みの感じ方には個人差があります。痛みに敏感な方には、以下の対策が可能です:

  • 麻酔クリームの事前塗布
  • 冷却による痛みの軽減
  • 注射速度の調整

施術中の不安や緊張があれば、遠慮なく医師に伝えましょう。

Q4. 治療を始めるタイミングは?

顔面多汗症の治療は、以下のような状況であれば開始を検討すべきです:

  • 日常生活に支障がある(HDSSグレード3以上)
  • 対人関係や社会活動に影響がある
  • 精神的な苦痛が大きい
  • 生活の質が著しく低下している

「我慢できる程度だから」と放置せず、早めに専門医に相談することをお勧めします。早期の治療開始により、二次的な心理的問題の予防にもつながります。

Q5. 子供でも治療できますか?

小児の顔面多汗症も治療可能ですが、治療法の選択には注意が必要です。

小児に対する治療

  • 外用薬:慎重に使用可能(低濃度から)
  • 内服薬:体重や年齢を考慮して投与量を調整
  • ボツリヌストキシン注射:安全性が確立されているが、注射への恐怖心が課題
  • イオントフォレーシス:比較的安全に実施可能

小児では、まず生活習慣の改善やストレス管理から始め、必要に応じて薬物療法を検討します。手術療法は、成長が完了するまで基本的に推奨されません。

Q6. 妊娠中や授乳中でも治療できますか?

妊娠中や授乳中は、使用できる治療法が限られます:

使用を避けるべき治療

  • 抗コリン薬(胎児への影響の可能性)
  • ボツリヌストキシン注射(安全性が確立していない)

検討可能な治療

  • 一部の漢方薬(医師と相談)
  • 外用薬(限定的な使用)
  • 生活習慣の改善

妊娠・授乳期間中は、必ず医師に相談し、リスクとベネフィットを十分に検討した上で治療方針を決定します。

Q7. 顔面多汗症の人が避けるべきことは?

以下のような要因は、症状を悪化させる可能性があるため、できるだけ避けることが推奨されます:

食品・飲料

  • カフェイン含有飲料(コーヒー、紅茶、エナジードリンク)
  • 辛い食べ物(唐辛子、わさび、カレーなど)
  • 熱い飲み物
  • アルコール
  • ニコチン(喫煙)

生活習慣

  • 慢性的な睡眠不足
  • 過度なストレス
  • 不規則な生活リズム
  • 極端な温度変化

環境

  • 高温多湿の環境
  • 密閉された空間
  • 厚着や通気性の悪い衣服

これらを完全に避けることは難しいですが、可能な範囲で意識することが症状管理に役立ちます。

まとめ

顔面多汗症は、適切な治療により症状のコントロールが可能な疾患です。本記事で解説した通り、外用療法、内服療法、ボツリヌストキシン注射、イオントフォレーシス、さらには手術療法まで、さまざまな治療選択肢があります。

重要なのは、以下のポイントです:

  1. 早めの受診:症状が日常生活に影響を及ぼしている場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。
  2. 適切な診断:続発性多汗症を除外し、正確な診断を受けることが重要です。
  3. 個別化された治療:症状の重症度、ライフスタイル、希望に応じて、最適な治療法を選択します。
  4. 継続的な管理:顔面多汗症は長期的な管理が必要な疾患です。定期的な受診と治療の継続が大切です。
  5. 生活習慣の改善:医療的治療に加えて、日常生活での工夫も症状軽減に役立ちます。
  6. 心理的サポート:必要に応じて、カウンセリングなどの心理的サポートも活用しましょう。

顔面多汗症は、決して「体質だから仕方ない」と諦める必要はありません。専門医による適切な治療で、快適な日常生活を取り戻すことができます。

参考文献

本記事の作成にあたり、以下の信頼性の高い情報源を参考にしました:

  1. 日本皮膚科学会 – 多汗症診療ガイドライン
  2. 厚生労働省 – 医薬品・医療機器情報
  3. 日本発汗学会 – 多汗症に関する最新情報
  4. 国立国際医療研究センター – 皮膚疾患情報

※本記事の情報は、2025年11月時点のものです。最新の治療法や研究結果については、医療機関にお問い合わせください。

監修者医師

高桑 康太 医師

略歴

  • 2009年 東京大学医学部医学科卒業
  • 2009年 東京逓信病院勤務
  • 2012年 東京警察病院勤務
  • 2012年 東京大学医学部附属病院勤務
  • 2019年 当院治療責任者就任

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佐藤 昌樹 医師

保有資格

日本整形外科学会整形外科専門医

略歴

  • 2010年 筑波大学医学専門学群医学類卒業
  • 2012年 東京大学医学部付属病院勤務
  • 2012年 東京逓信病院勤務
  • 2013年 独立行政法人労働者健康安全機構 横浜労災病院勤務
  • 2015年 国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院勤務を経て当院勤務

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